説明

飲料の製造方法および装置

【課題】飲料エマルジョンを製造するための装置において、安定で均一に分散しており、ボトル内に貯蔵されたときに首輪や綿状沈殿物が形成されない水中油型飲料エマルジョンを製造する。
【解決手段】液滴サイズを有する油を含む油混合物の供給源12、飲料乳化剤を含む水性混合物の供給源16、油混合物を水性混合物中に分散させて、安定な飲料プリエマルジョンを形成するためのインライン混合装置24、および安定な飲料プリエマルジョンを均質化して、均一に分散した飲料エマルジョンを形成するための、24インライン混合装置と流体連結したホモジナイザ28を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定な均一に分散された水中油型飲料エマルジョンの製造方法に関する。本発明は、より詳しくは、そのような飲料エマルジョンの製造において、あるタイプの混合装置を使用し、ホモジナイザの必要性を実質的になくすことに関する。
【背景技術】
【0002】
水中油型エマルジョンは、多くの最終用途、例えば、特定の性質を付与するために基質に適用されるものなどの化学組成物において、また飲料にとって望ましいことがある。よく知られた水中油型化学組成物としては、塗料、インク、ワニスなどが挙げられる。表面に撥水性や撥油性を与える組成物も化学的に水中油型エマルジョンである。
【0003】
飲料では、水中油型エマルジョンは、消費者から要求される品質基準を満たさなければならない。外観、味覚および口当たりなどの特徴における飲料の品質は、飲料内のエマルジョンの分散に加え、飲料内のエマルジョンの安定性の影響を受ける。高品質の飲料は、ボトル内に付着物の首輪や綿状沈殿物がなく、消費される前の通常の貯蔵や輸送の状況下で分離しないものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安定で均一に分散しており、ボトル内に貯蔵されたときに付着物の首輪や綿状沈殿物が形成されない水中油型飲料エマルジョンを製造する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、安定な水中油型エマルジョンを製造する方法を提供する。一般に、この方法は、油成分および水性成分を組み合わせてプリエマルジョンを形成する工程を有してなる。油成分は油混和性成分と油を含み、水性成分は水を含む。その後、この方法は、プリエマルジョンを混合して油成分の液滴サイズを減少させ、混合後にプリエマルジョンを均質化して均一に分散したエマルジョンを形成する各工程を含む。
【0006】
本発明のある実施の形態において、本発明の方法は、油混合物と水性混合物を組み合わせて、飲料プリエマルジョンを形成する工程を有してなる。油混合物は油を含み、水性混合物は飲料乳化剤と水を含む。その後、この方法は、飲料プリエマルジョンをインライン混合して油の液適サイズを減少させ、インライン混合後に飲料プリエマルジョンを均質化して均一に分散した飲料プリエマルジョンを形成する各工程を含む。
【0007】
本発明の別の実施の形態において、油混合物は適切な飲料増量剤をさらに含んでも差し支えない。さらに、水性混合物は、保存料、着色料および酸味料をさらに含んでも差し支えない。
【0008】
本発明のさらに別の実施の形態において、インライン混合は、飲料プリエマルジョン中に存在する油の液滴サイズを約1マイクロメートルから約12マイクロメートル、好ましくは約2マイクロメートルから約6マイクロメートルまでの液滴サイズに減少させるのに十分な混合エネルギーを与えるために飲料プリエマルジョンに関するインライン混合パラメータ(すなわち、インライン・ミキサを通る際の圧力降下および流量)を調節して、飲料プリエマルジョンを予備状態調節(precondition)する工程を含む。
【0009】
本発明の別の態様により、油相を連続水性相中に分散させる方法を提供する。この方法は、油相と水性相を組み合わせてプリエマルジョンを形成する工程を有してなる。このプリエマルジョンをインライン混合して、プリエマルジョン中に存在する油の液滴サイズを減少させて、プリエマルジョンを予備状態調節する。インライン混合から生じたプリエマルジョンを均質化して、プリエマルジョン中に存在する油の液滴サイズをさらに減少させ、均一に分散したエマルジョンを形成する。
【0010】
