説明

高い引掻耐性及び耐候性を有する被覆剤

本発明は、少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物(A)及び少なくとも1種のイソシアネート基含有化合物(B)を含有する被覆剤に関し、この際、被覆剤の1種以上の成分は、付加的な官能性成分として、構造単位(I)及び(II)の総計に対して、少なくとも1種の式(I)‐N(X‐SiR"x(OR’)3‐x)n(X’‐SiR"y(OR’)3‐y)m の構造単位2.5〜97.5モル%、及び構造単位(I)及び(II)の総計に対して、少なくとも1種の式(II)‐Z‐(X‐SiR"x(OR’)3‐x)の構造単位2.5〜97.5モル%を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なったアルコキシシラン官能性の構造単位を有するポリオール及びポリイソシアネートを含有する中性溶剤をベースとする熱硬化可能な高引掻耐性の被覆剤に関する。
【0002】
WO‐A‐01/98393に、結合剤成分としてポリオール及び架橋結合剤成分として部分的にアルコキシシリル基で官能化されているポリイソシアネートを含有する2K被覆剤が記載されている。この被覆剤はプライマーとして使用され、金属性の下地、殊にアルミニウム下地との接着に最適である。OEM連続ラッカー塗布又は補修ラッカー塗布の分野では、この被覆剤上に、ベースラッカー‐クリアラッカー構成体が塗布される。WO‐01/98393による被覆剤は、引掻耐性及び耐候性に関して最適ではない。
【0003】
EP‐A‐0994117に、ポリオール成分及び有利にアスパルテートに変換されるモノアルコキシシリルアルキルアミンと部分的に反応され得るポリイソシアネート‐成分を含有する、湿潤硬化可能な組成物が記載されている。そのような組成物を含む被覆物は確かに一定の硬度を有するが、OEM適用には、耐候性に関して及び殊にその引掻耐性に関して、限定的にしか適していない。
【0004】
US‐A‐2006/0217472は、ヒドロキシ官能性アクリレート、低分子のポリオール成分、ポリイソシアネート及びアミノ官能性アルコキシシリル成分、有利にビスアルコキシシリルアミンを含有し得る被覆剤を記載している。そのような被覆剤は、ベースラッカー‐クリアラッカー構成体におけるクリアラッカーとして使用され、引掻耐性の被覆物を形成する。しかし、そのような被覆剤の貯蔵性は極めて限定的であり、かつ生じる被覆物は、殊に湿潤‐乾燥‐周期でのUV線に対して、僅かな耐候性を有する。
【0005】
WO2006/042585に、OEM‐連続ラッカー塗布に適するクリアラッカーが記載されていて、これは、主結合剤成分として、そのイソシアネート基が有利に90モル%以上ビスアルコキシシリルアミンと反応しているポリイソシアネートを含有する。そのようなクリアラッカーは、特徴的な引掻耐性を、同時に高い化学薬品耐性及び耐候性で有する。しかし、引掻耐性の高水準を保持する場合に、殊に湿潤‐乾燥周期におけるUV線での亀裂形成に対して、更なる耐候性の改善が求められる。
【0006】
EP‐A‐1273640は、ポリオール‐成分及び脂肪族及び/又は環状脂肪族ポリイソシアネートを含む架橋結合剤成分を含む2K‐被覆剤を記載していて、この際、本来存在する遊離性イソシアネート基の0.1〜95モル%は、ビスアルコキシルシリルアミンと反応している。この被覆剤はOEM連続ラッカー塗布に使用され、良好な引掻耐性を、同時に環境的影響に対するその良好な耐性と共に有する。しかし、塗布後の熱硬化の際に変換率が不十分であるので、この被覆剤は、特に強い後架橋結合化傾向を有する。このことは、特に耐候性に否定的に作用する。
【0007】
課題及び解明
本発明の課題は、高度に耐候性の網状構造を生じさせる被覆剤、殊に、OEM連続ラッカー被膜における及び自動車補修ラッカー被膜における、クリアラッカー層のための被覆剤を得ることにあって、この際、高い耐酸性を保証するために、加水分解及び天候に不安定な基団の不所望な生成は極めて広汎に抑制される。同時に、高度に引掻耐性で、かつ殊に引掻負荷後に高い光沢を保持している被覆物を生成させるべきである。更に、被覆物及びラッカー被膜、特にクリアラッカー被膜は、引張亀裂が生じることなく、層厚>40μmで製造されるべきである。このことは、技術的及び美的に特に要求の高い自動車連続ラッカー塗布(OEM)分野における、被覆物及びラッカー被膜、殊にクリアラッカー被膜の使用のための重要な前提である。
【0008】
殊に、湿潤‐乾燥周期におけるUV線での暴候に際し、特に亀裂形成に対する高い安定性を、卓越した引掻耐性と組み合わせて有するクリアラッカー被膜を得るべきである。
