説明

飲料容器の嫌気開栓器

【課題】飲料容器を密封状態のままにして飲料容器内の飲料の導出を可能にする飲料容器の嫌気開栓器を提供すること。
【解決手段】ビール缶1の口部1bにおけるキャップ13にシール機構30Bを介して気水密に被着される被着部材40Bと、炭酸ガスカートリッジに接続される炭酸ガス供給路15Aと、ビール缶1内のビールを導出するビール導出路17Aとを並設するブロック体70と、ブロック体におけるビール缶と対向する端部に形成され、ビール缶に裂け目をつける刃部18Aと、被着部材に設けられ、刃部がビール缶の開栓面(キャップ)に突き当たる際に、キャップに密接して、炭酸ガス供給路及びビール導出路の気水密を維持するシール機構30Bと、を具備する。シール機構は、中心部に透孔を設け、周縁部にビール缶のキャップに密接するテーパ部を設ける、シールパッキンにて形成され、該シールパッキンの透孔の径を、ブロック体の直径より小径に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料容器の嫌気開栓器に関するもので、更に詳細には、例えばビール等の飲料容器を密封した状態のまま開栓する飲料容器の嫌気開栓器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば2リットルあるいは3リットル入りのビール容器(以下にビール缶という)内のビールを飲む場合、ビール缶の口部を閉塞する蓋部例えばキャップを取り外した後、加圧気体供給源例えば炭酸ガスカートリッジに接続する加圧気体(炭酸ガス)供給路と、弁体及びノズルと接続する飲料導出路とを具備する装着体を、ビール缶の開口部に装着するビールサーバが使用されている。このビールサーバによれば、上記装着体をビール缶の開口部に装着した状態で、炭酸ガスカートリッジから加圧気体例えば炭酸ガスをビール缶内に供給すると共に、レバーによって弁体を操作して所定量のビールをグラスやジョッキに注ぐことができ、ビール容器を設置したままビール容器内のビールを注出することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のビールサーバにおいては、ビール缶の口部からキャップを取り外して、加圧気体(炭酸ガス)供給路と飲料導出路を具備する装着体をビール缶の口部に装着するため、装着体の装着時にビール缶内に空気が侵入してしまう。ビール缶内のビールを飲みきってしまう場合は問題はないが、ビール缶内にビールを残しておき、時間をおいて再度飲むような場合には、ビール缶内に侵入した空気中の酸素によってビールが酸化して旨味が低下するという問題があった。この問題は、ビール以外の飲料においても同様の問題である。
【0004】
この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、飲料容器を密封状態のままにして飲料容器内の飲料の導出を可能にする飲料容器の嫌気開栓器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、飲料容器を密封状態のままにして飲料容器内の飲料の導出を可能にする飲料容器の嫌気開栓器であって、 上記飲料容器の一部に被着される被着手段と、 加圧気体供給源に接続されて上記飲料容器内に加圧気体を供給する加圧気体供給手段と、 上記飲料容器内の飲料を導出する飲料導出手段と、 上記被着手段に設けられ、上記加圧気体供給手段の供給路と飲料導出手段の導出路とを並設するブロック体と、 上記ブロック体における上記飲料容器と対向する端部に形成され、飲料容器に裂け目をつける刃部と、 上記被着手段に設けられ、上記刃部が上記飲料容器の開栓面に突き当たる際に、該開栓面に密接して、上記加圧気体供給手段及び飲料導出手段の気水密を維持するシール機構と、を具備し、 上記シール機構は、中心部に透孔を設け、周縁部に上記飲料容器の開栓面に密接するテーパ部を設ける、シールパッキンにて形成され、かつ、該シールパッキンの透孔の径を、上記ブロック体の直径より小径に形成してなり、 上記シールパッキンが上記飲料容器の開栓面に密接した状態で、上記ブロック体がシールパッキンの透孔を押し広げて貫通して上記テーパ部を開栓面に密接した状態で、上記刃部により上記飲料容器の一部を切り裂いて飲料容器内に上記加圧気体供給手段及び飲料導出手段を突入可能に形成してなることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の飲料容器の嫌気開栓器において、上記ブロック体と上記シールパッキンとの間に、ブロック体に形成される刃部がシールパッキンに接触しない方向に弾性力を付勢するスプリングを介在してなることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の飲料容器の嫌気開栓器において、上記被着手段を下端部に位置させた状態で飲料容器を倒立保持する保持手段を更に具備することを特徴とする。
【0008】
上記のように構成することにより、飲料容器の一部又は口部に被着手段を気水密に被着した状態で、加圧気体供給手段及び飲料導出手段を、被着手段に対して気水密性を維持しつつ移動し、飲料容器の一部又は蓋部を切り裂いて飲料容器内に突入させることができる。したがって、飲料容器内に空気が侵入するのを阻止(嫌気)して飲料容器内の飲料を導出することができ、飲料容器内の飲料を分けて飲むことができる(請求項1,2)。
【0009】
加えて、被着手段を下端部に位置させた状態で飲料容器を倒立保持する保持手段を更に具備することにより、被着手段を被着した飲料容器を倒立状態に保持することができるので、飲料容器内の飲料の全てを導出することができる(請求項3)。
【発明の効果】
【0010】
以上に説明したように、この発明の嫌気開栓器は、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0011】
(1)請求項1,2記載の発明によれば、飲料容器の一部又は口部に被着手段を気水密に被着した状態で、加圧気体供給手段及び飲料導出手段を、被着手段に対して気水密性を維持しつつ移動し、飲料容器の一部又は蓋部を切り裂いて飲料容器内に突入させることができるので、飲料容器内に空気が侵入するのを阻止(嫌気)して飲料容器内の飲料を導出することができる。したがって、飲料容器内に飲料が残った場合にも嫌気状態を維持することができるので、飲料容器内の飲料の味を低下させずに飲料を分けて飲むことができる。
【0012】
(2)請求項3記載の発明によれば、被着手段を下端部に位置させた状態で飲料容器を倒立保持する保持手段を更に具備するので、被着手段を被着した飲料容器を倒立状態に保持することができ、飲料容器内の飲料の全てを導出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、この発明の実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、飲料容器がビール容器である場合で、この発明の嫌気開栓器をビールサーバに適用した場合について説明する。
【0014】
◎参考実施形態
図1は、この発明に係る嫌気開栓器の参考実施形態を適用したビールサーバの使用状態を示す断面図、図2は、ビールサーバの要部を示す平面図、図3は、嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図、図4は、嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【0015】
上記ビールサーバは、保冷対象物であるビールBを収容する例えば2〜3リットル入りのアルミニウム製のビール容器1(以下にビール缶1という)を収容する断熱性を有するビールサーバ本体を構成する容器2と、ビール缶1内に加圧気体例えば圧縮ガスを供給する加圧気体供給源である炭酸ガスカートリッジ3と、ビール缶1内のビールBを注出する泡出し機構を内蔵するタップ4と、容器2の側壁に組み込まれるペルチェ素子5,放熱器6,ファン7及びコントローラ8からなる冷却手段9と、この発明の嫌気開栓器20と、ビール缶1を倒立状態に保持する保持手段10とで主要部が構成されている。なお、容器2の開口部2aには、蓋12が着脱可能に閉塞されている。この蓋12の内側下面には、ビール缶1の底面に形成された凹部1aに係合する保持用凸部12aが設けられている(図1参照)。また、容器2におけるタップ4の下方側にはジョッキJを載置する受け皿11が設けられている(図1参照)。
【0016】
上記容器2と蓋12は、例えば、一対のアルミニウム製化粧板間に発泡ポリウレタン等の断熱材を介在した断熱構造になっている。また、容器2は、ビール缶1を収容する第1の収容室2bと、炭酸ガスカートリッジ3を収容する第2の収容室2cを具備している。なお、第2の収容室2cの外方側には、予備の炭酸ガスカートリッジ3Aが取付可能になっており、図示しない切換弁によって炭酸ガスカートリッジ3と予備の炭酸ガスカートリッジ3Aとが使い分けできるようになっている。
