説明

駐車場監視システム

【課題】不審者の行動や車両盗難といった不正行為を検出することのできる駐車場監視システムを得る。
【解決手段】映像取得装置1によって、駐車場内の監視対象とする駐車ロットの画像を取得する。個人認証手段2は、利用者9の認証を行い、異常判定手段5は、個人認証手段2における利用者の認証に基づいて、利用者に対応した駐車ロットの警戒状態の設定または解除を行うと共に、映像取得装置1で取得した画像に基づき、警戒状態の駐車ロットにおける異常の有無を判定する。異常判定手段により異常と判定された場合、異常通報手段6は、利用者9の情報端末8に対して、異常の発生を通報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駐車場内の車両の監視を行う駐車場監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場監視システムとして、例えば、駐車場に据え付けられたカメラの映像を処理することによって各駐車ロットにおける車両の在空を判定し、駐車場の混雑度を測るものがあった(例えば、特許文献1参照)。
また、車載機器により車両に対するいたずらや盗難を検知する車両防犯装置があった(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−67954号公報
【特許文献1】特開2006−107279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像処理による従来の車両監視システムとして、駐車場の各駐車ロットにおける車両の在空を検知し、駐車場の混雑度を測るものでは、車両所有者による正規の出庫と窃盗犯による車両移動の識別といったことはできないため、防犯装置として利用することができなかった。
また、車載機器により車両盗難やいたずらを検出する防犯システムでは、車両毎に機器を搭載する必要があるため、当然ながら車載機器を搭載していない車両を監視することはできない。また、車載機器により車両盗難やいたずらを検知するようなシステムを構成する場合、車載機器自体に通信手段を持たせると車一台当たりの機器のコストが高くなり、利用者の負担が増すという問題もあった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、不審者の行動や車両盗難といった不正行為を検出することのできる駐車場監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る駐車場監視システムは、駐車場内の監視対象とする駐車ロットの画像を取得する映像取得装置と、駐車場に設置され、利用者の認証を行う個人認証手段と、個人認証手段における利用者の認証に基づいて、利用者に対応した駐車ロットの警戒状態の設定または解除を行うと共に、映像取得装置で取得した画像に基づき、警戒状態の駐車ロットにおける異常の有無を判定する異常判定手段と、異常判定手段により異常と判定された場合に、予め登録された情報端末に対して、異常の発生を通報する異常通報手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の駐車場監視システムは、利用者の認証状態によって駐車ロットの警戒状態を設定または解除し、警戒状態にある場合に異常判定手段が異常と判定した場合は、予め登録された情報端末に通知するようにしたので、不審者の行動や車両盗難といった不正行為を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による駐車場監視システムを示す構成図である。
図において、駐車場監視システムは、映像取得装置1、個人認証手段2、IDカード3、映像蓄積装置4、異常判定手段5、異常通報手段6、ネットワーク7、情報端末8を備えている。
映像取得装置1は、駐車場に設置され、監視対象とする駐車ロットを視野に含む映像を撮影するためのカメラ等からなる装置である。個人認証手段2は、駐車場の、例えば出入り口付近に設置され、利用者9の認証を行う手段である。この個人認証手段2は、利用者9が所持するIDカード3から利用者9のID(利用者識別情報)を読み取り、この読み取ったIDを登録者ID管理テーブル21に保持している登録者のIDと照合することにより認証を行うよう構成されている。登録者ID管理テーブル21は、駐車場内の駐車ロットと、その駐車ロットの登録者(正規の利用者)の対応関係を示すもので、一つの駐車ロットに対して複数の登録者が許可されている場合は、一つの駐車ロットに対して複数のIDが登録されている。
【0009】
