駆動力発生装置および駆動装置
【課題】簡素且つ小型の駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置10は、錘20、圧電素子30、ロッド40、被駆動部材50を備える。錘20は、固定壁91に弾性固定される。圧電素子30の伸縮方向に沿った一方端は錘20に固定されている。ロッド40は、圧電素子30の伸縮方向に沿った他方端に固定されている。ロッド40の圧電素子30に固定された端部と反対側の端部は、保持壁92の保持用の穴へ挿通されている。ロッド40には、被駆動部材50が摩擦係合している。錘20には貫通穴22が形成されている。この際、貫通穴22は、圧電素子30に印加する駆動電圧信号の2次高調波と、振動系11の2次共振周波数とが一致するような位置および形状で形成される。
【解決手段】駆動装置10は、錘20、圧電素子30、ロッド40、被駆動部材50を備える。錘20は、固定壁91に弾性固定される。圧電素子30の伸縮方向に沿った一方端は錘20に固定されている。ロッド40は、圧電素子30の伸縮方向に沿った他方端に固定されている。ロッド40の圧電素子30に固定された端部と反対側の端部は、保持壁92の保持用の穴へ挿通されている。ロッド40には、被駆動部材50が摩擦係合している。錘20には貫通穴22が形成されている。この際、貫通穴22は、圧電素子30に印加する駆動電圧信号の2次高調波と、振動系11の2次共振周波数とが一致するような位置および形状で形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気機械変換素子による振動を利用して、被駆動体を移動させる駆動装置および、当該駆動装置における駆動力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラのレンズ駆動機構や精密ステージの駆動機構として、電気機械変換素子を用いる駆動装置が利用されている。例えば、特許文献1の駆動装置は、第1錘、第2錘、第1電気機械変換素子、および第2電気機械変換素子を備える。第1電気機械変換素子は、印加される駆動電圧によって伸縮する方向の一方端に第1錘が固定され、他方端に第2錘が固定されている。第2錘の第1電気機械変換素子が固定された面と反対側の端面には、第2電気機械変換素子が固定されている。この際、第2電気機械変換素子の伸縮方向の一方端が第2錘に固定される。第2電気機械変換素子の第2錘が固定された端面と反対側の端面には、円柱状の駆動用ロッドが固定され、全体で振動発生部を形成している。駆動用ロッドには、被駆動部材が摩擦係合されている。
【0003】
このような駆動装置では、駆動用ロッドが、駆動用ロッドの軸方向に沿った第1方向には低速で変位し、当該第1方向と逆方向である第2方向には高速で変位するノコギリ波状の波形をもって動作することで、被駆動部材を駆動用ロッドの第1方向に移動させている。
【0004】
特許文献1の駆動装置では、第2電気機械変換素子の共振周波数を、第1電気機械変換素子の共振周波数の整数倍に設定し、各電気機械変換素子に共振周波数の正弦波駆動信号を印加している。このように、駆動時に振動発生部の複数の共振周波数を有効に利用しているので、効率のよい駆動を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3906850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の駆動装置では、少なくとも錘を2個、電気機械変換素子を2個備える必要がある。したがって、部材が複数必要になるので、駆動装置の構造が複雑になるとともに、駆動素子を小型化することが困難である。また、電気機械変換素子毎に個別の駆動信号を与えなければならず、駆動回路も少なくとも2個必要となり、この点においても駆動装置が複雑化し、小型化が困難になる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、錘の形状を工夫することで、従来の駆動装置と同等の駆動機能を有しながら、簡素且つ小型の駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の駆動力発生装置は、電気機械変換素子、錘、および振動部材、を振動系として備える。電気機械変換素子は、所定周波数の駆動信号が印加されることによって伸縮する。錘は、電気機械変換素子の伸縮方向の第1端に固定されている。振動部材は、電気機械変換素子の第1端と反対側の第2端に固定されている。錘は、電気機械変換素子の伸縮による振動の2次以上の共振周波数の少なくとも1つが、駆動信号周波数の整数倍の周波数の少なくとも1つに略一致する形状で形成されている。
【0009】
そして、本発明の駆動装置は、上述の駆動力発生装置と被駆動部材とを備え、被駆動部材は、駆動力発生装置の振動部材に摩擦係合されている。
【0010】
この構成では、振動部材の伸縮方向に沿った振動が、駆動信号の基本周期と同じ繰り返し周期で、次に示すような変位で実現される。第1方向(例えば伸張方向)の変位は低速となり、第2方向(例えば短縮方向)の変位は高速となる。すなわち、変位量を縦軸とし、時間を横軸とした場合、変位はノコギリ波形状に変化する。
【0011】
このとき、振動部材に摩擦係合された被駆動部材は、駆動部材が低速で変位するときには駆動部材の変位方向に沿って移動し、駆動部材が高速で変位するときには慣性によりその位置に止まる。したがって、振動部材の振動方向に沿って、被駆動部材を移動させることが可能になる。
【0012】
また、この発明の駆動力発生装置では、振動系の1次共振周波数が、駆動信号周波数または駆動信号の2倍の周波数に略一致することが好ましい。この構成によって、上述のような振動部材のノコギリ波形状の変位が、効果的に実現される。
【0013】
また、この発明の駆動力発生装置の錘は、振動系の2次以上の共振のノードの位置の剛性が当該ノードの位置以外の領域の剛性よりも低くなるように、形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成では、錘におけるノードの部分の剛性を、錘の他の領域よりも低くすることにより、2次共振のためのバネ定数を適切に設定することができる。
【0015】
また、この発明の駆動力発生装置の錘は、振動系の2次以上の共振のノードの位置に、表面から内側へ凹む穴が形成されていることが好ましい。
【0016】
この構成では、錘のノードの位置を凹ませることで、当該位置の剛性を容易な構造で低下させることができる。
【0017】
また、この発明の駆動力発生装置の錘に形成される穴は、錘の対向する面間を貫通する貫通穴であることが好ましい。
【0018】
この構成では、錘のノードの位置に貫通穴を設けることで、当該位置の剛性を容易な構造で低下させることができる。
【0019】
また、この発明の駆動装置では、振動部材の被駆動部材との接触面の振動方向に沿った長さが、被駆動部材の振動方向に沿った長さよりも短いことが好ましい。
【0020】
この構成では、駆動部材の振動が、被駆動部材の位置によらず安定化する。これにより、被駆動部材を安定した変位量で移動させることができる。
【0021】
また、この発明の駆動装置は次の構成であることが好ましい。電気機械変換素子は、伸縮方向に長い矩形状である。振動部材は、電気機械変換素子の第2端の伸縮方向に平行な面に当接するように固定されている。
【0022】
この構成では、電気機械変換素子が単純な矩形状で形成できるので、低コスト化が可能になる。さらに、伸延方向に沿った面に駆動部材が固定されることで、伸延方向を法線方向とする曲げに対する強度が向上する。
【0023】
また、この発明の駆動装置では、振動系の2次以上の共振周波数は2次共振周波数であって、振動系の1次共振周波数に対する2次共振周波数の比が、1.5以上2.0以下であることが好ましい。
