説明

飲料水配管から固形沈積物を除去することを主たる目的とする、少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤

【課題】公知の物質と予定された用途にまた知られていない物質とを組み合わせて少なくとも一貫して効果的な洗浄作用をもたらし、金属製配管の内壁を攻撃せず、環境との高度の適合性を有し、例えばHClを含有する洗浄剤と同様に生じうる蒸気からの如何なる健康リスクも有さず、かつ製造が簡単かつ廉価であるが、但し、規定された成分の割合が遵守される水溶液中の幾つかの成分からなる混合物を考え出す。
【解決手段】飲料水配管から固形沈積物を除去するための少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤において、1〜14質量%のスルファミン酸と、5〜10質量%のメタンスルホン酸と、0.075〜0.15質量%のホスホノブタン−トリカルボン酸と、0.3質量%の2−プロパノールと、100%までの軟水とを含有することを特徴とする、少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水配管から固形沈積物(鉄閉塞(iron cloggings))を除去することを主たる目的とする、少なくとも4種の成分と水との混合物からなり、そこに追加の水を添加することができる洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の飲料水配管は、圧送出力が一定に保たれても圧力変動が生じて、水の流速に変動がもたらされる理由を突き止めるために定期的に検査せねばならないことは知られている。
【0003】
比較的迅速に直すことができる季節的な条件による損傷とは別に、一つの主要な問題は、上述した飲料水配管の内径の減少である。このことが生ずる率は、配管を流れる飲料水の水質によって左右され、かつそれは"鉄閉塞"と呼ばれるものによって引き起こされる。現在利用可能な方法では、これらの沈積物は、公知の装置(配管スクレーパ)を使用して、機械的洗浄、超音波洗浄もしくは化学的洗浄によって、又は配管に洗浄溶液を流すことによって効果的に除去することができるに過ぎず、それは配管系の複数の区間に閉塞を引き起こす。
【0004】
適切な例は、DE60016414号T2とWO01/42148号A1で提案される解決策であり、その両方は、公知の複数の個々の成分を水溶液において様々に組み合わせることを提案している。固形沈積物は、その溶液を適用して流し去るといった簡単な手段によって除去される。これらの基礎材料は比較的高価であり、また適用と廃棄に費用がかかるので、これらの欠点を克服する代替手段を探さねばならない。
【0005】
他方、多くの場所で依然として、塩酸(HCl)は、濃縮された形態で、消毒剤、例えば過酸化水素もしくは過酢酸と組み合わせて使用されている。前記の物質混合物がはらむ最大の欠点は、数年後に金属製の配管が非常にひどく腐蝕するので、配管を交換せねばならないということである。
【0006】
従って、飲料水システム中の金属製配管を維持するための、すなわち洗浄するための高価な物質混合物の製造及び使用と、あまり高価ではないが高い腐蝕作用を有するHClを用いた洗浄法との両方に取って代わる代替的な解決策を探さねばならない。提案される新たな解決策は、現段階の先行技術の欠点を克服することを目的とする。
【特許文献1】DE60016414号T2
【特許文献2】WO01/42148号A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、公知の物質と予定された用途にまた知られていない物質とを組み合わせて少なくとも一貫して効果的な洗浄作用をもたらし、金属製配管の内壁を攻撃せず、環境との高度の適合性を有し、例えばHClを含有する洗浄剤と同様に生じうる蒸気からの如何なる健康リスクも有さず、かつ製造が簡単かつ廉価であるが、但し、規定された成分の割合が遵守される水溶液中の幾つかの成分からなる混合物を考え出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、飲料水配管から固形沈積物を除去するための、互いに混合でき、均質かつ安定な少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤において、当該洗浄剤が、1〜14質量%のスルファミン酸と、5〜10質量%のメタンスルホン酸と、0.075〜0.15質量%のホスホノブタン−トリカルボン酸と、0.3質量%の2−プロパノールと、100%までの軟水とを含有することを特徴とする、少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤により実現される。
【0009】
