説明

駆動回路

【課題】 表示する画素数が多い場合に負荷が重くなり輝度が低くなることを防止することを課題とする。
【解決手段】 容量性負荷を用いる表示装置の駆動回路であって、電源電位に接続され、電力を時間的に分散させて容量性負荷に供給するように容量性負荷の電位を電源電位にクランプするクランプ回路を有する駆動回路が提供される。例えば、クランプ回路は、容量性負荷(120)及び電源電位(Vs)間に並列接続される複数のスイッチ(CU1,CU2)を有し、複数のスイッチは時間をずらしてオンする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回路に関し、特に容量性負荷を用いる表示装置の駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図18は、プラズマディスプレイパネル装置の基本構成を示す図である。制御回路部1801は、アドレスドライバ1802、共通電極(X電極)サステイン回路1803、スキャン電極(Y電極)サステイン回路1804、及びスキャンドライバ1805の制御を行う。
【0003】
アドレスドライバ1802は、アドレス電極A1,A2,A3,・・・に所定の電圧を供給する。以下、アドレス電極A1,A2,A3,・・・の各々を又はそれらの総称を、アドレス電極Ajといい、jは添え字を意味する。
【0004】
スキャンドライバ1805は、制御回路部1801及びY電極サステイン回路1804の制御に応じて、Y電極Y1,Y2,Y3,・・・に所定の電圧を供給する。以下、Y電極Y1,Y2,Y3,・・・の各々を又はそれらの総称を、Y電極Yiといい、iは添え字を意味する。
【0005】
X電極サステイン回路1803は、X電極X1,X2,X3,・・・にそれぞれ同一の電圧を供給する。以下、X電極X1,X2,X3,・・・の各々を又はそれらの総称を、X電極Xiといい、iは添え字を意味する。各X電極Xiは相互接続され、同一の電圧レベルを有する。
【0006】
表示領域1807では、Y電極Yi及びX電極Xiが水平方向に並列に延びる行を形成し、アドレス電極Ajが垂直方向に延びる列を形成する。Y電極Yi及びX電極Xiは、垂直方向に交互に配置される。リブ1806は、各アドレス電極Aj間に設けられるストライプリブ構造を有する。
【0007】
Y電極Yi及びアドレス電極Ajは、i行j列の2次元行列を形成する。表示セルCijは、Y電極Yi及びアドレス電極Ajの交点並びにそれに対応して隣接するX電極Xiにより形成される。この表示セルCijが画素に対応し、表示領域1807は2次元画像を表示することができる。
【0008】
図19(A)は、図18の表示セルCijの断面構成を示す図である。X電極Xi及びY電極Yiは、前面ガラス基板1911上に形成されている。その上には、放電空間1917に対し絶縁するための誘電体層1912が被着されるとともに、更にその上にMgO(酸化マグネシウム)保護膜1913が被着されている。
【0009】
一方、アドレス電極Ajは、前面ガラス基板1911と対向して配置された背面ガラス基板1914上に形成され、その上には誘電体層1915が被着され、更にその上に蛍光体が被着されている。MgO保護膜1913と誘電体層1915との間の放電空間1917には、Ne+Xeペニングガス等が封入されている。
【0010】
図19(B)は、交流駆動型プラズマディスプレイの容量Cpを説明するための図である。容量Caは、X電極XiとY電極Yiとの間の放電空間1917の容量である。容量Cbは、X電極XiとY電極Yiとの間の誘電体層1912の容量である。容量Ccは、X電極Xiと走査電極Yiとの間の前面ガラス基板1911の容量である。これらの容量Ca,Cb,Ccの合計によって、電極Xi及びYi間の容量Cpが決まる。
【0011】
図19(C)は、交流駆動型プラズマディスプレイの発光を説明するための図である。リブ1916の内面には、赤、青、緑色の蛍光体1918がストライプ状に各色毎に配列、塗付されており、X電極Xi及びY電極Yiの間の放電によって蛍光体1918を励起して光1921が生成されるようになっている。
【0012】
図20は、画像の1フレームFRの構成図である。画像は、例えば60フレーム/秒で形成される。1フレームFRは、第1のサブフレームSF1、第2のサブフレームSF2、・・・、第nのサブフレームSFnにより形成される。このnは、例えば10であり、階調ビット数に相当する。サブフレームSF1,SF2等の各々を又はそれらの総称を、以下、サブフレームSFという。
【0013】
各サブフレームSFは、リセット期間Tr、アドレス期間Ta、及びサステイン期間(維持放電期間)Tsにより構成される。リセット期間Trでは、表示セルの初期化を行う。アドレス期間Taでは、アドレス電極Aj及びY電極Yi間のアドレス放電により各表示セルの点灯又は非点灯を選択することができる。サステイン期間Tsでは、選択された表示セルのX電極Xi及びY電極Yi間でサステイン放電を行い、発光を行う。各SFでは、X電極Xi及びY電極Yi間のサステインパルスによる発光回数(時間)が異なる。これにより、階調値を決めることができる。
【0014】
また、下記の特許文献1には、負荷によるライン間の輝度差を防止するために、ライン毎に維持放電の回数を制御するプラズマディスプレイ装置が記載されている。
【0015】
【特許文献1】特開平9−68945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、表示する画素数が多い場合に負荷が重くなり輝度が低下することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一観点によれば、容量性負荷を用いる表示装置の駆動回路であって、電源電位に接続され、電力を時間的に分散させて容量性負荷に供給するように容量性負荷の電位を電源電位にクランプするクランプ回路を有する駆動回路が提供される。
【発明の効果】
【0018】
電力を時間的に分散させて供給することにより、容量性負荷の放電を時間的に分散させることができる。これにより、表示する画素数が多い場合に輝度の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施形態)
図18は本発明の第1の実施形態によるプラズマディスプレイ装置の構成例を示すブロック図、図19(A)〜(C)はプラズマディスプレイ装置の表示セルの断面図、図20は画像のフレーム構成図である。これらの説明は、上記と同じである。
【0020】
図1は、本実施形態によるY駆動回路の構成例を示す回路図である。このY駆動回路は、図18のY電極サステイン回路1804及びスキャンドライバ1805に相当する。X電極(第1の表示電極)101及びY電極(第2の表示電極)102は、その間に空間絶縁体を挟み、パネル容量(容量性負荷)120を構成する。Y電極102の左に接続される回路がY駆動回路である。X電極101の右には、X駆動回路が接続される。以下、Y駆動回路について説明するが、X駆動回路もY駆動回路と同様の構成を有する。ただし、X駆動回路は、図18のX電極サステイン回路1803に相当し、スキャンドライバに相当するトランジスタ103,104、スキャン動作用素子105,106,121及びダイオード107,108を有さない。トランジスタ103は、pチャネルMOS電界効果トランジスタ(FET)、nチャネルMOSFET又はIGBTである。トランジスタ104は、nチャネルMOSFET又はIGBTである。