【0009】
更に、新規の被覆剤は、簡単できわめて良好に再現可能に製造することができ、かつラッカーを適用する間に生態学的問題を引き起こすべきではない。
【0010】
課題の解明
前記の課題状況の観点から、少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物(A)及び
少なくとも1種のイソシアネート基含有化合物(B)を含有する被覆剤が発明され、これは、被覆剤の1種以上の成分が、付加的な官能性成分として、構造単位(I)及び(II)の総計に対して、少なくとも1種の式:
‐N(X‐SiR"x(OR’)3‐x)n(X’‐SiR"y(OR’)3‐y)m
(I)
[式中、
R’=水素、アルキル又はシクロアルキルであり、この際、炭素鎖は非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基で遮断されていてよく、
X、X’=1〜20個の炭素原子を有する直鎖及び/又は分枝鎖のアルキレン又はシクロアルキレン基であり、
R"=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、この際、炭素鎖は非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基で遮断されていてよく、
n=0〜2であり、m=0〜2であり、m+n=2であり、かつx、y=0〜2である]の構造単位(I)2.5〜97.5モル%
及び
構造単位(I)及び(II)の総計に対して、少なくとも1種の式:
‐Z‐(X‐SiR"x(OR’)3‐x) (II)
[式中、
Z=‐NH‐、‐NR‐、‐O‐であり、ここで、
R=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、この際、炭素鎖は非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基で遮断されていてよく、ここで、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、
R’=水素、アルキル又はシクロアルキルであり、この際、炭素鎖は非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基で遮断されていてよく、
X=1〜20個の炭素原子を有する直鎖及び/又は分枝鎖のアルキレン又はシクロアルキレン基であり、
R"=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、この際、炭素鎖は非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基で遮断されていてよく、
x=0〜2である]の構造単位(II)2.5〜97.5モル%を有することを特徴とする。
【0011】
被覆剤の1種以上の成分が、付加的な官能性成分として、各々構造単位(I)及び(II)の総計に対して、少なくとも1種の式(I)の構造単位5〜95モル%、殊に10〜90モル%、特に有利に20〜80モル%及び極めて特に有利に30〜70モル%、及び各々構造単位(I)及び(II)の総計に対して、少なくとも1種の式(II)の構造単位5〜95モル%、殊に10〜90モル%、特に有利に20〜80モル%及び極めて特に有利に30〜70モル%を有する被覆剤が有利である。
【0012】
本発明の基礎にある課題が、本発明による被覆剤で解明され得ることは、公知技術水準に関して驚異的であり、かつ当業者には予見し得なかった。
【0013】
本発明による成分は、特に簡単でかつ極めて良好に再現可能に製造することができ、かつラッカー適用に際し、著しい毒物学的及び生態学的な問題を起こさずに提供される。
【0014】
本発明による被覆剤は、高い引掻耐性であり、かつ慣例の高度に架橋結合された引掻耐性系に相反して耐酸性である新規の被覆物及びラッカー被膜、特にクリアラッカー被膜を生成させる。更に、本発明による被覆物及びラッカー被膜、特にクリアラッカー被膜は、引張亀裂が生じることなく、層厚>40μmで製造され得る。従って、本発明による被覆物及びラッカー被膜、特にクリアラッカー被膜は、技術的及び美的に特に要求の多い自動車連続ラッカー塗布(OEM)分野で使用され得る。この際、これは特に高い洗浄ライン耐性及び引掻耐性を特徴とする。殊に、被覆物の高い引掻耐性は、被覆物の硬化直後に得られ、従って被覆物は最終硬化に続いて直ちに問題なく処理され得る。更に、CAM 180‐試験(DIN EN ISO 11341 Feb 98及びDIN EN ISO 4892-2 Nov 00による)において、UV線及び湿潤‐乾燥交代での亀裂形成に対する本発明による被覆物の安定性は、高い引掻耐性と組み合わされて特徴的である。