本発明の別の態様において、濃縮飲料を製造する方法を提供する。この方法は、水を保存料、乳化剤および着色料と混合し、通常は約40℃から約70℃、好ましくは約50℃から約60℃の範囲にある高温で混合物を形成して、水性混合物を形成する工程を有してなる。その後、必要に応じて、水性混合物を低温殺菌して差し支えない。続いて、水性混合物を、約10℃から約35℃、好ましくは約15℃から約25℃の温度に冷却する。水性混合物を水でさらに希釈して、希釈混合物を形成し、そこに酸味料を加える。希釈混合物を、油を含む油混合物と混合して、濃縮飲料を形成する。混合後、この濃縮飲料を水で希釈し、希釈された濃縮飲料中に存在する油の液滴サイズを減少させるためにインライン混合と均質化を行って、最終的な濃縮飲料を形成する。
【0011】
本発明のさらに別の態様において、均質に分散した飲料プリエマルジョンを製造するための装置を提供する。この装置は、油を含む油混合物の供給源、および飲料乳化剤を含む水性混合物の供給源を備えている。この装置は、安定な飲料プリエマルジョンを形成するために水性混合物中に油混合物を分散させるためのインライン混合装置、および均一に分散した飲料エマルジョンを形成するために安定な飲料プリエマルジョンを均質化するための、インライン混合装置に流体連結したホモジナイザをさらに備えている。
【0012】
本発明の別の態様において、均一に分散した飲料エマルジョンを製造するための装置を提供する。この装置は、油を含む油混合物の供給源、および飲料乳化剤を含む水性混合物の供給源を備えている。この装置は、均一に分散した飲料エマルジョンを形成するために油の液滴サイズを減少させるインライン混合システムをさらに備えている。
【0013】
本発明のある実施の形態において、このインライン混合システムは、インライン静止型混合装置を含む。
【0014】
本発明の別の態様において、インライン静止型混合システムは、流体連結した複数のインライン混合装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】均一に分散した飲料エマルジョンを製造するための本発明による装置を示す概略図
【図2】均一に分散した飲料エマルジョンを製造するための本発明による別の装置を示す概略図
【図3】均一に分散した飲料エマルジョンを製造するための本発明による別の装置を示す概略図
【図4】均一に分散した飲料エマルジョンを製造するための本発明による別の装置を示す概略図
【図5】均一に分散した飲料エマルジョンを製造するための本発明による別の装置を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のある態様により、水中油型エマルジョンを製造する方法を提供する。この方法は、油成分と水性成分を組み合わせてプリエマルジョンを形成し、プリエマルジョンを混合して油成分の液滴サイズを減少させ、次いで、混合後にプリエマルジョンを均質化して均一に分散したエマルジョンを形成する各工程を有してなる。
【0017】
本発明のある実施の形態において、本発明の方法は、油混合物と水性混合物を組み合わせて飲料プリエマルジョンを形成し、飲料プリエマルジョンをインライン混合して油の液滴サイズを減少させ、インライン混合後に飲料プリエマルジョンを均質化して均一に分散した飲料エマルジョンを形成する各工程を有してなる。油混合物は適切な油を含む。この適切な油は、一般に、ある液滴サイズを有する油である。
【0018】
本発明の別の態様において、油混合物は適切な飲料増量剤をさらに含んでも差し支えない。適切な飲料増量剤の例としては、以下に限られないが、エステルガム、イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)および他のスクロースエステル、臭素化植物油、ダンマル樹脂、ロジン(colophony)、エレミ樹脂、および当業者に公知の他の飲料増量剤、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0019】
ここに用いている「油」という用語は、水と実質的に不混和性であり、第2相を形成する液体を称する。適切な油の例としては、以下に限られないが、柑橘油、コーラ油(cola oil)、精油、ココナッツ油、テルペン、飲料の感応特性を与えるために用いられる水不混和性材料、並びに当該技術分野に公知の化学的水中油型エマルジョンに使用するための水不混和性有機溶媒などが挙げられる。
