説明

駆動リングのための調心デバイスおよびシステム

【課題】駆動リングのための調心デバイスおよびシステムを提供すること。
【解決手段】調心デバイスが、枢動部分中に形成された穴の軸方向に沿って延在する第1の軸を中心として枢動するように構成された枢動部分と、枢動部分の第1の端部に対して装着され、回転するように構成されたローラと、枢動部分の第2の端部に対して装着され、第2の軸に沿って移動するように構成されたロッドと、ロッドの一部を囲み、枢動部分に対して付勢力を加えるように構成されたばね機構と、ロッドの一端部を受け、ロッドがロッドハウジング内を自在に移動することが可能となるように構成された、ロッドハウジングとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示される主題の実施形態は、概して、入口案内翼機構内の駆動リングを調心するための方法およびデバイス、より詳細には入口案内翼機構内の駆動リングを調心するための機構および技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年の間に、様々な産業における圧縮機の重要性が上昇した。圧縮機は、エンジン、タービン、発電、低温応用、オイルおよびガス、石油化学、等々において使用される。したがって、比較的多くの研究が、このターボマシンの効率を向上させるためになされている。
【0003】
圧縮機10は、図1に図示するように、羽根車16が装着されるシャフト14を収容するケーシング12を備える。圧縮機10の入口18が、羽根車に媒体(通常はガス)を供給する。しかし、圧縮機の種々の機能ステージの間に、ガスの量および羽根車に到達するガスの方向を制御することが必要となる。
【0004】
圧縮機10の羽根車16に供給されるガスの量および方向22を制御するために、入口案内翼(IGV:inlet guide vane)機構20が、入口18内に設置されてもよい。かかるIGV機構20は、図2においては、複数のベーン26を保持するように構成されたブレード支持ディスク24を有して図示される。図2は、分かりやすくするため、ベーン26を2つだけ図示する。各ブレード26は、長手方向軸に沿って回転するように構成されたロッド28に連結される。ロッド28の回転により、対応するブレード26の回転がもたらされる。ロッド28は、例えばアーム30および32などを介して作動される。アーム30は、ボルト34を介してアーム32に連結される。アーム32は、ボルト36により駆動リング40に連結される。駆動リング40の回転により、アーム30および32によるロッド28したがっておよびブレード26の回転がもたらされる。このようにして、羽根車16に進入するガスの量および方向が、駆動リング40の回転により制御される。
【0005】
しかし、駆動リング40を回転させるために駆動リング40に対して大きな力を印加すると、駆動リングは、さらにその位置から変位される場合があり、これが望ましくない。既存のIGVが直面するもう1つの問題は、大きな熱膨張である。ガスが、いくつかの角度にてIGVを通過するように押しやられる際に、ガスの温度は、上昇するが、駆動リングおよび駆動リングを収容するケーシングの熱膨張が、それぞれ異なる場合があり、その結果として、駆動リングがケーシングに対して固定されるか、または駆動リングが偏心状態となる場合がある。駆動リングのこれらの問題は、リングの機能およびIGVのブレードを閉じるまたは開く能力に対して悪影響を及ぼす場合があり、したがって圧縮機の機能に影響を及ぼす場合がある。
【0006】
Hartmann等(米国特許出願公開第2007/0154301号、該出願の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる)は、リングを支持するためのデバイスを開示しており、このデバイスは、対応するローラを有する複数のレバーを備える。これらの複数のレバーは、ブレードキャリアに固定され、ローラは、調節リングがローラにより支持されるように、調節リングに接触する。
【0007】
さらに、Wall(英国特許第1281786号、該出願の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる)が、リング146を調心するためのローラ159を備える構造体を開示している。しかし、両参考例は、リングまたはローラのサポートの大きな熱膨張を許容する能力、または印加される力を調節する能力に限度がある。
【0008】