【0015】
発明の説明
ヒドロキシル基含有化合物(A)
ヒドロキシル基含有化合物(A)として、有利に、低分子ポリオールもオリゴ‐及び/又はポリマーのポリオールも使用される。
【0016】
低分子ポリオールとして、例えば、ジオール、例えば、有利にエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2‐プロパンジオール、2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,3‐ブタンジオール、1,5‐ペンタンジオール、2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、1,4‐シクロヘキサンジメタノール及び1,2‐シクロヘキサンジメタノール、及びポリオール、例えば、有利にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールヘキサン、1,2,4‐ブタントリオール、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールが使用される。
そのような低分子ポリオールは、有利に、オリゴ‐及び/又はポリマーのポリオール成分(A)の下位割合で混合される。
【0017】
有利なオリゴ‐及び/又はポリマーのポリオール(A)は、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)により測定した質量平均分子量Mw>500ダルトン、有利に800〜100000ダルトン、殊に1000〜50000ダルトンを有する。ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリシロキサンポリオール及び殊にポリアクリレートポリオール及び/又はポリメタクリレートポリオール及び次からポリアクリレートポリオールと称されるその混合重合体が特に有利である。ポリオールは、有利に、KOH30〜400mg/g、殊にKOH100〜300/gのOH価を有する。DSC(示差熱分析(Differential Thermoanalyse))により測定されるポリオールのガラス転移温度は、有利に−150〜100℃、特に有利に−120℃〜80℃である。好適なポリエステルポリオールは、例えば、EP‐A‐0994117及びEP‐A‐1273640に記載されている。ポリウレタンポリオールは、有利にポリエステルポリオール‐プレポリマーと好適なジイソシアネート又はポリイソシアネートとの反応によって製造され、例えば、EP‐A‐1273640に記載されている。好適なポリシロキサンポリオールは、例えば、WO‐A‐01/09260に記載されていて、この際、そこに挙げられたポリシロキサンポリオールは、有利に他のポリオール、殊により高いガラス転移温度を有するポリオールと組み合わせて使用され得る。
【0018】
本発明により極めて特に有利なポリアクリレートポリオールは、通例、共重合体であり、ポリスチロール標準に対するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により各々測定される、有利に質量平均分子量Mw1000〜20000ダルトン、殊に1500〜10000ダルトンを有する。共重合体のガラス転移温度は、通例−100〜100℃、殊に−50〜80℃(DSC‐測定により測定される)である。ポリアクリレートポリオールは、有利にKOH60〜250mg/g、殊にKOH70〜200/gのOH価及びKOH0〜30mg/gの酸価を有する。
【0019】
ヒドロキシル価(OH価)は、何mgの水酸化カリウムが、アセチル化の際に物質1gによって結合される酢酸量に等しいかを示す。試料を無水酢酸‐ピリジンでの測定の際に煮沸し、生じる酸を水酸化カリウム溶液で滴定する(DIN 53240-2)。この際、酸価は、成分(b)の各化合物1gの中和に消費される水酸化カリウムmg数を示す(DIN EN ISO 2114)。
【0020】
ヒドロキシル基含有のモノマー構成要素として、有利にヒドロキシアルキルアクリレート及び/又はヒドロキシアルキルメタクリレート、例えば、殊に2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルメタクリレート、3‐ヒドロキシプロピルアクリレート、3‐ヒドロキシプロピルメタクリレート、3‐ヒドロキシブチルアクリレート、3‐ヒドロキシブチルメタクリレート及び殊に4‐ヒドロキシブチルアクリレート及び/又は4‐ヒドロキシブチルメタクリレートが使用される。
【0021】
