説明

香気放出性非揮発性ポリマー状シロキサン

【課題】加水分解時に香を放出し、長期に香気を呈するように香気分子の放出速度の遅い化学修飾されたポリマー状シロキサン。
【解決手段】式(RO)(RO)(RO)c(d(SiRの置換基を含んでなる香気放出性シロキサン。式中、Rは原子数2〜40の二価炭化水素基であり、R、R及びRは香気性のエステル又はケトン又はアルデヒドの群から誘導されるものであって、各々独立に構造R−CH=C(O−)−Rを有しており、R及びRは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基及び炭素原子数1〜40の一価アルコキシ基からなる群から選択され、符号aは1〜3の範囲の値を有し、符号b、c、d及びeはa+b+c+d+e=3であることを条件として0〜2の範囲の値を有し、Rは水素及び炭素原子数1〜100の一価炭化水素基からなる群から選択され、Rは水素及び炭素原子数1〜100の一価炭化水素基からなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア処方物、家庭用製品、自動車用、織物用及び成形用材料を始めとする様々な用途に用いるのに好適な線状又は枝分れ又は架橋型の非揮発性オリゴマー状又はポリマー状シロキサンであって、加水分解時に香りを放出するように化学修飾された非揮発性ポリマー状シロキサンに関する。本発明は、さらに、このような分子であって、当該修飾ポリマー状非揮発性シロキサンの配合された製品が望ましい香気を長期にわたって呈するように香気分子の放出速度が十分に遅い分子に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのパーソナルケア製品において香気性分子の徐放性は極めて望ましい特質である。かかる目的を達成すべく幾多の手段が提案され、実行されている。そうした手段には、香気性化合物をパーソナルケアエマルジョン中に溶解もしくは懸濁させるもの(特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4)、香気性化合物をカプセル化するもの(特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8及び特許文献9)、香気性化合物をシリコーンのような疎水性相中に溶解させるもの(特許文献10、特許文献11号及び特許文献12)、香気性化合物を架橋ポリマー中に組み込むもの(特許文献13及び特許文献14)、香気性化合物を透過性ラミネート中に組み込むもの(特許文献15及び特許文献16)、体温にて軟化するマトリックス中に香気性化合物を組み込むもの(特許文献17)、速度調節膜中に香気性化合物を組み込むもの(特許文献18)、及びシランを香気性アルコールで誘導体化してアルコキシシランを形成するもの(特許文献19及び特許文献20)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5525588号明細書
【特許文献2】米国特許第5525555号明細書
【特許文献3】米国特許第5490982号明細書
【特許文献4】米国特許第5372806号明細書
【特許文献5】米国特許第5500223号明細書
【特許文献6】米国特許第5324444号明細書
【特許文献7】米国特許第5185155号明細書
【特許文献8】米国特許第5176903号明細書
【特許文献9】米国特許第5130171号明細書
【特許文献10】米国特許第5449512号明細書
【特許文献11】米国特許第5160494号明細書
【特許文献12】米国特許第5234689号明細書
【特許文献13】米国特許第5387622号明細書
【特許文献14】米国特許第5387411号明細書
【特許文献15】米国特許第5071704号明細書
【特許文献16】米国特許第5008115号明細書
【特許文献17】米国特許第4908208号明細書
【特許文献18】米国特許第4445641号明細書
【特許文献19】米国特許第4524018号明細書
【特許文献20】米国特許第4500725号明細書
【0004】
これらのアプローチはいずれも次に挙げる問題の少なくともいずれかをもつ。1)当該材料がパーソナルケア製品中で安定でないこと、2)当該材料の製造が容易もしくは簡便でないこと、或いは3)当該材料からの香気化合物の放出が継続的でゆっくりとしたものではないこと。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、次式の香気放出性シロキサンを提供する。