したがって、前述の問題および欠点を解消するデバイスおよび方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な一実施形態によれば、駆動リングを調心するための調心デバイスがある。この調心デバイスは、枢動部分中に形成された穴の軸方向に沿って延在する第1の軸を中心として枢動するように構成された枢動部分と、枢動部分の第1の端部に対して装着され、回転するように構成されたローラと、枢動部分の第2の端部に対して装着され、第2の軸に沿って移動するように構成されたロッドと、ロッドの一部を囲み、枢動部分に対して付勢力を加えるように構成されたばね機構と、ロッドの一端部を受け、ロッドがロッドハウジング内を自在に移動することが可能となるように構成されたロッドハウジングとを備える。
【0010】
別の例示的な実施形態によれば、入口案内翼機構がある。この入口案内翼機構は、複数のベーンを保持するように構成された案内翼プレートと、カートリッジと、案内翼プレートとカートリッジとの間に設置され、複数のベーンを回転させるように構成された駆動リングと、カートリッジに対して装着され、駆動リングを調心するように構成された、少なくとも2つの調心デバイスとを備える。調心デバイスが、枢動部分中に形成された穴の軸方向に沿って延在する第1の軸を中心として枢動するように構成された枢動部分と、枢動部分の第1の端部に対して装着され、回転するように構成されたローラと、枢動部分の第2の端部に対して装着され、第2の軸に沿って移動するように構成されたロッドと、ロッドの一部を囲み、枢動部分に対して付勢力を加えるように構成されたばね機構と、ロッドの一端部を受け、ロッドがロッドハウジング内を自在に移動することが可能となるように構成された、ロッドハウジングとを備える。
【0011】
さらに別の例示的な実施形態によれば、入口および出口を有するケーシングと、ケーシングの内部に設置される羽根車を有するシャフトと、入口案内翼機構とを備えるターボマシンがある。この入口案内翼機構は、複数のベーンを保持するように構成された案内翼プレートと、カートリッジと、案内翼プレートとカートリッジとの間に設置され、複数のベーンを回転させるように構成された駆動リングと、カートリッジに対して装着され、駆動リングを調心するように構成された、少なくとも2つの調心デバイスとを備える。調心デバイスが、枢動部分中に形成された穴の軸方向に沿って延在する第1の軸を中心として枢動するように構成された枢動部分と、枢動部分の第1の端部に対して装着され、回転するように構成されたローラと、枢動部分の第2の端部に対して装着され、第2の軸に沿って移動するように構成されたロッドと、ロッドの一部を囲み、枢動部分に対して付勢力を加えるように構成されたばね機構と、ロッドの一端部を受け、ロッドがロッドハウジング内を自在に移動することが可能となるように構成されたロッドハウジングとを備える。
【0012】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、1つまたは複数の実施形態を示し、その説明と共にこれらの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来的な圧縮機の概略図である。
【図2】従来的な入口案内翼機構の概略図である。
【図3】例示的な一実施形態による新規の入口案内機構を有する圧縮機の概略図である。
【図4】例示的な一実施形態による調心デバイスおよび駆動リングの概略図である。
【図5】例示的な一実施形態による調心デバイスおよびその装着点の概略図である。
【図6】調心デバイスの概略図である。
【図7】例示的な一実施形態による調心デバイスのロッドハウジングの概略図である。
【図8】例示的な一実施形態による新規の調心デバイスを有する圧縮機の概略図である。
【図9】例示的な一実施形態による駆動リングの周囲に設けられた調心デバイスの概略図である。
【図10】例示的な一実施形態による調心デバイスのローラの動作の概略図である。
【図11】例示的な一実施形態による調心デバイスを組み立てるための方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これらの例示的な実施形態の以下の説明は、添付の図面を参照とする。様々な図面内の同一の参照番号は、同一のまたは同様の要素を指す。以下の詳細な説明は、本発明を限定しない。その代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。以下の実施形態は、分かりやすくするために、圧縮機のIGVの用語および構造に関連して論じられる。しかし、以下に論られる実施形態は、これらのシステムに限定されず、ターボマシンに入力される流体の制御を要する他のシステムに適用することができる。
【0015】
本明細書全体にわたり、「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は、ある実施形態に関連して説明されるある特定の特徴部、構造体、または特徴が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたり様々な箇所に出現する「一実施形態において」または「ある実施形態において」という語句は、同一の実施形態を必ずしも指してはいない。さらに、それらの特定の特徴部、構造体、または特徴は、任意の適切な態様において、1つまたは複数の実施形態内において組み合わされてもよい。