【0024】
この構成では、上述の振動を効率的に実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、従来の駆動装置と同等の駆動機能を有しながら、簡素且つ小型な構造で、駆動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態の係る駆動装置10を構成する振動系11の外観斜視図、平面図、側面図、および正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る駆動装置10の設置状態および駆動態様を示す側面図である。
【図3】振動系11の1次固有振動モード(基本振動)の様子を示す図、および振動系11の2次固有振動モードの様子を示す図である。
【図4】圧電素子30に印加する駆動電圧信号の時間波形を示す図である。
【図5】図4の駆動電圧信号を用いた場合の圧電素子30の伸縮方向に沿った変位量の時間遷移を示す図である。
【図6】本実施形態の構成を用いた場合の駆動電圧信号が一定電圧での周波数成分に対する振動系の変位分布を示す図である。
【図7】貫通穴22を開口面から見た長手方向の長さと、1次共振周波数に対する2次共振周波数の比との関係を示したグラフである。
【図8】本発明における一定電圧での駆動電圧信号の周波数成分に対する振動系の変位分布を示す他の事例を示す図である。
【図9】本発明における一定電圧での駆動電圧信号の周波数成分に対する振動系の変位分布を示す他の事例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の係る駆動装置10Aの側面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の係る駆動装置10Bの側面図である。
【図12】図錘の形状のバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の第1の実施形態に係る駆動装置について、図を参照して説明する。図1(A)は本実施形態に係る駆動装置10を構成する振動系11の外観斜視図であり、図1(B)は同平面図であり、図1(C)は同側面図であり、図1(D)は同正面図である。なお、図1では被駆動部材50の図示を省略している。図2は本実施形態の駆動装置10の設置状態および駆動態様を示す側面図である。また、各図では、圧電素子の構成を概略的に示しており、さらに外部の駆動回路に接続するための配線も省略している。
【0028】
図1、図2に示すように、駆動装置10は、錘20、「電気機械変換素子」に相当する圧電素子30、「振動部材」に相当するロッド40、被駆動部材50を備える。このうち、錘20、圧電素子30、およびロッド40によって、振動系11が構成される。この振動系11が本発明の「駆動力発生装置」に相当する。
【0029】
錘20の本体21は矩形状からなり、例えば、黄銅、ステンレス、タングステン、超硬合金等の金属によって、形成されている。錘20の本体21には、貫通穴22が形成されている。貫通穴22は、矩形状からなる本体21の対向する一対の主面の両方に開口するように、本体21を貫通する形状からなる。貫通穴22の開口形状は、開口面から見て長円状になっている。貫通穴22は、後述するように、振動系11の2次共振周波数と、駆動電圧信号の2次高調波信号の周波数とが一致するように設定された位置および形状で形成されている。
【0030】
錘20は、図2に示すように、貫通穴22が形成された主面と直交する四面の内、一面が、弾性を有する接着剤910によって、固定壁91へ固定されている。この際、錘20は、貫通穴22の開口形状である長円の長手方向が固定壁91の壁面と平行になるように、固定壁91へ固定されている。
【0031】
圧電素子30は、錘20の固定壁91への固定面と対向する面に、第1端部が固定されている。圧電素子30は、PZT(チタン酸ジルコン酸塩)からなるセラミック層31と電極層32とが積層された構造からなり、矩形状からなる。なお、圧電素子30として別の圧電材料を用いてもよい。さらに、圧電素子に替えて、磁歪材料からなる素子を用いてもよい。この圧電素子30は、駆動信号が印加されることによって、セラミック層と電極層との積層方向に沿って伸縮する。この伸縮方向の直交する二面の内、一面が上述の第1端部に相当し、別の一面が第2端部に相当する。
【0032】
ロッド40は、円柱状からなる。この際、ロッド40は、ロッド40の長さすなわち対向する円形面間の長さが、円形面の径よりも十分に長くなるように、形成されている。ロッド40は、一対からなる円形面の一方面が、圧電素子30の第2端部に固定されている。
【0033】
ロッド40の圧電素子30に固定された面と反対側の端部付近は、支持壁92に設けられた支持用穴を挿通している。これにより、ロッド40の圧電素子30と反対側の端部は、支持壁92によって摺動可能に支持されている。
【0034】
ロッド40の軸方向に沿った所定位置には、被駆動部材50が取り付けられている。被駆動部材50は、板バネ51と本体52とから構成される。本体52は、ロッド40の円周面に当接する形状からなる。板バネ51は、本体51をロッド40の円周面に押しつけるように付勢する。これにより、被駆動部材50は、ロッド40の円周面に対して摩擦係合している。この被駆動部材50は、図示しない、被駆動体(オートフォーカスカメラのレンズ等)に固定されている。
【0035】
ロッド40と被駆動部材50は、いずれかに、炭素繊維複合樹脂等の樹脂、金属表面にポリテトラフルオロエチレン加工、DLC加工、窒化等を施したものを用いるとよい。
【0036】
このような構成の駆動装置10に対して、次に示すような駆動を行う。まず、一般的な振動系11の共振周波数と駆動周波数との関係について説明する。
【0037】
駆動電圧信号が印加されると、駆動装置10の振動系11には、図3に示すような振動が生じる。図3(A)は振動系11の1次固有振動モード(基本振動)の様子を示す図であり、図3(B)は振動系11の2次固有振動モードの様子を示す図である。
【0038】
振動系11が上述の構造からなることにより、1次固有振動モードに対しては、図3(A)に示すように、圧電素子30およびロッド40からなる質量M1と、錘20からなる質量M2とが、圧電素子30およびロッド40の伸縮動作から得られるバネK1で接続された構造が実現される。これにより、錘20と圧電素子30との接続面をノードとして、1次共振周波数からなる1次振動が生じる。この際、錘20の本体21に形成された貫通穴22は、1次振動にあまり寄与しないので、当該貫通穴22を設けても、所望の1次振動を生じることができる。
【0039】
また、振動系11が上述の構造からなることにより、2次固有振動モードに対しては、図3(B)に示すように、ロッド40からなる質量M3と、圧電素子30および錘20における貫通穴22よりも圧電素子30側の体積部からなる質量M4とが、圧電素子30の伸縮動作から得られるバネK2で接続された構造が実現される。さらに、質量M4と、錘20における貫通穴22よりも固定壁91側の体積部からなる質量M5とが、貫通穴22の形成によって錘20の他の体積部よりも剛性が低くなった部分で得られるバネK3で接続された構造が実現される。これにより、圧電素子30とロッド40との接続面および、貫通穴22の位置をノードとして、2次共振周波数からなる2次振動が生じる。
【0040】
一般に、複数の質量間をバネで接続してなる振動系においては、当該振動系の共振周波数で駆動すること、すなわち駆動電圧信号の基本周波数と、駆動電圧信号が印加されて振動する振動系の1次共振周波数とを一致させれば、効率的な駆動が可能になる。しかし、この場合は、振動系は、駆動電圧信号の基本周波数のみでしか振動せず、振動系の駆動波形は正弦波状になる。
