駐車空間認識装置
【課題】水平広角度ソナーを用いても駐車空間の認識精度を高めることができる駐車空間認識装置を提供する。
【解決手段】駐車空間認識装置は、駐車領域検出ラインLに駐車車両検出部Laが複数ある場合には、座標平面上に、各駐車車両の仮想中心点Eを設定し、さらに仮想駐車位置11aを設定する。次に、駐車空間認識装置は、仮想駐車位置11a、11a間のX軸に平行な最短距離を算出して、この最短距離が一般的な駐車幅以上である場合には、仮想駐車位置11a、11a間に駐車空間Sがあると判断して、この駐車空間Sの存在をモニタに表示する。
【解決手段】駐車空間認識装置は、駐車領域検出ラインLに駐車車両検出部Laが複数ある場合には、座標平面上に、各駐車車両の仮想中心点Eを設定し、さらに仮想駐車位置11aを設定する。次に、駐車空間認識装置は、仮想駐車位置11a、11a間のX軸に平行な最短距離を算出して、この最短距離が一般的な駐車幅以上である場合には、仮想駐車位置11a、11a間に駐車空間Sがあると判断して、この駐車空間Sの存在をモニタに表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、ソナーおよび車速センサを用いて駐車車両間の駐車空間を認識する駐車空間認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者が駐車操作を行うときに駐車空間を認識するには、例えば、自車両にカメラを搭載して、カメラから得られる映像を用いて駐車車両や白線を認識する方法がある。しかし、カメラを用いた方法では、白線の状態が悪い場合や夜間の場合に運転者が駐車空間を認識できない。
【0003】
一方、近年では、自車両にソナー(超音波センサ)を搭載して、このソナーを用いて障害物を検出して運転者に注意を促すシステムが採用されている。そこで、このソナーと車速センサを用いて駐車空間を認識する駐車空間認識装置が提案されている(例えば特許文献1)。この駐車空間認識装置は、図19に示すように、駐車場等において複数の駐車車両11が一列に配置される駐車領域Pで使用される。
【0004】
このような駐車空間認識装置による駐車空間の認識処理について簡単に説明すると、まず、自車両10が駐車領域Pの脇を走行するのに伴い、ソナー4が自車両10の側方から駐車領域Pに向けて超音波Wを所定間隔で発信する。
【0005】
駐車空間認識装置は、ソナー4からの検出信号により各測定位置から物体までの反射時間を測定し、この反射時間に基づいて各測定位置から物体までの距離を算出する。また、駐車空間認識装置は、車速センサ(図示せず)からの検出信号により走行速度を算出し、この走行速度に基づいて各測定位置における最初の測定位置からの移動距離を算出する。
【0006】
そして、駐車空間認識装置は、各測定位置での移動距離と物体までの距離とを用いて、図20に示すように、座標平面に各測定位置における物体の検出位置4aをプロットし、さらに各検出位置4aをつないで駐車領域検出ラインLを作成する。
【0007】
この駐車領域検出ラインLにおいて自車両10の走行側に湾曲状に突出している部分が駐車車両検出部Laである。駐車空間認識装置は、駐車車両検出部La、Laの間の部分を駐車空間Lsであるとして認識し、この駐車空間Lsの存在を、モニタやスピーカ等の提示手段を用いて運転者に知らせている。
【0008】
なお、この駐車空間認識装置に使用されるソナー4は、水平広角度ソナーである。この水平広角度ソナー4の指向性は、地面に対して垂直方向に狭角度であり水平方向に広角度である。したがって、この水平広角度ソナー4を使用することによって、地面を障害物であると誤って検出してしまうことが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−207726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、水平広角度ソナー4は、その指向性が水平方向に広いことから、駐車車両11を通り過ぎてもその駐車車両11がまだあると判断する。そのため、図20に示したように駐車車両検出部Laは、実際の駐車車両11よりもかなり左右に広がってしまう。したがって、駐車空間認識装置によって認識される駐車空間Lsは、実際の駐車空間Sよりも非常に狭くなっていた。
【0011】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、水平広角度ソナーを用いても駐車空間の認識精度を高めることができる駐車空間認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために本件発明の請求項1に記載の駐車空間認識装置では、水平広角度ソナーおよび車速センサを用いて座標平面上に駐車領域検出ラインを作成する駐車領域検出手段と、前記駐車領域検出ラインで前記自車両の走行側に湾曲状に突出している駐車車両検出部が複数形成されている場合には、前記座標平面上に、各駐車車両検出部の先頭部分に基づいて各駐車車両の仮想中心点を設定する駐車位置仮設定手段と、各仮想中心点間の走行方向に平行な距離を算出し、この距離が一般的な駐車幅の2倍以上の場合には、それに該当する仮想中心点間には駐車空間があると判断して、この駐車空間の存在を提示手段を用いて運転者に知らせる駐車空間判別手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
また、本件発明の請求項2に記載の駐車空間認識装置では、請求項1に記載の駐車空間認識装置と同様の駐車領域検出手段を備え、駐車位置仮設定手段は、各駐車車両の仮想中心点および一般的な車両の大きさから座標平面上に各駐車車両の仮想中心線を設定し、駐車空間判別手段は、仮想中心線間の走行方向に平行な最短距離が一般的な駐車幅の2倍以上の場合には駐車空間があると判断している。
【0014】
また、本件発明の請求項3に記載の駐車空間認識装置では、請求項1に記載の駐車空間認識装置と同様の駐車領域検出手段を備え、駐車位置仮設定手段は、各駐車車両の仮想中心点および一般的な車両の大きさから座標平面上に各駐車車両の仮想駐車位置を設定し、駐車空間判別手段は、仮想駐車位置間の走行方向に平行な最短距離が一般的な駐車幅以上の場合には駐車空間があると判断している。
【0015】
このように請求項1〜請求項3に記載の駐車空間認識装置は、各駐車車両検出部の先頭部分に基づいて駐車空間を認識する。各先頭部分は、水平広角度ソナーの指向性の影響を受けない部分である。したがって、請求項1〜請求項3に記載の駐車空間認識装置は、水平広角度ソナーの指向性の影響を受けずに駐車空間を認識することが可能になる。
【0016】
また、本件発明の請求項4に記載の駐車空間認識装置では、駐車位置仮設定手段は、各駐車車両検出部の先頭部分を二等分する位置に仮想中心点を設定することを特徴としている。
【0017】
したがって、請求項4に記載の駐車空間認識装置では、各駐車車両の仮想中心点と実際の中心点とのずれが少ないので、仮想中心点間の距離と実際の中心点間の距離とのずれ、仮想中心線間の最短距離と実際の中心線間の最短距離とのずれ、仮想駐車位置間の最短距離と実際の駐車位置間の最短距離とのずれをそれぞれ少なくすることが可能になる。
【0018】
また、本件発明の請求項5に記載の駐車空間認識装置では、駐車位置仮設定手段は、座標平面上に各駐車車両検出部に対する先頭ラインと平行ラインを設定し、各平行ラインで各駐車車両検出部の左右側部分との2つの交点の間の部分を二等分する位置に仮想中心点を設定することを特徴としている。
【0019】
したがって、請求項5に記載の駐車空間認識装置では、仮想中心点の算出範囲が容易に設定されるので、仮想中心点を容易に設定することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本件発明の請求項1〜請求項3に記載の駐車空間認識装置では、駐車領域検出ラインの各駐車車両検出部において、水平広角度ソナーの指向性の影響を受けない先頭部分に基づいて駐車空間を認識するようにした。よって、本件発明の請求項1〜請求項3に記載の駐車空間認識装置は、駐車空間の認識精度を高めることができる。
【0021】
さらに、本件発明の請求項4に記載の駐車空間認識装置では、各駐車車両検出部の先頭部分をそのまま用いて各仮想中心点を設定することにより、各仮想中心点と実際の中心点とのずれを少なくした。このため、仮想中心点間の距離と実際の中心点間の距離とのずれを少なくすることが可能になる。また、仮想中心線間の最短距離と実際の中心線間の最短距離とのずれ、仮想駐車位置間の最短距離と実際の駐車位置間の最短距離とのずれもそれぞれ少なくすることが可能になる。よって、本件発明の請求項4に記載の駐車空間認識装置は、駐車空間の認識精度をさらに高めることができる。
【0022】
また、本件発明の請求項5に記載の駐車空間認識装置では、各駐車車両検出部に基づいて設定した平行ラインを用いて、仮想中心点の算出範囲が容易に設定されるようにした。このため、仮想中心点を容易に設定することが可能になる。よって、本件発明の請求項5に記載の駐車空間認識装置は、駐車空間の認識処理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本件発明の第1の実施の形態を示す駐車支援装置のブロック図である。
【図2】同実施の形態において駐車空間認識処理の開始時の自車両の位置を示す図である。
【図3】同実施の形態において駐車空間認識処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】同実施の形態において駐車領域検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】同実施の形態において駐車領域検出ラインを示す図である。
【図6】同実施の形態において駐車領域検出ラインを補正した図である。
【図7】同実施の形態において駐車位置仮設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】同実施の形態において駐車位置仮設定処理の処理方法を示す図である。
【図9】同実施の形態においてモニタに仮想駐車位置が表示された図である。
【図10】同実施の形態において駐車空間判別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】同実施の形態において駐車空間判別処理の処理方法を示す図である。
【図12】同実施の形態においてモニタに駐車可能が表示された図である。
【図13】同実施の形態においてモニタに駐車不可能が表示された図である。
