説明

駆動力制御装置

【課題】より適切に運転者が要求する減速度を実現することのできる駆動力制御装置を提供すること。
【解決手段】アクセル開度がゼロよりも大きい所定の値の場合にエンジン10の燃料カットを行う駆動力制御装置2であって、アクセル開度に基づいて車両1の減速度を設定すると共に、燃料カット時と燃料供給制御時とでアクセル開度に対して異なる減速度を設定するエンジントルク制御部51を有しており、燃料供給制御から燃料カットに移行した場合における燃料カットから燃料供給制御への復帰後は、エンジントルク制御部51は、燃料カット時のアクセル開度に対する減速度から、燃料供給制御時のアクセル開度に対する減速度に復帰させる際におけるアクセル開度に対する減速度の変化の度合いを、アクセル操作速度に応じて設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行時における駆動力を制御する駆動力制御装置では、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度に応じて、エンジンの運転制御を行うが、駆動力制御装置の中には、減速の制御中に燃料カットを行っているものがある。例えば、特許文献1に記載された車両の減速制御装置では、減速時に燃料カットを行うと共にオルタネータでの発電量を増加させ、減速時における減速度を増加させている。さらに、このようにオルタネータでの発電量の増加と燃料カットとを同時に行う場合には、この場合における減速度の急激な変化を、スロットル開度を調節することにより抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−107805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の駆動力制御装置では、このように減速時に燃料カットを行って減速度を増加させているものがあるが、燃料カットを行った場合には、減速度が大きくなる。即ち、アクセル開度に対する減速度が、燃料カットの前後で変化する。このため、燃料カットを行って減速している場合に、燃料カットから復帰して燃料を供給する状態になると、減速度が変化するため、運転者が違和感を覚える場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より適切に運転者が要求する減速度を実現することのできる駆動力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る駆動力制御装置は、アクセル操作子の操作量であるアクセル操作量がゼロよりも大きい所定の値の場合にエンジンの燃料カットを行う駆動力制御装置であって、前記アクセル操作量に基づいて車両の減速度を設定すると共に、前記燃料カット時と前記エンジンへ燃料供給を行った状態での制御である燃料供給制御時とで前記アクセル操作量に対して異なる前記減速度を設定する減速度設定部を有しており、前記燃料供給制御から前記燃料カットに移行した場合における前記燃料カットから前記燃料供給制御への復帰後は、前記減速度設定部は、前記燃料カット時の前記アクセル操作量に対する前記減速度から、前記燃料供給制御時の前記アクセル操作量に対する前記減速度に復帰させる際における前記アクセル操作量に対する前記減速度の変化の度合いを、前記アクセル操作子の操作速度であるアクセル操作速度に応じて設定することを特徴とする。
【0007】
また、上記駆動力制御装置において、前記燃料カットから前記燃料供給制御への復帰後は、前記減速度設定部は、前記アクセル操作速度が速くなるに従って前記アクセル操作量に対する前記減速度の変化の度合いを大きくすることが好ましい。
【0008】
また、上記駆動力制御装置において、前記燃料カットから前記燃料供給制御への復帰後に、前記アクセル操作量に対する前記減速度を前記燃料供給制御時の前記アクセル操作量に対する前記減速度に復帰させている最中に前記アクセル操作速度または前記アクセル操作量が変更された場合には、前記アクセル操作量に対する前記減速度の変化の度合いを変更しないことが好ましい。
【0009】
また、上記駆動力制御装置において、前記燃料カットから前記燃料供給制御への復帰後に、前記アクセル操作量に対する前記減速度を前記燃料供給制御時の前記アクセル操作量に対する前記減速度に復帰させている最中に前記アクセル操作速度または前記アクセル操作量が変更された場合には、前記アクセル操作量が前記燃料カットを行う前記アクセル操作量まで戻された場合に、前記アクセル操作量に対する前記減速度の変化の度合いを設定しなおすことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る駆動力制御装置は、より適切に運転者が要求する減速度を実現することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係る駆動力制御装置が設けられた車両の概略図である。
【図2】図2は、図1に示す駆動力制御装置の要部構成図である。
【図3】図3は、アクセル開度に対するエンジントルクの変化を示す説明図である。
【図4】図4は、実施形態2に係る駆動力制御装置でのアクセル開度に対するエンジントルクの変化を示す説明図である。
【図5】図5は、復帰時エンジントルクを、図4に示す復帰時エンジントルクから変更する場合における説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る駆動力制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係る駆動力制御装置が設けられた車両の概略図である。実施形態1に係る駆動力制御装置2を備える車両1は、内燃機関であるエンジン10が動力源として搭載され、エンジン10で発生した動力によって走行可能になっている。このエンジン10には変速装置の一例である自動変速機30が接続されており、エンジン10で発生した動力は、自動変速機30に伝達可能になっている。自動変速機30に伝達され、自動変速機30で変速した動力は、動力伝達経路を介して車両1が有する車輪5のうち駆動輪として設けられる左右の前輪6へ駆動力として伝達されることにより、車両1は走行可能になっている。
【0014】
また、当該車両1には、運転者が運転操作をする際に用いるアクセル操作子であるアクセルペダル35が備えられており、さらに、このアクセルペダル35の操作量を検出するアクセル開度センサ36が設けられている。
【0015】
なお、実施形態1に係る駆動力制御装置2を備える車両1は、エンジン10で発生した動力が前輪6に伝達され、前輪6で駆動力を発生する、いわゆる前輪駆動車となっているが、車両1は、後輪7で駆動力を発生する後輪駆動や、全ての車輪5で駆動力を発生する四輪駆動など、前輪駆動以外の駆動形式であってもよい。また、エンジン10は、レシプロ式の火花点火内燃機関であってもよく、レシプロ式の圧縮点火内燃機関であってもよい。
【0016】
エンジン10は、燃焼室で燃料を燃焼させることにより運転可能に設けられているため、エンジン10には、燃料を燃焼させる空気を吸入する際の空気の通路である吸気通路12と、燃料の燃焼後に排出される排気ガスの通路である排気通路(図示省略)とが接続されている。このうち、吸気通路12には、エンジン10の運転時における吸入空気量を調節する吸入空気量調節手段であるスロットルバルブ15と、燃焼室に供給する燃料を噴射する燃料インジェクタ16と、が設けられている。
【0017】
