説明

飲酒運転防止装置

【課題】人為的に低温空間を構築することによるアルコールインターロックの不正回避を防止する。
【解決手段】所定の温度範囲で運転者呼気のアルコール濃度を検出可能な第1検出手段と、該アルコール濃度の検出がなされる空間の温度を検出可能な第2検出手段とを備えた車両において、飲酒運転防止装置(100)は、上記空間の二酸化炭素濃度に対応付けられた参照値を取得する取得手段と、上記取得された参照値に基づいて上記二酸化炭素濃度の変化量が基準変化量以上であるか否かを判別する判別手段と、上記検出された温度が上記温度範囲の下限値に対応する基準温度未満である場合において上記変化量が上記基準変化量以上であると判別された場合に車両の始動を禁止する禁止手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の飲酒運転を防止するための飲酒運転防止装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、車両を運転する乗務員であることを特定するための本人特定音声識別手段と、当該乗務員の呼気中に含まれるアルコールを検出するためのアルコール検出手段を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された装置によれば、本人特定音声識別手段における音声入力部とアルコール検出手段における呼気吹き込み部とを互いに近接させて配設することにより、他人の成りすましを防ぐことが可能であるとされている。
【0003】
尚、運転者の飲酒の検出に関しては、例えば、特許文献2にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−305459号公報
【特許文献2】特許第4241904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、運転者呼気中のアルコール濃度の検出に供される各種のセンサの中には、予めアルコール濃度の検出精度が担保される温度範囲が設定されたものがある。この種のセンサが飲酒運転防止装置に適用される場合、飲酒運転防止装置の誤作動を防止する観点からは、運転者呼気中のアルコール濃度を検出する処理を当該温度範囲内で行う必要がある。
【0006】
しかしながら、センサ周囲の温度は、例えば地理条件、時間条件及び気象条件等の各種自然条件によっては、当該温度範囲よりも低温側へ逸脱することも珍しくはない。
【0007】
このため、アルコールインターロックの誤作動を防止する観点から、センサ又はセンサ周囲の温度が当該温度範囲よりも低温側の温度範囲にある場合に、無条件にアルコールインターロックを解除する或いはアルコールインターロックを無効とする等といった制御を採用する飲酒運転防止装置もある。
【0008】
尚、本明細書における「アルコールインターロック」とは、飲酒運転防止を目的とした、車両又はその動力源の始動を禁止することを含む一又は複数の措置を意味する。また「アルコールインターロックの誤作動」とは、端的には、運転者が飲酒していないにもかかわらずインターロックが作動することを意味する。
【0009】
ところが、このような低温条件においてアルコールインターロックを解除或いは無効化した場合、例えば、固体二酸化炭素(ドライアイス)等の極低温体を利用する等してセンサ周囲に極低温空間(例えば、ドライアイスの昇華点は、1気圧で約−79℃であるから、ドライアイス周囲の温度は相応に低温である)が構築される場合にも、アルコールインターロックは解除或いは無効化されることになる。
【0010】
ここで特に、特許文献1に開示される装置においては、このような人為的に低温空間が構築される可能性が考慮されていない。そのため他人の「成り済まし」によるアルコールインターロックの不正回避が防止されたとしても、人為的に低温空間を構築することによるアルコールインターロックの不正回避を防止することが困難である。即ち、特許文献1に開示される装置には、飲酒運転を確実に防止することが困難であるという技術的問題点がある。この問題点は、特許文献2に開示される技術思想を適用した場合にも同様に生じ得る。
【0011】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、人為的に低温空間を構築することによるアルコールインターロックの不正回避を防止可能な飲酒運転防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため、本発明に係る飲酒運転防止装置は、所定の温度範囲で運転者呼気のアルコール濃度を検出可能な第1検出手段と、該アルコール濃度の検出がなされる空間の温度を検出可能な第2検出手段とを備えた車両における飲酒運転防止装置であって、前記空間の二酸化炭素濃度に対応付けられた参照値を取得する取得手段と、前記取得された参照値に基づいて前記二酸化炭素濃度の変化量が基準変化量以上であるか否かを判別する判別手段と、前記検出された温度が前記温度範囲の下限値に対応する基準温度未満である場合において前記変化量が前記基準変化量以上であると判別された場合に、前記車両の始動を禁止する禁止手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る「アルコール濃度の検出がなされる空間」とは、第1検出手段の物理構成及びアルコール濃度の検出態様並びに第1検出手段の周辺機器類の構成等に応じて適宜規定される空間である。端的には、第1検出手段を取り巻く空間等を意味する。