【図14】本件発明の第2の実施の形態を示す駐車空間判別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】同実施の形態において駐車空間判別処理の処理方法を示す図である。
【図16】本件発明の第3の実施の形態を示す駐車空間判別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】同実施の形態において駐車空間判別処理の処理方法を示す図である。
【図18】仮想中心点の別の設定方法を示す図である。
【図19】従来の駐車空間の認識処理方法を示す図である。
【図20】従来の駐車空間の認識結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0025】
第1の実施の形態:
図1は、本件発明の第1の実施の形態を示す駐車支援装置1のブロック図である。この駐車支援装置1は、図2に示す駐車領域Pにおいて運転者が駐車操作を行うときにそれを補助するものとして使用される。また、この駐車支援装置1は、自車両10に搭載されており、本件発明の駐車空間認識装置2、駐車スイッチ3、水平広角度ソナー4、車速センサ5、操舵角センサ6、モニタ7(提示手段)を備えている。以下に、各構成部分について説明する。
【0026】
<駐車空間認識装置2>
駐車空間認識装置2は、駐車車両11、11間にある駐車空間S(図2参照)を認識するものである。この駐車空間認識装置2は、CPU、処理手順や各種データ等が記憶されたROM、処理中のデータ等を記憶するRAM、座標系、タイマー等を備えている。ROMには、一般的な車両の大きさや一般的な駐車幅のデータ等が記憶されている。これらの構成要素は、本件発明の駐車領域検出手段、駐車位置仮設定手段、駐車空間判別手段として機能する。
【0027】
<駐車スイッチ3>
駐車スイッチ3は、駐車空間認識装置2の入力部(図示せず)に接続されている。この駐車スイッチ3は、駐車支援装置1を作動するためのスイッチである。また、この駐車スイッチ3は、図示しないが、例えば自車両10の車室内の運転席の近くに設けられており、主に運転者によって駐車スイッチ3のオン操作が行われる。
【0028】
<水平広角度ソナー4>
水平広角度ソナー4は、駐車空間認識装置2の入力部と出力部(図示せず)に接続されている。この水平広角度ソナー4は、周知のように超音波を用いて物体を検出するものである。そして、この水平広角度ソナー4は、図2に示すように自車両10の側面の前部に固定されている。また、水平広角度ソナー4の発信部と受信部(図示せず)は、自車両10の側方へ向けられている。また、水平広角度ソナー4の指向性は、背景技術のところで述べたように地面に対して垂直方向に狭角度であり水平方向に広角度である。
【0029】
<車速センサ5および操舵角センサ6>
車速センサ5および操舵角センサ6は、駐車空間認識装置2の入力部に接続されている。車速センサ5は、周知のようにタイヤの回転数から自車両10の走行速度を検出するのに用いられる。操舵角センサ6は、周知のようにハンドルの操作方向およびハンドルの中立位置からの操舵角を検出するのに用いられる。
【0030】
<モニタ7>
モニタ7は、駐車空間認識装置2の出力部(図示せず)に接続されている。このモニタ7は、駐車空間認識装置2によって処理された各種のデータを表示するものである。このモニタ7は、図示しないが、例えば自車両10の車室内の運転席の近くに設けられており、主に運転者によってその表示内容が確認されるようになっている。
【0031】
以上のように構成されている駐車支援装置1において、次に、駐車空間認識装置2による駐車空間認識処理を説明する。この駐車空間認識処理は、図3に示すように、駐車領域検出処理SA、駐車位置仮設定処理SB、駐車空間判別処理SCの順に行われる。以下に、各処理を説明する。
【0032】
<駐車領域検出処理SA>
まず最初に、駐車領域検出処理SAを説明する。この駐車領域検出処理SAは、図2に示すように、自車両10が駐車領域Pの脇をX方向に走行しながら行う。この駐車領域検出処理SAは、運転者が駐車スイッチ3をオンにすることによって開始される。この操作は、自車両10が駐車領域Pの一方の端にさしかかったときに行うか、駐車領域Pの一方の端で一旦停止してから行う。また、駐車空間認識装置2は、駐車領域検出処理SAの開始をモニタ7に表示する。
【0033】
図4は、駐車領域検出処理SAの処理手順を示すフローチャートである。この駐車領域検出処理SAでは、3つのセンサ(水平広角度ソナー4、車速センサ5、操舵角センサ6)から入力される検出信号に基づいて駐車領域検出ラインを作成する。以下に、駐車領域検出処理SAの各処理手順を具体的に説明する。
【0034】
(ステップSA1)
まず最初に、駐車空間認識装置2は、車速センサ5からの検出信号に基づいて自車両10の走行速度が所定の低速度以下(例えば時速1km以下)であるか否かを判断する。
【0035】
(ステップSA2)
駐車空間認識装置2は、ステップSA1で自車両10の走行速度が所定の低速度以下であると判断した場合には(ステップSA1でYES)、水平広角度ソナー4を作動して駐車領域Pの検出処理を開始する。また、駐車空間認識装置2は、駐車領域Pの検出処理を開始したことをモニタ7に表示する。
【0036】
なお、駐車空間認識装置2は、ステップSA1で自車両10の走行速度が所定の低速度を超えていると判断した場合には(ステップSA1でNO)、水平広角度ソナー4を作動しない。したがって、駐車領域Pの検出処理は開始されない。このときに駐車空間認識装置2は、駐車領域Pの検出処理を開始しないことをモニタ7に表示する。この場合、運転者は、モニタ7の表示内容を確認したら、図2に示すように自車両10を駐車領域Pの一方の端に停止して再度X方向に走行させて、駐車空間認識装置2にステップSA1の処理を行わせる。
【0037】
(ステップSA3)
駐車空間認識装置2は、駐車領域Pの検出処理を開始したら、車速センサ5からの検出信号に基づいて自車両10の走行速度が所定の低速度以下であるか否かを判断する。
【0038】
(ステップSA4)
駐車空間認識装置2は、ステップSA3で自車両10の走行速度が所定の低速度以下であると判断した場合には(ステップSA3でYES)、車速センサ5からの検出信号に基づいて自車両10が停止しているか否かを判断する。
【0039】
(ステップSA5)
駐車空間認識装置2は、ステップSA4で自車両10が停止していると判断した場合には(ステップSA4でYES)、駐車領域Pの検出処理を終了する。なお、自車両10が停止する場合としては、次の(1)〜(3)の場合が考えられる。
【0040】
(1)自車両10が、図2の一番手前の駐車車両11から二番目の駐車車両11の脇を通り過ぎて停止する。
(2)自車両10が、図2の一番手前の駐車車両11から三番目の駐車車両11の脇を通り過ぎて停止する。
(3)自車両10が、駐車車両11、11間で停止する等、(1)や(2)以外で自車両10が停止する。
【0041】
また、駐車空間認識装置2は、ステップSA3で自車両10の走行速度が所定の低速度を超えていると判断した場合でも(ステップSA3でNO)、駐車領域Pの検出処理を終了する。いずれの場合でも、駐車空間認識装置2は、駐車領域Pの検出処理を終了したことをモニタ7に表示する。また、駐車空間認識装置2は、ステップSA4において、自車両10が停止していないと判断した場合には(ステップSA4でNO)、ステップSA3の処理に戻る。
【0042】
次に、駐車領域Pの検出処理について説明する。駐車空間認識装置2は、水平広角度ソナー4によって得られる反射時間に基づいて、水平広角度ソナー4の各測定位置から物体までの距離(図2のY方向の距離)を算出する。この算出処理を以下に説明する。
【0043】
水平広角度ソナー4は、図2に示すように、自車両10の走行に伴って自車両10の側方から所定間隔で駐車領域Pに向けて超音波Wを発信する。このときに、水平広角度ソナー4は、検出開始信号を駐車空間認識装置2に出力する。駐車空間認識装置2は、検出開始信号が入力されるとタイマを用いて反射時間の測定を開始する。
【0044】
水平広角度ソナー4から発信された超音波は、物体(図2の縁石Paや駐車車両11)に当たって反射し、その反射波を水平広角度ソナー4が受信する。水平広角度ソナー4は反射波を受信すると、駐車空間認識装置2に検出終了信号を出力する。駐車空間認識装置2は、検出終了信号が入力されると反射時間の測定を終了する。そして、駐車空間認識装置2は、反射時間に超音波の速度を掛けて1/2にして距離を算出し、この距離を水平広角度ソナー4の各測定位置から物体までの距離としている。
【0045】
また、駐車空間認識装置2は、車速センサ5の検出信号に基づいて得られる走行速度に基づいて、水平広角度ソナー4の最初の測定位置から各測定位置までの移動距離(図2のX方向の距離)を算出する。この算出処理を以下に説明する。
【0046】
水平広角度ソナー4は、最初の測定位置(図2の位置)で超音波を発信したときに最初の検出開始信号を出力する。駐車空間認識装置2は、最初の検出開始信号が入力されると、水平広角度ソナー4の移動距離の算出処理を開始する。
【0047】
駐車空間認識装置2は、2回目以降に検出開始信号が入力される度に、車速センサ5から入力される検出信号により自車両10の走行速度を算出する。続いて、駐車空間認識装置2は、自車両の走行速度に、水平広角度ソナー4の超音波の発信間隔時間のN−1倍を掛けて移動距離を算出する。なお、Nは、駐車空間認識装置2に検出開始信号が入力された回数である。つまり、駐車空間認識装置2に最初の検出開始信号が入力されたときには、水平広角度ソナー4の移動距離はゼロである。
【0048】
また、駐車空間認識装置2は、水平広角度ソナー4の最初の測定位置を原点(0、0)として図5に示す座標平面を作成する。この座標平面は、原点から自車両10の走行方向Xに向けて延びる軸をX軸とし、原点から駐車領域Pに向けて延びる軸をY軸としている。
【0049】
そして、駐車空間認識装置2は、上記で得られた水平広角度ソナー4の各測定位置における移動距離(X値)と物体までの距離(Y値)を用いて、座標平面上に物体の検出位置4aをプロットする。この図5では、上記の(1)で説明した場合、つまり、図2において自車両10が一番手前の駐車車両11から二番目の駐車車両11の脇を通り過ぎて停止した場合の検出処理の結果を示している。
【0050】
(ステップSA6)
