説明

飲料用紙パック搬送設備

【課題】搬送の高速化を可能にできる飲料用紙パック搬送設備を提供する。
【解決手段】搬送コンベア1により多数本の紙パック2を飲料が充填された状態で搬送する搬送ライン3を設け、搬送ライン3における搬送中の紙パック2に対し、その紙パック2の外表面に形成してあるバーコード5を読み取るバーコードリーダー6を設け、そのバーコードリーダー6による読取情報を基に、紙パック2夫々の種類を判別する紙パック判別装置7を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベアにより多数本の紙パックを飲料が充填された状態で搬送する搬送ラインを設けてある飲料用紙パック搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記飲料用紙パック搬送設備においては、搬送コンベアで搬送される多数本の紙パックの中に、異種の紙パックが混在することがあり、その異種の紙パックを搬送コンベア上から除去しなければならず、混入する異種の紙パックの判別と、除去操作を人手により行っていた(適切な公知文献が見当たらない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の飲料用紙パック搬送設備において、異種の紙パックの判別と除去操作を人手により行っていたために、搬送の高速化と省人力化を実現するにも限界があるという問題点がある。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、搬送の高速化と省人力化を可能にできる飲料用紙パック搬送設備を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、搬送コンベアにより多数本の紙パックを飲料が充填された状態で搬送する搬送ラインを設け、前記搬送ラインにおける搬送中の紙パックに対し、その紙パックの外表面に形成してあるバーコードを読み取るバーコードリーダーを設け、
そのバーコードリーダーによる読取情報を基に、紙パック夫々の種類を判別する紙パック判別装置を設けてあるところにある。
【0006】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記搬送ラインで搬送中の紙パック夫々のバーコードを読み取るバーコードリーダーを設け、紙パック判別装置によりバーコードリーダーからの読み取り情報を基に、異種の紙パックの存在を判別することにより、作業員による異種の紙パックの判別作業を不要にすると共に、人の視覚による判別の限界を超えて高速で判別できる。
従って、紙パック搬送の高速化および省人力化が可能になる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、前記バーコードリーダーを、前記搬送ラインにおける搬送中の紙パックの周側壁に対して、2面を同時に読み取るように取付けてあるところにある。
【0008】
本発明の第2の特徴構成によれば、前記搬送ラインにおいて搬送される紙パックは、搬送中の引っ掛かりなどによりその向きが変化して、図2、図3に示すように、異なった方向に向いて搬送される場合がある。
その場合、紙パックの一側面の読み取りだけではバーコードの表示されない面が来ると、紙パックの種類が判別できず、その読み取りが不可能になる。
そこで、バーコードリーダーを、前記搬送ラインにおける搬送中の紙パックの周側壁に対して、2面を同時に読み取るように取付けてあることにより、紙パックの向きの異なったものが搬送されてきても、紙パックに付されたバーコードの読み取り精度が向上する。
【0009】
また、前記搬送ラインにおいて搬送される紙パックの種類が変更となりバーコードの位置が異なった紙パックが搬送された場合においても、バーコードリーダーの位置を変えることなく簡便な作業で種類の変更に対応できるので、省人力化の要請をさらに満たすことができる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記バーコードリーダーを、紙パックに対して互いに異なる方向から読取可能に複数箇所に設置してあるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、請求項2の特徴構成と同様に、紙パックの向きの異なったものが搬送されてきても、紙パックに付されたバーコードの読み取り精度がさらに向上する。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記紙パック判別装置からの情報を受けて、前記搬送ライン中に搬送される複数の紙パックの中から異種の紙パックを除外する自動除去装置を設けてあるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、紙パック判別装置により異種の紙パックの存在を検知した後、自動除去装置により搬送中の異種の紙パックを除外させることにより、異種の紙パック除外のための運転停止をなくし無人化運転を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の全体斜視図である。
【図2】第2実施形態の全体斜視図である。
【図3】第2実施形態の平面図である。
【図4】第3実施形態の全体斜視図である。
【図5】第3実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、搬送コンベア1により、飲料用の紙パック2を多数本飲料が充填された状態で搬送する搬送ライン3を設け、搬送ライン3における搬送中の紙パック2の搬送通過を検知する光センサー4を設け、その光センサー4により検知した紙パック2に対し、その紙パック2の外表面に形成してあるバーコード5を読み取るバーコードリーダー6を、光センサー4の下流側に設け、バーコードリーダー6による読取情報を基に、紙パック2夫々の種類を判別する紙パック判別装置7を設けて飲料用の紙パック搬送設備を構成してある。
尚、図中の8は、飲料の注ぎ口を形成するキャップである。
【0016】
ここで、飲料用の紙パック2には必ず製品固有の製品情報が入力されたバーコード5が付されている。このバーコード5を利用して製品情報をバーコードリーダー6によって読み取った読取情報を基に、紙パック2夫々の種類を紙パック判別装置7で判別する。紙パック判別装置7において、搬送される紙パック2の種類の読取情報を予め記憶するだけで、バーコードリーダー6によって読み取った読取情報から判別する紙パック2夫々の種類と、予め記録された紙パック2の種類とを照合し、種類が異なっていれば異種の紙パックと判別する。
【0017】
(第2実施形態)
