説明

骨形成及び鉱化作用を調節する方法

骨形成及び鉱化作用を調節するための方法及び組成物が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
【0002】
本出願は、2007年2月16日に出願された米国仮出願第60/901,753号の優先権を主張し、そして当該米国仮出願のすべての内容は、引用により本明細書に援用されている。
【0003】
本発明の背景
転写因子は、細胞外のシグナルから細胞内応答への経路を連結するように機能する細胞内の一群の分子である。環境からの刺激があった後直ちに、細胞質ゾルにおいて顕著に存在するこれらのタンパク質が核に移り、目標の遺伝子のプロモーター要素に固有のDNA配列に結合し、そしてこれらの目標とする遺伝子の転写を活性化する。転写因子の一ファミリー、すなわちZAS(ジンクフィンガー酸性ドメイン構造)DNA結合タンパク質ファミリーが、遺伝子転写、DNA遺伝子組み換え及びシグナル導入の調節に関与している(Mak, C.H., et al. 1998. Immunogenetics 48: 32-39)。
【0004】
ジンクフィンガータンパク質は、高度に保存されたCys2His2ジンクフィンガーの存在により同定されている。前記のジンクフィンガーは、ZASドメインと称されるDNA結合構造の完全な部分である。前記のZASドメインは、一対のジンクフィンガー、すなわちグルタミン酸/アスパラギン酸に富む酸性配列及びセリン/スレオニンに富む配列を含む(Mak, C.H., et al. 1998. Immunogenetics 48: 32-39)。前記のZASドメインは、遺伝子のプロモーター領域又はエンハンサー領域に存在するkB様シス作動性調節因子と相互に作用することが示された。前記のZASタンパク質は、多くの遺伝子、特に免疫応答に関与する遺伝子のエンハンサー領域に存在する核ファクターkB結合サイト(nuclear factor kB
binding site)を認識する(Bachmeyer, et al. 1999. Nuc.
Acid Res. 27, 643-648)。前記のZAS DNA結合タンパク質は、これらの目的の遺伝子の転写調節因子であると示された(Bachmeyer, et al. 1999. Nuc. Acid Res. 27, 643-648; Wu et al. 1998. Science 281, 998-1001)。
【0005】
前記のジンクフィンガー転写因子schnurri3、又はShn3は、カッパ認識コンポーネント、すなわちKRC(Kappa Recognition Component)としても知られ、そしてヒト免疫不全ウイルスI型エンハンサー結合タンパク質(HIVEP3)は、ZAS DNA結合ファミリータンパク質(ZAS DNA binding family
of proteins)に属する(Bachmeyer, et
al. 1999. Nuc. Acid Res. 27, 643-648; Wu et al. 1998. Science 281, 998-1001)。前記のShn3遺伝子は、免疫受容体遺伝子のsomatic V(D)J recombinationに含まれる7量体コンセンサス シグナル配列のためのDNA結合タンパク質として同定された(Mak, C. H., et al. 1994. Nuc.Acid Res. 22: 383-390)。Shn3は、in vitroにおいて上皮増殖因子受容体キナーゼ(epidermal growth factor receptor kinase)及びp34cdc2 kinaseの基質である(Bachmeyer, et al.
1999. Nuc. Acid
Res. 27, 643-648)。
【0006】
キイロショウジョウバエ(Drosophila)において、Schnurri(Shn)は、TGF-b スーパーファミリーに属するデカペンタプレジック(Dpp)の下流遺伝子の調節における胚形成の間で重要な役割を果たしている(Arora, K., et al. (1995). Cell 81,
781-790)。Dppの受容体への連結反応により、Med、Drosophila R-Smad
homologue、Madとの組み合わせ、Drosophila Co-Smad
homologueを生ずるシグナル・カスケードが開始される(Dai, H., et al. (2000). Dev Biol 227, 373-387)。前記のMad/Med複合体が、核に移動し、そこでShnと相互作用する。Shnが、Brinker(Brk)の調節領域に結合する前記のMad/Med複合体に、必須の転写コリプレッサーを補充することが示された。Brkは、Dppにより媒介される遺伝子発現の範囲の広いリプレッサーであるので、Brk発現のShnにより誘発されたリプレッションにより、目的の遺伝子の発現を誘発するDppの能力が促進される(Arora, K., et al. (1995). Cell 81,
781-790; Dai, H., et al. (2000). Dev Biol 227, 373-387; Marty, T., et al. (2000). Nat Cell Biol 2, 745-749)。
【0007】
多くの研究により、Shn3が、NF-kB及びAP-1を含む重要な他の転写タンパク質の活性を調節することが示されたが、TGF-bシグナリングにおける哺乳動物Shn遺伝子の役割は未だ同定されていない(Hong, J. W., et al. (2003). Proc Natl Acad Sci U S A 100, 12301-12306; Oukka, M., et al. (2004). J Exp Med 199, 15-24; Oukka, M., et al. (2002). Mol Cell 9, 121-131)。さらに、Shn3のin vivoにおける役割はほとんどわかっていない。
【0008】
骨は、骨のマトリックス構成成分が連続的に作り直して、骨格の構造的な完全な状態を維持する動的な組織である。骨のリモデリングは、正常な生理学的状態では前に骨の再吸収が起こった部位でのみ骨の形成が起こる、循環プロセスである。前記の骨格の恒常性リモデリングは、独占的ではないが破骨細胞及び骨芽細胞により主として伝達される(Erlebacher, A., et al. (1995). Cell 80, 371-378)。破骨細胞は、骨の再吸収を担う造血器起源の巨大な多核細胞である。間葉の幹細胞に由来する骨芽細胞は、骨形成表面で前記のマトリックス構成成分を合成する。これらの細胞の増殖、分化及び骨リモデリングの活性は、成長因子、シグナリングタンパク質及び転写因子の複雑な一時的なネットワークを含んでいる(Karsenty, G., and
Wagner, E. F. (2002). Dev Cell 2,
389-406)。いずれか一つの成分の調節不全により、前記のリモデリングプロセスが乱され、そして一定の骨格疾患、例えば骨粗しょう症及びパジェット病の病因を助長する。まとめて大理石骨病と称される、破骨細胞の欠陥に起因する増加した骨量を生ずる希少な単一遺伝子疾患(Rare single gene
disorder)が確認された。実質的に上昇した骨芽細胞活性に起因する、増加した骨量を生ずる、骨硬化症と総称される、例えばCamerati-Engelman症候群のような単一遺伝子疾患は、希少である。
【0009】
転写因子Runx2は、胚の発達過程における骨芽細胞の分化の主な調節因子である。それは多くの核転写因子、コアクチベーター及び細胞外シグナルを解釈するアダプタータンパク質と相互作用して、恒常性の骨芽細胞の発達及び活性を確実する(Lian, J. B., et al. (2004). Crit Rev Eukaryot Gene Expr 14, 1-41; Stein, G. S., et al. (2004). Oncogene 23, 4315-4329)。Runx2において突然変異が起きると、ヒト常染色体優性疾患 鎖骨頭蓋骨形成不全(human autosomal dominant
disease cleidoranial dysplasia)が発症する(Lee,
B., et al. (1997). Nat Genet 16, 307-310; Mundlos, S., et al. (1997). Cell 89, 773-779; Otto, F., et al. (1997). Cell 89, 765-771)。Runx2−/−マウスでは、鉱化されていない骨格を生ずる、軟骨内骨化及び膜性骨化の両方が完全に欠けていることが呈される(Komori, T., et al. (1997). Cell 89, 755-764; Otto, F., et
al. (1997). Cell 89, 765-771)。胚の発達期間における骨芽細胞の分化に関する分子レベルでのメカニズムの解明における重要な進歩とは対照的に、少数の遺伝子のみが、生後の骨芽細胞の機能を調節することが知られているにすぎない(Yoshida, Y., et al. (2000). Cell 103,
1085-1097; Kim, S., et al. (2003) Genes
Dev 17, 1979-1991)。Wnt受容体であるLRP5は、成人及びげっ歯類の骨量の調節に重要である(Johnson, M. L., et al. (2004). J Bone Miner Res 19, 1749-1757)。Runx2は、骨芽細胞の分化に中心的な役割を果たすだけでなく、生後の骨形成に重要であることが示されたもう一つのタンパク質であるATF4(Yang, X., et al. (2004). Cell 117, 387-398)の誘導を通じて成体マウスにおいて成熟した骨芽細胞活性も部分的に調節する(Ducy, P., et al. (1999). Genes Dev 13, 1025-1036)。TGFbは、Smurf1と称されるSMAD3 E3リガーゼの活性を通じて部分的に媒介される骨ホメオスタシスにおいて複雑な機能を有する。
【0010】
発明の要約
一つの態様では、本発明は、少なくとも部分的に、骨形成及び鉱化作用を調節するための方法に関するものであって、Shn3調節化合物の有効量を被験体に投与するステップを含む。
【0011】
もう一つの態様では、本発明は、また少なくとも部分的に、骨粗しょう症を治療するための方法に関するものである。
前記の方法は、式(I):
【化1】

(式中、Lが結合基であり、
及びPのそれぞれが、独立して選ばれた任意に置換された環状基であり、
a及びbのそれぞれが、独立して単結合又は二重結合である。)で表される化合物又はその薬学的に受容される塩の有効量を被験体に投与するステップを含む。
【0012】
もう一つの更なる態様では、本発明は、また少なくとも部分的に、骨粗しょう症を治療するための方法に関するものであって、化合物の有効量を被験体に経口投与するステップを含む。
【0013】
さらにもう一つの態様では、本発明は、また、経口投与で骨芽細胞の合成を促進するために有効な量の化合物及び薬学的に受容されるキャリヤーを含む薬学的組成物を含む。
【0014】
もう一つの態様では、本発明は、また少なくとも部分的に、薬学的に受容されるキャリヤー、及び式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、(IVa)若しくは(IVb)の化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル、そのプロドラッグ又はその幾何異性体の有効量を含む薬学的組成物に関するものである。
【0015】
さらにもう一つの態様では、本発明は、また、Shn3調節化合物の有効量及び薬学的に受容されるキャリヤーを含む薬学的組成物を含む。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、また、少なくとも部分的に、式(IIa):
【化2】

(式中、Lが結合基であり、
が、環構成原子として2つ以上の窒素原子、及び1個、2個又は3個のカルボニル基又はチオカルボニル基を含む、任意に置換されたヘテロサイクル基であり、
が、任意に置換された、アリール、へテロアリール、多環式基、アルキル、アルケニル、又は環員原子として2つ以上の窒素原子、及び1個、2個又は3個のカルボニル基又はチオカルボニル基を任意に含む、任意に置換されたヘテロサイクル基である。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体又はそのプロドラッグに関するものである。
【0017】
もう一つの態様では、本発明は、また少なくとも部分的に式(IIb):
【化3】

(式中、c及びdが、独立して選ばれた単結合又は二重結合であり、
が結合基であり、
、X、X及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
、Y、Y及びYのそれぞれが、独立して酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
、R、R、R’、R、R’、R10、R10’、R11、R11’、R12及びR12’ のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、ニトロ、、チオール、アミノ、アシル、又は存在しないであり、
ただし、Yが酸素又はイオウである場合、R及びR’が存在しないであり、
が窒素である場合、R’が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R及びR’が存在しないであり、
が窒素である場合、R’が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R11及びR11’が存在しないであり、
が窒素である場合、R11’が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R12及びR12’が存在しないであり、
が窒素である場合、R12’が存在しないであり、
cが二重結合である場合、R’が存在しないであり、
dが二重結合である場合、R10’が存在しないである。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル、そのプロドラッグ又はその幾何異性体に関するものである。
【0018】
さらにもう一つの態様では、また少なくとも部分的に式(IIIa):
【化4】

(式中、X及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
が窒素又は炭素であり、
が、酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
13、R13’、R14、R14’R15及びR15’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、アシル、存在しない、又はK−Wであり、
Wが、独立して選ばれ、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、環状基又は多環式基であり、
Kが、独立して選ばれたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、オキソ基又はアミノ基であり、
ただし、Yが、窒素である場合、R13が存在しないであり、
が、酸素又はイオウである場合、R14及びR14’のそれぞれが存在しないであり、
が炭素である場合、R14’が存在しないであり、そして
13、R13’、R14、R14’、R15及びR15’の2つが、同一の炭素に共有結合により結合していない場合、R13、R13’、R14、R14’、R15及びR15’の内の2つがWである。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、その幾何異性体、そのエステル、又はそのプロドラッグに関するものである。
【0019】
さらにもう一つの態様では、また、少なくとも部分的に式(IVa):
【化5】

