説明

飲料機のための起泡装置

飲料機に適した起泡装置(1)が開示されている。飲料ユニットは、起泡媒体(12)のための入口(11)と、開口直径を備える気体入口(13)とを含む。さらに、起泡ユニットは、ポンピング手段(14)と、前述の構成部品を互いに接続するための配管(15)とを含む。前述の構成部品は、連続的な配管系を構成する。加えて、ポンピング手段のポンピング作用の故に、大気圧に対する負の圧力差が、配管系全体を通じて達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料機、例えば、コーヒーメーカーにおいて一般的に使用される起泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料機、例えば、コーヒーメーカー、ビール樽出し装置、又は、クリーム泡立て機の幾つかの用途では、泡を生成するために、装置内に起泡(frothing)機能を有することが望ましく、次に、泡は飲料に混合され或いは添加される。
【0003】
この目的のために、気体が起泡装置によって移送されるべき起泡媒体内に導入される。好適な気体は、空気、二酸化炭素、高温蒸気、窒素、及び、笑気(亜酸化窒素)を含む。好適な起泡媒体は、牛乳、クリーム、後者のための植物性代替物、ビール及びビールを含む飲料、並びに、類似物を含む。飲料機のために使用されている最新技術に従った起泡装置では、気体は、しばしば、流体放射ポンプ又はベンチュリポンプ原理に従ったポンプを用いて起泡媒体内に導入される。これらの装置は、例えば、EP1462042中に開示されている。
【0004】
これらの装置は、気体及び液体の両方のための駆動力を提供するために単一のポンプが使用されることを一般的に有し、後者は殆どの場合には真空ポンプである。これは、気体又は起泡媒体のいずれか(即ち、流体F1)を駆動するために単一のポンプが使用され、それは、次いで、他の媒体(即ち、流体F2)のためのポンピング流体として働く。これは2つの流体の間の流速比がポンプの助けを受けて調節され得ず、代わりに、流速比を調節するために、他の機構が適用されなければならないことも意味する。
【0005】
最新技術から既知の装置によれば、気体入口開口が、配管の壁内に配置され、配管は、起泡媒体のための入口を上述のポンプと接続している。ここで、気体入口開口は、配管が直線的である、即ち、湾曲又は屈曲していない配管の地域内に常に配置されている。
【0006】
これらの装置のための実施例は、US4742942、US4537332、及び、WO96/31125中に開示されている。
【0007】
起泡品質、即ち、泡の品質は、気体に対する起泡媒体の比率に依存するので、適切な量の気体流を起泡装置内に導入することが重要である。例えば、コーヒー飲料及び類似物に添加されるべき牛乳泡を生成するために空気を使用するとき、空気流速は、好ましくは、牛乳の流速の0.5〜1倍であるべきである。標準的な家庭及び配膳機器のために、装置内の牛乳の流速は、典型的には、4〜8ml/sであり、それは空気の流速が2〜8ml/sであるべきことを意味する。気体の粘度が、液体の粘度よりも2オーダに近い大きさより小さいという事実の故に、空気の前記流速は、前記限界内に容易に維持されないことが明らかになる。
【0008】
空気の流速を制御する1つの方法は、気体入口開口の直径を制御することである。何故ならば、円形開口を通じる流体の流速Iは、開口の面積Aに正比例するか、
【数1】

