説明

香料前駆物質

本発明は、以下の式(I)X−CRの化合物に関するもので、式中、−Rは6から24の炭素原子を有する有機部分で、−Rは水素原子もしくは6から24の炭素原子を有する有機部分で、−RはXもしくは水酸基であり、Xは以下の式(II)または、式(II)の部分のアンモニウム塩もしくはC〜Cのアルキルアンモニウム塩であり、式中、−xは0もしくは1で、−yは0もしくは1で、−zは0もしくは1で、−mは2から10の数で、−nは0から10の数で、−oは0から10の数字で、−Rは水素原子もしくはC〜Cのアルキル基で、−RはC〜C22のアルキル基もしくはアルケニル基、または、もしnもしくはoが少なくとも1であれば、C〜C23のアシル基であり、−Rは水素原子もしくはRであり、−RはC〜Cのアルキレン基であり、該化合物はアルデヒド型もしくはケトン型の香料化合物を送達する事が可能であり、前記香料化合物の長期間持続する放出を提供する。該化合物は、たとえばヘアーコンディショナーおよび繊維柔軟剤のような繊維コンディショニング組成物に、芳香性能を向上させるために含めることが可能である。該化合物は、それが沈着された基質からの、長時間にわたっての制御された放出を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒド型もしくはケトン型の香料化合物を送達する事が可能であり、香料の長期間持続する放出を提供する化合物、および前記化合物を含有する組成物に関するものである。前記化合物はヘアーコンディショナーおよび繊維柔軟剤のような繊維コンディショニング組成物に含めることが可能である。
【背景技術】
【0002】
香料(製品に対して香りを与える、天然もしくは合成の、任意の物質)は、洗浄剤を用いるときに心地よい香りを与えるため、および洗浄剤中の石鹸もしくは他の界面活性剤の特有のにおいを覆い隠すために、洗剤および他の洗浄剤に頻繁に含まれる。
【0003】
洗浄組成物の保存の際、香料は、組成物の他の成分との相互作用および/もしくは反応を通じて変性し得る。
【0004】
それらの揮発性の性質のため、感知される新鮮さとしばしば関連する特に最も揮発性である化合物である香料化合物は、時間と共に消失する傾向にある。
【0005】
さらに、洗濯洗剤と共に繊維を洗うような使用の際、大部分の香りはまた、洗浄サイクルおよび/もしくは洗浄サイクルの間、水層中に失われてしまう。香料は洗浄組成物の保存を耐え抜くべきであり、そして洗浄過程をもまた耐え抜いて繊維上に沈着すべきであるということが望ましいと認識されてきており、それゆえ、香料を含んだ洗剤とともに洗濯される繊維もしくは香料を含んだ繊維柔軟剤を用いて柔軟化される繊維は香料の心地よい香りを有するべきである。
【0006】
さらに、たとえば繊維もしくは髪の毛もしくは皮膚のような目標の表面上に一度吸着すると、香料は非常にすばやく消失する傾向にある。基質(表面、繊維、皮膚、髪の毛など)からゆっくりと放出される、長時間持続する香りは、洗剤もしくは洗浄組成物に含まれる香料の望ましい特性であり、しばしば持続性、強度、もしくは長寿命と記述される。
【0007】
香料を他の成分を含んだ水溶液中に含ませ、そしてその拡散を持続させるために、マイクロカプセル化、油中水滴もしくは水中油滴エマルション、架橋シリコーンゲル、シリコーンベシクルなどのような、種々の技術が適用されてきた。しかしながら、いくつかの事例では、それらの技術は用いる事が出来ないかおよび/もしくは適切な結果をもたらさない。
【0008】
香料の持続性を向上させるための他の方法は、プロ香料(pro−fragrances)としてもまた知られている、香料の前駆物質を用いることである。香料前駆物質は化合物であり、これはそれ自身でにおいを放つものであっても、もしくは放たないものであってよいが、加水分解時に望ましい香りを発生し、これはその加水分解物のうちの一つもしくはそれ以上のものの特性である。香料前駆物質である化合物の混合物はまた、香料前駆物質とみなすことが出来る。
【0009】
種々の香料前駆物質は先行技術において知られている。エステル型の香料前駆物質は、香料原料物質のアルコール類およびエステル類を組み入れるために用いられている。香料原料物質のアルデヒド類およびケトン類はアセタール類、ヘミアセタール類、ケタール類およびヘミケタール類を介して組み入れられた。
【0010】
WO−A−2004047788はX−OHとアルデヒドもしくはケトンとの反応から生じる一つもしくはそれ以上の化合物を含む香料前駆物質化合物群を記載しており、前記香料前駆物質は、式X−O−C(R)(R)(OR**)で、式中RはC〜C24のアルキル基、C〜C24のアラルキル基、もしくはC〜C24のアルカリール基であり、Rは水素原子もしくはC〜C24のアルキル基、C〜C24のアラルキル基、もしくはC〜C24のアルカリール基であり、R**は水素原子もしくはXであり、X−OはX−OHから派生した部分を表し、および、ここでX−OHは、界面活性剤、繊維柔軟剤、柔軟剤前駆物質エステルアミン、柔軟剤前駆物質アミドアミン、ヘアーコンディショナー、スキンコンディション、サッカリド、およびポリマーからなる群から選択される化合物である。
【0011】
WO−A−2004047788によると、好ましい香料前駆物質は、脂肪族アミンもしくはジアミドアミンとC〜C12アルデヒドとの間の反応産物である。前記脂肪族アミンもしくはジアミドアミンとC〜C12アルデヒドとの間の反応産物はWO−A−2004047788に具体的に記載された香料前駆物質の例示にすぎない。前記脂肪族アミンもしくはジアミドアミンとC〜C12アルデヒドとの間の反応産物はいくらかの長期間持続する性能を有しているが、香り強度および長期間持続する効果は完全に満足できるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
現存する先行技術から導き出せることは、香料の制御された放出の分野において、香料の沈着した基質からの持続した放出の分野におけるのと同様に、当業界は未だ改善を必要としているということである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、アルデヒド型もしくはケトン型の香料化合物を送達する事が可能であり、前記香料化合物の長期間持続する放出を提供する化合物を提供することによって、先行技術が遭遇した問題に対する効果的な解決策を提示するものである。
【0014】
以下の式Iの化合物が、向上した香り強度およびアルデヒド型もしくはケトン型の香料化合物のそれが沈着されている基質(表面、繊維、皮膚、髪の毛など)からの長時間持続する放出(持続性)を提供することはいまや見出されている。
【0015】
【化1】

【0016】
式中、
−Rは炭素数6〜24を有する有機部分であり、
−Rは水素原子もしくは炭素数6〜24を有する有機部分であり、
−RはXもしくは水酸基であり、
−Xは以下の式IIの部分であるか:
【0017】
【化2】

【0018】
または式IIの部分のアンモニウム塩もしくはC〜Cのアルキルアンモニウム塩であり、
式中
−xは0もしくは1であり、
−yは0もしくは1であり、
−zは0もしくは1であり、
−mは2から10の数であり、
−nは0から10の数であり、
−oは0から10の数であり、
−Rは水素原子もしくはC〜Cのアルキル基であり、
−RはC〜C22のアルキル基もしくはアルケニル基であるかまたは、nもしくはoが少なくとも1であるとき、C〜C23のアシル基であり、
−Rは水素原子もしくはRであり、
−RはC〜Cのアルキレン基である。
【0019】
本発明の主題はまた、水溶液中の少なくとも2つの式Iの化合物の混合物を含有する組成物を提供する。
【0020】
本発明の主題はまた、ヘアーコンディショナー(ヘアーコンディショニング組成物)および繊維柔軟剤(繊維柔軟化のためのすすぎコンディショナー組成物(rinse conditioner compositions))のような繊維コンディショニング組成物を含み、それは上述の式Iの化合物を含有する。
【0021】
本発明の主題はまた、繊維からのアルデヒド型もしくはケトン型の香料化合物の放出を遅延させるために式Iの化合物を使用することを含む。
【0022】
本発明はまた、式Iの化合物を、ヘアーコンディショナー(ヘアーコンディショニング組成物)および繊維柔軟剤(繊維柔軟化のためのすすぎコンディショナー組成物)のような繊維コンディショニング組成物の香りの長寿命を向上させるために使用することを提供する。
【0023】
本発明の主題はまた、式Iの化合物を、繊維上への香りの沈着を向上させるために用いることを含む。
【0024】
本発明に沿った化合物を含有する繊維コンディショニング組成物は、既知の香料前駆物質を含有する組成物と比較した場合、前記組成物の香り強度の有意な向上を示す。さらに、香料の長時間持続する性能もまた、有意に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、組成物3および4で処理されたタオル、さらに比較例Dによって処理されたタオルからの、アルデヒド型の香料化合物(undec−10−enal)の放出を示す。前記放出は0(湿潤状態)、1、3、7日後にSPME(固相微量抽出)、GC/MS(ガス・クロマトグラフィー/質量分析)によって分析された。
