説明

駐車場管理装置及び駐車場管理装置の管理方法

【課題】駐車場に駐車予約のある車両の駐車場所を確保するとともに、駐車予約の無い車両にもできるだけ駐車場所を提供する。
【解決手段】駐車場への車両の駐車予約が可能である駐車場管理装置であって、車両に関する情報と、車両の駐車予約日時を示す情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、時間を計時する計時部と、記憶部の記憶内容に基づいて、計時部の計時時間における車両の駐車予約台数を算出する第1算出部と、第1算出部の算出結果に基づいて、車両の駐車予約台数分の駐車場所を確保するべく、駐車場への駐車予約無しの車両の駐車を制限する制限部と、を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場への車両の駐車予約が可能である駐車場管理装置、及びこの駐車場管理装置の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、駐車場には、一定期間の賃貸契約に基づいて特定の利用者に利用してもらう特定契約駐車場と、不特定の利用者に一時的に利用してもらう一時利用駐車場とがある。特定契約駐車場の利用者は、例えば、専ら夜間に駐車場を利用し、昼間は業務等のために出払って駐車場を空けるといった利用のし方をする。つまり、特定契約駐車場の利用者は、駐車場を単に車両の保管に利用するのでなければ、その業務や生活等に応じて、例えば1日のうちの所定時間帯だけ駐車場を空ける傾向にある。
【0003】
ところで、1つの駐車場が、特定契約駐車場及び一時利用駐車場の双方の役割を担っている場合がある。この駐車場において、もし特定契約車両のための駐車場所を表示して常時これを確保するとすれば、前述した所定時間帯には、空きがあるにもかかわらず、一時利用車両に利用してもらうことができなくなる。これでは、駐車場が有効に稼動しているとは言えない。
【0004】
そこで、特定契約車両及び一時利用車両の駐車場所を予め区別することなく、駐車場の利用状況に応じて、これらの車両を駐車させる駐車場管理システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムでは、駐車場の利用状況が曜日や時間帯等により略規則的に変化するとして、例えば各曜日・祭日の時間帯ごとに特定契約車の駐車台数を予め集計して所定の記憶手段に記憶している。また、このシステムでは、車両センサ等を含む所定の検出手段により、特定契約車両の駐車台数に対する一時利用車両の駐車台数の比を検出し、この比と前述した集計結果とに基づいて、一時利用車両の駐車可能台数を求めている。ここで、例えば駐車可能台数がゼロになった場合、所定の表示手段に満車の旨を表示させるようになっている。
【特許文献1】特開平10−302198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、駐車場の利用状況は、時々刻々変化し得るため、前述した特許文献1に開示されたシステムのように、特定契約車両の過去の集計結果等に基づいて一時利用車の駐車可能台数を予測しても、その予測値には誤差が生じる虞がある。このシステムでもし誤差が生じた場合、本来ならいつ駐車場に駐車してもよいはずの特定契約車両に対して、入車待ちの指示が出されてしまう虞がある。
【0006】
尚、以上は、駐車場を利用する車両を、便宜上、特定契約車両と一時利用車両とに分類するものであったが、一般に、駐車予約をしている車両と、駐車予約をしていない車両とに分類することができる。この場合にも、前述と同様の問題(駐車予約をしている車両がその予約日時に駐車場に来ても、入車待ちの指示が出されてしまう)が生じる虞がある。
【0007】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、駐車場に駐車予約のある車両の駐車場所を確保するとともに、駐車予約の無い車両にもできるだけ駐車場所を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための発明は、駐車場への車両の駐車予約が可能である駐車場管理装置であって、前記車両に関する情報と、前記車両の駐車予約日時を示す情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、時間を計時する計時部と、前記記憶部の記憶内容に基づいて、前記計時部の計時時間における前記車両の駐車予約台数を算出する第1算出部と、前記第1算出部の算出結果に基づいて、前記車両の駐車予約台数分の駐車場所を確保するべく、前記駐車場への駐車予約無しの車両の駐車を制限する制限部と、を備えてなる。
【0009】
尚、計時部の計時時間とは所定時刻又は所定時間帯を意味する。