次に、駐車空間認識装置2は、各検出位置4aをつないで、図5に示すように駐車領域検出ラインLを作成する。なお、図5では、駐車領域検出ラインLと駐車領域Pとの関係がわかるように駐車領域Pを一点鎖線で示している。
【0051】
(ステップSA7)
次に、駐車空間認識装置2は、駐車領域検出ラインLの補正処理を行う。自車両10の実際の走行方向が、予定していた走行方向(図2のX方向)に対して斜めになった場合には、駐車領域検出ラインLが実際の位置から傾いた状態になる。このため、この補正処理は、駐車領域検出ラインLの傾きを補正するために行う。この補正処理について以下に説明する。
【0052】
駐車空間認識装置2は、操舵角センサ6から入力される検出信号に基づいて、ハンドルの操作方向および操舵角を算出する。次に、駐車空間認識装置2は、これらのデータからハンドルを中立位置にする補正方向と補正角度を算出して、駐車領域検出ラインLを補正方向に補正角度回転させて図6のように補正する。
【0053】
<駐車位置仮設定処理SB>
次に、図7と図8を用いて駐車位置仮設定処理SBを説明する。図7は、駐車位置仮設定処理SBの処理手順を示すフローチャートである。この駐車位置仮設定処理SBでは、駐車領域検出ラインLを用いて座標平面上に駐車車両の仮想駐車位置を設定する。以下に、駐車位置仮設定処理SBの各処理手順を具体的に説明する。
【0054】
(ステップSB1)
まず最初に、駐車空間認識装置2は、図8に示す駐車領域検出ラインLに駐車車両検出部Laが複数あるか否かを判断する。この駐車車両検出部Laというのは、駐車領域検出ラインLにおいてX軸側(自車両10の走行側)に湾曲状に突出している部分である。
【0055】
(ステップSB2)
駐車空間認識装置2は、ステップSB1で駐車領域検出ラインLに駐車車両検出部Laが複数あると判断した場合には(ステップSB1でYES)、座標平面上に先頭ラインAを設定する。具体的には、先頭ラインAを、各駐車車両検出部Laの先頭部分Lbを通るように設定する。なお、先頭部分Lbは、駐車車両検出部Laにおいて、X軸に一番近い位置にあってほぼ直線状である。
【0056】
また、駐車空間認識装置2は、ステップSB1で駐車領域検出ラインLに駐車車両検出部Laが複数ないと判断した場合には(ステップSB1でNO)、駐車空間認識処理を終了する。なお、ステップSB1で駐車車両検出部Laの存在個数の判断基準を複数以上とするのは、駐車空間認識装置2が、駐車車両11、11間にある駐車空間Sを認識することを目的としているからである。
【0057】
(ステップSB3)
次に、駐車空間認識装置2は、座標平面上に平行ラインBを設定する。具体的には、平行ラインBを、先頭ラインAからY軸の正方向(走行側と反対方向)に所定距離Yaだけ離し、先頭ラインAに平行に且つ駐車車両検出部Laの左右側部分Lc、Lcに交差するように設定する。なお、左右側部分Lc、Lcは、駐車車両検出部Laにおいて先頭部分Lb以外の部分である。
【0058】
(ステップSB4)
次に、駐車空間認識装置2は、座標平面上に各駐車車両の仮想中心点Eを設定する。具体的には、各平行ラインBにおいて各駐車車両検出部Laの左右側部分Lc、Lcとの2つの交点C、D間の部分の距離を算出し、その距離を1/2にする位置に仮想中心点Eを設定する。
【0059】
(ステップSB5)
次に、駐車空間認識装置2は、座標平面上に各駐車車両の仮想駐車位置11aを設定する。この仮想駐車位置11aは、仮想中心点Eと一般的な車両の大きさのデータを用いて設定する。以下に、仮想駐車位置11aの具体的な設定処理を説明する。
【0060】
まず最初に、駐車空間認識装置2は、平行ラインB上に仮想駐車位置11aの側面位置F、Gを設定する。具体的には、仮想中心点EからX軸の正方向および負方向に一般的な車両幅の1/2の距離Xaだけ離した位置を側面位置F、Gに設定する。
【0061】
次に、駐車空間認識装置2は、仮想駐車位置11aの先頭角H、Iを設定する。具体的には、座標平面上に各側面位置F、Gを通る側面ラインJをY軸と平行に設定し、この側面ラインJと先頭ラインAとの交点を先頭角H、Iに設定する。
【0062】
次に、駐車空間認識装置2は、側面ラインJ上に仮想駐車位置11aの後尾角K、Mを設定する。具体的には、先頭角H、IからY軸の正方向に一般的な車両の前後長Ybだけ離した位置を後尾角K、Mに設定する。
【0063】
最後に、駐車空間認識装置2は、先頭角H、Iと後尾角K、Mとをつないで四角形の枠を形成し、この四角形の枠を仮想駐車位置11aとしている。
【0064】
(ステップSB6)
次に、駐車空間認識装置2は、上記のようにして座標平面上に2つの仮想駐車位置11aを設定したら、図9に示すように、モニタ7にこれらの仮想駐車位置11aを表示する。
【0065】
<駐車空間判別処理SC>
次に、図10と図11を用いて駐車空間判別処理SCを説明する。図10は、駐車空間判別処理SCの処理手順を示すフローチャートである。この駐車空間判別処理SCでは、各仮想駐車位置11aを用いて駐車空間Sの認識を行う。以下に、駐車空間判別処理SCの各処理手順を具体的に説明する。
【0066】
(ステップSC1)
まず最初に、駐車空間認識装置2は、図11に示す座標平面上において仮想駐車位置11a、11a間のX軸(走行方向X)に平行な最短距離11dを算出する。この最短距離11dを算出する理由は、駐車車両11が実際の駐車位置に斜めに駐車している場合を考慮するためである。
【0067】
具体的に説明すると、駐車車両11が斜めに駐車している場合には、ステップSA7で駐車領域検出ラインLを補正しても、先頭ラインAがX軸と平行にはならない。このため、この先頭ラインAを基準にして設定される仮想駐車位置11aもX軸に対して傾いた状態になる。したがって、上記の最短距離11dを算出すれば、駐車車両11が斜めに駐車していても、駐車車両11、11間にある駐車空間Sの認識処理を正確に行うことが可能になる。
【0068】
(ステップSC2)
次に、駐車空間認識装置2は、仮想駐車位置11a、11a間の最短距離11dが一般的な駐車幅以上であるか否かを判断する。
【0069】
(ステップSC3)
駐車空間認識装置2は、ステップSC2で仮想駐車位置11a、11a間の最短距離11dが一般的な駐車幅以上であると判断した場合には(ステップSC2でYES)、仮想駐車位置11a、11a間に駐車空間Sがあると判断して、この駐車空間の存在をモニタ7に表示する。その表示方法としては、例えば、図12に示すように、仮想駐車位置11a、11a間に「○」を表示する。運転者は、この表示内容から、図2で示した手前の駐車車両11と二番目の駐車車両11の間には駐車空間Sが存在していると判断し、駐車操作を行う。
【0070】
(ステップSC4)
また、駐車空間認識装置2は、ステップSC2で仮想駐車位置11a、11a間の最短距離11dが一般的な駐車幅より小さいと判断した場合には(ステップSC2でNO)、仮想駐車位置11a、11a間には駐車空間Sがないと判断して、それをモニタ7に表示する。その表示方法としては、例えば、図13に示すように、仮想駐車位置11a、11a間に「×」を表示する。
【0071】
以上説明してきたように、本実施の形態の駐車空間認識装置2では、駐車領域検出ラインLにおいて、各駐車車両検出部Laの先頭部分Lbに基づいて駐車空間Sを認識するようにした。ここで、各先頭部分Lbは、水平広角度ソナー4の指向性の影響を受けない部分である。したがって、本実施の形態の駐車空間認識装置2は、従来の駐車空間認識装置と異なり、水平広角度ソナー4の指向性の影響を受けずに駐車空間Sを認識することが可能になる。よって、本実施の形態の駐車空間認識装置2は、駐車空間Sの認識精度を高めることができる。
【0072】
また、本実施の形態の駐車空間認識装置2は、座標平面上に各駐車車両検出部Laの先頭部分Lbに基づいて平行ラインBを設定し、この平行ラインBを用いて各駐車車両の仮想中心点Eを設定した。したがって、仮想中心点Eの算出範囲が容易に設定されるので、仮想中心点Eを容易に設定することが可能になる。よって、本実施の形態の駐車空間認識装置2は、駐車空間Sの認識処理を容易に行うことができる。
【0073】
また、本実施の形態の駐車空間認識装置2では、従来から使用されている障害物検出用のソナーを水平広角度ソナーに兼用できるので、低コスト化を図ることができる。また、本実施の形態の駐車空間認識装置2は、カメラを使用せずに水平広角度ソナー4のみで駐車空間Sの認識処理を行うようにしたので、白線の状態が悪い場合や夜間でも駐車空間Sの存在を運転者に知らせることができる。また、この駐車空間認識装置2にカメラを加えて駐車空間Sの認識処理を行うように構成すれば、駐車空間Sの認識精度をよりいっそう高めることができる。
【0074】
第2の実施の形態:
図14は、本件発明の第2の実施の形態を示す駐車空間認識装置において駐車空間判別処理の処理手順を示すフローチャートである。この駐車空間判別処理は、第1の実施の形態と同様の駐車領域検出処理と駐車位置仮設定処理を行った後に、各駐車車両の仮想中心点Eを用いて駐車空間Sの認識を行う。以下に、駐車空間判別処理の各処理手順について具体的に説明する。
【0075】
(ステップSD1)
まず最初に、駐車空間認識装置2は、図15に示す座標平面上において仮想中心点E、E間のX軸(走行方向X)に平行な距離Edを算出する。
【0076】
(ステップSD2)
次に、駐車空間認識装置2は、仮想中心点E、E間の距離Edが一般的な駐車幅の2倍以上であるか否かを判断する。
【0077】
(ステップSD3)
駐車空間認識装置2は、ステップSD2で仮想中心点E、E間の距離Edが一般的な駐車幅の2倍以上であると判断した場合には(ステップSD2でYES)、仮想中心点E、E間、つまり仮想駐車位置11a、11a間には駐車空間S(図2参照)があると判断して、この駐車空間Sの存在を、例えば図12のようにモニタ7に表示する。
【0078】
(ステップSD4)
駐車空間認識装置2は、ステップSD2で仮想中心点E、E間の距離Edが一般的な駐車幅の2倍より小さいと判断した場合には(ステップSD2でNO)、仮想駐車位置11a、11a間には駐車空間Sがないと認識して、それを例えば図13のようにモニタ7に表示する。
【0079】
このように本実施の形態の駐車空間認識装置では、各駐車車両の仮想中心点Eを用いて駐車空間Sを認識するようにした。この仮想中心点Eは、第1の実施の形態で説明したように駐車領域検出ラインLの各駐車車両検出部Laの先頭部分Lbに基づいて算出されるものである。したがって、本実施の形態の駐車空間認識装置においても、第1の実施の形態の駐車空間認識装置と同様に、水平広角度ソナー4の指向性の影響を受けずに駐車空間Sを認識することが可能になる。よって、本実施の形態の駐車空間認識装置は、駐車空間Sの認識精度を高めることができる。
