説明

餅搗機

【課題】古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く餅搗き作業に近似した杵の動作を機械的に実現するとともに、簡易で小形の装置によって大量の餅米を短時間で搗くことができるようにした餅搗機を提供すること。
【解決手段】基端側を揺動可能に軸支した杵杆12の先端に杵体11を取り付けた杵部1と、この杵部1の適宜位置に一端を取り付けたワイヤ2を介してプーリ3の巻き上げ動作により杵体11を持ち上げ、プーリ3の自由回転動作により杵体11を自重で落下させる杵体11の昇降機構4と、モータMによって回転駆動される駆動軸41の回転駆動力をプーリ3に伝達してプーリ3に巻き上げ動作をさせるとともに、回転駆動力のプーリ3への伝達を周期的に解除してプーリ3に自由回転動作をさせる動力係脱機構5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸した餅米等からなる生地を機械的に杵で搗くようにした餅搗機に関し、特に、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く餅搗き作業に近似した杵の動作を機械的に実現するようにした餅搗機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
餅搗機として、双軸のスクリューを回転させるようにした練り上げ方式の工業用餅搗機や容器内底に複数の回転フィンを突設し、そのフィンを高い回転数で回転させるようにしたミキサー方式の家庭用餅搗機が汎用されている。
【0003】
これらの練り上げ方式やミキサー方式の餅搗機は、いずれも蒸した餅米を単に捏ねてすり潰し餅にするため、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く方式と比較して、食感(ノビ、コシ等)が劣るという問題があった。
【0004】
また、農業祭等の各種イベントにおいて餅搗きを行う場合、人手による餅搗きは、趣がある反面、重労働で大量の餅米を短時間で搗くことが困難であり、上記の練り上げ方式やミキサー方式の餅搗機は、趣がないという問題があった。
【0005】
一方、機械的に杵で搗く方式の餅搗機も提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)が、大量の餅米を短時間で搗くために、重量のある杵を用い、杵体の上下動のストロークを大きくしようとすると、高出力のモータを必要とし、また、装置が大形化するという問題があった。
【特許文献1】特開2004−215523号公報
【特許文献2】実開平5−31747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の餅搗機の有する問題点に鑑み、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く餅搗き作業に近似した杵の動作を機械的に実現するとともに、簡易で小形の装置によって大量の餅米を短時間で搗くことができるようにした餅搗機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本第1発明の餅搗機は、基端側を揺動可能に軸支した杵杆の先端に杵体を取り付けた杵部と、該杵部の適宜位置に一端を取り付けたワイヤを介してプーリの巻き上げ動作により杵体を持ち上げ、プーリの自由回転動作により杵体を自重で落下させる杵体の昇降機構と、モータによって回転駆動される駆動軸の回転駆動力をプーリに伝達してプーリに巻き上げ動作をさせるとともに、回転駆動力のプーリへの伝達を周期的に解除してプーリに自由回転動作をさせる動力係脱機構とからなること特徴とする。
【0008】
また、同じ目的を達成するため、本第2発明の餅搗機は、基端側を上下方向に移動可能に支持した杵杆の先端に杵体を取り付けた杵部と、該杵部の適宜位置に一端を取り付けたワイヤを介してプーリの巻き上げ動作により杵体を持ち上げ、プーリの自由回転動作により杵体を自重で落下させる杵体の昇降機構と、モータによって回転駆動される駆動軸の回転駆動力をプーリに伝達してプーリに巻き上げ動作をさせるとともに、回転駆動力のプーリへの伝達を周期的に解除してプーリに自由回転動作をさせる動力係脱機構とからなること特徴とする。