【0021】
まず、Y電極サステイン回路1804に相当する回路を説明する。Y電極サステイン回路は、クランプするためのクランプ回路及びLC共振を行うための電力回収回路を含む。nチャネルMOSFET103は、寄生ダイオードを有し、ドレインがダイオード108のアノードに接続され、ソースがY電極102に接続される。以下、MOSFETを単にトランジスタという。nチャネルトランジスタCD1は、寄生ダイオードを有し、ソースがグランドに接続され、ドレインがダイオード108のカソードに接続される。nチャネルトランジスタCD2も、寄生ダイオードを有し、ソースがグランドに接続され、ドレインがダイオード108のカソードに接続される。トランジスタCD1及びCD2は、並列に接続される。ダイオード110は、アノードがトランジスタCD1及びCD2のドレインに接続され、カソードが正電位(電源電位)Vsに接続される。コイル112は、ダイオード108のカソード及びダイオード118のアノード間に接続される。ダイオード116は、アノードがダイオード118のアノードに接続され、カソードが正電位Vsに接続される。ダイオード117は、アノードがグランドに接続され、カソードがダイオード118のアノードに接続される。nチャネルトランジスタLDは、寄生ダイオードを有し、ソースが容量119に接続され、ドレインがダイオード118のカソードに接続される。
【0022】
nチャネルトランジスタ104は、寄生ダイオードを有し、ドレインがY電極102に接続され、ソースがnチャネルトランジスタ121のソースに接続される。コイル111は、トランジスタ121のドレイン及びダイオード115のカソード間に接続される。nチャネルトランジスタCU1は、寄生ダイオードを有し、ドレインが正電位Vsに接続され、ドレインがトランジスタ121のドレインに接続される。nチャネルトランジスタCU2も、寄生ダイオードを有し、ドレインが正電位Vsに接続され、ソースがトランジスタ121のドレインに接続される。トランジスタCU1及びCU2は、並列に接続される。ダイオード109は、カソードがトランジスタCU1及びCU2のソースに接続され、アノードがグランドに接続される。ダイオード113は、アノードがダイオード115のカソードに接続され、カソードが正電位Vsに接続される。ダイオード114は、アノードがグランドに接続され、カソードがダイオード115のカソードに接続される。pチャネルトランジスタLUは、寄生ダイオードを有し、ソースが容量119に接続され、ドレインがダイオード115のアノードに接続される。容量119は、トランジスタLD及びLUのソース及びグランド間に接続される。
【0023】
次に、スキャンドライバ1805に相当する回路を説明する。pチャネルトランジスタ105は、寄生ダイオードを有し、ソースが電位Vscに接続され、ドレインがダイオード107のアノードに接続される。ダイオード107のカソードは、トランジスタ103のドレインに接続される。nチャネルトランジスタ106は、寄生ダイオードを有し、ソースが負電位−Vyに接続され、ドレインがトランジスタ104のソースに接続される。
【0024】
図2は、図20のサステイン期間Tsにおける図1のY電極サステイン回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。まず、時刻t1において、トランジスタLUをオンさせる。容量119は、後に説明するように、充電されているので、容量119の電圧はトランジスタLU,121,104を介して、LC共振によりY電極102に供給される。Y電極102は、正電位Vsに向けて上昇する。
【0025】
次に、時刻t2では、トランジスタCU1及びCU2をオンする。正電位Vsは、トランジスタCU1,CU2,121,104を介して、Y電極102に供給される。Y電極102は、正電位Vsにクランプされる。その後、トランジスタLUがオフし、トランジスタCU1及びCU2がオフする。
【0026】
次に、時刻t3では、トランジスタLDをオンする。Y電極102の電荷は、トランジスタ103,LDを介して、グランドに接続された容量119にLC共振により放出される。Y電極102は、グランドに向けて下降する。
【0027】
次に、時刻t4では、トランジスタCD1及びCD2をオンする。Y電極102は、トランジスタ103,CD1,CD2を介して、グランドに接続される。Y電極102は、グランドにクランプされる。その後、トランジスタLDがオフし、トランジスタCD1及びCD2がオフする。以後、上記の時刻t1〜t4の動作を繰り返す。
【0028】
時刻t2では、X電極101及びY電極102間に電圧Vsが印加される。X電極101及びY電極102間の表示のためのサステイン放電は、時刻t2付近で生じる。時刻t2にてトランジスタCU1及びCU2を同時にオンすれば、Y電極102に集中的に大きな電力を供給し、放電を安定させることができる。以下、このクランプ方法を、電力集中クランプという。
【0029】
しかし、電力供給を時間的に集中させると、以下のストリーキングの問題が生じる。1ライン内で同時に点灯する画素数が多いときには抵抗が大きくなり、点灯する画素の発光が暗くなってしまう。それに対して、1ライン内で同時に点灯する画素数が少ないときには、点灯する画素の発光が比較的明るくなる。このように、同じ階調値の表示を行っても、ラインにより異なる明るさになってしまう。この差異が大きいほど、ストリーキングの%表示が大きくなり、好ましくない。以下、この問題点を解決するための実施形態を説明する。
【0030】
図3は、本実施形態による図1のY電極サステイン回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。まず、時刻t11において、トランジスタLUをオンさせる。容量119の電圧は、トランジスタLU,121,104を介して、LC共振によりY電極102に供給される。Y電極102は、正電位Vsに向けて上昇する。
【0031】
次に、時刻t12では、トランジスタCU1をオンする。正電位Vsは、トランジスタCU1,121,104を介して、Y電極102に供給される。Y電極102は、正電位Vsにクランプされる。時刻t12付近で、X電極101及びY電極102間でサステイン放電が開始する。
【0032】
次に、時刻t13では、トランジスタCU2をオンする。正電位Vsは、トランジスタCU1,CU2,121,104を介して、Y電極102に供給される。Y電極102には、さらに大きな電力が供給され、サステイン放電が維持される。つまり、サステイン放電時間がブロード化される。その後、トランジスタLUがオフし、トランジスタCU1及びCU2がオフする。
【0033】
以上のように、トランジスタCU1及びCU2のオンタイミングをずらすことにより、Y電極102への電力供給を時間的に分散させることができる。これにより、ストリーキングが減少し、画素の明るさを均一化することができる。以下、このクランプ方法を、電力分散クランプという。