ポリアクリレートポリオールのための更なるモノマー構成要素として、有利にアルキルメタクリレート及び/又はアルキルメタクリレート、例えば、有利にエチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t‐ブチルアクリレート、t‐ブチルメタクリレート、アミルアクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、3,3,5‐トリメチルヘキシルアクリレート、3,3,5‐トリメチルヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート又はラウリルメタクリレート、シクロアルキルアクリレート及び/又はシクロアルキルメタクリレート、例えば、シクロペンチルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート又は殊にシクロヘキシルアクリレート及び/又はシクロヘキシルメタクリレートが使用される。
【0022】
ポリアクリレートポリオールのための更なるモノマー構成要素として、ビニル芳香族炭化水素、例えば、ビニルトルオール、アルファ‐メチルスチロール又は殊にスチロール、アクリル‐又はメタクリル酸のアミド又はニトリル、ビニルエステル又はビニルエーテル、及び殊にアクリル‐及び/又はメタクリル酸を下位量で使用することができる。
【0023】
本発明のもう1つの実施態様で、ヒドロキシル基含有化合物(A)は、ヒドロキシル基のほかに、式(I)及び/又は式(II)の構造単位を有する。
【0024】
式(I)の構造単位は、化合物(A)に、そのような構造単位を有するモノマー単位を組み込ませることによって、又は他の官能基を有するポリオールと、式(Ia):
HN(X‐SiR"x(OR’)3‐x)n(X’‐SiR"y(OR’)3‐y)m
(Ia)
[式中、置換基は前記の意味を有する]の化合物との反応によって導入され得る。これは、ポリオールと化合物(Ia)との反応のために、化合物(Ia)の二級アミノ基と反応する、他の官能基、例えば、殊に酸‐又はエポキシ基を相応に有する。本発明により有利な化合物(Ia)は、ビス(2‐エチルトリメトキシシリル)アミン、ビス(3‐プロピルトリメトキシシリル)アミン、ビス(4‐ブチルトリメトキシシリル)アミン、ビス(2‐エチルトリエトキシシリル)アミン、ビス(3‐プロピルトリエトキシシリル)アミン及び/又はビス(4‐ブチルトリエトキシシリル)アミンである。ビス(3‐プロピルトリメトキシシリル)アミンが極めて特に有利である。そのようなアミノシランは、例えば、デグッサ社(Fa. DEGUSSA)の商標ダイナシラン(DYNASILAN)(登録商標)又はオシ社(Fa. OSI)のシルクエスト(Silquest)(登録商標)で得られる。
【0025】
構造要素(I)を有するモノマー構成要素は、有利にアクリル酸及び/又はメタクリル酸又はエポキシ基含有のアルキルアクリレート及び/又は‐メタクリレートと前記化合物(Ia)との反応生成物である。
【0026】
式(II)の構造単位は、化合物(A)に、そのような構造単位を有するモノマー単位を組み込ませることによって又は他の官能基を有するポリオールと式(IIa):
H‐Z‐(X‐SiR"x(OR’)3‐x) (IIa)
[式中、置換基は前記の意味を有する]の化合物との反応によって導入され得る。これは、ポリオールと化合物(Ia)との反応のために、化合物(IIa)の官能基‐ZHと反応する、他の官能基、例えば、殊に酸基、エポキシ基又はエステル基を相応に有する。本発明により有利な化合物(IIa)は、オメガ‐アミノアルキル‐又はオメガ‐ヒドロキシアルキルトリアルコキシシラン、例えば、有利に2‐アミノエチルトリメトキシシラン、2‐アミノエチルトリエトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、4‐アミノブチルトリメトキシシラン、4‐アミノブチルトリエトキシシラン、2‐ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2‐ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、3‐ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、4‐ヒドロキシブチルトリメトキシシラン、4‐ヒドロキシブチルトリエトキシシランである。