これらのように設けられるエンジン10や自動変速機30は、車両1に搭載されると共に車両1の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)40に接続されており、エンジン10や自動変速機30は、ECU40により制御されて作動する。例えば、エンジン10に接続されている吸気通路12に設けられるスロットルバルブ15や燃料インジェクタ16もECU40に接続されており、これもECU40により制御されて作動する。また、ECU40には、アクセル開度センサ36も接続されており、アクセルペダル35を操作することにより入力される運転者の要求は、アクセル開度センサ36よりECU40に伝達される。
【0018】
また、エンジン10には、車両1が有する各電気部品で使用する電気を、エンジン10で発生するトルクによって発電可能な発電装置であるオルタネータ20が備えられている。このオルタネータ20には、オルタネータ20の回転軸に当該回転軸と一体となって回転可能なプーリであるオルタネータプーリ26が設けられている。また、エンジン10には、クランクシャフトと一体となって回転可能なプーリであるクランクプーリ25が設けられている。これらのオルタネータプーリ26とクランクプーリ25とには、エンジン10のトルクをオルタネータ20に伝達するベルト27が掛けられている。
【0019】
エンジン10で発生するトルクは、これらのクランクプーリ25、ベルト27及びオルタネータプーリ26によって、オルタネータ20に伝達可能に設けられている。オルタネータ20は、このようにエンジン10で発生したトルクによって発電するため、エンジン10で発生した動力の一部を消費し、換言すると、オルタネータ20での発電時には、オルタネータ20はエンジン10に対して与える負荷トルクであるオルタ負荷トルクを付与する。オルタネータ20は、このようにエンジン10に負荷トルクを付与する補機として設けられている。
【0020】
また、オルタネータ20には、当該オルタネータ20での発電時における発電量を調節可能な発電量調節手段であるレギュレータ21が設けられている。オルタネータ20は、このようにレギュレータ21によって発電量を調節可能に設けられているが、オルタネータ20で発電を行った場合には、上述したようにエンジン10に負荷を付与することが可能になっている。このため、オルタネータ20での発電量をレギュレータ21で調節して発電量を変化させた場合、オルタネータ20からエンジン10に付与する負荷も変化し、即ち、オルタネータ20は、発電量を調節することにより、オルタ負荷トルクの大きさを調節可能に設けられている。
【0021】
これらのように設けられるオルタネータ20には、当該オルタネータ20で発電した電気を蓄電可能な二次電池であり、車両1が有する各電気部品で使用される電気を充電するバッテリ(図示省略)が接続されている。また、オルタネータ20での発電量を調節可能なレギュレータ21は、ECU40に接続されており、オルタネータ20での発電量は、レギュレータ21を介してECU40によって制御可能になっている。
【0022】
図2は、図1に示す駆動力制御装置の要部構成図である。ECU40には、処理部41、記憶部60及び入出力部61が設けられており、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。また、ECU40に接続されているエンジン10、スロットルバルブ15、燃料インジェクタ16、レギュレータ21、自動変速機30、アクセル開度センサ36は、入出力部61に接続されており、入出力部61は、これらのエンジン10等との間で信号の入出力を行う。また、記憶部60には、駆動力制御装置2を制御するコンピュータプログラムが格納されている。
【0023】
また、処理部41は、少なくともアクセル開度センサ36での検出結果よりアクセルペダル35の操作量であるアクセル操作量、即ち、アクセル開度を取得可能なアクセル開度取得部42と、アクセル開度取得部42で取得したアクセル開度に基づいてエンジン10の運転制御を行うエンジン制御部44と、アクセル開度取得部42で取得したアクセル開度に基づいて自動変速機30の変速制御を行う変速制御部48と、を有している。
【0024】
このうち、エンジン制御部44は、スロットルバルブ15の開閉の制御を行うスロットルバルブ制御部45と、燃料インジェクタ16から噴射する燃料の噴射量を制御する燃料噴射量制御部46と、を有している。
【0025】
また、処理部41は、オルタネータ20での発電量を制御することを介して、オルタネータ20からエンジン10に付与する負荷トルクであるオルタ負荷トルクの大きさを調節する負荷調節部であるオルタ負荷トルク調節部50と、アクセル開度取得部42で取得したアクセル開度に基づいてエンジントルクの設定を行うエンジントルク制御部51と、を有している。
【0026】
ECU40によって制御される駆動力制御装置2の制御は、例えば、アクセル開度センサ36等の検出結果に基づいて、処理部41が上記コンピュータプログラムを当該処理部41で読み込んで演算し、演算の結果に応じてエンジン10等を作動させることにより制御する。その際に処理部41は、適宜記憶部60へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。
【0027】
この実施形態1に係る駆動力制御装置2は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両1の走行時には、運転者が操作をするアクセルペダル35の操作量であるアクセル開度をアクセル開度センサ36で検出し、この検出結果を、ECU40の処理部41が有するアクセル開度取得部42で取得する。アクセル開度取得部42で取得したアクセル開度は、ECU40の処理部41が有するエンジン制御部44や変速制御部48に伝達される。
【0028】
このうち、エンジン制御部44は、アクセル開度取得部42より伝達されたアクセル開度に基づいて、スロットルバルブ制御部45でスロットルバルブ15の開度を制御したり、燃料噴射量制御部46で燃料インジェクタ16を制御することによって燃料の噴射量を制御したりすることにより、エンジン10の運転制御を行う。また、変速制御部48は、アクセル開度取得部42より伝達されたアクセル開度に基づいて自動変速機30を制御することにより、自動変速機30の変速制御を行う。車両1の走行時には、これらのようにアクセル開度に基づいてエンジン10や自動変速機30を制御することにより、運転者の要求に応じた走行状態を実現する。
【0029】
アクセルペダル35を操作した場合には、このようにエンジン10や自動変速機30の制御を行うが、アクセルペダル35の開度を小さくした場合における所定の条件を満たした場合には、本実施形態1に係る駆動力制御装置2では、燃料カットを行う。つまり、アクセル開度を所定の開度よりも小さくした場合には、アクセル開度がゼロより大きい場合、即ち、アクセル開度が全閉以外の場合でも、燃料カットを行い、燃料インジェクタ16からの燃料の噴射を停止する。
【0030】
つまり、本実施形態1に係る駆動力制御装置2では、アクセル開度が全閉以外の場合も燃料カットを行うが、燃料カットを行う際の要求減速度は、アクセル低開度領域に割り付け、運転者の要求減速度の検出時におけるアクセル開度が小さい場合に、燃料カットを行う。なお、燃料カットは、このようにアクセル開度が所定の開度よりも小さい状態で要求減速度が発生している場合に行うが、エンジン回転数が所定の高回転以上の場合も、燃料カットを行う。これにより、エンジン回転数が高くなり過ぎることを抑制する。
【0031】