【0020】
本発明は、飲料中に柑橘油を含ませるのに特に適しており、その飲料は、炭酸であって非炭酸であってもよい。本発明は、炭酸飲料中にオレンジ柑橘油を含ませるのに特に有用であり、このとき、オレンジ柑橘油は、沈殿したり、「ボトルの周りの輪」を形成したりせずに、均一に分散されたままであり、均一な色と外観も達成される。
【0021】
「ボトルの周りの輪」という用語、および首輪などのその変形は、通常はボトルの首部で、飲料の頂部に浮遊して、輪の外観を形成する油の液滴の凝集塊を意味する。
【0022】
水性混合物は適切な飲料乳化剤を含む。そのような乳化剤は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、アラビアゴム、加工デンプン、ペクチン、キサンタンガム、長鎖脂肪酸のモノグリセリドとジグリセリド、スクロースモノエステル、ソルビタンエステル、ポリエトキシル化グリセロール、ステアリン酸、パルミチン酸、モノグリセリド、ジグリセリド、プロピレングリコールエステル、レシチン、ラクチル化モノグリセリドとジグリセリド、プロピレングリコールモノエステル、ポリグリセロールエステル、モノグリセリドとジグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、モノグリセリドのクエン酸エステル、ステアロイル−2−ラクチレート、ポリソルベート、スクシニル化モノグリセリド、アセチル化モノグリセリド、エトキシル化モノグリセリド、並びに当業者に公知の他の飲料乳化剤、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0023】
水性混合物は、適切な保存料、適切な着色料、および適切な酸味料をさらに含んでも差し支えない。それらの全てが当該技術分野においてよく知られている。
【0024】
適切な保存料の非限定的例としては、以下に限られないが、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、並びに当業者に公知の他の保存料、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0025】
適切な着色料の非限定的例としては、以下に限られないが、β−Apo−8’−カロテナール、カンタキサンチン、β−カロテン、Citrus Red No.2、FD&C(食品医薬品化粧品法)Red No.28、FD&C Yellow No.10、FD&C Blue No.1(ブリリアントブルー)、FD&C Blue No.2、FD&C Green No.3(ファストグリーン)、FD&C Red No.3、FD&C Red No.40(アルラレッド)、FD&C Yellow No.5(タルトラジン)、FD&C Yellow No.6(サンセットイエロー)、グルコン酸第1鉄、オレンジB、リボフラビン、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリングリーン、ウルトラマリンバイオレット、レッド、カラメル、並びに当業者に公知の他の着色料、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0026】
適切な酸味料の非限定的例としては、以下に限られないが、クエン酸、リン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アスコルビン酸、並びに当業者に公知の他の酸味料、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0027】
本発明において、インライン混合は、ときにはインライン・ミキサーまたはモーションレス・ミキサーとして当該技術分野に知られているスタティック・ミキサー、回転式インライン・ミキサー、高速インライン・ロータ・ステータ・ミキサー、および当業者に公知の他のミキサーなどのインライン・ミキサーにより実施できる。
【0028】
本発明のある実施の形態において、飲料プリエマルジョン中に存在する油の液滴サイズを減少させるために、スタティック・ミキサーが用いられる。予測可能な不変の最適な予備均質化液滴サイズ分布を生じるために、ホモジナイザの前にスタティック・ミキサーが配置されている。