【発明を実施するための形態】
【0026】
式Iの化合物は、好ましくはX−H(ここでXは前に示されたのと意味を有する)と式RCORの化合物(ここでRおよびRは前に示されたのと同じ意味を有する)とを反応させることによって得ることができる。
【0027】
それゆえ、ヘミアセタール、アセタール、ヘミケタールおよびケタール化合物が得られる。ケタールおよびアセタールが好ましく、特に好ましいのはアセタールである。
【0028】
ヘミアセタール、アセタールもしくはそれらの混合物の生成は、少なくとも一つの遊離水酸基を含有する化合物とアルデヒドとの反応を含む。さらに、ヘミケタール、ケタールもしくはそれらの混合物の生成は、少なくとも一つの遊離水酸基を含有する化合物とケトンとの反応を含む。
【0029】
これらの反応はそれ自体知られている。好ましくは、これらの反応は、例えば塩酸、p-トルエンスルホン酸もしくは担持スルホン酸のような酸もしくは触媒の存在下において、25℃から90℃の間の温度において、好ましくは35℃と85℃の間の温度において、さらにより好ましくは40℃と80℃の間の温度において、水溶液中で実施される。
【0030】
アルデヒド類もしくはケトン類のX−Hに対するモル比は、一般的に1.0:1.0から3.0:1.0までの範囲であり、より好ましくは1.2:1.0から2.8:1.0の範囲である。
【0031】
アルデヒド類とケトン類
本発明の化合物の製造のために用いられるアルデヒド類もしくはケトン類は香料、すなわち、通常心地よい香りという性質を有する化合物である。香料は一般的に揮発性である。それゆえ、前記式RCORの化合物は、好ましくは300g/molより小さい、より好ましくは、200g/molより小さい分子質量(分子量)を有する。
【0032】
式RCORにおいて、Rは炭素数6から24の有機部分であり、Rは水素原子もしくは炭素数6から24の有機部分である。RもしくはRの有機部分は、一般的に、飽和もしくは不飽和の炭化水素基であり、一つもしくはそれ以上の、水酸基、(フッ素、塩素、臭素のような)ハロゲン、カルボキシル基などのような置換基を有していても良い。炭化水素基はまた、エーテル(−O−)、チオエーテル(−S−)、もしくはカルボニル(−C=O)(エステルもしくはアルデヒドを含む)官能基を有していても良い。最も好ましくは、炭素数6から24を有する炭化水素基であり、特に炭素数6から16であり、いずれの官能基も含まない。
【0033】
本発明によれば、式RCORの化合物は、脂肪族のアルデヒド類もしくはケトン類、脂環式のアルデヒド類もしくはケトン類、非環式テルペンのアルデヒド類もしくはケトン類、環式テルペンのアルデヒド類もしくはケトン類、芳香族のアルデヒド類もしくはケトン類、またはフェノールのアルデヒド類もしくはケトン類であることが特に好ましい。
【0034】
本発明において有用なアルデヒド類は、一つもしくはそれ以上の、以下に記載のアルデヒド類の群であり得るが、それらに限定するもので無い:フェニルアセトアルデヒド、p-メチルフェニルアセトアルデヒド、p-イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、フェニルプロパナール、3−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール、3−(4−t−ブチルフェニル)−プロパナール、3−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパナール、3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール、3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−メチルプロパナール、3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール、フェニルブタナール、3−メチルー5−フェニルペンタナール、ヘキサナール、トランス−2−ヘキセナール、シス−ヘキサ−3−エナール、ヘプタナール、シス−4−ヘプテナール、2−エチルー2−ヘプテナール、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール(メロナール)、2,6−ジメチルプロパナール、2,4−ヘプタジエナール、オクタナール、2−オクテナール、3,7−ジメチルオクタナール、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−アール、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−アール、3,7−ジメチル−6−オクテナール、3,7−ジメチル−7−ヒドロキシオクタン−1−アール、ノナナール、6−ノネナール、2,4−ノナジエナール、2,6−ノナジエナール、デカナール、2−メチルデカナール、4−デセナール、9−デセナール、2,4−デカジエナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、2−メチルウンデカナール、2,6,10−トリメチル−9−ウンデセナール、ウンデカ−10−エニルアルデヒド、ウンデカ−8−エナナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、アニスアルデヒド、ブールジオナール、ケイ皮アルデヒド、α−アミルシンナム−アルデヒド、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、メトキシシンナムアルデヒド、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、イソシクロシトラール、シトロネリルオキシアセト−アルデヒド、コルテックスアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、フロルヒドラール、ヘリオトロピン、ヒドロトロピックアルデヒド、リリアール、バニリン、エチルバニリン、ベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、3−および4−(4−ヒドロキシ−4−メチル−ペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、1−メチル−3−4−メチルペンチル−3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、ならびにp−メチルフェノキシアセトアルデヒド。
【0035】
本発明によると、α置換されていないアルデヒド、すなわち、カルボニル基に近接した炭素原子において置換基を有しないアルデヒドが望ましい。
【0036】
本発明において有用なケトン類は、一つもしくはそれ以上の、以下に記載のアルデヒド類の群であり得るが、それらに限定するもので無い:α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、β−ダマセノン、ムスコン、6,7−ジヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4(5H)−インダノン、カシュメラン、シス−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、メチルジヒドロジャスモネート、α−イオノン、β−イオノン、ジヒドロ−β−イオノン、γ−メチル−イオノン、α−イソ−メチルイオノン、4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)ブタン−2−オン、4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン、メチルβナフチルケトン、メチルセドリルケトン、6−アセチル−1,1,2,4,4,7−ヘキサメチルテトラリン(トナリド)、1−カルボン、5−シクロヘキサデセン−1−オン、アセトフェノン、デカトン、2−[2−(4−メチル−3−シクロヘキセニル−1−イル)プロピル]シクロペンタン−2−オン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、β−ジヒドロイオノン、アリルイオノン、α−イロン、α−セトン、α−イリソン、アセトアニソール、ゲラニルアセトン、1−(2−メチル−5−イソプロピル−2−シクロヘキセニル)−1−プロパノン、アセチルジイソアミレン、メチルシクロシトロン、4−t−ペンチルシクロヘキサノン、p−t−ブチルシクロヘキサノン、o−t−ブチルシクロヘキサノン、エチルアミルケトン、エチルペンチルケトン、メントン、メチル−7,3−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3−オン、フェンチョン、メチルナフチルケトン、プロピルナフチルケトンならびにメチルヒドロキシナフチルケトン。