【0034】
次に、Y電極102の電圧の立ち下がりでサステイン放電を行う場合を説明する。Y電極102をグランドにし、X電極101を電圧Vsにすることにより、サステイン放電を行うことができる。
【0035】
時刻t14では、トランジスタLDをオンする。Y電極102の電荷は、トランジスタ103,LDを介して、グランドに接続された容量119にLC共振により放出される。Y電極102は、グランドに向けて下降する。
【0036】
次に、時刻t15では、トランジスタCD1をオンする。Y電極102は、トランジスタ103,CD1を介して、グランドに接続される。Y電極102は、グランドにクランプされる。時刻t15付近で、サステイン放電が開始する。
【0037】
次に、時刻t16では、トランジスタCD2をオンする。Y電極102は、トランジスタ103,CD1,CD2を介して、グランドに接続される。Y電極102には、さらに大きな電力が供給され、サステイン放電が維持される。その後、トランジスタLUがオフし、トランジスタCU1及びCU2がオフする。
【0038】
以上のように、トランジスタCD1及びCD2のオンタイミングをずらすことにより、Y電極102への電力供給を時間的に分散させることができる。立ち下がり時のサステイン放電においても、ストリーキングが減少し、画素の明るさを均一化することができる。
【0039】
その後、図2の時刻t1〜t4の制御による電力集中クランプの電圧波形を生成する。このように、時刻t11〜t16の電力分散クランプの電圧波形と時刻t1〜t4の電力集中クランプの電圧波形とを交互に繰り返す。
【0040】
電力分散クランプは、ストリーキングを減少させるメリットはあるが、電力を分散させるために放電開始時に充分な電力が得られず放電が不安定になる場合がある。この場合には、上記のように電力分散クランプによる電圧パルスと電力集中クランプによる電圧パルスとを交互に繰り返して生成することにより、ストリーキングを減少させ、かつ放電を安定させることができる。
【0041】
Y電極102の電圧の立ち上がり時及び立ち下がり時の両方でサステイン放電を行ってもよいし、立ち上がり時又は立ち下がり時の片方のみでサステイン放電させてもよい。立ち上がり時にのみサステイン放電させる場合には、時刻t11〜t13の立ち上がり時に電力分散クランプを行い、時刻t14〜t16の立ち下がり時に電力集中クランプを行えばよい。また、立ち下がり時にのみサステイン放電させる場合には、時刻t11〜t13の立ち上がり時に電力集中クランプを行い、時刻t14〜t16の立ち下がり時に電力分散クランプを行えばよい。詳しくは、後に図12(A)〜(C)を参照しながら説明する。
【0042】
図4(A)及び(B)は、上記の電力分散クランプをより詳細に説明するための図である。図4(A)に示すように、トランジスタCU1及びCU2は、スイッチとして機能する。スイッチCU1及びCU2は、並列に接続される。図4(B)に示すように、時刻t12にてスイッチCU1をオンし、その後の時刻t13でスイッチCU2をオンする。表示セルがアドレス選択されていないときには、X電極及びY電極間でサステイン放電が起こらず、Y電極102の電圧は電圧波形401のようになり、電圧降下が生じない。それに対し、表示セルがアドレス選択されているときには、X電極及びY電極間でサステイン放電が起こり、Y電極102の電圧は電圧波形402のようになり、電圧降下が生じる。
【0043】
電力集中クランプでは、スイッチCU1及びCU2を時刻t12で同時にオンする。すると、Y電極102に集中的に大電力が供給され、Y電極102の電圧は電圧波形403のようになり、短時間に大きな電圧降下が生じる。すなわち、サステイン放電が短期間に行われる。
【0044】
これに対し、電力分散クランプでは、スイッチCU1及びCU2を時間的にずらしてオンするので、Y電極102に分散的に電力が供給され、Y電極102の電圧は電圧波形402のようになり、長時間にわたって小さい電圧降下が生じる。すなわち、サステイン放電が長期間にわたって行われる。
【0045】
なお、2個のスイッチCU1及びCU2を並列に接続する例を説明したが、3個以上のスイッチを並列に接続してオンタイミングをずらすようにしてもよい。
【0046】
(第2の実施形態)
図5(A)は本発明の第2の実施形態によるトランジスタCU1及びCU2の構成例を示す回路図であり、図5(B)はその動作を説明するためのタイミングチャートである。トランジスタCU1のゲートにはゲート抵抗R1が設けられ、トランジスタCU2のゲートにはゲート抵抗R2が設けられる。入力信号INは、ドライバ501を介してトランジスタCU1及びCU2のゲートに供給される。ここで、抵抗R1は、抵抗R2よりも小さい。
【0047】
時刻t12において、入力信号INをローレベルからハイレベルにする。トランジスタCU1及びCU2のゲート−ソース間には、それぞれ容量Cが存在する。抵抗R1は小さいのでCR時定数が小さく、トランジスタCU1のゲート電圧V1の立ち上がり時間が速い。これに対し、抵抗R2は大きいのでCR時定数が大きく、トランジスタCU2のゲート電圧V2の立ち上がり時間が遅い。トランジスタCU1のゲート電圧がVeに到達した後、時刻t13でトランジスタCU2のゲート電圧V2がVeに到達する。
【0048】
以上のように、トランジスタCU1及びCU2のゲート抵抗R1及びR2の値を相互に異ならせることにより、第1の実施形態と同様に、トランジスタCU1及びCU2のオンタイミングをずらし、電力分散クランプを行うことができる。
【0049】
(第3の実施形態)
図6(A)はTERES(Technology of Reciprocal Sustainer)によるY電極サステイン回路の構成例を示す回路図であり、図6(B)及び(C)はY電極及びX電極の電圧波形を示す図である。このTERES回路は、図1のY電極サステイン回路と同様の電圧パルスを生成することができる。なお、図6(A)のTERES回路では、LC共振を行うための電力回収回路を省略し、クランプ回路のみを示している。
【0050】
Y電極サステイン回路601及びX電極サステイン回路602は、同じ構成を有する。まず、Y電極サステイン回路601の動作を説明する。時刻t21において、スイッチSW1,SW2,SW3をオンし、スイッチSW4,SW5をオフする。正電位Vs/2は、スイッチSW2及びSW3を介してY電極102に供給される。また、容量C1には電圧Vs/2の電荷が充電され、容量C1の電圧Vs/2はスイッチSW3を介してY電極102に供給される。その結果、Y電極102の電圧は、Vs/2になる。
【0051】
次に、X電極サステイン回路602の動作を説明する。時刻t21において、スイッチSW1,SW2,SW3をオフし、スイッチSW4,SW5をオンする。容量C1には、常に下端電極を基準にして上端電極に電圧Vs/2の電荷が充電されている。スイッチSW5がオンになると、容量C1の下端の電圧−Vs/2はスイッチSW4を介してX電極101に供給される。その結果、X電極101の電圧は、−Vs/2になる。
【0052】
