説明

駐車充電料金システム

【課題】充電器付きの駐車スペースを用いて効率よく集客する。
【解決手段】駐車充電料金システム1において、充電器2は、駐車区画ごとに設置される。充電口21は、充電プラグPが挿入されると電気自動車EVを充電し、その後、駐車料金が無料か、清算済になるまでロックする。充電カード挿入口22は、充電プラグPがロックされると、通常は挿入されている充電カード5のロックを解除する。現金投入口23は、料金の清算に必要な現金が投入される。レジ3は、充電カード5から充電開始時刻及び充電料金を取得し、操作により買い物料金を取得し、充電料金及び買い物料金から無料駐車時間を計算し、充電開始時刻に無料駐車時間を加算して無料駐車終了時刻を算出し、充電カード5に出力する。充電カード5は、充電器2から充電開始時刻等を取得し、レジ3に出力し、レジ3から無料駐車終了時刻を取得し、無料残り時間をカウントダウン表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器を用いて、施設の駐車場に駐車した電気自動車を充電するとともに、駐車料金、充電料金及び施設の利用料金を総合的に割引するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今後は、電気自動車が普及し、それにより急速充電器の需要が増加することが見込まれる。特に、流通業界では、集客を目的として、充電器に対する設備投資が拡大することが予測される。例えば、顧客がショッピングセンタに電気自動車で来店し、駐車し、店舗内で買い物をしている間に、駐車場で電気自動車を充電することが想定される。そこで、ショッピングセンタの駐車場に充電器付きの駐車スペース(充電用駐車スペース)を設けて、集客につなげることが考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、駐車場に充電手段及び情報送受手段を設け、充電手段により電気自動車の駐車中にバッテリの充電ができると共に、情報送受手段により各種情報を該電気自動車の情報処理記憶手段との間で送受信できるように構成した、電気自動車用駐車場システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−86058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の充電器を駐車スペースで用いたとすると、以下に示すような問題が発生すると考えられる。
(1)従来から買い物金額に応じて駐車料金が無料になったり、減額されたりすることはあるが、買い物金額が充電料金に反映されないので、充電料金の割引によるインセンティブを顧客に与えられない。
(2)充電が終わっても電気自動車をそのまま放置している顧客がいると、充電用駐車スペースが空かずに他の顧客が利用できなくなるので、顧客の回転率が悪くなり、集客の目的が果たせなくなる。
(3)買い物金額、充電料金、駐車料金等の全体料金が清算されなくても、電気自動車の充電プラグが充電器のコンセントから外れると、買い物をせずにただで充電用駐車スペースが利用されてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、充電器付きの駐車スペースを用いて効率よく集客することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、駐車充電料金システムであって、所定の施設を利用する利用客が駐車した電気自動車を充電し、充電開始時刻及び充電量を取得する充電手段と、前記利用客による前記施設の利用に対する料金を精算する精算手段と、前記充電手段から前記充電開始時刻及び前記充電量を取得し、前記精算手段から前記料金を取得し、取得した前記充電量及び前記料金に基づいて、前記電気自動車の駐車料金を無料にする時間である無料駐車時間を計算し、前記充電開始時刻に当該無料駐車時間を加算して、前記駐車料金が無料の時間帯が終了する時刻である無料駐車終了時刻を算出する計算手段と、前記充電手段ごとに設けられ、前記計算手段から前記無料駐車終了時刻を取得し、当該無料駐車終了時刻を前記利用者に通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、施設の利用客が駐車した電気自動車への充電を開始した時刻(充電開始時刻)を駐車開始時刻とし、駐車料金を無料にする時間(無料駐車時間)を、電気自動車への充電量及び利用客による施設の利用に対する料金に応じて計算し、無料駐車時間の終了時刻を利用者に知らせる。これによれば、施設の利用中に電気自動車の充電ができ、その充電が無料であることを謳うことにより、施設への来訪を促し、集客の増加を図ることができる。
【0009】
また、本発明の上記駐車充電料金システムにおいて、前記通知手段は、前記利用客が携帯可能な端末又はカードであり、取得した前記無料駐車終了時刻から現在時刻を減算して、前記駐車料金を無料にする残りの時間である無料残り時間を算出し、当該無料残り時間をカウントダウン表示することとしてもよい。