【0009】
この場合において、動力係脱機構による回転駆動力のプーリへの伝達の解除位置を調節可能にすることができる。
【0010】
また、杵杆を揺動可能に軸支した支軸を、板ばねを介して本体フレームに取り付けることができる。
【0011】
また、1個のユニットが60kg以下となるように複数のユニットに分離可能に構成することができる。
【0012】
また、杵杆の基端部に絵板を取り付けるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本第1及び第2発明の餅搗機によれば、基端側を揺動可能に軸支した杵杆の先端に杵体を取り付けた杵部又は基端側を上下方向に移動可能に支持した杵杆の先端に杵体を取り付けた杵部と、該杵部の適宜位置に一端を取り付けたワイヤを介してプーリの巻き上げ動作により杵体を持ち上げ、プーリの自由回転動作により杵体を自重で落下させる杵体の昇降機構と、モータによって回転駆動される駆動軸の回転駆動力をプーリに伝達してプーリに巻き上げ動作をさせるとともに、回転駆動力のプーリへの伝達を周期的に解除してプーリに自由回転動作をさせる動力係脱機構とからなり、周期的にプーリの巻き上げ動作により杵体を持ち上げ、プーリの自由回転動作により杵体を自重で落下させることにより、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く餅搗き作業に近似した杵の動作を機械的に実現することができるとともに、簡易で小形の装置によって重量のある杵を用い、杵体の上下動のストロークを大きくすることができ、大量の餅米を短時間で搗くことができる。
また、この餅搗機によって搗かれた餅は、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く方式のため、食感(ノビ、コシ等)が優れたものとすることができる。
【0014】
また、動力係脱機構による回転駆動力のプーリへの伝達の解除位置を調節可能にすることにより、杵体の上下動のストロークを変更して、餅米の搗き方を調整することができる。
【0015】
また、杵杆を揺動可能に軸支した支軸を、板ばねを介して本体フレームに取り付けることにより、杵部から本体フレームに伝わる衝撃を吸収することができる。
【0016】
また、1個のユニットが60kg以下となるように複数のユニットに分離可能に構成することにより、餅搗機の搬送を容易に行うことができる。
【0017】
また、杵杆の基端部に絵板を取り付けるようにすることにより、杵杆の揺動に合わせて絵板が動くため、餅搗機の意匠性を向上し、餅搗きに趣を持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の餅搗機の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1〜図6に、本発明の餅搗機の第1実施例を示す。
この餅搗機は、図1〜図2に示すように、本体フレームF1、杵支持部F2、杵昇降機構部F3、臼Mo、臼台B及び錘Wからなる。
【0020】
そして、その主要部として、杵支持部F2には、基端側を揺動可能に軸支した杵杆12の先端に杵体11を取り付けた杵部1を備え、杵昇降機構部F3には、杵部1の適宜位置に一端を取り付けたワイヤ2を介してプーリ3の巻き上げ動作により杵体11を持ち上げ、プーリ3の自由回転動作により杵体11を自重で落下させる杵体11の昇降機構4と、モータMによって回転駆動される駆動軸41の回転駆動力をプーリ3に伝達してプーリ3に巻き上げ動作をさせるとともに、回転駆動力のプーリ3への伝達を周期的に解除してプーリ3に自由回転動作をさせる動力係脱機構5とを備えるようにしている。
【0021】
この場合において、本体フレームF1は、杵支持部F2、杵昇降機構部F3、臼Mo、臼台B及び錘Wを、ねじ等の適宜の固定手段を用いて、着脱可能に取り付けることができるようにする。
本体フレームF1には、餅搗機を移動できるようにキャスターC1を装備する。そして、餅搗機の使用時には、餅搗機が移動しないように、前方側(臼Mo及び臼台Bの取り付け側)のキャスターC1にブレーキをかけるとともに、後方側のキャスターC1を上昇させ、さらに、ゴム製脚部材C2を接地させるようする。