例えば或る日時における駐車予約無しの車両Aが駐車場に駐車しようとする場合について考える。この日時に該当する計時時間における駐車予約有りの車両Bの駐車予約台数は、第1算出部により算出可能である。よって、制限部は、駐車場の駐車場所が車両Bの駐車予約台数分を維持するように、車両Aの駐車を禁止する等の制限をできる。ここで、或る日時における車両Bの駐車予約台数は、記憶部に記憶された駐車予約日時から求められる上に、この車両Bは、記憶部に記憶された車両Bに関する情報から特定可能である。以上から、駐車場に駐車予約のある車両Bの駐車場所を確保するとともに、駐車予約の無い車両Aにもできるだけ駐車場所を提供できる。
【0010】
また、かかる駐車場管理装置において、前記記憶部は、前記車両の駐車場所を示す情報を更に対応付けて記憶し、前記第1算出部は、前記記憶部の記憶内容に基づいて、前記車両の駐車予約台数を前記車両の駐車場所と対応付けて算出する、ことが好ましい。
【0011】
制限部は、例えば、駐車予約台数と対応付けられた駐車場所に前述した車両Bを駐車させる一方、もし前述した車両Aを駐車させる際に前記駐車場所以外の駐車場所に駐車させれば、車両Bの駐車場所をより確実に確保することができる。
【0012】
また、かかる駐車場管理装置において、前記駐車場の入出車台数に基づいて車両の駐車可能台数を算出する第2算出部と、前記計時部の計時時間における前記駐車予約台数と前記駐車可能台数とを比較する比較部と、を備え、前記制限部は、前記駐車可能台数が前記駐車予約台数以下である場合、前記駐車場への駐車予約無しの車両の駐車を禁止する、ことが好ましい。
【0013】
第2算出部により算出された駐車可能台数が駐車予約台数以下である場合、前述した車両Aの駐車が禁止されるため、前述した車両Bの駐車が優先的に確保される。一方、第2算出部により算出された駐車可能台数が駐車予約台数を超える場合、例えばこの超えた台数分だけ前述した車両Aを駐車させることができる。よって、駐車場に駐車予約のある車両Bの駐車場所を確保するとともに、駐車予約の無い車両Aにもできるだけ駐車場所を提供できる。
【0014】
また、かかる駐車場管理装置において、前記車両に関する情報は、前記車両の使用者のIDであり、前記制限部は、前記駐車場への駐車予約有りの車両の使用者のIDが、前記記憶部に記憶されたIDと一致した場合、当該車両の駐車を許可する、こととしてもよい。
【0015】
また、かかる駐車場管理装置において、前記駐車場へ前記車両が入車する際、当該車両へ駐車券を発行する発行部と、前記駐車場から前記車両が出車する際、当該車両から前記発行部により発行された駐車券を受領する受領部と、を備え、前記第2算出部は、前記発行部による前記駐車券の発行数と、前記受領部による前記駐車券の受領数とに基づいて、前記駐車可能台数を算出する、こととしてもよい。
【0016】
また、前記課題を解決するための発明は、駐車場への車両の駐車予約が可能である駐車場管理装置の管理方法であって、前記車両に関する情報と、前記車両の駐車予約日時を示す情報と、を対応付けて記憶する記憶ステップと、時間を計時する計時ステップと、前記記憶ステップの記憶内容に基づいて、前記計時ステップの計時時間における前記車両の駐車予約台数を算出する算出ステップと、前記算出ステップの算出結果に基づいて、前記車両の駐車予約台数分の駐車場所を確保するべく、前記駐車場への駐車予約無しの車両の駐車を制限する制限ステップと、を備えてなる。
【発明の効果】
【0017】
駐車場に駐車予約のある車両の駐車場所を確保するとともに、駐車予約の無い車両にもできるだけ駐車場所を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
===全体構成(第1の実施の形態)===
図1を参照しつつ、本実施の形態の駐車場管理装置1の構成例について説明する。同図は、第1の実施の形態の駐車場管理装置1の構成例を示すブロック図である。
【0019】
駐車場管理装置1は、主として、患者が病院の診察を予約する際にこの病院専用の駐車場の予約も受け付け、この予約した患者のために車室(駐車場所)を確保するための装置である。
【0020】
このような機能を実現するべく、駐車場管理装置1は、主として、サーバ装置2と、ゲート制御装置3とを備えて構成される。ここで、サーバ装置2及びゲート制御装置3との間の通信は、例えば無線通信である。また、サーバ装置2には、予約端末110及び患者端末120が通信可能に接続されている。予約端末110及び患者端末120は、病院の患者が診察予約及び駐車場予約をするための端末である。
【0021】
予約端末110は、例えばパーソナルコンピュータやワークステーション、セットトップボックス等のコンピュータであって、サーバ装置2とともに病院内に設置されている。予約端末110及びサーバ装置2は例えばLANで接続されている。患者は、予約端末110を通じて、患者ID、診察日、診察時間、診察医師、診察科等の診察予約情報をサーバ装置2へ入力するものである。また、患者は、予約端末110を通じて、駐車場への入車予定時刻等の駐車場予約情報もサーバ装置2へ入力するものである。