【0041】
そこで、本願発明の駆動装置10では、まず、図4(A)に示すような波形からなる駆動電圧信号を圧電素子30に対して印加する。図4(A)は圧電素子30に印加する駆動電圧信号の時間波形を示す図である。
【0042】
圧電素子30には、図4(A)に示すように、所定の周波数からなる矩形波の駆動電圧信号が印加される。駆動電圧信号は、正電圧となる第1期間termAと負電圧となる第2期間termBとの組合せを一周期とし、これら第1期間termAと第2期間termBが繰り返される構成となっている。この際、第1期間termAの時間長と第2期間termBの時間長とを異ならせて、適宜設定しておく。
【0043】
図4に示すような駆動電圧信号を印加することで、圧電素子30には、図5に示すようなノコギリ波状の変位が生じる。図5は図4の駆動電圧信号を用いた場合の圧電素子30の伸縮方向に沿った変位量の時間遷移を示す図である。
【0044】
図4の駆動電圧信号が印加された場合、圧電素子30の伸縮により、ロッド40は、図5に示すように、第1期間termAでは軸に沿った第1方向(保持壁92へ向かう方向)に変位し、第2期間termBでは軸に沿った第2方向(固定壁91へ向かう方向)に変位する。この際、第1期間termAと第2期間termBでは、変位の総量は同じであるが、第1期間termAの時間長が第2期間termBよりも長くなる。すなわち、第1方向に変位する場合には低速で変位し、第2方向に変位する場合には高速で変位する。
【0045】
詳述すると、第1期間termAでは、ロッド40と被駆動部材50との間には、比較的値の大きな摩擦係数からなる静摩擦が生じた状態が維持される。したがって、被駆動部材50は、ロッド40の変位に追随して、ロッド40の軸方向に沿った正方向へ移動する。一方、被駆動部材50は、第2期間termBでは、ロッド40と被駆動部材50との間には、比較的値の小さな摩擦係数からなる動静摩擦が生じた状態となる。したがって、被駆動部材50は、ロッド40の変位に追随することなく、略静止した状態となる。このような動作を繰り返すことで、被駆動部材50を正方向に沿って移動させることができる。なお、上述の説明では、被駆動部材50を正方向へ移動させる例を示したが、第1期間termAを短くし、第2期間termBを長くすれば、被駆動部材50を負方向へ移動させることもできる。
【0046】
ここで、駆動電圧信号の基本周波数の整数倍の周波数からなる高調波信号の周波数と、振動系11の2次以上の共振周波数を一致させると、より効率のよい駆動を行うことができる。なお、ここで、振動系11の2次以上の共振周波数とは、振動系11の形状に応じて生じる1次共振周波数よりも高い周波数の振動を示す。
【0047】
本実施形態の構成による振動系11の共振周波数と駆動電圧信号との関係を図6に示す。図6は、本実施形態の構成を用いた場合の駆動電圧信号が一定電圧での周波数成分に対する振動系11の変位分布を示す図である。
【0048】
図6から、振動系11の基本周波数(1次共振周波数)の変位は、駆動電圧信号の基本周波数fd、2次共振周波数の変位は2次高調波信号の周波数2fdの箇所で大きくなることが分かる。ここで、駆動電圧信号の基本周波数fdに振動系11の1次共振周波数frを一致させ、駆動電圧信号の2次高調波信号の周波数2fdに振動系11の2次共振周波数2frを一致させると、より大きな変位が得られることが分かる。
【0049】
これを利用し、本願発明では、図4に示すような駆動電圧信号の2次高調波信号の周波数が、振動系11の2次共振周波数に略一致するように、錘20の本体21に対する貫通穴22を設けている。貫通穴22の位置を変化させると、質量M4,M5、バネK3が変化し、振動系11の1次共振周波数にほとんど影響を与えずに2次共振周波数を変化させることができる。
【0050】
図7は、貫通穴22を開口面から見た長手方向の長さと、振動系11の1次共振周波数に対する2次共振周波数の比との関係を示したグラフである。図7に示すように、貫通穴22の形状を変化させることで、振動系11の1次共振周波数に対する2次共振周波数の比を変化させることができる。すなわち、このようにすることで、複数の固有振動モードを簡単な構成で利用できる。
【0051】
これを利用し、振動系11の2次共振周波数が振動系11の1次共振周波数の2倍程度となるように貫通穴22が形成されているので、本願発明の駆動装置10に対して、より効果的な振動発生が可能になる。
【0052】
以上のように、本実施形態の構成を用いれば、錘20の形状を工夫することで、簡素且つ小型な構造でありながら、従来の駆動装置と同等の駆動機能を実現することができる。また、駆動電圧信号が一種類で済むため、駆動回路も簡素化することができる。
【0053】
なお、上述の説明では、振動系11の1次共振周波数frと駆動電圧信号の基本周波数fdとを一致させ、振動系11の2次共振周波数2frと駆動電圧信号の2次高調波信号の周波数2fdとを一致させる場合を示したが、これに限るものではない。振動系の2次共振周波数2frと、駆動電圧信号の複数の高調波信号のうちのいずれかの高調波信号の周波数とを一致させれば、上述の振動を実現させることができる。また、振動系11の1次共振周波数frと駆動電圧信号の基本周波数fdまたは2次高調波信号の周波数2fdとを一致させると、より効率の良い振動波形が得られる。図8、図9は、本発明における一定電圧での駆動電圧信号の周波数成分に対する振動系の変位分布を示す他の事例を示す図である。図8の場合は、振動系の2次共振周波数2frと駆動電圧信号の3次高調波信号の周波数3fdとを一致させている。図9の場合は、振動系の1次共振周波数frと駆動電圧信号の2次高調波信号の周波数2fdとを一致させ、振動系の2次共振周波数2frと駆動電圧信号の3次高調波信号の周波数3fdとを一致させている。
【0054】
このような構成とすることで、駆動ロッドの変位のノコギリ波を所望の形状にすることができる。したがって、形状に応じた効果的な振動が実現でき、高効率で且つ高速に被駆動部材を移動させることが可能になる。
【0055】
次に、第2の実施形態に係る駆動装置について、図を参照して説明する。図10は、本発明の第2の実施形態の係る駆動装置10Aの側面図である。本実施形態の駆動装置10Aは、第1の実施形態に示した駆動装置10に対して、被駆動部材と50Aの設置態様が異なるものであり、他の構成は駆動装置10と同じである。したがって、以下の本実施形態の説明では、異なる箇所に関係する箇所のみを説明する。
【0056】
ロッド40Aの圧電素子30と反対側の端面には、先端部材60が設置されている。先端部材60は、例えばロッド40Aと同様の材質で形成されている。先端部材60は、ロッド40Aの径よりも大きな幅を有する。すなわち、先端部材60におけるロッド40Aに平行な端面は、側面視して、ロッド40Aの円周面を延長した線上よりも外側に突出している。
【0057】
先端部材60の前記平行な端面には、被駆動部材50Aが設置されている。被駆動部材50Aは、一方の端面に当接する板バネ51Aと、他方の端面に当接する本体52Aとからなる。これら板バネ51Aおよび本体52Aのロッド40Aの軸方向に沿った長さは、先端部材60よりも長い。この際、板バネ51Aおよび本体52Aのロッド40Aの軸方向に沿った長さは、当該駆動装置10Aで移動させる被駆動部材50Aの移動距離よりも長く設定されている。
【0058】
そして、これら板バネ51Aと本体52Aとで先端部材60を狭持し、板バネ51Aによる付勢力が加わることで、被駆動部材50Aは、先端部材60に対して摩擦係合している。
【0059】
