説明

首振りヘッドレスト

【課題】 トリムカバーと一体発泡する首振りヘッドレストにおいて、その外観品質を向上させることである。
【解決手段】 ステー挿通用兼首振り用スリット1の内部より、パッド成形用の発泡液を注入してパッドを成形してなる。トリムカバー4の底布40に長孔を設け、この長孔の孔縁に、一端を閉口した略筒状に縫製した布の開口部を縫着し、この筒状の布地内に、中子M1を挿着した後、この中子M1に、ノズルを挿し込んで、袋状のトリムカバー4内にパッド発泡成形用の発泡液を注入してパッド3を発泡成形するようにしても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用シートに前傾可能に取付ける首振りヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車用シートに取付けるヘッドレストには、トリムカバーを袋状に縫製し、その内部にフレームを挿入し、そのフレームに取付けてシート側に固定するステーをトリムカバーの外部に突出した状態で、トリムカバー内にパッド成形用の発泡液を注入して、パッドをトリムカバー、フレーム等と一体に発泡成形している。
【0003】
そして、前記発泡液はトリムカバーのヘッドレストの底面側に開孔した注入口より注入している(例えば、特開平9−11252号公報参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−11252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記ヘッドレストにはヘッドレストカバーがシート側に固定するステーに対して前後方向に回動する首振りヘッドレストがある。
【0006】
この首振りヘッドレストはヘッドレストが首振りできるように、ヘッドレスト本体の底面に前後方向に長い長孔からなるスリットが開孔され、このスリットに前記ステーが挿通されている。
【0007】
また、前記従来のトリムカバーなどを一体発泡してパッドを成形するヘッドレストは、外部から視覚され難いヘッドレスト本体の底面に位置するトリムカバーに前述の如く、パッド成形用の発泡液を注入する注入孔を設けている。
【0008】
そして、ヘッドレストが前後方向に回動する首振りヘッドレストにおいては、ヘッドレストを後傾した際に、前記注入孔が視覚され、逆にヘッドレストを前傾した際には、後席側から前記注入孔が視覚される。
【0009】
そのため、首振りヘッドレストはパッド発泡液注入用の注入孔が、首振り後、露出するため、ヘッドレストの外観品質が悪くなる不具合があった。
【0010】
そこで、本発明は斯様な首振りヘッドレストの不具合を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成するための本発明は、袋状に縫製したトリムカバー内にパッドを一体発泡し底面にステー挿通用兼首振り用スリットを有する首振りヘッドレストであって、前記パッドは前記スリットの内部よりパッド成形用の発泡液を注入して成形してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外部から視覚されない前記スリットの内部に、パッド成形用の発泡液を注入するための注入孔が設けてあるので、注入孔が露出しない。また、注入孔から発泡液が外部に漏出しても、漏出個所も外部から視覚されない。そのため、外観品質に優れた首振りヘッドレストを提供できる。
【0013】
加えて注入孔に発泡液漏出防止手段を設ける必要がないため、発泡成形が簡単、容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1は首振りヘッドレストの本体Hを示し、この本体Hは袋状に縫製したトリムカバー4と、この内部に挿着したフレーム(不図示)と、フレームに対して前後方向に回動可能に取付けて本体Hより一部が外部に突出するステーS、S1と、トリムカバー4内にパッド成形用の発泡液を注入してトリムカバー4、フレームなどと一体発泡したパッド3とから構成されている。
【0015】
そして、図1に示すように、本体Hの底部には従来品と同様に、ステー挿通用兼首振り用の前後方向に長い長孔からなるスリット1、1Aが開孔され、このスリット1、1AにステーS、S1が挿通されており、このスリット1、1Aにより、本体Hが矢印方向である前後方向に首振りできるように構成されている。
【0016】
なお、図1において、図中40は本体Hの底部に位置するトリムカバー4の底布で、この底布40にはステーS、S1付のフレームを袋状のトリムカバー4内に挿入するための開口部21が形成され、この開口部21はフレームなど挿入後、閉口されて、パッド3が発泡成形される。
【0017】
そして、一方のスリット1の内部から、前記パッド成形用発泡液をノズルより注入して前記パッド3を成形している。
【0018】
即ち、例えば、図2に示すように、成形型Mと一体又は別体で前記一方のスリット1を成形するための中子M1に、ノズルNを挿込み、このノズルNより、袋状に縫製したトリムカバー4内に、パッド成形用の発泡液を注入することにより、パッド3をトリムカバー4、フレーム、ステーの一部S2と一体発泡する。
【0019】
なお、図示するステーは略U字状に折曲し、その両脚を前記ステーS、S1とし、中央部S2をフレームに摩擦力など回動自在に取付け、ステーS、S1が前記スリット1、1Aに挿通されている。
【0020】
図示するものは、スリット1、1Aが中子M1の挿入により直接形成しているが、トリムカバー4の底布40に長孔を設け、この長孔の孔縁に、一端を閉口した略筒状に縫製した布の開口部を縫着し、この筒状の布地内に、中子M1を挿着した後、この中子M1に、ノズルを挿し込んで、袋状のトリムカバー4内にパッド発泡成形用の発泡液を注入してパッド3を発泡成形するようにしても良い。
【0021】
また、トリムカバー4の底布40に設けた開口部21及びスリット1、1Aには、前記パッド成形用の発泡液の外部への漏出を防止するための手段が設けてある。
【0022】
本発明は以上の如く、スリット1の内部から袋状のトリムカバー4内にパッド発泡成形用の発泡液を注入するため、従来品の如く、発泡液を注入する注入孔をトリムカバー4の底布40に設ける必要がない。
【0023】
従って、注入孔に設ける発泡液漏出防止手段が不要となる。また、本発明はスリット1の内部より発泡液を注入するため、注入個所が外部に露出しない。しかも、スリット1内に発泡液が漏出しても、その部分が外部から視覚されないので、外観品質に優れた首振りヘッドレストを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る首振りヘッドレストの斜視図である。
【図2】発泡成形時の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…スリット、4…トリムカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状に縫製したトリムカバー内にパッドを一体発泡し底面にステー挿通用兼首振り用スリットを有する首振りヘッドレストであって、前記パッドは前記スリットの内部よりパッド成形用の発泡液を注入して成形してなる首振りヘッドレスト。


























【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−246822(P2008−246822A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90474(P2007−90474)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000133098)株式会社タチエス (454)
【Fターム(参考)】