式中、Mは式RSiO1/2を有し、Mは式RSiO1/2を有し、Dは式R1011SiO2/2を有し、Dは式R10SiO2/2を有し、Tは式R12SiO3/2を有し、Tは式RSiO3/2を有し、Qは式SiO4/2を有しており、R、R、R、R10、R11及びR12は、炭素原子数1〜40の一価アルキル又はアルコキシ基及び炭素原子数1〜40の一価アリール又はアリールオキシ基からなる群から、M、M、D、D、T及びTの各々について各々独立に選択され、符号g、i又はkの一は1以上であることを条件として、符号f又はgは正数であって符号h、i、j、k又はlの一又はそれ以上は正数であり、Rは式(RO)(RO)(RO)(R(RSiRを有しており、Rは原子数2〜40の二価炭化水素基であり、R、R及びRは香気性のエステル又はケトン又はアルデヒドの群から誘導されるものであって、各々独立に次の構造
−CH=C(O−)−R
を有しており、R及びRは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基及び炭素原子数1〜40の一価アルコキシ基からなる群から選択され、符号aは1〜3の範囲の値を有し、符号b、c、d及びeはa+b+c+d+e=3であることを条件として0〜2の範囲の値を有し、Rは水素及び炭素原子数1〜100の一価炭化水素基からなる群から選択され、Rは水素及び炭素原子数1〜100の一価炭化水素基からなる群から選択され、aは1〜3の範囲の値を有し、b、c、d及びeはa+b+c+d+e=3であることを条件として0〜2の範囲の値を有する。本発明は、香気放出性シロキサンを含んでなる組成物も提供する。具体的用途には、香気放出性シロキサンを含んでなる化粧組成物がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化合物はオレフィン性シラン分子のヒドロシリル化によって香気性部分を導入する。これらのシロキサン分子は各種のパーソナルケア組成物に有用である。本発明は新規組成物に関するが、当該組成物は加水分解に際して香気性のアルデヒド、ケトン又はエステルを放出するシロキサンである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明で利用されるオレフィン性シランは次式で表わされる。
【0008】
(R(R(R(R(RSiR
式中、R、R、Rは香気性のエステル、ケトン又はアルデヒドの群から誘導されるものであって、各々独立に次の構造を有する。
【0009】
−CH2(C=O)−R
ここで、上記香気性エステル、ケトン又はアルデヒドは以下に示す通り反応条件下でカルボニル部分がエノール形を呈することができ、
−CH2(C=O)−R→R−CH=C(OH)−R
しかもエノールヒドロキシル基を介して反応して、炭素−酸素−ケイ素結合(すなわちR−CH=C(O−)−R、ただし、式中の酸素の後の記号−は、この化学種が一価基であることを示す)を形成する。R及びRは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基及び炭素原子数1〜40の一価アルコキシ基からなる群から選択され、Rはオレフィン性又はアセチレン性末端部分を含む原子数2〜40の一価不飽和炭化水素基であり、aは1〜3までの範囲の値を有し、b、c、d、eはa+b+c+d+e=3であることを条件として0〜2までの範囲の値を有する。Rは水素及び炭素原子数1〜100の一価炭化水素基からなる群から選択され、Rは水素及び炭素原子数1〜100の一価炭化水素基からなる群から選択される。なお、次の構造
−CH=C(O−)−R
は、次のエノラート構造
−CH=C(OH)−R
に対応する共役構造であるが、ヒドロキシル水素がない点に留意されたい。
−CH=C(O−)−R
という構造において、酸素原子の後の記号−は一価結合部位を示しており、この構造は一価基である。本明細書中で用いる炭素原子数1〜100という記載は、利用できる香気性エステル、ケトン及びアルデヒドの種類が式R−CH2(C=O)−Rで定まる場合に選択される。本明細書中で用いる一価炭化水素基という用語は、脂肪族一価炭化水素基及び芳香族一価炭化水素基をいずれも包含し、酸素、窒素、イオウ及びハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)のようなヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0010】
香気性含カルボニル化学種は、3−メチル−3−(3−(1−メチルエチルフェニル))プロパナール、2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)プロパナール、3−フェニルプロピオナール、2−フェニルプロピオナール、プロピオナール、イソブチラール、2−メチルブチラール、ヘキサナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、p−トリルアセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−(3)(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−カルバルデヒド、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール、trans−4−デセナール、シクラメンアルデヒド、4−(p−メトキシフェニル)−2−ブタノン、アセトフェノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−デカノン、3−ペンテン−2−オン、6−メチル−5−ヘプテン−2−オン、ゲラニルアセトン、イオノン、5−メチル−α−イオノン、2−アセトナフトン、酢酸2−メチル−3−フェニルプロパン−2−イル、酢酸リナリル、酢酸メンタニル、酢酸2−フェニルエチル、酢酸テトラヒドロリナリル、プロピオン酸フェネチル、フェネチルヘキサノエート、及び酢酸ブチルからなる群から選択される。
【0011】
以下に示す合成例は、本発明の化合物を製造するのにシリコーン化学の当業者が通例使用するであろう一般的な合成反応経路を例示するためのものである。従って、これらの反応経路は単なる例示にすぎず、本発明の化合物を製造し得る唯一の合成経路を表すものではない。香気性カルボニル含有部分である2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)プロパナールを用いた反応経路の一例を次に示す。
【0012】
【化1】