【0017】
上記嫌気開栓器20は、図3及び図4に示すように、ビール缶1の一部、例えば蓋部13(以下にキャップ13という)が密封されたビール缶1の口部1bにシール機構30を介して気水密に被着される被着手段である被着部材40と、炭酸ガスカートリッジ3又は3A(加圧気体供給源)に炭酸ガス供給チューブ14を介して接続される加圧気体供給手段である炭酸ガス供給管15と、ビール導出チューブ16を介してタップ4に接続されるビール缶1内のビールBを導出する飲料導出手段であるビール導出管17とを具備してなる。また、加圧気体供給手段すなわち炭酸ガス供給管15及び飲料導出手段すなわちビール導出管17は、口部1bに対して気水密性を維持しつつ進退移動可能に形成されると共に、キャップ13を切り裂いてビール缶1内に突入可能に形成されている。
【0018】
上記被着部材40は、ビール缶1の口部1bの外方を包囲する下部円筒体41と、この下部円筒体41の外周上部に刻設された雄ねじ部42に螺合する雌ねじ部43を有する上下移動可能な上部円筒体44と、上部円筒体44の上部に設けられた内向きフランジ44aに回転可能に嵌合されると共に、炭酸ガス供給管15及びビール導出管17を貫通保持する断面略逆U字状の覆い部材45と、この覆い部材45の下端部と下部円筒体41の下部内周側部に両端が嵌合固定されると共に、ビール缶1の口部1bの下方に形成された首部1c及びキャップ13の下端部に係合可能な可撓性を有する例えば合成ゴム製の略円筒状の係合シール部材31とを具備してなる。また、覆い部材45の水平部の下面に周設された周溝46には、キャップ13の上面に密接可能な例えば合成ゴム製のOリング32が嵌着されている。上記係合シール部材31とOリング32とでシール機構30が構成されている。また、下部円筒体41と上部円筒体44の外周面には、それぞれ外方に向かって突出する少なくとも2以上の下部ハンドル部47a、上部ハンドル部47bが設けられている。
【0019】
なお、上記下部円筒体41、上部円筒体44及び覆い部材45は、それぞれ合成樹脂製部材にて形成されている。
【0020】
上記炭酸ガス供給管15とビール導出管17は、例えばステンレス管にて形成され、それぞれ覆い部材45の頂部45aに貫通された取付孔48a,48b内に嵌挿されて覆い部材45の下方に突出しており、取付孔48a,48bの上部に連なるねじ孔49a,49bにパッキン50を介してねじ結合される継手51a,51bを介して炭酸ガス供給チューブ14、ビール導出チューブ16が接続されている。この場合、ねじ孔49a,49bの下端にはテーパ部(図示せず)が設けられており、略円形断面を有するパッキン50は継手51a,51bがねじ孔49a,49bにねじ込まれることにより、テーパ部及び継手51a,51bの下面に押圧されると共に、変形されて炭酸ガス供給管15又はビール導出管17に密接することで、両管15,17の抜けを防止している。
【0021】
また、炭酸ガス供給管15とビール導出管17の下端すなわちキャップ13と対向する端部には、それぞれ管軸線に対して鋭角に切断された尖鋭刃部18が形成されている。これら尖鋭刃部18は、上記上部円筒体44及び覆い部材45の下降に伴ってキャップ13の一部に裂け目をつけると共に、キャップ13を切り落とさずに切り裂いて炭酸ガス供給管15とビール導出管17をビール缶1内に突入させるようになっている。
【0022】
なお、炭酸ガス供給管15内には、ビール缶1を逆さにした場合に、ビール缶1内のビールBが炭酸ガスカートリッジ3又は3A側に逆流するのを防止するための逆止弁19が介設されている(図3及び図4参照)。
【0023】
上記保持手段10は、図1及び図2に示すように、ビール缶1の第1の収納室2aの底部に例えばねじ(図示せず)によって固定される取付座10aの対向する2辺から起立する一対の断面円弧状の保持板10bとで構成されており、両保持板10bによってビール缶1の肩部が保持されるようになっている。この場合、保持板10bの頂部には、異なる大きさ例えば3リットルあるいは2リットル入りのビール缶1をそれぞれ保持し得るように段部10cが設けられている。
【0024】
上記のように構成される嫌気開栓器20をビール缶1の口部1bに取り付けるには、まず、図3に示すように、ビール缶1の口部1bに下部円筒体41と覆い部材45を覆うようにして被着する。次に、下部円筒体41の下部ハンドル部47aを手で押さえながら上部ハンドル部47bをもって上部円筒体44を回転して上部円筒体44を下降させると、この上部円筒体44の下降に伴って覆い部材45が回転しない状態で下降し、この覆い部材45の下降に伴って係合シール部材31が内方側に屈曲して口部1bに密封されたキャップ13の下端部に係合(密接)して口部1bを気水密にシールする。更に、覆い部材45が下降し続けると、炭酸ガス供給管15とビール導出管17は気水密性を維持しつつ下降し、尖鋭刃部18がキャップ13に突き当たってキャップ13の一部に裂け目をつけると共に、キャップ13を切り落とさずに切り裂いて炭酸ガス供給管15とビール導出管17がビール缶1内に突入する。この状態においてOリング32がキャップ13の上面に密接するので、ビール缶1内のビールBが外部に漏れるのを阻止することができる。また、万一、Oリング32を通って外部側にビールBが流れたとしても、係合シール部材31によって外部への漏れを阻止することができる。
【0025】
上記のようにして、ビール缶1の口部1bに嫌気開栓器20を装着した後、ビール缶1を天地逆にし、ビール缶1の肩部を保持手段10の保持板10bにて支持し、容器2の開口部2aに蓋12を閉塞して、蓋12に設けられた保持用凸部12aをビール缶1の底部下面の凹部1aに係合させてビール缶1を倒立状態に保持することができる(図1参照)。この状態で、炭酸ガスカートリッジ3(3A)の開閉弁(図示せず)を開放し、また、受け皿11上にジョッキJを載置あるいはジョッキJを手で持った状態で、タップ4を操作してジョッキJ内にビールBを注出することができる。
【0026】
また、ビール缶1内にビールBが残った状態で、次にビールBを飲むときまで保管する場合は、炭酸ガスカートリッジ3(3A)の開閉弁(図示せず)を閉止しておく。この保管状態においても、ビール缶1の口部1bに被着部材40が気水密に被着されているので、ビール缶1内に空気が侵入することがなく、嫌気状態を保持することができる。したがって、ビールBの味を低下させずに保管することができる。
【0027】
◎第1実施形態
図5は、この発明の嫌気開栓器の第1実施形態の使用状態を示す断面図、図6は、第1実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図、図7は、図6の要部拡大断面図、図8は、第1実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【0028】
第1実施形態は、嫌気開栓器20Bをビール缶1全体に係合させてビール缶1の口部1bを密封するキャップ13を密封状態のままにして嫌気開栓可能にし、また、加圧気体供給手段である炭酸ガス供給路15Aと飲料導出手段であるビール導出路17Aを一体に形成した場合である。
【0029】
第1実施形態の嫌気開栓器20Bは、ビール缶1の底部を保持する保持体60と、この保持体60に対して移動可能に装着される被着部材40B(被着手段)と、この被着部材40Bに組み込まれてビール缶1の口部1bを密封するキャップ13をシールするシール機構30Bと、炭酸ガス供給手段15Aとビール導出手段17Aとを一体に形成するブロック体70とを具備している。
【0030】
この場合、上記保持体60は、図6〜図9に示すように、ビール缶1を載置する載置部61と、この載置部61の上面の両側に対峙して起立する断面円弧状の起立部62とを具備し、載置部61にはサイズの異なる例えば3リットル、あるいは2リットル入りのようなビール缶1に合わせた位置決め用段部61aが形成され、また、起立部62の外側面には雄ねじ部63が設けられている。
【0031】
上記被着部材40Bは、図6〜図9に示すように、断面略ハット状の下部部材64と、この下部部材64の頭部64aの上面にねじ65をもって固定される上部板部材66と、下部部材64と上部板部材66との間に配設されて、上記保持体60の起立部62に設けられた雄ねじ部63と螺合する雌ねじ部67を有する操作用ナット68とを具備している。この場合、下部部材64のフランジ64bには、上記両起立部62を遊嵌する円弧状の切欠き64cが設けられている。また、上部板部材66の対向する両側にも、起立部62を遊嵌する円弧状の切欠き66aが設けられている。したがって、操作用ナット68を起立部62に螺合させた状態で、下部部材64と上部板部材66とをねじ65をもって固定することにより、操作用ナット68の正逆回転に伴って下部部材64,上部板部材66及び操作用ナット68が一体となって保持体60の起立部62に沿って移動することができる。