特に有利な化合物(IIa)は、N‐(2‐(トリメトキシシリル)エチル)アルキルアミン、N‐(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)アルキルアミン、N‐(4‐(トリメトキシシリル)ブチル)アルキルアミン、N‐(2‐(トリエトキシシリル)エチル)アルキルアミン、N‐(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)アルキルアミン及び/又はN‐(4‐(トリエトキシシリル)ブチル)アルキルアミンである。N‐(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)ブチルアミンが極めて特に有利である。そのようなアミノシランは、例えば、デグッサ社の商標ダイナシラン(登録商標)又はオシ社のシルクエスト(登録商標)で得られる。
【0027】
構造要素(II)を有するモノマー構成要素は、有利にアクリル酸及び/又はメタクリル酸又はエポキシ基含有のアルキルアクリレート及び/又は‐メタクリレートと、殊に前記のヒドロキシ官能性及び/又はアミノ官能性アルコキシシリル化合物(IIa)との反応生成物であり、かつヒドロキシ官能性アルコキシシリル化合物の場合には、アルキルアクリレート及び/又は‐メタクリレートのエステル交換生成物である。
【0028】
イソシアネート基含有化合物(B)
本発明により有利に使用されるイソシアネート基含有化合物(B)の基体として用いられるジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートは、有利に自体公知の置換された又は非置換の芳香族、脂肪族、環状脂肪族及び/又は複素環系のポリイソシアネートである。有利なポリイソシアネートの例は次のものである:2,4‐トルオールジイソシアネート、2,6‐トルオールジイソシアネート、ジフェニルメタン‐4,4’‐ジイソシアネート、ジフェニルメタン‐2,4’‐ジイソシアネート、p‐フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3’‐ジメチル‐4,4’‐ジフェニレンジイソシアネート、テトラメチレン‐1,4‐ジイソシアネート、ヘキサメチレン‐1,6‐ジイソシアネート、2,2,4‐トリメチルヘキサン‐1,6‐ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1,12‐ドデカンジイソシアネート、シクロブタン‐1,3‐ジイソシアネート、シクロヘキサン‐1,3‐ジイソシアネート、シクロヘキサン‐1,4‐ジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサヒドロトルオール‐2,4‐ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルオール‐2,6‐ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン‐1,3‐ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン‐1,4‐ジイソシアネート、ペルヒドロジフェニルメタン‐2,4’‐ジイソシアネート、4,4’‐メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(例えば、バイエル社(Fa. Bayer AG)のデスモデュール(Desmodur)(登録商標)W)、テトラメチルキシリルジイソシアネート(例えば、アメリカンシアナミド社(Fa. American Cyanamid)のTMXDI(登録商標))及び前記のポリイソシアネートの混合物。更に有利なポリイソシアネートは、前記のジイソシアネートのビゥレット‐ダイマー及びイソシアヌレート‐トライマーである。
【0029】
本発明のもう1つの実施態様で、ポリイソシアネートは、ポリオールと、化学量論的過剰量の前記のポリイソシアネートとの反応によって得られる、ウレタン‐構造単位を有するポリイソシアネート‐プレポリマーである。そのようなポリイソシアネート‐プレポリマーは、例えば、US‐A‐4598131に記載されている。
【0030】
本発明により極めて特に有利な、構造単位(I)及び(II)で官能化されたイソシアネート基含有化合物(B)は、有利に、前記のジ‐及び/又はポリイソシアネートと、前記の化合物(Ia)及び(IIa)との反応により、ポリイソシアネート基体中のイソシアネート基2.5〜90モル%、有利に5〜85モル%、特に有利に7.5〜80モル%を、少なくとも1種の化合物(Ia)と反応させ、かつポリイソシアネート基体中のイソシアネート基2.5〜90モル%、有利に5〜85モル%、特に有利に7.5〜80モル%を少なくとも1種の化合物(IIa)と反応させることによって製造される。
【0031】
