説明

飲料サーバー

【課題】 合成樹脂製の把手が強固にガラス容器に固定され、使用中にガラス容器が把手から離脱することがなく、また部品点数が少なく組立も容易な飲料サーバーを提供する。
【解決手段】 飲料サーバーは、ガラス容器1と、その隘部5の外周を包囲する合成樹脂製のバンド2と、このバンド2と一体の環状の把手3とを具備する。把手3は手指を挿入して握持可能である。把手3は、バンド2の両端の一対の半部7,8を結合してなる。半部7は、係合溝9を有し、その両側に一対の環状の外周壁10,11が起立する。半部8は、半部7の係合溝9に挿入できるように突出する係合突片12を有する。半部7の外周壁10,11の少なくとも一方と、半部8の係合突片12は、当該係合突片12を係合溝9内に挿入したときに、互いにスナップ係合する係合部11a,12aをそれぞれ有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、合成樹脂製の把手を備えたガラス容器から成る飲料サーバーに関し、特にマイクロ波加熱に適用できるように、把手に金属部品を用いることなく構成され、組み立てが容易で、安全性が高い飲料サーバーに係るものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の把手を備えたガラス容器から成る飲料サーバーで、把手に金属部品を用いることなく構成された従来例を図6に示す。この飲料サーバーは、ガラス容器21の開口24の下部に隘部25を設け、隘部25の外周を合成樹脂製のバンド22で包囲し、このバンド22と一体に把手23を設けたもので、バンド22は、両端部を相互に重合し、合成樹脂製のファスナ31にて結合したものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−70973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の飲料サーバーにおいては、バンド22の両端部を相互に重合し、合成樹脂製のファスナ31にて両者を結合したものであるため、何らかの原因でファスナ31が抜け落ちると、バンド22が開いてガラス容器21が落下する可能性がある。また、製品の組み立て作業において、ファスナ31を圧入する工程に手間がかかるし、結合の確認も容易でないという問題点がある。従って、本発明は、マイクロ波低損失のガラス容器と合成樹脂製の把手とから構成される飲料サーバーであって、把手が強固にガラス容器に固定され、使用中にガラス容器が把手から離脱することがなく、また部品点数が少なく組立も容易なものを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明においては、上記課題を解決するため、上部に開口4を有し、開口4の下部に隘部5を有する横断面円形のガラス容器1と、このガラス容器1の隘部5の外周を包囲する合成樹脂製のバンド2と、このバンド2と一体に設けられる環状の把手3とを具備させて飲料サーバーを構成する。把手3は、バンド2の両端に一体形成された一対の環状の半部7,8を互いに結合してなり、手指を挿入して握ることができる。把手3を構成する一方の半部7には、係合溝9を形成する。係合溝9は半部7の全域にわたって連続する環状溝とすることができる。係合溝9は、接合面7a側に開放する。係合溝9の両側には、一対の外周壁10,11を形成する。外周壁10,11も連続的に形成することができる。把手3を構成する他方の半部8には、一方の半部7の係合溝9に挿入できるように、接合面8aから突出する係合突片12を具備させる。係合突片12も半部8の全域にわたって連続的に設けることができる。一方の半部7の外周壁10,11の少なくとも一方と、他方の半部8の係合突片12には、当該係合突片12を係合溝9内に挿入したときに、互いにスナップ係合する係合部11a,12aをそれぞれ形成する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の飲料サーバーにおいては、バンド2の両端に一体に設けられた一対の半部7,8を相互にスナップ係合させることにより、把手3を強固にガラス容器1に固定するから、部品点数が少なく組み立て作業が容易である。使用中には、手指を環状の把手3に挿入してこれを握るので、万一、把手3の半部7,8同士の係合が外れても、ガラス容器1が把手3から離脱することがなく、安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の飲料サーバーの一部を切り欠いた平面図、図2は本発明の飲料サーバーの断面図、図3は図2におけるIII−III断面図、図4はバンドと把手の装着前の状態の平面図、図5はバンドと把手の装着前の状態の正面図である。
【0007】
飲料サーバーは、ガラス容器1と、合成樹脂製のバンド2と、バンド2と一体の把手3とを具備する。
【0008】
ガラス容器1は、ほぼ截頭円錐筒状で、上部に開口4を有する。ガラス容器1の上部は、隘部5を介して上方に広がっている。開口4の縁には、ほぼV字状に屈曲した溝型の注ぎ口6が形成されている。
【0009】
バンド2は、例えばポリプロピレンのような、耐熱性でマイクロ波低損失の弾性合成樹脂で形成され、ガラス容器1の隘部5の外周を包囲している。把手3はバンド2と一体に形成され、手指を挿入して握持可能な環状をなしている。
【0010】
把手3は、バンド2の両端に一体形成された一対の環状の半部7,8を互いに結合してなる。バンドで容器1の隘部5を包囲した状態で、半部7,8が互いに結合される。
【0011】
把手3を構成する環状の一方の半部7は、環の全域にわたって連続する係合溝9を具備する。この係合溝9は、一対の環状の外周壁10,11間に形成され、接合面7a側に開放する。外周壁11には、係合溝9の内側に突出する係合突条11aが形成される。
【0012】