【0032】
一方、上記ブロック体70は、上記下部部材64の頭部64aの内方空間64dの内周面に接触するフランジ部70aと、下端面に尖鋭刃部18Aを有するブロック基部70bとで構成されており、ブロック基部70bに、炭酸ガス供給手段である炭酸ガス供給路15Aと、ビール導出手段であるビール導出路17Aが互いに平行に貫通して設けられ、これら炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aの上端開口部に連通する下部部材64の連通孔64e及び上部板部材66の連通孔66bにそれぞれ継手51a,51bを介して炭酸ガス供給チューブ14とビール導出チューブ16が接続されている。なお、炭酸ガス供給路15Aには、上記参考実施形態と同様に、ビール缶1内のビールBが炭酸ガスカートリッジ3又は3A側に逆流するのを防止するための逆止弁19が介設されている(図7参照)。
【0033】
また、上記シール機構30Bは、上記被着部材40Bの下部部材64の内方空間64dの下部開口側に配設される合成ゴム製のドーナツ円板状のシールパッキンにて形成されている。このシール機構すなわちドーナツ円板状のシールパッキン30Bは、ブロック体70のフランジ部70aと、このシールパッキン30Bの上面に配設されるスプリング受け座33との間に圧縮スプリング54Aを介して常時ブロック体70の尖鋭刃部18Aがシールパッキン30Bに接触しない位置におかれている。また、シールパッキン30Bは、キャップ13より大きめに形成され、その周縁部に下方に向かって隆起するテーパ部34が設けられており、また、中心部にはブロック体70の直径(DM)より小径(DS)の透孔35が設けられている。なお、スプリング受け座33の中心部にはブロック体70の直径(DM)より大径(DL)の透孔33aが設けられている(図10(a)参照)。このように、シールパッキン30Bの周縁部に下方に向かって隆起するテーパ部34を形成することにより、操作用ナット68の回転によってシールパッキン30Bがキャップ13に押圧された際にテーパ部34がキャップ13の外周縁部に密接してシール性の向上を図ることができる。また、シールパッキン30Bの中心部に設けた透孔35を、ブロック体70の直径(DM)より小径(DS)にすることにより、ブロック体70が透孔35を押し広げるようにして貫通するので、ブロック体70とシールパッキン30Bとのシール性の向上を図ることができる。
【0034】
なお、第1実施形態において、容器2の第1の収容室2bの底部に、上記保持体60の両起立部62を嵌合する保持溝10B(保持手段)を設ける以外は、上記参考実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0035】
第1実施形態の嫌気開栓器20Bを用いてビール缶1を嫌気開栓するには、まず、保持体60の載置部61上にビール缶1を載置する。次に、被着部材40Bの操作用ナット68を時計方向に回転すると、最初にシールパッキン30Bがキャップ13の上面に当接する。更に、操作用ナット68を回転すると、圧縮スプリング54Aの弾発力に抗して被着部材40Bと共にブロック体70が下降し、尖鋭刃部18Aがスプリング受け座33の透孔33aを通ってシールパッキン30Bの透孔35通り、キャップ13に突き当たってキャップ13の一部に裂け目をつけると共に、キャップ13を切り落とさずに切り裂いてビール缶1内に突入する。これにより、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aがビール缶1内と連通する。この際、ブロック体70によってシールパッキン30Bの透孔35が押し広げられてブロック体70の外周面に密接すると共に(図10(b)参照)、テーパ部34がキャップ13の外周縁に密接するので、ビール缶1内に空気が侵入したり、ビール缶1内のビールBが外部に漏れることはない。
【0036】
上記のようにして、ビール缶1の口部1bに嫌気開栓器20Bを装着した後、保持体60を天地逆にし、容器2に設けられた保持溝10Bに保持体の起立部62を嵌合することにより、ビール缶1を倒立状態に保持して使用に供することができる(図5参照)。また、ビール缶1内にビールBが残った場合には、嫌気状態を維持して保管することができる。
【0037】
◎第2実施形態
図11は、この発明の嫌気開栓器の第2実施形態の開栓前の状態を示す断面図、図12は、第2実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図、図13は、図11のI−I線に沿う断面図である。
【0038】
第2実施形態は、上記第1実施形態における保持体60の起立部62の対向側面に雌ねじ部69aを設け、被着部材40Bの操作用ナット68Aに雌ねじ部69aと螺合する雄ねじ部69bを設けて被着部材40C(被着手段)を構成するようにした場合である。この場合、図15に示すように、操作用ナット68Aの外周面に適宜間隔をおいて凹溝68aを形成することにより、操作用ナット68Aの回転を容易に行うことができる。
【0039】
なお、第2実施形態において、その他の部分は、上記参考実施形態、第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0040】
第2実施形態の嫌気開栓器20Cを用いてビール缶1を嫌気開栓するには、第1実施形態と同様に、まず、保持体60の載置部61上にビール缶1を載置する。次に、被着部材40Cの操作用ナット68Aを時計方向に回転すると、最初にシールパッキン30Bがキャップ13の上面に当接し、更に、操作用ナット68を回転すると、圧縮スプリング54Aの弾発力に抗して被着部材40Cと共にブロック体70が下降し、尖鋭刃部18Aがスプリング受け座33の透孔33aを通ってシールパッキン30の透孔35通り、キャップ13に突き当たってキャップ13の一部に裂け目をつけると共に、キャップ13を切り落とさずに切り裂いてビール缶1内に突入する。これにより、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aがビール缶1内と連通する。この際、ブロック体70によってシールパッキン30Bの透孔35が押し広げられてブロック体70の外周面に密接すると共に(図10(b)参照)、テーパ部34がキャップ13の外周縁に密接するので、ビール缶1内に空気が侵入したり、ビール缶1内のビールBが外部に漏れることはない。
【0041】
上記のようにして、ビール缶1の口部1bに嫌気開栓器20Cを装着した後、第1実施形態と同様に、保持体60を天地逆にし、容器2に設けられた保持溝10C(図5参照)に保持体の起立部62を嵌合することにより、ビール缶1を倒立状態に保持して使用に供することができる。また、ビール缶1内にビールBが残った場合には、嫌気状態を維持して保管することができる。
【0042】
◎第3実施形態
図14は、この発明の嫌気開栓器の第3実施形態の開栓前の状態を示す断面図、図15は、第3実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【0043】
第3実施形態は、例えば1リットル入り、あるいは、500ミリリットル入りの小型のビール缶1Aの嫌気開栓を行えるようにした場合である。
【0044】
第3実施形態の嫌気開栓器20Dは、上記第1実施形態と同様に、ビール缶1Aの底部と対向する両側部を保持する保持体60と、この保持体60に対して移動可能に装着される被着部材40D(被着手段)と、この被着部材40Dに組み込まれてビール缶1Aの口部1bを密封するキャップに相当する引起し蓋13A{具体的には、引起し蓋13Aを含む蓋部}をシールするシール機構30Dと、炭酸ガス供給手段15Aとビール導出手段17Aとを一体に形成するブロック体70とを具備している。
【0045】
この場合、上記被着部材40Dは、上記第1実施形態と同様に、断面略ハット状の下部部材64と、この下部部材64の頭部64aの上面にねじ65をもって固定される上部板部材66と、下部部材64と上部板部材66との間に配設されて、上記保持体60の起立部62に設けられた雄ねじ部63と螺合する雌ねじ部67を有する操作用ナット68とを具備している(図13,図14参照)。そして、操作用ナット68を起立部62に螺合させた状態で、下部部材64と上部板部材66とをねじ65をもって固定することにより、操作用ナット68の正逆回転に伴って下部部材64,上部板部材66及び操作用ナット68が一体となって保持体60の起立部62に沿って移動するように構成されている。
【0046】