【0022】
一方、患者端末120は、例えばパーソナルコンピュータ等のコンピュータであり、患者が所有している。患者端末120及びサーバ装置2は例えばインターネットで接続されている。この患者端末120には、例えばWEBブラウザ等の閲覧用ソフトウェアが予めインストールされている。予約端末110の場合と同様に、患者は、患者端末120を通じて、診察予約情報及び駐車場予約情報をサーバ装置2へ入力するものである。
【0023】
===サーバ装置(第1の実施の形態)===
図1に例示されるように、サーバ装置2は、診察予約情報登録部21と、駐車場予約情報登録部22と、入車に対する制限予定時間帯等を算出する制限予定時間帯算出部23と、入車待ち車両台数や制限予定時間帯等の情報をゲート制御装置3に送信する送信部24と、診察予約情報を記憶する診察予約データベース25と、駐車場予約情報を記憶する駐車場予約データベース26とを備えて構成される。
【0024】
診察予約情報登録部21は、予約端末110を通じて入力された診察予約情報を診察予約データベース25(図2)に登録するものである。図2は、第1の実施の形態の診察予約データベース25の構成例を示す図表である。
【0025】
駐車場予約情報登録部22は、予約端末110を通じて入力された駐車場予約情報を駐車場予約データベース(記憶部)26(図3)に登録するものである。図3は、本実施の形態の駐車場予約データベース26の構成例を示す図表である。同図に例示される駐車場予約情報は、前述した診察予約情報である患者ID及び診察日に対し、例えば受付順に付される予約番号と、患者の車両が駐車場へ入車する予定時刻(入車予定時刻)とが更に対応付けられた情報である。
【0026】
制限予定時間帯算出部(第1算出部)23は、前述した駐車場予約情報に基づいて、或る診察日における、後述する、入車制限開始予定時刻、入車待ち車両台数、制限予定時間帯等を算出して、入車制限データベース27(図4)を生成するものである。図4は、本実施の形態の入車制限データベース27の構成例を示す図表である。同図に例示される入車制限データベース27は、或る診察日における患者ID及び予約番号に対して、入車予定時刻、入車制限開始予定時刻、入車待ち車両台数、及び制限予定時間帯が対応付けられて構成される。
【0027】
<<<入車制限データベースの生成動作>>>
図5を参照しつつ、制限予定時間帯算出部23による入車制限データベース27の生成動作について説明する。同図は、第1の実施の形態の制限予定時間帯算出部23の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0028】
先ず、本実施の形態では、或る車両が駐車場を出車してから、次の車両が駐車場を出車するまでの時間を平均した平均出車時間が予め求められているものとする。この平均出車時間は、例えば、駐車場管理装置1の設計者又は管理者が、所定期間(例えば1ヶ月間)、駐車場の利用状況をリサーチすることにより知得できるものである。本実施の形態では、平均出車時間が経過するごとに、1台の車室が確保できると仮定する。このような仮定に基づけば、例えばN台の車両がともに入車待ちする入車待ち時間は、平均出車時間のN倍と近似できる。後述するように、入車予定時刻から入車待ち時間を引いた時間を入車制限開始予定時刻とする。
【0029】
制限予定時間帯算出部23は、駐車場予約データベース26を、或る診察日について、入車予定時刻順に並べ替え(S1)、予約番号がN番目の入車予定時刻と予約番号が(N+1)番目の入車予定時刻との差を順次求め(S2)、予約番号が1番の入車待ち車両台数に1を代入する(S3)。
【0030】
例えば、駐車場予約データベース26における予約番号1番〜4番に対し前述したステップS1〜S3の処理が実行されたデータ配列(図6参照)について、制限予定時間帯算出部23は予約番号順に以下の処理(S4〜S11)を実行する。尚、図6は、第1の実施の形態の駐車場予約データベース26から入車制限データベース27を生成する過程を説明するためのデータ配列の図表である。
【0031】
制限予定時間帯算出部23は、前述したデータ配列において、後述するステップS9及びS10で求められる入車待ち車両台数と、平均出車時間(図6の例示では10分間)とを乗算して、入車待ち時間を求める(S4)。尚、前述したように、予約番号1番の入車待ち車両台数は初期値として1に設定されている。
【0032】
制限予定時間帯算出部23は、前述したデータ配列において、入車予定時刻から、ステップS4で求めた入車待ち時間を減算して、入車制限開始予定時刻を求める(S5)。
【0033】
制限予定時間帯算出部23は、ステップS5で求めた入車制限開始予定時刻及び入車待ち車両台数の情報を、前述したデータ配列における予約番号及び入車予定時刻の情報とともに、入車制限データベース27に登録する(S6)。