【0014】
また、この空間は、運転者呼気のアルコール濃度を検出するにあたっての検出精度が、その温度により変化する空間とも言い換えられる。例えば、検出手段が、半導体式アルコール濃度センサである場合、当該空間とは、前記センサにおける感ガス体表層部の任意の部分、位置若しくは領域又は感ガス体近傍の空間であってもよい。尚、この場合、第2検出手段により検出される「空間の温度」とは、感ガス体そのものの温度であってもよい。
【0015】
本発明に係る「基準温度」とは、それ以下又は未満の温度範囲でアルコールインターロックの誤作動が起こり得ると判断される温度を意味する。基準温度の設定態様は、このような概念に基づいたものである限り一意に規定されるものではない。例えば、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいてアルコール濃度の検出精度が所定基準以上確保される旨が規定された温度範囲の下限に対応する温度であってもよい。或いは、動作保証温度範囲や動作推奨温度範囲等といった温度範囲が設定される場合には、当該温度範囲の下限値又は当該下限値に対応する値(例えば、誤作動防止側(高温側)に一定のマージンを与えた値)等であってもよい。
【0016】
本発明に係る飲酒運転防止装置では、取得手段により、上記空間の二酸化炭素濃度に対応付けられた参照値が取得される。取得手段に係る「取得する」とは、例えば電気信号等として所定のバスライン等を介して取得すると言った態様の他に、検出、推定、同定、導出、算出及び選択等の各種態様を含む概念である。
【0017】
尚、運転者呼気のアルコール濃度を正確に検出しようとすれば、飲酒運転防止装置において、上記空間に導かれた入力ガスが運転者呼気であるか否かを判別する措置が講じられるのが望ましい。この場合、例えば、風船やガススプレー等を用いた各種の不正が行われている場合に、入力ガスが運転者呼気であるか否かを入力ガスにおける二酸化炭素濃度あるいは酸素濃度の検出結果等に基づいて判別することで、入力ガスが運転者呼気であるか否かを判別することが可能となる。
【0018】
ここで、取得手段により取得される「参照値」とは、上記空間の二酸化炭素濃度、或いは上記空間の二酸化炭素濃度の変化に対し一対一、一対多、多対一又は多対多に変化し且つその変化特性が特定され得る値を意味する。例えば、後者の値とは、検出空間の酸素濃度の変化に対し一対一、一対多、多対一又は多対多に変化し且つその変化特性が把握され得る値(当該酸素濃度そのものを含む)であってもよい。ここで特に、第1検出手段によるアルコール濃度の検出精度を規定する上記空間の温度は、上記各種自然条件により低下することもあれば、ドライアイス等の固体二酸化炭素を利用することにより人為的に低下することもある。これらは、第2検出手段により検出される上記空間の温度からは区別することができない。
【0019】
一方で、当該空間の温度が上述の各種自然条件により低下した場合、当該空間におけるガスの組成比率は、大気中のガスの組成比率と比べ大きく変化することは殆どない。しかし、ドライアイス等の固体二酸化炭素を利用することにより人為的に低温空間が構築された場合、当該空間における二酸化炭素濃度は、その前後において急激に変化する。
【0020】
従って、上記空間における二酸化炭素濃度の変化量は、基準変化量が的確に設定されることによって、低温空間が自然に発生したものか人為的に発生したものかを判別するための指標として有効に機能する。
【0021】
尚、基準変化量は、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて設定される固定又は可変な値であってもよい。例えば、運転者呼気入力以前における上記空間の体積及び二酸化炭素濃度が既知であれば、人間の呼気が当該空間に入力された場合における二酸化炭素濃度の変化量又は変化量の範囲を推定することは可能である。このような場合、この推定された変化量或いはその範囲を基準変化量相当値として扱ってもよい。
【0022】
本発明に係る飲酒運転防止装置によれば、判別手段が、この取得された参照値に基づいて当該二酸化炭素濃度の変化量が基準変化量以上であるか否かに係る判別を行う。係る判別動作によって、ドライアイス等の固体二酸化炭素を利用することによって行われた、運転者呼気のアルコール濃度の検出が行われる空間の温度を基準温度未満に低下させる行為を検出することが可能となる。即ち、第1検出手段がアルコール濃度を検出するにあたっての検出精度が担保され難い低温環境が、自然に発生したものであるか、人為的に発生したものであるかを明確に切り分けることが可能となる。従って、アルコールインターロックの発動を不正に回避しようとする行為を検出することが可能となる。
【0023】
尚、大気条件下の二酸化炭素濃度は、概ね一定の範囲に収まり得る。そのため判別手段により上記判別動作に供される二酸化炭素濃度の変化量は、二酸化炭素濃度と等価な意味を有し得る。
【0024】
ここで、本発明に係る飲酒運転防止装置によれば、上述した判別手段に係る判別動作を経て、禁止手段が、上記空間の二酸化炭素濃度の変化量が基準変化量以上である場合に車両の始動を禁止する。
【0025】