第3実施形態において、上記第1実施形態と異なる点は、ブロック体70のブロック基部70bがビール缶1Aの引起し蓋13Aから外れた位置に設けられる点と、スプリング受け座33A及びシールパッキン30Dがビール缶1A(具体的には、1リットルあるいは500ミリリットル入り等のビール缶)の直径より大きく形成されると共に、透孔33a,35が引起し蓋13Aから外れた位置(偏倚位置)に設けられる点である。なお、シールパッキン30Dは、第1実施形態と同様に、外周縁部下面にテーパ部34を具備している。
【0047】
第3実施形態において、その他の部分は上記第1、第2実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。なお、第3実施形態において、操作用ナット68に代えて、第2実施形態と同様に、外周面に雄ねじ部を設けた操作用ナット68Aを用いることも可能である。
【0048】
◎第4実施形態
図16は、この発明の嫌気開栓器の第4実施形態の使用状態を示す断面図、図17は、第4実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図、図18は、第4実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【0049】
第4実施形態は、嫌気開栓器20Eをワンタッチ式にビール缶1に係合させてビール缶1の口部1bを密封するキャップ13を密封状態のままにして嫌気開栓可能にし、また、炭酸ガス供給路15A(加圧気体供給手段)とビール導出路17A(飲料導出手段)を一体に形成した場合である。
【0050】
第4実施形態の嫌気開栓器20Eは、ビール缶1の口部1b及びキャップ13を包囲する被着部材40E(被着手段)と、この被着部材40Eに組み込まれてビール缶1の口部1bを密封するキャップ13をシールするシールパッキン30E(シール機構)と、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aとを一体に形成するブロック体70とを具備している。
【0051】
上記被着部材40Eは、ビール缶1の口部1b及びキャップ13を包囲する筒状脚部80と、この筒状脚部80の上端部に下向き段部81を介して膨隆する膨隆頭部82とを有する被着本体83と、この被着本体83の筒状脚部80の外周を摺動可能に包囲する下筒部84と、この下筒部84の上端に上向き段部85を介して延在する上筒部86とを有する筒体87と、被着本体83の下向き段部81と、筒体87の上向き段部85との間に縮設されて上記被着本体83と筒体87とを離反する方向に弾性力を付勢するスプリング88とを具備している。また、被着本体83の筒状脚部80の下部側周方向には、適宜間隔をおいて外方に向かって拡開するボール保持孔89が設けられており、各ボール保持孔89内に鋼製のボール90が筒状脚部80の内方に突出し得るように配設されている。また、筒体87の下筒部84の下端部内周面には、上記ボール90の待機用凹部91が設けられている。なお、凹部91の上端と下筒部84の内周面との間にはテーパ部92が設けられている。
【0052】
また、上記被着部材40Eの被着本体83の筒状脚部80と膨隆頭部82とで形成される内方空間93内には、上記第1〜第3実施形態と同様に、下端に尖鋭刃部18Aを有すると共に、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aを有するブロック体70が配設され、このブロック体70のフランジ部70aと、上記第1〜第3実施形態と同様に形成されるシールパッキン30Eの上面に配設されるスプリング受け座33との間に圧縮スプリング54Aが縮設されている。また、被着本体83の膨隆頭部82には、ブロック体70に設けられた炭酸ガス供給路15Aに連通して一側面に開口する第1の通路83aと、ブロック体70に設けられたビール導出路17Aに連通して他側面に開口する第2の通路83bが設けられている。これら第1及び第2の通路83a,83bの開口部にはそれぞれ図示しない継手を介して炭酸ガス供給チューブ(図示せず)とビール導出チューブ(図示せず)が接続されている。
【0053】
なお、第4実施形態において、その他の部分は、上記参考実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0054】
第4実施形態の嫌気開栓器20Eを用いてビール缶1を嫌気開栓するには、まず、図17に示すように、スプリング88の弾発力に抗して筒体87を被着本体83の膨隆頭部82側に引き上げて、ボール90を凹部91内に待機可能にしておく。次に、この状態のまま被着本体83と筒体87を持ってビール缶1の口部1b及びキャップ13に筒状脚部80を被着してキャップ13の上面にシールパッキン30Eを当接する。次に、被着本体83を押し下げると、ブロック体70が下降し、尖鋭刃部18Aがスプリング受け座33の透孔33aを通ってシールパッキン30Eの透孔35通り、キャップ13に突き当たってキャップ13の一部に裂け目をつけると共に、キャップ13を切り落とさずに切り裂いてビール缶1内に突入し、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aがビール缶1内と連通する。これと同時に、筒体87の下筒部84によってボール90がボール保持孔89内に押し込まれて筒状脚部80の内方側に突出し、口部1bのキャップ13下端部とビール缶1の首部1cに係合し、スプリング88の弾発力によって固定される(図18参照)。また、この際、ブロック体70によってシールパッキン30Eの透孔35が押し広げられてブロック体70の外周面に密接すると共に、テーパ部92がキャップ13の外周縁に密接するので、ビール缶1内に空気が侵入したり、ビール缶1内のビールBが外部に漏れることはない。
【0055】
上記のようにして、ビール缶1の口部1bに嫌気開栓器20Eを装着した後、参考実施形態と同様に、ビール缶1を天地逆にし、保持手段10をもってビール缶1を倒立状態に保持して使用に供することができる。また、ビール缶1内にビールBが残った場合には、嫌気状態を維持して保管することができる。
【0056】
◎第5実施形態
図19は、この発明の嫌気開栓器の第5実施形態の開栓前の状態を示す断面図、図20は、第5実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【0057】
第5実施形態は、上記第4実施形態の被着部材40Eの被着本体83の膨隆頭部82に垂直方向の貫通孔94を設け、この貫通孔94内に上記ブロック体70を摺動可能に嵌挿し、このブロック体70を上記被着本体83に取り付けられた操作レバー100のカム101によって移動すなわち開栓させるようにした場合である。
【0058】
この場合、図21に示すように、被着本体83の膨隆頭部82の対向する辺部に起立する一対のブラケット82aに枢支ピン102をもって操作レバー100が垂直方向に回転可能に装着され、この操作レバー100の自由端に設けられたカム101がブロック体70の上面に係合し得るように構成されている。また、ブロック体70のフランジ部70aと、上記第1〜第4実施形態と同様に形成されるシールパッキン30Fの上面に配設されたスプリング受け座33との間には圧縮スプリング54Aが縮設されて、この圧縮スプリング54Aの弾発力の付勢によって常時ブロック体70とカム101とが接触されている。また、筒体87の上筒部86の一側壁には、開栓時に水平方向に倒れる操作レバー100を案内する案内溝103が設けられている。なお、開栓状態において、ブロック体70が上方へ移動してキャップ13から抜け出る恐れがあるので、案内溝103の一側面にストッパ溝104を設け、操作レバー100を水平方向に倒した状態で、上筒部86を水平方向に回転して操作レバー100をストッパ溝104に係合させるようにする方がよい(図20参照)。なお、上筒部86を回転させずに、例えば操作レバー100の基端部を折曲可能に形成し、折曲部を上記案内溝103の一側に連なるストッパ溝104に係合させるようにしてもよい。
【0059】
第5実施形態の嫌気開栓器20Fを用いてビール缶1を嫌気開栓するには、第4実施形態と同様に、まず、図19に示すように、スプリング88の弾発力に抗して筒体87を被着本体83の膨隆頭部82側に引き上げて、ボール90を凹部91内に待機可能にしておく。次に、この状態のまま被着本体83と筒体87を持ってビール缶1の口部1b及びキャップ13に筒状脚部80を被着してキャップ13の上面にシールパッキン30Fを当接する。更に筒体87を押し下げると、筒体87の下筒部84によってボール90がボール保持孔89内に押し込まれて筒状脚部80の内方側に突出し、口部1bのキャップ13下端部とビール缶1の首部1cに係合し、スプリング88の弾発力によって固定される(図20参照)。