【0034】
制限予定時間帯算出部23は、前述したデータ配列に次の予約番号が存在するか否かを判別し、これが存在しないと判別した場合(S7:NO)、入車制限開始予定時刻の算出処理を終了する。
【0035】
一方、前述したデータ配列に次の予約番号が存在すると判別した場合(S7:YES)、制限予定時間帯算出部23は、次の予約番号の入車予定時刻の差と平均出車時間とを比較する(S8)。入車予定時刻の差が平均出車時間よりも短いと判別すれば(S8:YES)、制限予定時間帯算出部23は、入車待ち車両台数の数を1増加させる(S9)。一方、入車予定時刻の差が平均出車時間よりも長いと判別すれば(S8:NO)、制限予定時間帯算出部23は、入車待ち車両台数に1を代入する(S10)。
【0036】
次に、制限予定時間帯算出部23は、次の予約番号を読み出し(S11)、引き続きステップS4の処理を実行する。
【0037】
以上、ステップS4〜S11の処理を繰り返し実行することにより、図6に例示されるデータ配列が生成される。具体的には、ステップS1〜S3の処理の後、第1回目のステップS4〜S11の処理により、図6に例示されるデータ配列の第1行目が形成される。同様にして、第2〜4回目のステップS4〜S11の処理により、このデータ配列の第2〜4行目がそれぞれ形成される。
【0038】
次に、制限予定時間帯算出部23は、前述したデータ配列において、予約番号が「1」、「2」、「3」と大きくなるにともない、入車待ち車両台数も「1」、「2」、「3」と累積していく場合の最大累積台数に対応する入車制限開始予定時刻及び入車予定時刻を求める。制限予定時間帯算出部23は、入車制限開始予定時刻から入車予定時刻までを制限予定時間帯として、これを前述した一連の予約番号に共通に対応付けて、入車制限データベース27’(図7)とする。後述するゲート制御装置3は、この制限予定時間帯において、駐車場の駐車可能台数と入車待ち車両台数(最大累積台数)との比較を実行する。尚、図7は、図6に例示されるデータ配列に基づく入車制限データベース27’の構成例を示す図表である。
【0039】
具体例として、図7において、予約番号1番〜3番には入車待ち車両台数1台〜3台がそれぞれ対応し、予約番号4番には入車待ち車両台数1台が対応している。よって、最大累積台数「3」を与える予約番号3番に対応する入車制限開始予定時刻「8:42」及び入車予定時刻「9;12」が、予約番号1番〜3番の制限予定時間帯「8:42−9:12」を構成するものである。
【0040】
図8に例示されるように、予約番号1番〜3番に関しては、予約番号が大きくなるほど、制限予定時間帯の最初と最後との範囲がより大きくなっている。このうちの最も大きい範囲の制限予定時間帯において、後述するゲート制御装置3による比較処理が実行される。一方、予約番号4番に関しては、制限予定時間帯「9:27−9:37」において、後述するゲート制御装置3による比較処理が実行される。尚、図8は、第1の実施の形態の制限予定時間帯の一例を示すダイアグラムである。
【0041】
===ゲート制御装置(第1の実施の形態)===
図1に戻って、ゲート制御装置3の構成例について説明する。ゲート制御装置3は、例えば、駐車場の入口及び出口のゲート130付近に設けられている。
【0042】
ゲート制御装置3は、駐車台数算出部35と、現在時刻を計時する計時部36と、入車制限データベース27の情報に基づいて、駐車場予約のある車両を優先的に入車させる入車制限処理部37と、主としてゲート130の開閉指示を行う制御部38とを備えて構成される。
【0043】
また、ゲート制御装置3は、駐車券の発行及び受領用の駐車券用口31aと、予約番号入力用の入力部31bと、駐車料金としての硬貨投入用の硬貨投入口32a及び紙幣挿入用の紙幣挿入口32b(入金部32と総称する)と、ドライバに対するメッセージ等の表示用の表示部33と、駐車券に対する情報の読み取り又は書き込みを行う駐車券処理部34と、サーバ装置2から送信される入車制限データベース27の情報を受信する受信部39とを更に備えて構成されている。
【0044】
尚、本実施の形態の駐車場では、車両の入車に際し、ゲート制御装置3の表示部33を通じて、ドライバ等に対し駐車場予約の有無が問われるものとする。駐車場予約をしているドライバ(例えば、患者)は、入力部31bを通じてゲート制御装置3へ患者IDを入力して、ゲート制御装置3の駐車券処理部34から発行される駐車券を受け取るように予め取り決められているものとする。一方、駐車場予約をしていないドライバ(つまり、患者IDを入力しないドライバ)も、前述した駐車券を受け取るように予め取り決められているものとする。ここで、駐車券は、車両の入車時刻や入車ID等を記憶する磁気テープや無線タグ等の記憶手段を備えているものとする。この入車IDは、例えば駐車券の固有情報であってもよい。ドライバは、駐車場からの出車時に、この駐車券を駐車券用口31aへ挿入するように予め取り決められているものとする。