【0037】
本発明によると、α置換されていないケトン、すなわち、カルボニル基に近接した炭素原子において置換基を有しないケトンが望ましい。
【0038】
式IIの部分
式IIのmの好ましい値は、3〜8の範囲である。m、nおよびoの合計が10〜20の範囲にあることもまた好ましい。
【0039】
好ましくは式IIにおいて、Rが水素原子でRがRである。
【0040】
特に好ましい式IIの部分は、x、yおよびzがそれぞれ1であり、Rがエチレン基であり、そして、RがC〜C19のアシル基である。
【0041】
他の好ましい式IIの部分は、x、y、zおよびnがそれぞれ0であり、RがC〜C22のアルキル基もしくはアルケニル基である。さらに好ましくは、oが0であり、RがRである。
【0042】
他の好ましい式IIの部分は、x、y、zおよびnがそれぞれ0であり、RがC〜C22のアルキル基もしくはアルケニル基であり、oが2から10の数であり、R6が水素原子である。
【0043】
好ましくは、式IIの部分はアルコキシル化エステルアミンおよびアルコキシル化脂肪族アミンまたはそれらの混合物、またはそれらの対応するアンモニウム塩もしくはC〜Cアルキルアンモニウム塩またはそれらの混合物から選択されるアミンの誘導体に由来する。
【0044】
特に好ましい式IIの部分は式(1)のアルコキシル化エステルアミンに由来する。
【0045】
【化3】

【0046】
式中
−nは2から10の数であり、さらに好ましくは3から8であり、
−mは0から10の数であり、さらに好ましくは3から8であり、
−Rは直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和の、C〜C22のアルキル基もしくはアルケニル基であり、好ましくは直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和の、C〜C18のアルキル基もしくはアルケニル基であり、
−Rは水素原子もしくは−CO−R基であり、
−RはC〜Cのアルキレン基であり、好ましくはエチレン基であり、
−Rは水素原子もしくはC〜Cのアルキル基であり、好ましくは水素原子もしくはメチル基であり、さらにより好ましくは水素原子であり、
−Rは水素原子、C〜Cアルキル基、もしくは以下の基であり、
【0047】
【化4】

【0048】
式中、R、RおよびRは上記と同じ意味を有し、pは0から10の数であり、好ましくは3から8である。
ここで、少なくとも一つのRは水素原子、またはそれらの対応するアンモニウム塩もしくはC〜Cのアルキルアンモニウム塩またはそれらの混合物を表す。
【0049】
他の好ましい式IIの部分は式(2)のアルコキシル化脂肪族アミン由来であり、
【0050】
【化5】

【0051】
−式中、aは2から10の数であり、好ましくは3から8であり、
−Rは水素原子もしくはC〜Cのアルキル基であり、好ましくは水素原子もしくはメチル基であり、さらに好ましくは水素原子であり、
−RおよびRはそれぞれ独立して、
−メチル基、
−直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和の、C〜C22のアルキル基もしくはアルケニル基、好ましくは直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和の、C〜C18のアルキル基もしくはアルケニル基、
または
− −(CH−CHR−O)−H基、ここでbは0から10の数であり、好ましくは3から8であり、Rは上記と同じ意味を有する、
またはそれらの対応するアンモニウム塩もしくはC〜Cのアルキルアンモニウム塩、またはそれらの混合物である。
【0052】
アルコキシル化エステルアミン
式(1)のアルコキシル化エステルアミンは、C〜C22の脂肪酸とアルコキシル化アルカノールアミンとの縮合によって得ることが出来る。代替的に、式(1)のアルコキシル化エステルアミンは、C〜C22の脂肪酸とアルカノールアミンとの縮合物のアルコキシル化によってもまた得ることが出来る。
【0053】
適切なC〜C22の脂肪酸の例は、植物油および動物油、ならびにヒマシ油、ココナツ油、コーンオイル、からし油、オリーブ油、ヤシ油、ピーナツ油、菜種油、ひまわり油、大豆油、トールオイル、獣脂から得られる脂質から得られ最終的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、イソトリデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パームオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセレン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸のような実質上全てもしくは部分的に水素化され、そして精製されたかもしくは合成の脂肪酸、またはそれらの工業用グレードの混合物から得られる。
【0054】
脂肪酸は好ましくはC〜C18の酸で、ヨウ素価(「IV」)が0〜90の範囲、好ましくは10〜90の範囲、さらに好ましくは15〜85の範囲になるような不飽和度を有している。
【0055】
本プロセスに用いられた脂肪酸が80:20から95:5のシス/トランスの異性体比を有することもまた好ましい。さらに好ましくは、前記脂肪酸のトランス異性体の容量が10%未満である。最適なトランス異性体の容量は0.5から5%の間である。
【0056】
適切なアルカノールアミンはトリエタノールアミン、N―メチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、プロパノールジエタノールアミン、エタノールジイソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミン、またはそらえらの混合物であり、好ましくはトリエタノールアミンおよびN−メチルジエタノールアミンであり、さらにより好ましくはトリエタノールアミンである。
【0057】
前で説明した通り、式(1)のアルコキシル化エステルアミンは、C〜C22の脂肪酸のアルコキシル化アルカノールアミンとの縮合によって、またはC〜C22の脂肪酸のアルカノールアミンとの縮合産物のアルコキシル化によって、得ることが出来る。どちらの事例においても、アルコキシル化度は、好ましくは1から10単位、より好ましくは3から8単位のアルカノールアミンのヒドロキシル基あたりのエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシドである。本発明によれば、エチレンオキシドはアルコキシル化剤であることが好ましい。
【0058】
脂肪酸のアルカノールアミン(アルコキシル化されたものもしくはしていないもの)とのエステル化は、ES−A−2021900に記載されるような既知の方法を用いて実施された。
【0059】
脂肪酸と(アルコキシル化されたもしくはされていない)アルカノールアミンまたはそれらの混合物とのエステル化は、120℃〜220℃の間の温度において、2〜10時間の間、好ましくは5から200mbarの減圧で、たとえば次亜リン酸およびp-トルエンスルホン酸のような既知のエステル化のための触媒の存在下で、トコフェロール、BHT、BHA、クエン酸などのようないくつかの通常用いられる安定剤および抗酸化剤もまた存在する条件で実施された。
【0060】
脂肪酸の(アルコキシル化されたもしくはされていない)アルカノールアミンに対するモル比は一般的に1.0:1.0から3.0:1.0の範囲である。
【0061】
エステル化反応の反応産物は、脂肪酸と反応した(アルコキシル化されたもしくはされていない)アルカノールアミンのヒドロキシル基の数に応じて、脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリエステル、またはモノ−およびジエステル−の複合混合物である。
【0062】
(アルコキシル化されたもしくはされていない)アルカノールアミンがトリエタノールアミン由来のとき、反応産物は、重量パーセントで19から35%、好ましくは重量パーセントで40〜60%のモノエステル、重量パーセントで40から60%、好ましくは重量パーセントで46から52%のジエステル、ならびに、重量パーセントで10から40%、好ましくは重量パーセントで16から35%のトリエステルを含有する混合物であることが好ましい。
【0063】
式(1)のアルコキシル化エステルアミンのアンモニウム塩は、有機酸もしくは無機酸の中和によって得ることが出来る。
【0064】
式(1)のアルコキシル化エステルアミンのC〜Cのアルキルアンモニウム塩は、アルキル化剤(塩化メチル、硫酸ジメチルなど)を用いて当業者に良く知られた方法によって得ることが出来る。
【0065】