【0060】
次に、操作レバー100を時計方向に回転すると、カム101によってブロック体70が圧縮スプリング54Aの弾発力に抗して下降し、尖鋭刃部18Aがスプリング受け座33の透孔33aを通ってシールパッキン30Fの透孔35通り、キャップ13に突き当たってキャップ13の一部に裂け目をつけると共に、キャップ13を切り落とさずに切り裂いてビール缶1内に突入し、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aがビール缶1内と連通する。また、この際、ブロック体70によってシールパッキン30Fの透孔35が押し広げられてブロック体70の外周面に密接すると共に、テーパ部92がキャップ13の外周縁に密接するので、ビール缶1内に空気が侵入したり、ビール缶1内のビールBが外部に漏れることはない。また、操作レバー100は、上述したように、案内溝103に連なるストッパ溝104に係合して、ブロック体70がキャップ13から抜け出るのを防止する。
【0061】
上記のようにして、ビール缶1の口部1bに嫌気開栓器20Fを装着した後、参考実施形態、第4実施形態と同様に、保持体60を天地逆にし、保持手段10をもってビール缶1を倒立状態に保持して使用に供することができる。また、ビール缶1内にビールBが残った場合には、嫌気状態を維持して保管することができる。
【0062】
◎第6実施形態
図22は、この発明の嫌気開栓器の第6実施形態の使用状態を示す断面図、図23は、第6実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図、図24は、第6実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【0063】
第6実施形態は、ビール缶1の口部1bを密封するキャップ13を密封状態のまま開栓(嫌気開栓)すると共に、ビール缶1の口部1bに被着部材40Gをロック可能にし、また、炭酸ガス供給路15A(加圧気体供給手段)とビール導出路17A(飲料導出手段)を一体に形成するブロック体70Gと被着部材40G(被着手段)とを固定した場合である。
【0064】
第6実施形態の嫌気開栓器20Gは、被着部材40Gに固定されるブロック体70Gと、ビール缶1の口部1bに密封されるキャップ13を気水密にシールするシール機構30Gと、ビール缶1の口部1bに係脱可能に係合するロック機構120とを具備している。
【0065】
この場合、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aを有するブロック体70Gは、フランジ部70aの上部が固定ねじ110によって被着部材40Gに固定されており、フランジ部70aの外周縁には、ビール缶1の口部1b及びキャップ13の外方を包囲し得る筒状部111が垂下されている。
【0066】
上記被着部材40Gは、上記ブロック体70Gのフランジ部70aの上面に固定され、その外周縁から垂下する垂下円筒112を有する被着基部113を具備している。この被着基部113は、上記ブロック体70Gのフランジ部70aの上方に延在するブロック基部70bを嵌挿した状態でフランジ部70aの上面に載置され、その上面に載置される取付座114と共に固定ねじ110によってブロック体70Gに固定されている。また、被着基部113の垂下円筒112の外周面には雄ねじ部115が設けられており、雄ねじ部115に螺合する雌ねじ部116を有する上下移動可能なストッパリング121が被着基部113の外周部に装着されている。
【0067】
一方、上記ロック機構120は、ビール缶1の口部1bのキャップ13の下端部とビール缶1の首部1cに係合可能な係合カム部122を一端に有する一対の係合レバー123と、この係合レバー123の係合カム部側に設けられた長孔124内に摺動可能に貫挿される第1のヒンジピン125に一端部が枢着され、他端部が被着基部113の下面におけるブロック体70Gの外側に突出するブラケット126に第2のヒンジピン127を介して枢着されるリンク部材128と、ロック状態すなわち係合レバー123の係合カム部122がキャップ13の下端部に係合した状態において、係合レバー123に係合して係合状態を維持する上記ストッパリング121とで構成されている。
【0068】
なお、上記シール機構30Gは、上記第3〜第5実施形態と同様なシールパッキン30Gにて形成されている。すなわち、ブロック体70Gに設けられた筒状部111内に配設されるドーナツ円板状のシールパッキン30Gにて形成されており、このシールパッキン30Gは、ブロック体70Gのフランジ部70aと、このシールパッキン30Gの上面に配設されるスプリング受け座33との間に圧縮スプリング54Aを介して常時ブロック体70の尖鋭刃部18Aがシールパッキン30Gに接触しない位置におかれている。
【0069】
第6実施形態において、その他の部分は上記参考実施形態〜第5実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0070】
第6実施形態の嫌気開栓器20Gを用いてビール缶1を嫌気開栓するには、まず、図23に示すように、ブロック体70Gに設けられた筒状部111をビール缶1の口部1bのキャップ13上に被着してシールパッキン30Gをキャップ13の上面に当接する。次に、両係合レバー123の係合カム部122をビール缶1の口部1b及びキャップ13の下端部に位置させた状態で、係合レバー123をビール缶1側に回転して係合カム部122をキャップ13の下端部とビール缶1の首部1cに係合させると、係合レバー123の回転に伴って下方に移動するリンク部材128によってブロック体70Gが下降し、これに伴って尖鋭刃部18Aがスプリング受け座33の透孔33aを通ってシールパッキン30Fの透孔35通り、キャップ13に突き当たってキャップ13の一部に裂け目をつけると共に、キャップ13を切り落とさずに切り裂いてビール缶1内に突入し、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aがビール缶1内と連通する。この状態において、ストッパリング121を回転させながら下方に移動して、係合レバー123を固定することにより、ブロック体70Gがキャップ13から抜け出るのを防止する(図24参照)。なお、係合レバー123の回転を、ストッパリング121を回転させながら下方に移動することにより行うようにしてもよい。
【0071】
上記のようにして、ビール缶1の口部1bに嫌気開栓器20Gを装着した後、参考実施形態と同様に、ビール缶1を倒立状態に保持して使用に供することができる。また、ビール缶1内にビールBが残った場合には、嫌気状態を維持して保管することができる。
【0072】
◎第7実施形態
図25は、この発明の嫌気開栓器の第7実施形態の開栓前の状態を示す断面図、図26は、第7実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【0073】
第7実施形態は、同一のカムレバー130の操作によって被着部材40H(被着手段)をビール缶1の口部1bを密封するキャップ13に気水密に被着すると共に、炭酸ガス供給路15A(加圧気体供給手段)とビール導出路17A(飲料導出手段)を一体に形成するブロック体70Hによって開栓(嫌気開栓)するようにした場合である。
【0074】
第7実施形態の嫌気開栓器20Hは、下端部内方にキャップ13の下端部に係合可能なOリング32H(シール機構)を周設する外装筒体131と、この外装筒体131内に摺動可能に貫挿されて、ビール缶1の口部1b及びキャップ13を包囲する内装筒体132とからなる被着部材40Hと、この被着部材40Hの内装筒体132の内方空間内に配設されるシールパッキン30H(シール機構)と、被着部材40Hの内装筒体132に対して摺動可能に配設される上記第1〜第6実施形態と同様に形成されるブロック体70Hと、被着部材40Hの外装筒体131の上部に垂直方向に回転可能に装着されるカムレバー130とを具備している。
【0075】
この場合、上記被着部材40Hの一部を構成する内装筒体132は、上端部とこの上端部の下方位置にそれぞれ上部連結壁134と下部連結壁135を具備しており、上部連結壁134の偏心位置に設けられた透孔136内にブロック体70Hのフランジ部70aを摺動可能に嵌合し、下部連結壁135の偏心位置に設けられた透孔136a内にブロック体70Hのブロック基部70bを摺動可能に嵌合している。また、ブロック体70Hのフランジ部70aの下面と下部連結壁135の上面との間には圧縮スプリング54Bが縮設されてブロック体70Hが常時上方位置(非開栓位置)におかれている。また、下部連結壁135の下面とシールパッキン30Hの上面に配設されるスプリング受け座33との間にはシールパッキン30Hを常時下方側すなわちキャップ13側へ押圧する圧縮スプリング54Cが縮設されている。なお、シールパッキン30Hは、上記第1実施形態と同様に、外周縁部にテーパ部34を有し、ブロック体70Hのブロック基部70bより小径の透孔35とを具備している。