(式中、Bが、置換されたか又は置換されていない縮合環基又はへテロサイクル基であり、
Eが、置換されたか又は置換されていないフェニル基、へテロサイクル基又は縮合環基であり、
23及びR24のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、プロパルギル、ニトロ又はアシルである。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体、又はそのプロドラッグに関するものである。
【0020】
もう一つの態様では、本発明は、また、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、(IVa)又は(IVb)のいずれか一つの化合物の有効量を被験体に投与して、骨疾患を治療することによる前記の骨疾患を治療するための方法に関するものである。
【0021】
もう一つの態様では、本発明は、また、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、(IVa)又は(IVb)のいずれか一つの化合物に骨芽細胞を接触させて、骨芽細胞の活性が増加させることによる、前記の骨芽細胞の活性を増加させるための方法に関するものである。
【0022】
もう一つの態様では、本発明は、また、薬学的に受容されるキャリヤー及び式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、(IVa)又は(IVb)の化合物の薬学的組成物に関するものである。
【0023】
本発明の詳細な説明
本発明は、Shn3、Runx2、SMAD3及び/又はWWP1と相互作用することにより骨形成及び鉱化作用を調節する低分子化合物を見出したことに少なくとも部分的に基づいている。骨芽細胞におけるTGF-βシグナリングが、Shn3、Runx2、Smad3と、WWP1の能力によりRunx2の機能を阻害するE3ユビキチンリガーゼ、すなわちWWP1との間の多量体の複合体の形成を促進し、Runx2のポリユビキチン化及びプロテアソームに依存する分解を促進することが見出された。Shn3は、この複合体の不可欠且つ要求された構成成分である。なぜならば、Shn3が骨芽細胞に存在しないと、in vivoで不完全な骨芽細胞の発生のみならず、Runx2タンパク質のレベルが亢進し、Runx2転写活性が促進され、Runx2標的遺伝子の転写が亢進し、骨形成が著しくin vivoで増加するからである。Shn3及びWWP1は、また、RSK2リン酸化を促進し、そしてRSK2ユビキチン化を促進するWWP1の能力のためRSK2の機能を阻害する、RSK2との複合体を形成することが、以前発見されている。
【0024】
本明細書においてKRCタンパク質(kB結合及び推定上のV(D)J Rssの認識構成成分(kB binding and putative
recognition component of the V(D)J Rss))の同義語として言及されているSchnurri-3(Shn3)は、2282個のアミノ酸からなるDNA結合タンパク質である。Shn3は、T細胞、B細胞及びマクロファージに存在することが見出された。Shn3は、kBモチーフに結合するジンクフィンガータンパク質のファミリーの一種である(Bachmeyer, C, et al., 1999. Nuc. Acids.
Res. 27(2):643-648)。ジンクフィンガータンパク質は、KRC、並びにMBP1及びMBP2という二つのMHC Class I遺伝子エンハンサー結合タンパク質で代表されれる三つのクラスに分類される(Bachmeyer, C, et al., 1999. Nuc. Acids.
Res. 27(2):643-648)。
【0025】
1.定義
「Shn3」、すなわち「schnurri3」という用語は、KRCと同義に使用されている。Shn3のアミノ酸配列及びヌクレオチド配列は、引用により本明細書に援用されている国際出願番号PCT/US2006/014295に開示されている。
【0026】
「Shn3ファミリーポリペプチド」という用語は、Shn3構造ドメイン又はモチーフを有するタンパク質及びヌクレオチド分子、及び本明細書に定義されているようにShn3分子と、十分なアミノ酸又はヌクレオチド配列相同性を有するタンパク質及びヌクレオチド分子を包含する。前記のファミリーメンバーは、天然物由来又は非天然物由来であってもよく、そして同一種又は異なる種からの由来であってもよい。たとえば、ファミリーは他の異なったヒト由来のタンパク質のみならず、最初のヒト由来のタンパク質を含むことができるか又は、代わりに前記のファミリーはヒト以外の由来からの同族体を含むことができる。好ましいファミリーメンバーは、また一般的な機能の特性を有してもよい。好ましいShn3ポリペプチドは、以下のShn3の特性を1つ以上を含んでもよい。前記のShn3の特性は、一対のCys2-His2ジンクフィンガーに続きGlu- 及び Asp-に富む酸性ドメイン及びDNAに結合すると思われる配列ser/Thr-Pro-X-Arg/Lysの5つのコピーである。
【0027】
「Shn3活性」、「Shn3生物学的活性」又は「Shn3ポリペプチドの活性」という用語は、Shn3、例えばShn3 trのようなShn3ファミリーペプチド又はShn3が介在する情報伝達経路により調節される活性を調節する能力を包含する。例えば、一つの態様ではShn3の生物学的活性は、免疫応答の調節を包含する。もう一つの態様では、Shn3は、骨の形成及び鉱化作用を調節する。典型的なShn3活性としては、例えば免疫細胞の活性化及び/又は増殖の調節(例えば、サイトカイン遺伝子発現の調節による)、細胞の生き残り(例えば、アポトーシスの調節による)、シグナル経路を経由する情報伝達(例えば、NFkBシグナル経路、JNKシグナル経路及び/又はTGFγシグナル経路)、アクチン重合、、AP-1のユビキチン化、TRAFのユビキチン化、c-Junの分解、c-Fosの分解、SMADの分解、GATA3の分解、GATA3の発現、Th2細胞の分化の調節、Th2サイトカインの産生の調節、IgAの産生、GLα転写の調節、骨成長の調節、骨の鉱化作用の調節、破骨細胞の形成の調節、例えば骨形成及び/又は骨のリモデリング、オステオカルシン遺伝子転写の調節のような破骨細胞活性に対する骨芽細胞活性の調節、例えばRunx2タンパク質レベルの調節のようなRunx2の分解、Runx2のユビキチン化、RSK2の発現の調節、例えばRSK2のタンパク質レベルの調節のようなRSK2の分解、RSK2のユビキチン化、RSK2のリン酸化の調節、BSP、ColI(α)1、OCN、Osterix、RANKL及びATF4の発現の調節、ATF4タンパク質レベルの調節、及び/又はATF4のリン酸化の調節が挙げられる。
【0028】
「調節する」という用語の様々な形は、刺激(例えば、特定の応答又は活性の増加又はアップレギュレーション)及び阻害(例えば、特定の応答又は活性の減少又はダウンレギュレーション)を包含する。
【0029】
上記のように、Shn3は、TGF-βシグナリングの下流である分子の複雑な相互作用を通じて骨形成及び鉱化作用を調節する。一つの態様では、前記のShn3活性は、Shn3−標的分子又は結合パートナーとの結合のような直接的な活性である。
本明細書で使用されているように、「標的分子」、「結合パートナー」又は「Shn3結合パートナー」は、Shn3タンパク質が事実上結合又は相互作用して、Shn3により媒介された機能が達成される分子である。
【0030】
「TRAF」という用語は、TNF受容体関連因子(TNF Receptor Associated Factor)を意味する(例えば、Wajant et al, 1999, Cytokine Growth Factor Rev 10:15-26を参照。)。「TRAF」ファミリーは、TNF受容体スーパーファミリー及びインターロイキン−1受容体の多くのメンバーからの情報伝達を媒介する、細胞質アダプタータンパク質のファミリーを含む(例えばArch, R.H. et al., 1998, Genes Dev. 12:2821-2830を参照。)。「TRAF Cドメイン」という用語は、TRAFファミリーメンバーに見られる高度に保護された配列モチーフを意味する。
【0031】
「骨形成及び鉱化作用」という用語は、例えば、骨量が、骨を形成する骨芽細胞の活性と骨を分解する破骨細胞の活性とのバランスにより維持されているように骨のリモデリング及び骨の再形成におけるそれらの機能のみならず、骨細胞外マトリックスの膠原前駆体を合成し、そして前記マトリックスの鉱化作用を調節して骨を形成する骨芽細胞の細胞活性を包含する。骨の鉱化作用は、I型コラーゲン及び様々な非コラーゲンタンパク質からなる細胞外マトリックスにおける炭酸化ヒドロキシアパタイト結晶の沈殿物により発生する。
【0032】
「骨芽細胞」という用語は、間葉前骨芽細胞から派生し、そしてそれが骨細胞として取り囲まれる骨様のマトリックスを形成する骨形成細胞を含む。成熟した骨芽細胞は、in vivoで骨細胞外マトリクッスを形成できる細胞であり、そしてin vitroで細胞外のマトリックスの発生を招く鉱化された小節(nodule)を形成する能力で同定されうる。未成熟な骨芽細胞は、in vivoで鉱化された小節(nodule)を形成することができない。
【0033】
「破骨細胞」という用語は、骨の組織の吸収及び除去において機能し、豊富な好酸性細胞質を備えた大きな多核細胞を含む。破骨細胞は、副甲状腺ホルモンの存在下で非常に活性化され、増大された骨の再吸収、及び骨塩(リン、及び特にカルシウム)の細胞外の流体中への放出を引き起こす。
【0034】
「オステオカルシン」という用語は、骨Gla蛋白とも呼称され、ビタミンK依存性の、カルシウム結合性骨タンパク質、骨において最も豊富な非コラーゲン性タンパク質を含む。オステオカルシンは、分化された骨芽細胞及び破歯細胞において特異的に発現する。TGF-βにより媒介されるオステオカルシンの減少は、mRNAレベルで発生すること、及び新たにタンパク質合成を必要としないことが示された。前記のオステオカルシンプロモーターからの転写には、オステオカルシンプロモーター中のOSE2と呼ばれる応答成分への、Runx2とも呼称される転写因子CBFA1の結合を必要とする。
【0035】
Runx因子は、組織特異的遺伝子の活性化又は阻止を促進することができるDNA結合タンパク質である(Lutterbach, B., and S.
W. Hiebert. (2000) Gene 245:223-235)。哺乳動物のRunx関連遺伝子は、血液、骨格、及び胃の発達には必須であり、急性白血病及び胃癌において一般的に突然変異している(Lund, A. H., and M. van
Lohuizen. (2002) Cancer Cell. 1:213-215)。Runx因子は、組織限定の発現パターンを示し、そして十分発達した造血及び骨芽細胞の成熟を必要とされる。Runxタンパク質が、そのC末端セグメントを通じてSmad類と相互作用することが最近示された。なお、Smad類は、トランスフォーミング増殖因子(TGF)−β/成長因子の骨形成タンパク質(BMP)ファミリーに応答する場合において発達及び生物学的プロセスの多様な配列を調節するシグナルタンパク質のファミリーである。さらに、Runxタンパク質の核内の分布は、核マトリックス標的シグナル、すなわちRunx因子のC末端に存在するタンパク質モチーフにより媒介される。重要なことに、in vivoにおいて骨形成は、重なり核内標的シグナル及びSmad相互作用ドメインを含むRunx2のC末端を必要とする。前記のRunx及びSmadタンパク質は、表現型の遺伝子発現及び分化系列決定の調節に連携して関与している。遺伝子切断研究により、前記のRunx及びSmadタンパク質の両者は、発達的に造血及び骨形成に関与していることが明らかにされた。さらに、Runx2及び前記のBMP応答Smad類は、間葉多能性細胞において骨形成を誘発することができる。
【0036】
「Runx2」は、Runt 及びLozengeというショウジョバエ転写因子の3つの哺乳動物の同族体の一つである(Daga, A., et al.(1996)
Genes Dev. 10:1194-1205)。Runx2は、またTリンパ球において発現し、癌遺伝子c-myc、 p53及びPim1と協同して、マウスのT−細胞リンパ腫の発達を促進する(Blyth, K., et al. (2001)
Oncogene 20:295-302)。
【0037】
Runx2の発現は、骨芽細胞の分化及び骨格の形成において主要な役割を果たしている。オステオカルシンに加えて、Runx2は、骨芽細胞の分化の過程で活性化される、いくつかの他の遺伝子の発現を調節する。前記の他の遺伝子は、アルカリホスファターゼ、コラーゲン、オステオポンチン及びオステオプロテゲリンリガンドの各遺伝子である。これらの遺伝子は、また、それらのプロモーターにおいてRunx2結合サイトをも含む。これらの観察から、Runx2が骨芽細胞の分化に必須の転写因子であることが示唆された。この仮説は、cbfa1遺伝子が不活性化されたマウスの胚において骨が形成されないことにより強力に支持される。さらに、鎖骨頭蓋骨形成不全、すなわちいくらかの骨が十分に発達しないヒトの疾患はcbfa1対立遺伝子における突然変異と関係している。骨芽細胞の分化におけるその役割に加えて、Runx2は、分化された骨芽細胞による骨マトリックスの沈着の調節と密接に結び付けられた。Runx2の発現は、骨芽細胞の分化に影響する因子により調節される。それゆえに、BMP類はRunx2の発現を活性化することができる一方、Smad2及び糖質コルチコイドはRunx2の発現を阻害することができる。さらに、Runx2は、それ自身のプロモーターのOSE2要素に結合することができる。このことは、骨芽細胞の分化の過程で転写調節の自己調節フィードバックメカニズムの存在を示唆している。レビューについては、Alliston, et al. (2000) EMBO J 20:2254を参照されたい。
【0038】
本明細書で記載しているように、Runx2は、そのRunt DNA結合ドメインを通じてShn3と相互作用する。最もよく記載されたRunx2のRuntドメインに対する結合パートナーは、Runx2による高い親和性によるDNA結合に必要とされる構成的に発現された因子である、CBFβである(Tang, Y. Y., et al. (2000). J Biol Chem
275, 39579-39588; Yoshida, C. A., et al.
(2002). Nat Genet 32, 633-638)。Runx1により媒介される造血における重篤な欠陥のためE12.5においてCBFβ-/-マウスが死ぬが、CBFβ-/-マウスはGata1プロモーターによる形質転換によるCBFβの過発現により救命される場合、重篤な小人症は、Runx2-/-マウスの表現型と似たものを生ずる(Yoshida, C. A., et al. (2002). Nat Genet 32, 633-638)。CBFβに結合した場合、Runxファミリーメンバーは、ユビキチン/プロテアソームに媒介される分解から保護される(Huang, G., et al. (2001). Embo J 20, 723-733)。CBFβに結合した場合、Runx2の安定性が増進され、そしてそれが標的DNA配列に最適に結合する。Shn3に結合した場合、Runx2は、もはや標的の配列に高い親和性により結合できないし、Runx2分解は、促進されたユビキチン化及びそれに続く蛋白分解のために加速される。
【0039】
ヒトRunx2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:10863884に記載されている。ネズミのRunx2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:20806529に記載されている。ヒトのCBFβのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi: 47132615及び47132616に記載されている。ネズミのCBFβのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:31981853に記載されている。
【0040】
本明細書に記載されているように、「WWP1」は、Nedd4、WWP2及びAIP4も含む多重のWWドメインを有するE3ユビキチンリガーゼのファミリーのメンバーである。WWP1は、すべてのR-及びI- Smadタンパク質と相互に作用し、そしてSmad6及びSmad7のユビキチン化を促進することが示された(Komuro, A., et al. (2004). Oncogene
23, 6914-6923)。しかしながら、それらのRuntドメインにおいてPPXYモチーフも保有する(Jin, Y. H., et al. (2004). J Biol
Chem 279, 29409-29417)Runxタンパク質をユビキチン化するWWP1の能力について研究されていない。
【0041】
ヒトWWP1のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:33946331に記載されている。ネズミWWP1のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:51709071に記載されている。
【0042】
「骨シアロタンパク質」、すなわち「BSP」は、オステオポンチン遺伝子ファミリーに属し、そして骨の鉱化されたマトリックスの不可欠な部分を形成するヒドロキシアパタイトに堅く結合する非コラーゲンの骨マトリックスタンパク質である。ヒトBSPのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:38146097に記載されている。ネズミBSPのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:6678112に記載されている。
【0043】
I型コラーゲン (a)1 (「ColI(a)1」)は、コラーゲンを含む骨マトリックスタンパク質である。ヒトColI(a)1のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No. gi:14719826に記載されている。ネズミColI(a)1のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No. gi:34328107に記載されている。
【0044】
「CREB2」とも称される「ATF4」、及び「SP7」とも称される「Osterix」は、それぞれbZIPタンパク質ファミリーに属する転写因子、及びC2H2型ジンクフィンガータンパク質ファミリーに属する転写因子である。これらの転写因子は、例えば骨形成及び鉱化作用の過程のような骨のリモデリングの過程で骨マトリックス生合成の主要な調節因子である(たとえば、Yang, X., et al. (2004). Cell 117,
387-398; Nakashima, K., et al.
(2002). Cell 108, 17-2を参照。)。BSP、ColI(a)1、ATF4及びOsterixは、骨の形成及び発達の特異的なマーカーである。ヒトATF4のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:33469975及びgi:33469973に記載されている。ネズミATF4のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:6753127に記載されている。ヒトSP7のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:22902135に記載されている。ネズミSP7のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No
gi:18485517に記載されている。
【0045】
「ATF4シグナル経路」は、本技術分野で知られた骨芽細胞の発達及び機能を調節するActivating Transcription
Factor 4を含むシグナル経路のいずれか一つを意味する。上記で論じたように、ATF4は、CRE依存転写の特異的な抑制因子として機能する転写因子である。前記の転写抑制因子の活性は、ATF4タンパク質のC-末端ロイシンジッパー及び塩基ドメイン領域に存在する。ATF4は、成熟した骨芽細胞による高レベルのコラーゲン合成に必要とされることが示され、そしてATF4は、骨芽細胞による最適なマトリックス産生のために前記のキナーゼであるRSK2によるリン酸化を必要とする(Yang, et al. (2004) Cell 117:387)。さらに、本明細書で記載されているように、Shn3が欠損した動物では、過剰にリン酸化されたATF4の蓄積のみならず、ATF4、RSK2 mRNA 及びタンパク質のレベルが高められる。ヒトRSK2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:56243494に記載されている。ネズミRSK2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:22507356に記載されている。
【0046】
「AP-1」という用語は、ロイシンジッパーモチーフを経由してお互いに結合する二つのタンパク質のダイマーからなるDNA結合因子のファミリーである転写因子アクチベータタンパク質(AP-1)を意味する。最もよく解析されたAP-1因子は、タンパク質Fos及びJunを含む(Angel, P. and Karin, M.
(1991) Biochim. Biophys.
Acta 1072:129-157; Orengo, I. F. , Black, H. S. , et al. (1989) Photochem.
Photobiol. 49:71-77; Curran, T. and Franza, B. R., Jr. (1988) Cell 55, 395-397)。細胞増殖、転移及び細胞代謝に関与する遺伝子の転写を誘起するシス作動性の12−テトラデカノイルホルボール 13−アセテート(TPA)応答因子を含むDNAにおけるプロモータ領域に、前記のAP-1 AP-1二量体は結合し、そしてトランス活性化する(Angel, P. , et al.
(1987) Cell 49, 729-739)。AP-1は様々な刺激により誘起され、そして癌及び自己免疫疾患の発達に密接に結びついている。ヒトAP-1のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:20127489に記載されている。
【0047】
本明細書で使用されているように、「TGFbシグナル経路」は、本技術分野で知られたトランスフォーミング増殖因子ベータを含むシグナル経路のいずれか一つを意味する。この分子が結合し、そしてtype I (TbRI) 及び type II (TbRII)セリン/スレオニンキナーゼ受容体からなるヘテロ二量体細胞表面複合体を誘起する場合に、TGFbシグナル経路は開始される。ついで、このヘテロ二量体受容体は、下流標的SMADタンパク質のリン酸化を通じて前記のシグナルを増殖させる。SMADタンパク質には3つの機能的なクラスがあり、それらは、例えばSMAD2及びSMAD3のような受容体調節型SMAD類(R-SMAD)、協同伝達物質SMAD類(Co-SMAD)並びに抑制性SMAD類(I-SMAD)である。ヘテロ二量体受容体複合体である前記のCo-SMAD類との前記のR-SMAD類複合体によるリン酸化に続いて、前記の核に移動し、他の核タンパク質と協同して、それらは標的遺伝子の転写を調節する(Derynck, R., et al. (1998) Cell 95: 737-740)。
【0048】
ヒトSMAD2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:20127489に記載されている。ネズミSMAD2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:31560567に記載されている。ヒトSMAD3のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:42476202に記載されている。ネズミSMAD3のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えばGenBank Accession No.
gi:31543221に記載されている。
【0049】
「Shn3活性又は発現の調節から利益を得る疾患」又は「Shn3関連疾患」という記載は、Shn3活性が異常である疾患か又はShn3活性の調節から利益を得る疾患を含む。代表的なShn3関連疾患としては、骨形成及び鉱化作用の調節が有益である、異常、疾患、状態又は損傷が挙げられる。
【0050】
2.本発明の方法
本発明は、少なくとも部分的に骨量疾患を治療するための方法に関するものである。前記の方法は、Shn3調節化合物の有効量を被験体に投与するステップを含む。
【0051】
「Shn3調節化合物」という用語は、Shn3の生物学的活性を調節し、骨形成及び鉱化作用が例えば増加又は減少するように調節することができる化合物を意味する。好ましい態様では、「化合物」という用語は、核酸分子、アンチセンス、siRNA分子、又は前記のShn3骨芽細胞経路における分子の優勢な陰性フォーム(negative form)を包含しない。調節され得るShn3生物学的活性の部分的な例としては、WWP1とのShn3の連関、Runx2とのShn3/WWP1の連関、Runx2のユビキチン化、又は細胞外マトリックスの生合成に関与する遺伝子の転写に参画するRunx2の能力が挙げられる。一つの態様では、前記の化合物は骨芽細胞の活性を増加させる。もう一つの態様では、前記の化合物は骨芽細胞の活性を減少させる。さらなる態様では、前記の化合物はShn3とWWP1との連関を阻害する。前記の化合物は、Shn3生物学的活性を生ずる生体分子に結合することができる。例えば、前記の化合物は、WWP1、Shn3、SMAD3及び/又はRunx2に結合することができる。
【0052】
前記のShn3調節化合物は、例えば分子量が約1000未満か又は約500未満である有機分子のような、一般に低分子である。ある態様では、前記の化合物には全く核酸、ヌクレオチド、タンパク質又はアミノ酸が含まれていない。本発明の化合物は、例えば、式(I)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IIIa)、式(IIIb)、式(IIIc)、式(IIId)、式(IVa)及び式(IVb)の化合物のような、本明細書に開示された化合物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0053】
もう一つさらなる態様では、本発明の方法及び薬学組成物のための前記のShn3調節化合物は、5,5’−(スルホニルジメチレン)ジウラシル、5,5’−(チオジメチレン)ジウラシル、5,5’−(ジチオジメチレン)ジウラシル、5,5’−[ジオキシビス(メチレン)]ビス−2,4[1H,3H]−ピリミドン、5−フェニル[(フェニルメチル)スルホニル]メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5,5’−(オキシジメチレン)ビス[2−メチル−4,6−ピリミジンジオール]、5−[(メチルスルフィニル)メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5−[フェニル[(フェニルメチル)スルフィニル]メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5−[[(フェニルメチル)チオ]メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5−[(2−ピリミジニルチオ)メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5,5’−エチレンジウラシル、S−[(1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−5−ピリミジニル)メチル]ベンゼンカルボチオ酸エステル5−[(ベンジルスルホニル)メチル]−5−エチル−バルビツル酸、5−エチルチオメチルウラシル、5,6−ビス[(メチルスルホニル)メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5,5’−(チオジ−2,1−エタンジイル)ビス[6−メチル])−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5,5’−メチレンジウラシル、5,5’−ペンチリデンビス−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5,5’−(3−メチル−1−プロペン−1,2−ジイル)ビス−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、2,2’−ジチオビス[5−メチル−]−4,6−ピリミジンジオール、2−メチル−5−[(フェニルスルホニル)メチル]−4(1H)−ピリミジノン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(4−メトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]−2,4−イミドゾリジンジオン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(2−エトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(2−ブロモフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[[4−[(2−メトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[[4−フェニルメチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[[4−[(4−メトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(4−ニトロフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[[4−[(4−エトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[[4−[(4−ニトロフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、5−[(2−ブロモフェニル)メチレン]−3−[(3,4−ジヒドロ−2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル)メチル]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[[4−[(3,4−ジメトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[(3,4−ジヒドロ−2,4−ジヒドロ−2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル)メチル]−5−[(3,4−ジメトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[[4−[(4−アセチルアミノフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、5−[(6−メトキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチレン]−3−(フェニルメチル)−2,4−イミダゾリジンジオン、5−[(6−エトキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチレン]−3−(フェニルメチル)−2,4−イミダゾリジンジオン、1−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−3−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]−2,5−ピロリジンジオン、5−[(6−エトキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチレン]−3−[(4−メチルフェニル)メチル]−2,4−イミダゾリジンジオン、4−[(フルオレン−9−イリデンヒドラジニリデン)メチル]安息香酸、2−[(フルオレン−9−イリデンヒドラジニリデン)メチル]安息香酸、ベンズアルデヒドとの9−オキソ−フルオレン−1−カルボン酸 アジン4−メチルベンズアルデヒドとの9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ヒドロキシベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−(1−メチルエチル)−ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メトキシ−ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メトキシ−ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン ベンズアルデヒド、[4−(フルオレン−9−イリデンヒドラゾノメチル)フェノキシ]酢酸、4−ヒドロキシ−9(10H)−アントラセニリデンヒドラゾン ベンズアルデヒド、4−メチル安息香酸との9H−フルオレン−9−イリデンヒドラジド9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2−メチル−ベンズアルデヒド、2−(フルオレン−9−イリデンヒドラゾノメチル)フェノール、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 3−ヒドロキシベンズアルデヒド、(1−フェニルエチリデン)ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ニトロ−ベンズアルデヒド、フルオレン−9−オンとの1−ナフトアルデヒド アジン、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2,4−ジヒドロキシ−ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メチル−ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−フルオロ−ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−クロロ−ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ヨード−ベンズアルデヒド、(10−オキソ−9(10H)−アントラセニリデン)ヒドラゾン ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2,5−ジヒドロキシ−ベンズアルデヒド、4−(9H−フルオレン−9−イリデンヒドラジノ)安息香酸、フルオレン−9−イリデンヒドラジド 安息香酸、(ジフェニルメチレン)ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ジメチルアミノ−ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メトキシナフタレンアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラジド 4−ヒドロキシ安息香酸、[1−(4−エトキシフェニル)エチリデン]ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、[1−(4−メチルフェニル)エチリデン]ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2−メトキシ−ベンズアルデヒド、又はその薬学的に受容される塩、そのエステル、そのプロドラッグ又はその幾何異性体である。
【0054】
もう一つの態様では、前記のShn3調節化合物は、骨芽細胞の活性を、約1%以上、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、又は約100%以上増加させる。
【0055】
骨芽細胞活性の調節をin vitro又は in vivoで測定することができる。例えば、骨形成及び鉱化作用を調節する化合物の能力を測定する様々なin vitroでの技法が当業者に知られている。例えば、骨格構造は、デジタルラジオグラフィーにより分析することができ、小柱形成(すなわち骨髄で満たされた海綿骨における骨内コミニケーションのためのスペースの網目状構造を形成する吻合する骨性スピクラ)は、三次元μ-QCTイメージングにより、及び骨の断面の分析により測定することができる。加えて、小柱の数、小柱の厚さ、組織量当たりの骨量(BV/TV)及び骨の無機質密度(BMD)もμ-QCTイメージングにより測定することができる。これらの分析は、全骨格の調製物又は個々の骨について実施することができる。鉱化された骨及び鉱化されていない軟骨の形成は、例えばアリザリンレッド染色/アルシアンブルー染色のような組織化学的分析により測定することができる。破骨細胞の機能に対する骨芽細胞の機能に及ぼす化合物の効果を測定するために、破骨細胞の分化のin vitro測定は、M-CSF及びRANKLの存在下で骨髄を培養し、TRAP+破骨細胞を発生させることにより実施することができる。化合物が骨芽細胞の機能又は破骨細胞の機能に影響するかどうかのIn vivo測定は、例えば骨髄転移により実施することができる。さらに、様々な組織形態計測的なパラメーターは、骨形成率を測定するために分析され得る。例えば、蛍光顕微鏡検査により可視化される骨の二重カルセイン標識により、骨形成率(BFR)を測定できる。なお、前記の骨形成率(BFR)は、骨芽細胞の骨形成能力を反映する無機質付加率(MAR)に、骨表面当たりの鉱化された表面の面積(MS/BS)を掛けることにより算定される。加えて、骨芽細胞の個数の信頼のおける指標である全骨芽細胞の表面は、骨状の厚さ、すなわちカルシウム沈着を受けていない骨の厚さとして測定することができる。
【0056】
in vivoにおける骨形成の分析のために、骨の断面もVon Kossa 及びToluidine Blueによる染色により分析することができる。細胞外マトリックス、すなわち骨の鉱化されたマトリックスを反映する小結節を形成する能力を細胞が保有しているかどうかを決定するために、骨芽細胞の前駆体及び未成熟の骨芽細胞のex vivo培養も実施することができる。さらに、これらの培養物は、例えば細胞数を数えることで細胞の増殖能力について評価分析することができ、そして例えばアルカリホスファターゼのような骨形成の様々なマーカーの検出するために染色することができる。これらの同じ培養物を使用して、mRNAの様々な分析、及び例えばBSP、ColI(a)1、OCN、ALP、LRP5、Osterix、Runx2、RANKL及びATF4のような、骨形成、鉱化作用及び破骨細胞形成に関与することが知られている多数の分子のタンパク質の産生の様々な分析を実施することができる。
【0057】
Shn3活性の阻害が望ましい疾患の例としては、Shn3が異常にアップレギュレートされている状態及び/又は低下したShn3活性が有益な効果を見込める状態が挙げられる。Shn3活性を阻害することによる骨形成及び鉱化作用の増加は、骨形成及び鉱化作用の増加が有益である状態に有用である。例えば、特発性の骨粗しょう症、二次の骨粗しょう症、永久的でない股関節部の骨粗しょう症、骨軟化症、甲状腺機能亢進症の骨格変化、慢性の腎不全(腎性骨形成異常症)、変形性骨炎(骨のバジェット病)、溶骨性転移を含む骨粗しょう症、及び骨組織の骨密度の進行性の低下及び骨組織の低粘稠化を伴うオステオペニアは、骨形成及び鉱化作用の増加が有益であって、破損及び/又は骨折が発生しない状態である。骨粗しょう症及びオステオペニアは、加齢及び再生産状態からだけでなく、多くの医薬、例えば抗痙攣薬(例えば、癲癇の治療)、副腎皮質ステロイド(例えば、関節リウマチ及び喘息の治療)及び/又は免疫抑制剤(例えば、癌の治療)の長期に亘る使用のみならず、多数の疾患及び異常からも二次的に派生する。例えば、副腎皮質ステロイドにより誘発された骨粗しょう症は、例えばプレドニゾン(Deltasone, Orasone等)、プレドニゾロン(Prelone)、デキサメタゾン(Decadron, Hexadrol)及びコルチゾン(Cortone Acetate)のような副腎皮質ステロイド薬を摂取することにより引き起こされる骨粗しょう症の形態である。これらの医薬は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、及びリウマチ性多発筋痛症を含む多くのリウマチ疾患を治療するためにしばしば使用される。骨粗しょう症が二次的に派生する他の疾患としては、若年性関節リウマチ、糖尿病、骨形成不全症、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、呼吸不全症候群、神経性食欲不振症及び/又は腎疾患が挙げられるが、これに限定されるものではない。加えて、多くの行為、例えば長期に亘る不活性又は静止、不十分な栄養(特に、カルシウム、ビタミンD)、無月経に至る過剰な運動(周期の欠如)、喫煙及び/又はアルコール中毒が骨粗しょう症と関連している。さらに、骨形成及び鉱化作用の誘起を促進することは、例えば骨折若しくは損傷、歯の置換、すなわち被験体自身の歯若しくは義歯のいずれかの置換を処置するか、又は例えば閉経周辺期若しくは月経閉止と関係している骨量減少のような進行性状態の症状を寛解するのに有益であり得る。
【0058】
加えて、Shn3活性を刺激する本発明の化合物は、骨形成及び鉱化作用を下方に調節する手段として、また治療に有用である。例えば、Shn3を促進することにより骨形成及び鉱化作用を減少又は阻害することは、二つ以上の骨の未熟な溶和があるか、又は例えば頭蓋骨早期癒合症(骨癒合症)、骨粗しょう症(悪性小児の形態、中間の形態及び成人の形態を含む)、原発性の余分な骨格の骨形成、顔面の多発性粟粒性骨腫皮膚及び硬化性骨炎のような骨密度が高すぎる、疾患、異常、状態又は損傷において有益である。
【0059】
「被験体」という用語は、骨を有する生物を含む。さらなる態様では、前記の被験体は、例えばラット、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ブタ、雌ウシ、クマ、サル、ゴリラ、ケナガイタチ、モルモット、又はヒトの哺乳動物であり、好ましくはヒトである。前記の被験体は、例えば上記のように骨疾患に罹っているか、又は骨疾患の危険性を孕んでいてもよい。更なるもう一つの態様では、前記の被験体は、40歳より高齢、50歳より高齢、60歳より高齢、65歳より高齢、70歳より高齢、75歳より高齢、80歳より高齢、85歳より高齢、90歳より高齢、又は95歳より高齢である。もう一つの態様では、前記の被験体は閉経後である。もう一つの態様では、前記の被験体は女性である。更なるもう一つの態様では、前記の被験体は、卵巣が切除されているか又は子宮が切除されているかである。
【0060】
「治療された」、「治療している」又は「治療」という用語は、治療する処置及び/又は予防的処置を含む。前記の治療としては、骨量の疾患に関連するか又は骨量の疾患により引き起こされる少なくとも一つの症状の縮小又は緩和が挙げられる。例えば、治療は、本明細書で記載されているように、一つ若しくはいくつかの疾患の症状の縮小又は骨の疾患の完全な根絶である。
【0061】
3.本発明の化合物
本発明は、また少なくとも部分的に骨形成及び鉱化作用並びに/又はShn3活性の調節に有用な化合物に関する。一つの態様では、本発明の化合物は、
【0062】
【化6】