或いは、直径Dの平方に正比例する。即ち、
【数2】

【0009】
出願人は実験を行い、それぞれの実験では、気体を起泡媒体内に押し込むために、噴流放射ポンプが使用された。そこでは、上記に特定された流速が達成されるべきという定めの下で、所望の気体流速を得るために、よって、最適の起泡結果を得るために、気体入口開口は直径が0.14mmを超えるべきではないことが判明した。
【0010】
これは標準的な機械加工にとって極めて小さいサイズであるので、装置内への気体流の適切な速度を有するために、製造公差が極めて重要になっている。出願人は、直径における15%の誤差が、気体流における30%の変動を招き、よって、起泡結果を家庭及び配膳機器にとって許容し得ない範囲まで害することを実験的に見い出した。
【0011】
この公差要求を満足する開口を製造するために、高精度機械類、例えば、CNC旋盤、レーザ切断及びレーザ切除装置、高精度打抜き及び穿孔が必要であり、それは、特に家庭機器になると、製造コストを増大する。配膳機器のためにも、この解決策は極めて好ましくない。何故ならば、ここでは、それぞれの配管は、しばしば、衛生の理由のために、使い捨て可能であるよう設計されるからである。
【0012】
さらに、そのような直径を備える開口は、特に、それが牛乳及びクリームのような乳製品の場合のように、腐敗し或いは変質しがちな起泡媒体が使用されるときには、汚染し且つ/或いは不活発となりがちである。これは、これらの装置が、誤作動を避けるために、規則的に保守されなければならないことを意味する。
【0013】
WO06/043808及びUS2004/0247757は、気体入口開口を通じる気体流速を制御するために調節可能な弁が使用される起泡装置を開示している。これは費用を増大する解決策であり、その理由のために、上記に特定される家庭及び配膳機器にとっては魅力的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
よって、本発明の目的は、詰まり及び塞がりに余り影響されず、標準的な機械類で製造されるにも拘わらず再現性のある起泡結果をもたらす、上記の定義に従った飲料機において使用されるのに適した起泡装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、独立項の下に示される起泡装置及び/又は方法によって達成される。従属項は、好適な実施態様を示している。この脈絡において、以下に与えられる全ての範囲は、それらがこれらの範囲を定める値を含むよう理解されるべきであることを述べることに注目すべきである。
【0016】
本発明によれば、飲料機において使用されるのに適した起泡装置が提供される。装置は、起泡媒体のための入口と、ある開口直径を有する気体開口と、ポンピング手段と、前述の構成部品を互いに接続する配管とを含む。前述の構成部品は、連続的な配管系を構成し、ポンピング手段のポンピング作用の故に、大気圧に対する負の圧力差が、前記配管系全体を通じて達成される。気体入口開口は、大気圧に対する圧力差が配管系内の殆どの他の位置におけるよりも小さい配管系内の位置に配置される。
【0017】
この脈絡において、開口を通じて流れる気体の量は、以下の等式に示されるように、開口の両側の間の圧力差ΔPの平方根に概ね比例することに注目すべきである。
【数3】