【0013】
なお、DMFはジメチルホルムアミドである。この反応経路は、3−メチル−3−(3−(1−メチルエチルフェニル))プロパナール誘導体の製造にも利用し得る。
【0014】
【化2】

香気性含カルボニル化学種、すなわちエステル、ケトン及びアルデヒドの反応には、トリエチルアミンのような塩基で補助されるケト−エノール互変異性平衡が成立することが必要とされる。
【0015】
互変異性は、2以上の構造の異なる化合物間で平衡が成り立つ化学的現象である。ほとんどすべてのケースで、平衡化合物の一の互変異性形と他の形との差異は水素原子の位置異性である。互変異性の主たる形態は、カルボニル基に対してα位に水素原子(すなわち、α水素)を有するカルボニル化合物(すなわち、カルボニル基を含有するもの)で成立する互変異性平衡である。
【0016】
【化3】

【0017】
一般に平衡定数はケト形が優勢であり、平衡は左に偏る。エノール化の程度は溶媒、濃度及び温度によって大きく左右される。強塩基が存在すると、エノール形もケト形も水素イオン(プロトン)を失ってエノラートアニオンを形成することができる。
【0018】
【化4】

【0019】
これらの構造が異なるのは電子の配置だけであるので、これらは互変異性体というよりは同一イオンの別の極限形(canonical form)である。酸素は炭素より電気陰性度が高いので、優勢な極限形はイオン電荷が酸素原子に局在化したものである。エノールとケトン又はアルデヒドとの互変異性平衡は通常は予備反応ではないが、本発明の化合物の製造でもそうであるようにケトンとアルデヒドはそれらのエノール形を介して反応することが多いので平衡が生起しなければならない。この化学のさらに詳しい説明については、J.March著,Advanced Organic Chemistry, John Wiley & Sons,New York(1985),66〜68頁及び527〜529頁並びにその参考文献を参照されたい。
【0020】
本発明の香気放出性シロキサンは、香気オレフィン性シランをアルケニル源として利用する慣用ヒドロシリル化反応によってオルガノハイドロジェンシロキサンから製造され、この反応の一例は次の通りである。
【0021】
【化5】

【0022】
この具体例において、Mは式RHSiO1/2を有し、Dは式R1011SiO2/2を有しており、R、R、R10及びR11はメチル基である。
【0023】
このようにオルガノハイドロジェンシロキサンは次式を有する。