【0022】
臼Moを載置した臼台Bは、本体フレームF1と可動式又は固定式の連結部Jを介して取り付けるようにしている。
この場合、連結部Jを、例えば、臼Mo及び臼台Bと、本体フレームF1とをねじ等の適宜の固定手段を用いて一体化するように構成することにより、臼Mo及び臼台Bの重量が本体フレームF1にかかるようにすることができ、これにより、餅搗機の安定性を高めることができる。
また、臼台Bには、餅搗機の電源スイッチSを設けるようにしているが、必要に応じて、餅搗機の適宜位置に、非常停止スイッチを設けることができる。
【0023】
杵支持部F2は、本体フレームF1の支柱部に、上から杵支持部F2を差し込んだ後、ねじを用いて取り付けるようにしている。
【0024】
杵昇降機構部F3は、車輪C3を装備し、本体フレームF1に設けられた2本のレールR上を移動できるようにし、臼Mo及び臼台Bを取り外した状態で、臼Mo及び臼台Bの取り付け側から杵昇降機構部F3を本体フレームF1のレールR上を載置し、レールRの車輪止めまで押し込んだ後、ねじを用いて取り付けるようにしている。
【0025】
錘Wは、餅搗機の他の部分を組み立てた後、使用時の安定性を向上するために使用するもので、本体フレームF1に設けた4箇所の突起に挿入して取り付けるようにしている。
【0026】
杵支持部F2に備えられる杵部1は、図3に示すように、先端に杵体11を取り付けた杵杆12の基端側を、杵支持部F2に取り付けた支軸13に軸受部14を介して揺動可能に軸支するようにする。
【0027】
支軸13は、杵支持部F2を跨ぐように略コ字状に形成した連結部13aを介して一体に形成するとともに、板ばね15を介して杵支持部F2に取り付けるようにする。
これにより、杵部1から杵支持部F2を介して本体フレームF1に伝わる衝撃を吸収し、本体フレームF1の動揺を抑止することができる。
なお、支軸13を直接杵支持部F2に取り付けるようにすることもできる。
【0028】
また、杵杆12の基端部となる軸受部14の外側には、絵板Gの取付部16を形成し、絵板Gを取り付けるようにする。
なお、本実施例においては、絵板Gを人形とし、人形の上半身G1を取付部16に取り付け、下半身G2を本体フレームF1に取り付けるようにしたが、絵板Gのデザイン及び取付方法は、本実施例に記載のものに限定されず、絵板Gには、各種キャラクターや動物等を採用することができる。
そして、杵杆12の基端部に絵板Gを取り付けるようにすることにより、杵杆12の揺動に合わせて絵板Gが動くため、餅搗機の意匠性を向上し、餅搗きに趣を持たせることができる。
【0029】
杵支持部F2には、餅搗機を使用しないときに杵部1を杵支持部F2に固定するためのチェーン17を設けるようにする。
【0030】
杵昇降機構部F3に備えられる杵体11の昇降機構4及び動力係脱機構5は、図4〜図6に示すように、杵部1の適宜位置に一端を取り付けたワイヤ2を介してプーリ3の巻き上げ動作により杵体11を持ち上げ、プーリ3の自由回転動作により杵体11を自重で落下させるようにするもので、このとき、モータMによって回転駆動される駆動軸41の回転駆動力をプーリ3に伝達してプーリ3に巻き上げ動作をさせるとともに、回転駆動力のプーリ3への伝達を周期的に解除してプーリ3に自由回転動作をさせるようにする。
【0031】
ワイヤ2は、一端をばね2aを介して杵体11の近傍位置に一端を取り付けるようにする。
これにより、ワイヤ2が弛むことを防止することができる。
【0032】
杵体11の昇降機構4を構成するモータMは、特に限定されるものではないが、ブレーキ付ギアードモータ(単相100V、減速比1/60、出力400W)を使用するようにする。
モータMは、常に一方向に回転するようにするが、モータの正逆転の繰り返しや電磁クラッチ等を設ける必要がないため、モータMに負担がかからず、電気的故障の少ない機構となる。
【0033】
プーリ3は、杵部1に一端を取り付けたワイヤ2の他端側をプーリ3の溝31に巻き取るとともに、巻き取ったワイヤ2の巻き出しができるように、ワイヤ2の他端を取り付けるようにする。
また、プーリ3は、モータMによって回転駆動される駆動軸41に軸受部32を介して回転自由に軸支するようにする。
【0034】