【0016】
例示的な一実施形態によれば、駆動リングが、駆動リングを調心するように構成された複数の調心デバイスによって支持される。この調心は、連続的かつ自動的なものであってもよい。
【0017】
図3に図示されるように、圧縮機50が、IGV機構54を収容するケーシング52を備えてもよく、このIGV機構54は、圧縮機の入口56と羽根車58との間に配置される。圧縮機は、出口57をさらに有する。ガスが、IGV機構54を通過した後に、このガスは、圧縮機の第1のステージの羽根車58に進入する。羽根車58は、圧縮機のシャフト60に対して装着される。羽根車58を通過した後に、ガスは、ディフューザ62内に到達する。羽根車58およびディフューザ62は、圧縮機50の第1のステージを形成する。ガスは、ディフューザ62から、圧縮機の新しいステージに進入する、等々となる。したがって、IGV機構54は、ケーシング52の内部におよびシャフト60の周囲に設置される。
【0018】
例示的な一実施形態によるIGV機構54が、図4に図示される。カートリッジ66が、駆動リング70を部分的に収容するように構成される。一応用例においては、カートリッジ66は、圧縮機の内方ケーシングに対して固定的に装着されてもよい。カートリッジ66は、シャフト60を受けるように構成された穴68を有してもよい。
【0019】
駆動リング70は、カートリッジ66に対面しており、後に論じられるようにカートリッジ66に対して回転的に装着されてもよい。カートリッジ66は、カートリッジ66に隣接して配置された場合に駆動リング70を(部分的にまたは全体的に)囲むように構成されたガイド要素72を備えてもよい。
【0020】
複数の調心デバイス74が、カートリッジ66上に、駆動リング70の周りにさらに設けられて、駆動リング70を支持する。分かりやすくするために、1つの調心デバイス74が図4に示される。しかし、例えば6つなど、さらに多数の調心デバイスが使用されてもよい。調心デバイス74は、2つの箇所でカートリッジ66に回転自在に連結されてもよい。これらの2つの箇所76aおよび76bは、例えばカートリッジ66中の穴(ねじ山を付けられた、または付けられていない)である。図5に図示されるように、2つの対応するボルトまたはねじ78aおよび78bが、カートリッジ66に対して調心デバイス74を装着させるために使用される。
【0021】
カートリッジ66に対して調心デバイス74を装着させるために2つのねじ78aおよび78bが使用されるが、調心デバイスは、以下において論じるように、移動および/または回転がさらに可能である。図6は、調心デバイス74およびその詳細を示す。ねじ(またはピンまたはボルトまたはカートリッジ66に対して装着するための他の手段他の手段)78aは、見えるが、ねじ78bは、見えないことを指摘しておく。このことは後で明らかにされる。
【0022】
調心デバイス74は、例えばピン82などを介して枢動部分84に連結されるローラ80を備える。枢動部分84は、ねじ78aが通されてカートリッジ66内に挿入されるための穴86を有する。ねじ78aは、枢動部分84がねじ78aを中心として自在に枢動することが可能となるように、カートリッジ66に対して枢動部分84を押圧しないように設計される。また、一応用例においては、穴86は、ねじ山を有さず、ねじ78aの外径よりも大きい。
【0023】
枢動部分84は、ロッド88に連結されるように構成される。枢動部分84とロッド88との間の連結は、例えばピンによって実現される。しかし、枢動部分84が回転可能であり、ロッド88が方向Xに沿って移動可能である限りにおいては、他の連結が可能である。ばね機構90が、ロッド88の一方の端部88aと接触状態に設けられてもよい。ロッド88の端部88aは、ばね機構90がこの端部を越えて進むことが不可能となるように、すなわちストッパのように形状設定されてもよい。ばね機構90の他方の端部は、ロッドハウジング92に対面しており、このロッドハウジング92は、ロッド88の他方の端部88bを受けるように構成される。ロッド88は、ロッドハウジング92内を自在に移動するように構成される。
【0024】
ロッドハウジング92は、図7に図示されるように、ねじ78bによりロッドハウジング92の内部からカートリッジ66に対して装着される。この理由により、ロッド88が、図6に図示されるようにロッドハウジング92内に挿入されると、ねじ78bは、ロッド88により隠される。ねじ78bは、カートリッジ66にロッドハウジン92を回転自在に連結するように設計されて、それによりロッドハウジング92は、ねじ78bを中心として自在に回転することが可能となる。したがって、この構成により、枢動部分84は、ねじ78aを中心として回転することが可能となり、ロッド88は、ロッドハウジング92内を方向Xに沿って移動することが可能となる。図6および図7は、ロッド88の端部88b上のナット94を図示するが、このナットは、後に論じられるようにIGVの作動時には取り外される。
