説明

駐車支援装置

【課題】駐車・出車操作時に適切な画像を表示し、運転者の駐車・出車操作を支援する。
【解決手段】自車両に取り付けられたカメラ1a〜1dの撮像画像をそれぞれ取得する撮像画像取得機能と、撮像画像から自車両周囲の合成画像を生成する合成画像生成機能と、自車両が目標駐車位置へ移動する際又は自車両が駐車位置から他の位置へ移動する際の車両情報に基づいて駐車誘導軌道又は出車誘導軌道を含む運転支援情報を生成する運転支援情報生成機能と、自車両を移動させる際に車両側から取得した操舵角度に基づいて、自車両の周囲に存在する可能性のある障害物を見るための監視方向を算出する監視方向算出機能と、監視方向を見る監視画像を取得する監視画像取得機能と、運転支援情報が重畳された前記合成画像を表示させるとともに、取得された監視画像を表示させる表示制御機能と、を実行する制御装置10を備えた駐車支援装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車時の運転操作又は出車時の運転操作に役立つ情報を提供する駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置に関し、車両に搭載された複数のカメラで撮像した画像を繋ぎ合せて生成した車両上空の仮想視点から見た車両周囲の合成画像と、車両が前進しているか後退しているかに応じて選択された撮像画像とをディスプレイに表示する駐車支援装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−298178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、表示される画像が車両の進行方向に基づいて選択されるため、駐車操作時や出車操作時に必ずしも適切な画像が表示されているとは限らないという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、駐車操作時や出車操作時に適切な画像を表示し、運転者の駐車操作及び出車操作を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、駐車誘導軌道又は出車誘導軌道に沿って自車両を移動させる際の操舵角度に基づいて、自車両の周囲に存在する可能性のある障害物を確認するための監視方向を算出し、自車両から監視方向を見た監視画像を合成画像とともに表示させることにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駐車誘導軌道又は出車誘導軌道に沿って自車両を移動させる際に注意すべき監視方向を見た監視画像と自車両を俯瞰する合成画像とを同時に表示させるので、自車両の進行方向とは異なる方向に障害物があったとしても、その障害物を確認しながら自車両を又は駐車位置以外の位置移動させることができる。この結果、駐車操作又は出車操作を行う運転者に適切な情報を提供して、運転者の駐車時及び出車時の運転操作を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る実施形態の駐車支援装置を含む駐車支援システムの構成図である。
【図2】本実施形態の車載カメラの設置位置の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る駐車操作時の運転支援システムの制御手順を示すフローチャート図である。
【図4A】駐車操作時に車両の進行方向に応じた撮像方向を示す図である。
【図4B】本実施形態の駐車支援処理に係り、車両の操舵角度に応じた撮像方向(監視方向)を示す図である。
【図5】駐車操作における運転支援情報の表示例を示す図である。
【図6】広い駐車エリアに縦列駐車をする車両の動きを示す図である。
【図7】狭い駐車エリアに縦列駐車をする車両の動きを示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る出車操作時の運転支援システムの制御手順を示すフローチャート図である。
【図9A】出車操作時に車両の進行方向に応じた撮像方向を示す図である。
【図9B】本実施形態の出車支援処理に係り、車両の操舵角度に応じた撮像方向(監視方向)を示す図である。
【図10】出車操作における運転支援情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る駐車支援装置を車載の駐車支援システム1000に適用した場合を例にして説明する。なお、本発明の駐車支援とは、車両を所定の駐車位置に移動させる入車(入庫)時の操作の支援のみならず、車両を駐車位置から他の位置に移動させる出車(出庫)時の操作の支援をも含む。
【0010】
図1は、本実施形態に係る駐車支援装置100を含む駐車支援システム1000のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態の駐車支援システム1000は、駐車支援装置100の他に、自車両の外部に固定された4つの車載カメラ1a〜1dと、車両コントローラ2と、運転支援情報を表示するディスプレイを備える表示装置3及びこの表示を切り替える表示切替スイッチ31と、イグニッションスイッチ4と、撮像スイッチ5と、測距装置6と、カメラ1a〜1dの撮像方向を設定するカメラ駆動装置7とを備えている。カメラ駆動装置7は、モータなどを備え、カメラ1a〜1dの取り付け軸を動かして、その撮像方向を任意の方向に設定することができる。
【0011】
上述の車両コントローラ2は、車両のシフト位置のポジションに応じた信号を出力するポジションスイッチ21と、車速情報を出力する車速センサ22と、ステアリングの操舵角情報を出力する操舵角センサ23と、ステアリングにかかる操舵力を検出するトルクセンサ24と各種車両情報を授受することができる。さらに、車両コントローラ2は、車両の駆動に関わる駆動系25及び車両の操舵に関わる操舵装置26と各種車両情報を授受することができる。
【0012】
本実施形態の操舵装置26は、ステアリングコントローラ261を備えている。本実施形態におけるステアリングコントローラ261は、例えばコラムシャフトに取り付けられるモータ等の制御を実行する。具体的に、ステアリングコントローラ261は、車両コントローラ2を介して取得された各種車両情報から求められた駐車誘導軌道と自車両位置に基づいて目標操舵角を算出し、この目標操舵角に追従するように操舵を自動で行う機能を備えている。なお、本実施形態では電動パワーステアリング(EPS)を備える車両を例に説明するが、EPS以外にも油圧パワーステアリングやステアバイワイヤ等を備える車両でも実現可能である。
【0013】
これらの各装置はCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行うことができる。
【0014】