【0029】
インライン混合は、飲料プリエマルジョン中に存在する油の液滴サイズを減少させるのに十分な混合エネルギーを与えるために、インライン・ミキサー中への飲料プリエマルジョンの流量を調節して、飲料プリエマルジョンを予備状態調節する工程を含む。
【0030】
ここに用いたインライン・ミキサーという用語は、強制的に流体媒質を混合し、エマルジョンを形成させることとなる高いエネルギー散逸率を生じさせる混合要素が内部に収容された導管を意味する。混合要素は、静止型、可動式、またはそれらの組合せのいずれであっても差し支えない。インライン・ミキサーは、様々なサイズと外形で提供され、ケミニア社(Chemineer Inc.)、サルツァー社(Sulzer Corp.)の関連会社であるサルツァー・ケムテック社(Sulzer Chemtech Ltd.)、チャールズ・ロス・アンド・サン社(Charles Ross & Son Co.)、シルバーソン・マシーンズ社(Silverson Machines Ltd.)、IKA(登録商標)ワークス社(Works Inc.)、オートコン・ミキシング・システムズ社(Autocon Mixing Systems Inc.)、および当該技術分野に知られている他の製造会社から市販されている。
【0031】
当業者には、インライン混合装置における混合要素の数は、様々であって差し支えなく、1つの混合要素または複数の混合要素を含んでよいことが認識されよう。さらに、多数の混合要素は、単独のインライン混合装置内に全て配置されていても、いくつかのインライン混合装置内に分配されていても差し支えない。
【0032】
予期せぬことに、第1の均質化通路の代わりにインライン・ミキサーを加えることによって、二回通過(double-pass)均質化プロセスを変更すると、そのプロセスが一回通過(single-pass)均質化プロセスに転換され、このプロセスは、そのように加工された飲料成分に有益かつ改善された性質を与える。さらに、一回通過均質化プロセスへの転換の結果として、水中油型飲料エマルジョンのバッチを製造するのに要する運転サイクル時間が著しく短縮される。一般に、均質化プロセスを通る一回通過を完了するには、約2.5時間かかる。それゆえ、均質化プロセスを通る一回通過を無くすことによって、運転サイクル時間が約2.5時間だけ短縮される。当業者には、運転サイクル時間は製品に依存し、したがって、運転サイクル時間の減少は、製品とバッチサイズによって決まることが認識されよう。この予期せぬ結果に加えて、得られた飲料エマルジョンの品質は著しく改善されており、得られた飲料エマルジョンの丈夫さも同様に実質的に増加した。
【0033】
ここに用いた液滴サイズという用語は、液−液系における油成分のサイズを称する。しかしながら、当業者には、液−液系における油成分のサイズを称するために、「粒径」などの他の用語を使用しても差し支えないことが理解されよう。
【0034】
ここに用いた「液滴サイズを有する」という語句は、各々が、その液滴サイズが大き過ぎて、インライン混合および/または均質などの液滴サイズ減少処理をせずには安定で均一に分散した水中油型エマルジョンを形成できない、様々な液滴サイズを有することを称する。当業者には、油は「液滴サイズ」は持たず、むしろ、油は平均液滴サイズおよび液滴サイズ分布に関して記載されることが認識されるであろう。
【0035】
本発明において、インライン混合前に飲料プリエマルジョン中に存在する油は、著しく異なる液滴サイズ分布を有する。ある場合には、液滴サイズ分布は、90%分布に相当し、約30マイクロメートルから約300マイクロメートルに及び得る。
【0036】
均質化前の液滴サイズであるインライン混合により達成される液滴サイズの減少は、2,500ガロン毎時(1890リットル毎時)の容量および5,000psi(約34.5MPa)の最大圧力を持つ二段APVホモジナイザに一回通して均一に分散した飲料エマルジョンを製造するのに十分である。一般に、均質化前の液滴サイズは、約1マイクロメートルから約12マイクロメートル、好ましくは約2マイクロメートルから約6マイクロメートルの平均値を有する。
【0037】
さらに、本発明において、最適な均質化前の液滴サイズ分布は、90%分布に相当し、約0.05マイクロメートルから約18マイクロメートル、好ましくは約0.10マイクロメートルから約8マイクロメートルである。
