説明

駆動力伝達機構及び昇降装置

【課題】複数のアクチュエータのうちいずれかが作動不能となっても架台が昇降できる技術を提供する。
【解決手段】複数のアクチュエータ20,30を、向きを揃えて並列に配置する。各アクチュエータ20,30のロッド24,34の端部を、第2部材50を構成する取付部材55に連結し、ボディ22,32の端部をクランク機構60,70の一端に連結する。そして、クランク機構60,70の他端を第1部材40を構成する横部材44に固定する。これにより、昇降装置1では、複数のアクチュエータ20,30の一方が故障して停止し、他方の正常なアクチュエータ20,30が伸縮し続けた場合であっても、クランク機構60,70が開いていくので、アクチュエータ20,30と第1部材40とを結合部で噛みあった状態で停止したり、アクチュエータ20,30が破壊されたりすることはなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力伝達機構及びそれを用いた昇降装置に関し、特に、重量物の昇降機能を必要とする医療用診察撮影台、マッサージベッド、工業用テーブルなどに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の昇降装置では、2本のアクチュエータを用い、その2本のアクチュエータがそれぞれ、一対のリンク機構の一端にアクチュエータの一端が回動可能に取り付けられ、リンク機構の他端(反対端)にはアクチュエータの他端が回動可能に取り付けられている。
【0003】
そして、2本のアクチュエータが伸縮することで、リンク機構のリンク角度が変化し、架台が昇降するようになっている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−309948号公報
【特許文献2】特開2007−117182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の昇降装置では、2本のアクチュエータの両端がリンク機構に回動可能に取り付けられているため、アクチュエータの作動途中で片方のアクチュエータが、電気配線の断線や機械的な故障により作動不能になった場合、架台を昇降できなくなるという問題がある。
【0006】
つまり、2本のアクチュエータの作動途中に片方のアクチュエータが作動不能となった場合、他方のアクチュエータは正常に作動している。したがって、正常に作動しているアクチュエータ側からの駆動力により、作動不能となったアクチュエータにリンク機構を介して力が加わり、双方のアクチュエータの結合部が噛みあった状態になり、架台が昇降できなくなるという状況が発生する。
【0007】
また、アクチュエータの駆動力が強い場合には、作動不能となったアクチュエータを機械的に破壊してしまうといった状況も発生する。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、複数のアクチュエータのうちいずれかが作動不能となっても架台が昇降できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。
【0009】
上記「発明が解決しようとする課題」において述べた問題を解決するためになされた発明は、互いに相対変位が可能なリンク機構を構成する第1部材(40)及び第2部材(50)に、アクチュエータ(20,30)の駆動力を及ぼして第1部材(40)と第2部材(50)とを相対変位させるための駆動力伝達機構(10)であって、向きを揃えて並列に配置され、一端が第2部材(50)に連結された複数のアクチュエータ(20,30)と、複数のアクチュエータ(20,30)の各々の他端に設けられ、複数のアクチュエータ(20,30)と第1部材(40)を連結するクランク機構(60,70)と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このような、駆動力伝達機構(10)では、複数のアクチュエータ(20,30)が同期して平行に伸縮しているときには、リンク機構を構成する第1部材(40)及び第2部材(50)の自重などの負荷が、各アクチュエータの(20,30)のクランク機構(60,70)に均等に掛かる。
【0011】
したがって、各クランク機構(60,70)が閉じた状態で、第1部材(40)と第2部材(50)の相対位置(リンク角度)が変化する。
ところが、複数のアクチュエータ(20,30)が伸びる方向に作動している時、いずれかのアクチュエータ(20,30)が断線或いは機械的な故障により作動が停止した場合、他のアクチュエータ(20,30)は依然伸びる方向に作動し続ける。
【0012】
このとき、停止したアクチュエータ(20,30)の一端に設けられたクランク機構(60,70)が、作動しているアクチュエータ(20,30)の伸びに応じて開いていく。
【0013】