把手3を構成する環状の他方の半部8は、環の全域にわたって連続する係合突片12を具備する。係合突片12は、一方の半部7の係合溝9に挿入できるように、一方の半部7に向かって接合面8aから突出する。係合突片12は、係合溝9の断面形状と相似の断面形状で、係合溝9内に挿入したときに係合突条11aに弾性的に嵌合する条溝12aを有する。係合突片12は、半部8の全域又はその一部に、不連続に複数形成してもよい。
【0013】
バンド2のほぼ中央部には、このバンド2に延長方向の弾性を付与するための矩形半波形状の波形部13が半径方向外側に突出して形成される。また、この波形部13の内側両縁には、一対の補強リブ14が形成される。補強リブ14は、半円筒状で、波形部13の中間部の肉厚をバンドの円周方向及び半径方向に厚くして、バンドの円周方向の弾性を調整し、またその塑性変形に伸びに半径方向内側に突出し、先端が容器1の隘部5の外周に当接することができる。バンド2の両端部付近には、一対の締め付けリブ15が形成される。締め付けリブ15は、半径方向内側に突出し、先端が容器1の隘部5の外周に当接する。バンド2の波形部13の円周方向の両側上部には、容器1の注ぎ口6の下面の両側に沿う一対の回り止め突片16が形成される。
【0014】
この実施例の飲料サーバーは、バンド2をガラス容器1の隘部5に巻き、把手の半部7,8を相互に強く突き合わせるだけで完成する。即ち、半部7,8を相互に強く突き合わせると、係合突片12が、係合溝9を弾性的に押し広げながら、その内側に押し込まれ、条溝12aが係合突条11aに弾性的に嵌合する。係合突片12と係合溝9は、半部7,8の環の全域にわたって係合するので、半部7,8同士の結合は強固である。接合面7a,8aの相互接合を確認することにより、容易に半部7,8同士の結合を確認できる。
【0015】
マイクロ波低損失のガラス容器1、合成樹脂製のバンド2と把手3だけで構成されるから、電子レンジでの加熱に適する。バンド2をガラス容器1に巻くとき、当接片14,リブ15の端面が隘部5の外周面に当接し、隘部5の外周の形状に対応して、適宜波形部13を変形させてわずかにバンド2をその延長方向に弾性変形させ、隘部5を確実に締め付ける。これでガラス容器の寸法のばらつきに対応できる。この飲料サーバーを持ち運ぶ際には、手指を環状の把手3内に挿入してこれを握るので、万一、把手3の半部7,8同士の係合が外れても、バンド2の環が開くことはないから、ガラス容器1が把手3から離脱することがなく、安全である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
この発明は、例えば、コーヒー、紅茶等を収容するための飲料サーバーとして利用される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の飲料サーバーの一部を切り欠いた平面図である。
【図2】本発明の飲料サーバーの断面図である。
【図3】図2におけるIII−III断面図である。
【図4】バンドと把手の装着前の状態の平面図である。
【図5】バンドと把手の装着前の状態の正面図である。
【図6】従来の飲料サーバーの正面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 ガラス容器
2 バンド
3 把手
4 開口
5 隘部
6 注ぎ口
7 把手の半部
7a 接合面
8 把手の半部
8a 接合面
9 係合溝
10 外周壁
11 外周壁
11a 係合突条
12 係合突片
12a 条溝
13 波形部
14 補強リブ
15 締め付けリブ
16 回り止め突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有し、開口の下部に隘部を有する横断面円形のガラス容器と、このガラス容器の隘部の外周を包囲する合成樹脂製のバンドと、このバンドと一体に設けられ手指を挿入して握持可能な環状の把手とを具備し、
前記把手は、前記バンドの両端に一体形成された一対の環状の半部を互いに結合してなり、
前記把手を構成する一方の半部は、係合溝と、この係合溝の両側に形成された一対の外周壁とを具備し、
前記把手を構成する他方の半部は、前記一方の半部の係合溝に挿入できるように突出する係合突片を具備し、
前記一方の半部の前記外周壁の少なくとも一方と、前記他方の半部の前記係合突片には、当該係合突片を前記係合溝内に挿入したときに互いにスナップ係合する係合部がそれぞれ形成されることを特徴とする飲料サーバー。
【請求項2】
前記把手を構成する一方の半部の係合溝と外周壁は、一方の半部のほぼ全域にわたって連続的に形成され、
前記把手を構成する他方の半部の係合突片は、他方の半部のほぼ全域にわたって連続的に突出し、
前記一方の半部の前記外周壁の少なくとも一方と、前記他方の半部の前記係合突片の係合部は、それぞれ前記外周壁及び係合突片のほぼ全域にわたって連続的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の飲料サーバー。
【請求項3】
前記バンドのほぼ中央部に、このバンドに延長方向の弾性を付与するための半波形状の波形部が半径方向外側に突出して形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料サーバー。
【請求項4】
前記バンドの両端部付近に、半径方向内側に突出して先端が前記容器の外周に当接する一対の締め付けリブが形成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の飲料サーバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−136439(P2006−136439A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327224(P2004−327224)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(599090637)ハリオグラス株式会社 (10)
【Fターム(参考)】