説明

飯包装体および飯包装材

【課題】安定して握りやすく、また容易に開封できる飯包装体を提供する。
【解決手段】飯包装材が、飯包装材の一方の短辺と一方の長辺で挟まれる一方のコーナー部Aが対向する他方の長辺の中途部にくるようにして、一方のコーナー部A側となる部位が内側巻き付け部22として巻き込まれ、包装材の他方の短辺側の部位が内側巻き付け部22上に外側巻き付け部24として巻き付けられると共に内側巻き付け部22上に固定されることによって、一方の長辺の中途部が頂部となる変形円錐状に形成され、該変形円錐状に形成された飯包装材中にほぼ円錐状に成形された飯が収容された飯包装体26であって、内側巻き付け部22となる部位の外フィルム14の分離可能部12が、外側巻き付け部24によって覆われておらず、分離可能部12が外フィルム14の全長に亙って露出していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円錐形状に形成したおにぎりもしくは寿司等の飯を包装した飯包装体およびこれに用いて好適な飯包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
内フィルムと外フィルムの間に海苔等の食材シートを介挿した包装材が知られている(例えば特許文献1)。
この包装材は、内フィルム上に円錐状に形成した寿司を配置し、この寿司を、包装材により両側から巻き込んで手巻き寿司に形成したものである。
食するときは、外フィルムに設けたカットテープ(分離可能部)により外フィルムを2分割し、これにより包装材を2分割(内フィルムはあらかじめ2枚の分割されたフィルムが用いられている)して、フィルムのみを取り外し、食材シートが寿司上に巻かれた状態の手巻き寿司とすることができる。これにより乾燥したパリパリの状態の食材シートが巻かれた寿司となるので、美味しく食することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−291337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1等に示される包装材を用いて包装した寿司等の包装体では、外フィルムに設けたカットテープが、包装体の外側巻き付け部によって一部覆われてしまい、外フィルムを全長に亙って良好に切断しにくいという課題がある。
特に、円錐状に形成される手巻き寿司は、不定形な形状ゆえに、外側巻き付け部によってカットテープが覆われやすいという事情がある。
また、この種の手巻き寿司の包装体は、包装体の下部を一方の手で握って、カットテープを他方の手で操作する必要があるが、カットテープが外側巻き付け部によって覆われていると、カットテープが外側巻き付け部によって阻まれ、またカットテープが握った手に引っ掛かるなど、安定して握りにくいという課題がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、外側巻き付け部によって分離可能部(カットテープ等)が覆われることがなく、片方の手で安定して握りやすく、また容易に手巻き寿司等として取り出せる飯包装体およびこの飯包装体に用いて好適な飯包装材を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る飯包装体は、長方形状をなし、長辺と平行に、かつ長手方向の全長に亙って分離可能部が設けられた外フィルムと、2枚のフイルムが幅方向の端縁部が重なるようにずらした状態で外フィルムに重ね合わされ、周縁部の適所で外フィルムに固定された内フィルムと、外フィルムと内フィルムとの間に介挿された食材シートとを具備する飯包装材が、該飯包装材の一方の短辺と一方の長辺で挟まれる一方のコーナー部が対向する他方の長辺の中途部にくるようにして、前記一方のコーナー部側となる部位が内側巻き付け部として巻き込まれ、包装材の他方の短辺側の部位が前記内側巻き付け部上に外側巻き付け部として巻き付けられると共に該内側巻き付け部上に固定されることによって、前記一方の長辺の中途部が頂部となる変形円錐状に形成され、該変形円錐状に形成された飯包装材中にほぼ円錐状に成形された飯が収容された飯包装体であって、前記内側巻き付け部となる部位の前記外フィルムの分離可能部が、前記外側巻き付け部によって覆われておらず、該分離可能部が外フィルムの全長に亙って露出していることを特徴とする。
【0007】
前記飯包装材に、(長辺の長さ−短辺の長さ)≦(前記一方の長辺から分離可能部までの距離)を満足する飯包装材を用いることができる。
また、前記分離可能部を、前記飯包装材の幅方向中央部から、飯包装材の前記他方の長辺方向にずらした位置に設けるようにしてもよい。