時刻t21では、X電極101とY電極102との間の電位差はVsである。したがって、時刻t21付近でサステイン放電が起こる。
【0053】
図7(A)は本発明の第3の実施形態によるTERES回路の一部の構成例を示す回路図である。本実施形態では、図6(A)の1個のスイッチSW1を2個の並列スイッチSW1a、SW1b及び1個のスイッチSW1cで構成する。スイッチSW1a及びSW1bは、寄生ダイオードを有するpチャネルトランジスタで構成される。スイッチSW1cは、寄生ダイオードを有するnチャネルトランジスタで構成される。トランジスタSW1a、SW1b及びSW1cは、ソースがグランドに接続され、ドレインがダイオードを介して容量C1の下端電極に接続される。容量C1は、上端電極がスイッチSW3を介してY電極102に接続され、下端電極がスイッチSW4を介してY電極102に接続される。スイッチSW2は、寄生ダイオードを有するnチャネルトランジスタで構成される。トランジスタSW2は、ドレインが正電位Vs/2に接続され、ソースがダイオードを介して容量C1の上端電極に接続される。
【0054】
本実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様に、スイッチSW1a及びSW1bを時間的にずらしてオンすることにより、電力分散クランプを行うことができる。
【0055】
図7(B)は、他の電力分散クランプ方法を示すタイミングチャートである。まず、時刻t11では、スイッチSW3をオンし、電力回収回路のLC共振により、Y電極102の電圧はVs/2に向けて上昇する。
【0056】
次に、時刻t12では、スイッチSW1a、SW1b及びSW1cを同時にオンする。この際、スイッチSW2はオフである。上記のように、容量C1には、常に下端電極を基準にして上端電極に電圧Vs/2の電荷が充電されている。したがって、容量C1の上端電極の電圧Vs/2は、スイッチSW3を介してY電極102に供給される。Y電極102の電圧は、Vs/2まで上昇する。時刻t12付近でサステイン放電が開始する。
【0057】
次に、時刻t13では、スイッチSW2をオンする。正電位Vs/2は、スイッチSW2及びSW3を介してY電極102に供給される。また、時刻t12以降は、上記のように、容量C1の上端電極の電圧Vs/2は、スイッチSW3を介してY電極102に供給される。Y電極102には、上記の2つの経路から大きな電力が供給され、サステイン放電が維持される。
【0058】
以上のように、スイッチSW1a,SW1bとスイッチSW2とのオンタイミングをずらすことにより、電力分散クランプを行うことができる。
【0059】
(第4の実施形態)
図17は、Y電極サステイン回路1701及びX電極サステイン回路1702の構成例を示す回路図である。サステイン回路1701及び1702の構成は同じである。スイッチCUは図1の並列スイッチCU1及びCU2の代わりに設けられ、スイッチCDは図1の並列スイッチCD1及びCD2の代わりに設けられる。その他の点は、図1と同じである。
【0060】
図8は、本発明の第4の実施形態によるスイッチCUの制限抵抗R1及びR2の構成例を示す回路図である。制限抵抗R1及びスイッチ801の直列接続と制限抵抗R2及びスイッチ802の直列接続とは並列に接続される。その並列接続は、スイッチCUと直列に接続される。なお、その並列接続は、スイッチCUの上(1次側)に直列接続しても、下(2次側)に直列接続してもよい。また、抵抗R1及びR2は、それぞれスイッチ801及び802の下(2次側)に直列接続しても、上(1次側)に直列接続してもよい。
【0061】
ストリーキングは、表示率により画素の明るさが変わる。ここで、表示率は、図20のサブフレームSF単位の全画素数に対する表示(点灯)画素数の割合を示す。表示率が小さいときには、ストリーキングの影響がほとんどないので、通常の電力集中クランプを選択する。それに対して、表示率が大きいときには、ストリーキングの影響が大きいので、電力分散クランプを選択する。
【0062】
ここで、抵抗R1は、抵抗R2よりも大きい。抵抗R2は0[Ω]でもよい。表示率が小さいときには、スイッチ801をオフし、スイッチ802をオンする。抵抗R2がスイッチCUに直列に接続される。抵抗R2は小さいので、CR時定数が小さく、高速立ち上がりで電圧Vsの電力をY電極102に供給することができ、電力集中クランプを行うことができる。表示率が小さいときには、ストリーキングの影響がほとんどないので、電力集中クランプでよい。
【0063】
これに対し、表示率が大きいときには、スイッチ801をオンし、スイッチ802をオフする。抵抗R1がスイッチCUに直列に接続される。抵抗R1は大きいので、CR時定数が大きく、低速立ち上がりで電圧Vsの電力をY電極102に供給することができ、電力分散クランプを行うことができる。表示率が大きいときには、ストリーキングの影響が大きいので、電力分散クランプを行うことにより、ストリーキングを減少させることができる。
【0064】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態によるスイッチCU1及びCU2の制御方法を示すタイミングチャートである。本実施形態は、図1の回路構成を有する。スイッチCU2は、表示率が小さいときの制御信号911と表示率が大きいときの制御信号912とを切り替える。
【0065】
まず、表示率が小さいときの制御方法を説明する。上記のように、表示率が小さいときにはストリーキングの影響がほとんどないので、時刻t1においてスイッチCU1及びCU2(制御信号911)を同時にオンする。この制御方法は、図2の制御と同じであり、電力集中クランプを実現する。
【0066】
次に、表示率が大きいときの制御方法を説明する。上記のように、表示率が大きいときにはストリーキングの影響が大きいので、時刻t1においてスイッチCU1をオンし、その後にタイミングをずらして時刻t2においてスイッチCU2(制御信号912)をオンする。この制御方法は、図3の制御と同じであり、電力分散クランプを実現する。表示率が大きいときには、ストリーキングの影響が大きいので、電力分散クランプを行うことにより、ストリーキングを減少させることができる。
【0067】
(第6の実施形態)
図10(A)は、本発明の第6の実施形態によるトランジスタCUのゲート抵抗R1及びR2の構成例を示す回路図である。本実施形態の全体構成は、図17の構成を有する。ゲート抵抗R1及びスイッチSW1の直列接続とゲート抵抗R2及びスイッチSW2の直列接続とが並列に接続される。その並列接続は、トランジスタCUのゲート及びドライバ1001間に接続される。入力信号INは、ドライバ1001を介してトランジスタCUのゲートに供給される。本実施形態では、表示率に応じてトランジスタCUのゲート抵抗値を変える。ゲート抵抗R1は、ゲート抵抗R2よりも大きい。なお、抵抗R1及びR2は、それぞれスイッチSW1及びSW2の左側(1次側)に設けても、右側(2次側)に設けてもよい。
【0068】
表示率が小さいときには、ストリーキングの影響がほとんどないので、スイッチSW1をオフし、スイッチSW2をオンする。抵抗R2がトランジスタCUのゲートに接続される。抵抗R2は小さいので、図5(B)のゲート電圧V1に示すように、立ち上がり速度が速く、電力集中クランプを実現することができる。