したがって、従来の駆動力伝達機構(10)のように、アクチュエータ(20,30)と第1部材(40)との結合部分で噛みあった状態で停止したり、アクチュエータ(20,30)が破壊されたりすることはない。
【0014】
また、複数のアクチュエータ(20,30)が縮む方向に作動している時、いずれかのアクチュエータ(20,30)が断線或いは機械的な故障により作動が停止した場合、他のアクチュエータ(20,30)は、依然縮む方向に作動し続ける。
【0015】
このとき、作動中のアクチュエータ(20,30)の一端に設けられたクランク機構(60,70)が作動中のアクチュエータ(20,30)の縮みに応じて開いていく。したがって、アクチュエータ(20,30)が伸びる場合と同様にアクチュエータ(20,30)が停止したり、破壊されたりすることがなくなる。
【0016】
ここで、「向きを揃えて並列に」とは、複数のアクチュエータ(20,30)を、その伸縮方向が平行になるように並べ置くことを意味する。
ところで、従来の昇降装置では、アクチュエータが収縮した状態、すなわち、架台が下がった状態で結合部が噛みあってしまうと、低い位置にある架台の下で、壊れたアクチュエータを交換する等の修理作業を行う必要があり、そのようなメンテナンス作業が非常に煩雑で大がかりなものとなっていた。
【0017】
そこで、請求項2に記載のように、請求項1に記載の駆動力伝達機構(10)と、第1部材(40)と第2部材(50)との相対変位に伴って昇降変位する架台(80)と、を備えることを特徴とする昇降装置(1)とするとよい。
【0018】
このようにすると、例えば、医療用ベッド、医療用診察台、医療用診察撮影台、マッサージベッド或いは工業用テーブルなどの昇降装置において、請求項1に係る発明の効果が得られる。
【0019】
さらに、請求項1に記載の駆動力伝達機構(10)を用いると、複数のアクチュエータが故障した場合であっても、常に架台(80)を上昇させることができる。したがって、架台(80)が上昇した状態、すなわち、架台(80)が高い位置にある状態で、故障したアクチュエータ(20,30)を交換する等の修理作業を行うことができるので、メンテナンス作業を容易にすることができる。
【0020】
また、請求項3に記載のように、クランク機構(60,70)に、クランク機構(60,70)が開状態となったことを検出し、外部に出力する検出手段(100,102)を備えるようにするとよい。このようにすると、クランク機構(60,70)が開状態となったことを信号として外部に出力できる。
【0021】
すると、クランク機構(60,70)が開状態となったことを示す信号を利用して、例えば、昇降装置(1)を停止させたり故障を報知したりするといった種々の制御を行うことができる。
【0022】
ここで、「クランク機構(60,70)が開状態となった」について説明すると、前述のように、複数のアクチュエータ(20,30)のうちいずれかが故障した場合、他のアクチュエータ(20,30)が作動(伸縮)することによって、故障したアクチュエータ(20,30)に設けられているクランク機構(60,70)が開いていく。したがって、その開きが所定の大きさになったときを、「クランク機構(60,70)が開状態となった」とするのである。
【0023】
また、クランク機構(60,70)の開状態を示す信号を利用する場合、請求項4に記載のように、検出手段(100,102)から出力されるクランク機構(60,70)が開状態となったことを示す信号に基づき、クランク機構(60,70)が開となった旨の報知手段(110)を備えるようにするとよい。
【0024】
このようにすると、昇降装置(1)のアクチュエータ(20,30)の何れかが故障して伸縮ができなくなった場合、故障した旨を報知することができる。したがって、使用者は昇降装置(1)を停止させるなどの処置を迅速に行うことができ、ひいては、より安全な昇降装置(1)とすることができる。
【0025】
なお、報知手段(110)による報知の方法として、ブザーや音声など音響によるもの、或いは、ランプやLEDを点滅させたり、LEDパネルで故障した旨を表示させたりするなど光を用いた方法などを用いることができる。
【0026】
また、請求項5に記載のように、検出手段(100,102)で検出したクランク機構(60,70)が開状態となったことを示す信号に基づき、駆動力伝達機構(10)の作動を停止させる制御手段(90)を備えるようにしてもよい。
【0027】
このようにすると、いずれかのアクチュエータ(20,30)が故障した場合、駆動力伝達機構(10)の作動を停止させること、つまり、昇降装置(1)の昇降作動を停止させることができるので、安全な昇降装置(1)とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】昇降装置1の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】駆動力伝達機構10の外観を示す斜視図である。