同図に示すように、本実施形態に係る駐車支援装置100の制御装置10は、合成画像とともに注意すべき障害物が含まれる監視画像とを表示させるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、駐車支援装置100として機能させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備えている。
【0015】
本実施形態に係る駐車支援装置100の制御装置10は、撮像画像取得機能と、合成画像生成機能と、運転支援情報生成機能と、監視方向算出機能と、監視画像取得機能と、表示制御機能とを備えている。本実施形態の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行することができる。
【0016】
以下に、駐車支援装置100の制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。
【0017】
まず、制御装置10の撮像画像取得機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、イグニッションスイッチ4に入力操作がされ、撮像スイッチ5に入力操作がされると、車載カメラ1a〜1dは、CCD(Charge Coupled Devices)等の撮像素子を用いて構成され、所定周期で車両周囲を撮像する。撮像画像取得機能の起動のトリガは限定されない。たとえば、一時停止後に、ポジションスイッチをリバースに入れる操作がされた(リバースポジションスイッチオン情報が入力された)などの車両の駐車操作パターンに応じた操作信号を車両コントローラ2から取得した場合に撮像画像の取得を開始するようにしてもよいし、車載ナビゲーション装置のGPS装置によって検出された現在位置が、同ナビゲーション装置の地図情報中の駐車場領域に含まれた後に、先述の駐車操作パターンに応じた操作信号を車両コントローラ2から取得した場合に撮像画像の取得を開始するようにしてもよいし、一時停止後に車両周囲を撮像し、撮像画像中に駐車区画に応じた白線が抽出された場合に撮像画像の取得を開始するようにしてもよい。また、後述する出車操作パターンは、駐車支援処理を利用して停車した後にイグニッションがオン操作されたなどの車両の出車操作パターンを予め定義しておき、撮像画像取得機能のトリガとすることができる。
【0018】
図2は、車載カメラ1a〜1dを車両に取り付ける場合の配置例を示す図である。車載カメラ1a〜1dは、車両の外部の異なる位置に各々設置され、車両周囲の4方向の画像をそれぞれ撮影する。本例では、図2に示すように、フロントグリル近傍などの車両前方の所定位置に設置された車載カメラ1aと、左右のサイドミラー近傍に設置され車載カメラ1b,1cと、車両後方の所定位置に設置された車載カメラ1dとが設けられている。これら4台の車載カメラ1a〜1dは所定周期で撮像画像を駐車支援装置100の制御装置10へ送出する。
【0019】
次に、制御装置10の合成画像生成機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、取得した各車載カメラ1a〜1dの撮像画像に基づいて車両上方の仮想視点から車両及び車両周囲を見下ろした一つの合成画像を生成する。制御装置10は、異なる位置の車載カメラ1a〜1dによって取得された各撮像画像を、各撮像画像の画素アドレスと合成画像におけるアドレスとの対応関係を示す変換テーブルを予め準備し、これを参照して各撮像画像を合成画像の座標へ変換する。そして、制御装置10は、座標変換された各撮像画像を繋ぎ合せ、車両及び車両周囲の様子を示す一つの合成画像を生成する。この合成画像の生成手法は、公知の手法を用いることができる。
【0020】
次に、運転支援情報生成機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、自車両が目標駐車位置へ移動する際の車両情報に基づいて、自車両の現在位置及びこの現在位置から目標駐車位置へ移動する際の駐車誘導軌道を含む運転支援情報を生成する。特に限定されないが、この駐車誘導軌道は、駐車操作の開始後、後退を開始する後退開始位置と、最終的に駐車する目標駐車位置と、途中で切り返すための駐車途中位置と、ステアリング操舵に連動した線である操舵連動線と、目標駐車位置に至る理想的な進路予想線とを含む。特に限定されないが、制御装置10は、クロソイド曲線、円弧、直線の組合せ、又は予め定義された任意の軌跡を用いて現在位置から目標駐車位置までの駐車誘導軌道を算出する。駐車誘導軌道を算出する手法は、出願時において知られている駐車誘導手法を用いることができる。
【0021】
制御装置10は、算出した駐車誘導軌道と自車両位置とを車両コントローラ2を介してステアリングコントローラ261に送信する。ステアリングコントローラ261は、この駐車誘導軌道に沿って車両が移動できるように、操舵装置26,駆動系25を制御して駐車アシスト処理を行う。他方、制御装置10は、駐車アシスト処理が実行される際の操舵角度などの車両情報を車両側の車両コントローラ2から取得することができる。
【0022】
具体的に、制御装置10は、ステアリングコントローラ261を介して、車両のモータにてステアリングホイールの回転速度、操舵トルクを制御して、駐車誘導軌道に沿って車両を移動させる。この駐車アシスト処理の際に、制御装置10は、ステアリングホイールと同軸上に配置されたトルクセンサ24から取得したトルク情報、舵操舵角センサ23から取得した操舵角情報、車速センサ22から取得した車輪の回転数(車両の移動量)を、車両コントローラ2を介して取得する。そして、制御装置10は、駐車誘導軌道に沿って車両が目標駐車位置に移動できるように、操舵装置26のステアリングホイールの操舵角度、操舵トルク等を制御する。なお、駐車誘導軌道に沿って車両を目標駐車位置へ導く駐車アシスト制御は、一般に知られている手法を用いることができる。
【0023】
続いて、監視方向算出機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、駐車誘導軌道に沿って自車両を移動させる際に車両側から取得した操舵角度に基づいて、自車両の周囲に存在する可能性のある障害物を見るための監視方向を算出する。
【0024】
特に限定されないが、制御装置10は、自車両が駐車する際の操舵角度と監視方向とを予め対応づけた監視方向情報131を参照し、車両コントローラ2から取得した操舵角度を含む車両情報に基づいて監視方向を算出する。監視方向情報131は、操舵角度(方向と角度量)と、監視方向とが共通の座標に基づいて定義された情報である。
【0025】