(式中、Lが結合基であり、
及びPのそれぞれが、独立して選ばれた任意に置換された環状基であり、
a及びbのそれぞれが、独立して単結合又は二重結合である。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル、そのプロドラッグ及びその幾何異性体である。
【0063】
「結合基」という用語は、PをPに結合することができる1−60個の原子基を含む。前記の結合基は、アルキル、アルケニル、アルキニル及び/又は環状基が含んでもよい。前記の結合基は一つ以上のヘテロ原子を含んでもよい。さらなる態様では、前記の結合基は、P及びP基がShn3と相互に作用することができるように、P及びP基を配位することができる。
【0064】
もう一つの更なる態様では、それは一つ以上の窒素原子を含んでもよい。更なる態様では、それは、式:=N-N=CH-であってもよい。
【0065】
一つの態様では、前記の結合基が、式:
−(CR0−10−(G)0−2−(CR0−10

(式中、Gが、カルボニル、−SO−、−SO−、−O−、−S−、−PO−、(NR1−2、環状基又は存在しないであり、
、R、R、R及びRのそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ又は存在しないである。)で表される基である。
【0066】
更なる態様では、前記の結合基は、
式:−(CH0−2−SO−(CH0−2−で表される基である。
【0067】
もう一つの更なる態様では、前記の結合基は、たとえば式:
【化7】

(式中、Rが、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル又はアルコキシである。)のようなヘテロサイクルを含んでいてもよい。
【0068】
更なるもう一つの態様では、Rは水素である。
【0069】
もう一つの態様では、P及びPのそれぞれは、独立して選ばれたピリミジン塩基又はその誘導体であってもよい。ピリミジン塩基の例としては、ウラシル、チミン及びシトシンが挙げられる。更なる態様では、本発明は、式:
【化8】

で表される化合物を含む方法及び薬学的組成物に関するものである。
【0070】
もう一つの態様では、P及びPのそれぞれは、独立して選ばれた炭素環である。更なる態様では、P及びPの少なくとも一つは芳香族基である。もう一つの更なる態様では、P及びPの少なくとも一つは置換されたか又は置換されていないフェニル基及び/又はP及びPの少なくとも一つは多環式基(例えば、置換されたか又は置換されていないフルオレン)である。
更なる態様では、本発明は、式:
【化9】

で表される化合物を含む方法及び薬学的組成物に関するものである。
【0071】
もう一つの態様では、本発明は、Pが炭素環であり、及びPがヘテロサイクルである化合物に関するものである。更なる態様では、Pは、芳香族基、例えばPは、置換されたか又は置換されていないフェニル基であってもよい。もう一つの態様では、Pは、一つ以上の酸素原子及び/又は一つ以上のカルボニル基を含んでいてもよい。更なる態様では、本発明は、式:
【化10】

で表される化合物を含む方法及び薬学的組成物に関するものである。
【0072】
いくらかの本発明の態様では、本発明の化合物は、ビス(チミン−5−イル)スルホン、(5Z)−3−[(Z)−(2,4−ジオキソクロマン−3−イリデン)メチル]−5−[(2−ヒドロキシフェニル)メチリデン]イミダゾリジン−2,4−ジオン、又は4−[(フルオレン−9−イリデンヒドラジニルインデン)メチル]安息香酸を含まない。
【0073】
更なる態様では、本発明は、また、式(IIa):
【化11】