従って、本発明によれば、アルコールインターロックの誤作動を防止するために、当該空間の温度が基準温度未満である場合にアルコールインターロックを解除或いは無効化するといった必要はなくなる。そのため正確に車両の始動を禁止することが可能となり、飲酒運転を確実に防止することが可能となるのである。
【0026】
尚、本発明に係る第1検出手段は、好適な一形態として、例えば感ガス体表面にアルコールが吸着することにより生じる当該感ガス体の電気抵抗値の変化等に基づいて上記空間のアルコール濃度を検出可能な半導体式アルコール濃度センサである。半導体式アルコール濃度センサは、赤外線式アルコール濃度センサや、燃料電池式アルコール濃度センサ等と較べて、コスト及び搭載性の面で有利であり、車載用センサとして好適である。
【0027】
一方、半導体式アルコール濃度センサにおいては、上記空間に導かれた運転者呼気中のアルコールが感ガス体表面に吸着される必要がある。そのため、上記空間が、例えば運転者呼気が氷結する程度に低温(例えば、−40℃程度)である場合には、感ガス体表面に氷結膜が形成されることによってアルコール濃度の吸着が阻害され、運転者呼気中のアルコール濃度が電気抵抗値の変化に正確に反映されにくくなることがある。
【0028】
先に述べたように、ドライアイスの昇華点は1気圧で−80℃前後であるから、ドライアイス等の固体二酸化炭素を使用することによって上記空間が低温に維持された場合、この種の半導体式アルコール濃度センサにおいてはアルコール濃度の検出精度が低下し易い。従って、第1検出手段がこの種の半導体式アルコール濃度センサである場合において、本発明に係る飲酒運転防止装置は顕著に効果的である。
【0029】
本発明に係る飲酒運転防止装置の一の態様では、前記禁止手段は、前記検出された温度が前記基準温度以上である場合において前記検出されたアルコール濃度が基準濃度以上である場合に前記車両の始動を禁止する。
【0030】
この態様によれば、第2検出手段により検出された上記空間の温度が上記基準温度以上である場合には、第1検出手段により検出されたアルコール濃度が上記基準濃度以上である場合に車両の始動が禁止される。即ち、第1検出手段によるアルコール濃度の検出精度が十分に確保される状況下においては、検出されたアルコール濃度に基づいて正確にアルコールインターロックが発動する。従って、飲酒運転を確実に防止することが可能となる。
【0031】
尚、「検出されたアルコール濃度が基準濃度以上である場合に」とは、必ずしもこのような場合の全てを意味するものではなく、より細分化された条件下でアルコールインターロックが発動することを含む趣旨である。
【0032】
本発明に係る飲酒運転防止装置の他の態様では、前記取得手段は、前記参照値として、前記空間の酸素濃度又は二酸化炭素濃度を取得する。
【0033】
この態様によれば、取得手段は、酸素濃度又は二酸化炭素濃度を上述した参照値として取得する。
【0034】
ここで、本発明に係る飲酒運転防止装置に限らず、飲酒運転防止装置に類する装置には、好適には、上記空間に導かれた入力ガスが運転者呼気であるか否かを判別するために、上記空間の酸素濃度又は二酸化炭素濃度を検出可能なセンサ等の検出手段が備わっている。従って、取得手段は、予め備わり得るこの種の検出手段の検出結果を流用してコストの増加や搭載性の悪化を招くことなく当該空間の酸素濃度又は二酸化炭素濃度を取得することができる。
【0035】
従って、この態様によれば、元より車両又は飲酒運転防止装置に備わり得るこの種の検出手段を利用することにより、低温条件下における正確なアルコールインターロックの正確な発動を効率的に促すことが可能となる。
【0036】
本発明に係る飲酒運転防止装置の他の態様では、前記取得手段は、前記参照値として、前記空間の酸素量又は二酸化炭素量を取得する。
【0037】
当該空間の酸素量又は二酸化炭素量は、当該空間の容積が予め固定値であれば、即ち当該空間の酸素濃度又は二酸化炭素濃度と一義的であり、参照ちとして有効である。尚、この場合、酸素量又は二酸化炭素量を基準値と比較することによって、当該空間の二酸化炭素濃度の変化量が基準変化量以上であるか否かの判別がなされてもよい。
【0038】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る飲酒運転防止装置のブロック図である。
【図2】図1の飲酒運転防止装置におけるユーザインターフェイス部の正面平面図である。
【図3】図1の飲酒運転防止装置における検出部の概略側面断面図である。
【図4】図1の飲酒運転防止装置においてECUにより実行される飲酒運転防止制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<発明の実施形態>
以下に、本発明の一実施形態として、飲酒運転防止システム10について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、飲酒運転防止システム10の構成について説明する。ここに、図1は、飲酒運転防止システム10のブロック図である。
【0041】
図1において、飲酒運転防止システム10は、図示せぬ車両に搭載された、当該車両の飲酒運転を防止するための装置であり、制御部100、検出部200及びインターフェイス部300を備えて構成される。