特に限定されないが、本実施形態の監視方向情報131は、前進時の操舵角度と監視方向とを対応づけるとともに、後退時の操舵角度と監視方向とを対応づけることができる。さらに、本実施形態の監視方向情報131は、車両が一時停止してからシフトチェンジをした後の、経時的な操舵角度に監視方向を対応づけることができる。つまり、駐車時における操舵角度の変化を分類して操舵角度の経時的変化パターンを作成し、この操舵角度の経時的変化パターンに監視方向を時間ごとに対応づけることが可能である。加えて、監視方向情報131には車輪の回転数などによって導出された移動距離の要素を加えることができる。すなわち、車両の駐車開始から駐車終了までの任意のタイミング(各位置)ごとに、操舵角度と監視方向とを対応づけた監視方向情報131を準備することも可能である。このように、予め、操舵角度と監視方向とを予め対応づけた監視方向情報131を定義しておくことにより、処理の迅速化を図ることができる。
【0026】
監視方向の算出処理は、所定周期で行い、順次、障害物の存在位置を示す情報を更新する。このように、自車両が駐車する際、つまり、自車両が駐車操作を開始した現在位置から目標駐車位置に移動する間の複数の位置で監視方向を設定することにより、後の処理において、その位置ごとに注意すべき適切な監視画像の表示を行うことができる。この結果、移動に伴い注意すべき監視方向が変化する場合でも、常時、適切な方向を監視することができる。
【0027】
なお、障害物に対する自車両の向きは、駐車操作とともに刻々と変化するので、操舵角度の移動履歴と、車輪の回転数、車輪の径などの車両情報を、所定周期で車両コントローラ2を介して取得することが好ましい。また、障害物に対する自車両の向き(監視方向)を算出するにあたり、自車両と目標駐車位置との位置関係を利用することも可能である。たとえば、目標駐車位置に対して角度をもって移動する自車両が目標駐車領域の境界(縦列駐車であれば目標駐車位置の前後の車両の側面を結んだ線を自車両の一部が越えたことを車両情報から判断し、このタイミングにおける目標駐車位置との位置関係に応じて障害物に対する自車両の向き(監視方向)を求めることも可能である。
【0028】
なお、本例では、駐車アシスト処理が実行された場合の操舵角度その他の車両情報を取得する例を説明するが、駐車アシスト処理が実行されず、運転者が駐車誘導機能を参考にして自ら駐車操作をした場合の操舵角度その他の車両情報を取得して監視方向を算出することもできる。
【0029】
監視方向の算出処理は、自車両の近傍に障害物が存在すると判断された場合に行うようにしてもよい。自車両の近傍に障害物があるか否かは、先述した測距装置6を用いて算出することができる。この場合において、本実施形態の制御装置10は、測距装置6に自車両から自車両の周囲に存在する物体までの距離を計測させる。本実施形態の測距装置6としては、超音波、電磁波、レーザー等の反射波に基づいて距離を計測する公知のものを用いることができる。もちろん、公知の手法を用いて、車両に搭載されているカメラ1a〜1dの撮像画像に基づいて、車両から撮像画像に含まれる物体までの距離を算出することもできる。本実施形態の制御装置10は、測距装置6により計測された車両周囲の物体までの距離が所定値未満である物体を検出した場合に、上述の監視方向の算出処理を行うことができる。
【0030】
続いて、監視画像取得機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、自車両から監視方向を見る監視画像を取得する。
【0031】
監視画像の取得手法は特に限定されないが、以下の3つの手法により監視画像を取得することができる。
【0032】
第一の手法として、本実施形態の制御装置10は、カメラ1a〜1dの撮像方向が監視方向に沿うように設定する設定命令をカメラ駆動装置7へ送出し、カメラ1a〜1dの撮像方向が監視方向に設定されたカメラ1a〜1dによって撮像された撮像画像を監視画像として取得する。
【0033】
このように、駐車時における操舵角度に応じた監視方向をカメラ1a〜1dに撮像させて、その撮像画像を監視画像として取得するので、駐車時の車両の向きに応じた適切な監視方向をカメラ1a〜1dの撮像画像によって監視することができる。また、自車両が現在位置から目標駐車位置へ移動する(駐車する)際に、操舵角度に応じた監視方向を経時的に求めることにより、移動中の自車両の障害物に対する向き(相対位置)に応じた適切な監視方向をカメラ1a〜1dの撮像画像によって監視することができる。
【0034】
第二の手法として、本実施形態の制御装置10は、各カメラ1a〜1dの撮像方向と監視方向とを比較し、監視方向との差が最も小さい撮像方向を撮像するカメラ1a〜1dの撮像画像を監視画像として取得することができる。例えば、監視方向を含む監視領域を撮像しているカメラ1a〜1dの撮像画像を監視画像として取得することができる。
【0035】
このように、監視方向との差が小さい撮像方向を撮像するカメラ1a〜1dの撮像画像を監視画像として取得することにより、カメラ駆動装置7を設けなくても、監視方向に近い方向を撮像する監視画像を取得することができ、第一の手法と同様に運転者の駐車操作を支援することができる。また、カメラ1a〜1dの撮像画像の中から監視画像を選択することにより、監視画像を迅速に取得することができる。このため、駐車時において注意すべき監視画像を迅速に提示させることができる。
【0036】
第三の手法として、本実施形態の制御装置10は、各カメラ1a〜1dの撮像画像の中から、自車両から監視方向を見た所定範囲の画像を切り出し、切り出された画像を監視画像として取得することができる。たとえば、広角のカメラ1a〜1dを配置し、撮像画像の中から監視画像を取得するように構成することもできる。
【0037】
このように、監視方向を見た所定範囲の画像をカメラ1a〜1dの撮像画像から切り出して監視画像として取得することにより、第一の手法と同様に運転者の駐車操作を支援することができ、第二の手法と同様に、カメラ駆動装置7を設けなくても、監視方向を見た監視画像を取得することができる。
【0038】
本実施形態の制御装置10は、操舵角度に応じた監視方向を見た一つの監視画像を特定するので、監視すべき方向を絞り込むことができる。この結果、運転者の注意を監視すべき方向に集中させることができる。
【0039】
最後に、表示制御機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、運転支援情報が重畳された合成画像を表示させるとともに、選択された監視画像を表示装置3に表示させる。
【0040】
本実施形態の表示装置3は、自車両のダッシュボード付近に取り付けられたナビゲーション装置などの車載機器用の液晶ディスプレイを用いることができる。表示装置3は、制御装置10から供給された俯瞰映像に運転支援情報を重畳させた画像を表示することにより、自車両を目標駐車位置に駐車をするための支援情報を運転者に提供する。車載機器用の液晶ディスプレイは、横長の表示画面を有するものが多いが、運転支援情報は車両の前後方向の動きを表示するために縦長になる。このため、表示装置3のディスプレイにおける表示領域を左右に区分し、一方に合成画像を表示し、他方に監視画像を表示する。このように、表示装置3のディスプレイに、駐車操作を支援する運転支援情報が重畳された合成画像と、駐車操作時に注意を払うべき監視画像を同時に表示できる。なお、操舵角度に応じて監視方向(車両から見る方向)が切り替わるが、カメラ1a〜1dの高さ位置や取り付け角度が共通するため、運転者がどの方向の画像であるか分からなくなる場合がある。このため、監視方向がどの方向であるのかを監視画像上に矢印などで表示することが好ましい。