アルコキシル化脂肪族アミン
式(2)のアルコキシル化脂肪族アミンは、当業者に良く知られた標準的な条件における第一級もしくは第2級の脂肪族アミンのアルコキシル化によって得ることが出来る。たとえば、ポリオキシアルキレン基はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、もしくはブチレンオキシドを、多くはNaOH、KOHもしくはNaOCHのようなアルカリ系触媒と共に、第一級もしくは第2級の脂肪族アミンへと加えることによって得ることが出来、幅広い範囲のポリオキシアルキレン分布(幅広いアルコキシル化度)を提供する。特定の用途のために、狭い範囲の分布(狭いアルコキシル化度)を達成するために、アルコキシル化は、ルイス酸によってまたは金属ナトリウム、NaHもしくはハイドロタルサイト触媒によって触媒される事が出来る。好ましくは、式(2)のアルコキシル化脂肪族アミンは1から10単位、好ましくは3から8単位のエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシドによってアルコキシル化されており、好ましくはエチレンオキシドでアルコキシル化された脂肪族アミンである。
【0066】
式(2)のアルコキシル化脂肪族アミンは脂肪酸由来である。適切な脂肪酸の例は、植物油および動物油、ならびにヒマシ油、ココナツ油、コーンオイル、からし油、オリーブ油、ヤシ油、ピーナツ油、菜種油、ひまわり油、大豆油、トールオイル、獣脂から得られる脂質から得られ最終的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、イソトリデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パームオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセレン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸のような実質上全てもしくは部分的に水素化され、そして精製されたかもしくは合成の脂肪酸、またはそれらの工業用グレードの混合物から得られる。
【0067】
式(2)のアルコキシル化脂肪族アミンは、好ましくはアルコキシル化された第一級もしくは第二級のC〜C18の脂肪族アミンもしくはそれらの混合物で、さらにより好ましくはアルコキシル化された第二級の脂肪族アミンで、直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和のC〜C18のアルキルもしくはアルケニル基を有する。
【0068】
式(2)のアルコキシル化脂肪族アミンは、好ましくは、ヨウ素価(「IV」)が0〜90の範囲、好ましくは10〜70の範囲、さらに好ましくは0〜18の範囲になるような不飽和度を有している。
【0069】
本発明に用いられる式(2)のアルコキシル化脂肪族アミンが、80:20から95:5のシス/トランスの異性体比を有することもまた好ましい。さらに好ましくは、前記アルコキシル化脂肪族アミンのトランス異性体の容量が10%未満である。最適なトランス異性体の容量は0.5〜5%の間である。
【0070】
式(2)のアルコキシル化脂肪族アミンの適切な例は、アミート(AMIET)(登録商標)DT/17(平均エトキシル化度が5である第二級獣脂アミン)、アミート(登録商標)DC/24(平均エトキシル化度が12である第二級ココナツアミン)、アミート(登録商標)DO/17(平均エトキシル化度が5である第二級オレイルアミン)であり、すべて欧州花王化学によって製造されている。
【0071】
アルコキシル化可能な市販されているアミンの例は、ファーミン(FARMIN)(登録商標)20D(蒸留されたドデシルアミン)、ファーミン(登録商標)80D(蒸留されたオクタデシルアミン)、ファーミン(登録商標)CD(第一級ココナツアミン)、ファーミン(登録商標)OD(第一級オレイルアミン)、ファーミン(登録商標)T(第一級獣脂アルキルアミン)、ファーミン(登録商標)DTH(第二級ジ(水素化獣脂)アミン)であり、すべて欧州花王化学によって市販されている。
【0072】
式(2)のアルコキシル化脂肪族アミンのアンモニウム塩は有機酸もしくは無機酸を中和することによって得られる。
【0073】
式(2)のアルコキシル化脂肪族アミンのC〜Cのアルキルアンモニウム塩は、アルキル化剤(塩化メチル、硫酸ジメチルなど)を用いて、当業者に良く知られた方法によって得ることが出来る。
【0074】
式Iの化合物
本発明の式Iの化合物は、アルデヒド型もしくはケトン型の香料化合物の放出の遅延、ならびにアルデヒド型もしくはケトン型の香料化合物の、前記式Iの化合物が沈着された、硬質表面、繊維(布地)、皮膚、髪の毛などの基質からの長期間持続する放出(持続性)を提供する。
【0075】
前記基質は好ましくは繊維であり、天然繊維もしくは合成繊維であり得る。本発明によれば、合成繊維は化学的起源を持つ繊維であり、生産手段における物理的もしくは化学的プロセスによって得られる繊維であると定義され、ウイリーインターサイエンス(Wiley−Interscience)社によって出版された「カーク・オスマー工業化学百科事典(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)」の第3版、第10巻(ISBN 0−471−02095−3)に記載されるようなセルロースの繊維および合成繊維を含有する。
化学的起源の繊維の例は:
−アクリル、ポリアミド、ポリエステルおよびポリウレタンで、これらは合成起源の繊維であり、一方では
−アセテートおよびレイヨンであり、これらはセルロース起源である。
天然起源の繊維の例は:
−綿で、これは植物起源であり、
−らくだ、カシミア、絹およびウールは、これらは動物起源であり、
そして
−ヒトの髪の毛である。
【0076】
本発明による式Iの化合物の、繊維からのアルデヒド型もしくはケトン型の香料化合物の放出を遅延させるための使用はまた、本発明の主題に含まれる。
【0077】
式Iの化合物の、繊維上への香料の沈着を向上させるための使用はまた、本発明の主題に含まれる。
【0078】
本発明の式Iの化合物から誘導されうる香料化合物(アルデヒド類もしくはケトン類)は、前記式Iの化合物が分解したときにのみ放出される。
【0079】
水溶液中の式Iの化合物の少なくとも2つの混合物を含有する組成物はまた、本発明の主題に含まれる。
【0080】
本発明による式Iの化合物は、繊維のコンディショニングのための組成物の単一の香料化合物として用いても良いし、他の香料前駆物質と組み合わせておよび/もしくは他の香料化合物、伸展剤、固定剤、希釈剤などと組み合わせて用いても良い。
【0081】
ヘアーコンディショナー
本発明による式Iの化合物の、ヘアーコンディショナー(ヘアーコンディショニング組成物)の香りの長寿命を向上させるための使用は本発明の主題に含まれる。
【0082】
本発明の式Iの化合物の、ヘアーコンディショナーにおける使用は芳香性能の改善と長期間持続する特性の改善の点から特に好ましい。
【0083】
本発明はまた、本発明による式Iの化合物の少なくとも一つを含有するヘアーコンディショナーを提供し、香料前駆物質は、ヘアーコンディショナーの総重量に対し、重量%で、0.0001%から10%の間の量で、より好ましくは0.001%から5%の間の量で、さらにより好ましくは0.01%から1.5%の間で存在する。
【0084】
本発明はまた、本発明による式Iの化合物の少なくとも一つ、および式X−Hのヘアーコンディショニング化合物、またはそれに対応するアンモニウム塩もしくはC〜Cアルキルアンモニウム塩を含有するヘアーコンディショナーを提供し、ここでXは前で定義されている。
【0085】
ヘアーコンディショナーは通常、髪の毛の光沢、そのものおよび扱いやすさを改善する一連の物質を含有する水溶液で、ヘアーコンディショニング剤は、全組成物にもとづいた重量パーセントで表して、活性物質として、2〜60%、典型的に2〜10%で存在する。コンディショニング物質は、非イオン性で両性もしくはカチオン性のポリマー(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ポリクオタニウム(polyquarternium)−39、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(guar hydroxypropyl−trimonium chloride)、ポリクオタニウム−10および四級化ケラチン)、非イオン性、カチオン性および両性の界面活性剤(例えば、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、エトキシ化脂肪酸アルコール、脂肪酸アルコールのエトキシ化エステルおよびセチルトリメチルアンモニウムブロマイド)ならびにオイルおよびワックス(例えば、セテアリルアルコール、シリコーン油、鉱油、アボカド油およびホホバ油のような天然油、ならびにグリセリンエステル)からなる。適切なヘアーコンディショナーは、溶媒、ビタミン、養毛成分、染料、防腐剤、PH調整剤を含む他の成分をもまた含有しても良い。ヘアーコンディショナーは使用後に髪の毛の上に残留するようにも、洗い流すようにも意図されて良い。