【図3】従来の電動昇降装置の外観を示す斜視図である。
【図4】昇降装置1の電動アクチュエータ20,30が収縮した状態で架台80を持ち上げた作動状態を示す斜視図である。
【図5】2本のアクチュエータ20,30が伸びる方向に作動している時に一方のアクチュエータ30が停止した場合の作動状態を示す斜視図である。
【図6】2本のアクチュエータ20,30が縮む方向に作動している時に一方のアクチュエータ30が停止した場合の作動状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0030】
本発明が適用された昇降装置1の構成を図1に示す。図1は、昇降装置1の概略の構成を示すブロック図である。昇降装置1は、図1に示すように、
制御装置90、リミットスイッチ100,102、報知装置110、架台80及び駆動力伝達機構10を備えている。
【0031】
制御装置90は、図示しないCPU,ROM、RAM、I/O、電源部及び操作部を備えている。操作部の操作に従って、電動アクチュエータ20,30のモータ26,36に対する電力の供給/停止を行うことにより、電動アクチュエータ20,30のモータ26,36を作動させて、ロッド24,34を伸縮させる。
【0032】
報知装置110は、後述するクランク機構60,70に取り付けられたリミットスイッチ100,102から出力される、クランク機構60,70が開状態となったことを示す信号に基づき、クランク機構60,70が開となった旨の報知を行う装置である。
【0033】
報知の方法は、LEDパネル111(図1参照)による表示や音声報知装置112(図1参照)による音声報知などによりクランク機構60,70が開となった旨を報知する。
駆動力伝達機構10は、互いに相対変位が可能なリンク機構を構成する第1部材40及び第2部材50に、2本の電動アクチュエータ20,30の伸縮による駆動力を及ぼして第1部材40と第2部材50とを相対変位させるための駆動力を伝達する機構である。
【0034】
駆動力伝達機構10の構成については、図2に基づいて詳細に説明する。図2は、駆動力伝達機構10の外観を示す斜視図である。
駆動力伝達機構10は、図2に示すように、2本の電動アクチュエータ20,30、第1部材40、第2部材50、クランク機構60,70を備えている。
【0035】
2本の電動アクチュエータ20,30は、それぞれ、ボディー22,32とロッド24,34から構成され、ボディー22,32の内部に収納されているモータ26,36(図1参照)が制御装置90から電力の供給を受けて作動(回転)することにより、図示しないボールスクリュによりロッド24,34が伸縮するようになっている。
【0036】
第1部材40は、図2に示すように、平行に配置された2本の板状の縦部材41,42と、縦部材41,42の両端部近傍に、縦部材41,42と直角方向に配置された横部材43,44から構成された略長方形形状に形成されている枠状部材である。
【0037】
第2部材50は、第1部材40と同様に、平行に配置された2本の板状の縦部材51,52と、横部材53,54から構成された略長方形形状の枠状部材である。また、第2部材50の横部材53,54の長手方向の長さは、第1部材40の横部材43,44の長手方向の長さより短くなっている。
【0038】
第1部材40の縦部材41,42及び第2部材の縦部材51,52の略中央部分に貫通孔が設けられており、第2部材50は、図2に示すように、第1部材40の内側に挿入され、貫通孔に挿入されるピン45及びピン46によって、第1部材40に対して回動可能に結合されている。
【0039】
また、第2部材50の貫通孔近傍には、電動アクチュエータ20,30のロッド24,34の端部を取り付けるための取付部材55が横部材53,54と平行に配置されている。この取付部材55には、電動アクチュエータ20,30のロッド24,34の端部を結合するためのフランジ56,57が取り付けられている。
【0040】
クランク機構60は、2つの板状部材61,62の端部同士をピン63の周りに回動可能にピン63により結合したものを平行に2個備えた機構であり、クランク機構70もクランク機構60と同じ構成である。
【0041】
2本の電動アクチュエータ20,30は、向きを揃えて並列に配置され、ロッド24,34の端部が第2部材50の取付部材55のフランジ56,57にピン58,59によって連結され、反対端のボディー22,32の端部には、クランク機構60,70の一端側(板状部材61,71のピン63,73で連結されていない側の端部)が連結されている。
【0042】
クランク機構60,70の他端側(板状部材62,72のピン63,73で連結されていない側の端部)は、第1部材40の横部材44に溶接やボルトなどで固定されている。
また、クランク機構60、70には、図2に示すようにクランク機構60,70が開状態となったこと検出し、その検出結果を信号として外部に出力するリミットスイッチ100,102が備えられている。
【0043】