また、前記飯包装材の前記一方の長辺が、前記飯包装材の他方の長辺に対して垂直となるように前記内側巻き付け部が巻き付けられるようにすると体裁がよくなる。
また、前記内フィルムの2枚のフィルムを、幅広フィルム片とこの幅広フィルム片よりも幅狭の幅狭フィルム片とから構成し、前記飯包装材の前記他方の長辺側に前記幅広フィルム片を配置すると、分離されたフィルムを引き抜き易くでき、好適である。
また、円錐状に形成されたおにぎりもしくは寿司の、露出する底部側を覆うカバー部材を設けることができる。
また、前記外側巻き付け部の内側巻き付け部上に固定される位置が、前記外側巻き付け部における分離可能部の位置よりも変形円錐状の飯包装材の頂部側の位置となるようにする。
【0008】
また、本発明に係る飯包装材は、長辺と平行に、かつ長手方向の全長に亙って分離可能部が設けられた外フィルムと、2枚のフイルムが幅方向の端縁部が重なるようにずらした状態で外フィルムに重ね合わされ、周縁部の適所で外フィルムに固定された内フィルムと、外フィルムと内フィルムとの間に介挿された食材シートとを具備するおにぎり・寿司包装材において、(長辺の長さ−短辺の長さ)≦(一方の長辺から分離可能部までの距離)であることを特徴とする。
【0009】
前記分離可能部を、前記包装材の幅方向中央部の位置から前記他方の長辺方向にずらした位置に設けるようにしてもよい。
また、前記内フィルムの2枚のフィルムを、幅広フィルム片とこの幅広フィルム片よりも幅狭の幅狭フィルム片とから構成し、包装材の前記他方の長辺側に前記幅広フィルム片を配置するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外フィルムの分離可能部が全長に亙って自身の外側巻き付け部によって覆われていないので、片方の手で安定して握りやすく、また容易に外フィルムを分断することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】飯包装材の一例を示す説明図である。
【図2】飯包装体の説明図である。
【図3】飯包装体を握った際の分離可能部の分離スタート位置および分離終了位置を示す説明図である。
【図4】長辺の長さを短辺の長さの1.5倍以下とした飯包装材の説明図である。
【図5】図4に示す飯包装材において、内側巻き付け部側を折り返した状態を示す説明図である。
【図6】図5に示す状態からさらに外側巻き付け部側を折り返した状態を示す説明図である。
【図7】(長辺の長さ−短辺の長さ):M≦(一方の長辺から分離可能部までの距離):Nとした飯包装材の説明図である。
【図8】分離可能部を曲折して設けた例を示す説明図である。
【図9】外側巻き付け部の折り返し基点を外方にずらした状態を示す説明図である。
【図10】飯包装体にカバーを取り付けた説明図である。
【図11】飯包装体にカバーを取り付けた別の実施の形態の説明図である。
【図12】端縁部14aにカバーを設けた実施の形態の説明図である。
【図13】端縁部14cにカバーを設けた別の実施の形態の説明図である。
【図14】端縁部14aにカバーを設けた実施の形態の説明図である。
【図15】端縁部14aおよび14cに亙ってカバーを設けた実施の形態の説明図である。
【図16】端縁部14a、14bおよび14cに亙ってカバーを設けた実施の形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1はおにぎりもしくは寿司等の飯を包装する飯包装材(以下単に包装材という)10の説明図であり、図2は飯包装体(以下単に包装体という)26の説明図である。
包装材10は、長方形の形状をなし、長辺と平行、かつ長手方向の全長に亙って公知のカットテープ等からなる分離可能部12が設けられた外フィルム14と、2枚のフイルムが幅方向の端縁部同士が重なるようにした状態で外フィルム14に重ね合わされ、周縁部の適所で外フィルム14に固定された内フィルム16a、16bと、外フィルム14と内フィルム16a、16bとの間に介挿された海苔やこんぶシート等の食材シート18とからなる。なお、長方形状とは、角部を切り欠いただけのような、実質的に長方形をなしているものも含む。
【0013】
外フィルム14と内フィルム16とは熱溶着等によって固定されている。
この溶着部位(図1における斜線の部位)は特に限定されないが、分離可能部12によって外フィルム14を2つに分割した際に、分割された一方の外フィルム14および一方の内フィルム片16aと、分割された他方の外フィルム14および他方の内フィルム片16bとが分離可能となる位置に設けられている。すなわち、分割された一方の外フイルム片14と一方の内フィルム16aとの溶着部位と、分割された他方の外フィルム片14と他方の内フィルム16bとの溶着部位とが、分離可能部12を挟んで互いに反対側になるようにされている。