(式中、Lが結合基であり、
が、2個以上の環原子である窒素、及び1個、2個若しくは3個のカルボニル又はチオカルボニルを含む、任意に置換されたヘテロサイクル基であり、
が、任意に置換された、アリール、ヘテロアリール、多環式基、アルキル、アルケニル、又は2個以上の環原子である窒素、及び1個、2個若しくは3個のカルボニル又はチオカルボニルを任意に含む、任意に置換されたヘテロサイクル基であり、
ただし、前記の化合物が、
5,5’−(スルホニルジメチレン)ジウラシル、5,5’−(チオジメチレン)ジウラシル、5,5’−(ジチオジメチレン)ジウラシル、5,5’−[ジオキシビス(メチレン)]ビス−2,4[1H, 3H]−ピリミドン、5−フェニル[(フェニルメチル)スルホニル]メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
5,5’−(オキシジメチレン)ビス[2−メチル−4,6−ピリミジンジオール]5−[(メチルスルフィニル)メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5−[フェニル[(フェニルメチル)スルフィニル]メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5−[[(フェニルメチル)チオ]メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5−[(2−ピリミジニルチオ)メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5,5’−エチレンジウラシル、S−[(1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−5−ピリミジニル)メチル]ベンゼンカルボチオ酸エステル、5−[(ベンジルスルホニル)メチル]−5−エチル−バルビツル酸、5−エチルチオメチルウラシル、5,6−ビス[(メチルスルホニル)メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5,5’−(チオジ−2,1−エタンジイル)ビス[6−メチル])−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5,5’−メチレンジウラシル、5,5’−ペンチリデンビス−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、5,5’−(3−メチル−1−プロペン−1,2−ジイル)ビス−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、2,2’−ジチオビス[5−メチル]−4,6−ピリミジンジオール、又は
2−メチル−5[(フェニルスルホニル)メチル]−4(1H)−ピリミジノンではない。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体又はそのプロドラッグに関するものである。
【0074】
更なる態様では、Qは、式:
【化12】

(式中、cが単結合又は二重結合であり、
及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
及びYのそれぞれが、独立して酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
、R’、R、R’、R及びR’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、アシル又は存在しないであり、
ただし、Yが酸素又はイオウである場合、R及びR’が存在しないであり、Yが窒素である場合、R’が存在しないであり、Yが酸素又はイオウである場合、R及びR’が存在しないであり、Yが窒素である場合、R’が存在しないである。)で表される基又はその幾何異性体である。
【0075】
もう一つの態様では、本発明は、式(IIb):
【化13】

(式中、c及びbが、独立して選ばれた単結合又は二重結合であり、
1が結合基であり、
、X、X及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
、Y、Y及びYのそれぞれが、独立して酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
、R’、R、R’、R、R’、R10、R10’、R11、R11’R12及びR12’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、プロパルギル、シアノ、チオール、アミノ、アシル又は存在しないであり、
但し、Yが酸素又はイオウである場合、R及びR’が存在しないであり、Yが窒素である場合、R’が存在しないであり、Yが酸素又はイオウである場合、R及びR’が存在しないであり、Yが窒素である場合、R’が存在しないであり、Yが酸素又はイオウである場合、R11及びR11’が存在しないであり、Yが窒素である場合、R11’が存在しないであり、Yが酸素又はイオウである場合、R12及びR12’が存在しないであり、Yが窒素である場合、R12’が存在しないであり、cが二重結合である場合、R’が存在しないであり、dが二重結合である場合、R10’が存在しないであり、及び前記の化合物が、ビス(チミン−5−イル)スルホンではない。)で表される化合物及びその薬学的に受容される塩、そのエステル、そのプロドラッグ及びその幾何異性体に関するものである。
【0076】
さらなる態様では、前記の結合基(L)が、
(CR0−10−(G)0−2−(CR0−10
(式中、Gが、カルボニル、−SO−、SO、−O−、−S−、−PO−、(NR1−2又は存在しないであり、
、R、R、R及びRのそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アリール、チオール、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、ニトロ又は存在しないである。)で表される基である。
【0077】
更なる態様では、Lが、式:−(CH0−2−SO−(CH0−2−で表される基である。もう一つの更なる態様では、Lが、式:-CH2-SO2-CH2-で表される基である。
【0078】
もう一つの態様では、c及びdのそれぞれが、二重結合である。もう一つの態様では、X、X、X及びXのそれぞれが酸素である。更なるもう一つの態様では、Y、Y、Y及びYのそれぞれが窒素である。更なるもう一つの態様では、R、R、R、R10、R11及びR12のそれぞれが水素である。
【0079】
更なるもう一つの態様では、本発明の化合物は、式(IIc):
【化14】

で表される化合物である。
【0080】
式(II)で表される化合物は、例えばGiner-Sorolla et
al., J. Med. Chem. (1966), 9(1), 97-101又はGiner-Sorolla et al., Nucleic Acid Chem. (1978), 1, 83-87に記載されている方法を使用して合成してもよい。
【0081】
更なる態様では、本発明は、また式(IIIa):
【化15】

(式中、X及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
が窒素又は炭素であり、
が酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
13、R13’、R14、R14’、R15及びR15’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、アシル、存在しない、又はK-Wであり、
Wが独立して選択された任意に置換されたアリール基、ヘテロアリール基、環状基又は多環式基であり、
Kが独立して選ばれるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、オキソ基又はアミノ基であり、
但し、Yが窒素である場合、R13が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R14及びR14’のそれぞれが存在しないであり、Yが炭素である場合、R14’が存在しないであり、
13、R13’R14、R14’R15及びR15’のうちの2個の基が同じ原子に共有結合により結合していない場合、R13、R13’R14、R14’R15及びR15’のうちの2個の基がWであり、及び
前記の化合物が、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(4−メトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(2−エトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(2−ブロモフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[[4−[(2−メトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[[4−フェニルメチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[[4−フェニルメチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[[4−[(4−メトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(4−ニトロフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[[4−[(4−エトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[[4−[(4−ニトロフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、5−[(2−ブロモフェニル)メチレン]−3−[(3,4−ジヒドロ−2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル)メチル]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[[4−[(3,4−ジメトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、3−[(3,4−ジヒドロ−2,4−ジヒドロ−2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル)メチル]−5−[(3,4−ジメトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[[4−[(4−アセチルアミノフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、5−[(6−メトキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチレン]−3−(フェニルメチル)−2,4−イミダゾリジンジオン、5−[(6−エトキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチレン]−3−(フェニルメチル)−2,4−イミダゾリジンジオン、1−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−3−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]−2,5−ピロリジンジオン、又は5−[(6−エトキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチレン]−3−[(4−メチルフェニル)メチル]−2,4−イミダゾリジンジオンではない。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、その幾何異性体、そのエステル又はそのプロドラッグに関するものである。
【0082】
更なる態様では、Y及びYのそれぞれが窒素である。
もう一つの更なる態様では、R13及びR15のそれぞれがK-Wである。
【0083】
もう一つの態様では、前記の化合物が、式(IIIb):
【化16】

(式中、e及びfのそれぞれが単結合又は二重結合であり、
及びWが、独立して選ばれた任意に置換されたアリール基、ヘテロアリール基、環状基又は多環式基である。
及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
が窒素又は炭素であり、
が酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
13、R14、R14’、R15、R16、R16’、R20及びR20’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、アシル、又は存在しないである。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体又はそのプロドラッグである。
【0084】
もう一つの更なる態様では、Wは多環式基ある。もう一つの更なる態様では、Wは置換されたか又は置換されていない2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデンである。もう一つの更なる態様では、Wは置換されたか又は置換されていないフェニルである。
【0085】
もう一つの態様では、本発明は、また、式(IIIc):
【化17】

(式中、e、f及びgのそれぞれが、独立して単結合又は二重結合であり、
Mが置換されたか又は置換されていないアリール又はヘテロアリーリであり、
、X、X及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
が窒素又は炭素であり、
及びXのそれぞれが、独立して酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
13、R14、R14’R15、R16、R16’、R17、R17’、R18、R18’、R19、R19’、R20及びR20’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、アシル、存在しない、又は
17及びR18が結合して環を形成してもよく、
但し、eが二重結合である場合、R15及びR16’が存在しないであり、
fが二重結合である場合、R20’が存在しないであり、
gが二重結合である場合、R18’及びR17’が存在しないであり、
が窒素である場合、R13が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R14及びR14’のそれぞれが存在しないであり、
が炭素である場合、R14’が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R19及びR19’が存在しないであり、
が炭素である場合、R19’が存在しないであり、及び
前記の化合物が、(5Z)−3−[(Z)−(2,4−ジオキソクロマン−3−イリデン)メチル]−5−[(2−ヒドロキシフェニル)メチリデン]イミダゾリジン−2,4−ジオンではない。)で表される化合物、及びその薬学的に受容される塩、そのエステル、そのプロドラッグ及びその幾何異性体に関するものである。
【0086】
さらなる態様では、e、f及びgが二重結合である。もう一つの態様では、Mが置換されたアリール(例えば、置換されたフェニル)である。更なる態様では、Mは水素結合供給基により置換されている。Mの例としては、2−ヒドロキシフェニルが挙げられる。
【0087】
もう一つの態様では、X、X、X及びXのそれぞれが酸素である。更なるもう一つの態様では、Y及びYが窒素であり、及び/又はYが酸素である。
【0088】
更なる態様では、R18及びR17が結合して置換されたか又は置換されていない6員環(例えば、芳香族環又は非芳香族環)を形成する。もう一つの態様では、R14、R16、R19及びR20のそれぞれが水素である。
【0089】
更なるもう一つの態様では、前記の化合物が式(IIId):
【化18】

(式中、X及びXのそれぞれが、独立して水素又はイオウであり、
14、R16、R20、並びにR21及びR22の存在する場合のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、ニトロ、アシル又は存在しないである。)で表される化合物、又はその薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体又はそのプロドラッグである。
【0090】
式(IIIa−IIId)の化合物は、本技術分野で知られている方法又はスキームIで示される方法により合成されてもよい。
【化19】

【0091】
手短に示すと、酢酸−酢酸カリウムの存在下で加熱して2,4−イミダゾリジン(1)とサリチルアルデヒド(2)とを反応させて、前記のアルケン(3)を調製する。さらに、サリチル酸(4)をナトリウムの存在下メタノール中で無水酢酸と反応させてエステル(6)を調製する。ついで、前記のエステル(6)と前記のアルケン(3)をプロパノール中で触媒量の塩基及びトリエトキシメタンにより処理して前記の化合物(7)を調製する。
【0092】
更なるもう一つの態様では、本発明は、また、式(IVa):
【化20】

(式中、Bが、置換されたか又は置換されていない縮合環基又はヘテロサイクル基であり、
Eが、置換されたか又は置換されていないフェニル基、ヘテロサイクル基又は縮合環基であり、
23及びR24のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、プロパルギル、ニトロ、又はアシルであり、
ただし、前記の化合物が、4−[(フルオレン−9−イリデンヒドラジニリデン)メチル]安息香酸、2−[(フルオレン−9−イリデンヒドラジニリデン)メチル]安息香酸、ベンズアルデヒドとの9−オキソ−フルオレン−1−カルボン酸 アジン4−メチルベンズアルデヒドとの9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ヒドロキシベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−(1−メチルエチル)ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メトキシベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メトキシベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン ベンズアルデヒド、[4−(フルオレン−9−イリデンヒドラゾノメチル)フェノキシ]酢酸、4−ヒドロキシ−9(10H)−アントラセニリデン ヒドラゾン ベンズアルデヒド、4−メチル安息香酸との9H−フルオレン−9−イリデンヒドラジド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2−メチルベンズアルデヒド、2−(フルオレン−9−イリデンヒドラゾノメチル)フェノール、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 3−ヒドロキシベンズアルデヒド、(1−フェニルエチリデン)ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ニトロベンズアルデヒド、フルオレン−9−オンとの1−ナフトアルデヒドアジン、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メチルベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−フルオロベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−クロロベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ヨードベンズアルデヒド、(10−オキソ−9(10H)−アントラセニリデン)ヒドラゾン ベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、4−(9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾノ)安息香酸、フルオレン−9−イリデンヒドラジド 安息香酸、(ジフェニルメチリデン)ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メトキシナフタレンアルデヒド、9H−フルオレン−9−イリデンヒドラジド 4−ヒドロキシ安息香酸、[1−(4−エトキシフェニル)エチリデン]ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、[1−(4−メチルフェニル)エチリデン]ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、又は9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2−メトキシベンズアルデヒドではない。)又はその薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体、又はプロドラッグである。
【0093】
もう一つの態様では、Bは1個以上の置換されたか又は置換されていない芳香環(例えば、フルオレン、フェニル、ナフチル等)を含む。もう一つの態様では、Eは、置換されたか又は置換されていないフェニルである。Eは、例えばカルボキシレート基のような水素結合供給基により置換されていてもよい。もう一つの更なる態様では、R21は水素である。
【0094】
更なる態様では、本発明の化合物は、式(IVb):
【化21】