燃料カットは、このようにアクセル低開度領域と、エンジン回転数が高回転の場合に行うが、このうちアクセル低開度領域の燃料カットは、アクセル開度が低開度の所定のアクセル開度以下の領域で行う。詳しくは、車両1の走行中に、アクセル開度センサ36での検出結果に基づいてアクセル開度取得部42で取得するアクセル開度が、この所定のアクセル開度よりも大きい場合には、燃料噴射量制御部46で燃料インジェクタ16を制御する。これにより、燃料インジェクタ16から燃料を噴射させ、エンジン10へ燃料供給を行った状態でのエンジン10の運転制御である燃料供給制御を行う。このように、燃料供給制御を行っている状態で、運転者のアクセルペダル35の操作によってアクセル開度が小さくなり、アクセル開度が燃料カットを行う所定のアクセル開度以下になった場合には、燃料噴射量制御部46は、燃料インジェクタ16に対して燃料の噴射を停止させる。これにより、燃料カットを行った状態になる。
【0032】
このように、燃料カットを行った場合、エンジン10の燃焼室(図示省略)で燃料を燃焼させる際における燃焼エネルギによる動力が発生しなくなる。このため、運転者がアクセルペダル35を戻すことによってアクセル開度を小さくし、燃料カットを行った場合は、エンジントルクが急激に小さくなる。
【0033】
即ち、燃料供給制御時にアクセル開度を小さくした場合には、燃料インジェクタ16から噴射する燃料の噴射量が減少するため、燃料の燃焼エネルギが減少し、エンジントルクは、アクセル開度が小さくなるに従って低減する。燃料供給制御時には、このようにアクセル開度が小さくなるに従って燃料噴射量が減少することにより、アクセル開度が小さくなるに従ってエンジントルクが小さくなるが、燃料カットを行った場合は、燃料の燃焼エネルギがゼロになる。このため、燃料カットを行った場合は、アクセル開度が小さくなった場合におけるエンジントルクの低下の度合いが、燃料供給制御時よりも大きくなり、エンジントルクは急激に小さくなる。つまり、燃料カットを行った場合には、燃料供給制御時と比較して減速度が急激に大きくなる。
【0034】
燃料供給制御時と燃料カット時とでは、このようにアクセル開度に対するエンジントルクの変化の度合いが異なっており、変化の特性が異なっているため、アクセルペダル35を戻してアクセル開度が小さくなることにより燃料カットを行った後、アクセルペダル35を踏み込んでアクセル開度が大きくなることにより燃料供給制御を行う状態になった場合、運転者は違和感を覚える場合がある。このため、本実施形態1に係る駆動力制御装置2は、燃料供給制御時と燃料カット時とで異なるマップを設定し、アクセル開度に対するエンジントルクを、このマップに基づいて制御する。
【0035】
燃料供給制御時と燃料カット時とで異なって設定されたマップに基づいてエンジントルクを制御する際には、ECU40の処理部41が有するエンジントルク制御部51で、このマップに基づいて、燃料供給制御時と燃料カット時とで、アクセル開度に対して異なるエンジントルクを設定して制御する。また、車両1の走行時における加速度や、減速方向の加速度である減速度は、アクセル開度に基づいて制御するエンジントルクにより変化するため、加速度や減速度は、アクセル開度に基づいて制御する。このため、エンジントルク制御部51は、アクセル開度に基づいてエンジントルクを設定することを介して車両1の加速度や減速度を設定し、燃料供給制御時と燃料カット時とでアクセル開度に対して異なるエンジントルクを設定することを介して、燃料供給制御時と燃料カット時とで、アクセル開度に対して異なる加速度や減速度を設定する。従って、エンジントルク制御部51は、アクセル開度に基づいて車両1の減速度を設定すると共に、燃料カット時と燃料供給制御時とでアクセル開度に対して異なる減速度を設定する減速度設定部として設けられている。
【0036】
図3は、アクセル開度に対するエンジントルクの変化を示す説明図である。アクセル開度に対するエンジントルクのマップについて説明すると、このマップは、アクセル開度が、燃料カットを行うか否かの基準になるアクセル開度である燃料カット開度Ocutよりも大きい領域である燃料供給領域Afuelと、アクセル開度が燃料カット開度Ocut以下の領域である燃料カット領域Acutとで、それぞれ異なるマップが設定される。
【0037】
このうち、燃料供給領域Afuelには、燃料供給制御を行った状態におけるアクセル開度に対するエンジントルクの変化の基準になる燃料供給制御時エンジントルクTfuelが設定されている。この燃料供給制御時エンジントルクTfuelは、アクセル開度が小さくなるに従って、エンジントルクの大きさが小さくなるように設定されている。
【0038】
また、燃料カット領域Acutには、燃料供給制御時エンジントルクTfuelとは特性が異なっており、アクセル開度が燃料カット領域Acut内の開度の場合において、アクセル開度が大きくなる方向に変化する場合におけるエンジントルクの変化の基準になる燃料カット時エンジントルクTcutが設定されている。
【0039】
なお、燃料カット時には、燃料が燃焼することによる動力は発生しないが、車両1の走行中は、車両1は慣性運動による運動エネルギを有しており、この運動エネルギは、駆動輪や自動変速機30を介してエンジン10に伝達される。このため、エンジン10の出力軸(図示省略)は、燃料が燃料することによる動力が発生しない状態でも、この運動エネルギによって回転し続ける。
【0040】
ここで、エンジン10の出力軸の回転時には、回転方向に対する抵抗であるフリクションが発生するが、このように慣性運動による運動エネルギによってエンジン10の出力軸が回転する場合には、フリクションは、マイナス方向のエンジントルク、即ち、減速方向のエンジントルクとして作用する。このため、燃料カットを行い、燃料が燃焼することによる動力が発生しない場合でも、減速方向のエンジントルクが発生する。
【0041】
燃料カット時には、フリクションによって減速方向のエンジントルクが発生するが、このフリクションは、オルタネータ20の発電量を制御することにより調節可能になっている。このオルタネータ20で発電量を調節することによるフリクションの調節について説明すると、エンジン10の運転時には、エンジン10で発生したトルクの一部は、クランクプーリ25、ベルト27、オルタネータプーリ26を介して、オルタネータ20に伝達される。これによりオルタネータ20は駆動し、発電を行う。オルタネータ20で発電を行うことにより発生した電気は、オルタネータ20からバッテリに伝達され、バッテリに充電される。
【0042】
オルタネータ20は、このようにエンジン10で発生するトルクによって発電を行うが、オルタネータ20で発電を行う際には、ECU40の処理部41が有するオルタ負荷トルク調節部50でレギュレータ21を制御することにより、オルタネータ20での発電量を制御する。例えば、バッテリの充電量を検出し、現在のバッテリの充電量が少ない場合には、オルタネータ20での発電量を増加させ、現在のバッテリの充電量が多い場合には、オルタネータ20での発電量を低減させるように、レギュレータ21を制御する。即ち、レギュレータ21の制御を介して、オルタネータ20での発電量を制御する。
【0043】
ここで、オルタネータ20で発電を行う場合には、エンジン10で発生したトルクの一部を利用して発電を行うため、オルタネータ20での発電時は、発電に利用される分のトルクが消費され、駆動力に用いられる分のトルクが減少する。換言すると、オルタネータ20での発電時は、オルタネータ20からエンジン10に対して負荷が付与される状態になる。
【0044】