【0014】
上記包装材10を用いて寿司もしくはおにぎり等の飯(以下、寿司として説明する)20を包装して手巻き寿司風の飯包装体(以下単に包装体という)26(図2)を形成するには次のようにする。
まず、円錐状に形成した寿司20を、包装材10の内フィルム16上に、包装材10の一方の長辺10dの中途部に頂部が向くように(底部はコーナー部Bに向くように)、包装材10に対して約45度の角度をなすように斜めに配置する。
【0015】
次に、一方の長辺10dと一方の短辺10aとで挟まれる一方のコーナー部A側を頂点とする包装材10の三角形状の部位を寿司20の外形に沿って巻き付けて内側巻き付け部22に形成する(図2)。
次いで、包装材10の他方の短辺10b側の所定幅の部位を内側巻き付け部22上に巻き付けて外側巻き付け部24に形成する(図2)。
そして、外側巻き付け部24を内側巻き付け部22上に適宜シール材(図示せず)や熱シール等によって固定して包装体26に形成するのである。なお、図2では寿司20を省略している。
【0016】
そして、本実施の形態では、図2に示すように、内側巻き付け部22となる部位の外フィルム14の分離可能部12が、外側巻き付け部24によって覆われておらず、したがって、該分離可能部12が外フィルム14の全長に亙って露出していることを特徴とする。
このように、外フィルム14の分離可能部12が自身の外側巻き付け部24によって覆われず、外フィルム14の全長に亙って露出しているので、分離可能部12によって外フィルム14を分断する際、分離可能部12が外側巻き付け部24によって邪魔されず、外フィルムを容易に分離でき、あらかじめ分離されている内フィルム16とともに、食材シート18を寿司20上に残したまま寿司20から除去することができる。
【0017】
図3は、包装体26を手に持った際の分離可能部12の分離スタート位置Pと、分離可能部12の分離終了位置Qを示すものであるが、分離可能部12が外フィルム14の全長に亙って露出しているので、包装体26が握りやすく、また、分離可能部12による外フィルム14の分離操作がきわめて容易となることが理解されよう。
なお、外側巻き付け部24を内側巻き付け部22上にシール材17を用いて固定する際、該シール材17が分離可能部12上に架かる(覆う)場合には、図3に示すようにシール材を貼り付ける部位の外側巻き付け部24の端縁部を少し切り欠いておき(切欠部17a)、該端縁部を後退させておくことによって、シール材17が分離可能部12に架からないようにするとよい。なお、外側巻き付け部24を内側巻き付け部22に対してシール材17や熱シールによって固定する位置は、上下分離した外フィルム同士をシール材や熱シールによって固着してしまわないように、図3に示すように、分離可能部12の位置よりも、包装体26の頂部側(下側)となるようにする。
【0018】
包装体26において、上記のように外フイルム14の分離可能部12が外側巻き付け部24によって覆われず、外フィルム14の全長に亙って露出するようにするには、一例として図4に示すような包装材10を用いるとよい。
図4に示す包装材10は、分離可能部12が外フィルム14の幅方向中央部に設けられている。
そして、包装材10の長辺10cの長さが短辺10a(10b)の長さの1.5倍以下の長さに設定されている。
なお、包装材10の短辺10aの長さ(包装材の幅)は、包装体に形成した際の握り易さの必要性から、10cm以上とするのが好適である。
【0019】
この包装材10を用いて寿司20を包装する場合を説明する。なお、説明をわかりやすくするために、寿司20を省略した状態で説明する。
図5(A)に示すように、包装材10の一方の短辺10a側の一方のコーナー部A側の三角形状の部位(図4における斜線部:一部が内側巻き付け部となる)を折り返す(実際には寿司に沿って弧状に折り返される)。すなわち、一方のコーナー部A側の長辺(一方の長辺)10dが他方のコーナー部B側の長辺(他方の長辺)10cに対して垂直となるように、コーナー部A側を折り返す。このとき、寿司が内部に包まれた状態となるので、実際には重ならないのであるが、図5(A)の方向から見た場合に、短辺10aが長辺10cに重なるように見え、包装体とした際に体裁がよくなる。なお、図5(B)は、図5(A)においてX方向から見た図である。
【0020】