【0041】
このように、合成画像上に重畳された駐車誘導軌道を表示されるとともに、監視画像も表示されるので、運転者は、監視画像により駐車に際して注意すべき方向の状態を確認しつつ、目標駐車位置まで車両を移動させる経路を認識することができる。
【0042】
続いて、図3〜図5に基づいて、本実施形態の駐車支援装置100の動作を具体的に説明する。
【0043】
図3は本発明の実施形態に係る駐車支援システム1000の制御手順を示すフローチャート図、図4Aは駐車操作時に車両の進行方向に応じた撮像方向を示す図、図4Bは本実施形態の駐車時の駐車支援処理に係り、車両の操舵角度に応じた撮像方向(監視方向)を示す図、図5は運転支援情報の表示例を示す図である。
【0044】
図3のフローチャートに示す処理は、所定周期で実行される。まず、ステップS10において、制御装置10は、駐車誘導軌道に沿って自車両を移動させる際の操舵角度を含む車両情報を車両コントローラ2から取得する。
【0045】
同ステップS10において、制御装置10は自車両の位置を算出するとともに、目標駐車位置を決定する。目標駐車位置は、運転者の入力操作により決定されてもよいし、駐車前に停車した位置と停車後の操舵角に基づいて自動的に決定されてもよいし、撮像画像から抽出された駐車領域を区切る白線との位置関係に基づいて自動的に決定されてもよい。決定された目標駐車位置は、座標変換などの画像処理を経て合成画像上に重畳して表示される。
【0046】
本例では、図4A,図4Bに示すように、自車両が位置V1で一度停車してから、V2,V3の位置を経て目標駐車位置Pへ移動し、縦列駐車をする。位置V1は処理開始時における自車両の現在位置である。この場合において自車両が監視すべき方向は目標駐車位置Pの前方の物体Ob1と後方の物体Ob2が存在する方向である。
【0047】
続くステップS20において、制御装置10は自車両の現在位置から目標駐車位置まで移動する場合の最適な駐車誘導軌道を算出する。本ステップS20において、制御装置10は、生成された駐車誘導軌道と自車両の現在位置から、自車両が駐車誘導軌道をトレースするために必要な操舵角度を取得するとともに、自車両の実際の操舵操作が操舵角度に追従するようにステアリングコントローラ261を介して操舵装置26の制御を行う。
【0048】
ステップS30において、制御装置10は、カメラ1a〜1dが起動されていない場合は処理を終了し、カメラ1a〜1dが起動されている場合にはステップS40へ進む。
【0049】
ステップS40において、制御装置10は、自車両が障害物に近接しているか否かを判断する。この判断は、測距装置6から取得した自車両と物体との距離が所定閾値未満である場合には自車両が障害物に接近していると判断してステップS110に進み、自車両と物体との距離が所定閾値以上である場合には自車両が障害物に接近していないと判断してステップS50へ進む。
【0050】
自車両が障害物に接近しておらず、本実施形態における操舵角度に応じた監視方向の監視画像を提示する処理を実行しない場合には、制御装置10は、自車両の進行方向に応じた監視画像を提示する。つまり、制御装置10は、シフトポジションへ操作入力があり(S50)、シフトポジションがリア(R)である場合には(S60でYes)、カメラ1dによって撮像されたリアビューを表示装置3に表示させる(S80)。他方、シフトポジションがリア(R)以外である場合には(S60でNo)、カメラ1aによって撮像されたフロントビューを表示装置3に表示させる(S70)。
【0051】
具体的に、図4Aに示すOb1及びOb2が存在しないと仮定すると、制御装置10は、自車両が現在位置V1に進むときには、カメラ1aによって撮像されたフロントビューを表示させる。次に、自車両が現在位置V1で停止し、シフトポジションがリアに入力され、自車両が現在位置V1から後退を開始すると、位置V2,V3を経て目標駐車位置Pに至るまで、制御装置10は、カメラ1dによって撮像されたリアビューを表示させる。
【0052】
他方、ステップS40において自車両と障害物とが接近したと判断され、さらにステップS110でシフトポジションに操作入力がされた場合には、ステップS120へ進み、制御装置10は操舵角度に応じた監視方向の監視画像を提示する処理を実行する。
【0053】
シフトポジションがリア(R)以外である場合には(S120でNo)、制御装置10は駐車誘導軌道に沿って自車両を移動させる際に車両側から取得した操舵角度を取得する(S130)。続いて、ステップS140において、制御装置10は、操舵角度に基づいて、自車両の周囲に存在する可能性のある障害物を見るための監視方向を算出する。そして、ステップS150において、自車両から監視方向を見る監視画像を取得し、これを表示装置3に表示させる。監視画像は、リア以外のシフトポジションに応じてリア以外のカメラ1a〜1cにより撮像されたものを表示してもよいし、dにより撮像された監視情報を表示してもよい。
【0054】
同様に、シフトポジションがリア(R)である場合にも(S120でYes)、制御装置10は、駐車誘導軌道に沿って自車両を移動させる際に車両側から取得した操舵角度を取得する(S160)。続いて、ステップS170において、制御装置10は、操舵角度に基づいて、自車両の周囲に存在する可能性のある障害物を見るための監視方向を算出する。そして、ステップS180において、制御装置10は、カメラ1aの撮像方向が監視方向を向くようにカメラ駆動装置7を駆動させ、自車両から監視方向を見る監視画像を取得し、これを表示装置3に表示する。監視画像は、リアのシフトポジションに応じてリアカメラ1dにより撮像されたものを表示してもよいし、リア以外のカメラ1a〜1cにより撮像された監視情報を表示してもよい。
【0055】
具体的に、図4Bに示すように、自車両が現在位置V1で停止し、シフトポジションがリアに入力され、自車両が現在位置V1から後退を開始すると、位置V2に至るまでの操舵角度に応じて監視方向Aaが算出され、この監視方向Aaを見る監視画像(Ea領域の画像)が取得される。そして、取得された監視画像が表示装置3に提示される。監視画像はカメラ1aの撮像方向が設定された後の撮像画像であってもよいし、カメラ1aの撮像した撮像画像から切り出した画像であってもよい。また、障害物Ob1(例えば他車両)の後方右端部の像を含むのであれば、カメラ1bの撮像画像を用いることもできる。
【0056】