また、この負荷は、オルタネータ20での発電量が多くなるに従って大きくなり、発電量が少なくなるに従って小さくなるが、オルタネータ20は、オルタ負荷トルク調節部50でレギュレータ21を制御することにより、発電量の制御が可能になっている。このため、オルタ負荷トルク調節部50でレギュレータ21を制御することによって発電量を変化させた場合、オルタネータ20からエンジン10に対して付与される負荷トルクが変化する。オルタ負荷トルク調節部50は、オルタネータ20での発電量を調節することにより、このようにオルタネータ20からエンジン10に対して付与される負荷トルクであるオルタ負荷トルクの調節が可能になっている。
【0045】
つまり、オルタネータ20は、エンジン10に対してオルタ負荷トルクを付与することにより、エンジン10の運転時の負荷であるエンジン負荷を発生させることができ、オルタ負荷トルク調節部50は、オルタ負荷トルクを調節することにより、エンジン負荷を調節することができる。
【0046】
オルタネータ20で発電を行う場合には、このようにエンジン10にはオルタ負荷トルクが付与されるため、エンジン10から自動変速機30に伝達されるトルクは、オルタ負荷トルクの大きさに応じて変化する。つまり、レギュレータ21を制御することによってオルタネータ20での発電量を増加させた場合には、オルタ負荷トルクが大きくなるため、エンジン10で発生したトルクはオルタ負荷トルクによって消費される量が増加し、エンジン10から自動変速機30に対して出力されるエンジントルクは小さくなる。反対に、レギュレータ21を制御することによってオルタネータ20での発電量を減少させた場合には、オルタ負荷トルクが小さくなるため、エンジン10で発生したトルクはオルタ負荷トルクによって消費される量が減少し、エンジン10から自動変速機30に対して出力されるエンジントルクは大きくなる。
【0047】
オルタ負荷トルク調節部50でオルタネータ20の発電量を調節することにより、このようにエンジントルクも変化するが、燃料カット時にはエンジン10では動力を発生せず、エンジン10から自動変速機30の方向へは出力は伝達されなくなる。このため、オルタ負荷トルクは、車両1の走行時に、自動変速機30からエンジン10に伝達される運動エネルギによってエンジン10が回転する場合におけるエンジン負荷として作用し、このエンジン負荷は、エンジン10が回転する場合におけるフリクションとして作用する。従って、オルタネータ20での発電量を増加させることによりオルタ負荷トルクが大きくなった場合は、エンジン負荷が大きくなるため、エンジン10が回転する場合におけるフリクションが大きくなる。反対に、オルタネータ20での発電量を減少させることによりオルタ負荷トルクが小さくなった場合は、エンジン負荷が小さくなるため、エンジン10が回転する場合におけるフリクションも小さくなる。
【0048】
これらのため、車両1の走行時に燃料カットを行うことにより、エンジン10が回転する際におけるフリクションが車両1の減速方向のエンジントルクとして作用する場合、オルタネータ20での発電量を増加させた場合には、減速方向のエンジントルクが大きくなる。反対に、燃料カットによってエンジン10が回転する際におけるフリクションが車両1の減速方向のエンジントルクとして作用する場合において、オルタネータ20での発電量を減少させた場合には、減速方向のエンジントルクが小さくなる。
【0049】
燃料カットを行うことにより、エンジン10で動力を発生しない場合でも、オルタネータ20での発電量を調節することにより、このように減速方向のエンジントルクを調節することができる。このため、燃料カット領域Acutに設定される燃料カット時エンジントルクTcutも、アクセル開度に応じて変化するように設定されており、燃料カット時エンジントルクTcutは、アクセル開度が大きくなるに従って、エンジントルクが大きくなるように設定されている。つまり、燃料カット時エンジントルクTcutは、アクセル開度が大きくなるに従って、減速方向のエンジントルクが小さくなるように設定されており、詳しくは、燃料カット時エンジントルクTcutは、燃料供給制御時エンジントルクTfuelよりも、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いが大きくなっている。
【0050】
また、燃料供給領域Afuelには、燃料供給制御時にアクセル開度を燃料カット開度Ocut以下の開度にすることにより燃料カットを行い、その後、アクセル開度を燃料カット開度Ocutよりも大きい開度にした場合におけるアクセル開度に対するエンジントルクの変化の基準になる復帰時エンジントルクTrtnが設定されている。
【0051】
この復帰時エンジントルクTrtnは、燃料供給制御時エンジントルクTfuelや燃料カット時エンジントルクTcutとは異なり、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いが異なる、複数の復帰時エンジントルクTrtnが設定されている。詳しくは、復帰時エンジントルクTrtnは、アクセルペダル35を踏み込む際における速さ、即ち、アクセルペダル35を操作する際における操作速度であるアクセル操作速度に応じて複数が設定されており、アクセル操作速度が速くなるに従って、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化が大きくなるように設定されている。
【0052】
また、この複数の復帰時エンジントルクTrtnは全て、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いが、燃料カット時エンジントルクTcutのアクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いと、燃料供給制御時エンジントルクTfuelのアクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いの間の値になっている。これらのように設定される複数の復帰時エンジントルクTrtnは、全て、燃料カット時エンジントルクTcutにおける燃料カット開度Ocut時における位置と、燃料供給制御時エンジントルクTfuelとを接続している。
【0053】
また、この複数の復帰時エンジントルクTrtnは、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いがそれぞれ異なっているため、燃料供給制御時エンジントルクTfuelに接続されている部分におけるアクセル開度とエンジントルクとは、それぞれ異なっている。
【0054】
つまり、複数の復帰時エンジントルクTrtnは、燃料カット時エンジントルクTcut側の部分は、アクセル開度に対するエンジントルクの大きさが全て同じ大きさになっているが、燃料供給制御時エンジントルクTfuel側の部分は、それぞれの復帰時エンジントルクTrtnと燃料供給制御時エンジントルクTfuelとが交差する部分のアクセル開度とエンジントルクとが異なっている。このように、燃料供給制御時エンジントルクTfuelと交差する部分のアクセル開度とエンジントルクとが異なっている複数の復帰時エンジントルクTrtnは、アクセル操作速度が速い側の復帰時エンジントルクTrtnになるに従って、アクセル開度が小さい状態で、復帰時エンジントルクTrtnと燃料供給制御時エンジントルクTfuelとが交差するように設定されている。
【0055】
燃料カットを行った後、アクセルペダル35を踏み込むことにより燃料供給制御を行う場合におけるマップは、これらのように設定されており、予めECU40の記憶部60に記憶されている。車両1の走行制御を行う場合には、車両1の走行状態や運転者の運転操作の状態に応じて、このマップを参照することにより、走行制御を行うが、次に、このマップを用いて実際にエンジントルクの制御を行う場合について説明する。
【0056】