【0069】
表示率が大きいときには、ストリーキングの影響が大きいので、スイッチSW1をオンし、スイッチSW2をオフする。抵抗R1がトランジスタCUのゲートに接続される。抵抗R1は大きいので、図5(B)のゲート電圧V2に示すように、立ち上がり速度が遅く、電力分散クランプを実現し、ストリーキングを減少させることができる。
【0070】
図10(B)は、他のトランジスタCUのゲート抵抗R1及びR2の構成例を示す回路図である。入力信号IN1は、ドライバ1011及びゲート抵抗R1を介してトランジスタCUのゲートに供給される。入力信号IN2は、ドライバ1012及びゲート抵抗R2を介してトランジスタCUのゲートに供給される。抵抗R1は、抵抗R2よりも大きい。
【0071】
表示率が小さいときには、入力信号IN1をローレベルのままでオフし、入力信号IN2でトランジスタCUを制御する。小さいゲート抵抗R2を使用することにより、電力集中クランプを実現できる。
【0072】
表示率が大きいときには、入力信号IN1でトランジスタCUを制御し、入力信号IN2をローレベルのままでオフする。大きいゲート抵抗R1を使用することにより、電力分散クランプを実現し、ストリーキングを減少させることができる。
【0073】
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態の全体構成は、図17の構成を有する。
図11(A)は、本発明の第7の実施形態によるスイッチ(トランジスタ)CUのゲート電圧VGの制御方法を示すタイミングチャートである。本実施形態では、表示率に応じてゲート電圧VGを変える。ゲート電圧VGは、波形1121が表示率の大きいときの波形であり、波形1122が表示率の小さいときの波形である。
【0074】
まず、表示率が小さい場合を説明する。時刻12では、トランジスタCUのゲート電圧VGは、波形1122に示すように、高電圧Ve1+Ve2になる。ゲート電圧VGが高電圧Ve1+Ve2になると、トランジスタCUのソース−ドレイン間抵抗が小さくなり、上記の図8の説明と同様に、高速立ち上がりで電圧Vsの電力をY電極102に供給することができ、電力集中クランプを行うことができる。
【0075】
次に、表示率が大きい場合を説明する。時刻12では、トランジスタCUのゲート電圧VGは、波形1121に示すように、低電圧Ve1になる。ゲート電圧VGが低電圧Ve1になると、トランジスタCUのソース−ドレイン間抵抗が大きくなり、上記の図8の説明と同様に、低速立ち上がりで電圧Vsの電力をY電極102に供給し、電力分散クランプを行い、ストリーキングを減少させることができる。
【0076】
図11(B)は、他のゲート電圧VGの制御方法を示すタイミングチャートであり、電力分散クランプ方法を示す。時刻t12では、トランジスタCUのゲート電圧VGは、低電圧Ve1になり、比較的小さな電力をY電極102に供給する。次に、時刻t13では、トランジスタCUのゲート電圧VGは、高電圧Ve1+Ve2になり、比較的大きな電力をY電極102に供給する。以上のように、ゲート電圧VGを2段階以上に分けて段階的に変化(上昇)させることにより、電力分散クランプを実現し、ストリーキングを減少させることができる。
【0077】
(第8の実施形態)
図12(A)〜(C)は、本発明の第8の実施形態によるX電極101及びY電極102のサステインパルスを示す波形図である。
【0078】
図12(A)は、立ち上がり時にサステイン発光(放電)させる例を示す。まず、ステップS1では、Y電極102の電圧を電力集中クランプにより立ち下げる。次に、ステップS2では、X電極101の電圧を電力分散クランプにより立ち上げる。これにより、X電極101及びY電極102間に電位差Vsが生じ、サステイン発光する。次に、ステップS3では、X電極101の電圧を電力集中クランプにより立ち下げる。次に、ステップS4では、Y電極102の電圧を電力分散クランプにより立ち上げる。これにより、X電極101及びY電極102間に電位差Vsが生じ、サステイン発光する。
【0079】
図12(B)は、立ち下がり時にサステイン発光させる例を示す。まず、ステップS1では、X電極101の電圧を電力集中クランプにより立ち上げる。次に、ステップS2では、Y電極102の電圧を電力分散クランプにより立ち下げる。これにより、X電極101及びY電極102間に電位差Vsが生じ、サステイン発光する。次に、ステップS3では、Y電極102の電圧を電力集中クランプにより立ち上げる。次に、ステップS4では、X電極101の電圧を電力分散クランプにより立ち下げる。これにより、X電極101及びY電極102間に電位差Vsが生じ、サステイン発光する。
【0080】
図12(C)は、立ち上がりパルス及び立ち下がりパルスの合成によりサステイン発光させる例を示す。まず、ステップS1では、X電極101の電圧を電力分散クランプにより立ち上げ、Y電極102の電圧を電力分散クランプにより立ち下げる。これにより、X電極101及びY電極102間に電位差Vsが生じ、サステイン発光する。次に、ステップS2では、X電極101の電圧を電力分散クランプにより立ち下げ、Y電極102の電圧を電力分散クランプにより立ち上げる。これにより、X電極101及びY電極102間に電位差Vsが生じ、サステイン発光する。なお、立ち上がり及び立ち下がりの両方で電力分散クランプを行う方法に限定されず、立ち上がり時のみ電力分散クランプしたり、立ち下がり時のみ電力分散クランプしてもよい。
【0081】
(第9の実施形態)
図13(A)〜(D)は、本発明の第9の実施形態によるX電極101及びY電極102のサステインパルスを示す波形図である。○印は電力分散クランプを示し、△印は電力集中クランプを示す。
【0082】
図13(A)では、X電極101の電圧を電力分散クランプにより立ち上げ、サステイン発光させる。次に、Y電極102の電圧を電力集中クランプにより立ち上げ、サステイン発光させる。次に、X電極101の電圧を電力分散クランプにより立ち上げ、サステイン発光させる。次に、Y電極102の電圧を電力集中クランプにより立ち上げ、サステイン発光させる。以上のように、1回の電力分散クランプによるサステイン発光と1回の電力集中クランプによるサステイン発光とを交互に繰り返す。これにより、図3の第1の実施形態と同様に、ストリーキングを減少させ、かつ放電を安定化させることができる。n回の電力分散クランプとn回の電力集中クランプとを繰り返すことにより、ストリーキング減少及び放電安定性を両立させた特性を得ることができる。ここで、nは1以上の整数である。
【0083】