式中、Mは式RSiO1/2を有し、Mは式RHSiO1/2を有し、Dは式R1011SiO2/2を有し、Dは式R10HSiO2/2を有し、Tは式R12SiO3/2を有し、Tは式HSiO3/2を有し、Qは式SiO4/2を有しており、R、R、R、R10、R11及びR12は、炭素原子数1〜40の一価アルキル又はアルコキシ基及び炭素原子数1〜40の一価アリール又はアリールオキシ基からなる群から、M、M、D、D及びTの各々について各々独立に選択され、符号g、i又はkの一は1以上であることを条件として、符号f又はgは正数であって符号h、i、j、k又はlの一又はそれ以上は正数である。
【0024】
このオルガノハイドロジェンシロキサンをヒドロシリル化条件下で反応させて、次式の香気放出性シロキサンを生じさせる。

式中の構成成分及び符号は上記の定義及び要件を満足するものであって、Mは式RSiO1/2を有し、Dは式R10SiO2/2を有し、Tは式RSiO3/2を有しており、Rは式(RO)(RO)(RO)(R(RSiRを有しており、Rは原子数2〜40の二価炭化水素基であって、符号及び構成成分は上記で定義した通りである。この非揮発性シリコーンはほとんどの使用条件下でゆっくりとした加水分解を受け、当該シリコーンはかくして加水分解により香気性アルコールを放出する。これにより、化粧品及び家庭用品のような数多くの有用な組成物に香りが賦与される。
【0025】
上記ヒドロシリル化反応は、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム及び白金ヒドロシリル化触媒からなる群から選択されるヒドロシリル化触媒の存在下で慣用法により実施される。かかる触媒の具体例は、米国特許第2823218号、同第3159601号、同第3159662号及び同第3775452号に記載されている。
【0026】
本発明の組成物は、さらに、香気放出性シリコーンが1以上の置換基R、R及びRを有していて、各置換基が、3−メチル−3−(3−(1−メチルエチルフェニル))プロパナール、2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)プロパナール、3−フェニルプロピオナール、2−フェニルプロピオナール、プロピオナール、イソブチラール、2−メチルブチラール、ヘキサナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、p−トリルアセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−(3)(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−カルバルデヒド、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール、trans−4−デセナール、シクラメンアルデヒド、4−(p−メトキシフェニル)−2−ブタノン、アセトフェノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−デカノン、3−ペンテン−2−オン、6−メチル−5−ヘプテン−2−オン、ゲラニルアセトン、イオノン、5−メチル−α−イオノン、2−アセトナフトン、酢酸2−メチル−3−フェニルプロパン−2−イル、酢酸リナリル、酢酸メンタニル、酢酸2−フェニルエチル、酢酸テトラヒドロリナリル、プロピオン酸フェネチル、フェネチルヘキサノエート及び酢酸ブチルからなる香気性アルデヒド、ケトン又はエステルの群から独立に選択され、かくして当該シリコーンの加水分解によって生じる香気性アルデヒド、ケトン又はエステルが上記の香気性アルデヒド、ケトン又はエステルの群から選択される香気放出性シリコーンを提供する。
【0027】
本発明の香気放出性化合物は、パーソナルケア製品に配合して該製品に望ましい長期持続性の香気を賦与するのに特に適している。好適な用途には、特に限定されないが、デオドラント、制汗剤、スキンクリーム、フェイシャルクリーム、ヘアケア製品、例えばシャンプー、ムース、スタイリングジェル、保護クリーム、シェービングクリーム、アフターシェーブローション、オーデコロン、香水、カラーコスメチック、例えば口紅、ファンデーション、頬紅、メーキャップ及びマスカラのほか、別の含ケイ素成分が添加されていてかつ賦香が望まれる化粧品がある。シェービングローション、オーデコロン、化粧水及び香水等の賦香製品に本発明の組成物を少量配合すると、これらの製品に望ましい長期持続性の香気を賦与することができる。さらに、本発明のシランは、不快な臭いを快適な香りでマスクするのが望まれる他の製品、例えば、ワックスや磨き剤のような家庭用洗浄用品、ワックスや磨き剤のような自動車洗浄用品、洗浄剤、衣料用コーティング剤、ペイント、ワニス等にも配合し得る。ただし、本発明のシランが、該シランの配合される製品と相溶性であるか或いは相溶性とすることができることが条件となる。
【実施例】
【0028】
1のエノラートのインシトゥ(in situ)形成と2からの塩素基の置換によってビニルシラン3を調製した。
【0029】
【化6】