このような構成とすることで、ロッド40Aが振動して被駆動部材50Aが移動しても、被駆動部材50Aとロッド40との接触が、常に、ロッド40の先端に取り付けられた先端部材60を介して行われる。これにより、ロッド40の振動方向における被駆動部材50Aの位置に依存することなく、常に一定の速度で摺動する。したがって、被駆動部材50Aを一定の速度で移動させることができる。
【0060】
次に、第3の実施形態に係る駆動装置について、図を参照して説明する。図11は、本発明の第3の実施形態の係る駆動装置10Bの側面図である。本実施形態の駆動装置10Bは、第2の実施形態に示した駆動装置10Aに対して、d31モードの圧電素子30Bを配し、ロッド40Aを省略した形状からなる。したがって、以下の本実施形態の説明では、異なる箇所に関係する箇所のみを説明する。
【0061】
圧電素子30Bは、d31モードで駆動する圧電素子であり、平板状で矩形状からなる。圧電素子30Bは、平板面の法線方向に沿って、セラミック層31Bと電極層32Bとが積層された構造からなる。この圧電素子30Bは、上述のような駆動電圧信号が印加されると、平板面に平行な方向に沿って伸縮する。
【0062】
圧電素子30Bの積層方向に沿った第1端面は、錘20に固定されている。圧電素子30Bの錘20への固定面と反対側の第2端面付近には、両平板面(積層方向に直交する面)を挟むように、先端部材60Bが設置されている。
【0063】
先端部材60Bは、第2の実施形態の構成と同様に、被駆動部材50Bに狭持されている。この構成により、被駆動部材50Bは、先端部材60Bに摩擦係合している。
【0064】
このような構成であっても、上述の各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成を用いることで、圧電素子30Bのような平板状の圧電素子を利用できるため、低コスト化が可能になる。さらに、ロッド40,40Aや先端部材60を用いなくてもよく、振動方向に直交する接合面が少なくなるので、振動方向に直交する方向の曲げに対する強度が向上する。さらに、圧電素子のセラミック層31Bと電極層32Bとの接合面が振動方向に対して平行になるので、この点においても、振動方向に直交する方向の曲げに対する強度が向上する。すなわち、低コストであって、より信頼性が高い駆動装置を実現できる。
【0065】
なお、上述の説明では、貫通穴22が、錘20の本体21を側面視した略中央に形成される例を示したが、所望とする仕様に応じて、錘の形状は適切な形状にすればよい。図12は錘の形状のバリエーションを示す図である。なお、図12(A)〜(F)に示す振動方向とは、圧電素子の伸縮方向およびロッドの振動方向を示す。
【0066】
図12(A)に示す錘20Aでは、貫通穴22Aの長円状の開口の長手方向と、振動方向とが平行になるように、貫通穴22Aが設けられている。
【0067】
図12(B)に示す錘20Bでは、貫通穴22Bが、本体21の振動方向に沿った略中央に設けられているのではなく、振動方向に直交する二面の内の一方面に近接するように、設けられている。
【0068】
図12(C)に示す錘20Cでは、貫通穴22Cの開口形状が円形である。貫通穴22Cは、本体21の振動方向に沿った略中央に設けられている。
【0069】
図12(D)に示す錘20Dでは、貫通穴を設けず、凹部23Dを設けている。凹部溝23Dは、本体21の振動方向に沿った略中央に設けられている。凹部23Dは、本体21の振動方向に平行な4つの主面の内、対向する2つの主面から、本体21の内側へ凹むように形成されている。凹部23Dは、開口形状が長円状からなる。両面から凹ませた2つの凹部23Dは、本体21内部で繋がらない。
【0070】
図12(E)に示す錘20Eでは、溝23Eを設けている。溝23Eは、本体21の振動方向に沿った略中央に設けられている。溝23Eは、本体21の振動方向に平行な4つの主面の内の対向する2つの主面から、それぞれ本体21の内側へ凹むように形成されている。これら2つの溝23Eは、前記4つの主面の内の残る2つの主面間を貫通するように形成されている。2つの溝23Eは、本体21内部で繋がらない。
【0071】
図12(F)に示す錘20Fでは、溝23Fを設けている。溝23Fは、本体21の振動方向に直交する一主面から、本体21の内側へ凹むように形成されている。そして、溝23Fは、互いに対向する2つの主面間を貫通するように形成されている。
【0072】
なお、図12(A)〜図12(F)は、本発明に適用可能な錘の形状の一部を示すものであり、振動方向に沿って剛性の高い体積部と剛性の低い体積部が存在するように、錘の形状を形成すれば、他の構造であってもよい。
【0073】
前記実施形態では、錘20は貫通穴22が形成された主面と直交する四面の内、一面が支持されているが、これに限るものではない。錘20が弾性的に支持されていれば、どのように支持されていても構わない。
【0074】
前記実施形態では、圧電素子はチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスから構成しているが、これに限るものではない。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウム系及びアルカリニオブ酸系セラミックス等の非鉛系圧電体セラミックスの圧電材料などから構成してもよい。
【0075】
前記実施形態では、 駆動電圧信号の波形は矩形波であるが、これに限るものではない。図4に示すtermAとtermBとの差が再現されていれば、例えば、正弦波や階段波でもよいし、多少の波形の乱れがあってもよい。
【符号の説明】
【0076】
10:駆動装置、11:振動系、20,20A,20B,20C,20D,20E,20F:錘、21:本体、22,22A,22B,22C:貫通穴、溝:23D,23E,23F、30:圧電素子、31,31B:セラミック層、32,32B:電極層、40,40A:ロッド、50,50A:被駆動部材、51,51A:板バネ、52,52A:本体、60,60B:先端部材、91:固定壁、92:支持壁
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気機械変換素子による振動を利用して、被駆動体を移動させる駆動装置および、当該駆動装置における駆動力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラのレンズ駆動機構や精密ステージの駆動機構として、電気機械変換素子を用いる駆動装置が利用されている。例えば、特許文献1の駆動装置は、第1錘、第2錘、第1電気機械変換素子、および第2電気機械変換素子を備える。第1電気機械変換素子は、印加される駆動電圧によって伸縮する方向の一方端に第1錘が固定され、他方端に第2錘が固定されている。第2錘の第1電気機械変換素子が固定された面と反対側の端面には、第2電気機械変換素子が固定されている。この際、第2電気機械変換素子の伸縮方向の一方端が第2錘に固定される。第2電気機械変換素子の第2錘が固定された端面と反対側の端面には、円柱状の駆動用ロッドが固定され、全体で振動発生部を形成している。駆動用ロッドには、被駆動部材が摩擦係合されている。
【0003】
このような駆動装置では、駆動用ロッドが、駆動用ロッドの軸方向に沿った第1方向には低速で変位し、当該第1方向と逆方向である第2方向には高速で変位するノコギリ波状の波形をもって動作することで、被駆動部材を駆動用ロッドの第1方向に移動させている。
【0004】