【0038】
当業者には、平均の均質化前の液滴サイズおよび最適な均質化前の液滴サイズ分布は、製品に固有のものであって差し支えないことが理解されよう。
【0039】
飲料プリエマルジョンに関し、ここに用いられる「予備状態調節する」という語句は、均質化効率を改善するために、飲料プリエマルジョン中の油の液滴サイズが実質的に減少させることを意味する。
【0040】
ここに用いた「均質化前の液滴サイズ」という語句は、インライン混合の後であり、均質化前の、飲料プリエマルジョン中に存在する油の液滴サイズを意味する。
【0041】
飲料プリエマルジョンに与えられる混合エネルギーの量は、いくつかの要因の関数である。理論により拘束することを意図するものではないが、一般に、インライン・ミキサー中で散逸される混合エネルギーは、インライン・ミキサーを通る際の圧力降下および体積流量に比例する。さらに、インライン・ミキサーの設計や構成および粘度、密度、界面張力などの飲料プリエマルジョンの性質などの他の要因が、所望の液滴サイズを達成するのに必要とする混合エネルギーの量に影響を与える。
【0042】
本発明において、均質化は、均一に分散した飲料エマルジョンを形成するために飲料プリエマルジョン中に存在する油の液滴サイズをさらに減少させる。その液滴サイズは、約0.2マイクロメートルから約0.8マイクロメートル、好ましくは約0.25マイクロメートルから約0.60マイクロメートルの平均値を有する。液滴サイズ分布は、90%分布に相当して、約0.05マイクロメートルから約1.1マイクロメートル、好ましくは約0.20マイクロメートルから約0.65マイクロメートルである。
【0043】
液滴サイズを減少させ、油を均一に分散させるのに利用できる均質化技法としては、以下に限られないが、高圧均質化、高剪断混合、音波処理、および当業者に公知の他の混合技法が挙げられる。
【0044】
本発明の別の態様により、油相を連続水性相中に分散させる方法を提供する。この方法は、油相と水性相を組み合わせてプリエマルジョンを形成する工程を有してなる。プリエマルジョンをインライン混合して、プリエマルジョン中に存在する油の液滴サイズを減少させて、プリエマルジョンを予備状態調節する。インライン混合から得られたプリエマルジョンを均質化して、プリエマルジョン中に存在する油の液滴サイズをさらに減少させ、均一に分散したエマルジョンを形成する。
【0045】
本発明のさらに別の実施の形態において、濃縮飲料を製造する方法を提供する。この方法は、水を保存料、乳化剤および着色料と混合して、通常は、約40℃から約70℃、好ましくは約50℃から約60℃の範囲にある高温で混合物を形成して、水性混合物を形成する工程を有してなる。水は、他の成分を加える前に、高温になっていることが好ましい。その後、必要に応じて、水性混合物を低温殺菌しても差し支えない。続いて、水性混合物を約10℃から約35℃、好ましくは約15℃から約25℃の温度まで冷却する。水性混合物を水でさらに希釈して、酸味料を加える希釈混合物を形成する。希釈混合物に、適切な飲料増量剤および油を含む増量油混合物と混合して、濃縮飲料を形成する。混合後、濃縮飲料を水で希釈し、インライン混合と均質化を行って、希釈された濃縮飲料中に存在する油の液滴サイズを減少させて、最終的な濃縮飲料を形成する。
【0046】
低温殺菌は、当該技術分野において公知の低温殺菌技術により行うことができる。一般に、低温殺菌は、濃縮飲料中の微生物類を実質的になくすために限られた時間に亘り適切な温度まで濃縮飲料の温度を上昇させることによって行われる。一般に、温度が高いほど、濃縮飲料がその温度に維持される時間が短くなる。逆に、温度が低いほど、濃縮飲料がその温度に維持される時間が長くなる。ここに用いた微生物類という用語は、濃縮飲料中に存在する望ましくない微生物および望ましくない酵素を称する。それゆえ、当業者には、濃縮飲料の全てが望ましくない微生物や望ましくない酵素を含んでいるわけではないので、濃縮飲料の全てが低温殺菌を必要とするわけではないことが理解されよう。
【0047】