【0010】
この構成によれば、利用客が携帯可能な通知手段に、電気自動車の駐車料金が無料になる残り時間をカウントダウン表示することにより、施設の利用を済ませた客の帰宅を促すことができる。これによれば、空きの充電手段を確保し、来訪した電気自動車を待たせることなく、なるべく早く駐車させて充電を行うことにより、利用客の回転率を高めることができる。
【0011】
また、本発明の上記駐車充電料金システムにおいて、前記充電手段ごとに設けられ、前記充電手段が前記電気自動車への充電を開始するときに、前記電気自動車の一部のロックを行うとともに、前記通知手段から前記無料駐車終了時刻を取得し、現在時刻が前記無料駐車終了時刻以内であるとき、又は、現在時刻が前記無料駐車終了時刻を過ぎていて、かつ、超過料金が清算済であるときに、前記ロックを解除するロック解除手段をさらに備えることとしてもよい。
【0012】
この構成によれば、充電中に電気自動車の一部をロックすることにより、電気自動車を発車させることができないようにするので、安全である。そして、施設の利用により駐車料金が無料か、超過料金を清算しなければ、電気自動車のロックが解除されないので、施設を利用することなく、ただで充電を受けて退散する等の不正行為を防止することができる。
【0013】
また、本発明の上記駐車充電料金システムにおいて、前記通知手段は、前記充電手段ごとに設けられ、前記電気自動車の充電を開始する前には前記充電手段に挿入され、ロックされており、前記ロック解除手段は、前記電気自動車の一部のロックを行う際に前記通知手段のロックを解除するとともに、前記電気自動車の一部のロックを解除する際に、前記充電手段に挿入された前記通知手段をロックすることとしてもよい。
【0014】
この構成によれば、通知手段である端末やカードは、充電手段ごとに配置され、電気自動車への充電が開始すると取り外し可能となり、駐車料金が無料又は清算済であると判断されると、電気自動車に代わってロックされる。これによれば、電気自動車のロック解除のタイミングで通知手段がロックされるので、利用客が通知手段を携帯したまま電気自動車で帰宅することを防止することができ、通知手段の所在管理が容易にできる。
【0015】
また、本発明の上記駐車充電料金システムにおいて、前記充電手段は、取得した前記充電開始時刻及び前記充電量を記憶し、蓄積することとしてもよい。
【0016】
この構成によれば、駐車した電気自動車への充電開始時刻及び充電量のデータが蓄積されるので、そのデータを分析することにより、さらなる集客の向上に活かすことができる。
【0017】
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、充電器付きの駐車スペースを用いて効率よく集客することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】駐車充電料金システム1の構成を示す図である。
【図2】充電器2のハードウェア構成を示す図である。
【図3】レジ3のハードウェア構成を示す図である。
【図4】充電カード5のハードウェア構成を示す図である。
【図5】各装置の記憶部に記憶されるデータの構成を示す図であり、(a)は充電器2の記憶部26に記憶されるデータの構成を示し、(b)はレジ3の記憶部35に記憶されるデータの構成を示し、(c)は充電カード5の記憶部54に記憶されるデータの構成を示す。
【図6】駐車充電料金システム1の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係る駐車充電料金システムは、顧客が所定の施設を利用する際、電気自動車を駐車したときに、電気自動車への充電量と、施設の利用料金とに応じて、駐車料金が無料になる時間を計算し、無料駐車時間の終了時刻を顧客に通知するとともに、充電料金を無料にするものである。これによれば、電気自動車の充電無料を謳うことにより、効率よく施設に集客することができる。
【0021】
≪システムの構成と概要≫
図1は、駐車充電料金システム1の構成を示す図である。駐車充電料金システム1は、スーパー、デパートやショッピングセンタ等の店舗に適用され、1つの店舗において1以上の充電器2と、1以上のレジ3とがLAN(Local Area Network)等のネットワーク4を介してデータ通信可能に構成される。
【0022】
充電器2は、電気自動車EVを充電するための機器であり、店舗に併設された駐車場に充電用として設けられた駐車区画(充電用駐車スペース)ごとに設置され、充電口21、充電カード挿入口22及び現金投入口23を備える。充電口21は、電気自動車EVの充電プラグPが挿入されるコンセントであり、充電プラグPを通じて電気自動車EVに対して給電する。充電プラグPが挿入されると、充電が終了して清算されるまで充電プラグPをロックする。充電カード挿入口22は、充電カード5が挿入される差込口であり、通常(充電器2の非使用時)は充電カード5が挿入されており、その充電カード5をロックするので、充電カード5の取り外しはできない。一方、充電プラグPが充電口21に挿入されると、充電カード5のロックを解除するので、充電カード5が取り外し可能になる。現金投入口23は、電気自動車EVの充電及び顧客の買い物が終了した場合に、駐車料金が無料でないときに、駐車料金の清算に必要な現金が投入される。