アクセル開度取得部42で取得するアクセル開度が、燃料カット開度Ocut以下の場合には、燃料噴射量制御部46で燃料インジェクタ16から噴射する燃料を停止する制御を行うことにより、燃料カットを行う。これにより、エンジントルクはアクセル開度に応じて低下する。
【0057】
また、このように燃料カットを行い、エンジントルクが低下している状態で、アクセル開度を大きくした場合には、アクセル開度取得部42で取得したアクセル開度と、記憶部60に記憶されているマップとに基づいて、ECU40の処理部41が有するエンジントルク制御部51で、アクセル開度に応じたエンジントルクを導出する。
【0058】
アクセル開度に応じたエンジントルクを導出したエンジントルク制御部51は、導出したエンジントルクに応じた制御信号をオルタ負荷トルク調節部50に伝達し、オルタ負荷トルク調節部50でレギュレータ21を制御して、オルタネータ20の発電量をアクセル開度に応じて調節する。これにより、燃料カットを行っている状態のエンジントルクを、アクセル開度に応じて燃料カット時エンジントルクTcutに沿って発生させる。
【0059】
これらにより、燃料カットを行っている場合のエンジントルクの制御は、アクセル開度が大きくなるに従って、オルタネータ20の発電量を低減させてエンジン10の回転時のフリクションを小さくし、このようにフリクションを小さくすることによって、減速方向のエンジントルクを小さくする。換言すると、アクセル開度が大きくなるに従って、エンジントルクを大きくする。
【0060】
また、このように、アクセル開度を大きくし、アクセル開度が燃料カット開度Ocutより大きくなった場合には、燃料供給制御を行う。即ち、アクセル開度が燃料カット開度Ocutより大きくなった場合には、燃料噴射量制御部46で燃料インジェクタ16を制御し、燃料インジェクタ16から噴射する燃料の噴射量を調節することにより、エンジントルクの大きさを調節する。ここで、燃料カットから燃料供給制御への復帰後に、アクセル開度に応じてエンジントルクの制御を行う場合には、アクセル操作速度に応じて、異なる制御量で制御する。
【0061】
燃料供給制御を行う場合でも、燃料カット時と同様に、記憶部60に記憶されているマップを用いてエンジントルクの制御を行うが、このマップには、復帰時エンジントルクTrtnが複数設定されている。燃料カットから燃料供給制御への復帰後のエンジントルクの制御は、この復帰時エンジントルクTrtnに沿って制御するが、復帰時エンジントルクTrtnに沿ってエンジントルクを制御する場合には、アクセル操作速度に基づいて、制御に用いる復帰時エンジントルクTrtnを選択する。
【0062】
詳しくは、まず、アクセル開度が燃料カット開度Ocutの時点でのアクセル開度を、エンジントルクの制御内容を決定する際における条件の状態を判断する際の開度である制御決定アクセル開度Aとし、アクセル開度取得部42で、この制御決定アクセル開度Aにおけるアクセル開度の変化の度合いを取得する。取得したアクセル開度の変化の度合いはエンジントルク制御部51に伝達され、エンジントルク制御部51で、このアクセル開度の変化の度合いより、アクセル操作速度を導出する。アクセル操作速度を導出したエンジントルク制御部51は、複数設定されている復帰時エンジントルクTrtnのうち、現在の運転状態においてエンジントルクの制御に用いる復帰時エンジントルクTrtnを、導出したアクセル操作速度に基づいて選択する。
【0063】
このように復帰時エンジントルクTrtnを選択する場合には、復帰時エンジントルクTrtnごとにアクセル操作速度の範囲が予め定められており、エンジントルク制御部51は、導出したアクセル操作速度が、定められた範囲内に含まれている復帰時エンジントルクTrtnを選択する。これにより、エンジントルク制御部51は、エンジントルクの変化の度合いをアクセル操作速度に応じて設定することを介して、アクセル開度に対する車両1の減速度の変化の度合いを設定する。
【0064】
つまり、エンジントルク制御部51は、燃料カットから燃料供給制御への復帰後は、燃料カット時のアクセル開度に対する減速度から、燃料供給制御時のアクセル開度に対する減速度に復帰させる際におけるアクセル開度に対する減速度の変化の度合いを、復帰時エンジントルクTrtnを選択することによってアクセル操作速度に応じて設定する。
【0065】
なお、このように復帰時エンジントルクTrtnを選択する場合は、概ね、アクセル操作速度が速くなるに従って、複数の復帰時エンジントルクTrtnのうちアクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化が大きくなっている復帰時エンジントルクTrtnを選択する。復帰時エンジントルクTrtnを選択することを介して減速度の変化の度合いを設定するエンジントルク制御部51は、これにより燃料カットから燃料供給制御への復帰後は、アクセル操作速度が速くなるに従ってアクセル開度に対する減速度の変化の度合いを大きくする。
【0066】
エンジン制御部44やオルタ負荷トルク調節部50は、アクセル開度取得部42で取得したアクセル開度と、エンジントルク制御部51で選択した復帰時エンジントルクTrtnとに基づいて、アクセル開度に対するエンジントルクを導出し、導出したエンジントルクを発生するようにエンジン10の出力やオルタネータ20の発電量を調節する。
【0067】
具体的には、オルタ負荷トルク調節部50は、レギュレータ21を制御することにより、オルタネータ20の発電量を、バッテリ(図示省略)の充電量に応じた通常の発電量になるように制御し、オルタネータ20からエンジン10に対する負荷を、通常の運転時における負荷にする。また、エンジン制御部44は、スロットルバルブ制御部45でスロットルバルブ15を制御することによってスロットル開度を制御したり、燃料噴射量制御部46で燃料インジェクタ16を制御することによって燃料噴射量を制御したりすることにより、エンジントルクが、アクセル開度と復帰時エンジントルクTrtnとから導出されるエンジントルクになるようにエンジン10を制御する。これにより、アクセル開度に対するエンジントルクを、復帰時エンジントルクTrtnに沿った大きさになるようにして発生させる。
【0068】
このように、エンジントルクを制御する際における基準になる復帰時エンジントルクTrtnは、アクセル操作速度によって、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いが異なっている。このため、エンジントルクが復帰時エンジントルクTrtnに沿った大きさになるようにエンジン10等を制御した場合、実際のエンジントルクは、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いがアクセル操作速度によって異なって発生し、概ね、アクセル操作速度が速くなるに従って、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化が大きくなる。
【0069】
また、復帰時エンジントルクTrtnは、燃料カット時エンジントルクTcutよりも、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いが小さくなっているため、この復帰時エンジントルクTrtnに沿って発生させる実際のエンジントルクも、燃料カット時よりもアクセル開度の変化に対する変化の度合いが小さくなる。
【0070】
このように、アクセル開度が燃料カット開度Ocutよりも大きくなり、エンジントルクが復帰時エンジントルクTrtnに沿った大きさになるように制御を行っている最中に、アクセル開度が燃料カット開度Ocut以下に戻された場合、即ち、アクセル開度とエンジントルクとが、制御決定アクセル開度Aまで戻された場合には、再び燃料カットを行う。