【0025】
ばね機構90は、ばね、皿ばね、または弾性力を生成する当技術において知られている任意の他のデバイスであってもよい。したがって、作動中に、駆動リング70が、(熱膨張により)カートリッジ66よりも高速で膨張すると、駆動リング70と接触状態にあるローラ80は、図6におけるラジアル方向Zに沿って移動して、この膨張を許容することが可能である。ローラ80が、方向Zに沿って移動する際に、枢動部分84は、軸Y(図6においてページ内に進むように示される)を中心として枢動し、ばね機構90を圧縮する一方で、ロッド88は、X方向に沿って押される。ばね機構90が、圧縮されるので、ローラ80の移動とは逆方向の力が生じるが、この力は、駆動リング70を調心する傾向がある。複数の調心デバイス74が、駆動リング70の周囲に配設されることを銘記されたい。
【0026】
しかし、カートリッジ66が、駆動リング70よりも高速で膨張する場合には、ローラ80は、負のZ方向に移動し、ばね機構90は、圧縮解除され、これにより、枢動部分74においてZ方向に沿った力が生じる。したがって、ローラ80により駆動リング70に対して加えられる力が、低減されて、駆動リング70の調心をもたらす。これらの力が、ばね機構90において生じている間、ロッド88の端部88bは、ロッドハウジング92中で移動自在である。
【0027】
IGV機構がさらされる温度に応じて、例えば弱いばねをより強いばねと交換する、またはその逆などにより、ばね機構90の強度を調節してもよい。したがって、ローラ80は、ばね機構90の選択に基づき、圧縮機の様々な条件に対して様々な様式で応ずる。したがって、IGV機構は、カートリッジ66に対する駆動リング70の大きな変位にも対処することが可能となる。
【0028】
次に、調心デバイス74の分布について論じる。図4に類似する図8に関連して、アクチュエータロッド100が、ピン102により駆動リング70に連結されることを指摘しておく。駆動リング70にアクチュエータロッド100を連結するための他の方法も可能である。また、図8は、複数のベーン104を支持するように構成された案内翼プレート103を図示する。したがって、この実施形態においては、駆動リング70は、カートリッジ66と案内翼プレート103との間に挟まれる。複数のベーン104が、種々のアームを介して駆動リング70に連結される。進入してくるガスの量を調整するためにベーン104を回転させることが必要な場合には、アクチュエータロッド100に対して力が加えられて駆動リング70を回転させ、これによりベーン104が閉じられるかまたは開かれる。この力と、駆動リング70およびカートリッジ66の異なる熱膨張との組合せにより、従来的なデバイスにおける駆動リングの偏心がもたらされる。
【0029】
しかし、新規の調心デバイス74は、調心デバイス74が、例示的な一実施形態において論じられるように、ばね機構90の選択に基づき所望の力を加えることが可能であるため、広く多様な条件下で駆動リング70を調心することによって、この問題を解消する。駆動リング70の調心に寄与する別の因子は、駆動リングの周囲における調心デバイス74の分布である場合がある。図9に図示される例示的な一実施形態においては、6つの調心デバイス74(円で表される)が、駆動リング70の周囲に分布されているのが示される。調心デバイス74のローラ80は、駆動リング70と接触状態にあることを指摘しておく。
【0030】
この例示的な実施形態によれば、調心デバイス74は、駆動リング70に対するアクチュエータロッド100の連結により決定される駆動リング70の力軸110の対向側に分布される。換言すれば、位置112aおよび112bが、この例示的な実施形態においては好ましくない。一適用例においては、調心デバイス74は、離機軸100に対しておよび駆動リング70の周囲に対称的に配置される。さらに別の適用例においては、軸110の同一側における2つの隣接し合う調心デバイス74aおよび74b間の角度αが、20°から60°の間であり、軸110の同一側の全ての調心デバイスに関して同一であってもよい。より少数のまたは多数の調心デバイスが使用されてもよい。
【0031】
使用時には、調心デバイス74aの様々な部分が、図10において概略的に示されるように動く。駆動リング70が、軸Zの正の方向に沿って移動する傾向がある場合には、ローラ80は、同一方向に沿って押され、これによりロッド88が、軸Xの正の方向に沿ってばね機構90を圧縮する。この作用により、ばね機構90におけるばね力の上昇がもたらされ、これが、ローラ80の上方への移動の釣り合いを取る。同時に、対向側の調心デバイス74cが、逆の方向に作用し、すなわちローラ80により駆動リング70に対して加えられる力を低減させる。2つ以上の調心デバイス74の共同作用により、駆動リング70がある方向に偏心すると、その側の調心デバイスが、高い力で中心位置の方向に駆動リング70を押し戻し、対向側の調心デバイスが、それらの力を低減させて、調心リングがその元の位置に戻るのを可能にする。