【0023】
レジ3は、買い物料金を精算し、料金の支払を受けて処理する機器であり、店舗内における買い物料金の支払箇所に設置され、充電カード挿入口31及びレシート印字出力部32を備える。充電カード挿入口31は、レジ係の店員により充電カード5が挿入される差込口である。レシート印字出力部32は、買い物の精算が終了したときに、必要なデータをレシートに印字し、印字されたレシートを出力する。
【0024】
充電カード5は、充電や駐車に関するデータを記憶し、表示する媒体であり、顧客が電気自動車EVの充電プラグPを充電器2の充電口21に挿入すると、充電カード挿入口22から取り外し可能になる。充電カード5に備えられた表示部51は、記憶したデータを表示し、顧客に通知する部分であり、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等により実現される。
【0025】
図2は、充電器2のハードウェア構成を示す図である。充電器2は、充電口21、充電カード挿入口22、現金投入口23、通信部24、処理部25及び記憶部26を備え、各部がバス27を介してデータを送受信可能なように構成される。充電口21、充電カード挿入口22及び現金投入口23は、アダプタを介してバス27に接続される。それらの機能は、図1で説明した通りである。通信部24は、ネットワーク4を介してレジ3とIP(Internet Protocol)通信等を行う部分であり、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。処理部25は、所定のメモリを介して各部間のデータの受け渡しを行うととともに、充電器2全体の制御を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部26は、処理部25からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0026】
図3は、レジ3のハードウェア構成を示す図である。レジ3は、充電カード挿入口31、レシート印字出力部32、通信部33、処理部34及び記憶部35を備え、各部がバス36を介してデータを送受信可能なように構成される。充電カード挿入口31及びレシート印字出力部32は、アダプタを介してバス36に接続される。それらの機能は、図1で説明した通りである。通信部33は、ネットワーク4を介して充電器2とIP通信等を行う部分であり、例えば、NIC等によって実現される。処理部34は、所定のメモリを介して各部間のデータの受け渡しを行うととともに、レジ3全体の制御を行うものであり、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部35は、処理部34からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、HDDやSSD等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0027】
図4は、充電カード5のハードウェア構成を示す図である。充電カード5は、表示部51、入出力部52、処理部53及び記憶部54を備え、各部がバス55を介してデータを送受信可能なように接続されている。表示部51は、図1で説明した通りである。入出力部52は、充電カード挿入口を通じて充電器2やレジ3との間でデータ(例えば、充電開始時刻のデータ)を入出力する部分であり、USB(Universal Serial Bus)インタフェース等によって実現される。処理部53は、所定のメモリを介して各部間のデータの受け渡しを行うととともに、充電カード5全体の制御を行うものであり、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部54は、処理部53からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、HDDやSSD等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0028】
≪データの構成≫
図5は、各装置の記憶部に記憶されるデータの構成を示す図である。