特許文献1の駆動装置では、第2電気機械変換素子の共振周波数を、第1電気機械変換素子の共振周波数の整数倍に設定し、各電気機械変換素子に共振周波数の正弦波駆動信号を印加している。このように、駆動時に振動発生部の複数の共振周波数を有効に利用しているので、効率のよい駆動を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3906850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の駆動装置では、少なくとも錘を2個、電気機械変換素子を2個備える必要がある。したがって、部材が複数必要になるので、駆動装置の構造が複雑になるとともに、駆動素子を小型化することが困難である。また、電気機械変換素子毎に個別の駆動信号を与えなければならず、駆動回路も少なくとも2個必要となり、この点においても駆動装置が複雑化し、小型化が困難になる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、錘の形状を工夫することで、従来の駆動装置と同等の駆動機能を有しながら、簡素且つ小型の駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の駆動力発生装置は、電気機械変換素子、錘、および振動部材、を振動系として備える。電気機械変換素子は、所定周波数の駆動信号が印加されることによって伸縮する。錘は、電気機械変換素子の伸縮方向の第1端に固定されている。振動部材は、電気機械変換素子の第1端と反対側の第2端に固定されている。錘は、電気機械変換素子の伸縮による振動の2次以上の共振周波数の少なくとも1つが、駆動信号周波数の整数倍の周波数の少なくとも1つに略一致する形状で形成されている。
【0009】
そして、本発明の駆動装置は、上述の駆動力発生装置と被駆動部材とを備え、被駆動部材は、駆動力発生装置の振動部材に摩擦係合されている。
【0010】
この構成では、振動部材の伸縮方向に沿った振動が、駆動信号の基本周期と同じ繰り返し周期で、次に示すような変位で実現される。第1方向(例えば伸張方向)の変位は低速となり、第2方向(例えば短縮方向)の変位は高速となる。すなわち、変位量を縦軸とし、時間を横軸とした場合、変位はノコギリ波形状に変化する。
【0011】
このとき、振動部材に摩擦係合された被駆動部材は、駆動部材が低速で変位するときには駆動部材の変位方向に沿って移動し、駆動部材が高速で変位するときには慣性によりその位置に止まる。したがって、振動部材の振動方向に沿って、被駆動部材を移動させることが可能になる。
【0012】
また、この発明の駆動力発生装置では、振動系の1次共振周波数が、駆動信号周波数または駆動信号の2倍の周波数に略一致することが好ましい。この構成によって、上述のような振動部材のノコギリ波形状の変位が、効果的に実現される。
【0013】
また、この発明の駆動力発生装置の錘は、振動系の2次以上の共振のノードの位置の剛性が当該ノードの位置以外の領域の剛性よりも低くなるように、形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成では、錘におけるノードの部分の剛性を、錘の他の領域よりも低くすることにより、2次共振のためのバネ定数を適切に設定することができる。
【0015】
また、この発明の駆動力発生装置の錘は、振動系の2次以上の共振のノードの位置に、表面から内側へ凹む穴が形成されていることが好ましい。
【0016】
この構成では、錘のノードの位置を凹ませることで、当該位置の剛性を容易な構造で低下させることができる。
【0017】
また、この発明の駆動力発生装置の錘に形成される穴は、錘の対向する面間を貫通する貫通穴であることが好ましい。
【0018】
この構成では、錘のノードの位置に貫通穴を設けることで、当該位置の剛性を容易な構造で低下させることができる。
【0019】
また、この発明の駆動装置では、振動部材の被駆動部材との接触面の振動方向に沿った長さが、被駆動部材の振動方向に沿った長さよりも短いことが好ましい。
【0020】
この構成では、駆動部材の振動が、被駆動部材の位置によらず安定化する。これにより、被駆動部材を安定した変位量で移動させることができる。
【0021】
また、この発明の駆動装置は次の構成であることが好ましい。電気機械変換素子は、伸縮方向に長い矩形状である。振動部材は、電気機械変換素子の第2端の伸縮方向に平行な面に当接するように固定されている。
【0022】
この構成では、電気機械変換素子が単純な矩形状で形成できるので、低コスト化が可能になる。さらに、伸延方向に沿った面に駆動部材が固定されることで、伸延方向を法線方向とする曲げに対する強度が向上する。
【0023】
また、この発明の駆動装置では、振動系の2次以上の共振周波数は2次共振周波数であって、振動系の1次共振周波数に対する2次共振周波数の比が、1.5以上2.0以下であることが好ましい。
【0024】
この構成では、上述の振動を効率的に実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、従来の駆動装置と同等の駆動機能を有しながら、簡素且つ小型な構造で、駆動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態の係る駆動装置10を構成する振動系11の外観斜視図、平面図、側面図、および正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る駆動装置10の設置状態および駆動態様を示す側面図である。
【図3】振動系11の1次固有振動モード(基本振動)の様子を示す図、および振動系11の2次固有振動モードの様子を示す図である。
【図4】圧電素子30に印加する駆動電圧信号の時間波形を示す図である。
【図5】図4の駆動電圧信号を用いた場合の圧電素子30の伸縮方向に沿った変位量の時間遷移を示す図である。
【図6】本実施形態の構成を用いた場合の駆動電圧信号が一定電圧での周波数成分に対する振動系の変位分布を示す図である。
【図7】貫通穴22を開口面から見た長手方向の長さと、1次共振周波数に対する2次共振周波数の比との関係を示したグラフである。
【図8】本発明における一定電圧での駆動電圧信号の周波数成分に対する振動系の変位分布を示す他の事例を示す図である。
【図9】本発明における一定電圧での駆動電圧信号の周波数成分に対する振動系の変位分布を示す他の事例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の係る駆動装置10Aの側面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の係る駆動装置10Bの側面図である。
【図12】図錘の形状のバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の第1の実施形態に係る駆動装置について、図を参照して説明する。図1(A)は本実施形態に係る駆動装置10を構成する振動系11の外観斜視図であり、図1(B)は同平面図であり、図1(C)は同側面図であり、図1(D)は同正面図である。なお、図1では被駆動部材50の図示を省略している。図2は本実施形態の駆動装置10の設置状態および駆動態様を示す側面図である。また、各図では、圧電素子の構成を概略的に示しており、さらに外部の駆動回路に接続するための配線も省略している。
【0028】
図1、図2に示すように、駆動装置10は、錘20、「電気機械変換素子」に相当する圧電素子30、「振動部材」に相当するロッド40、被駆動部材50を備える。このうち、錘20、圧電素子30、およびロッド40によって、振動系11が構成される。この振動系11が本発明の「駆動力発生装置」に相当する。
【0029】
錘20の本体21は矩形状からなり、例えば、黄銅、ステンレス、タングステン、超硬合金等の金属によって、形成されている。錘20の本体21には、貫通穴22が形成されている。貫通穴22は、矩形状からなる本体21の対向する一対の主面の両方に開口するように、本体21を貫通する形状からなる。貫通穴22の開口形状は、開口面から見て長円状になっている。貫通穴22は、後述するように、振動系11の2次共振周波数と、駆動電圧信号の2次高調波信号の周波数とが一致するように設定された位置および形状で形成されている。