(式中、Bが、置換されたか又は置換されていない縮合環基又はへテロサイクル基であり、
23及びR25のそれぞれが、それぞれが存在する場合に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、プロパルギル、ニトロ又はアシルから独立して選ばれる。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体又はそのプロドラッグを包含する。
【0095】
式(IVa)及び(IVb)で表される化合物は、本技術分野で知られた方法で調製されてもよい。
【0096】
いくらかの本発明の態様では、本発明の化合物は、経口投与で生物学的に有効な薬物についてのリピンスキーのルールオブファイブ(Lipinski’s Rule of Five)の少なくとも一つの条件を満たすことができる。例えば、本発明の化合物は、水素結合供与基(例えば、NH、OH等)が5個以下、水素結合受容基(N、O等)が10個以下、分子量が500未満、及び/又は分配係数がlog Pとして5未満であってもよい。更なる態様では、前記の化合物は、またGhose法則の1つ以上の条件を満たしてもよい。これらの法則の例は、分配係数がlog Pとして約−0.4〜約+5.6であること、モル屈折力が約40〜約130であること、分子量が約160〜約480であること、及び重い原子が約20〜70個であることから構成される。
【0097】
「分配係数」という用語は、二つの溶媒における化合物の異なる溶解度の比率である。前記の溶媒中の前記の溶質の濃度の対数比は、log P(しばしばLogP)と呼称される。最もよく知られているこれらの分配係数は、溶媒としてオクタノール及び水による分配係数である。前記のオクタノール−水の分配係数は、物質の疎水性及び親水性の比率である。log Pの古典的な測定方法は、一定量のオクタノール及び一定量の水に一定量の溶質を混合し、ついで各溶媒における前記の溶質の分配を測定するというフラスコ振盪法(shake-flask method)である。前記の溶質の分配を測定する、最も知られた方法は、UV/VISスペクトル法である。
【0098】
「モル屈折力」という用語は、原子又は基により占められる量の比率であり、温度、屈折率及び圧力に依存する。
「アルキル」という用語は、飽和脂肪族基を包含し、直鎖状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、分岐鎖状のアルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル等)、シクロアルキル基(脂環式基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロへプチル、シクロオクチル)、アルキルにより置換されたシクロアルキル基、及びシクロアルキルにより置換されたアルキル基を含む。アルキルという用語は、さらに前記の炭化水素の炭素骨格の1個以上の炭素原子を置換する酸素原子、窒素原子、イオウ原子又はリン原子を含むアルキル基を含む。いくらかの態様では、直鎖状又は分岐鎖状のアルキルは、その炭素骨格に20個以下の炭素原子(例えば、C1-C20の直鎖、C3-C20分岐鎖状)を有し、より好ましくは4個以下を有する。シクロアルキルは、その環構造上に3−8個の炭素原子を有してもよく、より好ましくはその環構造上に5又は6個の炭素を有していてもよい。「C1-C6」という用語は、1個〜6個の炭素原子を含むアルキル基を含む。
【0099】
さらに、「アルキル」という用語は、「置換されていないアルキル」及び「置換されたアルキル」の両者を含み、後者は、その炭化水素の骨格の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を意味する。
前記の置換基としては、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む。)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む。)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクル、アルキルアリール、芳香族基又はへテロ芳香族基が挙げられる。シクロアルキルは、さらに、例えば前記の置換基による置換され得る。「アルキルアリール」又は「アリールアルキル」は、アリールで置換されたアルキル(例えば、フェニルメチル(ベンジル))である。「アルキル」という用語は、また、天然又は非天然のアミノ酸の側鎖も含む。
【0100】
「アリール」という用語は、0個〜4個のヘテロ原子を含んでもよい5員及び6員の単環性の芳香族基を含み、例えば、ベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジン等である。さらに、「アリール」という用語は、例えば、3環基、2環基のような多環式アリール基を含み、例えばナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキソフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン又はインドリジンである。環構造にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「アリールヘテロサイクル」、「ヘテロサイクル」、「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族基」としても言及される。前記の芳香環は、上記の置換基により1つ以上の環員原子が置換され得るが、前記の置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスフォナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む。)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む。)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクル、アルキルアリール、芳香族基又はへテロ芳香族基である。アリール基は、また芳香環基ではない脂環式基又はヘテロサイクル基により縮合又は架橋されて、多環式基(例えば、テトラリン)を形成することができる。
【0101】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の二重結合を含み、長さ及び上記のアルキルへの可能な置換されている不飽和脂肪族基アナローグを含む。
【0102】
例えば、前記の「アルケニル」という用語は、直鎖のアルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等)、分岐鎖状のアルケニル基、シクロアルケニル基(脂環式基)(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロへキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキル又はアルケニルにより置換されたシクロアルケニル基及びシクロアルキル又はシクロアルケニルにより置換されたアルケニル基を含む。前記のアルケニルという用語は、さらにその炭化水素骨格の一個以上の炭素原子を置換する酸素原子、窒素原子、イオウ原子又はリン原子を含むアルケニル基を含む。いくらかの態様では、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基は、その炭素骨格に20個以下の炭素原子(例えば、直鎖状の場合C2-C20であり、分岐鎖状の場合C3-C20である。)を有する。同様にシクロアルキル基は、その環構造に3−8個の炭素原子を有してもよく、より好ましくはその環構造に5個又は6個の炭素原子を有する。「C2-C20」という用語は、2個から20個の炭素原子を含むアルケニル基を含む。
【0103】
さらにアルケニルという用語は、「置換されていないアルケニル」及び「置換されたアルケニル」の両者を含み、後者は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素において水素を置換する置換基を有するアルケニル基を意味する。
前記の置換基としては、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む。)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む。)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、芳香族基又はヘテロ芳香族基が挙げられる。
【0104】
「アルキニル」という用語は、長さ及び上記アルキルへの可能な置換において不飽和脂肪族基アナローグを含むが、少なくとも一つの三重結合を含む。
【0105】
例えば、「アルキニル」という用語は、直鎖状のアルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニル、オクチニル、ノニル、デシニル等)、分岐鎖状のアルキニル基又はシクロアルケニルが置換したアルキニル基を含む。アルキニルという用語は、さらに炭化水素骨格の1個以上の炭素を置換する酸素原子、窒素原子、イオウ原子又はリン原子を含むアルキニル基を含む。
【0106】
いくらかの態様では、直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基は、20個以下の炭素原子をその骨格に有する(例えば、直鎖状についてはC2-C20であり、分岐鎖状ではC3-C20である。)。
前記の「C2-C6」という用語は、2個から6個の炭素原子を含むアルキニル基を含む。
【0107】
さらに、アルキニルという用語は、「置換されていないアルキニル」及び「置換されたアルキニル」の両者を含み、後者は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素における水素を置換する置換基を有するアルキニル基を意味する。
前記の置換基としては、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスフォナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む。)、アシルアミノ(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む。)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクル、アルキルアリール、芳香族基又はへテロ芳香族基が挙げられる。
【0108】
炭素数がその他に明記されていないならば、本明細書の使用されているように「低級アルキル」は、上記に定義されているようにアルキル基を意味するが、その骨格構造に1個から5個も炭素原子を含む。「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は、例えば2−5個の炭素原子の鎖長を有する。
【0109】
「アシル」という用語は、アシルラジカル(CH3CO-)又はカルボニルを含む化合物及び基を含む。
「置換されたアシル基」という用語は、前記の水素原子の1個以上が、例えばアルキル基、アルケニル、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む。)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む。)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクル、アルキルアリール、芳香族基又はへテロ芳香族基により置換されたアシル基を含む。
【0110】
「アシルアミノ」という用語は、アシル基がアミノ基に結合している基を含む。例えば、前記の用語は、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基及びウレイド基を含む。
【0111】
「アルコキシ」という用語は、共有結合により酸素原子に結合した、置換されたか又は置換されていない、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基を含む。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基及びペントキシ基が挙げられる。置換されたアルコキシ基の例としては、ハロゲン化されたアルコキシ基が挙げられる。
前記のアルコキシ基は、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む。)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む。)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクル、アルキルアリール、芳香族基又はへテロ芳香族基で置換され得る。ハロゲンにより置換されたアルコキシ基の例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0112】
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」及び「チオアルコキシアルキル」という用語は、上記のように、さらに例えば酸素原子、窒素原子又はイオウ原子ような、前記の炭化水素骨格の1つ以上の炭素を置換する酸素原子、窒素原子又はイオウ原子を含むアルキル基を含む。
【0113】
「アミド」又は「アミノカルボキシ」という用語は、カルボニル基又はチオカルボニル基の炭素に結合した窒素原子を含む化合物又は基を含む。前記の用語は、カルボキシ基に結合したアミノ基に結合するアルキル基、アルケニル基又はアルキニルを含むアルクアミノカルボキシ(alkaminocarboxy)を含む。それは、カルボニル基又はチオカルボニル基の炭素に結合したアミノ基に結合したアリール基又はヘテロアリール基を含むアリールアミノカルボキシ基を含む。「アルキルアミノカルボキシ」、「アルケニルアミノカルボキシ」、「アルキニルアミノカルボキシ」及び「アリールアミノカルボキシ」という用語は、順にカルボニル基の炭素に結合した窒素原子に結合したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基のそれぞれを含む基を含む。
【0114】
「アミン」又は「アミノ」という用語は、窒素原子が、少なくとも1個の炭素原子又はへテロ原子に共有結合により結合している化合物を含む。「アルキルアミノ」という用語は、窒素原子が少なくとも一つの追加の付加された基に結合している基又は化合物を含む。「ジアルキルアミノ」という用語は、少なくとも二つの付加されたアルキル基が窒素原子に結合している基を含む。「アリールアミノ」及び「ジアリールアミノ」という用語は、少なくとも一つ又は二つのアリール基のそれぞれが窒素原子に結合している基を含む。「アルキルアリールアミノ」、「アルキルアミノアリール」又は「アリールアミノアルキル」という用語は、少なくとも一つのアルキル基及び少なくとも一つのアリール基がアミノ基に結合しているアミノ基を意味する。「アルクアミノアルキル(alkaminoalkyl)」という用語は、アルキル基に結合している窒素原子に結合したアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を意味する。
【0115】
「アロイル(aroyl)」という用語は、カルボニル基に結合したアリール基又はヘテロ芳香族基を有する化合物及び基を含む。アロイル基としては、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシ等である。
【0116】
「カルボニル」又は「カルボキシ」という用語は、酸素原子に二重結合により結合した炭素を含む化合物及び基を含む。カルボニルを含む基の例としては、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、酸無水物等が挙げられる。
【0117】
「エステル」という用語は、カルボニル基の炭素に結合した酸素原子に結合する炭素又はへテロ原子を含む化合物及び基を含む。「エステル」という用語は、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル等のアルコキシカルボキシ基を含む。前記のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は前記と同様である。
【0118】
「エーテル」という用語は、2個の異なる炭素原子又はへテロ原子に結合した酸素を含む化合物又は基である。例えば、前記の用語は、もう一つのアルキル基に共有結合により結合した酸素原子に、共有結合により結合したアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を意味する「アルコキシアルキル」を含む。
【0119】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素等を含む。「過ハロゲン化(perhalogenated)」という用語は、一般にすべての水素がハロゲン原子で置換された基を意味する。
【0120】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素又は水素以外のあらゆる元素の原子を含む。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、イオウ及びリンである。
【0121】
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」という用語は、−OH又は−O(式中、Xは対イオンである。)を有する基を含む。
【0122】
「多環式基」又は「多環式ラジカル」は、二つ隣接する環が2個以上の炭素を共有する二つ以上の環、例えば前記の環が縮合環であるというような二つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はへテロサイクル)を意味する。隣接していない原子により結合した環は、「架橋された環」と称される。
多環式基の各環は、上記のように前記の置換基で置換し得る。
前記の置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む。)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む。)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロサイクル、アルキル、アルキルアリール、芳香族基又はヘテロ芳香族基である。
【0123】
「チオカルボニル」又は「チオカルボキシ」という用語は、イオウ原子に二重結合により結合した炭素を含む化合物及び基を含む。
【0124】
「チオエーテル」という用語は、二つの異なる炭素原子又はへテロ原子に結合したイオウ原子を化合物及び基を含む。チオエーテルの例としては、アルキチオアルキル(alkthioalkyl)、アルキチオアルケニル(alkthioalkenyl)及びアルキチオアルキニル(alkthioalkynyl)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。「アルキチオアルキル(alkthioalkyl)」という用語は、アルキル基に結合したイオウ原子に結合するアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を有する化合物を含む。同様に、「アルキチオアルケニル(alkthioalkenyl)」及び「アルキチオアルキニル(alkthioalkynyl)」は、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基が、アルキニル基に共有結合により結合したイオウ原子に結合している化合物又は基を意味する。
【0125】
上記で説明したように、本発明の化合物のいくらかの態様は、例えばアミノ又はアルキルアミノのような塩基性官能基を含むことができるので、薬学的に受容される酸と薬学的に受容される塩を形成することができる。「薬学的に受容される塩」という用語が、本技術分野で認識された用語であり、比較的に無毒である、本発明の化合物の無機酸及び有機酸の付加塩を含む。これらの塩は、本発明の化合物の最終段階での単離工程及び精製工程の間に本来調製され得るが、又はそれぞれ遊離塩基の形態で精製された本発明の化合物を適切な有機酸又は無機酸と反応させ、ついで形成された塩を単離することにより調製され得る。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプタン酸塩、ラクトビオン酸塩及びラウリルスルホン酸塩等が挙げられる(たとえば, Berge et al. (1977)
"Pharmaceutical Salts", J.
Farm. SCI. 66:1-19を参照)。
【0126】
他の場合において、本発明の化合物は一つ以上の酸性の官能基を含んでいてもよいので、薬学的に受容される塩基と薬学的に受容される塩を形成することができる。これらの例における「薬学的に受容される塩」という用語は、本技術分野で認識された用語であり、比較的に無毒である、本発明の化合物の無機塩基及び有機塩基の付加塩を含む。これらの塩は、同様に本発明の化合物の最終段階での単離工程及び精製工程の間に本来調製され得るが、又はそれぞれ遊離酸の形態で精製された本発明の化合物を薬学的に受容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩のような適切な塩基、アンモニア又は薬学的に受容される有機一級アミン、有機二級アミン又は有機三級アミンと反応させることにより調製され得る。代表的なアルカリ塩又はアルカリ土類塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、及びアルミニウム塩等が挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びピペラジン等が挙げられる。
【0127】
4.薬学的組成物
本発明は、また、骨形成又は鉱化作用の調節、Shn3に関連する障害の治療又は本発明の化合物の投与により治療され得る他の障害の治療のための薬学的組成物に少なくとも部分的に関するものである。前記の薬学的組成物は、薬学的に受容されるキャリヤーを配合した本発明の化合物を含む。前記の組成物は、さらに骨量障害の治療のための第二の薬剤を含んでいてもよい。本発明の方法に使用することができる化合物の例としては、式(I)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IIIa)、式(IIIb)、(IIIc)、式(IIId)、式(IVa)及び式(IVb)で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
本発明のいくらかの態様では、前記の化合物は被験体に経口投与され、被験体の骨鉱化作用又は骨形成を調節することができる。
【0129】
「薬学的組成物」という用語は、例えばヒトのような哺乳動物への投与に適した調製物を含む。本発明の化合物を例えばヒトのような哺乳動物に調合薬として投与する場合、本発明の化合物は、それ自体か、又は薬学的に受容されるキャリヤーを配合した、例えば0.1〜99.5%(より好ましくは0.5〜90%)の活性成分を含む薬学的組成物として投与され得る。
【0130】
「薬学的に受容されるキャリヤー」という用語は、本技術分野では知られ、哺乳動物に本発明の化合物を投与するのに適した薬学的に受容される材料、組成物又はビークルを包含する。前記のキャリヤーとしては、前記の薬剤を一つの器官若しくは体の部分から他の器官若しくは体の他の部分に運ぶか又は輸送するのに関与する、液体若しくは固体の賦形剤、希釈剤、結合剤、溶媒又はカプセル化剤が挙げられる。各キャリヤーは、前記の製剤の他の成分と共存でき、かつ患者に有害ではないという意味において「受容される」でなければならない。薬学的に受容されるキャリヤーとして役立つ材料のいくらかの例としては、ラクトース、グルコース及びショ糖のような糖、トウモロコシデンプン及びバレイショデンプンのようなデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びセルロースアセテートのようなセルロース及びその誘導体、トラガント末、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオ脂及び坐剤ワックスのような結合剤、ラッカセイ油、綿実油、コウカ油、セサミ油、オリブ油、トウモロコシ油及びダイズ油のようなオイル、プロピレングリコールのようなグリコール、グリセリン、ソルビット、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル、カンテン、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤、アルギン酸、パイロジェンを含まない水、等張食塩水、リンゲル液、エタノール、リン酸緩衝液、及び薬学的製剤で使用される他の無毒性の和合性物質が挙げられる。
【0131】
着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、矯味・矯臭剤、香料、保存剤、及び抗酸化剤のみならず、湿潤剤、乳化剤、及びラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤もまた前記の組成物に加えることができる。
【0132】
薬学的に受容される抗酸化剤としては、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及び重亜硫酸ナトリウム等の水溶性抗酸化剤、L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル及びα−トコフェロール等の油溶性抗酸化剤、並びにクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビット、酒石酸及びリン酸等のような金属キレート化剤が挙げられる。
【0133】
本発明の製剤は、経口投与、経鼻投与、局所投与、経皮投与、口腔投与、舌下投与、直腸投与、膣投与、肺投与及び/又は非経口投与に適している製剤である。さらに、本発明の製剤は、ex
vivo治療プロトコールにおける細胞への投与に適しており、又は、例えば骨、関節、歯等の安定化、置換ための表面、例えばパテのような、例えば放出外科手術により移植されたデバイスの表面、例えば生体適合性表面のような表面における放出される。前記の製剤は、便宜的に単位剤形で提供されてもよく、そして調剤学の技術分野ではよく知られた方法により調製されてもよい。単一の剤形を調製するためにキャリヤー材料と組み合わせることができる活性成分の量が、一般的に治療効果を発揮する化合物の量であろう。一般に、この量は、100%のうち、約1%〜約99%の活性成分、好ましくは約5%〜約70%の活性成分、最も好ましくは約10%〜約30%の活性成分である。
【0134】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物と、前記のキャリヤー、及び任意の1つ以上の補助成分とを結合するステップを含む。一般に、前記の製剤は、本発明の化合物と液体キャリヤー、微細に粉砕されたキャリヤー又はその両者とを均一かつ密接に結合させ、ついで必要であれば得られた生成物を成型することにより調製される。
【0135】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル、カシェー、ピル、錠剤、口内錠(香料をベースに、通常ショ糖及びアラビアゴム又はトラガントを使用する。)散剤、顆粒剤、水性若しくはは非水性の液体の液剤若しくは懸濁剤、油中水型若しくは水中油型の液体エマルジョン、エリキシル剤若しくはシロップ剤、トローチ(例えばゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアラビアゴムのような不活性な基剤を使用する。)及び/又は口腔洗浄剤等という剤形であり得、そしてそれぞれの剤形は活性成分として所定量の本発明の化合物を含む。本発明の化合物は、また大型錠剤、舐剤又はパスタ剤としても投与されてもよい。
【0136】
本発明の経口投与用の固形剤形(カプセル、錠剤、ピル、糖衣丸、散剤及び顆粒剤等)では、前記の活性成分は、例えばクエン酸カルシウム若しくはリン酸二カルシウム及び/又は次のいずれかのような、一つ以上の薬学的に受容されるキャリヤーと混合される。前記の薬学的に受容されるキャリヤーとしては、例えばデンプン、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸のような賦形剤又は増量剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及び/又はアラビアゴムのような結合剤、例えばグリセロールのような湿潤剤、例えば、カンテン、炭酸カルシウム、バレイショデンプン、タピオカデンプン、アルギン酸、いくらかのケイ酸及び炭酸ナトリウムのような崩壊剤、例えばパラフィンのような水剤の遅延化剤、例えば4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセリンのような湿潤剤、例えばカオリン粘土及びベントナイト粘土のような吸収剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物のような滑沢剤、並びに着色剤が挙げられる。カプセル、錠剤及びピルの場合、前記の薬学的組成物は、また緩衝剤も含んでいてもよい。同じようなタイプの固形組成物は、また、高分子量ポリエチレングリコール等みならず乳糖又はミルク糖のような前記の賦形剤を使用する軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセルにおいて、賦形剤としても使用されてもよい。