図5(a)は、充電器2の記憶部26に記憶されるデータの構成を示す。記憶部26には、駐車区画ID261、充電開始時刻262、充電量取得値263、充電時間予測値264、充電料金予測値265、充電量確定値266、充電時間確定値267及び充電料金確定値268が記憶される。駐車区画ID261は、駐車区画に固有のIDが予め設定され、駐車区画ごとに設置された充電器2に固有のIDと言うことができる。充電開始時刻262は、充電器2が電気自動車EVへの充電を開始した時刻であり、また、蓄積して別途活用するデータである。充電量取得値263は、充電の前に充電プラグPを通じて電気自動車EVから取得した、満充電までの充電量であり、予測値として扱われる。充電時間予測値264は、満充電までの充電時間であり、充電量取得値263に基づいて予測された値である。充電料金予測値265は、満充電にした際の充電料金であり、充電量取得値263に基づいて予測された値である。充電量確定値266は、実際に充電を行い、計測した充電量であり、確定値として扱われるデータであり、また、蓄積して別途活用するデータである。充電時間確定値267は、実際に充電にかかった時間である。充電料金確定値268は、満充電にした際の充電料金であり、充電量確定値266に基づいて計算された確定値である。
【0029】
図5(b)は、レジ3の記憶部35に記憶されるデータの構成を示す。記憶部35には、無料駐車時間計算式351、駐車区画ID352、充電時間確定値353及び充電料金確定値354が記憶される。無料駐車時間計算式351は、買い物金額合計(料金)及び充電料金(又は充電量)に基づいて、駐車料金を無料にする時間である無料駐車時間を計算するための式であり、買い物金額合計が大きいほど無料駐車時間は長くなり、充電料金が大きいほど無料駐車時間は短くなる。なお、無料駐車時間計算式351には、駐車充電料金システム1の設備コストを反映させてもよく、そのとき、設備コストが大きいほど無料駐車時間は短くなる。また、買い物金額合計、充電料金や設備コストに応じて無料駐車時間を段階的に設定してもよい。例えば、次の式1に示すような計算式が考えられる。

無料駐車時間=買い物金額合計×α−充電料金×β−設備コスト×γ
充電料金=1kw当りの単価×充電量
(α、β、γは係数) ・・・式1
【0030】
駐車区画ID352は、駐車区画に固有のIDであり、店舗に付設された駐車場内に複数ある駐車区画に対応して予め設定される。充電時間確定値353及び充電料金確定値354は、実際の充電が終了したときの確定値であり、駐車区画ID352とともに充電器2からネットワーク4を通じて受信され、駐車区画ID352に対応して設定され、駐車料金の清算が完了するとクリアされる。
【0031】
図5(c)は、充電カード5の記憶部54に記憶されるデータの構成を示す。記憶部54には、駐車区画ID541、充電開始時刻542、充電時間予測値543、充電料金予測値544、充電時間確定値545、充電料金確定値546及び無料駐車終了時刻547が記憶される。駐車区画ID541は、駐車区画に固有のIDであり、駐車区画の充電器2ごとに設けられる充電カード5に固有のIDと言うことができる。充電開始時刻542は、電気自動車EVへの充電が開始した時刻であり、充電器2から取得、記憶され、レジ3に出力される。充電時間予測値543は、電気自動車EVへの充電にかかる時間の予測値であり、充電器2から取得、記憶される。充電料金予測値544は、電気自動車EVへの充電料金の予測値であり、充電器2から取得、記憶される。充電時間確定値545は、電気自動車EVへの充電にかかった時間の確定値であり、レジ3から取得、記憶される。充電料金確定値546は、電気自動車EVへの充電料金の確定値であり、レジ3から取得、記憶される。無料駐車終了時刻547は、駐車料金が無料の時間帯が終了する時刻であり、レジ3から取得、記憶される。
【0032】
≪システムの処理≫
図6は、駐車充電料金システム1の処理を示すフローチャートである。本処理は、駐車充電料金システム1の各装置において、主として処理部が、通信部や入出力部により他の装置とデータをやりとりし、記憶部のデータを参照、更新しながら、集客につなげるための処理を行うものである。
【0033】
<駐車場での充電処理:S601〜S609>
まず、通常時(充電器2の非使用時)において、充電器2は、充電カード挿入口22に挿入されている充電カード5をロックし(S601)、充電カード5が取り外せないようになっている。そして、充電プラグPが充電口21に挿入されたか否かをチェックする(S602)。充電プラグPが挿入されていなければ(S602のN)、チェックを継続する(S602)。充電プラグPが挿入されていれば(S602のY)、充電プラグPをロックし、充電を開始する(S603)。これにより、充電器2による充電プラグPのロックが解除されるまで、電気自動車EVは発車できないことになる。また、顧客は充電開始後に買い物に行くので、買い物の最中に充電が行われる。
【0034】
次に、充電器2は、処理部25に内蔵された時計から充電開始時刻を取得し、充電プラグP経由で電気自動車EVの満充電までの充電量を取得し、取得した充電量に基づいて充電時間及び充電料金を予測し、充電開始時刻262、充電量取得値263、充電時間予測値264及び充電料金予測値265を記憶部26に記憶する(S604)。続いて、充電開始時刻262、充電時間予測値264及び充電料金予測値265を充電カード5に出力し、充電カード5のロックを解除する(S605)。
【0035】