架台80(図1参照)は、第1部材40と第2部材50の上端部に設置され、第1部材40と第2部材50とで構成するリンク機構のリンク角度αの変化に伴って昇降変位する載置台であり、例えば、医療用ベッド、医療用診察台、医療用診察撮影台、マッサージベッド或いは工業用テーブルなどである。
【0044】
(昇降装置1の作動)
本発明が適用された昇降装置1の作動を説明する前に、図3に基づき、従来の電動昇降装置の説明を行う。図3は、従来の電動昇降装置の外観を示す斜視図である。
【0045】
図3に示すように、2本の電動アクチュエータ2,3は、それぞれリンク部材4にピン6a,6bで回動可能に固定され、リンク部材5にはピン7a,7bで回動可能に固定されている。また、リンク部材4とリンク部材5は、略中央部がピン8a,8bで回動可能に結合され、リンク機構を構成している。
【0046】
したがって、従来の電動昇降装置では、2本の電動アクチュエータ2,3が同期して平行に伸縮している時には、リンク部材4,5は、ピン8a,8bを中心にリンク角度が変化し、その結果、図示しない架台80が昇降する。
【0047】
図示された例では、架台80は、電動アクチュエータ2,3とリンク部材4,5の連結位置により、電動アクチュエータ2,3の100[mm]の伸縮に対して約500[mm]の昇降動作をする。
【0048】
しかし、2本の電動アクチュエータ2,3の片側、例えば、電動アクチュエータ2が断線或いは機械的な故障により伸縮が停止した場合、電動アクチュエータ3は伸縮を続けようとするため、ピン6aとピン6bの間で噛みあった状態で停止したり、電動アクチュエータ3の力が強い場合には、電動アクチュエータ2,3のピン6a,6bから先の部分が破壊されたりしてしまうといった故障が発生する。
【0049】
これに対し、本発明が適用された昇降装置1の作動について図4〜図6に基づいて説明する。図4は、昇降装置1の電動アクチュエータ20,30が収縮した状態で架台80を持ち上げた作動状態を示す斜視図であり、図5は、2本の電動アクチュエータ20,30が伸びる方向に作動している時に一方の電動アクチュエータ30が停止した場合の作動状態を示す斜視図であり、図6は、2本の電動アクチュエータ20,30が縮む方向に作動している時に一方の電動アクチュエータ30が停止した場合の作動状態を示す斜視図である。
【0050】
昇降装置1の通常の動作の場合、すなわち2本の電動アクチュエータ20,30が同期して平行に伸縮しているときには、図2に示すように、クランク機構60,70は架台80(図1参照)や第1部材40及び第2部材50の自重などの負荷により閉じた状態を保つこととなる。
【0051】
したがって、第1部材40と第2部材50で構成するリンク機構のリンク角度が変化し、その結果架台80が昇降することは、従来の電動昇降装置と同じである。ここで、リンク角度とは、第1部材40と第2部材50のなす角度であり、図2中αで示す角度である。
【0052】
ところが、図5に示すように、2本の電動アクチュエータ20,30が伸びる方向に作動している時、すなわち、架台80が上昇している時に電動アクチュエータ30が断線或いは機械的な故障により作動が停止した場合、電動アクチュエータ20は依然伸びる方向に作動し続ける。
【0053】
このとき、クランク機構70が電動アクチュエータ20の伸びに応じて開いていくため、従来の電動昇降装置のように、電動アクチュエータ20,30と第2部材50の結合部であるフランジ56,57のピン58とピン59の間で噛みあった状態で停止したり、電動アクチュエータ20,30が破壊されたりすることはない。
【0054】
また、このとき、クランク機構70が開くと、クランク機構70に取り付けられたリミットスイッチ102が作動し、報知装置110によりクランク機構70が開状態になったこと、つまり、電動アクチュエータ30が故障して停止していることが報知される。
【0055】
次に図6に示すように2本の電動アクチュエータ20,30が縮む方向に作動している時、すなわち、架台80が下降している時に電動アクチュエータ30が断線或いは機械的な故障により作動が停止した場合、電動アクチュエータ20は、依然縮む方向に作動し続ける。
【0056】
このとき、クランク機構60が電動アクチュエータ20の縮みに応じて開いていくため、前述と同様に電動アクチュエータ20,30が停止したり、破壊されたりすることはない。
【0057】
また、このとき、クランク機構60が開くと、クランク機構60に取り付けられたリミットスイッチ100が作動し、報知装置110によりクランク機構60が開状態になったこと、つまり、電動アクチュエータ30が故障して停止していることが報知される。
【0058】
(昇降装置1の特徴)
以上に説明した昇降装置1では、複数の電動アクチュエータ20,30の一方が故障して停止し、他方の正常な電動アクチュエータ20,30が伸縮し続けた場合であっても、クランク機構60,70が開いていくので、電動アクチュエータ20,30と第1部材40とを結合部で噛みあった状態で停止したり、電動アクチュエータ20,30が破壊されたりすることはない。