図13(B)は、第1のサステイン方式1301及び第2のサステイン方式1302を示す。まず、第1のサステイン方式1301を説明する。第1に、X電極101の電圧を電力分散クランプにより立ち上げ、サステイン発光させる。第2に、Y電極102の電圧を電力集中クランプにより立ち上げ、サステイン発光させる。第3に、X電極101の電圧を電力集中クランプにより立ち上げ、サステイン発光させる。第4に、Y電極102の電圧を電力分散クランプにより立ち上げ、サステイン発光させる。第5に、X電極101の電圧を電力集中クランプにより立ち上げ、サステイン発光させる。第6に、Y電極102の電圧を電力集中クランプにより立ち上げ、サステイン発光させる。以上の処理TTを1周期として繰り返し行う。以上のように、第1のサステイン方式1301では、1回の電力分散クランプによるサステイン発光と2回の電力集中クランプによるサステイン発光とを繰り返す。n回の電力分散クランプとn+m回の電力集中クランプとを繰り返すことにより、放電安定性を重視した特性を得ることができる。ここで、mは1以上の整数である。
【0084】
第2のサステイン方式1302では、同様に、2回の電力分散クランプによるサステイン発光と1回の電力集中クランプによるサステイン発光とを繰り返す。n+m回の電力分散クランプとn回の電力集中クランプとを繰り返すことにより、ストリーキング減少を重視した特性を得ることができる。
【0085】
図13(C)は、図13(A)のY電極の電力集中クランプパルスを、LC共振なしのクランプのみの電力集中クランプパルスに代えたものである。クランプのみの電力集中クランプパルスは、図2の時刻t1及びt3の処理をなくし、時刻t2で立ち上げ、時刻t4で立ち下げるものである。図13(B)の場合も、同様に、電力集中クランプの立ち上げパルスは、LC共振なしのクランプのみの電力集中クランプパルスに代えることができる。
【0086】
図13(D)は、図13(A)の電圧波形において、X電極101の電力分散クランプパルスの幅T1を、Y電極102の電力集中クランプパルスの幅T2よりも長くする。図13(B)及び(C)も同様に、電力分散クランプパルスの幅T1を、電力集中クランプパルスの幅T2よりも長くすることができる。
【0087】
(第10の実施形態)
図14は、ALIS(Alternate Lighting of Surfaces)方式のプラズマディスプレイパネル装置の基本構成を示す図である。図14の装置が図18の装置と異なる点を説明する。Y電極サステイン回路1804a及び1804bは図18のY電極サステイン回路1804の代わりに設けられ、スキャンドライバ1805a及び1805bは図18のスキャンドライバ1805の代わりに設けられ、X電極サステイン回路1803a及び1803bは図18のX電極サステイン回路1803の代わりに設けられる。Y電極サステイン回路1804a及びスキャンドライバ1805aは、奇数番目のY電極Y1,Y3,・・・に電圧を供給する。Y電極サステイン回路1804b及びスキャンドライバ1805bは、偶数番目のY電極Y2,Y4,・・・に電圧を供給する。X電極サステイン回路1803aは、奇数番目のX電極X1,X3,・・・に電圧を供給する。X電極サステイン回路1803bは、偶数番目のX電極X2,X4,・・・に電圧を供給する。
【0088】
図15は、本発明の第10の実施形態によるX電極X1,X2及びY電極Y1,Y2のサステインパルスを示す波形図である。奇数番目のX電極には同じ電圧が印加され、偶数番目のX電極には同じ電圧が印加され、奇数番目のY電極には同じ電圧が印加され、偶数番目のY電極には同じ電圧が印加される。図15では、奇数番目のX電極をX1で示し、偶数番目のX電極をX2で示し、奇数番目のY電極をY1で示し、偶数番目のY電極をY2で示す。
【0089】
ALIS方式では、奇数フィールドOFと偶数フィールドEFとを交互に繰り返す。奇数フィールドOFでは、電極X1及びY1間でサステイン発光し、電極X2及びY2間でサステイン発光する。偶数フィールドEFでは、電極Y2及びX1間でサステイン発光し、電極Y1及びX2間でサステイン発光する。すなわち、X電極は両隣のY電極との間で表示のためのサステイン放電が可能であり、Y電極も両隣のX電極との間で表示のためのサステイン放電が可能である。第1のサステイン方式1501及び第2のサステイン方式1502では、○印が電力分散クランプを示し、△印が電力集中クランプを示す。
【0090】
まず、第1のサステイン方式1501を説明する。電力分散クランプによるサステイン発光と電力集中クランプによるサステイン発光とを交互に行う。その際、X電極X1,X2の立ち上がり時のみ電力分散クランプとする。
【0091】
次に、第2のサステイン方式1502を説明する。電力集中クランプによるサステイン発光と電力分散クランプによるサステイン発光とを交互に行う。その際、Y電極Y1,Y2の立ち上がり時のみ電力分散クランプとする。
【0092】
本実施形態によれば、ALIS方式において電力分散クランプと電力集中クランプとを交互に繰り返すことにより、放電ばらつきを防止することができる。
【0093】
(第11の実施形態)
図16は、本発明の第11の実施形態によるALIS方式のX電極X1,X2及びY電極Y1,Y2のサステインパルスを示す波形図である。第1のフィールドVS1は第1の垂直同期信号によるフィールド、第2のフィールドVS2は第2の垂直同期信号によるフィールド、第3のフィールドVS3は第3の垂直同期信号によるフィールド、第4のフィールドVS4は第4の垂直同期信号によるフィールド、第5のフィールドVS5は第5の垂直同期信号によるフィールドである。フィールドVS1〜VS4を1周期TTとして、繰り返す。○印は電力分散クランプを示し、△印は電力集中クランプを示す。
【0094】
X電極X1は、フィールドVS1及びVS4では電力分散クランプを行い、フィールドVS2及びVS3では電力集中クランプを行い、電力分散クランプと電力集中クランプとの割合が同じである。X電極X2は、フィールドVS1及びVS4では電力集中クランプを行い、フィールドVS2及びVS3では電力分散クランプを行い、電力分散クランプと電力集中クランプとの割合が同じである。Y電極Y1は、フィールドVS1及びVS2では電力集中クランプを行い、フィールドVS3及びVS4では電力分散クランプを行い、電力分散クランプと電力集中クランプとの割合が同じである。Y電極Y2は、フィールドVS1及びVS2では電力分散クランプを行い、フィールドVS3及びVS4では電力集中クランプを行い、電力分散クランプと電力集中クランプとの割合が同じである。
【0095】
本実施形態によれば、X電極駆動回路及びY電極駆動回路は、電力分散クランプによるパルスと電力集中クランプによるパルスとの生成割合が同じである。これにより、放電ばらつきを防止することができる。
【0096】
また、図20のサブフレームSF又はサブフィールド内において電力分散クランプと電力集中クランプとを混合して行ってもよい。例えば、1つのサブフレームSF内のパルス数が20の場合には、10パルスは電力分散クランプとし、残りの10パルスは電力集中クランプとすることができる。
【0097】
以上のように、第1〜第11の実施形態の駆動回路は、電源電位に接続され、電力を時間的に分散させて容量性負荷120に供給するように容量性負荷120の電位を電源電位にクランプする電力分散クランプと、電力を時間的に集中させて容量性負荷120に供給するように容量性負荷120の電位を電源電位にクランプする電力集中クランプとを選択的に行うクランプ回路を有する。ここで、本明細書において、電源電位とは、電源電位Vs及びグランドを含む。
【0098】