【0032】
図6に図示される新規の調心デバイスは、圧縮機の組立てを簡素化する別の新規のコンセプトを提示する。発明の背景のセクションにて論じられたシステムは、それらのローラが中心リングに対して一定の力を加えるので、組立てが困難であることが、当業者には認知されよう。しかし、図6に図示されるナット94を使用することにより、ローラ80は、駆動リング70から引き上げられ得るようになり、それにより駆動リング70は、調心デバイス74の存在による影響を被ることなくカートリッジ66内に設置することができる。駆動リング70が定位置に来ると、次いでナット94は、取り外され、ローラ80は、駆動リング70に対して所望の圧力を加える。
【0033】
次に、図11を参照として、IGV機構に対して調心デバイスを装着するための方法を論じる。この方法は、枢動部分が枢動部分中に形成された穴の軸方向に沿って延在する第1の軸(Y)を中心として枢動するように、カートリッジに対して枢動部分を装着するステップ1100と、ローラが回転するように構成されるように、枢動部分の第1の端部に対してローラを装着するステップ1102と、ロッドが第2の軸(X)に沿って移動するように構成されるように、枢動部分の第2の端部に対してロッドを装着するステップ1104と、ばね機構が枢動部分に対して付勢力を加えるように構成されるように、ばね機構によりロッドの一部を囲むステップ1106と、ロッドハウジングがロッドの一端部を受け、ロッドハウジング内で自在に移動するように構成されるように、カートリッジに対してロッドハウジングを装着するステップ1108とを含む。
【0034】
この方法は、駆動リングがカートリッジと案内翼プレートとの間に挟まれるように、カートリッジに対して案内翼プレートを装着する追加のステップを含んでもよい。このパッケージは、例えば圧縮機などのターボマシンのケーシングの内部に挿入されてもよい。次いで、作動ロッドが、ケーシング中の穴を介して挿入されて、駆動リングに連結されてもよい。
【0035】
開示した例示的な実施形態は、ターボマシンのシャフトの周囲において駆動リングを調心するためのシステムおよびデバイスを提供する。本説明は、本発明を限定するようには意図されないことを理解されたい。逆に、これらの例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲により規定されるような本発明の趣旨および範囲に含まれる大体形態、修正形態、および均等物を対象に含むように意図される。さらに、これらの例示的な実施形態の詳細な説明においては、特許請求される本発明の十分な理解を与えるために、多数の具体的な詳細を示す。しかし、種々の実施形態は、かかる具体的な詳細を伴うことなく実施し得ることが、当業者には理解されよう。
【0036】
これらの例示的な実施形態の特徴部および要素は、特定の組み合わせにおいてそれらの実施形態において説明されるが、各特徴部または要素は、それらの実施形態の他の特徴部および要素を伴わずに単独で使用することが可能であり、または本明細書において開示される他の特徴部および要素とのもしくはそれらを伴わない様々な組み合わせにおいて使用することが可能である。記述した本説明は、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用する、ならびに任意の組み込まれる方法を実施することを含め、任意の当業者が開示される主題を実施することが可能となるようにするために、開示される主題の例を用いる。本主題の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者により想起される他の例を含むことができる。かかる他の例は、特許請求の範囲内に含まれるように意図される。
【符号の説明】
【0037】
10 圧縮機
12 ケーシング
14 シャフト
16 羽根車
18 入口
20 入口案内翼機構
22 方向
24 ブレード支持ディスク
26 ベーン、ブレード
28 ロッド
30 アーム
32 アーム
34 ボルト
36 ボルト
40 駆動リング
50 圧縮機
52 ケーシング
54 IGV機構
56 入口
57 出口
58 羽根車
60 シャフト
62 ディフューザ
66 カートリッジ
68 穴
70 駆動リング
72 ガイド要素
74 調心デバイス
74a 調心デバイス
74b 調心デバイス
74c 調心デバイス
76a 箇所
76b 箇所
78a ボルトまたはねじ
78b ボルトまたはねじ
80 ローラ
82 ピン
84 駆動部分
86 穴