【0045】
駐車券処理部(発行部、受領部)34は、駐車券の発行時、所定の収容部に予め収容された複数の駐車券のうちの1つから、その記憶手段に予め記憶された入車IDを読み取る機能を有するものである。この駐車券処理部34は、読み取った入車IDを、制御部38が備える所定の記憶部(不図示)に格納された入車リスト38a(図9参照)へ書き込むべく、この制御部38に指示する機能を有するものとする。図9は、第1の実施の形態の入車リスト38aの構成例を示す図表である。
【0046】
また、駐車券処理部34は、駐車券の受領時、その記憶手段に記憶されている入車IDを再度読み取って、制御部38に対し、該当する入車IDを前述した入車リスト38aから削除させる機能を有するものとする。
【0047】
制御部(制限部)38は、前述した所定の記憶部を備えて、サーバ装置2の送信部24から送信される(入車制限データベース27における)或る診察日の情報を記憶するとともに、入車リスト38aを記憶するものである。制御部38は、この或る診察日の情報(患者ID、予約番号、入車待ち車両台数、制限予定時間帯の情報)に基づいて、入力部31bを通じて入力された患者IDに該当する患者が、駐車場予約をしているか否かを判別する機能を有する。
【0048】
患者IDが駐車場予約データベース26に登録されていると判別した場合、制御部38は、ゲート130を開けて車両を入車させるようになっている。一方、患者IDが所定時間入力されなかったり、入力された患者IDが駐車場予約データベース26に登録されていなかったりした場合、制御部38は、後述する比較処理の結果に応じて、ゲート130を閉じたままにして、車両の入車を制限するようになっている。
【0049】
また、制御部38は、車両の入車が完了したときに、駐車券処理部34の指示に基づいて、前述した入車リスト38aを生成する機能を有するものである。この入車リスト38aの情報は、主として、入車IDからなり、特に駐車場予約している車両に割り当てられた入車IDに対しては、患者IDに対応する予約番号等が更に対応付けられている。
【0050】
更に、制御部38は、車両が出車する際、駐車券処理部34の指示に基づいて、この車両に割り当てられた入車IDを入車リスト38aから検索するとともに、表示部33を通じて例えば駐車料金を請求する機能を有するものである。ドライバにより所定の金額分の硬貨や紙幣等が入金部32を通じて投入された場合、制御部38は、該当する出車IDを入車リスト38aから削除するようになっている。
【0051】
駐車台数算出部(第2算出部)35は、入車リスト38aを構成する入車IDの数を合計し、この合計値を、駐車場に現在駐車している車両の台数(駐車台数)とする機能を有するものである。また、駐車台数算出部35は、駐車場における車両の最大収容台数からこの駐車台数を減算して、駐車可能台数を求める機能を有するものである。
【0052】
入車制限処理部(比較部)37は、後述するように、駐車場の空きが十分でないとき、駐車場予約のある車両の車室を確保するために、駐車場予約の無い車両の入車制限を制御部38に指示する機能を有するものである。
【0053】
尚、前述した実施の形態では、駐車場予約有りの車両を特定するための患者IDは入力部31bを通じて入力されるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、ゲート制御装置3は、患者IDが記憶された所定の記憶手段を備えた診察券から、この患者IDを読み取るための所定の手段(例えばカードリーダ)を備えていてもよい。
【0054】
また、前述した実施の形態では、駐車料金は一律であったが、これに限定されるものではない。例えば、入車リスト38aが入車IDごとに入車時刻及び出車時刻を記録するものであれば、ゲート制御装置3は、この2つの時刻から駐車時間を算出し、この駐車時間に応じた駐車料金を請求してもよい。
【0055】
更に、前述した実施の形態では、駐車場における駐車台数は、駐車券の発行及び受領を記録した入車リスト38aに基づいて求められるものであったが、これに限定されるものではない。ゲート制御装置3は、例えば駐車場への車両の入車及び出車を検出する所定のセンサを備え、このセンサによる入車及び出車の検出回数に基づいて、駐車台数を求めてもよい。
【0056】
===駐車場管理装置の管理方法(第1の実施の形態)===
図10を参照しつつ、前述した構成を備えた駐車場管理装置1の管理方法について説明する。同図は、第1の実施の形態のゲート制御装置3の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0057】
以下、駐車場に対し、駐車場予約の無い車両が入車する場合について考える。前述したように、これは、入力部31bから患者IDが入力されない場合である。