駆動軸41には、駆動軸41と共に回転するプーリ駆動爪42を取り付ける。
プーリ駆動爪42には、支軸42bを中心に揺動可能に軸支した爪部42aを設け、駆動軸41と共にプーリ駆動爪42が回転するとき、爪部42aがプーリ3の側面に設けたカムローラ33に当接し、駆動軸41の回転駆動力をプーリ3に伝達してプーリ3に巻き上げ動作をさせるようにする。
【0035】
また、プーリ駆動爪42の爪部42aには、動力係脱機構5のプーリ駆動爪解除用部材51の解除片51aに当接して、ばね42bの付勢力に抗して爪部42aを支軸42bを中心に揺動させ、爪部42aとカムローラ33との当接を解除するカムローラ42dを設けるようにする。
これにより、図6(a)に示すように、爪部42aがカムローラ33に当接し、プーリ3が巻き上げ動作をしている状態から、さらに、プーリ駆動爪42及びプーリ3が回転して、カムローラ42dがプーリ駆動爪解除用部材51の解除片51aの位置に来て解除片51aに当接すると、ばね42bの付勢力に抗して爪部42aが支軸42bを中心に揺動して爪部42aとカムローラ33との当接が解除され、杵部1の重量の作用でプーリ3は自由回転動作により逆回転して杵体11は自重で落下して、餅を搗くことができる。
そして、自由回転動作により逆回転したプーリ3が巻き上げ動作を開始する位置に円滑に復帰し、再度、爪部42aがカムローラ33に大きな衝撃を受けることなく当接するように、杵昇降機構部F3のプーリ3が巻き上げ動作を開始する位置にショックアブソーバ43及びストッパ44を設け、プーリ3の側面に設けた停止片35が、ショックアブソーバ43及びストッパ44に順に当接するようにする。
これにより、自由回転動作により逆回転したプーリ3は、巻き上げ動作を開始する位置で停止し、巻き上げ動作の待機状態となり、再度、爪部42aがカムローラ33に当接することにより、巻き上げ動作が開始される。
【0036】
プーリ3の外周面には、その略半周に亘ってワイヤガイド36を設けるようにする。
これにより、自由回転動作により逆回転したプーリ3からワイヤ2が外れることを防止できる。
【0037】
ところで、爪部42aとカムローラ33との当接及び当接の解除は、駆動軸41と共に回転するプーリ駆動爪42の1回転に付き1回(なお、特に限定されるものではないが、本実施例においては、毎分30回)行われる。
そして、誤作動により爪部42aとカムローラ33との当接の解除が万一行われないと、プーリ3の巻き上げ動作が継続して、ワイヤ2の切断等の不測の事故を引き起こすおそれがあることから、プーリ3の外側面に設けた突起部34がプーリ駆動爪解除用部材51の係止片51bに当接して、プーリ3の回転を強制的に停止するようにしている。なお、この場合は、モータMが焼損しないように、餅搗機の電源スイッチSを直ちに切るようにする。
【0038】
また、餅米の搗き方(強弱)の調整は、杵体11の上下動のストロークを変更して行うことができるが、ここでは、動力係脱機構5のプーリ駆動爪解除用部材51の解除片51aの設置位置を調節し、爪部42aとカムローラ33との当接の解除位置を変更することにより行うようにしている。
このため、動力係脱機構5のプーリ駆動爪解除用部材51は、駆動軸41に軸受部51cを介して回転自由に軸支するようにする。
そして、プーリ駆動爪解除用部材51は、軸受部51cに設けたチェーンホイル51d、チェーン52及び駆動用チェーンホイル53を介して操作レバー54により揺動操作するようにしている。
また、操作レバー54は、駆動用チェーンホイル53に形成した複数個の孔53aに、操作レバー54の設けた把持操作片54aによって出没操作される係止ピン54bを挿通することにより、所定の揺動角度で固定できるようにしている。
なお、本実施例においては、駆動用チェーンホイル53に6個の孔53aを形成することにより、杵体11の上下動のストロークの変更、すなわち、餅米の搗き方(強弱)を、手動で6段階に調節できるようにした(より具体的には、杵体11の上下動のストロークを、杵体11の落下時の高さ(地上高)が645mm〜1425mmの間で6段階に変更できるようにした)が、構造上無段で調節できるようにしたり、プーリ駆動爪解除用部材51をモータ等により機械的又は電機的に駆動制御して杵体11の上下動のストロークを変更することもできる。