ここで図面を参照する。図1から5は、本発明の実施の形態を示すために提供されたものであり、それを制限するのを目的としたものではない。図1は、安定な飲料エマルジョンを製造するための本発明による装置を示す概略図である。装置10が、安定な飲料エマルジョンを製造するために提供されている。油混合物の適切な供給源12から、適切な導管14を介して適切なタンク20に油混合物が供給される。水性混合物の適切な供給源16から、適切な導管18を介してタンク20に水性混合物が供給される。油混合物と水性混合物はタンク20内で混合されて、飲料プリエマルジョンが形成される。飲料プリエマルジョンの流れ22がインライン・ミキサー24中にポンプで送り込まれて、安定な飲料プリエマルジョンが形成される。安定な飲料プリエマルジョンの流れ26がホモジナイザ28中にポンプで送り込まれて、均一に分散した飲料エマルジョンが形成される。均一に分散した飲料エマルジョンの流れ30が、容器に補充すべきタンク32中にポンプで送り込まれる。
【0048】
図2は、均一に分散した飲料エマルジョンを製造するための本発明による別の装置を示す概略図である。装置100が、均一に分散した飲料エマルジョンを製造するために提供されている。油混合物の適切な供給源102が適切な導管104を介して、水性混合物の適切な供給源106と適切な導管108を介して、地点110で組み合わされ、飲料プリエマルジョンを形成している。飲料プリエマルジョンの流れ112はインライン・ミキサー24中にポンプで送り込まれて安定な飲料プリエマルジョンが形成される。図2における流れ112の下流のプロセスは、図1のインライン・ミキサー24で始まる図1の概略図について説明されたプロセスと同じである。
【0049】
図3は、均一に分散した飲料エマルジョンを製造するための本発明による別の装置を示す概略図である。装置200が、均一に分散した飲料エマルジョンを製造するために提供されている。油混合物の適切な供給源202から、適切な導管204を介して適切なタンク210に油混合物が供給される。水性混合物の適切な供給源206から、適切な導管208を介してタンク210に水性混合物が供給される。油混合物と水性混合物はタンク210内で混合されて、飲料プリエマルジョンが形成される。飲料プリエマルジョンの流れ212がインライン・ミキサー214中にポンプで送り込まれて、安定な飲料プリエマルジョンが形成される。安定な飲料プリエマルジョンの流れ216が第2のインライン・ミキサー28中にポンプで送り込まれて、均一に分散した飲料エマルジョンが形成される。均一に分散した飲料エマルジョンの流れ220が、容器に補充すべきタンク222中にポンプで送り込まれる。
【0050】
図4は、均一に分散した飲料エマルジョンを製造するための本発明による別の装置を示す概略図である。装置300が、均一に分散した飲料エマルジョンを製造するために提供されている。油混合物の適切な供給源302から、適切な導管304を介して適切なタンク310に油混合物が供給される。水性混合物の適切な供給源306から、適切な導管308を介してタンク310に水性混合物が供給される。油混合物と水性混合物はタンク310内で混合されて、飲料プリエマルジョンが形成される。飲料プリエマルジョンの流れ312がインライン・ミキサー314中にポンプで送り込まれて、均一に分散した飲料エマルジョンが形成される。均一に分散した飲料エマルジョンの流れ316が、容器に補充すべきタンク318中にポンプで送り込まれる。
【0051】
図5は、安定な飲料エマルジョンを製造するための本発明による装置を示す概略図である。装置400が、安定な飲料エマルジョンを製造するために提供されている。油混合物の適切な供給源402から、適切な導管404を介して流れ412に油混合物が供給される。水性混合物の適切な供給源406から、適切な導管408を介してタンク410に水性混合物が供給される。油混合物と水性混合物はインライン・ミキサー414内で混合されて、飲料プリエマルジョンが形成される。インライン・ミキサー414内で油混合物402の全てが水性混合物406と混合されるまで、飲料プリエマルジョンの流れ416は適切な導管418を介してタンク410に閉回路式に戻される。その後、飲料プリエマルジョンの流れ416が適切な導管420を介してホモジナイザ422中にポンプで送り込まれて、均一に分散した飲料エマルジョンが形成される。均一に分散した飲料エマルジョンの流れ424が、容器に補充すべきタンク426中にポンプで送り込まれる。
【0052】