【0086】
界面活性剤ベース(界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物)の総量は、ヘアーコンディショナー組成物の総量に対して、重量パーセントで1から25%の範囲で、好ましくは重量パーセントで5から20%の範囲である。
【0087】
カチオン性界面活性剤の典型的な例は第四級アンモニウム塩(quats)およびポリアルカノールアミンエステルの第四級化誘導体(esterquats)である。quatsの市販されている例は、コータミン(QUARTAMIN)(登録商標)AB(ベヘントリモニウムクロリド)、コータミン(登録商標)60W25(セトリモニウムクロリド)およびコータミン(登録商標)ABK(ベヘントリモニウムクロリドおよびセテアリルアルコール)であり、すべて欧州花王化学から市販されている。
【0088】
esterquatsの市販されている例は、欧州花王化学から市販されているコータミン(登録商標)BTC−131(ベヘノイルPGトリモニウムクロリド)、ならびに欧州花王化学から市販されているテトラニル(TETRANYL)(登録商標)CO−40(ジオレオイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートおよびジプロピレングリコール)である。
【0089】
非イオン性界面活性剤の具体例は、欧州花王化学からレベノール(LEVENOL)(登録商標)の商標で市販されているようなアルコキシル化グリセリドとアルコキシル化グリセリンの混合物、アルコキシル化トリメチロールプロパン、アルコキシル化1,2,3−トリヒドロキシヘキサン、アルコキシル化ペンタエリトリトール、アルコキシル化ソルビトール、アルコキシル化グリセロール、アルコキシル化グリセロール脂肪酸エステル、アルコキシル化トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、アルコキシル化1,2,3−トリヒドロキシヘキサン脂肪酸エステル、アルコキシル化ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、アルコキシル化ソルビトール脂肪酸エステル、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、C〜C22脂肪族アルコール、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、混成エーテルおよび混成ホルマール、任意選択で部分的に酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドもしくはグルクロン酸誘導体、脂肪酸−N−アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に小麦をベースとする植物産物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、アルキルポリグルコシド、ソルビタンエステル、ポリソルベート、ならびに、アルコキシル化アルカノールアミドおよびアルキル化エーテルカルボン酸アルカノールアミドを含むアルカノールアミドである。
【0090】
両性の界面活性剤は両性電解質およびベタインを含む。具体例は、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルスルホベタイン(サルテイン)、アミドアルキルベタイン、アルキルグリシナート、アルキルカルボキシグリシナート、アルキルアンホ酢酸塩、アルキルアンホプロピオン酸塩、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルアミドプロピルおよびヒドロキシサルテインである。特に好ましい両性の界面活性剤は、アルキルアミドオキシド、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルアンホグリシネート、ココナツモノアンホ酢酸ナトリウムもしくはココナツジアンホ酢酸ナトリウムのようなアルキルアンホ酢酸塩、ならびに、ココナツアミドプロピルベタインのようなアルキルアミドプロピルベタインである。
【0091】
本発明によるヘアーコンディショナーはまた、更なる補助および付加物として、過脂肪剤、真珠光沢ワックス、増粘剤(bodying agent)、増粘剤(thickeners)、ポリマー、シリコーン化合物、脂質、ワックス、安定剤、生体活性成分、脱臭剤、制汗剤、フケ防止剤、塗膜形成要素、紫外線防護因子、抗酸化剤、保存剤、防虫剤、セルフタンニング剤、チロシン阻害剤(脱色素剤)、可溶化剤、香油、染料などを含むことが出来る。
【0092】
本発明によるヘアーコンディショナーは、リンスオフの製品の場合は、10s−1のずり速度において、10から100,000センチポイズ(cP)の範囲の粘度を有し、洗い流す製品の場合は、10s−1のずり速度において、10,000から100,000センチポイズ(cP)の範囲の粘度を有する。
【0093】
繊維柔軟剤
本発明による式Iの化合物の、繊維柔軟剤(繊維柔軟化のためのリンスコンディショナー組成物)の香りの寿命を向上させるための使用はまた、本発明の主題に含まれる。
【0094】
本発明の式Iの化合物の繊維柔軟剤(繊維柔軟化のためのリンスコンディショナー組成物)における使用は、芳香性能および長期間持続する特性の改善の点から特に好ましい。
【0095】
本発明による式Iの化合物の、繊維、好ましくはヒトの髪の毛からのアルデヒド型もしくはケトン型の香料化合物の放出の遅延のための使用はまた、本発明の主題に含まれる。
【0096】
式Iの化合物の、香料の繊維上、好ましくはヒトの髪の毛への沈着を向上させるための使用はまた、本発明の主題に含まれる。
【0097】
本発明はまた、本発明による式Iの化合物を少なくとも一つ含有する繊維柔軟剤を提供し、ここで、式Iの化合物は、繊維柔軟剤の総量に対して、重量パーセントで、0.0001%から10%、より好ましくは0.001%から5%、さらにより好ましくは0.01%から1.5%の量で存在する。
【0098】
本発明は、本発明による式Iの化合物を少なくとも一つ、および式X−H、またはそれに対応するアンモニウム塩もしくはC〜Cアルキルアンモニウム塩の繊維柔軟化剤を含有する繊維柔軟剤を提供し、ここでXは前で定義されている。
【0099】
繊維(布地)柔軟剤は少なくとも一つの柔軟化剤を有し、それは繊維により軟らかい手触りを与える。しばしばそのような剤はまた、静電気防止の利点をもたらす。そのような試薬は通常カチオン性であるが、非イオン性、両性もしくは両性イオンの物質であってよい。
【0100】
布地柔軟剤として働き、本発明による繊維柔軟剤組成物の要素の一つを構成しても良いカチオン性界面活性剤は、当業者に良く知られている。
【0101】
繊維柔軟化剤の具体例は、アクリル第四級アンモニウム組成物、ジアミド第四級アンモニウム塩、エステル第四級アンモニウム塩(esterquats)、第四級イミダゾリウム塩などである。
【0102】
それらの中で、第四級アンモニウム組成物について言及すると、その疎水性鎖はエステル基によって中断されていなく、たとえば、米国特許US−A−4719382およびUS−A4237016に記載されており、その中で最もよく知られているのは水素化獣脂ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドで、DTDMACとしても知られており、欧州花王化学からコータミン(登録商標)D86Pの商標で市販されているようなものである。
【0103】
しかしながら、本発明によると、以下のesterquatsが好ましい:
―脂肪酸と1,2−ジヒドロキシ−3−ジメチルアミノプロパンとの四級化ジエステルで、米国特許US−A−4137180および欧州特許出願EP−A−0585040に記載されているようなもの
−脂肪酸とN−メチルジエタノールアミンとの四級化ジエステルで、フランス特許出願FR−A−1593921および欧州特許EP−B−0239910に記載されているようなもので、例えば、塩化メチルで四級化された水素化獣脂ジエチルで、欧州花王化学から、カオーソフト(KAOSOFT)(登録商標)PHの商標で市販されているもの、
−脂肪酸とN−メチル−N−アミノプロピルエタノールアミンとのアミドエステル塩で、例えば、日本花王株式会社からカオーソフト(登録商標)1の商標で市販されているもの、