【0080】
第3の実施の形態:
図16は、本件発明の第3の実施の形態を示す駐車空間認識装置において駐車空間判別処理の処理手順を示すフローチャートである。この駐車空間判別処理は、第1の実施の形態と同様の駐車領域検出処理と駐車位置仮設定処理を行った後に、各駐車車両の仮想中心線を用いて駐車空間Sの認識を行う。以下に、駐車空間判別処理の各処理手順について具体的に説明する。
【0081】
(ステップSE1)
まず最初に、駐車空間認識装置2は、図17に示すように座標平面上に各駐車車両の仮想中心線Nを設定する。具体的には、座標平面上に各仮想中心点Eを通るラインをY軸と平行に設定し、このラインで各仮想駐車位置11aの先頭ラインAと後尾ラインTとの交点の間の部分を仮想中心線Nに設定する。
【0082】
(ステップSE2)
次に、駐車空間認識装置2は、仮想中心線N、N間のX軸(走行方向X)に平行な最短距離Ndを算出する。この最短距離Ndを算出する理由は、駐車車両11が実際の駐車位置に斜めに駐車している場合を考慮するためである。
【0083】
具体的に説明すると、駐車車両11が斜めに駐車している場合には、ステップSA7で駐車領域検出ラインLを補正しても、仮想中心線NがY軸と平行にはならない。したがって、上記の最短距離Ndを算出すれば、駐車車両11が斜めに駐車していても、駐車車両11、11間にある駐車空間Sの認識処理を正確に行うことが可能になる。
【0084】
(ステップSE3)
次に、駐車空間認識装置2は、仮想中心線N、N間の最短距離Ndが一般的な駐車幅の2倍以上であるか否かを判断する。
【0085】
(ステップSE4)
駐車空間認識装置2は、ステップSE3で仮想中心線N、N間の最短距離Ndが一般的な駐車幅の2倍以上であると判断した場合には(ステップSE3でYES)、仮想中心線N、N間、つまり仮想駐車位置11a、11a間には駐車空間S(図2参照)があると判断して、この駐車空間Sの存在を例えば図12のようにモニタ7に表示する。
【0086】
(ステップSE5)
駐車空間認識装置2は、ステップSE3で仮想中心線N、N間の最短距離Ndが一般的な駐車幅の2倍より小さいと判断した場合には(ステップSE3でNO)、仮想駐車位置11a、11a間には駐車空間Sがないと認識して、それを例えば図13のようにモニタ7に表示する。
【0087】
このように本実施の形態の駐車空間認識装置では、各駐車車両の仮想中心線Nを用いて駐車空間Sを認識するようにした。この仮想中心線Nは、仮想中心点E、つまり、駐車領域検出ラインLの駐車車両検出部Laの先頭部分Lbに基づいて算出されるものである。したがって、本実施の形態の駐車空間認識装置においても、第1の実施の形態や第2の実施の形態の駐車空間認識装置と同様に、水平広角度ソナー4の指向性の影響を受けずに駐車空間Sを認識することが可能になる。よって、本実施の形態の駐車空間認識装置は、駐車空間Sの認識精度を高めることができる。
【0088】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0089】
例えば、上記の実施の形態で説明した駐車空間認識装置では、平行ラインBを用いて各駐車車両の仮想中心点Eを設定したが、その他には、図18に示すように、各駐車車両検出部Laの先頭部分Lbの距離を算出し、この距離を二等分する位置に仮想中心点Eを設定しても良い。
【0090】
この場合には、先頭部分Lbをそのまま用いて仮想中心点Eを設定するので、各仮想中心点Eと実際の中心点とのずれが少ない。したがって、仮想中心点E、E間の距離Ed(図15参照)と実際の中心点間の距離とのずれを少なくすることが可能になる。さらに、この仮想中心点Eに基づいて設定される仮想中心線N、N間の最短距離Nd(図17参照)と実際の中心線との最短距離とのずれや、仮想駐車位置11a、11a間の最短距離11d(図11参照)と実際の駐車位置間の最短距離とのずれも少なくすることが可能になる。よって、この場合の駐車空間認識装置では、駐車空間Sの認識精度をさらに高めることができる。
【0091】
また、この場合には、仮想中心点EからX軸の正方向および負方向に一般的な車両幅の1/2の距離Xaだけ離した位置が、仮想駐車位置11aの先頭角H、Iになる。さらに、この先頭角H、IからY軸の正方向に一般的な車両の前後長Ybだけ離した位置を後尾角K、Mに設定する。そして、先頭角H、Iと後尾角K、Mとをつないで四角形の枠を形成し、この四角形の枠が仮想駐車位置11aとなる。したがって、仮想駐車位置11b、11bの設定処理に際して、第1の実施の形態で説明した先頭ラインA、平行ラインB、側面ラインJを設定しなくても良いので、仮想駐車位置11b、11bの設定処理が容易になる。
【0092】
また、上記の実施の形態で説明した駐車空間認識装置では、駐車空間Sの有無を運手者に知らせる提示手段としてモニタ7を使用したが、スピーカ等を用いて音声で運転者に知らせるようにしても良い。その場合には、仮想駐車位置11aを表示する必要がないので座標平面上に仮想駐車位置11aを設定する必要もなくなる。したがって、座標平面上に仮想中心点Eを設定すれば、第2の実施の形態で説明したように駐車空間Sの有無を運転者に知らせることが可能になる。また、駐車空間認識装置の制御処理を簡単にすることができるので、駐車空間認識装置の低コスト化を図ることもできる。
【0093】
また、第1の実施の形態では駐車領域検出ラインLの補正処理を行ったが、その他の補正処理の方法としては、実測した図5の駐車領域検出ラインLから仮想中心線Nを算出し、この仮想中心線Nに対して補正処理を行うようにしても良い。
【0094】
また、第1の実施の形態では、運転者が駐車スイッチ3をオンにすることによって駐車空間認識処理を開始するようにしたが、GPSを利用して駐車場に入った場合や、走行速度が所定の低速度以下になった場合に自動的に駐車空間認識処理を開始するようにしても良い。また、運転者が駐車スイッチ3をオフにすることによって駐車空間認識処理を終了するようにしても良い。
【0095】
また、実施の形態の駐車空間認識装置では、2台の駐車車両11、11間の駐車空間Sを認識するために使用したが、3台以上の駐車車両11、11間の駐車空間Sを認識するために使用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上説明したように本件発明の駐車空間認識装置は、水平広角度ソナーを用いても駐車空間の認識精度を高めることができる。したがって、本件発明の駐車空間認識装置を、駐車空間認識装置の技術分野で十分に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
2 駐車空間認識装置
4 水平広角度ソナー
5 車速センサ
7 モニタ
10 自車両
11 駐車車両
11a 仮想駐車位置
11d 仮想駐車位置間の最短距離
A 先頭ライン
B 平行ライン
C 交点
D 交点
E 仮想中心点
Ed 仮想中心点間の距離
L 駐車領域検出ライン
La 駐車車両検出部
Lb 先頭部分
Lc 左右側部分
N 仮想中心線
Nd 仮想中心線間の最短距離
P 駐車領域
S 駐車空間
W 超音波
【技術分野】
【0001】
本件発明は、ソナーおよび車速センサを用いて駐車車両間の駐車空間を認識する駐車空間認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者が駐車操作を行うときに駐車空間を認識するには、例えば、自車両にカメラを搭載して、カメラから得られる映像を用いて駐車車両や白線を認識する方法がある。しかし、カメラを用いた方法では、白線の状態が悪い場合や夜間の場合に運転者が駐車空間を認識できない。
【0003】
一方、近年では、自車両にソナー(超音波センサ)を搭載して、このソナーを用いて障害物を検出して運転者に注意を促すシステムが採用されている。そこで、このソナーと車速センサを用いて駐車空間を認識する駐車空間認識装置が提案されている(例えば特許文献1)。この駐車空間認識装置は、図19に示すように、駐車場等において複数の駐車車両11が一列に配置される駐車領域Pで使用される。
【0004】
このような駐車空間認識装置による駐車空間の認識処理について簡単に説明すると、まず、自車両10が駐車領域Pの脇を走行するのに伴い、ソナー4が自車両10の側方から駐車領域Pに向けて超音波Wを所定間隔で発信する。
【0005】
駐車空間認識装置は、ソナー4からの検出信号により各測定位置から物体までの反射時間を測定し、この反射時間に基づいて各測定位置から物体までの距離を算出する。また、駐車空間認識装置は、車速センサ(図示せず)からの検出信号により走行速度を算出し、この走行速度に基づいて各測定位置における最初の測定位置からの移動距離を算出する。
【0006】
そして、駐車空間認識装置は、各測定位置での移動距離と物体までの距離とを用いて、図20に示すように、座標平面に各測定位置における物体の検出位置4aをプロットし、さらに各検出位置4aをつないで駐車領域検出ラインLを作成する。
【0007】
この駐車領域検出ラインLにおいて自車両10の走行側に湾曲状に突出している部分が駐車車両検出部Laである。駐車空間認識装置は、駐車車両検出部La、Laの間の部分を駐車空間Lsであるとして認識し、この駐車空間Lsの存在を、モニタやスピーカ等の提示手段を用いて運転者に知らせている。
【0008】
なお、この駐車空間認識装置に使用されるソナー4は、水平広角度ソナーである。この水平広角度ソナー4の指向性は、地面に対して垂直方向に狭角度であり水平方向に広角度である。したがって、この水平広角度ソナー4を使用することによって、地面を障害物であると誤って検出してしまうことが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−207726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、水平広角度ソナー4は、その指向性が水平方向に広いことから、駐車車両11を通り過ぎてもその駐車車両11がまだあると判断する。そのため、図20に示したように駐車車両検出部Laは、実際の駐車車両11よりもかなり左右に広がってしまう。したがって、駐車空間認識装置によって認識される駐車空間Lsは、実際の駐車空間Sよりも非常に狭くなっていた。