さらに、位置V2から位置V3に至るまでの操舵角度に応じて監視方向Adが算出され、この監視方向Adに沿った監視画像Edが取得される。そして、取得された監視画像が表示装置3に提示される。監視画像Edはカメラ1dの撮像画像であってもよいし、カメラ1dの撮像方向が設定された後の撮像画像であってもよいし、カメラ1dの撮像した撮像画像から切り出した画像であってもよい。また、図4Bでは車両の真後ろを監視方向として設定しているが、これを左右に所定角度だけ回転させた方向を監視方向として操舵角度に対応づけることもできる。
【0057】
同様に、シフトポジションがフロントの場合であっても、同様に監視方向情報131を参照し、操舵角度に応じた監視方向を算出し、監視画像を取得することができる。
【0058】
次に、図5に基づいて、ステップS70、S80、S150、S180における表示処理の態様を説明する。制御装置10は、取得された監視画像を、運転支援情報が重畳された合成画像とともに、表示装置3に表示する。
【0059】
図5は、自車両が図4Bに示すV1からV2へ移動する際に表示装置3の画面に表示される運転支援情報Mを示す。図5に示すように、運転支援情報Mの左側の領域には、自車両Vの画と駐車誘導軌道Sとが重畳された自車両を所定視点から俯瞰した合成画像Kが表示されるとともに、運転支援情報Mの右側の領域には、V1からV2へ移動する際に操舵角度と連動した物体Ob1(障害物)の存在する監視方向Abを撮像するカメラ1bの撮像画像が監視画像Qとして表示されている。
【0060】
図6は、駐車位置が広く切り返しの運転操作が不要な場合の車両V1の動きを示す図であり、図7は、駐車位置が狭く切り返しの運転操作が必要場合の車両V1の動きを示す図である。
【0061】
切り返しの運転操作が不要な場合には、図6に示すように、車両V1はポイントT0を通過してポイントT1に至り、リアのシフトポジションに切り替えて後退を開始する。後退中に障害物が接近していないのであれば、リアのシフトポジションに応じてリアビューを表示してもよい。そして、後退を開始した後に、ポイントT2において障害物Ob1が接近していると判断された場合には、操舵角度に応じた監視方向を算出し、図5に示す監視方向を見る監視画像Qを表示する。さらに、ポイントT3において障害物の接近状態が解除され、障害物との距離が所定距離以上離隔したと判断された場合には、シフトポジションがリアであることに対応して、ポイントT4で停止するまでリアビューを表示してもよい。
【0062】
切り返しの運転操作が必要な場合には、図7に示すように、車両V1はポイントT0を通過してポイントT1に至り、リアのシフトポジションに切り替えて後退を開始して、ポイントT2へ至る。後退中に障害物が接近していないのであれば、リアのシフトポジションに応じてリアビューを表示してもよい。本例では、駐車位置のエリアが狭いので、ポイントT2に至った後に、切り返しをするために前進と後退を繰り返す。本例では、ポイントT2からポイントT3へ前進する。このポイントT3において障害物Ob1が接近していると判断された場合には、操舵角度に応じた監視方向を算出し、図5に示す監視方向を見る監視画像Qを表示する。本例では、障害物との接近状態が解除されるポイントT4に至るまで監視方向を見る監視画像Qを表示する。その後、T5からT6を経てT7に至るまで、必要な回数だけ前進と後退をして切り返し操作を行う。この間、障害物との接近状態が検出されるたびに監視方向を見る監視画像Qを表示してもよいし、最初に接近状態が検出された誘導軌道(ポイントT3からT4に至る太い破線で表示した誘導軌道)においてのみ監視方向を見る監視画像Qを表示してもよい。なお、ポイントT4において障害物の接近状態が解除され、障害物との距離が所定距離以上離隔したと判断された場合には、シフトポジションがリアであることに対応して、ポイントT5に至るまでリアビューを表示してもよい。
【0063】
なお、切り返しの運転操作が必要である場合の処理と、切り替えしの運転操作が必要でない場合の処理とは、図3に示すステップS10において、ユーザが「広い駐車スペースへの縦列駐車モード」又は「狭い駐車スペースへの縦列駐車モード」の何れかを選択して入力してもよいし、撮像画像やソナーによる検出結果から駐車スペースの大きさを検出し、車両情報に含まれる自車両の大きさとの比較に基づいて「広い駐車スペースへの縦列駐車モード」又は「狭い駐車スペースへの縦列駐車モード」であるかを自動的に判断してもよい。制御装置10は、「広い駐車スペースへの縦列駐車モード」又は「狭い駐車スペースへの縦列駐車モード」に応じた演算手法を用いて、現在位置から目標駐車位置へ移動する際の駐車誘導軌道を含む駐車時における運転支援情報を生成することができる。
【0064】
本発明は以上のように構成され、以上のように作用するので、以下の効果を奏する。
【0065】
本実施形態の駐車支援装置100によれば、駐車操作開始から目標駐車位置に駐車するまでの間に、注意すべき監視方向を操舵角度に基づいて算出し、自車両から監視方向を見た監視画像Qと、駐車誘導軌道を含む自車両を俯瞰する合成画像Kとを同時に表示させるので、自車両の進行方向とは異なる方向に障害物があったとしても、その障害物を確認しながら目標駐車位置に自車両を移動させることができる。
【0066】
このように、自車両の駐車をしようとする運転者に適切な情報を常時提供することができるので、運転者は駐車誘導軌道の全体を認識しつつ、移動中の各タイミングにおいて注意すべき障害物の状態を目視することができる。
【0067】
また、本発明に係る本実施形態の駐車支援装置100によれば、予め、操舵角度と監視方向とを予め対応づけた監視方向情報131を定義しておくことにより、処理の迅速化を図ることができる。
【0068】
本発明に係る本実施形態の駐車支援装置100によれば、カメラ1a〜1dの撮像方向が監視方向に設定され、このカメラ1a〜1dによって撮像された撮像画像を監視画像として取得するので、駐車時の車両の向きに応じた適切な監視方向をカメラ1a〜1dの撮像画像によって監視することができる。
【0069】
本発明に係る本実施形態の駐車支援装置100によれば、監視方向との差が小さい撮像方向を撮像するカメラ1a〜1dの撮像画像を監視画像として取得することにより、カメラ駆動装置7を設けなくても、監視方向に近い方向を見る監視画像を取得することができる。また、カメラ1a〜1dの撮像画像の中から監視画像を選択することにより、監視画像を迅速に取得することができる。このため、駐車時において注意すべき監視画像を迅速に提示させることができる。
【0070】
本発明に係る本実施形態の駐車支援装置100によれば、監視方向を撮像する所定範囲の画像をカメラ1a〜1dの撮像画像から切り出して監視画像として取得することによりカメラ駆動装置7を設けなくても、監視方向を見た監視画像を取得することができる。