【0137】
錠剤は、任意に1つ以上の付加的な処方薬と共に圧縮又はすりこみにより調製されてもよい。圧縮錠剤は、結合剤(例えばゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えばデンプングリコール酸ナトリウム又は交差結合を有するカルボキシメチルセルロース)界面活性剤又は分散剤を使用して調製されてもよい。すりこみ錠剤は不活性な液体の希釈剤により湿潤化された粉末化された化合物の混合物を適切な機械ですりこむことにより調製されてもよい。
【0138】
錠剤、及び例えば糖衣錠、カプセル、ピル及び顆粒剤のような本発明の薬学的組成物の他の固形の剤形は、例えばエンテリックコーティング又は薬学的製剤技術の分野で知られている他のコーティング剤のようなコーティング及びシェルにより任意に刻みを付けられるか又は調製されてもよい。それらは、また、その中に使用されている活性成分の持続的又は調節された放出を提供するために、例えば望ましい放出プロファイルを提供する様々な比率でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/又は極小球体を使用して製剤化されてもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターによる濾過により、又は使用時直前に無菌水、若しくは無菌の注射できる溶媒に溶かすことができる無菌固形組成物の形態に滅菌剤を添加することにより無菌化されてもよい。これらの組成物は、また任意に不透明化剤を含んでよく、そして任意に遅延した様式で、胃腸管のある部分に活性成分のみか、又は優先して放出する組成物であってもよい。使用することができる組成物を埋め込む例としては、高分子物質及びワックスが挙げられる、前記の活性成分は、また、適切ならば1つ以上の上記の賦形剤と共にマイクロカプセルの形態であることもできる。
【0139】
本発明の化合物の経口投与のための液体の剤形としては、薬学的に受容されるエマルジョン、ミクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。前記の活性成分に加えて、前記の液体剤形は、
例えば水又は他の溶媒、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールのような可溶化剤及び乳化剤、オイル(特に綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル及びそれらの混合物ような、本技術分野で知られた不活性な希釈剤を含んでもよい。
【0140】
不活性な希釈剤に加えて、前記の経口投与用組成物は、また、例えば湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、矯味・矯臭剤、着色剤、香料及び保存剤のような添加剤をも含むことができる。
【0141】
懸濁剤は、前記の活性成分に加えて、例えば、エトキシ化されたイソステアリルアルコール(ethoxylated isostearyl
alcohols)、ポリオキシエチレンソルビット、及びソルビタンエステル、微細結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキサイト、ベントナイト、カンテン、トラガント、及びその混合物のような懸濁剤を含んでもよい。
【0142】
直腸投与又は膣投与のための本発明の薬学的組成物の製剤は、一つ以上の本発明の化合物を、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス又はサリチル酸塩を含む、一つ以上の適切な非刺激性の賦形剤又はキャリヤーと混合することにより調製されてもよく、また室温では固体であるが体温では液体であるので、直腸又は膣腔で溶け、そして活性化合物を放出する坐剤として提供されてもよい。
【0143】
膣投与に適している本発明の製剤は、また、製剤分野で知られている適当な前記のキャリヤーを含む、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル、パスタ剤、泡製剤又はスプレー剤を含む。
【0144】
本発明の化合物の局所投与又は経皮投与ための剤形は、散剤、スプレー剤、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル、水剤、パッチ及び吸入剤を含む。前記の活性化合物は、無菌条件下で薬学的に受容されるキャリヤーと混合されてもよく、また必要である場合あらゆる保存剤、緩衝剤又はプロペラントと混合されてもよい。
【0145】
前記の軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤及びゲルは、本発明の活性化合物に加えて、例えば動物性又は植物性油脂、オイル、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛及びその混合物のような賦形剤を含んでもよい。
【0146】
散剤及びスプレー剤は、本発明の活性化合物に加えて、例えば乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミドの粉末、又はそれらの混合物のような賦形剤を含んでもよい。スプレー剤は、さらに例えばクロロフルオロ炭化水素及び例えばブタン及びプロパンのような揮発性未置換の炭化水素のような通例のプロペラントを含んでもよい。スプレー剤は、またこの技術分野で知られた機械的な方法、電気的な方法又はその他の方法により放出され得る。
【0147】
経皮投与パッチ剤は、本発明の化合物の調節された体内放出を提供するという更なる利点を有する。前記の剤形は、適当な溶媒に前記の化合物を溶解又は分散させることにより調製することができる。吸収促進剤は、また、皮膚を通って前記の化合物の流入を増やすために使用することができる。前記の流入速度は、速度を調節する膜を提供するか又は高分子マトリックス若しくはゲル中に前記の活性化合物を分散するかのいずれかにより調節することができる。
【0148】
眼科用製剤、眼軟膏、散剤及び水剤等は、また本発明の範囲に含まれるとして意図されている。
【0149】
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、一つ以上の薬学的に受容される無菌の水性又は非水性の等張溶液、分散液、懸濁液若しくはエマルジョン、又は用時に無菌の注射液若しくは注射分散剤に再構成される無菌粉末が配合された一つ以上の本発明の化合物を含む。これらの製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、前記の製剤を想定された被験体の血液と等張にする溶質、懸濁剤又は濃稠化剤を含んでもよい。
【0150】
本発明の薬学的組成物において使用される、適切な水性及び非水性キャリヤーの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール等)及びそれらの適当な混合物、例えばオリブ油のような植物性油、及び例えばオレイン酸エチルのような注射用有機エステルが挙げられる。適当な流動性は、例えばレシチンのようなコーティング材料の使用により、分散剤の場合には必要とされた粒子サイズの保持により、又は界面活性剤の使用により維持することができる。
【0151】
これらの製剤は、また、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤のような添加剤を含んでもよい。微生物の作用の防止は、例えばパラベン、クロロブタノール及びフェノールソルビン酸等の様々な抗菌薬、抗寄生虫薬及び抗真菌薬を配合することにより保証される。例えば糖及び塩化ナトリウム等の等張化剤を前記の組成物に配合することもまた望ましい。加えて、前記の注射用剤形の持続的な吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウムのような吸収を遅らせる成分の配合により成し遂げられてもよい。
【0152】
いくらかの態様では、薬剤の作用を持続させるために、皮下注射又は筋肉内注射による前記の薬剤の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水に対する溶解性が低い結晶性又は非晶質性の物質の懸濁液の使用により成し遂げられてもよい。したがって、前記の薬剤の吸収速度は、同様に結晶のサイズ及び結晶形に依存し得る、その溶解速度に依存する。代わりに、非経口的に投与された薬剤の吸収遅延は、オイルビークルに前記の薬剤を溶解又は懸濁することにより成し遂げられてもよい。前記の組成物は、またその組成物の排泄が公知の方法により遅延されるように製剤化されてもよい。
【0153】
注射されるデポ剤は、例えばポリラクチド(polylactide)−ポリグリコリド(polyglycolide)のような生体内分解性ポリマー中に前記の化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより調製される。薬剤の放出速度は、ポリマーに対する薬剤の割合及び使用された特定のポリマーに性状に依存するので、薬剤の放出速度を調節することができる。他の生体内分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(アンヒドリド)が挙げられる。注射されるデポ剤は、また、生体組織に適合したリポゾーム又はミクロエマルジョンに前記の薬剤を取り込むことにより調製されていもよい。
【0154】
本発明の調製物は、経口投与、非経口投与、局所投与又は直腸投与により投与されてもよい。それらは、もちろん各投与ルートに適した形態で投与されてもよい。たとえば、それらは、錠剤若しくはカプセルによる投与、注射、吸入、眼ローション、軟膏、坐剤等による投与、注射、注入若しくは吸入による投与、ローション又は軟膏による局所投与、及び坐剤による直腸投与により投与されてもよい。経口投与又は吸入による投与が好ましい。
【0155】
「非経口投与」及び「非経口で投与された」という用語は、本明細書で使用されているように、経腸投与及び局所投与以外の投与方法、通常注射による投与を意味し、その例としては、静脈内、筋肉内、動脈内、クモ膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内及び胸骨内への注射又は注入が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0156】
「全身性投与」、「全身的に投与された」、「末梢投与」及び「末梢に投与された」という用語は、本明細書で使用されているように、中枢神経系内に直接的な投与以外の化合物、薬剤又は他の材料の投与を意味し、それは、例えば皮下投与のように、患者の全身に入るために代謝及び他の同様なプロセスを受けることになる。これらの化合物は、治療のためにあらゆる適切な投与ルートによりヒト又は他の動物に投与されてもよい。前記の適切な投与ルートとしては、経口投与、例えばスプレーによる経鼻投与、経腸投与、経膣投与、非経口投与、クモ膜下槽内投与及び、粉剤、軟膏又はドロップによる局所投与、口腔内投与、及び舌下投与が挙げられる。他の投与方法としては、吸入による投与が挙げられる。
【0157】
本発明の化合物は、またステントを経由して被験体に投与されてもよい。前記の化合物は、ステントを経由して投与されるか、又はステント自体に浸透させてもよい。
【0158】
本発明の化合物は、またin vitro 又は in vivoで表面に投与されてもよい。例えば、外科手術により移植されたロッド、ピン、プレート、スクリュー、又は、例えば骨折、関節、歯、のような骨の安定化若しくは修復のために移植された他の器具、又は関節置換体又は歯置換体
【0159】
選択された投与ルートに関係なく、適切な水和物形態及び/又は本発明の薬学的組成物で使用されてもよい本発明の化合物は、当業者に知られた通常の方法により薬学的に受容される剤形に調製される。
【0160】
本発明の薬学的組成物における前記の活性成分の実際の用量レベルは、患者に対して毒性を示すことなく、特定の患者、組成物及び投与方法の望ましい治療応答を成し遂げるのに有効な活性成分の量を獲得するために異なってもよい。
【0161】
前記の選択された用量レベルは、使用された本発明の特定の化合物、そのエステル、その塩又はそのアミドの活性、投与ルート、投与時間、使用された特定の化合物の排泄速度、治療の継続、使用された特定の化合物と併用された他の薬剤、化合物及び/又は材料、患者の年齢、容態、一般的な健康の状態及び治療履歴、並びに医学の分野で知られた同様な要素を含む、様々な要素に依存するであろう。
【0162】
通常のスキルを有する医者又は獣医ならば、必要とされる薬学的組成物の有効量を速やかに決定し、処方することができる。例えば前記の医者又は獣医ならば、前記の望ましい治療効果を達成するために必要とされる用量よりも低い用量の薬学的組成物に使用された本発明の化合物の投与で開始し、そして望ましい効果が得られるまで徐々に前記の用量を増やすことができる。
【0163】
一般に、本発明の化合物の適切な一日あたりの投与量は、治療効果を生ずるために有効な最低の投与量である本発明の化合物の量であろう。前記の有効な量は、一般的に上記の要素に左右されるであろう。
【0164】
一般的に、患者に対する静脈内投与及び皮下投与の用量は、約0.0001mg/体重/日〜約100mg/体重/日、より好ましくは約0.01mg/体重/日〜約50mg/体重/日、さらにより好ましくは約1.0mg/体重/日〜約100mg/体重/日であろう。望ましくは、前記の活性化合物の有効な一日あたりの用量は、2回、3回、4回、5回、6回又はそれより多くの回数に分けて適当な間隔で一日に亘り投与されてもよい。
【0165】
本発明の化合物を単独で投与することは可能であるが、望ましくは薬学的組成物として前記の化合物を投与することである。化合物又は薬学的組成物は、他の成分及び/又は方法と組合せて投与することができる。
【0166】
例えば、外科手術による修復、生体内分解性デバイスの外科手術による移植、ロシグリタゾン、RANKL、トレチノイン、エノキサパリンは、骨の形成及び鉱化作用を減少する化合物と併用することができる。骨の形成及び鉱化作用を増加させる化合物と併用するのに適した薬剤及び/又は方法としては、例えば、外科手術、骨形成タンパク質スーパーファミリーの一種であるBMP−7とも称されるOP−1、BMP−2、ビタミンD、カルシウム、ホルモン代償療法、例えばアレドロネート、エチドロネート、パミドロネートのような骨の再吸収を阻害する内因性のピロリン酸の類似体であるビスホスホネート、カルシトニン、クロドロネート、例えばラロキシフェンのような選択的エストロゲン受容体調節剤(SERMs)、例えばテリパラチドのような副甲状腺ホルモン、フッ化物(fluoride)、ラネリック酸ストロンチウム、TNF−α抗体、オステオプロテジェリン、β-クリプトキサンチン及び尿中へのカルシウム排泄を減らし、そして骨消失を遅らせることができるチアジド、例えばオルトバナジン酸(V)ナトリウムのようなチロシンホスファターゼ阻害剤、アルファカルシドール、メナテトレノン、例えばシンバスタチンのようなスタチンが挙げられる。
【0167】
前記で説明したように、本発明の化合物のいくらかの態様は、アミノ又はアルキルアミノのような塩基性官能基を含むので、薬学的に受容される酸と薬学的に受容される塩を形成することができる。「薬学的に受容される塩」という用語は、本技術分野で認識され、本発明の化合物の比較的無毒性の無機酸又は有機酸の付加塩を含む。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離及び精製の工程において本来調製され得るか、又は分離した遊離塩基フォームの本発明の精製された化合物と適当な有機酸又は無機酸とを反応させて形成された塩を単離することにより調製され得る。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、ラクトビオン酸塩及びラウリルスルホン酸塩等が挙げられる(例えばBerge et al. (1977)
"Pharmaceutical Salts", J.
Farm. SCI. 66:1-19を参照。)。
【0168】
他の態様では、本発明の化合物は1つ以上の酸性の官能基を含むので、薬学的に受容される塩基により薬学的に受容される塩を形成することができる。「薬学的に受容される塩」という用語は、これらの例では本発明の化合物の比較的に無毒性の無機塩基及び有機塩基の付加塩を意味する。これの塩は、同様に前記の化合物の最終の単離又は精製の工程において本来調製されるか、又は分離して精製された遊離酸フォームの本発明の化合物と、例えば薬学的に受容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩若しくは重炭酸塩、アンモニア、又は薬学的に受容される一級、二級若しくは三級アミンと反応されることにより調製される。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩及びアルミニウム塩等が挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びピペラジン等が挙げられる。
【0169】
「薬学的に受容されるエステル」という用語は、比較的に無毒な本発明の化合物のエステル化物を意味する。これらのエステルは、本発明の化合物の最終的な単離及び精製の工程において本来調製され得るか、又は分離した遊離酸フォーム若しくは水酸基の本発明の精製された化合物と適当なエステル化剤とを反応させることにより調製され得る。カルボン酸類は、触媒の存在下でアルコールで処理することによりエステル類に変換することができる。水酸基類は、アルカノイルハライドのようなエステル化剤で処理することによりエステル類に変換することができる。前記の用語は、また、例えばアルキルエステル、メチルエステル、エチルエステル及びプロピルエステルのような、生理学的な条件下で溶媒和物に変換され得る低級炭化水素基を意味する(例えば前掲のBerge et alを参照。)。
【0170】
本発明は、少なくとも部分的に、本発明の化合物及び骨量の異常の治療のために前記の化合物を使用するための指示書を含む包装された組成物に関する。
【0171】
さらに、本発明は、次の実施例により例証されるが、これらの実施例により本発明がさらに限定されると解釈すべきでない。本出願で引用された、すべての文献、未審査の特許出願、及び発行された特許のすべての内容は、引用により明白に本明細書に援用されている。
【0172】
本発明の実証
実施例1:Schnurri-3 (Shn3)及び骨形成
Shn3は、成人の骨形成の強力かつ必要不可欠な調節因子である。Shn3が欠損したマウスは、増加した骨芽細胞活性により強烈に増加した骨量を呈する骨硬化性の表現型を示す。Shn3は、その分解を促進することにより、骨芽細胞の分化の主な調節因子であるRunx2のタンパク質レベルを調節する。骨芽細胞において、Shn3は、Runx2とE3ユビキチンリガーゼ WWP1との三量体の複合体の構成成分として機能する。この複合体は、Runx2の機能、及びWWP1の能力に起因する細胞外マトリックスの鉱化作用に関与する遺伝子の発現を阻害して、Runx2ポリユビキチン化及びプロテアソームに依存する分解を促進するWWP1を阻害する化合物は、骨芽細胞合成活性を高めることで骨量を増加させるはずである。
【0173】
Shn3マウスの大腿骨の組織学的分析及びX線撮影解析から、骨髄腔の閉塞により骨量及び骨密度が劇的に増加することが明らかになる。
【0174】
原発性頭蓋冠の骨芽細胞におけるWWP1タンパク質の減少により、Runx2タンパク質のレベルが増加し、骨合成遺伝子のレベルが増加し、及び鉱化された骨の形成が増加する。
【0175】
細胞ベースのレポーターアッセイを第1スクリーンとして使用するために部分修正した。それは、オステオカルシン遺伝子からの標的プロモーター配列のRunx2活性化のWWP1による阻害に基づいている。ネズミの間葉の幹細胞系統C3H10T1/2をDMEM+10%FBSに保持した。12−ウエル皿を使用して8×10 細胞/ウエルで細胞を一夜接種し、ついで多量化されたオステオカルシン(OSE)ルシフェラーゼ(6xOSE2)レポーター遺伝子プラスミッド及び示されたようにEffectene (Qiagen)による発現構築物の組み合わせによりトランスフェクションされる。対照の空の発現ベクタープラスミッドを追加することによりトランスフェクションされたDNAの全量を一定に保った。トランスフェクション効率を調節するためすべての細胞についてpRL-TK (Promega)もトランスフェクションした。トランスフェクション後48時間経過時に、細胞を採取し、ついで1xPassive Lysis Buffer
(Promega)中で溶解させ、ついでDual-Luciferase Reporter
Assay System (Promega)を使用してルシラーゼ活性を測定した。Runx2が前記のOSE2レポーターを強固に処理し、そしてこれは、実質的にShn3単独により、WWP1単独により阻害され、さらにShn3及びWWP1の両者により阻害された。
【0176】
WWP1の阻害がRunx2活性を高めることを示すために、C3H10T1/2細胞にGFPi又はWWPliレンチウイルスを感染させた。ルシフェラーゼ・レポーター・アッセイにおけるRunx2のトランスアクチベーション機能は、WWP1i細胞において促進される。ネズミWWP1及びGFPに対するRNAiを発現する、前記のLKO.1レンチウイルスベクターを、D8.9及びVSV-Gプラスミッドと共にEffectene (Qiagen)を利用するC2H10T1/2細胞にコトランスフェクトする。
【0177】
5,5’−(スルホニルジメチレン)ジウラシルをOSE2レポーター・アッセイで測定すると、Runx2トランスアクチベーションが高められることが示され、したがって、WWP1をも阻害する。
【0178】
実施例2:in Vitroにおけるヒト骨芽細胞の分化
この細胞レベルでのアッセイは、高率の分化を生ずる確立されたプロトコールに従い、原発性のヒト間葉系幹細胞(MSCs)が骨芽細胞に分化する96ウエルフォーマットにより実施される。骨芽細胞の分化を誘起するために、MSCを低密度(3.1×103細胞/cm2)で接種し、14日間β−グリセロールリン酸及びアスコルビン酸を含む培地で培養する。代表化合物を試験するために、MSCsを前記の化合物の存在下において14日間培養で分化させるであろう。ついで、骨芽細胞の分化は、分化した骨芽細胞には存在するがMSCsには存在しない細胞性アルカリホスファターゼ(ALP)のレベルを反映する簡易な比色定量読み取りを経由してアッセイされる。ついでAlamar blue assayを利用して測定される細胞数に対してALPレベルが規準化される。鉱化作用は、キシレノールオレンジで染色することにより測定することができる。前記のスクリーン及び前記の96ウエルフォーマットを使用することで様々な濃度で多数の化合物を測定することができる。かなりの数の化合物が、ナノモーラーの濃度で活性であることを確認することができる。
【0179】
5,5’−(スルホニルジメチレン)ジウラシルは、骨芽細胞の分化のためのシリコスクリーン(silico screen)においてWWP1に強力に結合することが確認された。この化合物を倍地中に含ませると鉱化された小結節の形成がかなり増加した。
【0180】
実施例3:WWP1ユビキチン化及びRunx2タンパク質レベル
MSCsの骨芽細胞分化を増やす化合物が同定されると、これらの化合物がin vitroでWWP1活性に拮抗することにより機能するかどうかが決定されるであろう。このことを試験するために、WWP1のHECTドメインを使用するin vitroでのユビキチン化アッセイがE3リガーゼとして使用されるであろう。供試化合物の濃度が増加するにつれてユビキチン及びビオチン化されたユビキチンとともに、組み換え型E1及びE2 (UbcH7)を添加するか又は添加せずに伴い、WWP1の触媒ドメインを含む、組み換え型HECTドメインを前記の反応液を加える。ユビキチン化反応は30℃で15分間で完了し、ついで得られた反応液をSDS-PAGEにより分離し、PVDF膜を通し、そしてユビキチン化されたタンパク質をstreptavidin-HRPによりブロットすることにより可視化する。タンパク質ユビキチン化の全体的レベル(このアッセイにおける主なWWP1自己ユビキチン化)は、阻害剤の存在しないという場合における濃度計により測定される。
【0181】
5,5’−(スルホニルジメチレン)ジウラシルがWWP1ユビキチン化WWP1ユビキチン化において阻害効果を示すことが見出された。
【0182】
さらに、細胞アッセイを使用し、阻害剤がWWP1媒介Runx2のユビキチン化を阻害するか又は阻害しないかどうかが決定されるであろう。293T cell-based systemを用いて、候補化合物の濃度を増加させるように変化させて、前記の細胞システムに加えて18時間培養後、溶解させる。最後に、可能性のあるWWP1阻害剤が内因性の骨芽細胞のWWP1の機能を阻害するかどうかを決定するために、hMSCsが骨芽細胞の分化の間に前記と同様に阻害剤により処理され、そしてRunx2 mRNA及びタンパク質レベルが上記のように測定されるであろう。
【0183】
実施例4:候補化合物の最適化及びIn Vivo動物スクリーニング
WWP1への拮抗を通してIn
Vivoで骨芽細胞の分化を促進する化合物が同定されると、前記の候補化合物の化学構造が最適化される。実験室における試験から得られた最良の候補分子は、合成化学手法を使用するか、又は他のケミカルライブラリーからの一連のin silicoアナログの選択に付されてもよい。
【0184】
in vivoにおける骨量の喪失を防止することにおける、いくらかの化合物の有効性が研究される。in vivoにおける使用のための最適用量を確立するために用量−反応曲線が作成される。卵巣摘出されたマウスにおける骨減少症の発症を防ぐ前記の化合物の能力を試験する。閉経後の女性と同じように、エストロゲンレベルが、卵巣摘出されたマウスでは明確に減少する。これらの実験において、一群8匹の雌マウス(12週齢)からなる二群を使用し、一群は卵巣摘出手術を受けており、もう一つの群は偽手術を受けている。各群のマウスは、手術の前に候補化合物又はビークルのいずれかが投与されている。前記のマウスは、手術後様々な時点において前記の候補化合物又はビークルを継続して投与されている。
【0185】
手術から8週間経過時点において、小柱の数、厚さ及び腔、骨量、並びに錐体無機質密度を測定することにより骨量の消失を定量するために、各マウスの大腿骨及び椎骨についてμ-QCT分析を実施する。犠牲にするまえに血清を集め、Trap(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ)5b及びデオキシピリジノリン(Dpd)を測定する。前記のマウスの子宮も切り取り、ついで重さをはかり、卵巣摘出手術の影響を評価した。前記の候補化合物がin vivoで特異的にWWP1をターゲットとしているかどうかを決定するために、骨芽細胞においてヒトWWP1(hWWP1)特異的に過剰発現する、トランスジェニックマウスが使用されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨形成及び鉱化作用を調節する方法であって、
Shn3を調節する化合物の有効量を被験体に投与し、骨形成及び鉱化作用が調節されるステップを含む、方法。
【請求項2】
前記化合物がShn3及びWWP1の結合を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物がShn3及びWWP1の結合を阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物がWWP1に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物がRunx2に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物がRunx2のユビキチン化(ubiquination)を妨げる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、骨形成及び鉱化作用を高める、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記有効量が、骨粗しょう症を治療するのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記有効量が、骨溶解性転移を治療するのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、式I:
【化22】