【0011】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、水平広角度ソナーを用いても駐車空間の認識精度を高めることができる駐車空間認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために本件発明の請求項1に記載の駐車空間認識装置では、水平広角度ソナーおよび車速センサを用いて座標平面上に駐車領域検出ラインを作成する駐車領域検出手段と、前記駐車領域検出ラインで前記自車両の走行側に湾曲状に突出している駐車車両検出部が複数形成されている場合には、前記座標平面上に、各駐車車両検出部の先頭部分に基づいて各駐車車両の仮想中心点を設定する駐車位置仮設定手段と、各仮想中心点間の走行方向に平行な距離を算出し、この距離が一般的な駐車幅の2倍以上の場合には、それに該当する仮想中心点間には駐車空間があると判断して、この駐車空間の存在を提示手段を用いて運転者に知らせる駐車空間判別手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
また、本件発明の請求項2に記載の駐車空間認識装置では、請求項1に記載の駐車空間認識装置と同様の駐車領域検出手段を備え、駐車位置仮設定手段は、各駐車車両の仮想中心点および一般的な車両の大きさから座標平面上に各駐車車両の仮想中心線を設定し、駐車空間判別手段は、仮想中心線間の走行方向に平行な最短距離が一般的な駐車幅の2倍以上の場合には駐車空間があると判断している。
【0014】
また、本件発明の請求項3に記載の駐車空間認識装置では、請求項1に記載の駐車空間認識装置と同様の駐車領域検出手段を備え、駐車位置仮設定手段は、各駐車車両の仮想中心点および一般的な車両の大きさから座標平面上に各駐車車両の仮想駐車位置を設定し、駐車空間判別手段は、仮想駐車位置間の走行方向に平行な最短距離が一般的な駐車幅以上の場合には駐車空間があると判断している。
【0015】
このように請求項1〜請求項3に記載の駐車空間認識装置は、各駐車車両検出部の先頭部分に基づいて駐車空間を認識する。各先頭部分は、水平広角度ソナーの指向性の影響を受けない部分である。したがって、請求項1〜請求項3に記載の駐車空間認識装置は、水平広角度ソナーの指向性の影響を受けずに駐車空間を認識することが可能になる。
【0016】
また、本件発明の請求項4に記載の駐車空間認識装置では、駐車位置仮設定手段は、各駐車車両検出部の先頭部分を二等分する位置に仮想中心点を設定することを特徴としている。
【0017】
したがって、請求項4に記載の駐車空間認識装置では、各駐車車両の仮想中心点と実際の中心点とのずれが少ないので、仮想中心点間の距離と実際の中心点間の距離とのずれ、仮想中心線間の最短距離と実際の中心線間の最短距離とのずれ、仮想駐車位置間の最短距離と実際の駐車位置間の最短距離とのずれをそれぞれ少なくすることが可能になる。
【0018】
また、本件発明の請求項5に記載の駐車空間認識装置では、駐車位置仮設定手段は、座標平面上に各駐車車両検出部に対する先頭ラインと平行ラインを設定し、各平行ラインで各駐車車両検出部の左右側部分との2つの交点の間の部分を二等分する位置に仮想中心点を設定することを特徴としている。
【0019】
したがって、請求項5に記載の駐車空間認識装置では、仮想中心点の算出範囲が容易に設定されるので、仮想中心点を容易に設定することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本件発明の請求項1〜請求項3に記載の駐車空間認識装置では、駐車領域検出ラインの各駐車車両検出部において、水平広角度ソナーの指向性の影響を受けない先頭部分に基づいて駐車空間を認識するようにした。よって、本件発明の請求項1〜請求項3に記載の駐車空間認識装置は、駐車空間の認識精度を高めることができる。
【0021】
さらに、本件発明の請求項4に記載の駐車空間認識装置では、各駐車車両検出部の先頭部分をそのまま用いて各仮想中心点を設定することにより、各仮想中心点と実際の中心点とのずれを少なくした。このため、仮想中心点間の距離と実際の中心点間の距離とのずれを少なくすることが可能になる。また、仮想中心線間の最短距離と実際の中心線間の最短距離とのずれ、仮想駐車位置間の最短距離と実際の駐車位置間の最短距離とのずれもそれぞれ少なくすることが可能になる。よって、本件発明の請求項4に記載の駐車空間認識装置は、駐車空間の認識精度をさらに高めることができる。
【0022】
また、本件発明の請求項5に記載の駐車空間認識装置では、各駐車車両検出部に基づいて設定した平行ラインを用いて、仮想中心点の算出範囲が容易に設定されるようにした。このため、仮想中心点を容易に設定することが可能になる。よって、本件発明の請求項5に記載の駐車空間認識装置は、駐車空間の認識処理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本件発明の第1の実施の形態を示す駐車支援装置のブロック図である。
【図2】同実施の形態において駐車空間認識処理の開始時の自車両の位置を示す図である。
【図3】同実施の形態において駐車空間認識処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】同実施の形態において駐車領域検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】同実施の形態において駐車領域検出ラインを示す図である。
【図6】同実施の形態において駐車領域検出ラインを補正した図である。
【図7】同実施の形態において駐車位置仮設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】同実施の形態において駐車位置仮設定処理の処理方法を示す図である。
【図9】同実施の形態においてモニタに仮想駐車位置が表示された図である。
【図10】同実施の形態において駐車空間判別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】同実施の形態において駐車空間判別処理の処理方法を示す図である。
【図12】同実施の形態においてモニタに駐車可能が表示された図である。
【図13】同実施の形態においてモニタに駐車不可能が表示された図である。
【図14】本件発明の第2の実施の形態を示す駐車空間判別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】同実施の形態において駐車空間判別処理の処理方法を示す図である。
【図16】本件発明の第3の実施の形態を示す駐車空間判別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】同実施の形態において駐車空間判別処理の処理方法を示す図である。
【図18】仮想中心点の別の設定方法を示す図である。
【図19】従来の駐車空間の認識処理方法を示す図である。
【図20】従来の駐車空間の認識結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0025】
第1の実施の形態:
図1は、本件発明の第1の実施の形態を示す駐車支援装置1のブロック図である。この駐車支援装置1は、図2に示す駐車領域Pにおいて運転者が駐車操作を行うときにそれを補助するものとして使用される。また、この駐車支援装置1は、自車両10に搭載されており、本件発明の駐車空間認識装置2、駐車スイッチ3、水平広角度ソナー4、車速センサ5、操舵角センサ6、モニタ7(提示手段)を備えている。以下に、各構成部分について説明する。
【0026】
<駐車空間認識装置2>
駐車空間認識装置2は、駐車車両11、11間にある駐車空間S(図2参照)を認識するものである。この駐車空間認識装置2は、CPU、処理手順や各種データ等が記憶されたROM、処理中のデータ等を記憶するRAM、座標系、タイマー等を備えている。ROMには、一般的な車両の大きさや一般的な駐車幅のデータ等が記憶されている。これらの構成要素は、本件発明の駐車領域検出手段、駐車位置仮設定手段、駐車空間判別手段として機能する。
【0027】
<駐車スイッチ3>
駐車スイッチ3は、駐車空間認識装置2の入力部(図示せず)に接続されている。この駐車スイッチ3は、駐車支援装置1を作動するためのスイッチである。また、この駐車スイッチ3は、図示しないが、例えば自車両10の車室内の運転席の近くに設けられており、主に運転者によって駐車スイッチ3のオン操作が行われる。
【0028】
<水平広角度ソナー4>
水平広角度ソナー4は、駐車空間認識装置2の入力部と出力部(図示せず)に接続されている。この水平広角度ソナー4は、周知のように超音波を用いて物体を検出するものである。そして、この水平広角度ソナー4は、図2に示すように自車両10の側面の前部に固定されている。また、水平広角度ソナー4の発信部と受信部(図示せず)は、自車両10の側方へ向けられている。また、水平広角度ソナー4の指向性は、背景技術のところで述べたように地面に対して垂直方向に狭角度であり水平方向に広角度である。
【0029】
<車速センサ5および操舵角センサ6>
車速センサ5および操舵角センサ6は、駐車空間認識装置2の入力部に接続されている。車速センサ5は、周知のようにタイヤの回転数から自車両10の走行速度を検出するのに用いられる。操舵角センサ6は、周知のようにハンドルの操作方向およびハンドルの中立位置からの操舵角を検出するのに用いられる。
【0030】
<モニタ7>
モニタ7は、駐車空間認識装置2の出力部(図示せず)に接続されている。このモニタ7は、駐車空間認識装置2によって処理された各種のデータを表示するものである。このモニタ7は、図示しないが、例えば自車両10の車室内の運転席の近くに設けられており、主に運転者によってその表示内容が確認されるようになっている。
【0031】
以上のように構成されている駐車支援装置1において、次に、駐車空間認識装置2による駐車空間認識処理を説明する。この駐車空間認識処理は、図3に示すように、駐車領域検出処理SA、駐車位置仮設定処理SB、駐車空間判別処理SCの順に行われる。以下に、各処理を説明する。
【0032】
<駐車領域検出処理SA>
まず最初に、駐車領域検出処理SAを説明する。この駐車領域検出処理SAは、図2に示すように、自車両10が駐車領域Pの脇をX方向に走行しながら行う。この駐車領域検出処理SAは、運転者が駐車スイッチ3をオンにすることによって開始される。この操作は、自車両10が駐車領域Pの一方の端にさしかかったときに行うか、駐車領域Pの一方の端で一旦停止してから行う。また、駐車空間認識装置2は、駐車領域検出処理SAの開始をモニタ7に表示する。
【0033】