入車制限処理部37は、計時部36により計時された現在の時刻を参照する(S11)。
入車制限処理部37は、現在の時刻が、制御部38の前述した所定の記憶部に記憶された制限予定時間帯に含まれるか否かを判別する(S12)。
【0058】
現在の時刻が制限予定時間帯に含まれないと判別した場合(S12:NO)、入車制限処理部37は、後述する通常の入車制限の処理を実行する(S18)。
現在の時刻が制限予定時間帯に含まれると判別した場合(S12:YES)、入車制限処理部37は、駐車台数算出部35に対し、入車リスト38aを構成する入車IDの数を合計して現在の駐車台数を求めさせる(S13)。
【0059】
入車制限処理部37は、駐車台数算出部35に対し、駐車場における車両の最大収容台数から、ステップS13で求めた駐車台数を減算して、駐車可能台数(空き車室数)を求めさせる(S14)。
【0060】
入車制限処理部37は、制御部38の前述した所定の記憶部に記憶された入車待ち車両台数と、空き車室数とを比較する(S15)。尚、この入車待ち車両台数は、前述した最大累積台数である。例えば、入車待ち車両台数は、図7に例示される入車制限データベース27’では、制限予定時間帯が「8:42−9:12」の場合は「3」であり、制限予定時間帯が「9:27−9:37」の場合は「1」である。
【0061】
空き車室数が入車待ち車両台数以下の場合(S15:YES)、入車制限処理部37は、制御部38に入車制限を指示する(S16)。この場合、表示部33には、例えば「満車につき少々お待ち下さい」が表示されるとともに、ゲート130は閉じたままで車両の入車は拒否される。
空き車室数が入車待ち車両台数を超える場合(S15:NO)、入車制限処理分37は、制御部38に入車制限の解除を指示し(S17)、その後、ステップS11の処理を継続する。
【0062】
本実施の形態では、例えば、患者ID「111」の患者は、病院への診察予約とともに、その駐車場に9:00に入車する予約をしている(図7)。同様に、患者ID「112」の患者は、駐車場に9:05に入車する予約をし、患者ID「113」の患者は、駐車場に9:12に入車する予約をし、患者ID「114」の患者は、駐車場に9:37に入車する予約をしている(図7)。
【0063】
本実施の形態の駐車場管理装置1によれば、制限予定時間帯8:42〜9:12では、予約をした患者3人の車両は、ゲート制御装置3の入力部3を通じて入力される患者ID(「111」、「112」、「113」)により識別されて、駐車場への入車が許可される。一方、この制限予定時間帯8:42〜9:12では、予約していないドライバの車両は、駐車可能台数が3を超えていれば、駐車場への入車が許可され、駐車可能台数が3以下であれば、駐車場への入車が禁止される。
【0064】
9:12〜9:27では、予約していないドライバの車両は、駐車可能台数がゼロでなければ、駐車場への入車が許可される(通常の入車制限)。
【0065】
制限予定時間帯9:27〜9:37では、予約をした患者1人の車両は、ゲート制御装置3の入力部3を通じて入力される患者ID(「114」)により識別されて、駐車場への入車が許可される。一方、この制限予定時間帯9:27〜9:37では、予約していないドライバの車両は、駐車可能台数が1を超えていれば、駐車場への入車が許可され、駐車可能台数が1以下であれば、駐車場への入車が禁止される。
【0066】
以上から、本実施の形態の駐車場管理装置1によれば、駐車場に予約のある車両の駐車場所を確保するとともに、予約の無い車両にもできるだけ駐車場所を提供できる。
【0067】
===第2の実施の形態===
以下、前述した車室を確保するための他の実施の形態について説明する。
図11に例示されるように、本実施の形態の駐車場4では、車室41、42、43、44に対し、車室番号「1」、「2」、「3」、「4」がそれぞれ付されている。同図は、第2の実施の形態の駐車場4の一例を示す模式図である。この車室番号は、例えばアスファルトに白く塗装されたものである。本実施の形態では、各予約車(駐車場予約がある車両)に車室番号を割り当てておき、予約車が入車する際、該当する車室番号をドライバ(例えば、患者)に通知するものである。
【0068】
図12に例示されるように、本実施の形態のサーバ装置2’は車室割当部28を備える。同図は、第2の実施の形態の駐車場管理装置1’の構成例を示すブロック図であり、図1に例示される駐車場管理装置1と同じ構成については同符号が付されている。車室割当部28は、前述した駐車場予約情報が入車予定時刻に加えて出車予定時刻の情報を有している場合に、この出車予定時刻を利用して車室41、42、43、44の割当を行うものである。車室割当部28は、この車室41、42、43、44の割当に関する情報を、車室番号リスト38bとして生成するものである。車室番号リスト38bは、前述した患者ID、予約番号、及び入車予定時刻に対し、更に、出車予定時刻及び車室番号が対応付けられたものである(図13参照)。尚、図13は、第2の実施の形態の車室番号リスト38bの構成例を示す図表である。