次に図6(A)に示すように、包装材10の他方の短辺10b側の所要幅の部位(図5(A)における斜線部)を、上記折り返された部位の長辺10dを折り返し基線として、コーナー部A側の上に重なるように折り返し(実際には寿司に沿って弧状に折り返される)、外側巻き付け部24とする。外側巻き付け部24に覆われた部位が内側巻き付け部22にほかならない。この場合、包装材10の長辺10cが一方の短辺10aと重なり(図6(A))、体裁がよいものとなる。
外側巻き付け部24を内側巻き付け部22にシール材(図示せず)や熱シール等によって固定することによって、包装体26に完成される。なお、寿司の露出した部位上に適宜な具材(図示せず)を乗せるようにする。図6(B)は、図6(A)においてX方向から見た図である。
【0021】
長辺10cの長さを短辺10aの長さの1.5倍以下の長さとすることによって、図6(A)に示すように、短辺10bが分離可能部12にまで達せず、したがって、外フィルム14の分離可能部12が全長に亙って露出することが理解されよう。
【0022】
上記実施の形態では、分離可能部12を外フィルム14の幅方向の中央部に設けたが、上記説明から明らかなように、例えば、長辺10cの長さを短辺10aの長さの1.3倍程度のように小さな倍率の長さに設定すれば、分離可能部12の位置を短辺10aの中央部からさらに長辺10d側に寄った位置に設けても、分離可能部12を全長に亙って露出させることができる。
上記とは逆に、分離可能部12の位置を、短辺10aの中央部から長辺10c側に寄った位置にずらせれば、長辺10cの長さを短辺10aの長さの1.5倍よりも大きな、例えば1.8倍程度に設定しても、分離可能部12を全長に亙って露出させることができる。このように、分離可能部12の位置を長辺10c側にずらした位置に設ければ、包装体26に形成した際に、分離可能部12が上方側(手巻き寿司等の上側)にずれるので、包装体26の下部を握り易くなり、この点でも好適である。
【0023】
以上をまとめれば、図7から明らかなように、(長辺10cの長さ−短辺10bの長さ):M≦(長辺(一方の長辺)10dから分離可能部12までの距離):Nとすれば、長辺10dを基線として短辺10b側を折り返した際に、分離可能部12が外側巻き付け部24によって覆われないこととなる。
また、分離可能部12が一定の幅をもっている場合には、上記(長辺10dから分離可能部12までの距離)とは、長辺10dから、長辺10dに近い側の分離可能部12の端縁部までの距離とする。また、分離可能部12は、図8に示すように、一定の幅で屈曲するように設けてもよいものであり、この場合には、上記(長辺10dから分離可能部12までの距離)とは、長辺10dから、長辺10dに近い側の分離可能部12の端縁部までの距離であって、最短距離のものとする。
【0024】
他の実施の形態として、(長辺10cの長さ−短辺10bの長さ):M >(長辺10dから分離可能部12までの距離):Nとなる包装材であっても、図9に示すように、外側折り返し部24の折り返し基線を、折り返した長辺10dから適当な距離Yだけずらした位置に設定すれば、分離可能部12を全長に亙って露出させることができる。なおこの場合、手巻き寿司等の頂点部において寿司等が露出することになるが、少しだけの露出であれば特に問題とはならない。
【0025】
分離可能部12は、カットテープの他、外フィルム14に設けたミシン目にするとか、外フィルム14自体を長手方向に容易に裂ける配向性フィルムにするとか、あるいは外フィルム14を幅方向に2分割して、部分的に溶着するなどして分離可能部としてもよい。
【0026】
また、上記各実施の形態において、図1に示すように、内フィルム16の2枚のフィルムを、幅広フィルム片16aとこの幅広フィルム片16aよりも幅狭の幅狭フィルム片16bとから構成すると好適である。そしてこの場合に、幅狭フィルム片16bを、包装材10の長辺10d側に位置するようにすると、後記するように、分割したフィルムを寿司から引き抜きやすくなるので好適である。なお、両内フィルム片16a、16bの重なり合う部位は、どちらが内側、あるいは外側であってもよい。また、この重なり合う部分のフィルム片の一方もしくは両方をさらに2つ折りにしてもよい(図示せず)。
【0027】
さらに、コーナー部A側における食材シート18のコーナー部を図1に示すように切り欠いておくようにするとよい。これにより、後記するように、分割したフィルムを寿司から引き抜く際に、フィルム片が食材シート18のコーナー部が引っ掛からず、引き抜きやすくなり好適である。
【0028】