【0076】
一方、上記カムレバー130は、被着部材40Hの一部を構成する外装筒体131の上部に枢支ピン137をもって垂直方向に回転可能に装着されており、先端部には、内装筒体132の上部連結壁134の上面に係合する第1のカム部138と、ブロック体70Hのフランジ部70aに係合する第2のカム部139が設けられている(図27参照)。
【0077】
なお、外装筒体131の上部の一側壁には、上記第5実施形態と同様に、開栓時に水平方向に倒れるカムレバー130を案内する案内溝103が設けられている。なお、開栓状態において、ブロック体70Hが上方へ移動してキャップ13から抜け出る恐れがあるので、案内溝103の一側面にストッパ溝104を設ける一方、カムレバー130を枢支ピン137上に移動可能に形成して、カムレバー130を水平方向に倒した状態で、これと直交する水平方向に移動してカムレバー130をストッパ溝104に係合させるようにする方がよい(図26参照)。なお、カムレバー130を枢支ピン137上に移動させずに、例えばカムレバー130の基端部を折曲可能に形成し、折曲部を上記案内溝103の一側に連なるストッパ溝104に係合させるようにしてもよい。
【0078】
なお、上記第7実施形態において、その他の部分は上記参考実施形態〜第6実施形態と同じであるので、同一部分には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0079】
第7実施形態の嫌気開栓器20Hを用いてビール缶1を嫌気開栓するには、まず、図25に示すように、被着部材40Hの内装筒体132をビール缶1の口部1bのキャップ13上に被着してシールパッキン30Hをキャップ13の上面に当接する。次に、カムレバー130をビール缶1側に回転して第1のカム部138によって内装筒体132を下方に移動すると、Oリング32Hが外装体132との間に挟まれてビール缶1の首部1cに密接するように潰されて被着部材40Hがビール缶1に固定されると共に、シールパッキン30Hがキャップ13の上面に密接される(図27(a)参照)。更に、カムレバー130を回転すると、ブロック体70Hが下降し(図27(b),(c)参照)、これに伴って尖鋭刃部18Aがスプリング受け座33の透孔33aを通ってシールパッキン30Hの透孔35通り、キャップ13に突き当たってキャップ13の一部に裂け目をつけると共に、キャップ13を切り落とさずに切り裂いてビール缶1内に突入し、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aがビール缶1内と連通する(図26参照)。また、カムレバー130は、上述したように、案内溝103に連なるストッパ溝104に係合して、ブロック体70Hがキャップ13から抜け出るのを防止する。
【0080】
上記のようにして、ビール缶1の口部1bに嫌気開栓器20Hを装着した後、参考実施形態と同様に、ビール缶1を倒立状態に保持して使用に供することができる。
【0081】
◎第8実施形態
上記実施形態では、ビールの冷却手段がペルチェ素子5等を具備する電気式の冷却手段である場合について説明したが、電気式の冷却手段に代えて、例えば、図28に示すように、第1の収容室201内に収容される冷却水Wと、この第1の収容室201に連通する多数の連通孔203を有する仕切板204によって区画される予備室202内に収容される氷Iとで冷却手段を形成してもよい。
【0082】
なお、図28は上記参考実施形態の冷却手段を冷却水Wと氷Iとからなる冷却手段に代えた場合に付いて説明したが、上記参考実施形態〜第7実施形態においても同様に、却水Wと氷Iとからなる冷却手段に代えることができる。
【0083】
この場合、容器2は、ビール缶1と冷却水Wとを収容する第1の収容室201と、ビール缶1及び冷却水Wを冷却するための氷I(冷却手段)を収容する第2の収容室202とを形成すると共に、これら第1の収容室201と第2の収容室202とを互いに連通する連通孔203を有する仕切板204を介して区画してなり、第1又は第2の収容室201,202の底部(図面では第2の収容室202の底部)に排水口205が設けられ、この排水口205に冷却水調整を兼用する排水チューブ206の一端が接続されている。この排水チューブ206は、可撓性を有する透明性の例えばポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂性チューブにて形成されている。
【0084】
このように形成される排水チューブ206は、容器2の外側壁に縦方向に設けられた収納溝207内に収納可能になっており、収納溝207の上部開口部に設けられた一対の係止突起208によって起立した状態に係止され得るように構成されている(図29参照)。したがって、排水チューブ206を係止突起208との係合を解き、排水チューブ206の開口端を下方に傾けて、第1の収容室201内に収容された冷却水Wを外部に排水して、第1の収容室201内の冷却水Wの容積すなわちビール缶1と冷却水Wとの接触面積を調節することができる。また、所定量の冷却水Wを排出した後、排水チューブ206を収納溝207内に収納すると共に、係止突起208によって係止した状態で、外部から冷却水Wの量を目視することができるようになっている。
【0085】
この場合、上記仕切板204は、例えばアルミニウム製あるいはプラスチック製の多数の連通孔203を有する多孔板にて形成されており、図28に示すように、第1の収容室201と第2の収容室202とを連通する連通路209の対向する側壁210の上下方向に設けられた取付溝211内に摺動嵌合されている。
【0086】
なお、第8実施形態において、その他の部分は上記参考実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0087】
◎第9実施形態
図30は、この発明の嫌気開栓器の第9実施形態の使用状態を示す断面図、図31は、第9実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図、図32は、第9実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【0088】
第9実施形態は、嫌気開栓器20Iをビール缶1Bの底部1dに取り付けるようにした場合である。ここでは、嫌気開栓器20Iを上記第4実施形態に示したワンタッチ式の嫌気開栓器に適用した場合について説明する。なお、第4実施形態と同じ部分には同一の符号を付して説明する。
【0089】
第9実施形態の嫌気開栓器20Iは、例えば450ミリリットル入りのアルミニウム製のビール缶1Bの底部1dを包囲する被着部材40I(被着手段)と、この被着部材40Iに組み込まれてビール缶1Bの底部1dをシールするシールパッキン30I(シール機構)と、炭酸ガス供給路15A(加圧気体供給手段)とビール導出路17A(飲料導出手段)とを一体に形成するブロック体70とを具備している。
【0090】
上記被着部材40Iは、ビール缶1Bの底部1dを包囲する筒状脚部80と、この筒状脚部80の上端部に下向き段部81を介して膨隆する膨隆頭部82とを有する被着本体83と、この被着本体83の筒状脚部80の外周を摺動可能に包囲する下筒部84と、この下筒部84の上端に上向き段部85を介して延在する上筒部86とを有する筒体87と、被着本体83の下向き段部81と、筒体87の上向き段部85との間に縮設されて上記被着本体83と筒体87とを離反する方向に弾性力を付勢するスプリング88とを具備している。また、被着本体83の筒状脚部80の下部側周方向には、適宜間隔をおいて外方に向かって拡開するボール保持孔89が設けられており、各ボール保持孔89内に鋼製のボール90が筒状脚部80の内方に突出し得るように配設されている。また、筒体87の下筒部84の下端部内周面には、上記ボール90の待機用凹部91が設けられている。なお、凹部91の上端と下筒部84の内周面との間にはテーパ部92が設けられている。
【0091】
また、上記被着部材40Iの被着本体83の筒状脚部80と膨隆頭部82とで形成される内方空間93内には、上記第1〜第4実施形態と同様に、下端に尖鋭刃部18Aを有すると共に、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aを有するブロック体70が配設され、このブロック体70のフランジ部70aと、上記第3〜第4実施形態と同様に形成されるシールパッキン30Iの上面に配設されるスプリング受け座33との間に圧縮スプリング54Aが縮設されている。また、被着本体83の膨隆頭部82には、ブロック体70に設けられた炭酸ガス供給路15Aに連通して一側面に開口する第1の通路83aと、ブロック体70に設けられたビール導出路17Aに連通して他側面に開口する第2の通路83bが設けられている。これら第1及び第2の通路83a,83bの開口部にはそれぞれ継手51a,51bを介して炭酸ガス供給チューブ14とビール導出チューブ16が接続されている。