【0018】
普通、気体入口開口は、起泡媒体のための入口とポンピング手段との間のどこかで、配管の直線部分に配置される。ここでは、大気圧に対する圧力差は、ポンピング手段によって適用される真空によって支配されるに過ぎない。
【0019】
気体入口開口を上述の位置に配置することによって、開口直径を増大すると同時に、気体流を所望レベルに依然として維持することが可能である。よって、詰まり及び塞がりに余り影響されず、標準的な機械類で製造されるにも拘わらず再現性のある起泡結果をもたらす、上記定義に従った飲料機において使用されるのに適した起泡装置が製造され得る。
【0020】
好適実施態様において、装置は、その配管内に狭窄部を含み、配管は、起泡媒体のための入口とポンピング手段との間に配置される。
【0021】
狭窄部の直径は重要である。何故ならば、それは配管下流内の圧力を減少するからである。これは起泡媒体が汲み出される流速を決定する。家庭又は配膳機器における前記直径の典型的な値は、0.5mm〜4mmの間、より好ましくは、1mm〜2mmの間に及ぶ。
【0022】
さらに他の好適実施態様において、配管は、角度と、内側半径と、中間半径と、外側半径のそれぞれによって特徴付けられる隅部を含み、気体入口開口は、配管壁内、即ち、配管隅部の外側地域内に配置される。
【0023】
この脈絡において、角度α、内側半径R、中間半径R、及び、外側半径Rによって定められる配管隅を用いるとき、上記に示されたように、「配管隅部の外側地域」という用語は、RとRとの間に配置される配管壁の一部であることが理解されるべきである。参照として、図3Bを見よ。
【0024】
「隅」という用語は、極めて広い意味で理解されるべきである。基本的には、それは、>15°及び<165°、より好ましくは、>45°及び<135°、特に好ましくは、>70°及び<110°の主流の方向の変化をもたらす全ての種類の配管幾何に言及している。これは、図1中に描写されるように、隅が必ずしも流れ方向において90°の変化を成すことを必要としないという事実に起因する。
【0025】
出願人は、真空によって駆動される流体を含む配管隅内で、配管内部の絶対圧力は、隅の外側及び内側半径上で異なる、即ち、外側半径に対する絶対圧力は、内側半径でよりも高いのに対し、適用される真空の故に、両者は、依然として大気圧よりも小さいことを見い出した。次いで、これは、大気圧に対する圧力差が、隅の内側半径上でよりも隅の外側半径上でより小さいことを意味する。この理由のために、本発明に従った起泡装置の気体入口開口を配管隅の外側地域に配置するとき、この開口を通じて流れる気体は、比較的より小さい圧力差を経験する。次いで、これは、上記に示される利点を伴って、気体入口開口の開口直径を拡大する可能性をもたらす。これらの検討のための並びに上記結果のための数学的根拠は、付録内で与えられる。
【0026】
より具体的には、配管隅部の外側地域内の気体入口開口のための好適な位置は、隅内の両方の中心軸の合流地点に対する開口の距離が、図3Dから分かるように、狭窄部直径の10倍未満、より好ましくは、狭窄部直径の5倍未満であるようである。
【0027】
この脈絡における重要な変数は、狭窄部の直径である。何故ならば、これは気体入口開口の位置での大気に対する圧力差狭窄部の端部から空気入口開口までの間の距離である長さL、隅内の空気入口海王の位置、及び、隅の曲率に寄与するからである(図3Dを見よ)。
【0028】
これらの変数を用いるならば、人は空気孔の位置で大気圧に対する圧力を増大し得る。牛乳の流速が5.5ml/sである本発明の実施態様において、狭窄部の直径は、1.2mmであり、長さLは、12.5mmであり、隅内の大気に対する典型的な圧力差は、典型的には、
【数4】

及び、
【数5】

から、
【数6】

となる。
【0029】
係数α(L)は損失係数であり、それは1よりも小さく、液体が隅を通じて流れる実際の速度を決定する。
【0030】
は、気体流速であり、Qは、起泡媒体の流速である。Pは、大気圧であるのに対し、Pは、配管の直線部内側の圧力である。
[外1]