【0042】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、飲酒運転防止システム10の動作を制御可能に構成された、本発明に係る「飲酒運転防止装置」の一例たるECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)である。制御部100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する飲酒運転防止制御を実行可能に構成されている。
【0043】
尚、このような構成は一例に過ぎず、本発明に係る飲酒運転防止装置は、例えば、各手段が、或いは装置全体が、一又は複数のCPU、MPU(Micro Processing Unit)、ECU、各種プロセッサ又は各種コントローラ等として構成されていてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、制御部100に検出部200及びインターフェイス部300を加えたシステムとして飲酒運転防止システム10が構成されるが、これらの付帯要素を伴う飲酒運転防止システム10もまた、広義において本発明に係る飲酒運転防止装置の一形態である。
【0045】
検出部200は、制御部100により実行される飲酒運転防止制御に係る各種検出動作を行う検出ユニットである。検出部200は、撮像装置210、画像処理装置220、送風ファン230及びセンサ群240を備えており、各々が制御部100と電気的に接続され、制御部100により上位に制御される構成となっている。
【0046】
撮像装置210は、デジタル記録方式のビデオカメラであり、レンズ211及び画像処理部212を備える。
【0047】
レンズ211は、後述するインターフェイス部300に設置された、被写体からの入力光を集光する光学装置である。
【0048】
画像処理部212は、多数の撮像素子を備え、レンズ211を介して得られた被写体からの入力光に基づいて被写体に係る画像情報を生成する撮像ユニットである。
【0049】
画像処理装置220は、撮像装置210により得られた被写体の画像情報と、公知のパターン認識アルゴリズムとに基づいて、呼気入力者と車両の運転者(本実施形態において運転席に着座している者を指す)とが同一であるか否かの判定処理を実行可能に構成されている。当該判定処理の実行結果に相当する情報、即ち、呼気入力者と運転者とが同一であるか否かに係る情報は、制御部100側からの要請に応じて適宜制御部100に送出される構成となっている。
【0050】
送風ファン230は、後述する検出空間200B内に回転可能に設置された翼車部と当該翼車部を駆動する駆動部(符合省略)とから構成される攪拌装置である。駆動部は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100によりその動作が制御される構成となっている。尚、翼車部と検出空間200Bとの位置関係については後述する。
【0051】
センサ群240は、制御部100が飲酒運転防止制御を実行するにあたってそのセンサ値が参照される複数のセンサから構成される。センサ群240は、温度センサ241、CO2センサ242、アルコールセンサ243、湿度センサ244、妨害ガスセンサ245及び運転席荷重センサ246から構成される。
【0052】
温度センサ241は、後述する検出空間の温度Tmpを検出可能に構成された、本発明に係る「第2検出手段」の一例たるセンサである。温度センサ241は、制御部100と電気的に接続されており、検出された温度Tmpは、主として飲酒運転防止制御の実行期間において制御部100により参照される構成となっている。
【0053】
CO2センサ242は、検出空間の二酸化炭素濃度Dco2を検出可能に構成されたセンサである。CO2センサ242は、制御部100と電気的に接続されており、検出された二酸化炭素濃度Dco2は、主として飲酒運転防止制御の実行期間において制御部100により参照される構成となっている。
【0054】
アルコールセンサ243は、検出空間200Bに導かれた入力ガスのアルコール濃度Dalcを検出可能に構成された、本発明に係る「第1検出手段」の一例たるセンサである。アルコールセンサ243は、制御部100と電気的に接続されており、検出されたアルコール濃度Dalcは、主として飲酒運転防止制御の実行期間において制御部100により参照される構成となっている。
【0055】
尚、後述するように、飲酒運転防止制御において当該入力ガスとして運転者呼気が入力された場合、検出空間200Bは、略均一に運転者呼気で満たされる。従って、運転者呼気のアルコール濃度Dalcは、実質的に検出空間200Bのアルコール濃度Dalcと同義である。
【0056】
また、アルコールセンサ243は、半導体材料で構成された感ガス体を有し、当該感ガス体表面にアルコールが吸着することにより生じる当該感ガス体の電気抵抗値の変化に基づいてアルコール濃度を検出可能な、半導体式アルコール濃度センサである。このため、アルコールセンサ243は、その構成上、応答性に優れる反面、アルコール濃度の検出精度が、その設置環境、特に検出空間200Bの温度に依存し易い。このため、本実施形態において、アルコールセンサ243には、動作保証下限温度Tllが予め定められている。
【0057】