−脂肪酸とトリエタノールアミンとの四級化ジエステルで、US−3915867および多数の後続の特許に記載されているようなもので、例えば、硫酸ジメチルで四級化された部分水素化獣脂のジエステルで、欧州花王化学からテトラニル(登録商標)AT−7590、テトラニル(登録商標)L1/90Sの商標で市販されているもの、ならびにテトラニル(登録商標)AT−1およびテトラニル(登録商標)AT1/DP(獣脂ベース)ならびにテトラニル(登録商標)AO−1およびテトラニル(登録商標)AOT−1(オレイルベース)のような他の四級化ジエステル。
【0104】
指摘すべきは、用語「ジエステル」について言及した場合、これは、その産物がつねに可変量のモノエステル化合物および、トリエタノールアミンの場合、トリエステル化合物を含有していても良いが、混合物の中でのジエステルが優位を占めることを示している事を意図しているということである。
【0105】
柔軟化性を有するカチオン性界面活性剤について考慮すると、オリゴマーのカチオン性界面活性剤は、
−ジカルボン酸、脂肪酸、およびアルカノールアミン由来のesterquatsで、国際特許出願WO−A−9849132に記載されるようなもの、例えば欧州花王化学からテトラニル(登録商標)PH−2およびテトラニル(登録商標)PH−5の呼称で市販されているもの。
−もしくは、アルカノールアミンエステルから任意選択で、アルコキシル化アルカノールアミンとジカルボン酸、脂肪酸および任意選択でアルコキシル化されている脂肪族アルコールとのエステル化反応によって得られるesterquatsで、欧州特許出願EP−A−1136471に記載されるようなもの、例えば、欧州花王化学からテトラニル(登録商標)CL−518の呼称で市販されているようなもの。
【0106】
布地もしくは他の繊維をコンディションする非イオン性の界面活性剤で本発明による繊維柔軟剤に存在しても良いものはまた、当業者に良く知られているもので、それについて述べると:脂肪酸もしくはそれらのエステルで、特に8から18の炭素原子を有し、直鎖もしくは分岐で、そしてアルコキシル化されているかもしくはアルコキシル化されていないもの;アルコキシル化されているかもしくはアルコキシル化されていないゲルベアルコール(Guerbet alcohols);グリセロールおよびポリグリセロールのエステルで、例えば、クラリアント(Clariant)から市販されているHostacerine DGMSもしくはHostacerine DGI;キシリトールエステル;アルコキシル化されているかもしくはアルコキシル化されていないソルビタンエステルで、例えば、欧州花王化学から市販されているKAOPAN;グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、リボース、2−デオキシリボースおよびスクロースのような糖のエステル;C〜C22の脂肪族アルコール;アルコキシル化グリセリドとアルコキシル化グリセリンとの混合物で、欧州花王化学からレブノール(登録商標)の商標で市販されているもの;エトキシル化ポリグリセロールエステルで、例えばクラリアントから市販されているHostacerine DGLおよびHostacerine DGSB;アルキルポリグルコシドで、例えば日本花王株式会社から市販されているAG−10LK;アルコキシル化されているかもしくはアルコキシル化されていないペンタエリスリトールエステルで、例えばオレオフィナ(Oleofina)から市販されているRADIA 7171およびRADIA 7176。同様に優れたコンディショニング能を示すものは、アミド基を有する非イオン性界面活性剤で、それらの中で述べられて良いものはグルカミンのようなアミンの誘導体で、例えばクラリアントから市販されているMEDIALAN GACおよびMEDIALAN GAL、ならびにメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミンおよびモノエタノールアミンと、直鎖もしくは分岐の脂肪酸、特にC8〜18の脂肪酸の誘導体によるものである。最後に、欧州特許出願EP−A−443313に記載されているエステルアミンもまた同様に述べることが出来る。
【0107】
布地のコンディショナーとして使用できる他の非イオン性化合物は、パラフィンのようなワックス、石油由来の微晶質のワックス、および合成ワックスである。
【0108】
記載されたすべての非イオン性の界面活性剤のうち、以下のものが特に好ましい:アルコキシル化グリセリドとアルコキシル化グリセリンとの混合物、ソルビタンモノエステル、ならびにペンタエリスリトールエステルであり、特に獣脂、水素化獣脂、ヤシ、ベヘン酸もしくはオレイン鎖を有しているもの。
【0109】
他の任意選択の構成要素について述べると、すべての可能性の網羅的な記述と捉えるべきではないが、それは一方では当業者に良く知られており、以下のものが述べられて良い:
a)シリコーン、アミンオキシド、ラルリルエーテル硫酸エステルもしくはラウリル硫酸エステルのようなアニオン性界面活性剤、ココアミドプロピルベタインもしくはアルキルベタインのような両性界面活性剤、スルホコハク酸、ポリグルコシド誘導体などのような、柔軟剤組成物の性能を向上する他の製品。
b)短鎖を有するアミンの塩で、四級化されているかもしくは四級化されていないもので、例えば、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンなどの塩のような安定剤製品、ならびにエトキシ化脂肪族アルコール、エトキシ化脂肪族アミン、エトキシ化アルキルフェノールなどの非イオン性界面活性剤。
c)例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウムなどのような無機塩のような粘度調整を改善する製品;たとえばエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリグリコールなどのようなグリコール類の化合物のような濃縮された組成物での粘度を減ずるために用いることのできる製品;たとえばセルロース由来のポリマー、グアーガムなどのような、希釈された組成物のための増粘剤。
d)例えば、塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸などの無機酸および/もしくは有機酸のどれでものような、好ましくは1.5から4.5であるpHを調整するための構成要素。
e)既知であるテレフタル酸エステル類ベースのポリマーもしくはコポリマーのような、防汚を改善するための試薬。
f)ホルマール、カトーン(Kathon)GC、ブロノポール(Bronopol)などのような殺菌性の防腐剤
g)抗酸化剤、着色剤、香料、殺菌剤、抗真菌剤、防腐食剤、防しわ剤、乳白剤、蛍光増白剤、真珠光沢剤などのような他の製品。
【0110】
繊維柔軟剤は、その構成要素を、当業者に良く知られた方法によって分散するまでもしくは溶解するまで単純に混合することによって得ることが出来る。
【0111】
洗浄サイクルおよび/もしくはすすぎサイクルにおいて加えられることを意図されている繊維柔軟剤はたとえば、固形、粉状もしくは錠剤の状態であってよい。
【0112】
本発明によると、繊維柔軟剤は好ましくは液体の状態にあり、水中の水分散液である。そのような繊維柔軟剤は、標準的な(希釈された)繊維柔軟剤の場合は1%から15%の重量の繊維柔軟化剤を有していても良いが、非常に濃縮された繊維柔軟剤の場合には30%から40%の重量の高レベルを有していても良い。組成物はまた、通常、水もしくは他の付加物を有しており、それは組成物のバランスを提供する。
【0113】
液体の繊維柔軟剤は通例、柔軟化用成分を融解し、融解物を熱水に加えて、水不溶性の成分を分散させるために攪拌することによって調製される。
【0114】
本発明の繊維柔軟剤中の界面活性剤ベース(界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物)の総量は、繊維柔軟剤の総重量に対して、重量%で1から80%の範囲にあり、好ましくは重量パーセントで5から55%である。
【0115】
以下の実施例は、十分に明確で完全な本発明の説明を当業者に提供するために呈されるが、本明細書の先行する部分に提示されたようなこの発明の主題の本質的な様態を限定するものと考えられるべきではない。
【実施例】
【0116】
実施例1 C10アルデヒドのエトキシ化エステルアミンとの縮合
スターラーおよび温度プローブを備えた反応フラスコ内で、ヒドロキシ基当たり平均で5.5モルのエチレンオキシドを有する、トリエタノールアミンとオレイン酸由来のエトキシ化エステルアミンを50g(0.0491モル)、油の中で50℃で加熱した。
【0117】
その後、0.1327g(0.00737モル)の水と0.0845g(0.00049モル)のp−トルエンスルホン酸一水和物が、温度を50℃に維持したまま加えられた。
【0118】
最後に、11.52g(0.0737モル)のデカナール(デシルアルデヒド)が、温度を50℃に維持したまま1〜2時間かけてゆっくりと加えられた。
【0119】
添加を完了後、反応混合物の攪拌は、50℃でさらに3時間続けられた。
【0120】
反応混合物は一夜の間50℃で維持された。反応混合物はその後室温に冷やされた。