図4は、駐車領域検出処理SAの処理手順を示すフローチャートである。この駐車領域検出処理SAでは、3つのセンサ(水平広角度ソナー4、車速センサ5、操舵角センサ6)から入力される検出信号に基づいて駐車領域検出ラインを作成する。以下に、駐車領域検出処理SAの各処理手順を具体的に説明する。
【0034】
(ステップSA1)
まず最初に、駐車空間認識装置2は、車速センサ5からの検出信号に基づいて自車両10の走行速度が所定の低速度以下(例えば時速1km以下)であるか否かを判断する。
【0035】
(ステップSA2)
駐車空間認識装置2は、ステップSA1で自車両10の走行速度が所定の低速度以下であると判断した場合には(ステップSA1でYES)、水平広角度ソナー4を作動して駐車領域Pの検出処理を開始する。また、駐車空間認識装置2は、駐車領域Pの検出処理を開始したことをモニタ7に表示する。
【0036】
なお、駐車空間認識装置2は、ステップSA1で自車両10の走行速度が所定の低速度を超えていると判断した場合には(ステップSA1でNO)、水平広角度ソナー4を作動しない。したがって、駐車領域Pの検出処理は開始されない。このときに駐車空間認識装置2は、駐車領域Pの検出処理を開始しないことをモニタ7に表示する。この場合、運転者は、モニタ7の表示内容を確認したら、図2に示すように自車両10を駐車領域Pの一方の端に停止して再度X方向に走行させて、駐車空間認識装置2にステップSA1の処理を行わせる。
【0037】
(ステップSA3)
駐車空間認識装置2は、駐車領域Pの検出処理を開始したら、車速センサ5からの検出信号に基づいて自車両10の走行速度が所定の低速度以下であるか否かを判断する。
【0038】
(ステップSA4)
駐車空間認識装置2は、ステップSA3で自車両10の走行速度が所定の低速度以下であると判断した場合には(ステップSA3でYES)、車速センサ5からの検出信号に基づいて自車両10が停止しているか否かを判断する。
【0039】
(ステップSA5)
駐車空間認識装置2は、ステップSA4で自車両10が停止していると判断した場合には(ステップSA4でYES)、駐車領域Pの検出処理を終了する。なお、自車両10が停止する場合としては、次の(1)〜(3)の場合が考えられる。
【0040】
(1)自車両10が、図2の一番手前の駐車車両11から二番目の駐車車両11の脇を通り過ぎて停止する。
(2)自車両10が、図2の一番手前の駐車車両11から三番目の駐車車両11の脇を通り過ぎて停止する。
(3)自車両10が、駐車車両11、11間で停止する等、(1)や(2)以外で自車両10が停止する。
【0041】
また、駐車空間認識装置2は、ステップSA3で自車両10の走行速度が所定の低速度を超えていると判断した場合でも(ステップSA3でNO)、駐車領域Pの検出処理を終了する。いずれの場合でも、駐車空間認識装置2は、駐車領域Pの検出処理を終了したことをモニタ7に表示する。また、駐車空間認識装置2は、ステップSA4において、自車両10が停止していないと判断した場合には(ステップSA4でNO)、ステップSA3の処理に戻る。
【0042】
次に、駐車領域Pの検出処理について説明する。駐車空間認識装置2は、水平広角度ソナー4によって得られる反射時間に基づいて、水平広角度ソナー4の各測定位置から物体までの距離(図2のY方向の距離)を算出する。この算出処理を以下に説明する。
【0043】
水平広角度ソナー4は、図2に示すように、自車両10の走行に伴って自車両10の側方から所定間隔で駐車領域Pに向けて超音波Wを発信する。このときに、水平広角度ソナー4は、検出開始信号を駐車空間認識装置2に出力する。駐車空間認識装置2は、検出開始信号が入力されるとタイマを用いて反射時間の測定を開始する。
【0044】
水平広角度ソナー4から発信された超音波は、物体(図2の縁石Paや駐車車両11)に当たって反射し、その反射波を水平広角度ソナー4が受信する。水平広角度ソナー4は反射波を受信すると、駐車空間認識装置2に検出終了信号を出力する。駐車空間認識装置2は、検出終了信号が入力されると反射時間の測定を終了する。そして、駐車空間認識装置2は、反射時間に超音波の速度を掛けて1/2にして距離を算出し、この距離を水平広角度ソナー4の各測定位置から物体までの距離としている。
【0045】
また、駐車空間認識装置2は、車速センサ5の検出信号に基づいて得られる走行速度に基づいて、水平広角度ソナー4の最初の測定位置から各測定位置までの移動距離(図2のX方向の距離)を算出する。この算出処理を以下に説明する。
【0046】
水平広角度ソナー4は、最初の測定位置(図2の位置)で超音波を発信したときに最初の検出開始信号を出力する。駐車空間認識装置2は、最初の検出開始信号が入力されると、水平広角度ソナー4の移動距離の算出処理を開始する。
【0047】
駐車空間認識装置2は、2回目以降に検出開始信号が入力される度に、車速センサ5から入力される検出信号により自車両10の走行速度を算出する。続いて、駐車空間認識装置2は、自車両の走行速度に、水平広角度ソナー4の超音波の発信間隔時間のN−1倍を掛けて移動距離を算出する。なお、Nは、駐車空間認識装置2に検出開始信号が入力された回数である。つまり、駐車空間認識装置2に最初の検出開始信号が入力されたときには、水平広角度ソナー4の移動距離はゼロである。
【0048】
また、駐車空間認識装置2は、水平広角度ソナー4の最初の測定位置を原点(0、0)として図5に示す座標平面を作成する。この座標平面は、原点から自車両10の走行方向Xに向けて延びる軸をX軸とし、原点から駐車領域Pに向けて延びる軸をY軸としている。
【0049】
そして、駐車空間認識装置2は、上記で得られた水平広角度ソナー4の各測定位置における移動距離(X値)と物体までの距離(Y値)を用いて、座標平面上に物体の検出位置4aをプロットする。この図5では、上記の(1)で説明した場合、つまり、図2において自車両10が一番手前の駐車車両11から二番目の駐車車両11の脇を通り過ぎて停止した場合の検出処理の結果を示している。
【0050】
(ステップSA6)
次に、駐車空間認識装置2は、各検出位置4aをつないで、図5に示すように駐車領域検出ラインLを作成する。なお、図5では、駐車領域検出ラインLと駐車領域Pとの関係がわかるように駐車領域Pを一点鎖線で示している。
【0051】
(ステップSA7)
次に、駐車空間認識装置2は、駐車領域検出ラインLの補正処理を行う。自車両10の実際の走行方向が、予定していた走行方向(図2のX方向)に対して斜めになった場合には、駐車領域検出ラインLが実際の位置から傾いた状態になる。このため、この補正処理は、駐車領域検出ラインLの傾きを補正するために行う。この補正処理について以下に説明する。
【0052】
駐車空間認識装置2は、操舵角センサ6から入力される検出信号に基づいて、ハンドルの操作方向および操舵角を算出する。次に、駐車空間認識装置2は、これらのデータからハンドルを中立位置にする補正方向と補正角度を算出して、駐車領域検出ラインLを補正方向に補正角度回転させて図6のように補正する。
【0053】
<駐車位置仮設定処理SB>
次に、図7と図8を用いて駐車位置仮設定処理SBを説明する。図7は、駐車位置仮設定処理SBの処理手順を示すフローチャートである。この駐車位置仮設定処理SBでは、駐車領域検出ラインLを用いて座標平面上に駐車車両の仮想駐車位置を設定する。以下に、駐車位置仮設定処理SBの各処理手順を具体的に説明する。
【0054】
(ステップSB1)
まず最初に、駐車空間認識装置2は、図8に示す駐車領域検出ラインLに駐車車両検出部Laが複数あるか否かを判断する。この駐車車両検出部Laというのは、駐車領域検出ラインLにおいてX軸側(自車両10の走行側)に湾曲状に突出している部分である。
【0055】
(ステップSB2)
駐車空間認識装置2は、ステップSB1で駐車領域検出ラインLに駐車車両検出部Laが複数あると判断した場合には(ステップSB1でYES)、座標平面上に先頭ラインAを設定する。具体的には、先頭ラインAを、各駐車車両検出部Laの先頭部分Lbを通るように設定する。なお、先頭部分Lbは、駐車車両検出部Laにおいて、X軸に一番近い位置にあってほぼ直線状である。
【0056】
また、駐車空間認識装置2は、ステップSB1で駐車領域検出ラインLに駐車車両検出部Laが複数ないと判断した場合には(ステップSB1でNO)、駐車空間認識処理を終了する。なお、ステップSB1で駐車車両検出部Laの存在個数の判断基準を複数以上とするのは、駐車空間認識装置2が、駐車車両11、11間にある駐車空間Sを認識することを目的としているからである。
【0057】
(ステップSB3)
次に、駐車空間認識装置2は、座標平面上に平行ラインBを設定する。具体的には、平行ラインBを、先頭ラインAからY軸の正方向(走行側と反対方向)に所定距離Yaだけ離し、先頭ラインAに平行に且つ駐車車両検出部Laの左右側部分Lc、Lcに交差するように設定する。なお、左右側部分Lc、Lcは、駐車車両検出部Laにおいて先頭部分Lb以外の部分である。
【0058】
(ステップSB4)
次に、駐車空間認識装置2は、座標平面上に各駐車車両の仮想中心点Eを設定する。具体的には、各平行ラインBにおいて各駐車車両検出部Laの左右側部分Lc、Lcとの2つの交点C、D間の部分の距離を算出し、その距離を1/2にする位置に仮想中心点Eを設定する。
【0059】
(ステップSB5)
次に、駐車空間認識装置2は、座標平面上に各駐車車両の仮想駐車位置11aを設定する。この仮想駐車位置11aは、仮想中心点Eと一般的な車両の大きさのデータを用いて設定する。以下に、仮想駐車位置11aの具体的な設定処理を説明する。
【0060】
まず最初に、駐車空間認識装置2は、平行ラインB上に仮想駐車位置11aの側面位置F、Gを設定する。具体的には、仮想中心点EからX軸の正方向および負方向に一般的な車両幅の1/2の距離Xaだけ離した位置を側面位置F、Gに設定する。
【0061】
次に、駐車空間認識装置2は、仮想駐車位置11aの先頭角H、Iを設定する。具体的には、座標平面上に各側面位置F、Gを通る側面ラインJをY軸と平行に設定し、この側面ラインJと先頭ラインAとの交点を先頭角H、Iに設定する。
【0062】
次に、駐車空間認識装置2は、側面ラインJ上に仮想駐車位置11aの後尾角K、Mを設定する。具体的には、先頭角H、IからY軸の正方向に一般的な車両の前後長Ybだけ離した位置を後尾角K、Mに設定する。
【0063】
最後に、駐車空間認識装置2は、先頭角H、Iと後尾角K、Mとをつないで四角形の枠を形成し、この四角形の枠を仮想駐車位置11aとしている。
【0064】
(ステップSB6)