【0092】
なお、第9実施形態において、その他の部分は、上記参考実施形態、第4実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0093】
第9実施形態の嫌気開栓器40Iを用いてビール缶1Bを嫌気開栓するには、まず、図31に示すように、スプリング88の弾発力に抗して筒体87を被着本体83の膨隆頭部82側に引き上げて、ボール90を凹部91内に待機可能にしておく。次に、この状態のまま被着本体83と筒体87を持ってビール缶1Bの底部1dに筒状脚部80を被着して底部1dの底面1eにシールパッキン30Iを当接する。次に、被着本体83を押し下げると、ブロック体70が下降し、尖鋭刃部18Aがスプリング受け座33の透孔33aを通ってシールパッキン30Iの透孔35通り、底部1dの底面1eに突き当たって底部1dの一部に裂け目をつけると共に、底部1dを切り落とさずに切り裂いてビール缶1B内に突入し、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aがビール缶1内と連通する。これと同時に、筒体87の下筒部84によってボール90がボール保持孔89内に押し込まれて筒状脚部80の内方側に突出し、ビール缶1Bの底部1dの外周側に設けられたくびれ部1fに係合し、スプリング88の弾発力によって固定される(図32参照)。また、この際、ブロック体70によってシールパッキン30Iの透孔35が押し広げられてブロック体70の外周面に密接するので、ビール缶1内に空気が侵入したり、ビール缶1内のビールBが外部に漏れることはない。
【0094】
上記のようにして、ビール缶1Bの底部1dの底面1eに嫌気開栓器40Iを装着した後、被着本体83の膨隆頭部82に突設された突起82aを、容器2の第1の収容室2bの底部に設けられた凹部2dに係合して、ビール缶1Bを起立する一方、蓋12に設けられた保持用凹部12bをビール缶1Bのキャップ13に係合させて、ビール缶1Bを起立状態に保持して使用に供することができる。また、ビール缶1B内にビールBが残った場合には、嫌気状態を維持して保管することができる。
【0095】
◎第10実施形態
図33は、この発明の嫌気開栓器の第10実施形態の使用状態を示す断面図、図34は、第10実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図、図35は、第10実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【0096】
第10実施形態は、嫌気開栓器20Jをビール缶1B全体に係合させてビール缶1Bの底部1dを密封状態のままにして嫌気開栓可能にした場合である。ここでは、嫌気開栓器20Jを上記第1実施形態に示した嫌気開栓器に適用した場合について説明する。なお、第1実施形態と同じ部分には同一の符号を付して説明する。
【0097】
第10実施形態の嫌気開栓器20Jは、ビール缶1Bのキャップ13部を保持する保持体60Aと、この保持体60Aに対して移動可能に装着される被着部材40J(被着手段)と、この被着部材40Jに組み込まれてビール缶1Bの底部1dをシールするシールパッキン30J(シール機構)と、炭酸ガス供給路15A(加圧気体供給手段)とビール導出路17A(飲料導出手段)とを一体に形成するブロック体70とを具備している。
【0098】
この場合、上記保持体60Aは、図33〜図35に示すように、ビール缶1Bの口部1b及びキャップ13部を載置する載置部61Aと、この載置部61Aの上面の両側に対峙して起立する断面円弧状の起立部62とを具備し、載置部61Aにはビール缶1Bの口部1b及びキャップ13の径に合わせた位置決め用凹部61bが形成され、また、起立部62の外側面には雄ねじ部63が設けられている。
【0099】
上記被着部材40Jは、図33〜図35に示すように、断面略ハット状の下部部材64と、この下部部材64の頭部64aの上面にねじ65をもって固定される上部板部材66と、下部部材64と上部板部材66との間に配設されて、上記保持体60Aの起立部62に設けられた雄ねじ部63と螺合する雌ねじ部67を有する操作用ナット68とを具備している。この場合、下部部材64のフランジ64bには、上記両起立部62を遊嵌する円弧状の切欠き64cが設けられている。また、上部板部材66の対向する両側にも、起立部62を遊嵌する円弧状の切欠き66aが設けられている。したがって、操作用ナット68を起立部62に螺合させた状態で、下部部材64と上部板部材66とをねじ65をもって固定することにより、操作用ナット68の正逆回転に伴って下部部材64,上部板部材66及び操作用ナット68が一体となって保持体60の起立部62に沿って移動することができる。
【0100】
また、上記シールパッキン30Jは、上記被着部材40Jの下部部材64の内方空間64dの下部開口側に配設される合成ゴム製のドーナツ円板状に形成されている。このシールパッキン30Jは、ブロック体70のフランジ部70aと、このシールパッキン30Jの上面に配設されるスプリング受け座33との間に圧縮スプリング54Aを介して常時ブロック体70の尖鋭刃部18Aがシールパッキン30Jに接触しない位置におかれている。また、シールパッキン30Jは、底部1dの内周径より小さめに形成され、その周縁部に下方に向かって隆起するテーパ部34Aが設けられており、また、中心部にはブロック体70の直径(DM)より小径(DS)の透孔35が設けられている(図10(a)参照)。なお、スプリング受け座33は、ビール缶1Bの底部1bの起立縁1gを回避して底面1eにシールパッキン30Jを押圧すべく略断面ハット状に形成されている。このスプリング受け座33の中心部にはブロック体70の直径(DM)より大径(DL)の透孔33aが設けられている(図10(a)参照)。このように、シールパッキン30Jの周縁部に下方に向かって隆起するテーパ部34Aを形成することにより、操作用ナット68の回転によってシールパッキン30Jが底部1dの底面1eに押圧された際にテーパ部34Aが底面1eの外周縁部に密接してシール性の向上を図ることができる。また、シールパッキン30Jの中心部に設けた透孔35を、ブロック体70の直径(DM)より小径(DS)にすることにより、ブロック体70が透孔35を押し広げるようにして貫通するので、ブロック体70とシールパッキン30Bとのシール性の向上を図ることができる。
【0101】
なお、第10実施形態において、その他の部分は、上記参考実施形態、第1、第4実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0102】
第10実施形態の嫌気開栓器20Jを用いてビール缶1Bを嫌気開栓するには、まず、保持体60Aの載置部61A上にビール缶1Bを倒立状態に載置する。次に、被着部材40Jの操作用ナット68を時計方向に回転すると、最初にシールパッキン30Jがビール缶1Bの底部1dの底面1eに当接する。更に、操作用ナット68を回転すると、圧縮スプリング54Aの弾発力に抗して被着部材40Jと共にブロック体70が下降し、尖鋭刃部18Aがスプリング受け座33の透孔33aを通ってシールパッキン30Jの透孔35通り、底部1dの底面1eに突き当たって底部1dの一部に裂け目をつけると共に、底部1dを切り落とさずに切り裂いてビール缶1B内に突入する。これにより、炭酸ガス供給路15Aとビール導出路17Aがビール缶1内と連通する。この際、ブロック体70によってシールパッキン30Jの透孔35が押し広げられてブロック体70の外周面に密接すると共に(図10(b)参照)、テーパ部34Aが底面1eの外周縁に密接するので、ビール缶1B内に空気が侵入したり、ビール缶1B内のビールBが外部に漏れることはない。
【0103】
上記のようにして、ビール缶1Bの底部1dに嫌気開栓器20Jを装着した後、保持体60Aを天地逆にし、容器2に設けられた保持溝10Bに保持体の起立部62を嵌合することにより、ビール缶1Bを起立状態に保持して使用に供することができる(図56参照)。また、ビール缶1B内にビールBが残った場合には、嫌気状態を維持して保管することができる。
【0104】
なお、上記第10実施形態では、保持体60Aの起立部62の外側面に雄ねじ部63を設けて、被着部材40Jを雄ねじ部63に螺合させる場合について説明したが、上記第2実施形態と同様に、保持体60の起立部62の対向側面に雌ねじ部を設けて、被着部材40Jを螺合させるようにしてもよい。