【0071】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。第1実施形態は自車両を駐車位置に移動させる駐車操作時に関するものであったが、第2実施形態は、自車両を駐車位置から他の位置へ移動させる出車操作時に関するものである。ここでは、重複した説明を避けるため、異なる点を中心に説明する。
【0072】
本実施形態の駐車支援装置の構成は、図1に示す第1実施形態の駐車支援装置の構成と共通する。本実施形態の駐車支援装置100の制御装置10は、撮像画像取得機能と、合成画像生成機能と、運転支援情報生成機能と、監視方向算出機能と、監視画像取得機能と、表示制御機能とを備えている。
【0073】
このうち、本実施形態の運転支援情報生成機能は、現在の駐車位置から他の位置へ移動する際の車両情報に基づいて、自車両の現在の駐車位置及びこの駐車位置から他の位置へ移動する際の出車誘導軌道を含む出車時における運転支援情報を生成する。つまり、制御装置10は、駐車位置から車両を出す(パークアウトする)際の運転支援情報を生成する。特に限定されないが、この出車誘導軌道は、出車操作の開始後、前進又は後退を開始する前進又は後退開始位置と、最終的に移動する走行道路などの他の位置と、途中で切り返すための出車途中位置と、ステアリング操舵に連動した線である操舵連動線と、他の位置に至る理想的な進路予想線とを含む。特に限定されないが、制御装置10は、クロソイド曲線、円弧、直線の組合せ、又は予め定義された任意の軌跡を用いて現在位置(駐車位置)から他の位置までの出車誘導軌道を算出する。これらの出車誘導軌道を算出する手法は、出願時において知られている駐車誘導手法を用いることができる。
【0074】
また、監視方向算出機能は、出庫誘導軌道に沿って自車両を移動させる際に車両側から取得した操舵角度に基づいて、自車両の周囲に存在する可能性のある障害物を見るための監視方向を算出する。なお、第1実施形態において説明した各処理は、駐車位置から車を出す出車時の操作においても適用可能であるので、第1実施形態の説明を援用する。
【0075】
続いて、図8〜図10に基づいて、本実施形態の駐車支援装置100の動作を具体的に説明する。
【0076】
図8は本発明の実施形態に係る駐車支援システム1000の制御手順を示すフローチャート図、図9Aは出車操作時に車両の進行方向に応じた撮像方向を示す図、図9Bは本実施形態の出車時の駐車支援処理に係り、車両の操舵角度に応じた撮像方向(監視方向)を示す図、図10は出車時における運転支援情報の表示例を示す図である。
【0077】
図8のフローチャートに示す処理は、ステップ20において、算出される軌道が駐車位置から他の位置へ移動するための出車誘導軌道である点が異なるが、他の処理は第1実施形態と共通する。
【0078】
同ステップS10において、制御装置10は自車両の位置を算出するとともに、駐車位置以外の他の位置を決定する。他の位置としては、駐車位置と並列に延びる道路の所定位置などを設定することができる。その他の位置は、運転者の入力操作により決定されてもよいし、駐車操作時において前進後に一時停車した位置を記憶しておき、この位置を他の位置として自動的に決定してもよいし、撮像画像から抽出された駐車領域を区切る白線との位置関係に基づいて自動的に決定されてもよい。決定された出車時の他の位置は、座標変換などの画像処理を経て合成画像上に重畳して表示される。
【0079】
本例では、図9A,図9Bに示すように、自車両が駐車位置V1で駐車している状態からV2の位置を経て他の位置V3へ移動する。本処理において、位置V1は処理開始時における自車両の現在位置である。この場合において自車両が監視すべき方向は駐車位置V1の前方の物体Ob1と後方の物体Ob2が存在する方向である。ちなみに、前進だけで駐車位置V1から他の位置V3へ移動できるのであれば、監視すべき方向は前方の物体Ob1だけであるが、切り返しのために後退する必要がある場合には、監視すべき方向は前方の物体Ob1及び後方の物体Ob2が存在する方向である。
【0080】
続くステップS20において、制御装置10は自車両の現在位置である駐車位置V1から他の位置V3まで移動する場合の最適な出車誘導軌道を算出する。本ステップS20において、制御装置10は、生成された出車誘導軌道と自車両の現在位置から、自車両が出車誘導軌道をトレースするために必要な操舵角度を取得するとともに、自車両の実際の操舵操作が操舵角度に追従するようにステアリングコントローラ261を介して操舵装置26の制御を行う。
【0081】
ステップS30において、制御装置10は、カメラ1a〜1dが起動されていない場合は処理を終了し、カメラ1a〜1dが起動されている場合にはステップS40へ進む。
【0082】
ステップS40において、制御装置10は、自車両が障害物に近接しているか否かを判断する。この判断は、測距装置6から取得した自車両と物体との距離が所定閾値未満である場合には自車両が障害物に接近していると判断してステップS110に進み、自車両と物体との距離が所定閾値以上である場合には自車両が障害物に接近していないと判断してステップS50へ進む。
【0083】
自車両が障害物に接近しておらず、本実施形態における操舵角度に応じた監視方向の監視画像を提示する処理を実行しない場合には、制御装置10は、自車両の進行方向に応じた監視画像を提示する。つまり、制御装置10は、シフトポジションへ操作入力があり(S50)、シフトポジションがリア(R)である場合には(S60でYes)、カメラ1dによって撮像されたリアビューを表示装置3に表示させる(S80)。他方、シフトポジションがリア(R)以外である場合には(S60でNo)、カメラ1aによって撮像されたフロントビューを表示装置3に表示させる(S70)。
【0084】
具体的に、図9Aに示すOb1及びOb2が存在しないと仮定すると、制御装置10は、自車両が駐車位置V1から他の位置に進むときには、カメラ1aによって撮像されたフロントビューを表示させる。他の位置V3に至る位置V2においてもフロントビューを表示させる。
【0085】
他方、ステップS40において自車両と障害物とが接近したと判断され、さらにステップS110でシフトポジションに操作入力がされた場合には、ステップS120へ進み、制御装置10は操舵角度に応じた監視方向の監視画像を提示する処理を実行する。
【0086】
シフトポジションがリア(R)以外である場合には(S120でNo)、制御装置10は出車誘導軌道に沿って自車両を移動させる際に車両側から取得した操舵角度を取得する(S130)。続いて、ステップS140において、制御装置10は、操舵角度に基づいて、自車両の周囲に存在する可能性のある障害物を見るための監視方向を算出する。そして、ステップS150において、自車両から監視方向を見る監視画像を取得し、これを表示装置3に表示させる。監視画像は、リアのシフトポジションに応じてリアカメラ1dにより撮像されたものを表示してもよいし、リア以外のカメラ1a〜1cにより撮像された監視情報を表示してもよい。