これに対して、充電カード5は、充電器2から充電開始時刻、充電時間予測値及び充電料金予測値を取得し、記憶部54に充電開始時刻542、充電時間予測値543及び充電料金予測値544として記憶し、表示部51に表示する(S606)。
【0036】
以上によれば、充電カード5は充電器2の充電カード挿入口22から取り外し可能となり、表示部51に表示された充電開始時刻、充電時間予測値及び充電料金予測値が参照可能となる。そして、顧客は、充電カード5を持って、買い物に行く。
【0037】
一方、充電器2は、電気自動車EVへの充電が完了したか否かを監視する(S607)。完了していなければ(S607のN)、監視を継続する(S607)。完了していれば(S607のY)、充電量確定値266、充電時間確定値267及び充電料金確定値268を取得し、記憶部26に記憶するとともに、駐車区画ID、充電時間確定値及び充電料金確定値を、店舗内に設置されている各レジ3に送信する(S608)。
【0038】
これに対して、各レジ3は、ネットワーク4を通じて充電器2から駐車区画ID、充電時間確定値及び充電料金確定値を受信し、受信した駐車区画ID352に対応して充電時間確定値353及び充電料金確定値354を記憶部35に記憶する(S609)。
【0039】
<レジでの処理:S611〜S618>
顧客は、店舗内で買い物をし、最後に精算するために、レジ3のある箇所でレジ係の店員に充電カード5を渡す。レジ係は、レジ3により買い物料金の合計を計算するとともに、充電カード5をレジ3の充電カード挿入口31に挿入する。
【0040】
そのとき、充電カード5は、記憶部54の駐車区画ID541、充電開始時刻542、充電時間予測値543及び充電料金予測値544を読み出し、レジ3に出力する(S611)。これに対して、レジ3は、充電カード5から駐車区画ID、充電開始時刻、充電時間予測値及び充電料金予測値を取得する(S612)。
【0041】
そして、レジ3は、取得した駐車区画ID352に対応して充電時間確定値353及び充電料金確定値354が記憶部35に記憶されているか否かを確認する(S613)。確定値の有無は、電気自動車EVへの充電完了と、顧客のレジ3での精算とのいずれが先かによる。充電時間確定値353及び充電料金確定値354が記憶されていれば(S613のY)、充電時間確定値及び充電料金確定値を充電カード5に出力する(S614)。これに対して、充電カード5は、レジ3から充電時間確定値及び充電料金確定値を取得し、充電時間確定値545及び充電料金確定値546として記憶部54に記憶し、確定値を予測値の代わりに表示部51に表示する(S615)。
【0042】
レジ3は、充電時間確定値353及び充電料金確定値354が記憶されていなければ(S613のN)、S614の処理をスキップする。このときは、レジ3を通過しても、充電が完了していないので、充電カード5の表示部51には、充電時間及び充電料金の予測値が表示され続ける。続いて、無料駐車時間計算式351に基づいて買い物金額の合計と、充電料金予測値又は充電料金確定値とから無料駐車時間を計算し、その無料駐車時間を充電開始時刻に加算して無料駐車終了時刻を算出し、充電カード5に出力する(S616)。充電料金は、レジ3を通る時点で充電が完了していなければ予測値であり、充電が完了していれば確定値である。なお、レジ3は、レシートにも無料駐車終了時刻、発行時点での無料残り時間、充電時間及び充電料金をレシート印字出力部32により印字し、出力する。
【0043】
これに対して、充電カード5は、レジ3から無料駐車終了時刻を取得し、無料駐車終了時刻547として記憶部54に記憶する(S617)。そして、所定時間(例えば、5分)ごとに、無料駐車終了時刻547から現在時刻を減算して無料残り時間を算出し、その無料残り時間を表示部51にカウントダウン表示する(S618)。そのとき、無料残り時間が、例えば60分、30分及び5分のときにアラーム音を発することにより、顧客に注意を促す。なお、無料駐車終了時刻を常時更新して、表示部51に表示してもよい。
【0044】
<駐車料金の清算及び充電プラグのロック解除:S621〜S625>
顧客は、レジ係の店員から充電カード5を渡され、無料残り時間を参照しながら、駐車場に戻る。そして、充電器2の充電カード挿入口22に充電カード5を挿入する。このとき、充電器2は、充電カード5から駐車区画ID541を取得し、その駐車区画ID541と、記憶部26の駐車区画ID261とを比較し、一致することを確認する。一致しなければ、警報音等を発して、挿入された充電カード5が間違っていることを知らせる。
【0045】