動作保証下限温度Tllは、それ未満の温度範囲において運転者呼気の氷結が起こり得るものとして定められた温度であり、本実施形態では概ねー40℃前後の値である。運転者呼気が感ガス体表面で氷結すると、感ガス体の電気抵抗値と運転者呼気のアルコール濃度との関係性が変化して、アルコール濃度Dalcの精度が低下してしまうため、この動作保証下限温度Tllが、一種の判断基準として利用される。尚、動作保証下限温度Tllは、本発明に係る「温度範囲の下限値」の一例である。
【0058】
湿度センサ244は、検出空間の湿度Mを検出可能に構成されたセンサである。湿度センサ244は、制御部100と電気的に接続されており、検出された湿度Mは、主として飲酒運転防止制御の実行期間において制御部100により参照される構成となっている。
【0059】
妨害ガスセンサ245は、検出空間の妨害ガス濃度Djamを検出可能に構成されたセンサである。妨害ガスセンサ245は、制御部100と電気的に接続されており、検出された妨害ガス濃度Djamは、主として飲酒運転防止制御の実行期間において制御部100により参照される構成となっている。
【0060】
尚、妨害ガスとは、結果としてアルコールセンサ243によるアルコール濃度の検出を妨害する作用を有するガスを意味する。本実施形態においては、主としてVOC(揮発性有機化合物)を指す。検出空間内に妨害ガスが充満している場合、アルコールセンサ243の感ガス体の電気抵抗値が、当該妨害ガスによって変化するため、運転者呼気中のアルコール濃度の検出精度が低下してしまうのである。
【0061】
運転席荷重センサ246は、運転席の複数個所に埋め込まれ、当該埋め込み箇所に加わる荷重を検出可能に構成されたセンサである。運転席荷重センサ246は、制御部100と電気的に接続されており、検出された荷重値は、主として飲酒運転防止制御の実行期間において制御部100により参照される構成となっている。尚、この制御部100においては、この複数個所における荷重値を予め設定された判別アルゴリズムに基づいて解析し、最終的に運転席に運転者が着座しているか否かを判別する構成となっている。
【0062】
但し、運転席に運転者が着座しているか否かについては、先述した画像処理装置220がパターン認識処理を実行することによって判別されてもよい。この場合、運転席荷重センサは、運転席に運転者に相当する荷重が加わっていることを検出するのみであってもよい。
【0063】
インターフェイス部300は、運転者と検出部200との間に介在するインターフェイスユニットであり、先述した撮像装置210のレンズ211、呼気入力部310、表示部320及び操作部330を備える。
【0064】
呼気入力部310は、飲酒運転防止制御の実行時において運転者が呼気を吹き込むための吹き込み口である。尚、呼気入力部310と検出部200に属する各部との位置関係については後述する。
【0065】
表示部320は、発光素子としてのLEDを備えたインジケータであり、運転者に対しLEDの点灯態様に応じた各種の情報を告知する装置である。表示部320は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100によりLEDの発光状態が制御される構成となっている。
【0066】
操作部330は、運転者の操作を促すボタンスイッチ装置である。操作部330は、制御部100と電気的に接続されており、操作部330の操作状態は、制御部100によって常時把握される構成となっている。また、操作部330が押下操作されると、飲酒運転防止制御の開始を促すトリガ信号が生成される構成となっている。
【0067】
ここで、図2を参照し、インターフェイス部300の詳細な構成について説明する。ここで、図2は、インターフェイス部300の正面平面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
【0068】
図2において、インターフェイス部300は、ケース300Aを外郭体とし、ケース300A内に先述したレンズ211、呼気入力部310、表示部320及び操作部330が収容された構成を有する。
【0069】
インターフェイス部300において、レンズ211は、呼気入力部310に呼気を入力する者としての呼気入力者が、その呼気入力時において運転席に着座しているか否か(即ち、運転者であるか否か)、また着座体勢から不正無く呼気を入力しているか否かを、先述した画像処理装置220により判定可能な程度に呼気入力者を撮像できるように、その光学系の仕様及び設置態様が決定されている。
【0070】
呼気入力部310は、図示するように、平面視格子状をなしており、格子が形成されない間隙部分において、車両の室内と後述する検出空間200B(図示奥行方向に伸長する空間である)とを連通させる構成となっている。
【0071】
飲酒運転防止制御において、呼気の入力を促された運転者は、この呼気入力部310の至近(より具体的には、画像処理装置220によって、正常な呼気入力が実行されていると判定され得る範囲内の位置)から呼気を吹き込む構成となっている。
【0072】
次に、図3を参照し、検出部200の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、検出部200の構成を概念的に表してなる概略側面断面図である。尚、同図において、図1及び図2と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。また、図3は、検出部200において、特に呼気入力部310と連通する前述した検出空間200Bの概略側面断面を表したものである。