【0030】
ヒドリド末端ポリシロキサンへのヒドロシリル化でポリマー4が得られた。
【0031】
【化7】

【0032】
加水分解反応
ポリマー4を塩基及び酸水溶液中での加水分解に付したが、塩基性条件下(NaOH)での2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)プロパナール香気部分の放出は表1に示す通り1時間以内に完了した。強酸条件下(トリフルオロ酢酸)では、放出におよそ1時間かかった。酢酸を用いたより穏和な条件下では、放出は約7時間で完了した。これらの例は時間経過によって香気部分が有効に放出されることを実証している。
【0033】
【表1】

【0034】
ジメチルビニルシラン3
攪拌棒、温度計、凝縮器及び窒素導入口を備えた100ml三首丸底フラスコに、ジメチルビニルクロロシラン(4.1ml、0.030モル)、2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)プロパナール(5.0g、0.024モル)、トリエチルアミン及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF、20ml)を入れて22時間80℃に加熱し、混合物を100mlのアイソパーC(Isopar C,登録商標)で希釈し、この混合物を冷重炭酸ナトリウム飽和水溶液で三回、次いで冷1N HCl、次いで重炭酸溶液で洗浄した後、MgSOで乾燥し、ストリッピングして6.4g(90%)の生成物を得た。
【0035】
ポリマー4の調製
ビニルシラン3(5.0g、0.017モル)及びジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体(イソプロパノール中の5%溶液2ml)を65℃に加熱し、次いでM23(16.0g、0.0086モル)を0.5時間にわたってゆっくりと加えた。反応を5.5時間続け、次いで冷却してポリマー4を得た。
【0036】
NaOHによるポリマー4の加水分解
上記ポリマー(108.1mg、0.045ミリモル)及びドデカン(内部標準、18.6mg、0.1092ミリモル)をTHF(2.0g)に溶解した後、0.35重量%NaOH水溶液(0.31g)で処理した。GC分析のため時間間隔をおいてアリコートを採取した。表1はポリマーからの2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)プロパナールの放出プロフィルのデータを示す。
【0037】
CFCOOHによるポリマー4の加水分解
上記ポリマー、すなわちポリマー4(102.5mg、0.0427ミリモル)及びドデカン(内部標準、20.9mg、0.1227ミリモル)をTHF(2.0g)に溶解した後、1.0重量%CFCOOH水溶液(0.30g)で処理した。GC分析のため時間間隔をおいてアリコートを採取した。表1はポリマーからの2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)プロパナールの放出プロフィルのデータを示す。
【0038】
CHCOOHによるポリマー4の加水分解
上記ポリマー、すなわちポリマー4(111.1mg、0.0463ミリモル)及びドデカン(内部標準、18.8mg、0.110ミリモル)をTHF(2.0g)に溶解した後、0.54重量%CHCOOH水溶液(0.32g)で処理した。GC分析のため時間間隔をおいてアリコートを採取した。表1はポリマーからの2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)プロパナールの放出プロフィルのデータを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の置換基を含んでなる香気放出性シロキサン。
(R(R(R(R(RSiR
式中、Rは原子数2〜40の二価炭化水素基であり、R、R及びRは香気性のエステル又はケトン又はアルデヒドの群から誘導されるものであって、各々独立に次の構造R−CH=C(O−)−Rを有しており、R及びRは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基及び炭素原子数1〜40の一価アルコキシ基からなる群から選択され、符号aは1〜3の範囲の値を有し、符号b、c、d及びeはa+b+c+d+e=3であることを条件として0〜2の範囲の値を有し、Rは水素及び炭素原子数1〜100の一価炭化水素基からなる群から選択され、Rは水素及び炭素原子数1〜100の一価炭化水素基からなる群から選択される。
【請求項2】
次式の香気放出性シロキサン。