【0071】
これに対し、燃料カットから燃料供給制御に復帰後に、復帰時エンジントルクTrtnに沿ってエンジントルクを発生させることにより、エンジントルクが、ECU40の記憶部60に記憶されている燃料供給制御時エンジントルクTfuelに到達した場合には、エンジントルク制御部51は、燃料供給制御時エンジントルクTfuelに沿ってエンジントルクを発生させる制御を行う。つまり、燃料供給制御時に、復帰時エンジントルクTrtnに沿ってエンジントルクを発生させる制御を行っている場合に、アクセル開度とエンジントルクとが、復帰時エンジントルクTrtn上に位置すると共に、燃料供給制御時エンジントルクTfuel上、或いは燃料供給制御時エンジントルクTfuelの近傍に位置する状態である制御切替エンジントルクBに到達した場合には、エンジントルクの制御を行う際における基準を、復帰時エンジントルクTrtnから燃料供給制御時エンジントルクTfuelに切り替える。
【0072】
このように、燃料供給制御時エンジントルクTfuelに沿ってエンジントルクを発生させる制御を行う場合は、復帰時エンジントルクTrtnに沿ってエンジントルクを発生させる制御を行う場合と同様に、エンジン制御部44やオルタ負荷トルク調節部50でエンジン10等の制御を行う。つまり、アクセル開度取得部42で取得したアクセル開度と、燃料供給制御時エンジントルクTfuelとに基づいて、アクセル開度に対するエンジントルクを導出し、導出したエンジントルクを発生するように、エンジン制御部44やオルタ負荷トルク調節部50で、エンジン10の出力やオルタネータ20の発電量を調節する。これにより、アクセル開度に対するエンジントルクを、燃料供給制御時エンジントルクTfuelに沿った大きさになるようにして発生させる。
【0073】
エンジントルクが制御切替エンジントルクBに到達することにより燃料供給制御時エンジントルクTfuelに到達した場合には、このようにエンジントルクが燃料供給制御時エンジントルクTfuelに沿った大きさになるように制御するが、燃料供給制御時エンジントルクTfuelは、復帰時エンジントルクTrtnよりも、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いが小さくなっている。このため、燃料供給制御時エンジントルクTfuelに沿って発生させる実際のエンジントルクも、復帰時エンジントルクTrtnに沿ってエンジントルクを発生させる場合よりもアクセル開度の変化に対する変化の度合いが小さくなる。
【0074】
これらのように、燃料供給制御を行っている状態から燃料カットを行い、その後、燃料供給制御に復帰した場合には、エンジントルクを制御する際における基準を、復帰時エンジントルクTrtnを介して燃料カット時エンジントルクTcutから燃料供給制御時エンジントルクTfuelに移行する。このため、アクセル開度の変化に対するエンジントルクの変化の度合いは、燃料カット時における変化の度合いから燃料供給制御時における変化の度合いにかけて、緩やかに変化する。
【0075】
以上の駆動力制御装置2は、アクセルペダル35を操作することにより、燃料供給制御から燃料カットに移行した場合における燃料カットから燃料供給制御への復帰後は、アクセル開度に対する車両1の減速度の変化の度合いを、アクセル操作速度に応じて設定する。つまり、燃料カットから燃料供給制御への復帰後は、燃料カット時のアクセル開度に対する減速度から、燃料供給制御時のアクセル開度に対する減速度に復帰させる際におけるアクセル開度に対する減速度の変化の度合いを、エンジントルク制御部51で制御決定アクセル開度Aにおけるアクセル操作速度に応じてエンジントルクを設定することにより、アクセル操作速度に応じて設定する。これにより、燃料カットの開始前後で異なるアクセル開度が低開度の領域におけるアクセル開度に対する減速度の変化の度合いを、燃料カット前のアクセル開度に対する減速度の変化の度合いに戻す際に、アクセル操作速度に応じて減速度の変化の度合いを設定するので、運転者の要求に沿って減速度を変化させることができる。従って、アクセル開度の変化に対する減速度の変化の度合いを燃料カット前の状態に戻す際に、違和感なく戻すことができる。また、燃料カットから復帰する際に、アクセル操作速度に応じて、アクセル開度に対する減速度の変化の度合いを設定することにより、燃料カットからの復帰前後の急激なトルク変化を抑制することができる。これにより、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。これらの結果、より適切に運転者が要求する減速度を実現することができる。
【0076】
また、燃料カットから燃料供給制御への復帰後は、エンジントルク制御部51は、制御決定アクセル開度Aでのアクセル操作速度が速くなるに従ってアクセル開度に対する減速度の変化の度合いを大きくするので、アクセル開度に対する減速度の変化の度合いを設定する際に、より確実に運転者の要求に沿った減速度にして設定することができる。この結果、より確実に、運転者が要求する減速度を実現することができる。
【0077】
また、燃料カット時における減速度の制御から燃料供給制御時における減速度の制御に戻す際に、違和感なく、また、急激なトルク変化を抑制しつつ戻すための基準として複数の復帰時エンジントルクTrtnを設定し、アクセル操作速度に応じた復帰時エンジントルクTrtnを、複数の復帰時エンジントルクTrtnの中から選択している。これにより、燃料カットからの復帰時に、アクセル開度に対する減速度の変化の度合いを、燃料カット前のアクセル開度に対する減速度の変化の度合いに戻す際に、容易に、違和感等を抑制しつつ戻すことができる。この結果、より容易に、運転者が要求する減速度を実現することができる。
【0078】
[実施形態2]
実施形態2に係る駆動力制御装置2は、実施形態1に係る駆動力制御装置2と略同様の構成であるが、燃料カットからの復帰時にアクセル開度に対する減速度の変化の度合いを設定する際に、アクセルペダル35の操作状態に応じて設定する点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0079】
本実施形態2に係る駆動力制御装置2は、実施形態1に係る駆動力制御装置2と同様な構成で設けられており、車両1の走行時に動力源としてエンジン10を有しており、エンジン10はスロットルバルブ15の開度や燃料インジェクタ16から噴射する燃料の噴射量を制御することにより、エンジン10で発生する出力を制御可能に設けられている(図1参照)。また、このように設けられるエンジン10には、オルタネータ20が備えられており、オルタネータ20での発電量を制御することにより、オルタネータ20の駆動に使用されるエンジン10のトルクを変化させることができ、エンジン10から出力されるトルクを制御可能に設けられている。
【0080】
また、この車両1には、車両1の各部を制御するECU40が備えられており、このECU40が有する処理部41は、アクセル開度取得部42と、エンジン制御部44と、変速制御部48と、オルタ負荷トルク調節部50と、エンジントルク制御部51と、を有している。このうち、エンジン制御部44は、スロットルバルブ制御部45と、燃料噴射量制御部46と、を有している(図2参照)。
【0081】
この実施形態2に係る駆動力制御装置2は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両1の走行時には、運転者が操作するアクセルペダル35のアクセル開度をアクセル開度センサ36で検出し、この検出結果に応じてECU40で各部を制御することにより、運転者の要求に応じた駆動力を発生させる。