その後、充電カード5は、記憶部54の無料駐車終了時刻547を読み出し、充電器2に出力する(S621)。それに対して、充電器2は、充電カード5から無料駐車終了時刻を取得し(S622)、現在時刻が無料駐車終了時刻以内か否かにより、駐車料金が無料か否かを確認する(S623)。駐車無料でなければ(S623のN)、現金投入口23を通じて超過料金が清算されたか否かを確認する(S624)。清算されなければ(S624のN)、清算済の確認を続ける(S624)。駐車無料(S623のY)、又は、清算済(S624のY)であれば、充電プラグPのロックを解除し、充電カード5をロックする(S625)。このとき、充電器2及び充電カード5の記憶部のうち、駐車区画ID以外のデータを削除するとともに、各レジ3に対して当該駐車区画IDに対応するデータ(充電時間確定値353及び充電料金確定値354)を記憶部54から削除するように指示する。なお、充電器2の記憶部26に記憶された充電開始時刻262及び充電量確定値266は、記憶部26の別領域に蓄積される。
【0046】
なお、上記実施の形態では、図1に示す駐車充電料金システム1内の各装置を機能させるために、処理部(CPU)で実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係る駐車充電料金システム1が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0047】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、充電器2を備えた駐車区画を用いて、効率よく集客することができる。詳細には、以下のような効果を奏する。
【0048】
まず、S603においては、買い物の最中に電気自動車EVに充電可能であるとともに、S616においては、買い物金額の合計及び充電料金に応じて駐車料金を無料にする時間を決めるので、それにより充電無料になることを宣伝することで、顧客に店舗への来店を促すことができる。一方、S616においては、レジ3が発行時点における駐車料金の無料残り時間をレシートに印字し、S618においては、充電カード5が表示部51に駐車料金の無料残り時間をカウントダウン表示することにより、充電が完了して買い物も終わった顧客に対して、駐車料金が無料になる残り時間を意識させて帰宅を促すので、空きの充電器2を確保することができる。以上によれば、電気自動車EVへの充電無料を謳って集客アップを図るとともに、顧客の回転率を高めることができる。これにより、駐車充電料金システム1は、郊外の店舗だけでなく、都心部の店舗にも適用することができる。
【0049】
また、S615において、充電カード5に記憶された充電時間及び充電料金の予測値を確定値に更新し、表示する。これにより、より正確なデータを顧客に通知することができる。
【0050】
また、S623及びS624においては、駐車料金が無料でなく、超過料金の清算もされていない場合には、充電プラグPのロックが解除されず、電気自動車EVを発車させることができないので、充電器2をただで利用するのを防止することができる。
【0051】
また、S625においては、充電プラグPのロックを解除する代わりに充電カード5をロックするので、充電器2ごとの充電カード5の所在管理を容易にできる。また、充電器2の記憶部26に、電気自動車EVへの充電開始時刻及び充電量のデータが蓄積されるので、そのデータを分析することにより、1日における時間帯ごとの充電回数、1回の充電量の最大値や平均値等が分かるので、今後のサービスに反映させて、さらなる集客の向上を図ることができる。
【0052】
≪その他の実施の形態≫
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
【0053】
(1)上記の実施の形態においては、駐車場に電気自動車EVを駐車して、充電を受けながら買い物を行うという例を示したが、デパートやショッピングセンタに限定することなく、利用することにより料金が発生する施設や場所であれば、他の場所であってもよい。例えば、事前に支払いが行われる、スポーツ施設等の利用料金に適用してもよいし、遊園地、映画館や美術館等の入場料金に適用してもよい。また、電気自動車EVを駐車する駐車場と、顧客が利用する施設とが一体化していなくてもよく、離れた場所にあってもよいし、それぞれの運用者が別であって相互に提携していてもよい。
【0054】
(2)上記実施の形態においては、電気自動車EVを駐車する場合について説明したが、電気自動車に限定することなく、通常は駐車料金が必要で、かつ、充電すべき電源があればよく、例えば、ハイブリッド二輪車やハイブリッド自動車等であってもよい。
【0055】
(3)上記実施の形態においては、レジ3が買い物料金を精算し、無料駐車時間を計算し、レシートの印字や充電カード5の表示により顧客に無料残り時間や無料駐車終了時刻を通知するように説明したが、精算、計算及び通知の各処理は、異なる装置が行ってもよい。また、充電カード5は、カードという形態に限定することなく、顧客が携帯可能な表示端末であればよく、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)等を用いてもよい。
【0056】
(4)充電器2は、充電カード5へ実際の充電時間及び充電料金(確定値)を直接転送(無線送信)する方法が考えられる。このとき、充電カード5は、充電器2から直接充電時間及び充電料金の確定値を受信し、表示する。これによれば、顧客は、充電が完了した時点ですぐに確定値を参照することができる。