【0073】
図3において、検出部200は、その外郭体が検出ボックス200Aによって規定される。検出ボックス200Aは、略円筒状の部材であり、空洞部分が、本発明に係る「空間」の一例たる検出空間200Bをなしている。
【0074】
検出ボックス200Aには、その長手方向一端部にインターフェイス部300の呼気入力部310が接続されており、呼気入力部310を介して運転者呼気が入力されると、入力された運転者呼気が検出空間200Bに導かれる構成となっている。
【0075】
上述した送風ファン230の翼車は、この検出空間200Bの入口近傍に設置されており、回転駆動されると、入力された運転者呼気を攪拌しつつ(図示破線軌跡参照)下流側に送出する構成となっている。このため、送風ファンの稼動期間において、検出空間200Bは略均一なガス状態に維持される。
【0076】
一方、センサ群240のうち、運転席荷重センサ246を除く5個のセンサ(即ち、温度センサ241、CO2センサ242、アルコールセンサ243、湿度センサ244及び妨害ガスセンサ245)は、検出用の端子の一部を検出空間200Bに露出させた状態で、検出ボックス200Aに固定されている。
【0077】
<実施形態の動作>
図3に示されるように、飲酒運転防止システム10において、アルコールセンサ243は、検出空間200Bに、検出用の端子たる上述した感ガス体の一部を露出させている。従って、検出空間200Bの温度(即ち、温度センサ241により検出される温度Tmp)が、アルコールセンサ243の温度が上記動作保証下限温度Tll未満となる程度に低温である場合、既に述べたように、そのアルコール濃度の検出精度が著しく低下する可能性がある。
【0078】
ここで、このような極低温空間は、車両に係る各種自然条件によって構築される可能性もあるが、一方で、ドライアイス等の固体二酸化炭素を利用すること(例えば、ドライアイスでインターフェイス部300或いは検出ボックス200Aを覆う或いはドライアイスを細かく砕いて呼気入力部310から検出空間200Bに充填する等の措置を講じることを意味する)等によって人為的に構築される可能性もある。
【0079】
そこで、本実施形態では、飲酒運転防止制御によって、人為的に極低温空間を構築することによるアルコールインターロックの不正回避を防止することが可能となっている。
【0080】
ここで、図4を参照し、実施形態の動作として、飲酒運転防止制御の詳細について説明する。ここに、図4は、飲酒運転防止制御のフローチャートである。尚、先述したように、飲酒運転防止制御は、運転者等の操作者により操作部330を介して飲酒運転防止制御の開始が要求された場合に開始される制御である。
【0081】
図4において、制御部100は、開始条件が満たされるか否かを判別する(ステップS101)。開始条件とは、(1)車両がイグニッションオフ状態であり、且つ(2)運転席に運転者が着座中であることを指す。尚、(1)の条件は、車両の動作制御上必要な情報として、制御部100又は他のECUに把握されるイグニッション状態に関する情報に基づいて判別可能であり、(2)の条件は、既に述べたように、運転席荷重センサ246のセンサ値に基づいて判別可能である。開始条件が満たされない場合(ステップS101:NO)、ステップS101は繰り返し実行され、実質的に処理が待機状態に維持される。
【0082】
開始条件が満たされる場合(ステップS101:YES)、制御部100は、上述したように送風ファン230の駆動制御を開始し、検出空間200Bが先述した低温空間であるか否かを判別する(ステップS102)。ステップS102において、制御部100は、温度センサ241により検出される検出空間200Bの温度Tmpが先述した動作保証下限温度Tll未満であるか否かを判別する。本実施形態では、動作保証下限温度Tllが、本発明に係る「温度範囲の下限値に対応する基準温度」を兼ねている。但し、温度Tmpとの比較判別に供される値は、必ずしも動作保証下限温度Tllでなくてもよく、動作保証下限温度Tllに対し、高温側或いは低温側にある程度のマージンを与えた値であってもよい。
【0083】
検出空間200Bの温度が、アルコールセンサ243の動作保証範囲に属する場合(ステップS102:NO)、即ち、アルコールインターロックの発動に係る飲酒状態の検出を正確に行い得ると判断される場合、制御部100は、表示部320を点灯或いは点滅制御して、運転者に対し呼気の入力を促す(ステップS106)。
【0084】
一方、呼気の入力を促すと同時に、制御部100は、撮像装置210を制御して運転者の撮像を開始する(ステップS107)。運転者の撮像が開始されると、制御部100は更に、画像処理装置220を制御して、呼気入力者(尚、この段階で呼気入力がなされている必要はない)が運転者であるかの認証処理を実行し、呼気入力者が運転者であるか否かを判別する(ステップS108)。呼気入力者が運転者である場合(ステップS108:YES)、制御部100は、呼気入力がなされたか否かを判別し(ステップS109)、呼気入力がなされるまで処理を待機状態とする。尚、呼気入力がなされたか否かは、各種センサ値の変化及び画像処理装置220によるパターン認識結果等に基づいて判別することができる。
【0085】