(式中、Lが結合基であり、
及びPがそれぞれ独立して、任意に置換された環状基であり、
a及びbがそれぞれ独立して、単結合又は二重結合である。)で表される化合物及びその薬学的に受容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記結合基が、式:−(CR0−10−G−(CR0−10
(式中、Gが、カルボニル、−SO−、−O−、−S−、−PO−、(NR1−2、環状基又は存在しないかであり、
、R、R、R及びRのそれぞれが、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ又は存在しないかである。)である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記結合基が−(CH0−2−SO−(CH0−2−である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記結合基が1つ以上の窒素原子を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記結合基が=N−N=CH−である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記結合基が環状基である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記環状基がヘテロサイクルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記環状基が、
【化23】

(式中、Rが、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル又はアルコキシである。)
である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
及びPのそれぞれが、独立して選ばれたピリミジン塩基又はその誘導体である、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
及びPのそれぞれが、独立して選ばれたウラシル又はその誘導体である、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記の化合物が、
【化24】

である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
及びPのそれぞれが、独立して選ばれた炭素環基である、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
及びPのそれぞれが、独立して選ばれた芳香族基である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
及びPの少なくとも一つが、置換されたか又は置換されていないフェニルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
及びPの少なくとも一つが、多環式基である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
及びPの少なくとも一つが、置換されたか又は置換されていないフルオレンである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が
【化25】

である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
が炭素環基であり、かつPがヘテロサイクルである、請求項10に記載の方法。
【請求項28】
が芳香族基である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
が置換されたか又は置換されていないフェニルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
が1つ以上の酸素原子を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
が1つ以上のカルボニル基を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が、
【化26】

である、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
式(I)で表される化合物の有効量を被験体に投与して、前記被験体の骨粗しょう症を治療するステップを含む骨粗しょう症を治療する方法であって、
式(I):
【化27】

(式中、Lが、結合基であり、
及びPのそれぞれが、独立して選ばれた、任意に置換された環状基であり、
a及びbのそれぞれが、独立して単結合又は二重結合である。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル又はそのプロドラッグである、前記方法。
【請求項34】
式(I)で表される前記化合物が骨芽細胞合成を促進する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
化合物の有効量を前記被験体に経口投与して、前記被験体が治療されるステップを含む、骨粗しょう症を治療する方法。
【請求項36】
前記化合物が、式(I):
【化28】

(式中、Lが、結合基であり、
及びPのそれぞれが、独立して選ばれた任意に置換された環状基であり、
a及びbのそれぞれが、独立して単結合又は二重結合である。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル又はそのプロドラッグである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記化合物が、骨芽細胞の合成活性を促進する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記化合物が、骨形成を促進する、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記被験体が、骨粗しょう症又は骨溶解性の転移を患う、請求項1−38のいづれか一つに記載の方法。
【請求項40】
前記被験体が、骨粗しょう症に罹る危険性を有する、請求項1−39のいづれか一つに記載の方法。
【請求項41】
前記被験体が女性である、請求項1−40のいづれか一つに記載の方法。
【請求項42】
前記被験体が40歳より高齢である、請求項1−41のいづれか一つに記載の方法。
【請求項43】
前記被験体が50歳より高齢である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記被験体が60歳より高齢である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記被験体が70歳より高齢である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記被験体が80歳より高齢である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記被験体がヒトである、請求項1−46のいづれか一つに記載の方法。
【請求項48】
薬学的組成物であって、経口投与で有効な量の骨芽細胞の合成を促進する化合物及び薬学的に受容されるキャリヤーを含む、薬学的組成物。
【請求項49】
前記化合物が、式(I):
【化29】

(式中、Lが、結合基であり、
P1及びP2が、それ独立して選ばれた任意に置換された環状基であり、
a及びbが、それぞれ独立して単結合又は二重結合である。)で表される化合物、及びその薬学的に受容される塩である、請求項48に記載の薬学的組成物。
【請求項50】
薬学的組成物であって、薬学的に受容されるキャリヤー、及び有効な量の式(I):
【化30】

(式中、Lが、結合基であり、
P1及びP2が、それ独立して選ばれた任意に置換された環状基であり、
a及びbが、それぞれ独立して単結合又は二重結合である。)で表される化合物、及びその薬学的に受容される塩を含む、薬学的組成物。
【請求項51】
前記有効な量が、骨形成又は鉱化作用を調節するために有効である、請求項50に記載の薬学的組成物。
【請求項52】
Shn3調節化合物の有効量及び薬学的に受容されるキャリヤーを含む薬学的組成物。
【請求項53】
式(IIa):
【化31】

(式中、Lが結合基であり、
が、2個以上の窒素環原子及び1個、2個若しくは3個のカルボニル基又はチオカルボニル基を含む、任意に置換されたヘテロサイクル基であり、
が、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、多環式基、アルキル、アルケニル、2個以上の窒素環原子及び1個、2個若しくは3個のカルボニル基又はチオカルボニル基を任意に含む、任意に置換されたヘテロサイクル基であり、
但し、前記の化合物が、
5,5’−(スルホニルジメチレン)ジウラシル、
5,5’−(チオジメチレン)ジウラシル、
5,5’−(ジチオジメチレン)ジウラシル、
5,5’−[ジオキシビス(メチレン)]ビス−2,4[1H,3H]−ピリミドン、
5−フェニル[(フェニルメチル)スルホニル]メチル]−2,4[1H,3H]−ピリミジンジオン、
5,5’−(オキシジメチレン)ビス[2−メチル−4,6−ピリミジンジオール]、
5−[(メチルスルフィニル)メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
5−[フェニル[(フェニルメチル)スルフィニル]メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
5−[[(フェニルメチル)チオ]メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
5−[(2−ピリミジニルチオ)メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
5,5’−エチレンジウラシル、
S−[(1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−5−ピリミジニル)メチル]ベンゼンカルボチオ酸エステル、
5−[(ベンジルスルホニル)メチル]−5−エチル−バルビツル酸、
5−エチルチオメチルウラシル、
5,6−ビス[(メチルスルホニル)メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
5,5’−(チオジ−2,1−エタンジイル)ビス[6−メチル])−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
5,5’−メチレン ジウラシル、
5,5’−ペンチリデンビス−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
5,5’−(3−メチル−1−プロペン−1,2−ジイル)ビス2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
2,2’−ジチオビス[5−メチル−]−4,6−ピリミジンジオール、又は
2−メチル−5−[(フェニルスルホニル)メチル]−4(1H)−ピリミジンジオンではない。)で表される化合物、又はその薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体又はそのプロドラッグ。
【請求項54】
が、
【化32】

(式中、cが、単結合又は二重結合であり、
及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
及びYのそれぞれが、独立して酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
、R’、R、R’、R及びR’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、アシル、又は存在しないであり、
但し、
が酸素又はイオウである場合、R及びR’は存在しないであり、
が窒素である場合、R’は存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R及びR’は存在しないであり、
が窒素である場合、R’は存在しないである。)で表される化合物、
又はその幾何異性体である、請求項53に記載の化合物。
【請求項55】
式(IIb):
【化33】

(式中、c及びdが、独立して選ばれた単結合又は二重結合であり、
L1が結合基であり、
、X、X及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
、Y、Y及びYのそれぞれが、独立して酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
、R’、R、R’、R、R’、R10、R10’、R11、R11’、R12,及びR12’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、ニトロ、チオール、アミノ、アシル、又は存在しないであり、
但し、
が酸素又はイオウである場合、R及びR’は存在しないであり、
が窒素である場合、R’は存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R及びR’は存在しないであり、
が窒素である場合、R’は存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R11及びR11’は存在しないであり、
が窒素である場合、R11’は存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R12及びR12’は存在しないであり、
が窒素である場合、R12’は存在しないであり、
cが二重結合である場合、R’は存在しないであり、
dが二重結合である場合、R10’は存在しないであり、及び
前記化合物が、
5,5’−(スルホニルジメチレン)ジウラシル、
5,5’−(チオジメチレン)ジウラシル、
5,5’−(ジチオジメチレン)ジウラシル、
5,5’−[ジオキシビス(メチレン)]ビス−2,4[1H,3H]−ピリミドン、
5,5’−(オキシジメチレン)ビス[2−メチル−4,6−ピリミジンジオール、
5,6−ビス[(メチルスルホニル)メチル]−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
5,5’−(チオジ−2,1−エタンジイル)ビス[6−メチル])−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、
5,5’−メチレン ウラシル、
5,5’−ペンチリデンビス−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン、又は5,5’−(3−メチル−1−プロペン−1,2−ジイル)ビス2,4(1H,3H)−ピリミジンジオンではない。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル、そのプロドラッグ又はその幾何異性体。
【請求項56】
が、(CR0−10−(G)0−2−(CR0−10
(式中、Gがカルボニル、−SO−、−SO−、−O−、−S−、−PO−又は(NR1−2であり、
、R、R、R及びRのそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ニトロ、チオール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ又は存在しないである。)で表される基である、請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
が、−(CH0−2−SO−(CH0−2
である、請求項56に記載の化合物。
【請求項58】
c及びdのそれぞれが二重結合である、請求項55−57のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項59】
、X、X及びXのそれぞれが酸素である、請求項55−58のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項60】
、Y、Y及びYのそれぞれが窒素である、請求項55−59のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項61】
、R、R、R10、R11及びR12のそれぞれが水素である、請求項55−60のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項62】
前記化合物が、式(IIc):
【化34】

で表される化合物である、請求項55に記載の化合物。
【請求項63】
前記化合物が、5個以下の水素結合供与基、10個以下の水素結合受容基、500未満の分子量及び5未満のlogP分配係数を有する、請求項53−62のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項64】
前記化合物が、式(IIIa):
【化35】