映像蓄積装置4は、映像取得装置1より得られた映像を蓄積するための装置である。異常判定手段5は、個人認証手段2より得られる利用者9の認証結果に基づいて、警戒状態(警戒モード)の設定と解除がなされ、警戒モードが設定されている場合は、映像取得装置1より得られた映像に基づいて異常判定を行う手段であり、警戒モードが設定されている駐車ロットにおいて、人物の不審行動および車両の移動を検知した場合に、該当する駐車ロットで異常が発生したと判定するよう構成されている。ここで、人物の不審行動を検出する手段としては、例えば特開2003−169319号公報に記載されている方法などを用い、該当する駐車ロット周辺を、所定時間以上人物が動き回っていたり滞留していたりする状況が検出された場合に不審行動であると判定する。また、車両の移動を検知する手段としては例えば特許文献1に記載されている方法などを適用できる。
【0010】
異常通報手段6は、異常判定手段5により異常と判定された時に、予め登録された情報端末8にネットワーク7を介して通報するための手段である。ここで、ネットワーク7としては、例えばインターネットであり、また、情報端末8としては、例えばインターネットに接続する機能を有する携帯電話といった利用者9が所持する携帯端末を利用する。そして、通報の手段として利用者9が確認可能な手段であるメールを利用し、この通報メールには映像取得装置1により撮影された、該当する駐車ロットを視野に含む画像を添付する。添付する画像としては、異常判定手段5が不審人物を検知した場合には該当する駐車ロット周辺を人物が動き回っている状況もしくは滞留している状況を撮影したもの、車両移動を検知した場合には車両移動後の駐車ロットを撮影したものが望ましい。
【0011】
図2は、本発明の実施の形態1による駐車場監視システムの利用の流れを示す説明図である。図中、四角形で示す動作は、利用者(登録者)9が行う作業(操作)、平行四辺形で示す動作はシステムが行う動作、楕円で示す動作は駐車ロットの状態を示す。
初めに、空車状態の駐車ロットに車両を入庫するときの手順を述べる。駐車ロットが空車状態101であるとき、該当する駐車ロットの警戒状態は解除されている。この状態で、利用者9が登録駐車ロットへ車両を入庫させたとする(102)。そして、利用者9が認証操作103を行う。これにより、システムは該当する駐車ロットに対し警戒状態を設定し、画像処理による異常検知処理104を開始する。該当する駐車ロットは在車の状態105となる。
在車状態の駐車ロットから車両を出庫するときの手順は次の通りである。在車状態105の駐車ロットには警戒状態が設定されているので、初めに利用者9が認証操作106を行う。これにより、システムは該当する駐車ロットに対する警戒状態を解除し、異常検知処理を停止する(107)。この後、利用者9は車両の出庫108を行う。これにより、該当する駐車ロットは空車の状態101となる。
【0012】
車両在車状態の時(105)、正規の利用者9、即ち登録者であれば、登録者が車両に接近する前もしくは車両を移動させる前に認証操作106を行うことにより、該当する駐車ロットの警戒状態を解除することができる。しかしながら、もし警戒状態が設定されている在車状態105の時に、該当する駐車ロット周辺で人物のうろつきや滞留、もしくは該当する駐車ロットの車両が移動したことを異常判定手段5が検知した場合、システムはそれらの行為が非登録者によるものと判断し、異常通報手段6を介して異常が発生したことを登録者の情報端末8に通報する。
【0013】
図3は、実施の形態1による駐車場監視システムの異常判定手段5の動作を示す図である。
駐車ロットに警戒状態が設定されていれば、異常が発生していないかどうかを調べる(ステップST201)。先ず、該当する駐車ロットで不審者のうろつきや滞留といった不審行動が発生しているかどうかを調べる(ステップST202)。尚、このようなうろつきや滞留といった不審行動は、駐車ロット付近で所定時間以上人物が検知されるか否かによって判定する。
もし、不審行動が検知されたならば、異常判定手段5は異常通報手段6に対し、不審行動が検知されたことを登録者に通報するよう指令する(ステップST203)。その後、該当する駐車ロットに停められている車両が移動していないかどうかを調べる(ステップST204)。もし車両の移動が検知されたならば、異常判定手段5は異常通報手段6に対し、車両の移動が検知されたことを登録者に通報するよう指令する(ステップST205)。尚、図3の一連の処理は、システムが監視対象とする駐車ロット毎に、一定時間間隔で繰り返し実行される。
【0014】
ここで映像蓄積装置4は、異常判定手段5により異常と判定された場合のみ記録してもよいが、個人認証手段2により警戒状態に設定されている場合のみ記録してもよい。また警戒状態の設定によらず常に記録してもよい。常に記録する場合には、異常判定手段5で異常と判定した時刻、および異常の内容(不審行動または車両の移動、および異常が発生した駐車ロットの番号など)を映像蓄積装置4で記録することが望ましい。