【0030】
錘20は、図2に示すように、貫通穴22が形成された主面と直交する四面の内、一面が、弾性を有する接着剤910によって、固定壁91へ固定されている。この際、錘20は、貫通穴22の開口形状である長円の長手方向が固定壁91の壁面と平行になるように、固定壁91へ固定されている。
【0031】
圧電素子30は、錘20の固定壁91への固定面と対向する面に、第1端部が固定されている。圧電素子30は、PZT(チタン酸ジルコン酸塩)からなるセラミック層31と電極層32とが積層された構造からなり、矩形状からなる。なお、圧電素子30として別の圧電材料を用いてもよい。さらに、圧電素子に替えて、磁歪材料からなる素子を用いてもよい。この圧電素子30は、駆動信号が印加されることによって、セラミック層と電極層との積層方向に沿って伸縮する。この伸縮方向の直交する二面の内、一面が上述の第1端部に相当し、別の一面が第2端部に相当する。
【0032】
ロッド40は、円柱状からなる。この際、ロッド40は、ロッド40の長さすなわち対向する円形面間の長さが、円形面の径よりも十分に長くなるように、形成されている。ロッド40は、一対からなる円形面の一方面が、圧電素子30の第2端部に固定されている。
【0033】
ロッド40の圧電素子30に固定された面と反対側の端部付近は、支持壁92に設けられた支持用穴を挿通している。これにより、ロッド40の圧電素子30と反対側の端部は、支持壁92によって摺動可能に支持されている。
【0034】
ロッド40の軸方向に沿った所定位置には、被駆動部材50が取り付けられている。被駆動部材50は、板バネ51と本体52とから構成される。本体52は、ロッド40の円周面に当接する形状からなる。板バネ51は、本体51をロッド40の円周面に押しつけるように付勢する。これにより、被駆動部材50は、ロッド40の円周面に対して摩擦係合している。この被駆動部材50は、図示しない、被駆動体(オートフォーカスカメラのレンズ等)に固定されている。
【0035】
ロッド40と被駆動部材50は、いずれかに、炭素繊維複合樹脂等の樹脂、金属表面にポリテトラフルオロエチレン加工、DLC加工、窒化等を施したものを用いるとよい。
【0036】
このような構成の駆動装置10に対して、次に示すような駆動を行う。まず、一般的な振動系11の共振周波数と駆動周波数との関係について説明する。
【0037】
駆動電圧信号が印加されると、駆動装置10の振動系11には、図3に示すような振動が生じる。図3(A)は振動系11の1次固有振動モード(基本振動)の様子を示す図であり、図3(B)は振動系11の2次固有振動モードの様子を示す図である。
【0038】
振動系11が上述の構造からなることにより、1次固有振動モードに対しては、図3(A)に示すように、圧電素子30およびロッド40からなる質量M1と、錘20からなる質量M2とが、圧電素子30およびロッド40の伸縮動作から得られるバネK1で接続された構造が実現される。これにより、錘20と圧電素子30との接続面をノードとして、1次共振周波数からなる1次振動が生じる。この際、錘20の本体21に形成された貫通穴22は、1次振動にあまり寄与しないので、当該貫通穴22を設けても、所望の1次振動を生じることができる。
【0039】
また、振動系11が上述の構造からなることにより、2次固有振動モードに対しては、図3(B)に示すように、ロッド40からなる質量M3と、圧電素子30および錘20における貫通穴22よりも圧電素子30側の体積部からなる質量M4とが、圧電素子30の伸縮動作から得られるバネK2で接続された構造が実現される。さらに、質量M4と、錘20における貫通穴22よりも固定壁91側の体積部からなる質量M5とが、貫通穴22の形成によって錘20の他の体積部よりも剛性が低くなった部分で得られるバネK3で接続された構造が実現される。これにより、圧電素子30とロッド40との接続面および、貫通穴22の位置をノードとして、2次共振周波数からなる2次振動が生じる。
【0040】
一般に、複数の質量間をバネで接続してなる振動系においては、当該振動系の共振周波数で駆動すること、すなわち駆動電圧信号の基本周波数と、駆動電圧信号が印加されて振動する振動系の1次共振周波数とを一致させれば、効率的な駆動が可能になる。しかし、この場合は、振動系は、駆動電圧信号の基本周波数のみでしか振動せず、振動系の駆動波形は正弦波状になる。
【0041】
そこで、本願発明の駆動装置10では、まず、図4(A)に示すような波形からなる駆動電圧信号を圧電素子30に対して印加する。図4(A)は圧電素子30に印加する駆動電圧信号の時間波形を示す図である。
【0042】
圧電素子30には、図4(A)に示すように、所定の周波数からなる矩形波の駆動電圧信号が印加される。駆動電圧信号は、正電圧となる第1期間termAと負電圧となる第2期間termBとの組合せを一周期とし、これら第1期間termAと第2期間termBが繰り返される構成となっている。この際、第1期間termAの時間長と第2期間termBの時間長とを異ならせて、適宜設定しておく。
【0043】
図4に示すような駆動電圧信号を印加することで、圧電素子30には、図5に示すようなノコギリ波状の変位が生じる。図5は図4の駆動電圧信号を用いた場合の圧電素子30の伸縮方向に沿った変位量の時間遷移を示す図である。
【0044】
図4の駆動電圧信号が印加された場合、圧電素子30の伸縮により、ロッド40は、図5に示すように、第1期間termAでは軸に沿った第1方向(保持壁92へ向かう方向)に変位し、第2期間termBでは軸に沿った第2方向(固定壁91へ向かう方向)に変位する。この際、第1期間termAと第2期間termBでは、変位の総量は同じであるが、第1期間termAの時間長が第2期間termBよりも長くなる。すなわち、第1方向に変位する場合には低速で変位し、第2方向に変位する場合には高速で変位する。
【0045】
詳述すると、第1期間termAでは、ロッド40と被駆動部材50との間には、比較的値の大きな摩擦係数からなる静摩擦が生じた状態が維持される。したがって、被駆動部材50は、ロッド40の変位に追随して、ロッド40の軸方向に沿った正方向へ移動する。一方、被駆動部材50は、第2期間termBでは、ロッド40と被駆動部材50との間には、比較的値の小さな摩擦係数からなる動静摩擦が生じた状態となる。したがって、被駆動部材50は、ロッド40の変位に追随することなく、略静止した状態となる。このような動作を繰り返すことで、被駆動部材50を正方向に沿って移動させることができる。なお、上述の説明では、被駆動部材50を正方向へ移動させる例を示したが、第1期間termAを短くし、第2期間termBを長くすれば、被駆動部材50を負方向へ移動させることもできる。
【0046】
ここで、駆動電圧信号の基本周波数の整数倍の周波数からなる高調波信号の周波数と、振動系11の2次以上の共振周波数を一致させると、より効率のよい駆動を行うことができる。なお、ここで、振動系11の2次以上の共振周波数とは、振動系11の形状に応じて生じる1次共振周波数よりも高い周波数の振動を示す。
【0047】
本実施形態の構成による振動系11の共振周波数と駆動電圧信号との関係を図6に示す。図6は、本実施形態の構成を用いた場合の駆動電圧信号が一定電圧での周波数成分に対する振動系11の変位分布を示す図である。
【0048】
図6から、振動系11の基本周波数(1次共振周波数)の変位は、駆動電圧信号の基本周波数fd、2次共振周波数の変位は2次高調波信号の周波数2fdの箇所で大きくなることが分かる。ここで、駆動電圧信号の基本周波数fdに振動系11の1次共振周波数frを一致させ、駆動電圧信号の2次高調波信号の周波数2fdに振動系11の2次共振周波数2frを一致させると、より大きな変位が得られることが分かる。