上記のように、内フィルム16を、幅広フィルム片16aと幅狭フィルム片16bとにすることによって、分離可能部12により外フィルム14を2つに分断すると、外フィルム14の上側部分(コーナー部Bが存在する部分)と、この上側部分に固定されている内フィルム16の幅広フィルム片16aとを、食材シート18を寿司20上に残したまま上方に容易に引き抜くことができる。内側フィルム16の幅広フィルム片16aは、幅広に形成されている分だけ寿司20との間の抵抗が大きくなり、引き抜きにくくなるが、寿司20上方の開放空間側へ引き抜くので、食材シート18が介在していても食材シート18に邪魔されることがなく、容易に引き抜ける。
【0029】
むしろ、分断された外フィルム14の下側部分と、この下側部分に固定されている内フィルム16の幅狭フィルム片16bとは、下方にすぼまっている食材シート18が存在することから、下方に引き抜きにくいが、内側フィルム16が幅狭のフィルム片16bに形成されていることから、食材シート18や寿司20から剥がれやすく、引き抜きやすいものとなる。
【0030】
特に、幅狭フィルム片16bの、図1におけるコーナー部Aの、短辺10a側の部分を外側フィルム14に溶着しないようにするか、および/または当該部位の食材シート18を切り欠いておくことによって、より容易に上記分断したフィルムを下方に引き抜くことが可能となる。
【0031】
また、分断したフィルムをより容易に引き抜きやすくするために、寿司飯に食用オイルを混入させておくこともできる。あるいは、内フィルム16の内面側に食用オイルを塗っておくようにしてもよい。また、寿司あるいはおにぎりの表面に米粉などの食用粉末を付着させて、寿司等の粘り気を抑え、滑りやすくするようにすることによって、分断したフィルムを引き抜き易くするようにしてもよい。
【0032】
なお、上記実施の形態では、説明をわかりやすくするために、円錐状に成形した寿司20に包装材10を巻き付けるようにして包装体26を形成する例で説明した。しかし、実際には、包装体26を形成する場合は、包装材10をあらかじめ図2に示すような変形円錐状に形成しておき、この変形円錐状に形成した包装材10中に、円錐状に成形した寿司20を落とし込むようにして、包装体26に形成するようにすると好適である。このようにすることで、あらかじめ変形円錐状に形成した包装材10を順次装置(図示せず)内に連続的に送り込み、あらかじめ円錐状に成形した寿司20を順次包装材10中に落とし込むようにすることができ、包装の自動化が行える。
【0033】
あらかじめ変形円錐状に形成した包装材10の構造(図2に示すもの)は次のように表現される。
すなわち、包装材10の一方の短辺10aと一方の長辺10dで挟まれる一方のコーナー部Aが、対向する他方の長辺10cの中途部(中途部上)にくるようにして、一方のコーナー部A側となる部位が内側巻き付け部22として巻き込まれ、包装材10の他方の短辺10b側の部位が内側巻き付け部22上に外側巻き付け部24として巻き付けられると共に該内側巻き付け部22上に固定されることによって、一方の長辺10dの中途部が頂部となる変形円錐状に形成された包装材の構造をなす(図2)。
【0034】
図10、図11は、包装体26にカバー(キャップ)28を被せて、寿司20の露出部位(円錐の底部側)を覆い隠すようにした実施の形態を示す。
図10の例は、包装体26の外側にカバー28を被せたものであり、カバー28は、別途固定シール(図示せず)等によって、包装体26に固定するようにするとよい。カバー28は、分離可能部12によって外フィルム14を分断する際、同時に外せるようにすると好適である。
図11は、カバー28の裾を、包装体26の上部内側(寿司と包装材との間)に挟み込むようにして包装体26に被せるようにした例である。
【0035】
図12、図14は、カバー28を、包装材10の、外フィルム14の一方の端縁部14aに一体に設けた例、図13は、カバー28を、一方の端縁部14aに隣接する端縁部14cに設けた例、図15は、カバー28を、両端縁14a、14cに亙って設けた例を示す。図16は、カバー28を、両端縁14a、14bおよび14cに亙って設けた例を示す。
図13および図15に示す例の場合のように、カバー28を端縁部14c側に設ける場合には、分離可能部12を当該端縁部14c側のカバー部分にも延長するなどして(図示せず)、カバー28も分離可能なようにする。あるいは、図13、図15に斜線で示すように、カバー28は、分離可能部12によって2分される外フィルム14の一方の部位にのみ溶着等によって固定しておくようにするとよい。図12〜図16において、破線で示したのは、三角錐状の寿司もしくはおにぎりを載置する位置を示している。