【0015】
このように、本実施の形態では、駐車ロット毎に独立して警戒状態の設定を行うための個人認証手段2を備えているので、駐車ロットに警戒状態が設定されており、かつ、異常状態が検知された場合に限り登録者に通報する防犯装置として機能させることができる。更に、本実施の形態では、車載装置を用いずに車外から車両を監視するため、特別な機器を搭載していない任意の車両を監視することができ、利用者の負担を軽減できる。また、異常判定手段5は、複数の駐車ロットを視野に含む映像取得装置1により撮影された映像を用いて異常の判定を行うため、システムの低コスト化が図れる。また、異常判定手段5は車外から撮影した映像を使用して異常を検知するため、車上荒らしや車両盗難を検知できるだけでなく、監視対象の車両に近づいて車内の様子を窺うといった不審行動まで検知することができる。
【0016】
また、本実施の形態では、映像取得装置1と映像蓄積装置4とを備えたので、例えば車両盗難のような犯罪行為が発生した場合には、駐車場内に窃盗犯が現れてから車両を移動するまでの一連の流れの映像を蓄積することができる他、蓄積した映像を後から再生して確認することも可能なため、犯罪行為が発生した状況を確実に把握することができる。更に、異常判定手段5が異常と判定した場合に、該当する駐車ロットを視野に含み、かつシステムが検知した異常発生時の状況を捉えた画像を添付して登録者に通報する異常通報手段6を備えたので、異常発生時の状況を即座にかつ確実に登録者に知らせることができる。
【0017】
以上のように、実施の形態1の駐車場監視システムによれば、駐車場内の監視対象とする駐車ロットの画像を取得する映像取得装置と、駐車場に設置され、利用者の認証を行う個人認証手段と、個人認証手段における利用者の認証に基づいて、利用者に対応した駐車ロットの警戒状態の設定または解除を行うと共に、映像取得装置で取得した画像に基づき、警戒状態の駐車ロットにおける異常の有無を判定する異常判定手段と、異常判定手段により異常と判定された場合に、予め登録された情報端末に対して、異常の発生を通報する異常通報手段とを備えたので、簡素な構成で、不審者の行動や車両盗難といった不正行為を検出することができる。
【0018】
また、実施の形態1の駐車場監視システムによれば、利用者に対応した識別情報を有するIDカードを備えると共に、個人認証手段は、IDカードの識別情報と、駐車ロットの使用が許可されている利用者である登録者との関係を示す情報を有し、個人認証手段は、IDカードの識別情報と登録者の情報との照合を行って利用者が登録者であるかを認証するようにしたので、駐車ロットの警戒状態の設定および解除を、駐車ロット毎に確実に行うことができる。
【0019】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2の駐車場監視システムを示す構成図である。
図において、情報端末8aは、実施の形態1の情報端末8の機能に加えて、固有のID情報(識別情報)を有する端末であり、実施の形態2では、この情報端末8aのID情報を用いて個人認証を行うよう構成されている。即ち、登録者ID管理テーブル21には、登録者IDとして、利用者9毎の情報端末8aの固有IDが登録されており、個人認証手段2は、この登録固有IDに基づいて個人認証を行うよう構成されている。また、情報端末8aの固有IDとして、例えば、携帯電話の電話番号や、携帯電話の非接触ICカード機能のIDなどが利用できる。
これ以外の構成については実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0020】
このように構成された実施の形態2の駐車場監視システムでは、図2における登録者認証(103)と(106)を、情報端末8aの固有IDを用いて行う。即ち、利用者9は、実施の形態1におけるIDカード3の代わりに情報端末8aを用いて認証操作を行う。また、異常通報手段6による異常通報を情報端末8aで受け取るのは実施の形態1と同様である。
【0021】
以上のように、実施の形態2の駐車場監視システムによれば、情報端末は固有の識別情報を有すると共に、個人認証手段は、情報端末の識別情報と、駐車ロットの使用が許可されている利用者である登録者との関係を示す情報を有し、個人認証手段は、情報端末の固有の識別情報と、登録者の情報との照合を行って利用者が登録者であるかを認証するようにしたので、利用者は個人認証を行うためにIDカードといった手段を用いる必要がなく、利用者にとって使い易いシステムを実現することができると共に、IDカードを認識するための装置も必要ないため、システムの構成を更に簡素化することができる。
【0022】
実施の形態3.