また、本実施例においては、チェーンホイル51dの径を、駆動用チェーンホイル53の径の略1/2に形成することによって、プーリ駆動爪解除用部材51を直接操作レバーにより揺動操作する場合と比較して、半分の操作レバー54の揺動量で操作を行えるようにしたが、プーリ駆動爪解除用部材51を直接操作レバーにより揺動操作するようにすることもできる。
【0039】
また、本実施例の餅搗機は、餅搗機を構成する本体フレームF1、杵支持部F2(杵部1を含む)、杵昇降機構部F3、臼Mo、臼台B及び錘Wを、それぞれユニット化し、ねじ等の適宜の固定手段を用いて容易に着脱できるようにするとともに、各ユニットは1個のユニットが60kg以下となるように構成するようにしている。
具体的には、餅搗機(臼Mo及び臼台Bを除く)の総重量が約207kgの場合、本体フレームF1の重量約58kg、杵支持部F2(杵部1を含む)の重量約45kg、杵昇降装置部F3の重量約48kg、臼Moの重量約55kg、臼台Bの重量約20kg、錘Wの重量約14kg×4個となる。
これにより、餅搗機をユニット毎に分解して大人二人で持ち運べるため、軽トラック等にチェンブロック等の道具を使用することなく積み込め、餅搗機の搬送を容易に行うことができる。
なお、この餅搗機は、組み立てた状態でも、キャスターC1を装備しているので、短距離であれば移動可能である。
【0040】
本実施例の餅搗機は、周期的にプーリ3の巻き上げ動作により杵体11を持ち上げ、プーリ3の自由回転動作により杵体11を自重で落下させることにより、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く餅搗き作業に近似した杵の動作を機械的に実現することができるとともに、簡易で小形の装置によって重量のある杵を用い、杵の上下動のストロークを大きくすることができ、大量の餅米を短時間で搗くことができる。
また、この餅搗機によって搗かれた餅は、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く方式のため、食感(ノビ、コシ等)が優れたものとすることができる。
【実施例2】
【0041】
図7に、本発明の餅搗機の第2実施例を示す。
この餅搗機は、本体フレームF1、杵支持部F2、杵昇降機構部F3、臼Mo及び臼台Bからなる。
【0042】
そして、その主要部として、杵支持部F2には、基端側12aをガイドロッドGRに沿って上下方向に移動可能に支持した杵杆12の先端に杵体11を取り付けた杵部1を備え、杵昇降機構部F3には、杵部1の適宜位置に一端を取り付けたワイヤ2を介してプーリ3の巻き上げ動作により杵体11を持ち上げ、プーリ3の自由回転動作により杵体11を自重で落下させる杵体11の昇降機構4と、モータMの回転駆動力をプーリ3に伝達してプーリ3に巻き上げ動作をさせるとともに、回転駆動力のプーリ3への伝達を周期的に解除してプーリ3に自由回転動作をさせる動力係脱機構5とを備えるようにしている。
【0043】
また、臼Mo及び臼台Bは、本体フレームF1上に載置するようにしている。
これにより、臼Mo及び臼台Bの重量を本体フレームF1にかけて、安定性を高めることができるようにしている。
【0044】
本実施例の餅搗機は、周期的にプーリ3の巻き上げ動作により杵体11を持ち上げ、プーリ3の自由回転動作により杵体11を自重で落下させることにより、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く餅搗き作業に近似した杵の動作を機械的に実現することができるとともに、簡易で小形の装置によって重量のある杵を用い、杵の上下動のストロークを大きくすることができ、大量の餅米を短時間で搗くことができる。
また、この餅搗機によって搗かれた餅は、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く方式のため、食感(ノビ、コシ等)が優れたものとすることができる。
【0045】
なお、本実施例の餅搗機の昇降機構4、動力係脱機構5等の構成及び作用は、上記第1実施例の餅搗機と同様である。
【0046】