本発明に関連する基本概念の詳細については、請求項1に参照がなされるべきである。本発明の更なる詳細は、請求項2(請求項1記載の少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤において、当該洗浄剤が、1〜10質量%の消毒剤が添加された場合に、消毒作用を有することを特徴とする、少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤。)及び請求項3(請求項2記載の少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤において、過酸化水素又は過酸化水素を含む物質、例えば過酢酸を、消毒剤として使用することを特徴とする、少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤。)に示されている。更なる詳細は、本発明がいかにしてそれらの目的を果たしたかをたどるべきである。
【0010】
先行技術に従って現在利用可能な洗浄溶液の1つである塩酸、つまりHClは、溶解された固体を除去する効力を完全に満たす調製物によって完全に置き換えられることが立証された。また、そのことは、同様に使用できる他の無機酸にも当てはまる。
【0011】
スルファミン酸、メタンスルホン酸、ホスホン酸(ホスホノブタン−トリカルボン酸)、2−プロパノール及び軟水は、固形沈積物(鉄閉塞)及びCaCO3沈積物を除去し、かつ同時に水溶液中で幾つかの個々の成分からなる洗浄性混合物を製造するために特に適した物質である。
【0012】
上述の成分を混合して、以下に示される百分率質量:
スルファミン酸、つまりH3NO3S 1%〜14%
メタンスルホン酸 5%〜10%
ホスホノブタン−トリカルボン酸、つまりC7119P 0.075%〜0.15%
2−プロパノール 0.3%
軟水 100%まで
の限界内ですぐに使用可能な溶液を形成させることができる。
【0013】
従って、本発明を、好適な実施例をもって説明する。
【実施例】
【0014】
この実施例において、上述した成分の質量割合は、以下のとおりである:
スルファミン酸 5%
メタンスルホン酸 5%
ホスホノブタン−トリカルボン酸 0.15%
2−プロパノール 3%
軟水 89.55%
更にまた、該洗浄剤は、そこに過酸化水素、C22又は過酸化水素を含む物質、例えば過酢酸といった成分を添加することによって、付加的な通常のもしくは同時の消毒機能を果たすこともできる。また、該洗浄剤は、貯水タンクなどの周辺飲料水プラントを処理するために使用してもよい。
【0015】
提案された洗浄剤の利点は、以下のようにまとめることができる:
当該洗浄剤は、飲料水配管中の全ての公知の固形沈積物を溶解する。
【0016】
当該洗浄剤は、生物学的被膜を破壊する。
【0017】
健康を害する塩素ガスを発生しない。
【0018】
当該洗浄剤は、亀裂が形成された金属製もしくはプラスチック製の配管又はセラミック製の配管の内壁を腐蝕しない。
【0019】
当該洗浄剤は、生分解性であり、環境に優しい製品である。
【0020】
当該洗浄剤は、定められた間隔で洗浄する必要がある飲料水配管と、他の飲料水プラント、特に金属製の周辺タンクの耐用寿命を延長する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水配管から固形沈積物を除去するための、互いに混合でき、均質かつ安定な少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤において、当該洗浄剤が、1〜14質量%のスルファミン酸と、5〜10質量%のメタンスルホン酸と、0.075〜0.15質量%のホスホノブタン−トリカルボン酸と、0.3質量%の2−プロパノールと、100%までの軟水とを含有することを特徴とする、少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤。
【請求項2】
請求項1記載の少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤において、当該洗浄剤が、1〜10質量%の消毒剤が添加された場合に、消毒作用を有することを特徴とする、少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤。
【請求項3】
請求項2記載の少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤において、過酸化水素又は過酸化水素を含む物質、例えば過酢酸を、消毒剤として使用することを特徴とする、少なくとも4種の成分と水との混合物からなる洗浄剤。

【公開番号】特開2008−266562(P2008−266562A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301861(P2007−301861)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(307043304)フローラン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Floran GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Landgraben 4,D−97816 Lohr am Main,Germany
【Fターム(参考)】