【0059】
さらに、複数のアクチュエータが収縮した位置で故障した場合であっても、常に架台80を上昇させることができる。したがって、架台80が上昇した状態、すなわち、架台80が高い位置にある状態で、故障した電動アクチュエータ20,30を交換する等の修理作業を行うことができるので、メンテナンス作業を容易にすることができる。
【0060】
また、クランク機構60,70が開状態となった場合、つまり、電動アクチュエータ20,30が故障したことを報知装置110によって報知したり、制御装置90により、架台80の昇降動作を停止させたりすることができるので、安全な昇降装置1とすることができる。
【0061】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0062】
(1)上記実施形態では、アクチュエータとして、電動アクチュエータ20,30を用いていたが、油圧アクチュエータを用いてもよい。
(2)上記実施形態では、報知装置110によって、クランク機構60,70が開状態となったこと(電動アクチュエータ20,30が停止したこと)を報知しているのみであったが、リミットスイッチ100,102の出力を制御装置90に入力し、クランク機構60,70が開状態になったことを検出した場合に、制御装置90で電動アクチュエータ20,30を停止させるようにしてもよい。
【0063】
(3)上記実施形態では、電動アクチュエータ20,30の数は2本であったが、2本以上であってもよい。
(4)また、リミットスイッチ100,102の代わりにポテンショメータなど、クランク機構60,70の開度を検出するセンサを用いてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…昇降装置、2,3…電動アクチュエータ、4,5…リンク部材、6a,6b,7a7b,8a,8b…ピン、10…駆動力伝達機構、20,30…電動アクチュエータ、22,32…ボディー、24,34…ロッド、26,36…モータ、40…第1部材、41,42…縦部材、43,44…横部材、45,46…ピン、50…第2部材、51,52…縦部材、53,54…横部材、55…取付部材、56,57…フランジ、58,59…ピン、60…クランク機構、61,62…板状部材、63…ピン、70…クランク機構、71.72…板状部材、73…ピン、80…架台、90…制御装置、100,102…リミットスイッチ、110…報知装置、111…LEDパネル、112…音声報知装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相対変位が可能なリンク機構を構成する第1部材及び第2部材に、アクチュエータの伸縮による駆動力を及ぼして前記第1部材と前記第2部材とを相対変位させるための駆動力伝達機構であって、
向きを揃えて並列に配置され、一端が前記第2部材に連結された複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータの各々の他端に設けられ、前記複数のアクチュエータと前記第1部材を連結するクランク機構と、
を備えたことを特徴とする駆動力伝達機構。
【請求項2】
請求項1の駆動力伝達機構と、
前記第1部材と前記第2部材との相対変位に伴って昇降変位する架台と、
を備えることを特徴とする昇降装置。
【請求項3】
請求項2に記載の昇降装置において、
前記クランク機構には、該クランク機構が開状態となったこと検出し、該検出結果を信号として外部に出力する検出手段が備えられていることを特徴とする昇降装置。
【請求項4】
請求項3に記載の昇降装置において、
前記検出手段から出力される前記クランク機構が開状態となったことを示す信号に基づき、前記クランク機構が開となった旨の報知を行う報知手段を備えたことを特徴とする昇降装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の昇降装置において、
前記検出手段で検出した前記クランク機構が開状態となったことを示す信号に基づき、前記駆動力伝達機構の作動を停止させる制御手段を備えたことを特徴とする昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−245047(P2011−245047A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121515(P2010−121515)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(395003475)株式会社浅間 (3)
【出願人】(390015521)オリオン電機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】