次に、駐車空間認識装置2は、上記のようにして座標平面上に2つの仮想駐車位置11aを設定したら、図9に示すように、モニタ7にこれらの仮想駐車位置11aを表示する。
【0065】
<駐車空間判別処理SC>
次に、図10と図11を用いて駐車空間判別処理SCを説明する。図10は、駐車空間判別処理SCの処理手順を示すフローチャートである。この駐車空間判別処理SCでは、各仮想駐車位置11aを用いて駐車空間Sの認識を行う。以下に、駐車空間判別処理SCの各処理手順を具体的に説明する。
【0066】
(ステップSC1)
まず最初に、駐車空間認識装置2は、図11に示す座標平面上において仮想駐車位置11a、11a間のX軸(走行方向X)に平行な最短距離11dを算出する。この最短距離11dを算出する理由は、駐車車両11が実際の駐車位置に斜めに駐車している場合を考慮するためである。
【0067】
具体的に説明すると、駐車車両11が斜めに駐車している場合には、ステップSA7で駐車領域検出ラインLを補正しても、先頭ラインAがX軸と平行にはならない。このため、この先頭ラインAを基準にして設定される仮想駐車位置11aもX軸に対して傾いた状態になる。したがって、上記の最短距離11dを算出すれば、駐車車両11が斜めに駐車していても、駐車車両11、11間にある駐車空間Sの認識処理を正確に行うことが可能になる。
【0068】
(ステップSC2)
次に、駐車空間認識装置2は、仮想駐車位置11a、11a間の最短距離11dが一般的な駐車幅以上であるか否かを判断する。
【0069】
(ステップSC3)
駐車空間認識装置2は、ステップSC2で仮想駐車位置11a、11a間の最短距離11dが一般的な駐車幅以上であると判断した場合には(ステップSC2でYES)、仮想駐車位置11a、11a間に駐車空間Sがあると判断して、この駐車空間の存在をモニタ7に表示する。その表示方法としては、例えば、図12に示すように、仮想駐車位置11a、11a間に「○」を表示する。運転者は、この表示内容から、図2で示した手前の駐車車両11と二番目の駐車車両11の間には駐車空間Sが存在していると判断し、駐車操作を行う。
【0070】
(ステップSC4)
また、駐車空間認識装置2は、ステップSC2で仮想駐車位置11a、11a間の最短距離11dが一般的な駐車幅より小さいと判断した場合には(ステップSC2でNO)、仮想駐車位置11a、11a間には駐車空間Sがないと判断して、それをモニタ7に表示する。その表示方法としては、例えば、図13に示すように、仮想駐車位置11a、11a間に「×」を表示する。
【0071】
以上説明してきたように、本実施の形態の駐車空間認識装置2では、駐車領域検出ラインLにおいて、各駐車車両検出部Laの先頭部分Lbに基づいて駐車空間Sを認識するようにした。ここで、各先頭部分Lbは、水平広角度ソナー4の指向性の影響を受けない部分である。したがって、本実施の形態の駐車空間認識装置2は、従来の駐車空間認識装置と異なり、水平広角度ソナー4の指向性の影響を受けずに駐車空間Sを認識することが可能になる。よって、本実施の形態の駐車空間認識装置2は、駐車空間Sの認識精度を高めることができる。
【0072】
また、本実施の形態の駐車空間認識装置2は、座標平面上に各駐車車両検出部Laの先頭部分Lbに基づいて平行ラインBを設定し、この平行ラインBを用いて各駐車車両の仮想中心点Eを設定した。したがって、仮想中心点Eの算出範囲が容易に設定されるので、仮想中心点Eを容易に設定することが可能になる。よって、本実施の形態の駐車空間認識装置2は、駐車空間Sの認識処理を容易に行うことができる。
【0073】
また、本実施の形態の駐車空間認識装置2では、従来から使用されている障害物検出用のソナーを水平広角度ソナーに兼用できるので、低コスト化を図ることができる。また、本実施の形態の駐車空間認識装置2は、カメラを使用せずに水平広角度ソナー4のみで駐車空間Sの認識処理を行うようにしたので、白線の状態が悪い場合や夜間でも駐車空間Sの存在を運転者に知らせることができる。また、この駐車空間認識装置2にカメラを加えて駐車空間Sの認識処理を行うように構成すれば、駐車空間Sの認識精度をよりいっそう高めることができる。
【0074】
第2の実施の形態:
図14は、本件発明の第2の実施の形態を示す駐車空間認識装置において駐車空間判別処理の処理手順を示すフローチャートである。この駐車空間判別処理は、第1の実施の形態と同様の駐車領域検出処理と駐車位置仮設定処理を行った後に、各駐車車両の仮想中心点Eを用いて駐車空間Sの認識を行う。以下に、駐車空間判別処理の各処理手順について具体的に説明する。
【0075】
(ステップSD1)
まず最初に、駐車空間認識装置2は、図15に示す座標平面上において仮想中心点E、E間のX軸(走行方向X)に平行な距離Edを算出する。
【0076】
(ステップSD2)
次に、駐車空間認識装置2は、仮想中心点E、E間の距離Edが一般的な駐車幅の2倍以上であるか否かを判断する。
【0077】
(ステップSD3)
駐車空間認識装置2は、ステップSD2で仮想中心点E、E間の距離Edが一般的な駐車幅の2倍以上であると判断した場合には(ステップSD2でYES)、仮想中心点E、E間、つまり仮想駐車位置11a、11a間には駐車空間S(図2参照)があると判断して、この駐車空間Sの存在を、例えば図12のようにモニタ7に表示する。
【0078】
(ステップSD4)
駐車空間認識装置2は、ステップSD2で仮想中心点E、E間の距離Edが一般的な駐車幅の2倍より小さいと判断した場合には(ステップSD2でNO)、仮想駐車位置11a、11a間には駐車空間Sがないと認識して、それを例えば図13のようにモニタ7に表示する。
【0079】
このように本実施の形態の駐車空間認識装置では、各駐車車両の仮想中心点Eを用いて駐車空間Sを認識するようにした。この仮想中心点Eは、第1の実施の形態で説明したように駐車領域検出ラインLの各駐車車両検出部Laの先頭部分Lbに基づいて算出されるものである。したがって、本実施の形態の駐車空間認識装置においても、第1の実施の形態の駐車空間認識装置と同様に、水平広角度ソナー4の指向性の影響を受けずに駐車空間Sを認識することが可能になる。よって、本実施の形態の駐車空間認識装置は、駐車空間Sの認識精度を高めることができる。
【0080】
第3の実施の形態:
図16は、本件発明の第3の実施の形態を示す駐車空間認識装置において駐車空間判別処理の処理手順を示すフローチャートである。この駐車空間判別処理は、第1の実施の形態と同様の駐車領域検出処理と駐車位置仮設定処理を行った後に、各駐車車両の仮想中心線を用いて駐車空間Sの認識を行う。以下に、駐車空間判別処理の各処理手順について具体的に説明する。
【0081】
(ステップSE1)
まず最初に、駐車空間認識装置2は、図17に示すように座標平面上に各駐車車両の仮想中心線Nを設定する。具体的には、座標平面上に各仮想中心点Eを通るラインをY軸と平行に設定し、このラインで各仮想駐車位置11aの先頭ラインAと後尾ラインTとの交点の間の部分を仮想中心線Nに設定する。
【0082】
(ステップSE2)
次に、駐車空間認識装置2は、仮想中心線N、N間のX軸(走行方向X)に平行な最短距離Ndを算出する。この最短距離Ndを算出する理由は、駐車車両11が実際の駐車位置に斜めに駐車している場合を考慮するためである。
【0083】
具体的に説明すると、駐車車両11が斜めに駐車している場合には、ステップSA7で駐車領域検出ラインLを補正しても、仮想中心線NがY軸と平行にはならない。したがって、上記の最短距離Ndを算出すれば、駐車車両11が斜めに駐車していても、駐車車両11、11間にある駐車空間Sの認識処理を正確に行うことが可能になる。
【0084】
(ステップSE3)
次に、駐車空間認識装置2は、仮想中心線N、N間の最短距離Ndが一般的な駐車幅の2倍以上であるか否かを判断する。
【0085】
(ステップSE4)
駐車空間認識装置2は、ステップSE3で仮想中心線N、N間の最短距離Ndが一般的な駐車幅の2倍以上であると判断した場合には(ステップSE3でYES)、仮想中心線N、N間、つまり仮想駐車位置11a、11a間には駐車空間S(図2参照)があると判断して、この駐車空間Sの存在を例えば図12のようにモニタ7に表示する。
【0086】
(ステップSE5)
駐車空間認識装置2は、ステップSE3で仮想中心線N、N間の最短距離Ndが一般的な駐車幅の2倍より小さいと判断した場合には(ステップSE3でNO)、仮想駐車位置11a、11a間には駐車空間Sがないと認識して、それを例えば図13のようにモニタ7に表示する。
【0087】
このように本実施の形態の駐車空間認識装置では、各駐車車両の仮想中心線Nを用いて駐車空間Sを認識するようにした。この仮想中心線Nは、仮想中心点E、つまり、駐車領域検出ラインLの駐車車両検出部Laの先頭部分Lbに基づいて算出されるものである。したがって、本実施の形態の駐車空間認識装置においても、第1の実施の形態や第2の実施の形態の駐車空間認識装置と同様に、水平広角度ソナー4の指向性の影響を受けずに駐車空間Sを認識することが可能になる。よって、本実施の形態の駐車空間認識装置は、駐車空間Sの認識精度を高めることができる。
【0088】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0089】
例えば、上記の実施の形態で説明した駐車空間認識装置では、平行ラインBを用いて各駐車車両の仮想中心点Eを設定したが、その他には、図18に示すように、各駐車車両検出部Laの先頭部分Lbの距離を算出し、この距離を二等分する位置に仮想中心点Eを設定しても良い。
【0090】
この場合には、先頭部分Lbをそのまま用いて仮想中心点Eを設定するので、各仮想中心点Eと実際の中心点とのずれが少ない。したがって、仮想中心点E、E間の距離Ed(図15参照)と実際の中心点間の距離とのずれを少なくすることが可能になる。さらに、この仮想中心点Eに基づいて設定される仮想中心線N、N間の最短距離Nd(図17参照)と実際の中心線との最短距離とのずれや、仮想駐車位置11a、11a間の最短距離11d(図11参照)と実際の駐車位置間の最短距離とのずれも少なくすることが可能になる。よって、この場合の駐車空間認識装置では、駐車空間Sの認識精度をさらに高めることができる。
【0091】