(式中、X及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
が窒素又は炭素であり、
が酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
1313’、R14、R14’、R15及びR15’のそれぞれが、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、アシル、存在しないか又はK−Wであり、
Wが、独立して選ばれ、任意に置換されたアリール基、ヘテロアリール基、環式基又は多環式基であり、
Kが、独立して選ばれるアルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ又はアミノ基であり、
但し、
が窒素である場合、R13’が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R14及びR14’のそれぞれが存在しないであり、
が炭素である場合、R14’が存在しないであり、かつ
13、R13’、R14、R14’、R15及びR15’のうちの二つが、共有結合により同じ原子に結合していない場合、Wであり、
及び、前記の化合物が、
3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(4−メトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、
3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、
3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(2−エトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、
3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(2−ブロモフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、
3−[[4−[(2−メトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、
3−[[4−フェニルメチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、
3−[[4−[(4−メトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、
3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、
3−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−5−[(4−ニトロフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、
3−[[4−[(4−エトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、
3−[[4−[(4−ニトロフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、
5−[(2−ブロモフェニル)メチレン]−3−[(3,4−ジヒドロ−2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル)メチル]−2,4−イミダゾリジンジオン、
3−[[4−[(3,4−ジメトキシフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、
3−[(3,4−ジヒドロ−2,4−ジヒドロ−2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル)メチル]−5−[(3,4−ジメチキシフェニル)メチレン]−2,4−イミダゾリジンジオン、
3−[[4−[(4−アセチルアミノフェニル)メチレン]−5−オキソ−2−チオキソ−1−イミダゾリジニル]メチレン]−2H−1−ベンゾピラン−2,4(3H)−ジオン、
5−[(6−メトキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチレン]−3−(フェニルメチル)−2,4−イミダゾリジンジオン、
5−[(6−エトキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチレン]−3−(フェニルメチル)−2,4−イミダゾリジンジオン、
1−[(2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデン)メチル]−3−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]−2,5−ピロリジンジオン、又は
5−[(6−エトキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチレン]−3−[(4−メチルフェニル)メチル]−2,4−イミダゾリジンジオン
ではない。)で表される化合物、
又はその薬学的に受容される塩、その幾何異性体、そのエステル又はそのプロドラッグ。
【請求項65】
及びYのそれぞれが水素である、請求項64に記載の化合物。
【請求項66】
13及びR15のそれぞれがK−Wである、請求項64又は65に記載の化合物。
【請求項67】
前記化合物が、式(IIIb):
【化36】

(式中、e及びfのそれぞれが、独立して単結合又は二重結合であり、
及びWが、独立して選ばれた任意に置換されたアリール基、ヘテロアリール基、環式基又は多環式基であり、
及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
が窒素又は炭素であり、
が酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
13、R14、R14’、R15、R16、R16’、R20及びR20’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、アシル、存在しないである。)で表される化合物、又はその薬学的に受容される塩、そのエステル、、その幾何異性体又はそのプロドラッグである、請求項64に記載の化合物。
【請求項68】
が多環式基である、請求項67に記載の化合物。
【請求項69】
が置換されたか又は置換されていない2,4−ジオキソ−2H−1−ベンゾピラン−3(4H)−イリデンである、請求項68に記載の化合物。
【請求項70】
が置換されたか又は置換されていないフェニルである、請求項67−69のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項71】
前記化合物が、式(IIIc):
【化37】

(式中、e、f及びgのそれぞれが、独立して単結合又は二重結合であり、
Mが、置換されたか又は置換されていないアリール又はヘテロアリールであり、
、X、X及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
が、窒素又は炭素であり、
及びYのそれぞれが、独立して酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
13、R14、R14’、R15、R16、R16’、R17、R17’、R18、R18’、R19、R19’、R20及びR20’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、
アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、ニトロ、アシル、存在しないかであるか又は
17及びR18が結合して環を形成してもよく、
但し、
eが二重結合である場合、R15及びR16’が存在しないであり、
fが二重結合である場合、R20’が存在しないであり、
gが二重結合である場合、R18’及びR17’が存在しないであり、
が窒素である場合、R13が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R14及びR14’のそれぞれが存在しないであり、
が炭素である場合、R14’が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R19及びR19’が存在しないであり、
が炭素である場合、R19’が存在しないである。)で表される化合物、又はその薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体又はそのプロドラッグである、請求項67に記載の化合物。
【請求項72】
e、f及びgのそれぞれが二重結合である、請求項71に記載の化合物。
【請求項73】
Mが置換されたアリールである、請求項71又は請求項72に記載の化合物。
【請求項74】
Mが置換されたフェニルである、請求項73に記載の化合物。
【請求項75】
Mが水素結合供給基により置換されている、請求項74に記載の化合物。
【請求項76】
Mが2−ヒドロキシフェニルである、請求項75に記載の化合物。
【請求項77】
、X、X及びXのそれぞれが酸素である、請求項71−76のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項78】
及びYが窒素である、請求項71−77のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項79】
が酸素である、請求項71−78のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項80】
18及びR17が結合して置換されたか又は置換されていない6員環を形成する、請求項71−79のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項81】
前記環式基が芳香族環である、請求項80に記載の化合物。
【請求項82】
14,R16,R19及びR20のそれぞれが水素である、請求項71−81のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項83】
前記化合物が式(IIId):
【化38】

(式中、X及びXのそれぞれが、独立して酸素又はイオウであり、
14、R16、R20並びにR21及びR22のそれぞれが存在する場合において、それぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、ニトロ、アシル、存在しないである。)で表される化合物、その薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体又はそのプロドラッグである、請求項71に記載の化合物。
【請求項84】
前記化合物が、5個以下の水素結合供与基、10個以下の水素結合受容基、500未満の分子量及びlog Pが5未満の分配係数を有する、請求項64−83のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項85】
式(IVa):
【化39】

(式中、Bが置換されたか若しくは置換されていない縮合した環状基又はヘテロシクリル基であり、
Eが置換されたか若しくは置換されていないフェニル基、ヘテロシクリル基又は縮合環基であり、
23及びR24のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、
アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、プロパルギル、ニトロ、又はアシルであり、
但し、前記化合物が
4−[(フルオレン−9−イリデンヒドラジニリデン)メチル]安息香酸、
2−[(フルオレン−9−イリデンヒドラジニリデン)メチル]安息香酸、
ベンズアルデヒドによる9−オキソ−フルオレン−1−カルボン酸アジン、
4−メチルベンズアルデヒドによる9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−(1−メチルエチル)ベンズアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メトキシベンズアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メトキシベンズアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン ベンズアルデヒド、
[4−(フルオレン−9−イリデンヒドラゾノメチル)フェノキシ]酢酸、
4−ヒドロキシ−9(10H)−アントラセニリデンヒドラゾン ベンズアルデヒド、
4−メチル安息香酸による9H−フルオレン−9−イリデンヒドラジド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2−メチルベンズアルデヒド、
2−(フルオレン−9−イリデンヒドラゾノメチル)フェノール、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
(1−フェニルエチリデン)ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ニトロベンズアルデヒド、
フルオレン−9−オンによる1−ナフトアルデヒド アジン、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メチルベンズアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−フルオロベンズアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−クロロベンズアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ヨードベンズアルデヒド、
(10−オキソ−9(10H)−アントラセニリデン)ヒドラゾン ベンズアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
4−(9H−フルオレン−9−イリデンヒドラジノ)安息香酸、
フルオレン−9−イリデンヒドラジド安息香酸、
(ジフェニルメチレン)ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 4−メトキシナフタレンアルデヒド、
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラジド 4−ヒドロキシ安息香酸、
[1−(4−エトキシフェニル)エチリデン]ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、
[1−(4−メチルフェニル)エチリデン]ヒドラゾン 9H−フルオレン−9−オン、又は
9H−フルオレン−9−イリデンヒドラゾン 2−メトキシベンズアルデヒド
ではない。)で表される化合物、薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体又はそのプロドラッグ。
【請求項86】
Bが一つ以上の芳香族環を含む、請求項85に記載の化合物。
【請求項87】
Eが置換されたフェニルである、請求項85又は86に記載の化合物。
【請求項88】
Eが水素結合供与基で置換されている、請求項87に記載の化合物。
【請求項89】
Eがカルボン酸基で置換されている、請求項88に記載の化合物。
【請求項90】
21が水素である、請求項85−89のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項91】
前記化合物が、式(IVb):
【化40】

(式中、Bが置換されたか又は置換されていない縮合環基又はヘテリシクリル基であるか、
23及びR25のそれぞれが存在する場合に、それぞれが独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、プロパルギル、ニトロ又はアシルから選ばれる。)で表される化合物、又はその薬学的に受容される塩、そのエステル、その幾何異性体又はそのプロドラッグである、請求項85に記載の化合物。
【請求項92】
前記化合物が、5個以下の水素結合供与基、10個以下の水素結合受容基、500未満の分子量及びlog Pが5未満の分配係数を有する、請求項85−91のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項93】
式(IIa)で表される化合物の有効量を被験体に投与して、骨の疾患を治療するステップを含む骨の疾患を治療する方法であって、前記式(IIa)で表される化合物が、
【化41】

(式中、Lが結合基であり
が、環原子である2個以上の窒素原子及び1個、2個又は3個のカルボニル基又はチオカルボニル基を含む、任意に置換されたヘテロサイクル基であり、
が、任意に置換されたアリール基、ヘテロアリール基、多環式基、アルキル基、アルケニル基又は環原子として2個以上の窒素原子及び1個、2個若しくは3個のカルボニル基又はチオカルボニル基を任意に含むヘテロサイクル基である。)で表される化合物、又はその薬学的受容される塩、そのエステル、その幾何異性体、又はそのプロドラッグである、骨の異常を治療する方法。
【請求項94】
式(IIIa)で表される化合物の有効量を被験体に投与して、骨の疾患を治療するステップを含む骨の疾患を治療する方法であって、前記式(IIIa)で表される化合物が、
【化42】

(式中、X及びXのそれぞれが、酸素又はイオウであり、
が窒素又は炭素であり、
が酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
13、R13’、R14、R14’、R15及びR15’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、アシル、存在しないか又はK−Wであり、
Wが独立して選ばれ、任意に置換されたアリール基、ヘテロアリール基、環状基又は多環式基であり、
Kが独立して選ばれるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、オキソ基又はアミノ基であり、
但し、Yが窒素である場合、R13’が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R14及びR14’が存在しないであり、
が炭素である場合、R14’が存在しないであり、
13、R13’、R14、R14’、R15及びR15’のうちの2個が、共有結合により同じ炭素に結合していない場合、Wである。)で表される化合物又はその薬学的受容される塩、その幾何異性体、そのエステル、又はそのプロドラッグである、骨の疾患を治療する方法。
【請求項95】
式(IVa)で表される化合物の有効量を被験体に投与して、骨の疾患を治療するステップを含む骨の疾患を治療する方法であって、前記式(IVa)で表される化合物が、
【化43】

(式中、Bが置換されたか又は置換されていない縮合環基又はヘテロシクリル基であり、
Eが置換されたか又は置換されていないフェニル基、ヘテロサイクル基又は縮合環基であり、
23及びR24のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、プロパルギル、ニトロ又はアシルである。)で表される化合物、又はその薬学的受容される塩、そのエステル、その幾何異性体、又はそのプロドラッグである、骨の疾患を治療する方法。
【請求項96】
請求項53−92のいずれか一つに記載の化合物の有効量を被験体に投与して、骨の疾患を治療するステップを含む、骨の疾患を治療する方法。
【請求項97】
式(IIa)で表される化合物の有効量を骨芽細胞に接触させて、骨芽細胞の活性を高めるステップを含む、骨芽細胞の活性を高める方法であって、前記式(IIa)で表される化合物が、
【化44】

(式中、Lが結合基であり
が、環原子として2個以上の窒素原子及び1個、2個又は3個のカルボニル基又はチオカルボニル基を含む、任意に置換されたヘテロサイクル基であり、Qが、任意に置換されたアリール基、ヘテロアリール基、多環式基、アルキル基、アルケニル基、又は環原子として2個以上の窒素原子及び1個、2個若しくは3個のカルボニル基若しくはチオカルボニル基を任意に含むヘテロサイクル基である。)で表される化合物、又はその薬学的受容される塩、そのエステル、その幾何異性体、又はそのプロドラッグである、骨芽細胞の活性を高める方法。
【請求項98】
式(IIIa)で表される化合物の有効量を骨芽細胞に接触させて骨芽細胞の活性を高めるステップを含む、骨芽細胞の活性を高める方法であって、前記式(IIIa)で表される化合物が、
【化45】

(式中、X及びXのそれぞれが、酸素又はイオウであり、
が窒素又は炭素であり、
が酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
13、R13’、R14、R14’、R15及びR15’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、アシル、存在しないか又はK−Wであり、
Wが独立して選ばれ、任意に置換されたアリール基、ヘテロアリール基、環状基又は多環式基であり、
Kが独立して選ばれるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、オキソ基又はアミノ基であり、
但し、Yが窒素である場合、R13’が存在しないであり、
が酸素又はイオウである場合、R14及びR14’が存在しないであり、
が炭素である場合、R14’が存在しないであり、及び
13、R13’、R14、R14’、R15及びR15’のうちの2個が、共有結合により同じ炭素に結合していない場合、Wである。)で表される化合物
又はその薬学的受容される塩、その幾何異性体、そのエステル、又はそのプロドラッグである、骨芽細胞の活性を高める方法。
【請求項99】
式(IVa)で表される化合物の有効量を骨芽細胞に接触させて骨芽細胞の活性を高めるステップを含む骨芽細胞の活性を高める方法であって、前記式(IVa)で表される化合物が、
【化46】

(式中、Bが置換されたか又は置換されていない縮合環基又はヘテロサイクル基であり、
Eが置換されたか又は置換されていないフェニル基、ヘテロサイクル基又は縮合環基であり、
23及びR24のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、プロパルギル、ニトロ又はアシルである。)で表される化合物、又はその薬学的受容される塩、そのエステル、その幾何異性体、又はそのプロドラッグである、骨芽細胞の活性を高める方法。
【請求項100】
請求項53−92のいずれか一つに記載の化合物の有効量を骨芽細胞に接触させて、骨芽細胞の活性を高めるステップを含む、骨芽細胞の活性を高める方法。
【請求項101】
式(IIa):
【化47】

(式中、Lが結合基であり
が、環原子として2個以上の窒素原子及び1個、2個又は3個のカルボニル基又はチオカルボニル基を含む、任意に置換されたヘテロサイクル基であり、
が、任意に置換されたアリール基、ヘテロアリール基、多環式基、アルキル基、アルケニル基又は環原子として2個以上の窒素原子及び1個、2個若しくは3個のカルボニル基又はチオカルボニル基を任意に含むヘテロサイクル基である。)で表される化合物、又はその薬学的受容される塩、そのエステル、その幾何異性体、又はそのプロドラッグ及び薬学的に受容されるキャリヤーを含む薬学的組成物。
【請求項102】
式(IIIa):
【化48】

(式中、X及びXのそれぞれが、酸素又はイオウであり、
が窒素又は炭素であり、
が酸素、イオウ、窒素又は炭素であり、
13、R13’、R14、R14’、R15及びR15’のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、アシル、存在しないか又はK−Wであり、
Wが独立して選ばれ、任意に置換されたアリール基、ヘテロアリール基、環状基又は多環式基であり、
Kが独立して選ばれるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、オキソ基又はアミノ基であり、
但し、Yが窒素である場合、R13’が存在しないであり、
が酸素である場合、R14及びR14’が存在しないであり、
が炭素である場合、R14’が存在しないであり、及び
13、R13’、R14、R14’、R15及びR15’のうちの2個が、共有結合により同じ炭素に結合していない場合、Wである。)で表される化合物
又はその薬学的受容される塩、その幾何異性体、そのエステル、又はそのプロドラッグ及び薬学的に受容されるキャリヤーを含む薬学的組成物。
【請求項103】
式(IVa):
【化49】

(式中、Bが置換されたか又は置換されていない縮合環基又はヘテロシクリル基であり、
Eが置換されたか又は置換されていないフェニル基、ヘテロサイクル基又は縮合環基であり、
23及びR24のそれぞれが、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、チオール、アミノ、プロパルギル、ニトロ又はアシルである。)で表される化合物、
又はその薬学的受容される塩、そのエステル、その幾何異性体、又はそのプロドラッグ及び薬学的に受容されるキャリヤーを含む薬学的組成物。
【請求項104】
請求項53−92のいずれか一つに記載の化合物及び薬学的に受容されるキャリヤーを含む薬学的組成物。
【請求項105】
前記組成物が前記化合物の有効量を含む、請求項103又は104に記載の薬学的組成物。
【請求項106】
前記有効量が骨疾患を治療するのに有効である、請求項105に記載の薬学的組成物。




【公表番号】特表2010−519207(P2010−519207A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549639(P2009−549639)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/002082
【国際公開番号】WO2008/103314
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(505070494)プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ (4)
【氏名又は名称原語表記】PRESIDENT AND FELLOWS OFHARVARD COLLEGE
【住所又は居所原語表記】1350 Massachusetts Avenue,Suite 727, Cambridge, MA 02138 (US).
【Fターム(参考)】