【0082】
また、本実施形態2に係る駆動力制御装置2では、実施形態1に係る駆動力制御装置2と同様に、アクセル開度が全閉以外の場合でも燃料カットを行うことが可能に設けられており、燃料カットから燃料供給制御に復帰した場合には、アクセル操作速度に応じて、アクセル開度の変化に対する減速度の変化を設定する。さらに、本実施形態2に係る駆動力制御装置2では、燃料カットからの復帰時に、アクセルペダル35の操作状態も含めて、減速度の変化の度合いを設定する。
【0083】
図4は、実施形態2に係る駆動力制御装置でのアクセル開度に対するエンジントルクの変化を示す説明図である。本実施形態2に係る駆動力制御装置2では、実施形態1に係る駆動力制御装置2と同様に、アクセル開度が全閉以外の場合でも、アクセル開度が燃料カット開度Ocut以下の大きさの場合には、燃料カットを行う。また、本実施形態2に係る駆動力制御装置2では、実施形態1に係る駆動力制御装置2と同様に、燃料供給制御時と燃料カット時とで異なって設定されたマップに基づいてエンジトルクを制御可能に設けられている。即ち、エンジントルクの制御用に予め設定され、ECU40の記憶部60に記憶されているマップには、燃料カット領域Acutに燃料カット時エンジントルクTcutが設定されており、燃料供給領域Afuelに燃料供給制御時エンジントルクTfuelと復帰時エンジントルクとが設定されている。このうち、復帰時エンジントルクTrtnは、アクセル操作速度に応じて複数が設定されている(図3参照)。
【0084】
本実施形態2に係る駆動力制御装置2では、このようにマップが設定されているため、燃料カットを行うことによりエンジントルクが低下している状態で、アクセル開度を大きくした場合には、アクセル開度取得部42で取得したアクセル開度と、このマップとに基づいて、ECU40の処理部41が有するエンジントルク制御部51で、アクセル開度に応じたエンジントルクを導出する。エンジントルクを導出したエンジントルク制御部51は、導出したエンジントルクに応じた制御信号を、オルタ負荷トルク調節部50に伝達する。これにより、オルタネータ20の発電量をアクセル開度に応じて調節し、燃料カットを行っている状態のエンジントルクを、アクセル開度に応じて燃料カット時エンジントルクTcutに沿って発生させる。
【0085】
また、アクセル開度を大きくし、アクセル開度が燃料カット開度Ocutより大きくなった場合には、燃料インジェクタ16から燃料を噴射することによってエンジントルクの大きさを調節し、燃料供給制御を行う。
【0086】
燃料カットから燃料供給制御への復帰後に、アクセル開度に応じたエンジントルクを導出する際には、まず、アクセル開度取得部42で取得した制御決定アクセル開度Aでのアクセル開度に基づいて、アクセル操作速度を導出する。エンジントルク制御部51は、このように導出したアクセル操作速度に基づいて、複数の復帰時エンジントルクTrtnのうち、制御に用いる復帰時エンジントルクTrtnを選択する。これにより、燃料カット時のアクセル開度に対する減速度から、燃料供給制御時のアクセル開度に対する減速度に復帰させる際におけるアクセル開度に対する減速度の変化の度合いを、アクセル操作速度に応じて設定する。
【0087】
このように、アクセル操作速度に基づいて復帰時エンジントルクTrtnを選択したら、エンジン制御部44やオルタ負荷トルク調節部50で、エンジン10の出力やオルタネータ20の発電量を調節することにより、アクセル開度に対するエンジントルクを、復帰時エンジントルクTrtnに沿った大きさになるように発生させる。
【0088】
燃料カットから燃料供給制御への復帰後、復帰時エンジントルクTrtnに沿って制御されるエンジントルクとアクセル開度とが、制御切替エンジントルクBに到達するまで、または、アクセル開度が制御決定アクセル開度Aまで戻されるまでは、エンジントルクを、復帰時エンジントルクTrtnに沿った大きさにする制御を維持する。
【0089】
つまり、本実施形態2に係る駆動力制御装置2では、エンジントルクを、復帰時エンジントルクTrtnに沿った大きさにする制御を行なっている場合には、アクセル開度を制御決定アクセル開度Aまで戻さない限り、選択した復帰時エンジントルクTrtnを用いてエンジントルクの制御を行う。このため、アクセル開度が、選択した復帰時エンジントルクTrtnの範囲内で変化する場合には、変化の大きさや変化の速度に関わらず、選択した復帰時エンジントルクTrtnを維持し、この復帰時エンジントルクTrtnを用いてエンジントルクの制御を行う。即ち、復帰時エンジントルクTrtnを用いてエンジントルクの制御を行うことにより、アクセル開度に対する車両1の減速度を燃料供給制御時のアクセル開度に対する減速度に復帰させている最中に、アクセル操作速度またはアクセル開度が変更された場合には、選択した復帰時エンジントルクTrtnを維持することより、アクセル開度に対する減速度の変化の度合いを変更せずに減速度の変化の度合いを維持する。
【0090】
このように、選択した復帰時エンジントルクTrtnを用いてエンジントルクの制御を行い、アクセル開度とエンジントルクとが、制御切替エンジントルクBに到達した場合には、エンジントルクの制御を行う際における基準を、復帰時エンジントルクTrtnから燃料供給制御時エンジントルクTfuelに切り替える。エンジントルクの制御を行う際における基準を燃料供給制御時エンジントルクTfuelに切り替えたら、エンジン制御部44やオルタ負荷トルク調節部50で、エンジン10等を制御することにより、アクセル開度に対するエンジントルクが、燃料供給制御時エンジントルクTfuelに沿った大きさになるように制御する。
【0091】
図5は、復帰時エンジントルクを、図4に示す復帰時エンジントルクから変更する場合における説明図である。燃料カットから燃料供給制御への復帰後、アクセル開度とエンジントルクとが、制御切替エンジントルクBに到達するまで、または、アクセル開度が制御決定アクセル開度Aまで戻されるまでは、上述したように、選択した復帰時エンジントルクTrtnを用いた制御を維持する。これに対し、この状態で、アクセル開度が制御決定アクセル開度Aまで戻された場合には、復帰時エンジントルクTrtnの選択を再度行う。
【0092】
この場合、通常、復帰時エンジントルクTrtnを選択する場合と同様に、制御決定アクセル開度Aでのアクセル開度に基づいてアクセル操作速度を導出し、導出したアクセル操作速度に基づいて、複数の復帰時エンジントルクTrtnのうち制御に用いる復帰時エンジントルクTrtnを、エンジントルク制御部51で選択する。つまり、アクセル開度に対する減速度を燃料供給制御時のアクセル開度に対する減速度に復帰させている最中に、アクセル操作速度またはアクセル開度が変更された場合には、アクセル開度が燃料カットを行うアクセル開度である燃料カット開度Ocut、即ち、制御決定アクセル開度Aまで戻された場合に、復帰時エンジントルクTrtnの選択を再度行うことにより、アクセル開度に対する減速度の変化の度合いを設定しなおす。
【0093】
このように、アクセル操作速度に基づいて復帰時エンジントルクTrtnを新たに選択したら、エンジン10の出力やオルタネータ20の発電量を調節することにより、アクセル開度に対するエンジントルクを、この新たに選択した復帰時エンジントルクTrtnに沿った大きさになるように発生させる。
【0094】