本発明を、飲料エマルジョンの調製における使用について詳細に説明してきたが、このプロセスは、化学物質エマルジョンを含む他の水中油型エマルジョンを調製するためにも使用できることが理解されよう。そのような化学物質エマルジョンとしては、塗料、および顔料含有水中油型エマルジョン、インク、およびワニスが挙げられる。化学物質水中油型エマルジョンは、撥油性および/または撥水性および/または耐汚水性および耐汚染性を表面に与える組成物を含む。
【実施例】
【0053】
プリエマルジョンをホモジナイザ供給タンク内に保持し、撹拌機により混合して、二相が分離するのを防いだ。70分間の混合後、このタンク中の液滴の90%が27マイクロメートル未満のサイズであった。このプリエマルジョンを、0.87インチ(約22mm)の内径を持ち、6つの混合要素が取り付けられたChemineer−Kenics静止型ミキサーに通すように供給してエマルジョンを形成した。プリエマルジョンの流量は45ガロン毎分(GPM)(約170リットル毎分)であり、ミキサを横切る圧力降下は82psi(約565kPa)であった。静止型ミキサーから排出された液滴の90%は8.0マイクロメートル未満のサイズであった。次いで、このエマルジョンを前記ホモジナイザに直接供給した。ここで、液滴のサイズは、排出された液滴の90%が0.57マイクロメートル未満のサイズとなるようにさらに減少した。
【0054】
本発明を、特定の好ましい実施の形態に関して説明してきたが、本発明には、様々な変更、改変および配置換えが可能であり、そのような変更、改変および配置換えは、特許請求の範囲により包含されることが意図されているのが当業者には認識されよう。
【符号の説明】
【0055】
10,100,200,300,400 安定な飲料エマルジョンを製造するための装置
12,102,202,302,402 油混合物の供給源
14,18,104,108,204,208,304,308,404,408,41 導管
16,106,206,306,406 水性混合物の供給源
20,210,310,410 タンク
24,214,218,314,414 インライン・ミキサー
28,422 ホモジナイザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定な水中油型飲料エマルジョンを製造する方法であって、
液滴サイズを有する油を含む油混合物と、飲料乳化剤を含む水性混合物とを組み合わせて、飲料プリエマルジョンを形成し、
前記飲料プリエマルジョンをインライン混合して、前記油の液滴サイズを減少させる、
各工程を有してなる方法。
【請求項2】
前記プリエマルジョンを二回目のインライン混合して、均一に分散した飲料エマルジョンを形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
均一に分散した飲料エマルジョンを製造するための装置であって、
液滴サイズを有する油を含む油混合物の供給源、
飲料乳化剤を含む水性混合物の供給源、および
前記油の液滴サイズを減少させるように前記油混合物を前記水性混合物中に分散させて、均一に分散した飲料エマルジョンを形成するためのインライン混合システム、
を備えた装置。
【請求項4】
前記インライン混合システムがインライン混合装置を含むことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記インライン混合システムが流体連結した複数のインライン混合装置を含むことを特徴とする請求項3記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−273476(P2009−273476A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193974(P2009−193974)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【分割の表示】特願2006−241201(P2006−241201)の分割
【原出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(593203701)ペプシコ,インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】PepsiCo Inc.
【Fターム(参考)】