は、起泡媒体の密度である。Vは、狭窄部での起泡媒体の速度であり、Vは、隅配管地域内での起泡媒体の速度である。
【0031】
狭窄部の直径は重要である。何故ならば、それは隅内の圧力差、並びに、牛乳が汲み出される流速を決定するからである。この直径の典型的な値は、0.5mmから4mmの間、より好ましくは、1mm〜2mmの間に及ぶ。
【0032】
好適な長さLは、典型的には、狭窄部の直径の0〜30倍の間、より好ましくは、この直径の5〜15倍の間である。長さLが長くなり過ぎると、液体が隅を通じて流れる速度は小さ過ぎるようになり、大気に対する圧力降下は大き過ぎるようになり、所望の流速を得る気体入口の所要のより小さい直径がもたらされる。
【0033】
隅内の空気孔の位置は、幾分余り重大でないことが予期される。好ましくは、空気孔の中心は、図3D中に描写されるように、液体が隅を形成する場所に近接して、即ち、狭窄部の中心線に近接して位置付けられる。好ましくは、孔は、この中心線の狭窄部の直径の10倍内、より好ましくは、直径の5倍内に位置付けられる。
【0034】
上記の検討の下で、出願人は、開口を通じる気体流速に影響を及ぼさずに、気体入口開口を0.6mmの直径を有する配管隅部の外側地域内に配置した。実験条件の下で、気体入口開口の従来的な位置付近(図2A中の位置Fを見よ)で測定された大気に対する圧力の減少は、約2.2×104Paであった。配管隅部の外側半径付近(図2A中のEを見よ)で測定された大気に対する圧力の減少は、約50〜100Paであった。即ち、圧力の上昇(よって、大気圧に対する圧力減少)は実質的である。次いで、これは気体入口開口の直径を増大する可能性を説明し、それは、上記に示されたように、製造努力及び詰まり回避に関連付けられるような利益をもたらす。
【0035】
起泡は、他の好適実施態様では、気体入口開口が起泡媒体のための入口の配管壁内に配置される点で特徴付けられ得る。
【0036】
これは気体入口開口が狭窄部の上流で配管壁内に配置されることを意味し、そこでは、圧力は、狭窄部の下流で得られる値まで未だ減少されていない。これは再び同じ結果、即ち、大気圧に対する圧力差が、どこよりもここでより小さいことに至る。これは、上記に示された利点を伴って、気体入口開口の開口直径を拡大する可能性ももたらす。
【0037】
本発明の代替的な実施態様において、起泡装置は、起泡媒体のための入口と、ある開口直径を有する気体入口と、ポンピング手段と、前述の構成部品をそれぞれ接続する配管とを含む、飲料機における使用に適した起泡装置が提供され、前述の構成部品は、連続的な配管系を構成し、ポンピング手段のポンピング作用の故に、大気圧に対する負の圧力差が、配管系全体を通じて達成される。この装置は、気体入口開口が、気体入口開口によって定められる気体ダクトの長さと気体入口開口直径との間の比率が、3よりも大きい、より好ましくは、10より大きい、より好ましくは、100より大きい、より一層好ましくは、400よりも大きいように形成される点で特徴付けられる。
【0038】
この実施態様では、前述された実施態様と同じ発明的着想の下に依然としてある変形が実現される。何故ならば、1つ又はそれよりも多くの同じ又は対応する特殊な技術的機能を含めて、即ち、気体流速に影響を与えずに開口直径を増大するのを可能にするために、気体入口開口の位置を操作するよう、これらの実施態様の間には、技術的関係があるからである。
【0039】
最新技術によれば、気体入口開口は、極めて薄い金属又はプラスチックシートから成る。気体の経路内の抵抗を増大しながら、入口開口の両側の間の圧力差を一定に維持するために、空気孔が作成されるシートの厚さは、例えば、増大され得る。
【0040】
気体入口開口によって定められる気体ダクトの長さLGが大きければ大きいほど、気体流のための抵抗もより大きくなる。その場合には、気体入口開口は、気体流速を一定に維持するために増大され得る。
【0041】