【0036】
外フィルム14、内フィルム16は薄い樹脂シートを用いるのが好適であるが、材質は特に限定されず、紙材等であってもい。
【符号の説明】
【0037】
10 包装材
12 分離可能部
14 外フィルム
16 内フィルム
16a 幅広フィルム片
16b 幅狭フィルム片
18 食材シート
20 寿司
22 内側巻き込み部
24 外側巻き込み部
26 包装体
28 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状をなし、長辺と平行に、かつ長手方向の全長に亙って分離可能部が設けられた外フィルムと、2枚のフイルムが幅方向の端縁部が重なるようにずらした状態で外フィルムに重ね合わされ、周縁部の適所で外フィルムに固定された内フィルムと、外フィルムと内フィルムとの間に介挿された食材シートとを具備する飯包装材が、
該飯包装材の一方の短辺と一方の長辺で挟まれる一方のコーナー部が対向する他方の長辺の中途部にくるようにして、前記一方のコーナー部側となる部位が内側巻き付け部として巻き込まれ、包装材の他方の短辺側の部位が前記内側巻き付け部上に外側巻き付け部として巻き付けられると共に該内側巻き付け部上に固定されることによって、前記一方の長辺の中途部が頂部となる変形円錐状に形成され、
該変形円錐状に形成された飯包装材中にほぼ円錐状に成形された飯が収容された飯包装体であって、
前記内側巻き付け部となる部位の前記外フィルムの分離可能部が、前記外側巻き付け部によって覆われておらず、該分離可能部が外フィルムの全長に亙って露出していることを特徴とする飯包装体。
【請求項2】
前記飯包装材が、(長辺の長さ−短辺の長さ)≦(前記一方の長辺から分離可能部までの距離)の飯包装材であることを特徴とする請求項1記載の飯包装体。
【請求項3】
前記分離可能部が、前記飯包装材の幅方向中央部から、飯包装材の前記他方の長辺方向にずらした位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の飯包装体。
【請求項4】
前記飯包装材の前記一方の長辺が、前記飯包装材の他方の長辺に対して垂直となるように前記内側巻き付け部が巻き付けられていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の飯包装体。
【請求項5】
前記内フィルムの2枚のフィルムが、幅広フィルム片とこの幅広フィルム片よりも幅狭の幅狭フィルム片とからなり、前記飯包装材の前記他方の長辺側に前記幅広フィルム片が配置されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の飯包装体。
【請求項6】
円錐状に形成されたおにぎりもしくは寿司の、露出する底部側を覆うカバー部材を有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の飯包装体。
【請求項7】
前記外側巻き付け部の内側巻き付け部上に固定される位置が、前記外側巻き付け部における分離可能部の位置よりも変形円錐状の飯包装材の頂部側であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の飯包装体。
【請求項8】
長方形状をなし、長辺と平行に、かつ長手方向の全長に亙って分離可能部が設けられた外フィルムと、2枚のフイルムが幅方向の端縁部が重なるようにずらした状態で外フィルムに重ね合わされ、周縁部の適所で外フィルムに固定された内フィルムと、外フィルムと内フィルムとの間に介挿された食材シートとを具備する飯包装材において、
(長辺の長さ−短辺の長さ)≦(一方の長辺から分離可能部までの距離)であることを特徴とする飯包装材。
【請求項9】
前記分離可能部が、前記包装材の幅方向中央部の位置から一方の長辺方向にずらした位置に設けられていることを特徴とする請求項8記載の飯包装材。
【請求項10】
前記内フィルムの2枚のフィルムが、幅広フィルム片とこの幅広フィルム片よりも幅狭の幅狭フィルム片とからなり、包装材の他方の長辺側に前記幅広フィルム片が配置されていることを特徴とする請求項9記載の飯包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−24561(P2011−24561A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255334(P2009−255334)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(391032277)
【Fターム(参考)】