上記の図3を参照しながら説明したように、スイッチCU1及びCU2のオンタイミングをずらす等により、2段放電クランプを行うことができる。時刻t12の1段目の放電は、電力回収回路からのLC共振による貧弱な電力(エネルギ)ではなく、電源電位Vsからの電力で中間放電させ、かつ、時刻t13の2段目の放電は電源電位Vsからのフル放電とする。加えて、電力分散クランプ(2段放電クランプ)と電力集中クランプ(1段放電クランプ)とを適当な周期で繰り返すことにより、放電の安定を図ることができる。
【0099】
電力分散クランプにより、放電集中が緩和され、ストリーキングが減少する。また、コイル(インダクタ)によらないクランプの放電により、放電が安定し、パルス幅を減少させることができ、輝度及び階調性を向上させることができる。
【0100】
なお、第1〜第11の実施形態では、スイッチCUを主に説明したが、スイッチCDも同様である。また、Y電極サステイン回路を主に説明したが、X電極サステイン回路も同様である。また、第1〜第11の実施形態は、種々の組み合わせを行うことができる。表示装置の例としてプラズマディスプレイ装置を説明したが、プラズマディスプレイ装置以外の容量性負荷を用いる表示装置にも適用することができる。
【0101】
上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0102】
本発明の実施形態は、例えば以下のように種々の適用が可能である。
【0103】
(付記1)
容量性負荷を用いる表示装置の駆動回路であって、
電源電位に接続され、電力を時間的に分散させて前記容量性負荷に供給するように前記容量性負荷の電位を前記電源電位にクランプするクランプ回路を有する駆動回路。
(付記2)
前記クランプ回路は、電力を時間的に分散させて前記容量性負荷に供給するように前記容量性負荷の電位を前記電源電位にクランプする電力分散クランプと、電力を時間的に集中させて前記容量性負荷に供給するように前記容量性負荷の電位を前記電源電位にクランプする電力集中クランプとを選択的に行う付記1記載の駆動回路。
(付記3)
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に並列接続される複数のスイッチを有し、
前記電力分散クランプは前記複数のスイッチを時間的にずらしてオンし、
前記電力集中クランプは前記複数のスイッチを同時にオンする付記2記載の駆動回路。
(付記4)
前記クランプ回路は、前記電力集中クランプによるパルスと前記電力分散クランプによるパルスとを交互に生成する付記2記載の駆動回路。
(付記5)
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に並列接続される複数のスイッチを有し、前記複数のスイッチは時間をずらしてオンする付記1記載の駆動回路。
(付記6)
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に並列接続される複数の電界効果トランジスタを有し、前記複数の電界効果トランジスタのゲート抵抗は相互に異なる値である付記1記載の駆動回路。
(付記7)
前記クランプ回路は、第1の電源電位及び第2の電源電位間に直列接続される第1のスイッチ、容量及び第2のスイッチとを有し、前記容量の一端が前記容量性負荷に接続可能であり、前記第1及び第2のスイッチは時間をずらしてオンする付記1記載の駆動回路。
(付記8)
前記クランプ回路は、表示画素数の割合を示す表示率に応じて電力分散クランプ又は電力集中クランプを選択する付記2記載の駆動回路。
(付記9)
前記クランプ回路は、前記電源電位及び前記容量性負荷間の抵抗値を比較的大きくすることにより電力分散クランプを行い、前記電源電位及び前記容量性負荷間の抵抗値を比較的小さくすることにより電力分散クランプを行う付記2記載の駆動回路。
(付記10)
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に並列接続される複数のスイッチを有し、
前記電力分散クランプは前記複数のスイッチを時間的にずらしてオンし、
前記電力集中クランプは前記複数のスイッチを同時にオンする付記8記載の駆動回路。
(付記11)
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に接続される電界効果トランジスタを有し、
前記電力分散クランプと前記電力集中クランプとでは前記電界効果トランジスタのゲート抵抗値を変える付記2記載の駆動回路。
(付記12)
前記電力分散クランプでは前記電界効果トランジスタのゲート抵抗を比較的大きくし、
前記電力集中クランプでは前記電界効果トランジスタのゲート抵抗を比較的小さくする付記11記載の駆動回路。
(付記13)
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に接続される電界効果トランジスタを有し、
前記電力分散クランプと前記電力集中クランプとでは前記電界効果トランジスタのゲート電圧を変える付記2記載の駆動回路。
(付記14)
前記電力分散クランプでは前記電界効果トランジスタのゲート電圧を比較的低くし、
前記電力集中クランプでは前記電界効果トランジスタのゲート電圧を比較的高くする付記13記載の駆動回路。
(付記15)
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に接続される電界効果トランジスタを有し、前記電界効果トランジスタのゲート電圧を段階的に変化させてクランプする付記1記載の駆動回路。
(付記16)
前記クランプ回路は、前記電源電位にクランプするパルスの立ち上がり又は立ち下がりにより前記容量性負荷の電極間で放電させる付記1記載の駆動回路。
(付記17)
前記クランプ回路は、前記電力分散クランプによるパルスの幅を前記電力集中クランプによるパルスの幅よりも広くする付記2記載の駆動回路。
(付記18)
前記容量性負荷は第1及び第2の表示電極を有し、
前記クランプ回路は、前記第1の表示電極に接続される第1のクランプ回路と、前記第2の表示電極に接続される第2のクランプ回路を有し、
前記第1及び第2のクランプ回路は、
電源電位に接続され、電力を時間的に分散させて前記容量性負荷に供給するように前記容量性負荷の電位を前記電源電位にクランプする付記1記載の駆動回路。
(付記19)
前記表示装置は第1及び第2の表示電極が交互に複数配置され、
前記容量性負荷は1組の第1及び第2の表示電極を有し、
前記第1の表示電極は、両隣の前記第2の表示電極との間で表示のための放電が可能である付記18記載の駆動回路。
(付記20)
前記第1及び第2のクランプ回路は、電力を時間的に分散させて前記容量性負荷に供給するように前記容量性負荷の電位を前記電源電位にクランプする電力分散クランプと、電力を時間的に集中させて前記容量性負荷に供給するように前記容量性負荷の電位を前記電源電位にクランプする電力集中クランプとを選択的に行う付記18記載の駆動回路。
(付記21)