さらに、飲料機における使用に適した起泡装置内の気体入口の開口直径を減少するための方法が提供され、本方法は、起泡媒体のための入口と、ポンピング手段と、前述の構成部品を互いに接続する配管とを含む。前述の構成部品は、連続的な配管系を構成し、ポンピング手段のポンピング作用の故に、大気圧に対する負の圧力差が、配管系全体を通じて達成される。本方法は、気体入口開口が、大気圧に対する圧力差が配管系内の殆どの他の位置におけるよりも小さい配管系内の位置に配置される点で特徴付けられる。
【0042】
上記方法の好適実施態様では、起泡装置は、起泡媒体のための入口とポンピング手段との間に配置された、その配管内に狭窄部を含む。
【0043】
本発明に従った方法の他の好適実施態様において、配管は、角度と、内側半径と、中間半径と、外側半径のそれぞれによって特徴付けられる隅部を含み、気体入口開口は、配管壁内に、即ち、配管隅部の外側地域内に配置される。
【0044】
他の好適実施態様では、気体入口開口は、起泡媒体のための入口の配管壁内に配置される。
【0045】
本発明の代替的な実施態様では、飲料機において使用されるのに適した起泡装置内の気体入口の開口直径を減少するための方法が提供され、起泡装置は、起泡媒体のための入口と、ある開口直径を有する気体入口と、ポンピング手段と、前述の構成部品を互いに接続する配管とを含み、前述の構成部品は、連続的な配管系を構成し、ポンピング手段のポンピング作用の故に、大気圧に対する負の圧力差が、配管系全体を通じて達成される。本方法は、気体入口開口が、気体入口開口によって定められる気体ダクトの長さと気体入口開口の開口直径との間の比率が、3よりも大きいように形成される点で特徴付けられる。好ましくは、前記比率は、10よりも大きく、より好ましくは、20よりも大きく、好ましくは、10よりも大きく、より好ましくは、100よりも大きく、より一層好ましくは、400よりも大きい。
【0046】
本発明の目的の追加的な詳細、機能、及び、利点は、従属項、図面、並びに、それぞれの図面、及び、本発明に従った起泡装置の好適実施態様を例示的な方法で示す実施例の以下の記載中に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に従った起泡装置の実施態様を示す概略図である。
【図2A】最新技術に従った起泡装置における異なる位置を示す概略図である。
【図2B】最新技術に従った起泡装置における異なる位置の相対圧力を示すグラフである。
【図3A】本発明に従った「隅」を示す説明図である。
【図3B】本発明に従った「隅」を示す説明図である。
【図3C】本発明に従った「配管隅部の外側地域」を示す説明図である。
【図3D】本発明に従った「配管隅部の外側地域」を示す説明図である。
【図4】本発明に従った起泡装置の異なる実施態様を示す概略図である。
【図5】本発明に従った実施態様における気体及び起泡液体の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、飲料機において使用されるのに適した本発明に従った起泡装置10を示している。装置は、起泡媒体12のための入口11と、ある開口直径を有する気体入口13と、ポンピング手段14と、前述の構成部品を互いに接続する配管15とを含む。前述の構成部品は、連続的な配管系を形成している。ポンピング手段14のポンピング作用の故に、大気圧Pに対する負の圧力差Δが、配管系全体を通じて達成される。さらに、起泡装置は、配管15内に狭窄部(constriction)16を含み、配管は、起泡媒体のための入口11と配管隅部17との間に配置されている。
【0049】
気体入口開口13は、大気圧に対する圧力差が前記配管系内の殆どの他の位置よりも小さい前記配管系内の位置に配置されている。本発明によれば、これは、例えば、気体入口開口が配管壁内、即ち、配管隅部17の外側地域内に配置されるならば達成され得る。
【0050】
それと対照的に、図1中に灰色で例証されて、最新装置に従った起泡装置では、気体入口開口13は、配管が直線的であり且つ相対圧力がより小さい地域内に配置され、よって、大気圧に対して高い圧力差をもたらし、それは、上記に説明されたように、極めて小さい直径の気体入口開口を使用することを必要とする。