【0049】
これを利用し、本願発明では、図4に示すような駆動電圧信号の2次高調波信号の周波数が、振動系11の2次共振周波数に略一致するように、錘20の本体21に対する貫通穴22を設けている。貫通穴22の位置を変化させると、質量M4,M5、バネK3が変化し、振動系11の1次共振周波数にほとんど影響を与えずに2次共振周波数を変化させることができる。
【0050】
図7は、貫通穴22を開口面から見た長手方向の長さと、振動系11の1次共振周波数に対する2次共振周波数の比との関係を示したグラフである。図7に示すように、貫通穴22の形状を変化させることで、振動系11の1次共振周波数に対する2次共振周波数の比を変化させることができる。すなわち、このようにすることで、複数の固有振動モードを簡単な構成で利用できる。
【0051】
これを利用し、振動系11の2次共振周波数が振動系11の1次共振周波数の2倍程度となるように貫通穴22が形成されているので、本願発明の駆動装置10に対して、より効果的な振動発生が可能になる。
【0052】
以上のように、本実施形態の構成を用いれば、錘20の形状を工夫することで、簡素且つ小型な構造でありながら、従来の駆動装置と同等の駆動機能を実現することができる。また、駆動電圧信号が一種類で済むため、駆動回路も簡素化することができる。
【0053】
なお、上述の説明では、振動系11の1次共振周波数frと駆動電圧信号の基本周波数fdとを一致させ、振動系11の2次共振周波数2frと駆動電圧信号の2次高調波信号の周波数2fdとを一致させる場合を示したが、これに限るものではない。振動系の2次共振周波数2frと、駆動電圧信号の複数の高調波信号のうちのいずれかの高調波信号の周波数とを一致させれば、上述の振動を実現させることができる。また、振動系11の1次共振周波数frと駆動電圧信号の基本周波数fdまたは2次高調波信号の周波数2fdとを一致させると、より効率の良い振動波形が得られる。図8、図9は、本発明における一定電圧での駆動電圧信号の周波数成分に対する振動系の変位分布を示す他の事例を示す図である。図8の場合は、振動系の2次共振周波数2frと駆動電圧信号の3次高調波信号の周波数3fdとを一致させている。図9の場合は、振動系の1次共振周波数frと駆動電圧信号の2次高調波信号の周波数2fdとを一致させ、振動系の2次共振周波数2frと駆動電圧信号の3次高調波信号の周波数3fdとを一致させている。
【0054】
このような構成とすることで、駆動ロッドの変位のノコギリ波を所望の形状にすることができる。したがって、形状に応じた効果的な振動が実現でき、高効率で且つ高速に被駆動部材を移動させることが可能になる。
【0055】
次に、第2の実施形態に係る駆動装置について、図を参照して説明する。図10は、本発明の第2の実施形態の係る駆動装置10Aの側面図である。本実施形態の駆動装置10Aは、第1の実施形態に示した駆動装置10に対して、被駆動部材と50Aの設置態様が異なるものであり、他の構成は駆動装置10と同じである。したがって、以下の本実施形態の説明では、異なる箇所に関係する箇所のみを説明する。
【0056】
ロッド40Aの圧電素子30と反対側の端面には、先端部材60が設置されている。先端部材60は、例えばロッド40Aと同様の材質で形成されている。先端部材60は、ロッド40Aの径よりも大きな幅を有する。すなわち、先端部材60におけるロッド40Aに平行な端面は、側面視して、ロッド40Aの円周面を延長した線上よりも外側に突出している。
【0057】
先端部材60の前記平行な端面には、被駆動部材50Aが設置されている。被駆動部材50Aは、一方の端面に当接する板バネ51Aと、他方の端面に当接する本体52Aとからなる。これら板バネ51Aおよび本体52Aのロッド40Aの軸方向に沿った長さは、先端部材60よりも長い。この際、板バネ51Aおよび本体52Aのロッド40Aの軸方向に沿った長さは、当該駆動装置10Aで移動させる被駆動部材50Aの移動距離よりも長く設定されている。
【0058】
そして、これら板バネ51Aと本体52Aとで先端部材60を狭持し、板バネ51Aによる付勢力が加わることで、被駆動部材50Aは、先端部材60に対して摩擦係合している。
【0059】
このような構成とすることで、ロッド40Aが振動して被駆動部材50Aが移動しても、被駆動部材50Aとロッド40との接触が、常に、ロッド40の先端に取り付けられた先端部材60を介して行われる。これにより、ロッド40の振動方向における被駆動部材50Aの位置に依存することなく、常に一定の速度で摺動する。したがって、被駆動部材50Aを一定の速度で移動させることができる。
【0060】
次に、第3の実施形態に係る駆動装置について、図を参照して説明する。図11は、本発明の第3の実施形態の係る駆動装置10Bの側面図である。本実施形態の駆動装置10Bは、第2の実施形態に示した駆動装置10Aに対して、d31モードの圧電素子30Bを配し、ロッド40Aを省略した形状からなる。したがって、以下の本実施形態の説明では、異なる箇所に関係する箇所のみを説明する。
【0061】
圧電素子30Bは、d31モードで駆動する圧電素子であり、平板状で矩形状からなる。圧電素子30Bは、平板面の法線方向に沿って、セラミック層31Bと電極層32Bとが積層された構造からなる。この圧電素子30Bは、上述のような駆動電圧信号が印加されると、平板面に平行な方向に沿って伸縮する。
【0062】
圧電素子30Bの積層方向に沿った第1端面は、錘20に固定されている。圧電素子30Bの錘20への固定面と反対側の第2端面付近には、両平板面(積層方向に直交する面)を挟むように、先端部材60Bが設置されている。
【0063】
先端部材60Bは、第2の実施形態の構成と同様に、被駆動部材50Bに狭持されている。この構成により、被駆動部材50Bは、先端部材60Bに摩擦係合している。
【0064】
このような構成であっても、上述の各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成を用いることで、圧電素子30Bのような平板状の圧電素子を利用できるため、低コスト化が可能になる。さらに、ロッド40,40Aや先端部材60を用いなくてもよく、振動方向に直交する接合面が少なくなるので、振動方向に直交する方向の曲げに対する強度が向上する。さらに、圧電素子のセラミック層31Bと電極層32Bとの接合面が振動方向に対して平行になるので、この点においても、振動方向に直交する方向の曲げに対する強度が向上する。すなわち、低コストであって、より信頼性が高い駆動装置を実現できる。
【0065】
なお、上述の説明では、貫通穴22が、錘20の本体21を側面視した略中央に形成される例を示したが、所望とする仕様に応じて、錘の形状は適切な形状にすればよい。図12は錘の形状のバリエーションを示す図である。なお、図12(A)〜(F)に示す振動方向とは、圧電素子の伸縮方向およびロッドの振動方向を示す。
【0066】
図12(A)に示す錘20Aでは、貫通穴22Aの長円状の開口の長手方向と、振動方向とが平行になるように、貫通穴22Aが設けられている。
【0067】
図12(B)に示す錘20Bでは、貫通穴22Bが、本体21の振動方向に沿った略中央に設けられているのではなく、振動方向に直交する二面の内の一方面に近接するように、設けられている。
【0068】
図12(C)に示す錘20Cでは、貫通穴22Cの開口形状が円形である。貫通穴22Cは、本体21の振動方向に沿った略中央に設けられている。
【0069】