【0087】
同様に、シフトポジションがリア(R)である場合にも(S120でYes)、制御装置10は、出車誘導軌道に沿って自車両を移動させる際に車両側から取得した操舵角度を取得する(S160)。続いて、ステップS170において、制御装置10は、操舵角度に基づいて、自車両の周囲に存在する可能性のある障害物を見るための監視方向を算出する。そして、ステップS180において、制御装置10は、カメラ1aの撮像方向が監視方向を向くようにカメラ駆動装置7を駆動させ、自車両から監視方向を見る監視画像を取得し、これを表示装置3に表示する。監視画像は、フロントのシフトポジションに応じてフロントカメラ1aにより撮像されたものを表示してもよいし、フロント以外のカメラ1b〜1dにより撮像された監視情報を表示してもよい。
【0088】
具体的に、図9Bに示すように、自車両が駐車位置V1で駐車していた状態から、シフトポジションがドライブに入力され、自車両が駐車位置V1から前進を開始すると、位置V2に至るまでの操舵角度に応じて監視方向Akが算出され、この監視方向Akを見る監視画像(Ek領域の画像)が取得される。そして、取得された監視画像が表示装置3に提示される。監視画像はカメラ1aの撮像方向が設定された後の撮像画像であってもよいし、カメラ1aの撮像した撮像画像から切り出した画像であってもよい。また、障害物Ob1(例えば他車両)の後方右端部の像を含むのであれば、カメラ1bの撮像画像を用いることもできる。
【0089】
さらに、位置V2から位置V3に至るまでの操舵角度に応じて監視方向Akが順次算出され、この監視方向Akに沿った監視画像Ekが取得される。図9Bには一方向の監視方向Akを示しているが、この監視方向Akは車両の位置に応じて順次変化する。そして、取得された監視画像が表示装置3に提示される。
【0090】
同様に、シフトポジションがリアの場合であっても、同様に監視方向情報131を参照し、操舵角度に応じた監視方向を算出し、監視画像を取得することができる。
【0091】
次に、図10に基づいて、ステップS70、S80、S150、S180における表示処理の態様を説明する。制御装置10は、取得された監視画像を、運転支援情報が重畳された合成画像とともに、表示装置3に表示する。
【0092】
図10は、自車両が図9Bに示すV1からV3へ移動する際に表示装置3の画面に表示される運転支援情報Mを示す。図10に示すように、運転支援情報Mの左側の領域には、自車両Vの画と出車誘導軌道Tとが重畳された自車両を所定視点から俯瞰した合成画像Kが表示されるとともに、運転支援情報Mの右側の領域には、V1からV2へ移動する際に操舵角度に連動した物体Ob1(障害物)の存在する監視方向Akを撮像するカメラ1bの撮像画像が監視画像Qとして表示されている。
【0093】
また、駐車位置から出車する車両V1の動きは、方向が反対であるものの図6及び図7に示す駐車位置に入車する車両場V1の動きとほぼ同じである。このため、図6、7を援用して駐車位置から他の位置へ移動する際の車両V1の動きについて説明する。図6において、車両V1はポイントT3からポイントT1へ移動し、図7において車両V1は、ポイントT7からポイントT1へ移動する。
【0094】
本実施形態において駐車位置から他の位置へ移動する(出車する)場合に切り返しの運転操作が不要な場合には、図6に示すように、車両V1はポイントT4からT3及びT2を通過してポイントT1に至る。切り返しの運転操作が不要であれば、シフトポジションはフロントのままである。移動中に障害物が接近していないのであれば、フロントのシフトポジションに応じてフロントビューを表示してもよい。ポイントT3からT2へ至る場合などにおいて障害物が接近していると判断された場合には、操舵角度に応じた監視方向を算出し、図10に示す監視方向を見る監視画像Qを表示する。
【0095】
本実施形態において駐車位置から他の位置へ移動する(出車する)場合に切り返しの運転操作が必要な場合には、図7に示すように、車両V1はポイントT7からポイントT4に至るまで切り返しをするために前進と後退を繰り返す。そして、ポイントT4からポイントT3(図中太い破線で表示)のように障害物が接近していると判断された場合には、操舵角度に応じた監視方向を算出し、図5に示す監視方向を見る監視画像Qを表示する。もちろん、ポイントT7からポイントT4に至るまで切り返し中において、障害物が接近していると判断された場合に操舵角度に応じた監視方向を見る監視画像Qを表示してもよい。なお、ポイントT7からポイントT4に至る過程の後退中において障害物が接近していないのであれば、リアのシフトポジションに応じてリアビューを、フロントのシフトポジションに応じてフロントビューを表示してもよい。
【0096】
なお、切り返しの運転操作が必要である場合の処理と、切り替えしの運転操作が必要でない場合の処理とは、図8に示すステップS10において、ユーザが「広い駐車スペースからの縦列出車モード」又は「狭い駐車スペースからの縦列出車モード」の何れかを選択して入力してもよいし、撮像画像やソナーによる検出結果から駐車スペースの大きさを検出し、車両情報に含まれる自車両の大きさとの比較に基づいて「広い駐車スペースからの縦列出車モード」又は「狭い駐車スペースからの縦列出車モード」であるかを自動的に判断してもよい。なお、広い駐車スペースからの出車は特に問題がないので、狭い駐車スペースからの出車のときのみ、監視方向を見る監視画像Qを表示するようにしてもよい。
【0097】
本発明は以上のように構成され、以上のように作用するので、以下の効果を奏する。
【0098】
本実施形態の駐車支援装置100によれば、出車操作が開始され車両が駐車位置V1から他の位置へ移動するまでの間に、注意すべき監視方向を操舵角度に基づいて算出し、自車両から監視方向を見た監視画像Qと、出車誘導軌道を含む自車両を俯瞰する合成画像Kとを同時に表示させるので、自車両の進行方向とは異なる方向に障害物があったとしても、その障害物を確認しながら目標となる他の位置に自車両を移動させることができる。
【0099】
このように、自車両の出車をしようとする運転者に適切な情報を常時提供することができるので、運転者は出車誘導軌道の全体を認識しつつ、移動中の各タイミングにおいて注意すべき障害物の状態を目視することができる。
【0100】
また、本発明に係る本実施形態の駐車支援装置100によれば、予め、操舵角度と監視方向とを予め対応づけた監視方向情報131を定義しておくことにより、処理の迅速化を図ることができる。
【0101】
本発明に係る本実施形態の駐車支援装置100によれば、カメラ1a〜1dの撮像方向が監視方向に設定され、このカメラ1a〜1dによって撮像された撮像画像を監視画像として取得するので、出車時の車両の向きに応じた適切な監視方向をカメラ1a〜1dの撮像画像によって監視することができる。
【0102】