【0051】
図2A及び2Bは、最新技術に従った起泡装置内の異なる位置、及び、これらの位置で理論的及び経験的に決定される相対圧力を示している。位置A及びEで、即ち、起泡媒体のための入口で及び配管隅部の外側地域において、相対圧力は他の場所よりの高いことは明らかになる。その理由は上記に与えられた。次いで、これは大気圧に対する圧力差がこれらの位置においてより小さく、よって、気体流速に影響を与えずに気体入口開口のサイズを増大することを可能にすることを意味する。
【0052】
図3は、本発明において理解されるときの「隅」という用語についての幾つかの情報を与える。隅は、角度αと、内側半径Rと、中間半径Rと、外側半径Rとによって定められる(図3A、3B)。上記に説明されたような「配管隅部の外側地域」という用語は、RとRとの間に配置される配管壁の一部(図3C中の陰影付き地域)として理解されるべきである。
【0053】
図3中に示されるものと異なり、「隅」という用語は、>15°及び<165°、より好ましくは、>45°及び<135°、特に好ましくは、>70°及び<110°の主流の方向の変化をもたらす全ての種類の配管幾何を含む。
【0054】
図3Dには、基本的に、配管隅部の外側地域内の気体入口開口のための位置は、隅内の中心軸Aの合流地点までの距離が、図3Dから見られ得るように、狭窄部直径Dの10倍未満、より好ましくは、狭窄部直径の5倍未満(暗灰色地域)であるよう選択され得る。例示的に、気体入口開口31、並びに、狭窄部32の位置は、図3D中に示されている。狭窄部の上方端部と気体入口開口との間の距離は、長さLとして定められている。
【0055】
図4は、本発明に従った起泡装置40の異なる実施態様を示している。装置は、起泡媒体42のための入口41と、ある開口直径を有する気体入口43と、ポンピング手段44と、前述の構成部品を互いに接続する配管45と、起泡媒体ための入口41と配管隅部47との間に配置された狭窄部46とを含む。ここでは、大気圧に対する圧力差は前記配管系内の殆どの他の位置よりも小さいので、気体入口開口43は、配管隅部47の外側地域内に配置されている。
【0056】
配管隅部47は、湾曲された或いは屈曲された配管だけから成る上述されたものと異なるが、角度α、内側半径R、中間半開R、及び、外側半径Rに関しては、それは依然として隅の定義内にある。配管隅部47は、空洞を含み、それは起泡媒体のための循環地域を提供する。起泡媒体の再循環は、本発明において目標とされるように、配管隅地域内の相対圧力のさらなる増大、よって、大気圧に対する圧力差のさらなる減少に寄与する。
【0057】
図5は、矢印を用いて、上述された実施態様のいずれかにおける気体及び起泡液体の流れ、並びに、空洞内の再循環を示している。その上、後者は、気体及び起泡液体のより良好な混合に寄与し、よって、より良好な起泡結果をもたらす。
【0058】
上記に詳説された実施態様中の素子及び機能の具体的な組み合わせは例示的であるに過ぎず、この及び引用によって組み込まれる他の特許及び機器における他の教示とこれらの教示の交換及び置換も明示的に想定される。当業者が理解するように、ここに記載されたものの変更、修正、及び、他の実施は、請求される本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに、当業者の心に浮かび得る。従って、前述の記載は一例であるに過ぎず、限定的であることは意図されていない。本発明の範囲は、後続の請求項及びそれらの均等物において定められる。さらに、記載中及び請求項中に使用される参照記号は、請求される本発明の範囲を限定しない。
【0059】
(付属)
(隅を通じる流れ直後の圧力変化に関する考察)
図2に示されるような状況を前提として、我々は、流れが描写されるような方向に湾曲されるだけであると推定する。さらに、問題は、一次元のみの状況、故に、図2中に示される平面の外側を調査するよう単純化され、状況は、無限大に継続する。その場合には、我々は、以下の流線に沿ってそれを得る。
【数7】