式中、Mは式R1011SiO1/2を有し、Mは式R10SiO1/2を有し、Dは式R1213SiO2/2を有し、Dは式R12SiO2/2を有し、Tは式R14SiO3/2を有し、Tは式RSiO3/2を有し、Qは式SiO4/2を有しており、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、M、M、D、D、T及びTの各々について各々独立に、炭素原子数1〜40の一価アルキル又はアルコキシ基及び炭素原子数1〜40の一価アリール又はアリールオキシ基からなる群から選択され、符号g、i又はkの一は1以上であることを条件として、符号f又はgは正数であって符号h、i、j、k又はlの一又はそれ以上は正数であり、Rは式(R(R(R(R(RSiRを有しており、Rは原子数2〜40の二価炭化水素基であり、R、R及びRは香気性のエステル又はケトン又はアルデヒドの群から誘導されるものであって、各々独立に次の構造R−CH=C(O−)−Rを有しており、R及びRは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基及び炭素原子数1〜40の一価アルコキシ基からなる群から選択され、符号aは1〜3の範囲の値を有し、符号b、c、d及びeはa+b+c+d+e=3であることを条件として0〜2の範囲の値を有し、Rは水素及び炭素原子数1〜100の一価炭化水素基からなる群から選択され、Rは水素及び炭素原子数1〜100の一価炭化水素基からなる群から選択される。
【請求項3】
符号aが2又は3の値を有する、請求項2記載の香気放出性シロキサン。
【請求項4】
符号lが0である、請求項2記載の香気放出性シロキサン。
【請求項5】
符号kが0である、請求項4記載の香気放出性シロキサン。
【請求項6】
符号jが0である、請求項5記載の香気放出性シロキサン。
【請求項7】
符号iが0である、請求項6記載の香気放出性シロキサン。
【請求項8】
、R及びRが、3−メチル−3−(3−(1−メチルエチルフェニル))プロパナール、2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)プロパナール、3−フェニルプロピオナール、2−フェニルプロピオナール、プロピオナール、イソブチラール、2−メチルブチラール、ヘキサナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、p−トリルアセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−(3)(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−カルバルデヒド、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール、trans−4−デセナール、シクラメンアルデヒド、4−(p−メトキシフェニル)−2−ブタノン、アセトフェノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−デカノン、3−ペンテン−2−オン、6−メチル−5−ヘプテン−2−オン、ゲラニルアセトン、イオノン、5−メチル−α−イオノン、2−アセトナフトン、酢酸2−メチル−3−フェニルプロパン−2−イル、酢酸リナリル、酢酸メンタニル、酢酸2−フェニルエチル、酢酸テトラヒドロリナリル、プロピオン酸フェネチル、フェネチルヘキサノエート及び酢酸ブチルからなる香気性アルデヒド、ケトン又はエステルの群から誘導される、請求項2乃至請求項7のいずれか1項記載の香気放出性シロキサン。
【請求項9】
請求項2乃至請求項8のいずれか1項記載の香気放出性シロキサンを含んでなる組成物。
【請求項10】
請求項2乃至請求項7のいずれか1項記載の香気放出性シロキサンを含んでなり、デオドラント、制汗剤、スキンクリーム、フェイシャルクリーム、ヘアケア製品、保護クリーム、シェービングクリーム、アフターシェーブローション、オーデコロン、香水、メーキャップ及び別の含ケイ素成分が添加されている化粧品からなる群から選択される化粧組成物。
【請求項11】
シャンプー、ムース、及びスタイリングジェルからなる群より選択されるヘアケア製品である、請求項10記載の化粧組成物。
【請求項12】
口紅、ファンデーション、頬紅、及びマスカラからなる群より選択されるメーキャップである、請求項10記載の化粧組成物。

【公開番号】特開2011−116992(P2011−116992A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17268(P2011−17268)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【分割の表示】特願平11−240690の分割
【原出願日】平成11年8月27日(1999.8.27)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】