エンジントルクを、この新たに選択した復帰時エンジントルクTrtnを用いて制御し、アクセル開度とエンジントルクとが、制御切替エンジントルクBに到達した場合には、エンジントルクを制御する際の基準を、燃料供給制御時エンジントルクTfuelに切り替える。これにより、エンジン制御部44やオルタ負荷トルク調節部50は、エンジントルクが、燃料供給制御時エンジントルクTfuelに沿った大きさになるように制御する。
【0095】
これらのように、復帰時エンジントルクTrtnに沿って制御するエンジントルクとアクセル開度との関係が、制御切替エンジントルクBに到達せず、アクセル開度が制御決定アクセル開度Aまで戻らない場合は、選択した復帰時エンジントルクTrtnを変更せずにエンジントルクの制御を行い、アクセル開度が制御決定アクセル開度Aまで戻った場合には、再度、復帰時エンジントルクTrtnの選択を行うことを繰り返す。
【0096】
以上の駆動力制御装置2は、復帰時エンジントルクTrtnに沿ってエンジントルクの制御を行っている最中に、アクセル操作速度、またはアクセル開度が変更された場合には、アクセル開度に対する減速度の変化の度合いを変更せず、復帰時エンジントルクTrtnを維持する。これにより、燃料カットから燃料供給制御への復帰後、エンジントルクを燃料供給制御時エンジントルクTfuelに沿って制御する状態になるまでの間の同一のアクセル操作に対して、このアクセル操作とエンジントルクとの関係を、常に一定の関係に固定することができる。従って、エンジントルクを燃料供給制御時エンジントルクTfuelに沿って制御する状態になるまでの間におけるアクセル操作に対するエンジントルクの大きさを、常に一定の大きさにすることができる。この結果、アクセル操作に対する減速度を違和感なく発生させることができ、より適切に運転者が要求する減速度を実現することができる。
【0097】
また、復帰時エンジントルクTrtnに沿ってエンジントルクの制御を行っている最中に、アクセル操作速度、またはアクセル開度が変更された場合には、アクセル開度が燃料カット開度Ocutまで戻された場合、即ち、制御アクセル開度Aまで戻された場合に、復帰時エンジントルクTrtnを再度選択することにより、アクセル開度に対する減速度の変化の度合いを設定しなおしている。これにより、運転者がアクセルペダル35を一旦戻し、要求する減速度が途中で変化した場合でも、この変化後の要求減速度に沿って、エンジントルクを制御し、減速度を調節することができる。この結果、より確実に、運転者が要求する減速度を実現することができる。
【0098】
なお、上述した駆動力制御装置2では、燃料カット時には、オルタネータ20の発電量を調節することによりエンジントルクの制御を行い、燃料供給制御時には、エンジン10の出力とオルタネータ20の発電量を調節することにより、エンジントルクの制御を行っているが、燃料供給制御時には、エンジン10の出力の制御のみで、エンジントルクの制御を行ってもよい。また、エンジントルクの制御を行う際に、エンジン10の出力以外も制御することによりエンジントルクを制御する場合には、オルタネータ20の発電量以外を用いて制御してもよい。
【0099】
例えば、自動変速機30の変速比を適宜変速することによりエンジン負荷を調節したり、燃料カット時にスロットルバルブ15の開度を制御することによりポンピングロスを増減し、減速方向のエンジントルクである負トルクを調節したりすることにより、エンジントルクの制御を行ってもよい。または、車両1に搭載され、エンジン10からの出力を用いて作動するエアコン(図示省略)のコンプレッサ(図示省略)を制御したり、オイルポンプ(図示省略)の作動を制御したりすることによりエンジン負荷を調節するなど、エンジン10で発生した動力によって作動する補機全般の他の装置を制御することにより、エンジントルクの制御を行ってもよい。
【0100】
さらに、エンジン10に、車両1の走行中に燃料カットを行った場合に、各気筒の吸排気バルブ(図示省略)を閉じた状態で停止させる制御である気筒休止の制御が可能な気筒休止機構(図示省略)が設けられている場合には、気筒休止制御を行うことにより、エンジントルクの制御を行ってもよい。エンジントルクを制御する手段に関わらず、燃料カットからの復帰時に、アクセルペダル35の操作状態に応じて、燃料供給制御に復帰する際におけるエンジントルクの変化の度合いを設定することにより、より適切に要求減速度を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上のように、本発明に係る駆動力制御装置は、減速時に燃料カットを行う車両に有用であり、特に、減速時においてアクセル開度が全閉以外の場合でも、燃料カットを行う車両に適している。
【符号の説明】
【0102】
1 車両
2 駆動力制御装置
5 車輪
10 エンジン
15 スロットルバルブ
16 燃料インジェクタ
20 オルタネータ
21 レギュレータ
35 アクセルペダル
36 アクセル開度センサ
40 ECU
42 アクセル開度取得部
44 エンジン制御部
45 スロットルバルブ制御部
46 燃料噴射量制御部
48 変速制御部
50 オルタ負荷トルク調節部
51 エンジントルク制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセル操作子の操作量であるアクセル操作量がゼロよりも大きい所定の値の場合にエンジンの燃料カットを行う駆動力制御装置であって、
前記アクセル操作量に基づいて車両の減速度を設定すると共に、前記燃料カット時と前記エンジンへ燃料供給を行った状態での制御である燃料供給制御時とで前記アクセル操作量に対して異なる前記減速度を設定する減速度設定部を有しており、
前記燃料供給制御から前記燃料カットに移行した場合における前記燃料カットから前記燃料供給制御への復帰後は、前記減速度設定部は、前記燃料カット時の前記アクセル操作量に対する前記減速度から、前記燃料供給制御時の前記アクセル操作量に対する前記減速度に復帰させる際における前記アクセル操作量に対する前記減速度の変化の度合いを、前記アクセル操作子の操作速度であるアクセル操作速度に応じて設定することを特徴とする駆動力制御装置。
【請求項2】
前記燃料カットから前記燃料供給制御への復帰後は、前記減速度設定部は、前記アクセル操作速度が速くなるに従って前記アクセル操作量に対する前記減速度の変化の度合いを大きくすることを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。
【請求項3】
前記燃料カットから前記燃料供給制御への復帰後に、前記アクセル操作量に対する前記減速度を前記燃料供給制御時の前記アクセル操作量に対する前記減速度に復帰させている最中に前記アクセル操作速度または前記アクセル操作量が変更された場合には、前記アクセル操作量に対する前記減速度の変化の度合いを変更しないことを特徴とする請求項1または2に記載の駆動力制御装置。
【請求項4】
前記燃料カットから前記燃料供給制御への復帰後に、前記アクセル操作量に対する前記減速度を前記燃料供給制御時の前記アクセル操作量に対する前記減速度に復帰させている最中に前記アクセル操作速度または前記アクセル操作量が変更された場合には、前記アクセル操作量が前記燃料カットを行う前記アクセル操作量まで戻された場合に、前記アクセル操作量に対する前記減速度の変化の度合いを設定しなおすことを特徴とする請求項3に記載の駆動力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−220216(P2011−220216A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89806(P2010−89806)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】