【0069】
図14を参照しつつ、前述した構成を備えた駐車場管理装置1’による車室割当処理について説明する。同図は、第2の実施の形態の駐車場管理装置1’による車室割当処理の手順の一例を示すフローチャートである。車室割当部28は、駐車場予約データベース26を参照し、車室41、42、43、44が割り当てられていない駐車場予約情報のうちで入車予定時刻の最も早いものを選択する(S21)。
車室割当部28は、選択した駐車場予約情報に対し車室番号(例えば、「1」)を割り当てて、車室番号リスト38bに登録する(S22)。
車室割当部28は、ステップS21で車室番号が割り当てられた駐車場予約情報の出車予定時刻を一時変数Syussya(出車)に代入する(S23)。
【0070】
もし一時変数Syussyaよりも入車予定時刻の遅い駐車場予約情報が駐車場予約データベース26にあると判別した場合(S24:YES)、車室割当部28は、この駐車場予約情報に対しステップS22で選択された車室番号(例えば、「1」)を割り当てて、車室番号リスト38bに登録し(S25)、この駐車場予約情報の出車予定時刻を一時変数Syussyaに代入して(S26)、引き続きステップS24の処理を実行する。
一方、一時変数Syussyaよりも入車予定時刻の遅い駐車場予約情報が駐車場予約データベース26にないと判別した場合(S24:NO)、車室割当部28は、引き続きステップS21の処理を実行する。
【0071】
車室割当部28は、駐車場予約データベース26に登録された全ての駐車場予約情報に車室番号を割り当てるまで、ステップS21〜S26の処理を繰り返し実行する。
【0072】
車室番号リスト38bに基づく入車制限は、ゲート制御部3’の制御部38で実行される。制御部38は、サーバ装置2’から車室番号リスト38bを受信すると、所定の記憶部(不図示)に記憶させる。制御部38は、表示部33を通じて駐車場予約の有無を問い合わせ、入力部31bを通じて入力された患者IDが車室番号リスト38bに登録されている場合、患者IDに該当する車室番号を駐車券に印刷するとともに、この車室番号が塗装された車室41、42、43、44へ駐車を促すメッセージ等を表示部33に表示させる。
【0073】
本実施の形態では、予約車の車室41、42、43、44を確保するために、駐車場予約データベース26に登録された駐車場予約情報の入車予定時刻と出車予定時刻とが重ならないように車室番号を割り当て、割り当てた車室番号を、駐車場4を予約したドライバに通知するものである。駐車場4を予約したドライバは、指定された車室番号の塗装された車室41、42、43、44に車両を駐車させる。
【0074】
本実施の形態の駐車場管理装置1’は、入車予定時刻及び出車予定時刻に基づいて予め定められた車室に予約の有る車両を駐車させる一方、もし予約の無い車両を駐車させる際には、これを前記の車室以外の車室に駐車させている。よって、予約の有る車両の車室を確実に確保することができる。
【0075】
===その他の実施の形態===
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されるとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0076】
本発明は、前述した病院の診察予約だけでなく、例えば航空券の予約及び飛行場の駐車場の予約にも適用できる。或いは、本発明は、例えばスポーツ観戦やコンサート等のチケット予約及びその周辺の駐車場の予約にも適用できる。インターネット等の予約画面を通じて本来の予約を行うとともに駐車場の予約をさせることで、この駐車場は、駐車予約有りの車両に対し駐車場所が過不足なく確保されつつ、一時利用の車両にも待ちの少ないものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1の実施の形態の駐車場管理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の診察予約データベースの構成例を示す図表である。
【図3】第1の実施の形態の駐車場予約データベースの構成例を示す図表である。
【図4】第1の実施の形態の入車制限データベースの構成例を示す図表である。
【図5】第1の実施の形態の制限予定時間帯算出部の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態の駐車場予約データベースから入車制限データベースを生成する過程を説明するためのデータ配列の図表である。
【図7】図6に例示されるデータ配列に基づく入車制限データベースの構成例を示す図表である。
【図8】第1の実施の形態の制限予定時間帯の一例を示すダイアグラムである。