運転者による呼気入力がなされた場合(ステップS109:YES)、制御部100は、呼気判定処理を実行する(ステップS110)。呼気判定処理とは、運転者により入力された呼気が、人間の呼気であるか否かを判定する処理である。即ち、ステップS108に係る、呼気入力者が運転者であるか否かの判別処理に加え、呼気入力者として認証された運転者が、不正な道具を使用して呼気以外のガスを呼気入力部310に入力していないかが判別される。
【0086】
具体的には、ステップS110において、制御部100は、温度センサ241により検出される温度Tmp、CO2センサ242により検出されるCO2濃度Dco2及び湿度センサ244により検出される湿度Mに基づいて、運転者呼気とされる入力ガスが人間の呼気であるか否かを判別する。より具体的には、人間の呼気と判断され得る温度、湿度及びCO2濃度の基準値が、予め制御部100のROMに格納されており、制御部100は、各センサ値とこれら各種基準値とを比較することによって総合的に当該判別を実行する構成となっている。
【0087】
入力ガスが呼気である場合(ステップS111:YES)、即ち、検出空間200Bが運転者呼気で満たされている場合、制御部100は、当該運転者呼気のアルコール濃度が予め設定された基準値未満であるか否かを判別する(ステップS112)。ここで、アルコール濃度Dalcとの比較判別に供される当該基準値は、その時点の法規上の基準値に対応付けられる形で設定されている。
【0088】
尚、ステップS112を実行するにあたり、制御部100は、妨害ガスセンサ245により検出される妨害ガス濃度Djamが基準値未満であるか否かを併せて判別する。アルコールセンサ243は、半導体式アルコール濃度センサの性質上、気体の選択性に乏しく、VOC等の妨害ガスも、運転者呼気中のアルコール成分も、共に感ガス体の電気抵抗値の変化となって現れる。このため、妨害ガスが規定量以上存在する環境下では、運転者呼気のアルコール濃度判定に係る信頼性が低下してしまう。妨害ガス濃度Djamが基準値以上である場合、妨害ガス濃度Djamが基準値未満に低下するまでステップS112の実行は待機される。
【0089】
ステップS112において、運転者呼気のアルコール濃度Dalcが基準値未満である場合(ステップS112:YES)、制御部100は、車両のエンジン始動を許可する(ステップS113)。尚、飲酒が検出されなかった旨は、表示部320の点灯制御或いは点滅制御によって運転者に即座に告知される。この場合の表示部320の表示態様は、先の呼気吹き込みを促す際のものとは異なっていてよい。エンジン始動が許可されると、飲酒運転防止制御は終了する。
【0090】
次に、検出空間200Bの温度が、アルコールセンサ243の動作保証範囲に属さない場合(ステップS102:YES)、即ち、アルコールインターロックの発動に係る飲酒状態の検出を正確に行い得ないと判断される場合について説明する。
【0091】
この場合、制御部100は、CO2センサ242により検出される検出空間200BのCO2濃度Dco2の変化量dDco2に基づいて、当該低温空間がドライアイス等の固体二酸化炭素を利用して構築された人為的な低温空間であるか否かを判別する(ステップS103)。即ち、ここで参照されるCO2濃度Dco2とは、本発明に係る「空間の二酸化炭素濃度に対応付けられた参照値」の一例である。
【0092】
尚、本実施形態におけるCO2濃度の変化量dDco2は、検出されたCO2濃度Dco2の今回値と前回値との偏差であり、検出空間200Bのアルコール濃度の変化が、検出空間200Bが極低温領域に移行する前段階として生じ得るに鑑みれば、望ましくはステップS103の実行タイミング以前(例えば、操作部330により飲酒運転防止制御の実行開始が要求された時点)からその算出及び記録が行われる値である。或いは、CO2濃度の変化量dDco2の初期値は、車両が前回イグニッションオフ状態に移行した時点でのCO2濃度(即ち、大気のCO2濃度と略等価である)に基づいて算出されてもよい。このようにすれば、如何なる時点でドライアイスが使用されたとしても、使用された時点以降必ず変化量dDco2が顕著に変化するタイミングが訪れるため、ドライアイスの使用を漏らさず検出することができる。
【0093】
尚、低温空間が自然発生した場合、検出空間200BにおけるCO2濃度Dco2は、大気中の値のままで殆ど変化しない。従って、CO2濃度の変化量dDco2のリファレンス値が大きく変化することはない。この点に鑑みれば、ドライアイス成分の検出に際し、変化量dDco2の代わりにCO2濃度Dco2が参照されてもよい。
【0094】
ドライアイス成分が検出されなかった場合(ステップS103:NO)、即ち、自然条件によって検出空間200Bが低温空間となった場合、制御部100は、処理を先述のステップS113に移行し、エンジン始動を無条件に許可する。これは、アルコール濃度Dalcの検出精度が担保されない状況でのアルコールインターロックの誤作動を防止するためである。
【0095】
一方、ドライアイスの成分が検出された場合(ステップS103:YES)、即ち、人為的に検出空間200Bが低温空間とされた場合、制御部100は、不正行為が行われた旨をメモリに記録し(ステップS104)、エンジンの始動を禁止する(ステップS105)。即ち、アルコールインターロックを発動させる。
【0096】