【0105】
◎その他の実施形態
上記実施形態では、ビール缶1,1Aの口部1bに被着部材40,40B〜40Hを被着する場合又はビール缶1Bの底部に被着部材40I,40Jを被着する場合について説明したが、ビール缶1,1Aの底部1dに被着部材40,40B〜40Hを被着することも可能であり、また、ビール缶1Bの口部1bに被着部材40I,40Jを被着することも可能である。更に、ビール缶1,1A,1Bの口部1bや底部1d以外の一部例えばビール缶1,1A,1Bの首部1c近傍位置、あるいは、底部1d近傍位置に、被着部材40,40B〜40Jを被着することも可能である。
【0106】
また、上記実施形態では、この発明の嫌気開栓器をビールの飲料容器(ビール缶1,1A,1B)に適用した場合について説明したが、ビール以外の飲料例えば炭酸飲料の飲料容器についても同様に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】この発明の嫌気開栓器の参考実施形態を適用したビールサーバの使用状態を示す斜視図である。
【図2】上記ビールサーバの要部を示す平面図である。
【図3】参考実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図である。
【図4】参考実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【図5】この発明の第1実施形態の嫌気開栓器の使用状態を示す断面図である。
【図6】第1実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図である。
【図7】図6の要部拡大断面図である。
【図8】第1実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【図9】第1実施形態における保持体と被着手段を示す分解斜視図である。
【図10】第1実施形態におけるブロック体とシールパッキンの関係を示す断面図(a)及び嫌気開栓状態を示す断面図(b)である。
【図11】この発明の第2実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図である。
【図12】第2実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【図13】図11のI−I線に沿う断面図である。
【図14】この発明の第3実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図である。
【図15】第3実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【図16】この発明の第4実施形態の嫌気開栓器の使用状態を示す断面図である。
【図17】第4実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図である。
【図18】第4実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【図19】この発明の第5実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図である。
【図20】第5実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【図21】第5実施形態における操作レバーの取付状態を示す断面斜視図である。
【図22】この発明の第6実施形態の嫌気開栓器の使用状態を示す断面図である。
【図23】第6実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図である。
【図24】第6実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【図25】この発明の第7実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図である。
【図26】第7実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【図27】第7実施形態におけるカムレバーと被着手段及びブロック体との係合状態を示す説明図である。
【図28】この発明の嫌気開栓器を冷却水と氷からなる冷却手段を具備するビールサーバの使用状態を示す断面図である。
【図29】上記ビールサーバの要部を示す斜視図である。
【図30】この発明の第9実施形態の嫌気開栓器の使用状態を示す断面図である。
【図31】第9実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図である。
【図32】第9実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【図33】この発明の第10実施形態の嫌気開栓器の使用状態を示す断面図である。
【図34】第10実施形態の嫌気開栓器の開栓前の状態を示す断面図である。
【図35】第10実施形態の嫌気開栓器の開栓状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1,1A,1B ビール缶(容器)
1b 口部
1c 首部
1d 底部
1e 底面
3 炭酸ガスカートリッジ(加圧気体供給源)
10 保持手段
10c 保持溝(保持手段)
13 キャップ(蓋部)
13A 引起し蓋(蓋部)
15,700 炭酸ガス供給管(加圧気体供給手段)
15A〜15F 炭酸ガス供給路(加圧気体供給手段)
17 ビール導出管(飲料導出手段)
17A〜17F ビール導出路(飲料導出手段)
18,18A 尖鋭刃部
30 シール機構
30B〜30J シールパッキン(シール機構)
31 係合シール部材(シール機構)
32,32B Oリング(シール機構)
32C シールパッキン(シール機構)
34 テーパ部
35 透孔
40,40B〜40J 被着部材(被着手段)
54,54B,54B,54C 圧縮スプリング
70,70B〜70H ブロック体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器を密封状態のままにして飲料容器内の飲料の導出を可能にする飲料容器の嫌気開栓器であって、
上記飲料容器の一部に被着される被着手段と、
加圧気体供給源に接続されて上記飲料容器内に加圧気体を供給する加圧気体供給手段と、
上記飲料容器内の飲料を導出する飲料導出手段と、
上記被着手段に設けられ、上記加圧気体供給手段の供給路と飲料導出手段の導出路とを並設するブロック体と、
上記ブロック体における上記飲料容器と対向する端部に形成され、飲料容器に裂け目をつける刃部と、
上記被着手段に設けられ、上記刃部が上記飲料容器の開栓面に突き当たる際に、該開栓面に密接して、上記加圧気体供給手段及び飲料導出手段の気水密を維持するシール機構と、を具備し、
上記シール機構は、中心部に透孔を設け、周縁部に上記飲料容器の開栓面に密接するテーパ部を設ける、シールパッキンにて形成され、かつ、該シールパッキンの透孔の径を、上記ブロック体の直径より小径に形成してなり、
上記シールパッキンが上記飲料容器の開栓面に密接した状態で、上記ブロック体がシールパッキンの透孔を押し広げて貫通して上記テーパ部を開栓面に密接した状態で、上記刃部により上記飲料容器の一部を切り裂いて飲料容器内に上記加圧気体供給手段及び飲料導出手段を突入可能に形成してなることを特徴とする飲料容器の嫌気開栓器。
【請求項2】
請求項1記載の飲料容器の嫌気開栓器において、
上記ブロック体と上記シールパッキンとの間に、ブロック体に形成される刃部がシールパッキンに接触しない方向に弾性力を付勢するスプリングを介在してなることを特徴とする飲料容器の嫌気開栓器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の飲料容器の嫌気開栓器において、
上記被着手段を下端部に位置させた状態で飲料容器を倒立保持する保持手段を更に具備することを特徴とする飲料容器の嫌気開栓器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2007−290781(P2007−290781A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142943(P2007−142943)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【分割の表示】特願2001−249309(P2001−249309)の分割
【原出願日】平成13年8月20日(2001.8.20)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】