【図9】第1の実施の形態の入車リストの構成例を示す図表である。
【図10】第1の実施の形態のゲート制御装置の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態の駐車場の一例を示す模式図である。
【図12】第2の実施の形態の駐車場管理装置の構成例を示すブロック図である。
【図13】第2の実施の形態の車室番号リストの構成例を示す図表である。
【図14】第2の実施の形態の駐車場管理装置による車室割当処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1、1’ 駐車場管理装置 2、2’ サーバ装置
3、3’ ゲート制御装置 4 駐車場
21 診察予約情報登録部 22 駐車場予約情報登録部
23 制限予定時間帯算出部 24 送信部
25 診察予約データベース 26 駐車場予約データベース
27、27’ 入車制限データベース 28 車室割当部
31a 駐車券用口 31b 入力部
32a 硬貨投入口 32b 紙幣挿入口
32 入金部 33 表示部
34 駐車券処理部 35 駐車台数算出部
36 計時部 37 入車制限処理部
38 制御部 38a 入車リスト
38b 車室番号リスト 39 受信部
41、42、43、44 車室 110 予約端末
120 患者端末 130 ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場への車両の駐車予約が可能である駐車場管理装置であって、
前記車両に関する情報と、前記車両の駐車予約日時を示す情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、
時間を計時する計時部と、
前記記憶部の記憶内容に基づいて、前記計時部の計時時間における前記車両の駐車予約台数を算出する第1算出部と、
前記第1算出部の算出結果に基づいて、前記車両の駐車予約台数分の駐車場所を確保するべく、前記駐車場への駐車予約無しの車両の駐車を制限する制限部と、
を備えたことを特徴とする駐車場管理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記車両の駐車場所を示す情報を更に対応付けて記憶し、
前記第1算出部は、前記記憶部の記憶内容に基づいて、前記車両の駐車予約台数を前記車両の駐車場所と対応付けて算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理装置。
【請求項3】
前記駐車場の入出車台数に基づいて車両の駐車可能台数を算出する第2算出部と、
前記計時部の計時時間における前記駐車予約台数と前記駐車可能台数とを比較する比較部と、を備え、
前記制限部は、前記駐車可能台数が前記駐車予約台数以下である場合、前記駐車場への駐車予約無しの車両の駐車を禁止する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車場管理装置。
【請求項4】
前記車両に関する情報は、前記車両の使用者のIDであり、
前記制限部は、前記駐車場への駐車予約有りの車両の使用者のIDが、前記記憶部に記憶されたIDと一致した場合、当該車両の駐車を許可する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の駐車場管理装置。
【請求項5】
前記駐車場へ前記車両が入車する際、当該車両へ駐車券を発行する発行部と、
前記駐車場から前記車両が出車する際、当該車両から前記発行部により発行された駐車券を受領する受領部と、を備え、
前記第2算出部は、前記発行部による前記駐車券の発行数と、前記受領部による前記駐車券の受領数とに基づいて、前記駐車可能台数を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の駐車場管理装置。
【請求項6】
駐車場への車両の駐車予約が可能である駐車場管理装置の管理方法であって、
前記車両に関する情報と、前記車両の駐車予約日時を示す情報と、を対応付けて記憶する記憶ステップと、
時間を計時する計時ステップと、
前記記憶ステップの記憶内容に基づいて、前記計時ステップの計時時間における前記車両の駐車予約台数を算出する算出ステップと、
前記算出ステップの算出結果に基づいて、前記車両の駐車予約台数分の駐車場所を確保するべく、前記駐車場への駐車予約無しの車両の駐車を制限する制限ステップと、
を備えたことを特徴とする駐車場管理装置の管理方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−286684(P2007−286684A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110014(P2006−110014)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】