前記第1及び第2のクランプ回路は、前記電力分散クランプによるパルスと前記電力集中クランプによるパルスとの生成割合が同じである付記20記載の駆動回路。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1の実施形態によるY駆動回路の構成例を示す回路図である。
【図2】Y電極サステイン回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】第1の実施形態によるY電極サステイン回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図4(A)及び(B)は電力分散クランプを説明するための図である。
【図5】図5(A)は本発明の第2の実施形態によるトランジスタCU1及びCU2の構成例を示す回路図であり、図5(B)はその動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】図6(A)はTERES(Technology of Reciprocal Sustainer)によるY電極サステイン回路の構成例を示す回路図であり、図6(B)及び(C)はY電極及びX電極の電圧波形を示す図である。
【図7】図7(A)は本発明の第3の実施形態によるTERES回路の一部の構成例を示す回路図であり、図7(B)は電力分散クランプ方法を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態によるスイッチCUの制限抵抗R1及びR2の構成例を示す回路図である。
【図9】本発明の第5の実施形態によるスイッチCU1及びCU2の制御方法を示すタイミングチャートである。
【図10】図10(A)及び(B)は本発明の第6の実施形態によるトランジスタCUのゲート抵抗R1及びR2の構成例を示す回路図である。
【図11】図11(A)及び(B)は本発明の第7の実施形態によるトランジスタCUのゲート電圧の制御方法を示すタイミングチャートである。
【図12】図12(A)〜(C)は本発明の第8の実施形態によるX電極及びY電極のサステインパルスを示す波形図である。
【図13】図13(A)〜(D)は本発明の第9の実施形態によるX電極及びY電極のサステインパルスを示す波形図である。
【図14】ALIS(Alternate Lighting of Surfaces)方式のプラズマディスプレイパネル装置の基本構成を示す図である。
【図15】本発明の第10の実施形態によるX電極X1,X2及びY電極Y1,Y2のサステインパルスを示す波形図である。
【図16】本発明の第11の実施形態によるALIS方式のX電極X1,X2及びY電極Y1,Y2のサステインパルスを示す波形図である。
【図17】Y電極サステイン回路及びX電極サステイン回路の構成例を示す回路図である。
【図18】プラズマディスプレイパネル装置の基本構成を示す図である。
【図19】図19(A)〜(C)は表示セルの断面構成を示す図である。
【図20】画像の1フレームの構成図である。
【符号の説明】
【0105】
101 X電極(共通電極)
102 Y電極(スキャン電極)
120 容量(容量性負荷)
CU1,CU2,CD1,CD2 スイッチ
1801 制御回路部
1802 アドレスドライバ
1803,1803a,1803b X電極サステイン回路
1804,1804a,1804b Y電極サステイン回路
1805,1805a,1805b スキャンドライバ
1806 リブ
1807 表示領域
1911 前面ガラス基板
1912 誘電体層
1913 Mgo保護膜
1914 背面ガラス基板
1915 誘電体層
1916 リブ
1917 放電空間
1921 光
Tr リセット期間
Ta アドレス期間
Ts サステイン期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量性負荷を用いる表示装置の駆動回路であって、
電源電位に接続され、電力を時間的に分散させて前記容量性負荷に供給するように前記容量性負荷の電位を前記電源電位にクランプするクランプ回路を有する駆動回路。
【請求項2】
前記クランプ回路は、電力を時間的に分散させて前記容量性負荷に供給するように前記容量性負荷の電位を前記電源電位にクランプする電力分散クランプと、電力を時間的に集中させて前記容量性負荷に供給するように前記容量性負荷の電位を前記電源電位にクランプする電力集中クランプとを選択的に行う請求項1記載の駆動回路。
【請求項3】
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に並列接続される複数のスイッチを有し、
前記電力分散クランプは前記複数のスイッチを時間的にずらしてオンし、
前記電力集中クランプは前記複数のスイッチを同時にオンする請求項2記載の駆動回路。
【請求項4】
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に並列接続される複数のスイッチを有し、前記複数のスイッチは時間をずらしてオンする請求項1記載の駆動回路。
【請求項5】
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に並列接続される複数の電界効果トランジスタを有し、前記複数の電界効果トランジスタのゲート抵抗は相互に異なる値である請求項1記載の駆動回路。
【請求項6】
前記クランプ回路は、第1の電源電位及び第2の電源電位間に直列接続される第1のスイッチ、容量及び第2のスイッチとを有し、前記容量の一端が前記容量性負荷に接続可能であり、前記第1及び第2のスイッチは時間をずらしてオンする請求項1記載の駆動回路。
【請求項7】
前記クランプ回路は、前記電源電位及び前記容量性負荷間の抵抗値を比較的大きくすることにより電力分散クランプを行い、前記電源電位及び前記容量性負荷間の抵抗値を比較的小さくすることにより電力分散クランプを行う請求項2記載の駆動回路。
【請求項8】
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に接続される電界効果トランジスタを有し、
前記電力分散クランプと前記電力集中クランプとでは前記電界効果トランジスタのゲート抵抗値を変える請求項2記載の駆動回路。
【請求項9】
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に接続される電界効果トランジスタを有し、
前記電力分散クランプと前記電力集中クランプとでは前記電界効果トランジスタのゲート電圧を変える請求項2記載の駆動回路。
【請求項10】
前記クランプ回路は、前記容量性負荷及び前記電源電位間に接続される電界効果トランジスタを有し、前記電界効果トランジスタのゲート電圧を段階的に変化させてクランプする請求項1記載の駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−30527(P2006−30527A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208379(P2004−208379)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(599132708)富士通日立プラズマディスプレイ株式会社 (328)
【Fターム(参考)】