【0121】
実施例2 C10アルデヒドのエトキシ化アミンとの縮合
スターラーおよび温度プローブを備えた反応フラスコ内で、平均で5.5モルのエチレンオキシドを有する、40g(0.0671モル)のエトキシ化ジラウリルアミンを、油浴中で前記エトキシ化アミンが融解するまで60℃で加熱した。
【0122】
その後、0.1813g(0.01007モル)の水と0.1155g(0.00067モル)のp−トルエンスルホン酸一水和物が、温度を60℃に維持したまま加えられた。
【0123】
最後に、15.74g(0.1007モル)のデカナール(デシルアルデヒド)が、温度を60℃に維持したまま1〜2時間かけてゆっくりと加えられた。
【0124】
添加を完了後、反応混合物の攪拌は、60℃でさらに3時間続けられた。反応混合物は一夜の間60℃で維持された。反応混合物はその後室温に冷やされた。
【0125】
実施例3 C11アルデヒドのエトキシ化エステルアミンとの縮合
スターラーおよび温度プローブを備えた反応フラスコ内で、ヒドロキシ基当たり平均で5.5モルのエチレンオキシドを有する、トリエタノールアミンとオレイン酸由来のエトキシ化エステルアミンを50g(0.0491モル)、油の中で50℃で加熱した。
【0126】
その後、0.1327g(0.00737モル)の水と0.0845g(0.00049モル)のp−トルエンスルホン酸一水和物が、温度を50℃に維持したまま加えられた。
【0127】
最後に、12.41g(0.0737モル)のウンデカ−10−エナール(ウンデカ−10−エニルアルデヒド)が、温度を50℃に維持したまま1〜2時間かけてゆっくりと加えられた。
【0128】
添加を完了後、反応混合物の攪拌は、50℃でさらに3時間続けられた。
【0129】
反応混合物は一夜の間50℃で維持された。反応混合物はその後室温に冷やされた。
【0130】
実施例4 C11アルデヒドのエトキシ化アミンとの縮合
スターラーおよび温度プローブを備えた反応フラスコ内で、平均で5.5モルのエチレンオキシドを有する、40g(0.0671モル)のエトキシ化ジラウリルアミンを、油浴中で前記エトキシ化アミンが融解するまで60℃で加熱した。
【0131】
その後、0.1813g(0.01007モル)の水と0.1155g(0.00067モル)のp−トルエンスルホン酸一水和物が、温度を60℃に維持したまま加えられた。
【0132】
最後に、16.95g(0.1007モル)のウンデカ−10−エナール(ウンデカ−10−エニルアルデヒド)が、温度を60℃に維持したまま1〜2時間かけてゆっくりと加えられた。
【0133】
添加を完了後、反応混合物の攪拌は、60℃でさらに3時間続けられた。
【0134】
反応混合物は一夜の間60℃で維持された。反応混合物はその後室温に冷やされた。
【0135】
実施例5 繊維柔軟剤
表1に示された繊維柔軟剤組成物は以下の手順で調製された。
【0136】
組成物A−Dは比較例であり、その一方組成物1−4は本発明によるものである。
【0137】
表1に示された、esterquat(柔軟化剤)、標準的な香料、対応する化合物は55〜60℃で共融解された。水は40℃に加熱され、共融解されたものは150rpmの攪拌の下、40℃で水に加えられた。前記混合物は15分間攪拌された。それから、該混合物は1℃/分の勾配で25℃に冷やされた。その後、保存料が加えられ、該混合物は再び150rpmで5分間、攪拌された。最後に、対応する繊維柔軟剤組成物は取り出された。
【0138】
【表1】

【0139】
32枚の100%綿のタオル(1600g)が、家庭用洗濯機(MIELE Novotronic W 840)によって、2回の洗い/すすぎサイクルで1回目は90℃で2回目は60℃で、市販の洗剤(商品名:Ariel、プロクター・アンド・ギャンブルにより市販)をそれぞれの洗いサイクルのためにタオルの重量に対して重量パーセントで2.68%の用量で用いて、予め洗い上げられた。洗い/すすぎサイクルの両方において、硬度(フランスの度数で20°f)の調節された水が用いられた。
【0140】
16枚の予め洗い上げられたタオル(800g)は、タオルの重量に対して重量パーセントで2.68の用量で同じ洗剤を用いて、同じ洗濯機によって、60℃において洗われた。標準的なすすぎサイクルの間、表1の組成物がタオルに適用された。洗いおよびすすぎサイクルの両方において、硬度(フランスの度数で20°f)の調節された水が用いられた。繊維柔軟剤組成物はタオルの重量に対して重量パーセントで0.2%の用量で加えられた。
【0141】
処理されたタオルは、香り強度を調べるため、湿潤および乾燥のタオルにおいて比較例B〜Dもしくは組成物1〜4によって処理されたタオルを、比較例A(香料のみを含有)によって処理されたタオルに対して比較する3点試験法によって、6人のパネリストによるエキスパートパネルによって、においが嗅がれた。3点試験法は国際的な標準であるISO 6658:1985(6.2.3章)に従って実施され、それゆえ、比較においてそれぞれの対になる産物に対して、評価するべき6つの異なった組合せが示された。
【0142】
乾燥したタオルでの評価は、繊維柔軟剤組成物による処理のあと24時間、3日間、7日間のあとに実施された。全ての試験の間、タオルは調節された温度および湿度(20℃、60%RH)の状態で保管された。
【0143】
官能的な香り強度の評価の結果は表2に示される。
【0144】
【表2】

【0145】
組成物1〜4は、香料のみを含有する組成物(組成物A)に対して、湿潤状態において統計学的に有意な香り強度の上昇と、また、統計学的に有意な香り寿命(持続性)の向上とを、示した。
【0146】
一方、組成物B〜Dは、香料のみを含有する組成物(組成物A)に対して、湿潤状態において統計学的に有意な香り強度の向上のみを示した。
【0147】
さらに、組成物1〜2の結果と組成物Bの結果を比較したのち、既知の香料前駆物質と比べて本発明による化合物を用いた際に、香り寿命(持続性)における有意な向上が見られると結論付けることが出来た。
【0148】
さらに、組成物1〜4の結果と組成物CおよびDの結果を比較したのち、遊離アルデヒドと比べて本発明における化合物を用いた際に、香り寿命(持続性)における有意な向上が見られると結論付けることが出来た。
【0149】
最後に、組成物1および組成物2の結果、ならびに組成物3および組成物4の結果を比較すると、一般的に、アルコキシル化エステルアミンよりもアルコキシル化アミンを用いた際に香り寿命(持続性)に関してより良い結果が得られることを見て取ることが出来る。
【0150】
さらに、本発明の化合物は繊維上の香料の沈着に好ましい効果を与える。香料に含まれる香料化合物は時間と共に消失する傾向にある。本発明による化合物は、香料の香り寿命(持続性)を向上させることを助けるだけでなく、香料が繊維上に沈着させてすぐの湿潤状態での香り強度を向上させることを助けることをもする。
【0151】
このことは、SPME(固相微量抽出)とGS/MS(ガス・クロマトグラフィー/質量分析)によって裏付けられた。
【0152】
組成物1および3と組成物2および4は3回ずつ分析された。それぞれの分析されたサンプルに対して、クロマトグラムの総エリアが定量化された。加えて、本発明による化合物によるクロマトグラムのエリアは定量化され、クロマトグラムの総エリアに対して差し引かれた。最後に、組成物Aに対する総エリアの増加分のパーセントが計算された。結果(組成物1および3の平均、ならびに組成物2および4の平均)は表3にまとめられた。
【0153】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式Iの化合物であって、
【化1】


式中、
−Rは炭素数6〜24を有する有機部分であり、
−Rは水素原子もしくは炭素数6〜24を有する有機部分であり、
−RはXもしくはOHであり;
−Xは以下の式IIの部分であるか:
【化2】


または式IIの部分のアンモニウム塩もしくはC〜Cのアルキルアンモニウム塩であり、
式中、
−xは0もしくは1であり;
−yは0もしくは1であり;
−zは0もしくは1であり;
−mは2から10の数であり;
−nは0から10の数であり;
−oは0から10の数であり;
−Rは水素原子もしくはC〜Cのアルキル基であり;
−RはC〜C22のアルキル基もしくはアルケニル基であるかまたは、nもしくはoが少なくとも1である場合、C〜C23のアシル基であり、
−Rは水素原子もしくはRであり;
−RはC〜Cのアルキレン基である、
化合物。
【請求項2】