図2及び図3に示すように、搬送コンベア1により、飲料用の紙パック2を多数本飲料が充填された状態で搬送する搬送ライン3を設け、搬送ライン3における搬送中の紙パック2の搬送通過を検知する光センサー4を設け、その光センサー4により検知した紙パック2に対し、その紙パック2の外表面に形成してあるバーコード5を読み取るバーコードリーダー6を、光センサー4の下流側で、搬送ライン3における搬送中の紙パック2の周側壁に対して、2面を同時に読み取るように搬送ライン3に対して斜め方向から向けて取付け、バーコードリーダー6による読取情報を基に、紙パック2夫々の種類を判別する紙パック判別装置7を設けて紙パック搬送設備を構成してある。
この設備により、紙パック2のバーコード付設面が、他の紙パック2と異なった方向を向いていても、バーコード5の読み取り精度を向上できるようにしてある。
【0018】
また、搬送される紙パック2の種類が変更となり、紙パック2のバーコード付設面が異なった別の紙パック2、例えば従来は紙パック2の側面にバーコード付設面があったものが、裏面にバーコード付設面のある紙パック2が搬送コンベア1により搬送された場合でも、バーコードリーダー6の位置を変えることなく、バーコード5の読取情報をバーコードリーダー6によって読み取ることができる。特に、飲料用紙パック搬送装置においては、搬送コンベア1によって搬送される紙パック2の種類が頻繁に切り替えられるとともに、紙パック2のデザインの変更が行われる。このような場合においても、図2及び図3に示すように、バーコード5を読み取るバーコードリーダー6を紙パック2の周側壁に対して、2面を同時に読み取るように搬送ライン3に対して斜め方向から向けて取付けてあるので、紙パック2の種類の切り替えやデザインの変更があってもバーコードリーダー6の位置を変える必要がなく、紙パック判別装置7の設定変更を大きく変える必要がない。
【0019】
(第3実施形態)
図4及び図5に示すように、搬送コンベア1により、飲料用の紙パック2を多数本飲料が充填された状態で搬送する搬送ライン3を設け、搬送ライン3における搬送中の紙パック2の搬送通過を検知する光センサー4を設け、その光センサー4により検知した紙パック2に対し、その紙パック2の外表面に形成してあるバーコード5を読み取るバーコードリーダー6を、光センサー4の下流側で、搬送ライン3における搬送中の紙パック2の周側壁に対して、2面を同時に読み取るように搬送ライン3に対して斜め方向から向けて取付けると共に、紙パック2に対して互いに異なる方向から読取可能に複数箇所に設置し、バーコードリーダー6による読取情報を基に、紙パック2夫々の種類を判別する紙パック判別装置7を設けて飲料用の紙パック搬送設備を構成してある。
この設備により、第2実施形態と同様に、紙パック2のバーコード付設面が、他の紙パック2と異なった方向を向いていても、バーコード5の読み取り精度をさらに向上できるようにしてある。
【0020】
また、複数個所に設置されたバーコードリーダー6夫々の読取情報の読み取りの時間差や読み取りの有無により、紙パック2の方向を判別することも可能である。飲料が充填された飲料用紙パックは、飲料用の紙パック搬送設備よりも後段の図示しない印字設備において製造日等が印字されるが、この印字には紙パック2の方向が印字に必要な適正な方向である必要がある。そこで、複数のバーコードリーダー6から紙パック2の方向を判別し、予め決められた適正な方向であるかどうかを確認する。判別した結果ある紙パック2が不適正な方向である場合には、不適正な方向であることを後段の印字設備に送信し、印字設備にて不適正な方向の紙パック2を除外する等の処理を行う。
【0021】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
〈1〉 前記バーコードリーダー6は、2面を同時に読み取るように搬送ライン3に対して斜め方向から向けて取付ける以外に、搬送中の紙パック2の夫々異なる側壁面を個別に読み取る方向に複数設けてあってもよい。
〈2〉 前記バーコードリーダー6は、図1から図5に記載されている位置や斜め方向の角度に限られず、搬送中の紙パック2のバーコード付設位置に応じて、自動または手動で適宜変更できるようになっていてもよい。
〈3〉 紙パック判別装置7からの情報を受けて、搬送ライン3中に搬送される複数の紙パック2の中から異種の紙パック2を除外する自動除去装置(図外)を設けてあれば、異種の紙パック除外のための運転停止をなくし紙パック搬送設備の無人化が可能になる。
〈4〉 さらに、搬送ライン3においてバーコードリーダー6の上流側のいずれかの位置に、紙パック2に付着して水滴を除去する図示しない水滴除去装置を設けてもよい。紙パック2に水滴が付着しているとバーコード5からの読取情報を誤検知する場合がある。そこで、水滴除去装置にてエアー等で付着した水滴を吹き飛ばすことで、紙パック2に付着した水滴を除去し、誤検知を防止することが可能である。
【0022】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
1 搬送コンベア
2 紙パック
3 搬送ライン
5 バーコード
6 バーコードリーダー
7 紙パック判別装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベアにより多数本の紙パックを飲料が充填された状態で搬送する搬送ラインを設け、前記搬送ラインにおける搬送中の紙パックに対し、その紙パックの外表面に形成してあるバーコードを読み取るバーコードリーダーを設け、
そのバーコードリーダーによる読取情報を基に、紙パック夫々の種類を判別する紙パック判別装置を設けてある飲料用紙パック搬送設備。
【請求項2】
前記バーコードリーダーを、前記搬送ラインにおける搬送中の紙パックの周側壁に対して、2面を同時に読み取るように取付けてある請求項1に記載の飲料用紙パック搬送設備。
【請求項3】
前記バーコードリーダーを、紙パックに対して互いに異なる方向から読取可能に複数箇所に設置してある請求項1または2のいずれかに記載の飲料用紙パック搬送設備。
【請求項4】
前記紙パック判別装置からの情報を受けて、前記搬送ライン中に搬送される複数の紙パックの中から異種の紙パックを除外する自動除去装置を設けてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料用紙パック搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−218301(P2011−218301A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90755(P2010−90755)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【Fターム(参考)】