以上、本発明の餅搗機について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の餅搗機は、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く餅搗き作業に近似した杵の動作を機械的に実現するとともに、簡易で小形の装置によって大量の餅米を短時間で搗くことができることから、農業祭等の各種イベントにおける餅搗きの用途に好適に用いることができるほか、古来から行われてきた蒸した餅米を杵で搗く方式のため、食感(ノビ、コシ等)が優れた餅を搗くことができることから、業務用の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の餅搗機の第1実施例を示す全体斜視図である。
【図2】同餅搗機の絵板を取り外した状態を示す全体斜視図である。
【図3】同餅搗機の杵支持部を示す斜視図である。
【図4】同餅搗機の杵昇降機構部を示す平面図である。
【図5】同餅搗機の杵昇降機構部を示す分解斜視図である。
【図6】同餅搗機の杵昇降機構部の要部を示し、(a)はプーリ駆動爪の爪部がプーリのカムローラに当接した状態、(b)は当接が解除された状態(プーリ駆動爪解除用部材は省略)の説明図である。
【図7】本発明の餅搗機の第2実施例を示す全体説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 杵部
11 杵体
12 杵杆
2 ワイヤ
3 プーリ
33 カムローラ
34 突起部
35 停止片
36 ワイヤガイド
4 昇降機構
41 駆動軸
42 プーリ駆動爪
42a 爪部
42d カムローラ
43 ショックアブソーバ
44 ストッパ
5 動力係脱機構
51 プーリ駆動爪解除用部材
51a 解除片
51b 係止片
52 チェーン
53 駆動用チェーンホイル
53a 孔
54 操作レバー
54a 把持操作片
54b 係止ピン
B 臼台
F1 本体フレーム
F2 杵支持部
F3 杵昇降機構部
G 絵板
GR ガイドロッド
M モータ
Mo 臼
W 錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側を揺動可能に軸支した杵杆の先端に杵体を取り付けた杵部と、該杵部の適宜位置に一端を取り付けたワイヤを介してプーリの巻き上げ動作により杵体を持ち上げ、プーリの自由回転動作により杵体を自重で落下させる杵体の昇降機構と、モータによって回転駆動される駆動軸の回転駆動力をプーリに伝達してプーリに巻き上げ動作をさせるとともに、回転駆動力のプーリへの伝達を周期的に解除してプーリに自由回転動作をさせる動力係脱機構とからなること特徴とする餅搗機。
【請求項2】
基端側を上下方向に移動可能に支持した杵杆の先端に杵体を取り付けた杵部と、該杵部の適宜位置に一端を取り付けたワイヤを介してプーリの巻き上げ動作により杵体を持ち上げ、プーリの自由回転動作により杵体を自重で落下させる杵体の昇降機構と、モータによって回転駆動される駆動軸の回転駆動力をプーリに伝達してプーリに巻き上げ動作をさせるとともに、回転駆動力のプーリへの伝達を周期的に解除してプーリに自由回転動作をさせる動力係脱機構とからなること特徴とする餅搗機。
【請求項3】
動力係脱機構による回転駆動力のプーリへの伝達の解除位置を調節可能にしたことを特徴とする請求項1又は2記載の杵搗機。
【請求項4】
杵杆を揺動可能に軸支した支軸を、板ばねを介して本体フレームに取り付けたことを特徴とする請求項1又は3記載の杵搗機。
【請求項5】
1個のユニットが60kg以下となるように複数のユニットに分離可能に構成したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の杵搗機。
【請求項6】
杵杆の基端部に絵板を取り付けたことを特徴とする請求項1、3、4又は5記載の杵搗機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−97575(P2007−97575A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63569(P2006−63569)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(305045298)
【Fターム(参考)】