実施の形態3では、個人認証を行う手段として、利用者9の顔画像を用いるようにしたものである。
図5は、実施の形態3の駐車場監視システムを示す構成図である。
図において、個人認証手段2aは、登録者顔画像データベース22を備え、映像取得装置1で取得された利用者9の顔画像と登録者顔画像データベース22の情報とを照合することにより、認証を行うよう構成されている。登録者顔画像データベース22は、予め登録された利用者と駐車ロットとの関係を示す情報を格納している。その他の各構成は、実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0023】
このように構成された実施の形態3の駐車場監視システムでは、図2における登録者認証(103)と(106)を、利用者9の顔画像を用いて行う。即ち、個人認証手段2aは、映像取得装置1によって利用者9の顔画像が得られた場合、その顔画像と登録者顔画像データベース22の登録者の顔画像情報との比較を行い、利用者9の個人認証を行う。これ以外の動作は実施の形態1と同様である。
【0024】
以上のように、実施の形態3の駐車場監視システムによれば、個人認証手段は、駐車ロットの使用が許可されている利用者である登録者の顔画像の情報を有し、利用者の顔画像と、登録者の顔画像の情報との照合を行って利用者が登録者であるかを認証するようにしたので、利用者は個人認証を行うためにIDカードといった手段を用いる必要がなく、利用者にとって使い易いシステムを実現することができると共に、IDカードを認識するための装置も必要ないため、システムの構成を更に簡素化することができる。
【0025】
尚、上記各実施の形態は、それぞれ独立した実施の形態としたが、これら実施の形態1〜3を任意に組み合わせた構成としてもよい。
【0026】
実施の形態4.
図6は、実施の形態4による駐車場監視システムの構成図である。
図において、駐車場監視システムは、映像取得装置1、映像蓄積装置4、異常判定手段5a、異常通報手段6を備えている。ここで、映像取得装置1、映像蓄積装置4の構成は実施の形態1と同様である。また、実施の形態4の異常判定手段5aは、映像取得装置1より得られた映像に基づいて異常判定を行う手段であり、システムが監視対象とする駐車ロットにおいて人物の不審行動およびある一定時間以上の車両の駐車を検知した場合に異常と判定するよう構成されている。また、実施の形態4の異常通報手段6は、異常判定手段5aにより異常と判定された時に、駐車場の管理者10が所持する情報端末といった予め登録された情報端末8にネットワーク7を介して通報するよう構成されている。
【0027】
このように構成された実施の形態4の駐車場監視システムにおいて、異常判定手段5aは、システムが監視対象とする駐車ロットにおいて人物の不審行動およびある一定時間以上の車両の駐車を検知した場合に異常と判定する。即ち、監視対象とする駐車ロットで、所定時間以上、人物が検出された場合は不審行動であるとして異常と判定する。また、一定時間以上の車両の駐車を検知した場合も長時間駐車であることから異常と判定する。異常判定手段5aで異常と判定された場合、異常通報手段6は、管理者10の有する情報端末8に対して異常通報を行う。
【0028】
以上のように、実施の形態4の駐車場監視システムによれば、駐車場内の監視対象とする駐車ロットの画像を取得する映像取得装置と、映像取得装置で取得された駐車ロットの画像に基づいて、駐車ロットに異常が発生したかを判定する異常判定手段と、異常判定手段により異常と判定された場合に、予め登録された情報端末に対して異常の発生を通報するようにしたので、簡単な構成で、駐車場の管理者が容易に駐車場内の不正行為を知ることができる。
【0029】
また、実施の形態4の駐車場監視システムによれば、異常判定手段は、対象となる駐車ロットで所定時間以上人物が検出された場合に異常と判定するようにしたので、駐車場に駐車している車両に対するいたずらや車上荒らしといった犯罪行為の抑止力になり、更に、そのような行為が発生した場合にはただちに検知し管理者に通報することができる。
【0030】
また、実施の形態4の駐車場監視システムによれば、異常判定手段は、対象となる駐車ロットで一定時間以上車両が検出された場合に異常と判定するようにしたので、例えば店舗などの無料駐車場を無断で長時間使用するような不正行為を抑止することができる。
【0031】
実施の形態5.