本発明に係る本実施形態の駐車支援装置100によれば、監視方向との差が小さい撮像方向を撮像するカメラ1a〜1dの撮像画像を監視画像として取得することにより、カメラ駆動装置7を設けなくても、監視方向に近い方向を見る監視画像を取得することができる。また、カメラ1a〜1dの撮像画像の中から監視画像を選択することにより、監視画像を迅速に取得することができる。このため、出車時において注意すべき監視画像を迅速に提示させることができる。
【0103】
本発明に係る本実施形態の駐車支援装置100によれば、監視方向を撮像する所定範囲の画像をカメラ1a〜1dの撮像画像から切り出して監視画像として取得することによりカメラ駆動装置7を設けなくても、監視方向を見た監視画像を取得することができる。
【0104】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0105】
すなわち、本明細書では、本発明に係る駐車支援装置の一態様として駐車支援装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0106】
本明細書では、本発明に係る駐車支援装置の一態様として、CPU11、ROM12、RAM13を含む制御装置10を備える駐車支援装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0107】
また、本明細書では、本願発明に係る撮像画像取得手段と、合成画像生成手段と、運転支援情報生成手段と、監視方向算出手段と、監視画像取得手段と、表示制御手段とを有する駐車支援装置の一態様として、撮像画像取得機能と、合成画像生成機能と、運転支援情報生成機能と、監視方向算出機能と、監視画像取得機能と、表示制御機能を実行させる制御装置10を備えた駐車支援装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0108】
本明細書では、測距手段、カメラ駆動部を備える駐車支援装置の一例として、測距装置6とカメラ駆動装置7とを備える駐車支援装置100を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0109】
1000…駐車支援システム
1a〜1d…車載カメラ
100…駐車支援装置
10…制御装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
2…車両コントローラ
21…ポジションスイッチ
22…操舵角センサ
23…車速センサ
24…操舵角センサ
25…駆動系
26…操舵装置
261…ステアリングコントローラ
3…表示装置
31…表示切替スイッチ
4…イグニッションスイッチ
5…撮像スイッチ
6…測距装置
7…カメラ駆動装置
M…駐車支援情報
K…合成画像
Q…監視画像
V…自車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の複数個所に取り付けられたカメラによって撮像された、前記自車両の周囲の撮像画像をそれぞれ取得する撮像画像取得手段と、
前記取得した複数の撮像画像に基づいて、前記自車両及びその周囲の状態を所定の視点から見た合成画像を生成する合成画像生成手段と、
前記自車両が目標駐車位置へ移動する際の車両情報に基づいて、前記自車両の現在位置及び当該現在位置から前記目標駐車位置へ移動する際の駐車誘導軌道を含む駐車時における運転支援情報を生成する運転支援情報生成手段と、
前記駐車誘導軌道に沿って前記自車両を移動させる際に車両側から取得した操舵角度に基づいて、前記自車両の周囲に存在する可能性のある障害物を見るための監視方向を算出する監視方向算出手段と、
前記自車両から前記監視方向を見る監視画像を取得する監視画像取得手段と、
前記運転支援情報が重畳された前記合成画像を表示させるとともに、前記取得された監視画像を表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
自車両の複数個所に取り付けられたカメラによって撮像された、前記自車両の周囲の撮像画像をそれぞれ取得する撮像画像取得手段と、
前記取得した複数の撮像画像に基づいて、前記自車両及びその周囲の状態を所定の視点から見た合成画像を生成する合成画像生成手段と、
前記自車両が現在の駐車位置から他の位置へ移動する際の車両情報に基づいて、前記自車両の現在の駐車位置及び当該駐車位置から前記他の位置へ移動する際の出車誘導軌道を含む出車時における運転支援情報を生成する運転支援情報生成手段と、
前記出庫誘導軌道に沿って前記自車両を移動させる際に車両側から取得した操舵角度に基づいて、前記自車両の周囲に存在する可能性のある障害物を見るための監視方向を算出する監視方向算出手段と、
前記自車両から前記監視方向を見る監視画像を取得する監視画像取得手段と、
前記運転支援情報が重畳された前記合成画像を表示させるとともに、前記取得された監視画像を表示させる表示制御手段と、を有することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駐車支援装置において、
前記監視方向算出手段は、前記自車両が駐車又は出車する際の操舵角度と前記監視方向とを予め対応づけた監視方向情報を参照し、前記操舵角度に基づいて前記監視方向を算出することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の駐車支援装置において、
前記カメラの光軸方向を設定させるカメラ駆動部をさらに備え、
前記監視画像取得手段は、前記カメラの撮像方向が前記監視方向に沿うように設定する設定命令を前記カメラ駆動部へ送出し、前記カメラの撮像方向が監視方向に設定されたカメラによって撮像された撮像画像を監視画像として取得することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか一項に記載の駐車支援装置において、
前記監視画像取得手段は、前記各カメラの撮像方向と前記監視方向とを比較し、前記監視方向との差が最も小さい撮像方向を撮像するカメラの撮像画像を監視画像として取得することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか一項に記載の駐車支援装置において、
前記監視画像取得手段は、前記各カメラの撮像画像の中から、前記自車両から前記監視方向を見た所定範囲の画像を切り出し、切り出された画像を監視画像として取得することを特徴とする駐車支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−176747(P2012−176747A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−20589(P2012−20589)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】