また、この場合には、仮想中心点EからX軸の正方向および負方向に一般的な車両幅の1/2の距離Xaだけ離した位置が、仮想駐車位置11aの先頭角H、Iになる。さらに、この先頭角H、IからY軸の正方向に一般的な車両の前後長Ybだけ離した位置を後尾角K、Mに設定する。そして、先頭角H、Iと後尾角K、Mとをつないで四角形の枠を形成し、この四角形の枠が仮想駐車位置11aとなる。したがって、仮想駐車位置11b、11bの設定処理に際して、第1の実施の形態で説明した先頭ラインA、平行ラインB、側面ラインJを設定しなくても良いので、仮想駐車位置11b、11bの設定処理が容易になる。
【0092】
また、上記の実施の形態で説明した駐車空間認識装置では、駐車空間Sの有無を運手者に知らせる提示手段としてモニタ7を使用したが、スピーカ等を用いて音声で運転者に知らせるようにしても良い。その場合には、仮想駐車位置11aを表示する必要がないので座標平面上に仮想駐車位置11aを設定する必要もなくなる。したがって、座標平面上に仮想中心点Eを設定すれば、第2の実施の形態で説明したように駐車空間Sの有無を運転者に知らせることが可能になる。また、駐車空間認識装置の制御処理を簡単にすることができるので、駐車空間認識装置の低コスト化を図ることもできる。
【0093】
また、第1の実施の形態では駐車領域検出ラインLの補正処理を行ったが、その他の補正処理の方法としては、実測した図5の駐車領域検出ラインLから仮想中心線Nを算出し、この仮想中心線Nに対して補正処理を行うようにしても良い。
【0094】
また、第1の実施の形態では、運転者が駐車スイッチ3をオンにすることによって駐車空間認識処理を開始するようにしたが、GPSを利用して駐車場に入った場合や、走行速度が所定の低速度以下になった場合に自動的に駐車空間認識処理を開始するようにしても良い。また、運転者が駐車スイッチ3をオフにすることによって駐車空間認識処理を終了するようにしても良い。
【0095】
また、実施の形態の駐車空間認識装置では、2台の駐車車両11、11間の駐車空間Sを認識するために使用したが、3台以上の駐車車両11、11間の駐車空間Sを認識するために使用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上説明したように本件発明の駐車空間認識装置は、水平広角度ソナーを用いても駐車空間の認識精度を高めることができる。したがって、本件発明の駐車空間認識装置を、駐車空間認識装置の技術分野で十分に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
2 駐車空間認識装置
4 水平広角度ソナー
5 車速センサ
7 モニタ
10 自車両
11 駐車車両
11a 仮想駐車位置
11d 仮想駐車位置間の最短距離
A 先頭ライン
B 平行ライン
C 交点
D 交点
E 仮想中心点
Ed 仮想中心点間の距離
L 駐車領域検出ライン
La 駐車車両検出部
Lb 先頭部分
Lc 左右側部分
N 仮想中心線
Nd 仮想中心線間の最短距離
P 駐車領域
S 駐車空間
W 超音波
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駐車車両が一列に配置される駐車領域の脇を自車両が走行するのに伴い、当該自車両の側方から所定間隔で前記駐車領域に超音波を発信する水平広角度ソナーおよび車速センサを用いて座標平面上に駐車領域検出ラインを作成する駐車領域検出手段と、
前記駐車領域検出ラインで前記自車両の走行側に湾曲状に突出している駐車車両検出部が複数形成されている場合には、前記座標平面上に、各駐車車両検出部の先頭部分に基づいて各駐車車両の仮想中心点を設定する駐車位置仮設定手段と、
各仮想中心点間の走行方向に平行な距離を算出し、この距離が一般的な駐車幅の2倍以上の場合には、それに該当する仮想中心点間には駐車空間があると判断して、この駐車空間の存在を提示手段を用いて運転者に知らせる駐車空間判別手段と
を備えていることを特徴とする駐車空間認識装置。
【請求項2】
複数の駐車車両が一列に配置される駐車領域の脇を自車両が走行するのに伴い、当該自車両の側方から所定間隔で前記駐車領域に超音波を発信する水平広角度ソナーおよび車速センサを用いて座標平面上に駐車領域検出ラインを作成する駐車領域検出手段と、
前記駐車領域検出ラインで前記自車両の走行側に湾曲状に突出している駐車車両検出部が複数形成されている場合には、前記座標平面上に、各駐車車両検出部の先頭部分に基づいて各駐車車両の仮想中心点を設定するとともに、各仮想中心点および一般的な車両の大きさから前記各駐車車両の仮想中心線を設定する駐車位置仮設定手段と、
各仮想中心線間の走行方向に平行な最短距離を算出し、この最短距離が一般的な駐車幅の2倍以上の場合には、それに該当する仮想中心線間には駐車空間があると判断して、この駐車空間の存在を提示手段を用いて運転者に知らせる駐車空間判別手段と
を備えていることを特徴とする駐車空間認識装置。
【請求項3】
複数の駐車車両が一列に配置される駐車領域の脇を自車両が走行するのに伴い、当該自車両の側方から所定間隔で前記駐車領域に超音波を発信する水平広角度ソナーおよび車速センサを用いて駐車領域検出ラインを作成する駐車領域検出手段と、
前記駐車領域検出ラインで前記自車両の走行側に湾曲状に突出している駐車車両検出部が複数形成されている場合には、前記座標平面上に、各駐車車両検出部の先頭部分に基づいて各駐車車両の仮想中心点を設定するとともに、各仮想中心点および一般的な車両の大きさから前記各駐車車両の仮想駐車位置を設定する駐車位置仮設定手段と、
各仮想駐車位置間の走行方向に平行な最短距離を算出し、この最短距離が一般的な駐車幅以上の場合には、それに該当する仮想駐車位置間には駐車空間があると判断して、この駐車空間の存在を提示手段を用いて運転者に知らせる駐車空間判別手段と
を備えていることを特徴とする駐車空間認識装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の駐車空間認識装置において、
前記駐車位置仮設定手段は、前記各駐車車両検出部の先頭部分を二等分する位置に前記仮想中心点を設定することを特徴とする駐車空間認識装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の駐車空間認識装置において、
前記駐車位置仮設定手段は、前記座標平面上に、前記各駐車車両検出部の先頭部分を通る先頭ラインをそれぞれ設定するとともに、各先頭ラインに対して平行に且つ前記各駐車車両検出部の左右側部分に交差する平行ラインをそれぞれ設定し、各平行ラインで前記各駐車車両検出部の左右側部分との2つの交点の間の部分を二等分する位置に前記仮想中心点を設定することを特徴とする駐車空間認識装置。
【請求項1】
複数の駐車車両が一列に配置される駐車領域の脇を自車両が走行するのに伴い、当該自車両の側方から所定間隔で前記駐車領域に超音波を発信する水平広角度ソナーおよび車速センサを用いて座標平面上に駐車領域検出ラインを作成する駐車領域検出手段と、
前記駐車領域検出ラインで前記自車両の走行側に湾曲状に突出している駐車車両検出部が複数形成されている場合には、前記座標平面上に、各駐車車両検出部の先頭部分に基づいて各駐車車両の仮想中心点を設定する駐車位置仮設定手段と、
各仮想中心点間の走行方向に平行な距離を算出し、この距離が一般的な駐車幅の2倍以上の場合には、それに該当する仮想中心点間には駐車空間があると判断して、この駐車空間の存在を提示手段を用いて運転者に知らせる駐車空間判別手段と
を備えていることを特徴とする駐車空間認識装置。
【請求項2】
複数の駐車車両が一列に配置される駐車領域の脇を自車両が走行するのに伴い、当該自車両の側方から所定間隔で前記駐車領域に超音波を発信する水平広角度ソナーおよび車速センサを用いて座標平面上に駐車領域検出ラインを作成する駐車領域検出手段と、
前記駐車領域検出ラインで前記自車両の走行側に湾曲状に突出している駐車車両検出部が複数形成されている場合には、前記座標平面上に、各駐車車両検出部の先頭部分に基づいて各駐車車両の仮想中心点を設定するとともに、各仮想中心点および一般的な車両の大きさから前記各駐車車両の仮想中心線を設定する駐車位置仮設定手段と、
各仮想中心線間の走行方向に平行な最短距離を算出し、この最短距離が一般的な駐車幅の2倍以上の場合には、それに該当する仮想中心線間には駐車空間があると判断して、この駐車空間の存在を提示手段を用いて運転者に知らせる駐車空間判別手段と
を備えていることを特徴とする駐車空間認識装置。
【請求項3】
複数の駐車車両が一列に配置される駐車領域の脇を自車両が走行するのに伴い、当該自車両の側方から所定間隔で前記駐車領域に超音波を発信する水平広角度ソナーおよび車速センサを用いて駐車領域検出ラインを作成する駐車領域検出手段と、
前記駐車領域検出ラインで前記自車両の走行側に湾曲状に突出している駐車車両検出部が複数形成されている場合には、前記座標平面上に、各駐車車両検出部の先頭部分に基づいて各駐車車両の仮想中心点を設定するとともに、各仮想中心点および一般的な車両の大きさから前記各駐車車両の仮想駐車位置を設定する駐車位置仮設定手段と、
各仮想駐車位置間の走行方向に平行な最短距離を算出し、この最短距離が一般的な駐車幅以上の場合には、それに該当する仮想駐車位置間には駐車空間があると判断して、この駐車空間の存在を提示手段を用いて運転者に知らせる駐車空間判別手段と
を備えていることを特徴とする駐車空間認識装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の駐車空間認識装置において、
前記駐車位置仮設定手段は、前記各駐車車両検出部の先頭部分を二等分する位置に前記仮想中心点を設定することを特徴とする駐車空間認識装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の駐車空間認識装置において、
前記駐車位置仮設定手段は、前記座標平面上に、前記各駐車車両検出部の先頭部分を通る先頭ラインをそれぞれ設定するとともに、各先頭ラインに対して平行に且つ前記各駐車車両検出部の左右側部分に交差する平行ラインをそれぞれ設定し、各平行ラインで前記各駐車車両検出部の左右側部分との2つの交点の間の部分を二等分する位置に前記仮想中心点を設定することを特徴とする駐車空間認識装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−34297(P2011−34297A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179388(P2009−179388)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
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