図7は、実施の形態5による駐車場監視システムの構成図である。
図において、駐車場監視システムは、映像取得装置1、映像蓄積装置4、異常判定手段5b、異常通報手段6、警戒状態解除手段11を備えている。ここで、映像取得装置1、映像蓄積装置4の構成は実施の形態1と同様である。また、警戒状態解除手段11は、正規の車両所有者(利用者9)による操作を認識すれば警戒状態の解除命令を出力するよう構成されている。即ち、警戒状態解除手段11は、映像蓄積装置4に蓄積されている駐車ロットの画像を解析し、駐車ロットの車両13のハザードランプ13aが点滅した時に車内が無人であることを認識した場合に、一時的に警戒状態を解除する解除命令を出力するよう構成されている。また、実施の形態5の異常判定手段5bは、映像取得装置1より得られた映像に基づいて異常判定を行う手段であり、通常は監視対象の駐車ロットを警戒状態に設定している。警戒状態解除手段11からの命令により警戒状態が解除されていない時に、映像取得装置1から取得された映像の解析により車両が移動したことを検知するか、ハザードランプ13aが点滅した時に車内に人物の滞留を検知した場合に、異常と判定するよう構成されている。これ以外の構成については実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0032】
キーレスエントリ方式の自動車では、利用者(正規の登録者)9は自身の所有車両13に乗車する前に、車両13から離れた位置からリモートキー12を操作することにより、ドアを開錠することができる。この時、車両13のドアが開錠したことを知らせるために、車両のハザードランプ13aが点滅する。しかしながら、車両窃盗犯のような非正規の人物であれば、車両13に侵入するより前に車外からハザードランプ13aを点滅させることはできない。実施の形態5による駐車場監視システムにおいて、警戒状態解除手段11はこのことを利用して正規の利用者を認識する。即ち、警戒状態解除手段11は、駐車ロット内の車両13のハザードランプ13aが点滅した時に車内が無人であることが認識できれば、一時的に警戒状態を解除するよう構成されている。
【0033】
図8は、実施の形態5による駐車場監視システムの異常判定手段5bの動作を示す図である。
ステップST301で車両13の移動を検知した時、ステップST302において、移動の検知時点以前の一定時間内にハザードランプ13aの点滅が検知されていなければ、非正規の人物によって車両が移動されたとみなして異常と判定する。また、ステップST302において、ハザードランプ13aの点滅を検知した場合でも、その時点において車内に人物が乗っている事が検知されれば(ステップST303)、非正規の人物によって車内からハザードランプ点滅の操作を行ったとして異常と判定する。
【0034】
以上のように、実施の形態5の駐車場監視システムによれば、駐車場内の監視対象とする駐車ロットの画像を取得する映像取得装置と、駐車ロットの車両に対する所定の操作を駐車ロットの画像から認識した場合、警戒状態の解除命令を出力する警戒状態解除手段と、監視対象とする駐車ロットを通常は警戒状態に設定しておき、警戒状態解除手段からの解除命令が入力されていない時に、駐車ロットの画像を解析して車両の移動または車両の車内に人物の滞留を検知すれば異常と判定する異常判定手段と、異常判定手段により異常と判定された場合に、予め登録された情報端末に対して異常の発生を通報する異常通報手段とを備えたので、登録者に特別なIDカードを持たせる必要がない。また、IDカードや顔画像を用いた個人認証方式とは異なり、利用者をシステムに登録するための作業を必要としないため、システム運用の利便性を向上させることができる。
【0035】
また、実施の形態5の駐車場監視システムによれば、警戒状態解除手段は、駐車ロットの画像を解析し、駐車ロットの車両のハザードランプが点滅した時に車内が無人であることを認識した場合に、一時的に警戒状態を解除する解除命令を出力するようにしたので、監視を行うために車両や利用者に特別な手段を付加する必要がなく、低コストでシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施の形態1による駐車場監視システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による駐車場監視システムの利用の流れを示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1による駐車場監視システムの異常判定手段の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2による駐車場監視システムを示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態3による駐車場監視システムを示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態4による駐車場監視システムを示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態5による駐車場監視システムを示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態5による駐車場監視システムの異常判定手段の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1 映像取得装置、2,2a 個人認証手段表示部、3 IDカード、4 映像蓄積装置、5,5a,5b 異常判定手段、6 異常通報手段、8,8a 情報端末、9 利用者、10 管理者、11 警戒状態解除手段、12 リモートキー、13 車両、13a ハザードランプ、21 登録者ID管理テーブル、22 登録者顔画像データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内の監視対象とする駐車ロットの画像を取得する映像取得装置と、