【0057】
(5)上記実施の形態においては、充電口21に挿入された充電プラグPをロックするように説明したが、電気自動車EVそのものが発車できないように、その一部をロックしてもよい。例えば、電気自動車の前輪と、後輪との間にストッパーを立てるようにしてもよい。
【0058】
(6)充電カード5は、無料駐車終了時刻を過ぎると、その時刻からの経過時間に応じて駐車料金を計算し、表示する。すなわち、無料駐車終了時刻から時間が経つほど、駐車料金は増加する。また、買い物金額及び充電料金によっては、駐車料金が無料にならない場合もあり、そういう場合は、最初から時間経過に伴って増加する駐車料金を計算し、表示することになる。これにより、顧客に帰宅を促して、さらに顧客の回転率を高めることができる。
【0059】
(7)レシートだけを用いて運用してもよい。その場合、充電器2にレシート読み取りカメラを備え付ける。そして、レジ3が自店の識別情報及び無料駐車終了時刻をレシートに印字し、出力する。充電器2は、レシートに印字された識別情報を読み取って、自店で買い物をしたか否かを判断する。自店であれば無料駐車終了時刻は有効であり、自店でなければ無料駐車終了時刻は無効である。また、レシートに「充電無料」を印字し、宣伝してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 駐車充電料金システム
2 充電器(充電手段、ロック解除手段)
3 レジ(精算手段、計算手段)
4 ネットワーク
5 充電カード(通知手段)
542 充電開始時刻
544 充電料金予測値(充電量)
546 充電料金確定値(充電量)
547 無料駐車終了時刻
EV 電気自動車
P 充電プラグ(電気自動車の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の施設を利用する利用客が駐車した電気自動車を充電し、充電開始時刻及び充電量を取得する充電手段と、
前記利用客による前記施設の利用に対する料金を精算する精算手段と、
前記充電手段から前記充電開始時刻及び前記充電量を取得し、前記精算手段から前記料金を取得し、取得した前記充電量及び前記料金に基づいて、前記電気自動車の駐車料金を無料にする時間である無料駐車時間を計算し、前記充電開始時刻に当該無料駐車時間を加算して、前記駐車料金が無料の時間帯が終了する時刻である無料駐車終了時刻を算出する計算手段と、
前記充電手段ごとに設けられ、前記計算手段から前記無料駐車終了時刻を取得し、当該無料駐車終了時刻を前記利用者に通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする駐車充電料金システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車充電料金システムであって、
前記通知手段は、
前記利用客が携帯可能な端末又はカードであり、
取得した前記無料駐車終了時刻から現在時刻を減算して、前記駐車料金を無料にする残りの時間である無料残り時間を算出し、当該無料残り時間をカウントダウン表示する
ことを特徴とする駐車充電料金システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の駐車充電料金システムであって、
前記充電手段ごとに設けられ、前記充電手段が前記電気自動車への充電を開始するときに、前記電気自動車の一部のロックを行うとともに、前記通知手段から前記無料駐車終了時刻を取得し、現在時刻が前記無料駐車終了時刻以内であるとき、又は、現在時刻が前記無料駐車終了時刻を過ぎていて、かつ、超過料金が清算済であるときに、前記ロックを解除するロック解除手段
をさらに備えることを特徴とする駐車充電料金システム。
【請求項4】
請求項3に記載の駐車充電料金システムであって、
前記通知手段は、
前記充電手段ごとに設けられ、前記電気自動車の充電を開始する前には前記充電手段に挿入され、ロックされており、
前記ロック解除手段は、
前記電気自動車の一部のロックを行う際に前記通知手段のロックを解除するとともに、前記電気自動車の一部のロックを解除する際に、前記充電手段に挿入された前記通知手段をロックする
ことを特徴とする駐車充電料金システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の駐車充電料金システムであって、
前記充電手段は、
取得した前記充電開始時刻及び前記充電量を記憶し、蓄積する
ことを特徴とする駐車充電料金システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−95432(P2012−95432A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240025(P2010−240025)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】