88 ロッド
88a 端部
88b 端部
90 ばね機構
92 ロッドハウジング
94 ナット
100 アクチュエータロッド
102 ピン
103 案内翼プレート
104 ベーン
112a 位置
112b 位置
X 方向
Y 方向
Z 方向
α 角度
146 リング
159 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調心デバイスであって、
枢動部分(84)であって、該枢動部分(84)中に形成された穴の軸方向に沿って延在する第1の軸を中心として枢動するように構成された枢動部分(84)と、
前記枢動部分の第1の端部に対して装着され、回転するように構成されたローラ(80)と、
前記枢動部分の第2の端部に対して装着され、第2の軸に沿って移動するように構成されたロッド(88)と、
前記ロッドの一部を囲み、前記枢動部分に対して付勢力を加えるように構成されたばね機構(90)と、
前記ロッドの一端部を受け、前記ロッドがロッドハウジング内を自在に移動することが可能となるように構成された前記ロッドハウジング(92)と
を備える、調心デバイス。
【請求項2】
前記ロッドの前記端部は、ナットを受けるように構成されたねじセクションを有する、請求項1記載の調心デバイス。
【請求項3】
前記ロッドに前記枢動部分を連結するピンをさらに備える、請求項1記載の調心デバイス。
【請求項4】
前記枢動部分は、前記枢動部分が枢動自在となるように、カートリッジに対して装着されるように構成される、請求項1記載の調心デバイス。
【請求項5】
前記ロッドハウジングは、前記ロッドハウジングが回転自在に構成されるように、前記カートリッジに対して装着されるように構成される、請求項4記載の調心デバイス。
【請求項6】
前記ローラは、駆動リングに接触し、前記ばね機構により生成される力により前記駆動リングに対して作用するように構成される、請求項1記載の調心デバイス。
【請求項7】
前記ばね機構は、前記ロッドから取り外し可能である、請求項1記載の調心デバイス。
【請求項8】
前記ばね機構は、皿ばねである、請求項1記載の調心デバイス。
【請求項9】
複数のベーンを保持するように構成された案内翼プレートと、
カートリッジと、
前記案内翼プレートと前記カートリッジとの間に設置され、前記複数のベーンを回転させるように構成された駆動リングと、
前記カートリッジに対して装着され、前記駆動リングを調心するように構成された、少なくとも2つの調心デバイスと
を備え、調心デバイスが、
枢動部分中に形成された穴の軸方向に沿って延在する第1の軸を中心として枢動するように構成された前記枢動部分、
前記枢動部分の第1の端部に対して装着され、回転するように構成されたローラ、
前記枢動部分の第2の端部に対して装着され、第2の軸に沿って移動するように構成されたロッド、
前記ロッドの一部を囲み、前記枢動部分に対して付勢力を加えるように構成されたばね機構、および
前記ロッドの一端部を受け、前記ロッドがロッドハウジング内を自在に移動することが可能となるように構成された、前記ロッドハウジング
を備える、入口案内翼機構。
【請求項10】
入口および出口を有するケーシングと、
前記ケーシングの内部に設置される羽根車を有するシャフトと、
入口案内翼機構であって、
複数のベーンを保持するように構成された案内翼プレート、
カートリッジ、
前記案内翼プレートと前記カートリッジとの間に設置され、前記複数のベーンを回転させるように構成された駆動リング、および
前記カートリッジに対して装着され、前記駆動リングを調心するように構成された、少なくとも2つの調心デバイス
を備える入口案内翼機構と
を備え、調心デバイスが、
枢動部分中に形成された穴の軸方向に沿って延在する第1の軸を中心として枢動するように構成された前記枢動部分、
前記枢動部分の第1の端部に対して装着され、回転するように構成されたローラ、
前記枢動部分の第2の端部に対して装着され、第2の軸に沿って移動するように構成されたロッド、
前記ロッドの一部を囲み、前記枢動部分に対して付勢力を加えるように構成されたばね機構、および
前記ロッドの一端部を受け、前記ロッドがロッドハウジング内を自在に移動することが可能となるように構成された、前記ロッドハウジング
を備える、ターボマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−52537(P2012−52537A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182167(P2011−182167)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(505347503)ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ (112)
【Fターム(参考)】