【0060】
質量保存から、我々は、以下を得る。
【数8】

【0061】
隅内では、求心性加速の故に、隅を通じて流れを駆動するのに必要な圧力勾配があることが示され得る。この圧力勾配は、以下の通りである。
【数9】

【0062】
我々は、半径位置の関数として隅内の流れのための簡単な関係を今や導入する。我々は、以下の通り推定する。
【数10】

ここで、Kは、定数である。(9)及び(10)から、それは以下の通り示され得る。
【数11】

【0063】
(8)及び(10)から、それは以下の通り示され得る。
【数12】

【0064】
我々は(11)のような正確な同じ関係を見つけ出したことが示され得る。故に、正に、隅内の速度は(10)の形態であるとの推定は正しい。我々は、今や、外側及び内側位置での速度を以下のように計算し得る。
【数13】

(13)及び(7)を用いて、圧力差は、正に(14)及び(15)の関係において与えられることが示され得る。
【0065】
主たる結果は、主流内の圧力に対する外側半径内の圧力差P2は、以下のように与えられることである。
【数14】

これは主流内の圧力に対する圧力の増大をもたらす。同様に、隅内の内側半径での圧力は、以下に従った主圧力よりも低いことが示され得る。
【数15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)起泡媒体のための入口と、
b)ある開口直径を有する気体開口と、
c)ポンピング手段と、
d)前述の構成部品を互いに接続する配管とを含み、
前述の構成部品は、連続的な配管系を構成し、
前記ポンピング手段のポンピング作用の故に、大気圧に対する負の圧力差が、前記配管系全体を通じて達成される、
飲料機における使用に適した起泡装置であって、
前記気体入口開口は、前記大気圧に対する圧力差が前記配管系内殆どの他の位置におけるよりも小さい前記配管系内の位置に配置されることを特徴とする、
起泡装置。
【請求項2】
前記配管内に狭窄部を含み、前記配管は、前記起泡媒体のための前記入口と前記ポンピング手段との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の起泡装置。
【請求項3】
e)前記配管は、角度と、内側半径と、中間半径と、外側半径のそれぞれによって特徴付けられる隅部を含み、
f)前記気体入口開口は、前記配管壁内、即ち、前記配管隅部の前記外側地域内に配置されることを特徴とする、
請求項1及び/又は2に記載の起泡装置。
【請求項4】
前記気体入口開口は、前記起泡媒体のための前記入口の前記配管壁内に配置されることを特徴とする、請求項1及び/又は2に記載の起泡装置。
【請求項5】
a)起泡媒体のための入口と、
b)ある開口直径を有する気体入口と、
c)ポンピング手段と、
d)前述の構成部品をそれぞれ接続する配管とを含み
前述の構成部品は、連続的な配管系を構成し、
前記ポンピング手段のポンピング作用の故に、大気圧に対する負の圧力差が、前記配管系全体を通じて達成される、
飲料機における使用に適した起泡装置であって、
前記気体入口開口は、前記気体入口開口によって定められる気体ダクトの長さと前記気体入口開口直径との間の比率が、3よりも大きいように形成されることを特徴とする、
起泡装置。
【請求項6】
飲料機における使用に適した起泡装置内の気体入口の開口直径を減少するための方法であって、前記起泡装置は、
a)起泡媒体のための入口と、
b)ポンピング手段と、
c)前述の構成部品を互いに接続する配管とを含み、
前述の構成部品は、連続的な配管系を構成し、
前記ポンピング手段のポンピング作用の故に、大気圧に対する負の圧力差が、前記配管系全体を通じて達成され、
前記気体入口開口は、大気圧に対する前記圧力差が前記配管系内の殆どの他の位置におけるよりも小さい前記配管系内の位置に配置されることを特徴とする、
方法。
【請求項7】
前記起泡装置は、前記起泡媒体のための入口と前記ポンピング手段との間に配置される、前記配管内の狭窄部を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
e)前記配管は、角度と、内側半径と、中間半径と、外側半径のそれぞれによって特徴付けられる隅部を含み、
f)前記気体入口開口は、前記配管壁内に、即ち、前記配管隅部の外側地域内に配置されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記気体入口開口は、前記起泡媒体のための前記入口の前記配管壁内に配置されることを特徴とする、請求項6乃至8のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
飲料機における使用に適した起泡装置内の気体入口の開口直径を減少するための方法であって、前記起泡装置は、
a)起泡媒体のための入口と、
b)開口直径を有する気体入口と、
c)ポンピング手段と、
d)前述の構成部品を互いに接続する配管とを含み、
前述の構成部品は、連続的な配管系を構成し、
前記ポンピング手段のポンピング作用の故に、大気圧に対する負の圧力差が、前記配管系全体を通じて達成され、前記気体入口開口は、前記気体入口開口によって定められる前記気体ダクトの長さと前記気体入口開口の開口直径との間の比率が、3よりも大きいように形成されることを特徴とする、
方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−512217(P2010−512217A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540912(P2009−540912)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054941
【国際公開番号】WO2008/072141
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】