前記駐車場に設置され、利用者の認証を行う個人認証手段と、
前記個人認証手段における前記利用者の認証に基づいて、当該利用者に対応した駐車ロットの警戒状態の設定または解除を行うと共に、前記映像取得装置で取得した画像に基づき、警戒状態の駐車ロットにおける異常の有無を判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段により異常と判定された場合に、予め登録された情報端末に対して、異常の発生を通報する異常通報手段とを備えた駐車場監視システム。
【請求項2】
利用者に対応した識別情報を有するIDカードを備えると共に、個人認証手段は、当該IDカードの識別情報と駐車ロットの使用が許可されている利用者である登録者との関係を示す情報を有し、前記個人認証手段は、前記IDカードの識別情報と前記登録者の情報との照合を行って利用者が前記登録者であるかを認証することを特徴とする請求項1記載の駐車場監視システム。
【請求項3】
情報端末は固有の識別情報を有すると共に、個人認証手段は、前記情報端末の識別情報と駐車ロットの使用が許可されている利用者である登録者との関係を示す情報を有し、前記個人認証手段は、前記情報端末の固有の識別情報と、前記登録者の情報との照合を行って利用者が前記登録者であるかを認証することを特徴とする請求項1記載の駐車場監視システム。
【請求項4】
個人認証手段は、駐車ロットの使用が許可されている利用者である登録者の顔画像の情報を有し、利用者の顔画像と、前記登録者の顔画像の情報との照合を行って利用者が前記登録者であるかを認証することを特徴とする請求項1記載の駐車場監視システム。
【請求項5】
異常判定手段は、対象となる駐車ロットで所定時間以上人物が検出された場合に異常と判定することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の駐車場監視システム。
【請求項6】
異常判定手段は、警戒状態が設定されている状態で、対象となる駐車ロットの車両が移動した場合に異常と判定することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の駐車場監視システム。
【請求項7】
駐車場内の監視対象とする駐車ロットの画像を取得する映像取得装置と、
前記映像取得装置で取得された前記駐車ロットの画像に基づいて、当該駐車ロットに異常が発生したかを判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段により異常と判定された場合に、予め登録された情報端末に対して異常の発生を通報する異常通報手段とを備えた駐車場監視システム。
【請求項8】
異常判定手段は、対象となる駐車ロットで所定時間以上人物が検出された場合に異常と判定することを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の駐車場監視システム。
【請求項9】
異常判定手段は、対象となる駐車ロットで一定時間以上車両が検出された場合に異常と判定することを特徴とする請求項7または請求項8記載の駐車場監視システム。
【請求項10】
駐車場内の監視対象とする駐車ロットの画像を取得する映像取得装置と、
前記駐車ロットの車両に対する所定の操作を前記駐車ロットの画像から認識した場合、警戒状態の解除命令を出力する警戒状態解除手段と、
前記監視対象とする駐車ロットを通常は警戒状態に設定しておき、前記警戒状態解除手段からの解除命令が入力されていない時に、前記駐車ロットの画像を解析して前記車両の移動または当該車両の車内に人物の滞留を検知すれば異常と判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段により異常と判定された場合に、予め登録された情報端末に対して異常の発生を通報する異常通報手段とを備えた駐車場監視システム。
【請求項11】
警戒状態解除手段は、駐車ロットの画像を解析し、当該駐車ロットの車両のハザードランプが点滅した時に車内が無人であることを認識した場合に、一時的に警戒状態を解除する解除命令を出力することを特徴とする請求項10記載の駐車場監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−48615(P2009−48615A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148418(P2008−148418)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】