Xが請求項1に記載のように定義されるX−Hと、RおよびRが請求項1に記載のように定義される式RCORの化合物であって、前記式RCORの化合物の分子量が300g/モル未満である化合物との反応によって得ることの出来る、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記式RCORの化合物が、脂肪族のアルデヒド類もしくはケトン類、脂環式のアルデヒド類もしくはケトン類、非環式テルペンのアルデヒド類もしくはケトン類、芳香族のアルデヒド類もしくはケトン類、またはフェノールのアルデヒド類もしくはケトン類である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記式RCORの化合物が、以下の化合物:フェニルアセトアルデヒド、p−メチルフェニルアセトアルデヒド、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、フェニルプロパナール、3−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール、3−(4−t−ブチルフェニル)−プロパナール、3−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパナール、3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール、3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−メチルプロパナール、3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール、フェニルブタナール、3−メチル−5−フェニルペンタナール、ヘキサナール、トランス−2−ヘキセナール、シス−ヘキサ−3−エナール、ヘプタナール、シス−4−ヘプテナール、2−エチル−2−ヘプテナール、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール(メロナール)、2,6−ジメチルプロパナール、2,4−ヘプタジエナール、オクタナール、2−オクテナール、3,7−ジメチルオクタナール、3,7ジメチル−2,6−オクタジエン−1−アール、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−アール、3,7−ジメチル−6−オクテナール、3,7−ジメチル−7−ヒドロキシオクタン−1−アール、ノナナール、6−ノネナール、2,4−ノナジエナール、2,6−ノナジエナール、デカナール、2−メチルデカナール、4−デセナール、9−デセナール、2,4−デカジエナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、2−メチルウンデカナール、2,6,10−トリメチル−9−ウンデカナール、ウンデカ−10−エニルアルデヒド、ウンデカ−8−エナナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、アニスアルデヒド、ブールジオナール、ケイ皮アルデヒド、α−アミルシンナム−アルデヒド、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、メトキシシンナムアルデヒド、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、イソシクロシトラール、シトロネリルオキシアセト−アルデヒド、コルテックスアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、フロルヒドラール、ヘリオトロピン、ヒドロトロピックアルデヒド、リリアール、バニリン、エチルバニリン、ベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、3−および4−(4−ヒドロキシ−4−メチル−ペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、1−メチル−3−4−メチルペンチル−3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、ならびにp−メチルフェノキシアセトアルデヒド;α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、β−ダマセノン、ムスコン、6,7−ジヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4(5H)−インダノン、カシュメラン、シス−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、メチルジヒドロジャスモネート、α−イオノン、β−イオノン、ジヒドロ−β−イオノン、γ−メチル−イオノン、α−イソ−メチルイオノン、4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)ブタン−2−オン、4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン、メチルβ−ナフチルケトン、メチルセドリルケトン、6−アセチル−1,1,2,4,4,7−ヘキサメチルテトラリン(トナリド)、1−カルボン、5−シクロヘキサデセン−1−オン、アセトフェノン、デカトン、2−[2−(4−メチル−3−シクロヘキセニル−1−イル)プロピル]シクロペンタン−2−オン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、β−ジヒドロイオノン、アリルイオノン、α−イロン、α−セトン、α−イリソン、アセトアニソール、ゲラニルアセトン、1−(2−メチル−5−イソプロピル−2−シクロヘキセニル)−1−プロパノン、アセチルジイソアミレン、メチルシクロシトロン、4−t−ペンチルシクロヘキサノン、p−t−ブチルシクロヘキサノン、o−t−ブチルシクロヘキサノン、エチルアミルケトン、エチルペンチルケトン、メントン、メチル−7,3−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3−オン、フェンチョン、メチルナフチルケトン、プロピルナフチルケトンもしくはメチルヒドロキシナフチルケトン
のうちの一つである、請求項2もしくは3に記載の化合物。
【請求項5】
mが3から8の数である、先行する請求項のいずれか一つに記載される化合物。
【請求項6】
が水素原子であり、RがRである、先行する請求項のいずれか一つに記載される化合物。
【請求項7】
x、y、zがそれぞれ1であり、Rがエチレン基であり、そして、RがC〜C19のアシル基である、先行する請求項のいずれか一つに記載される化合物。
【請求項8】
m、nおよびoの合計が10から20の範囲にある、先行する請求項のいずれか一つに記載される化合物。
【請求項9】
x、y、zおよびnがそれぞれ0であり、そしてRがC〜C22のアルキル基もしくはアルケニル基である、請求項1から6のいずれか一つに記載される化合物。
【請求項10】
oが0で、そしてRがRである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
oが2から10の数で、そしてRが水素原子である、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
組成物であって、先行する請求項のいずれか一つに定義される式Iの化合物の少なくとも二つの混合物を含有し、水性溶液である、組成物。
【請求項13】
Xが請求項1から11のいずれか一つに定義されるX−Hの、アルデヒド型もしくはケトン型の香料化合物の繊維からの放出を遅延させるための使用。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一つに定義される式Iの化合物の、繊維柔軟剤もしくはヘアーコンディショナーの香り寿命を向上させるための使用。
【請求項15】
ヘアーコンディショニング化合物および請求項1から11のいずれか一つに定義される式Iの化合物を含有するヘアーコンディショナー。
【請求項16】
前記ヘアーコンディショニング化合物が式X−Hを満たし、ここでXが請求項1から11のいずれか一つに定義される、請求項15に記載のヘアーコンディショナー。
【請求項17】
繊維柔軟化化合物および請求項1から11のいずれか一つに定義される式Iの化合物を含有する繊維柔軟剤。
【請求項18】
前記繊維柔軟化化合物が式X−Hを満たし、ここでXが請求項1から11のいずれか一つに定義される、請求項17に記載の繊維柔軟剤。
【請求項19】
請求項1から11のいずれか一つに定義される式Iの化合物の、香料の繊維上への沈着を向上させるための使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−537577(P2009−537577A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511350(P2009−511350)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002816
【国際公開番号】WO2007/134666
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】