図12(D)に示す錘20Dでは、貫通穴を設けず、凹部23Dを設けている。凹部溝23Dは、本体21の振動方向に沿った略中央に設けられている。凹部23Dは、本体21の振動方向に平行な4つの主面の内、対向する2つの主面から、本体21の内側へ凹むように形成されている。凹部23Dは、開口形状が長円状からなる。両面から凹ませた2つの凹部23Dは、本体21内部で繋がらない。
【0070】
図12(E)に示す錘20Eでは、溝23Eを設けている。溝23Eは、本体21の振動方向に沿った略中央に設けられている。溝23Eは、本体21の振動方向に平行な4つの主面の内の対向する2つの主面から、それぞれ本体21の内側へ凹むように形成されている。これら2つの溝23Eは、前記4つの主面の内の残る2つの主面間を貫通するように形成されている。2つの溝23Eは、本体21内部で繋がらない。
【0071】
図12(F)に示す錘20Fでは、溝23Fを設けている。溝23Fは、本体21の振動方向に直交する一主面から、本体21の内側へ凹むように形成されている。そして、溝23Fは、互いに対向する2つの主面間を貫通するように形成されている。
【0072】
なお、図12(A)〜図12(F)は、本発明に適用可能な錘の形状の一部を示すものであり、振動方向に沿って剛性の高い体積部と剛性の低い体積部が存在するように、錘の形状を形成すれば、他の構造であってもよい。
【0073】
前記実施形態では、錘20は貫通穴22が形成された主面と直交する四面の内、一面が支持されているが、これに限るものではない。錘20が弾性的に支持されていれば、どのように支持されていても構わない。
【0074】
前記実施形態では、圧電素子はチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスから構成しているが、これに限るものではない。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウム系及びアルカリニオブ酸系セラミックス等の非鉛系圧電体セラミックスの圧電材料などから構成してもよい。
【0075】
前記実施形態では、 駆動電圧信号の波形は矩形波であるが、これに限るものではない。図4に示すtermAとtermBとの差が再現されていれば、例えば、正弦波や階段波でもよいし、多少の波形の乱れがあってもよい。
【符号の説明】
【0076】
10:駆動装置、11:振動系、20,20A,20B,20C,20D,20E,20F:錘、21:本体、22,22A,22B,22C:貫通穴、溝:23D,23E,23F、30:圧電素子、31,31B:セラミック層、32,32B:電極層、40,40A:ロッド、50,50A:被駆動部材、51,51A:板バネ、52,52A:本体、60,60B:先端部材、91:固定壁、92:支持壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数の駆動信号による伸縮する電気機械変換素子と、
該電気機械変換素子の伸縮方向の第1端に固定された錘と、
前記電気機械変換素子の前記第1端と反対側の第2端に固定された振動部材と、を振動系として備え、
前記錘は、
前記電気機械変換素子の伸縮による振動の2次以上の共振周波数の少なくとも1つが、前記駆動信号周波数の整数倍の周波数の少なくとも1つに略一致する形状からなる、駆動力発生装置。
【請求項2】
前記振動系の1次共振周波数が、前記駆動信号周波数または前記駆動信号の2倍の周波数に略一致する、請求項1に記載の駆動力発生装置。
【請求項3】
前記錘は、
前記振動系の2次以上の共振のノードの位置の剛性が、当該ノードの位置以外の領域の剛性よりも低くなるように、形成されている、請求項1または請求項2に記載の駆動力発生装置。
【請求項4】
前記錘は、前記振動系の2次以上の共振のノードの位置に、表面から内側へ凹む穴が形成されている、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の駆動力発生装置。
【請求項5】
前記穴は、前記錘の対向する面間を貫通する貫通穴である、請求項4に記載の駆動力発生装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の駆動力発生装置と、
前記振動部材に摩擦係合された被駆動部材と、を備えた、駆動装置。
【請求項7】
前記振動部材の前記被駆動部材との接触面の前記振動方向に沿った長さは、前記被駆動部材の前記振動方向に沿った長さよりも短い、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記電気機械変換素子は、前記伸縮方向に長い矩形状であり、
前記振動部材は、前記電気機械変換素子の前記第2端の前記伸縮方向に平行な面に当接するように固定されている、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項9】
前記振動系の2次以上の共振周波数は、2次共振周波数であって、
前記振動系の1次共振周波数に対する2次共振周波数の比が、1.5以上2.0以下である、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項1】
所定周波数の駆動信号による伸縮する電気機械変換素子と、
該電気機械変換素子の伸縮方向の第1端に固定された錘と、
前記電気機械変換素子の前記第1端と反対側の第2端に固定された振動部材と、を振動系として備え、
前記錘は、
前記電気機械変換素子の伸縮による振動の2次以上の共振周波数の少なくとも1つが、前記駆動信号周波数の整数倍の周波数の少なくとも1つに略一致する形状からなる、駆動力発生装置。
【請求項2】
前記振動系の1次共振周波数が、前記駆動信号周波数または前記駆動信号の2倍の周波数に略一致する、請求項1に記載の駆動力発生装置。
【請求項3】
前記錘は、
前記振動系の2次以上の共振のノードの位置の剛性が、当該ノードの位置以外の領域の剛性よりも低くなるように、形成されている、請求項1または請求項2に記載の駆動力発生装置。
【請求項4】
前記錘は、前記振動系の2次以上の共振のノードの位置に、表面から内側へ凹む穴が形成されている、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の駆動力発生装置。
【請求項5】
前記穴は、前記錘の対向する面間を貫通する貫通穴である、請求項4に記載の駆動力発生装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の駆動力発生装置と、
前記振動部材に摩擦係合された被駆動部材と、を備えた、駆動装置。
【請求項7】
前記振動部材の前記被駆動部材との接触面の前記振動方向に沿った長さは、前記被駆動部材の前記振動方向に沿った長さよりも短い、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記電気機械変換素子は、前記伸縮方向に長い矩形状であり、
前記振動部材は、前記電気機械変換素子の前記第2端の前記伸縮方向に平行な面に当接するように固定されている、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項9】
前記振動系の2次以上の共振周波数は、2次共振周波数であって、
前記振動系の1次共振周波数に対する2次共振周波数の比が、1.5以上2.0以下である、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−21836(P2013−21836A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154041(P2011−154041)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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