この際、アルコールインターロックの実践的態様は各種あり、例えば、イグニッションキー又はイグニッションボタン等の操作を物理的に抑止する、これらの操作による始動入力信号の生成を禁止する、エンジンに対する燃料の噴射を禁止する、或いはセルモータへの通電を停止する等の態様を伴ってもよい。
【0097】
尚、ステップS108において、呼気入力者が運転者でないと判別された場合(ステップS108:NO)、ステップS111において、運転者呼気とされる入力ガスが人間の呼気でないと判別された場合(ステップS111:NO)、及びステップS112において、アルコール濃度が基準値以上であると判別された場合(ステップS112:NO)も、処理はステップS105に移行され、アルコールインターロックが発動する。アルコールインターロックが発動し、エンジンの始動が禁止されると、飲酒運転防止制御は終了する。
【0098】
尚、アルコールインターロックは、操作部330が再度操作されると解除されるが、その場合、処理はステップS101から順次繰り返し実行される。即ち、運転者が飲酒状態である限り、エンジンの始動が許可されることはない。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る飲酒運転防止制御によれば、検出空間200Bが、アルコールセンサ223におけるアルコール濃度Dalcの検出精度が担保され難い極低温空間である場合であっても、それが自然に発生したものか、人為的に発生させたものであるかを切り分けることが可能となる。
【0100】
従って、(1)検出空間200Bが自然条件に起因して低温空間となったにもかかわらずアルコールインターロックが発動する(即ち、アルコールインターロックが誤作動する)ことと、(2)第三者がドライアイス等を使用して人為的に低温空間を構築することによって不正にアルコールインターロックの発動を免れようとしているにもかかわらずアルコールインターロックが解除又は無効化されてしまうこととが等しく防止される。即ち、アルコールインターロックの誤作動を防止しつつ、飲酒運転を好適に防止することが可能となるのである。
【0101】
尚、本実施形態において、ドライアイス成分の検出には、CO2センサ242が使用される構成となっているが、CO2濃度Dco2の上昇が検出空間200Bの酸素濃度の低下を招く点に鑑みれば、CO2センサ242に代えて或いは加えて各種の酸素濃度センサが使用されてもよい。
【0102】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う飲酒運転防止装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、例えば各種車両における飲酒運転の防止に利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
10…飲酒運転防止システム、100…制御部、200…検出部、200B…検出空間、210…撮像装置、220…画像処理装置、230…送風ファン、240…センサ群、241…温度センサ、242…CO2センサ、243…アルコールセンサ、244…湿度センサ、245…妨害ガスセンサ、246…運転席センサ、300…インターフェイス部、310…呼気入力部、320…表示部、330…操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の温度範囲で運転者呼気のアルコール濃度を検出可能な第1検出手段と、該アルコール濃度の検出がなされる空間の温度を検出可能な第2検出手段とを備えた車両における飲酒運転防止装置であって、
前記空間の二酸化炭素濃度に対応付けられた参照値を取得する取得手段と、
前記取得された参照値に基づいて前記二酸化炭素濃度の変化量が基準変化量以上であるか否かを判別する判別手段と、
前記検出された温度が前記温度範囲の下限値に対応する基準温度未満である場合において前記変化量が前記基準変化量以上であると判別された場合に、前記車両の始動を禁止する禁止手段と
を具備することを特徴とする飲酒運転防止装置。
【請求項2】
前記禁止手段は、前記検出された温度が前記基準温度以上である場合において前記検出されたアルコール濃度が基準濃度以上である場合に前記車両の始動を禁止する
ことを特徴とする請求項1に記載の飲酒運転防止装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記参照値として前記空間の酸素濃度又は二酸化炭素濃度を取得する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の飲酒運転防止装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記参照値として前記空間の酸素量または二酸化炭素量を取得する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の飲酒運転防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−251564(P2011−251564A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124887(P2010−124887)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】