ポリイソシアネート化合物(B)中の、化合物(Ia)及び(IIa)と反応されるイソシアネート基の全割合は、ポリイソシアネート基体中のイソシアネート基の5〜95モル%、有利に10〜90モル%、特に有利に15〜85モル%である。
【0032】
特に有利な化合物(Ia)は、ビス(2‐エチルトリメトキシシリル)アミン、ビス(3‐プロピルトリメトキシシリル)アミン、ビス(4‐ブチルトリメトキシシリル)アミン、ビス(2‐エチルトリエトキシシリル)アミン、ビス(3‐プロピルトリエトキシシリル)アミン及び/又はビス(4‐ブチルトリエトキシシリル)アミンである。ビス(3‐プロピルトリメトキシシリル)アミンが極めて特に有利である。そのようなアミノシランは、例えば、デグッサ社の商標ダイナシラン(登録商標)又はオシ社のシルクエスト(登録商標)で得られる。
【0033】
有利な化合物(IIa)は、2‐アミノエチルトリメトキシシラン、2‐アミノエチルトリエトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、4‐アミノブチルトリメトキシシラン、4‐アミノブチルトリエトキシシラン、2‐ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2‐ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、3‐ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、4‐ヒドロキシブチルトリメトキシシラン、4‐ヒドロキシブチルトリエトキシシランである。
【0034】
特に有利な化合物(IIa)は、N‐(2‐(トリメトキシシリル)エチル)アルキルアミン、N‐(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)アルキルアミン、N‐(4‐(トリメトキシシリル)ブチル)アルキルアミン、N‐(2‐(トリエトキシシリル)エチル)アルキルアミン、N‐(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)アルキルアミン及び/又はN‐(4‐(トリエトキシシリル)ブチル)アルキルアミンである。N‐(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)ブチルアミンが極めて特に有利である。そのようなアミノシランは、例えば、デグッサ社の商標ダイナシラン(登録商標)又はオシ社のシルクエスト(登録商標)で得られる。
【0035】
極めて特に有利なイソシアネート基含有化合物(B)は、ヘキサメチレン‐1,6‐ジイソシアネート及び/又はイソホロンジイソシアネート、及び/又はそのイソシアヌレート‐トライマーと、ビス(3‐プロピルトリメトキシシリル)アミン及びN‐(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)ブチルアミンとの反応生成物である。
イソシアネート基含有化合物(B)と化合物(Ia)及び(IIa)との反応は、有利に不活性ガス雰囲気中で最高100℃、有利に最高60℃の温度で行われる。
【0036】
イソシアネート基含有化合物Bの遊離イソシアネート基は、遮断された形で使用されてもよい。これは、本発明による被覆剤が単一成分系として使用される場合に有利である。遮断のために、原則的に、ポリイソシアネートの遮断に使用される十分に低い脱遮断温度を有する各遮断剤が使用され得る。この種類の遮断剤は当業者に周知されている。例えば、EP‐A‐0626888及びEP‐A‐0692007に記載されている遮断剤が有利に使用される。
【0037】
被覆剤の成分A及びB及び他の成分の組合せ
イソシアネート基含有化合物Bの質量割合に対する、使用すべきヒドロキシル基含有化合物Aの質量割合は、ポリオールのヒドロキシ当量及びポリイソシアネートBの遊離イソシアネート基の当量に依存する。
【0038】
本発明による被覆剤において、構造単位I及びIIの合計に対して、構造単位I 2.5〜97.5モル%、及び構造単位(I)及び(II)の合計に対して、構造単位II 2.5〜97.5モル%が存在していることが本発明の本質である。
【0039】
本発明による被覆剤は、被覆剤中の非揮発性物質の含量に対して、有利にヒドロキシル基含有化合物(A)2.5〜97.5質量%、特に有利に5〜95質量%、極めて特に有利に10〜90質量%、殊に20〜80質量%、及び被覆剤中の非揮発性物質の含量に対して、有利にイソシアネート基含有化合物(B)2.5〜97.5質量%、特に有利に5〜95質量%、極めて特に有利に10〜90質量%、殊に20〜80質量%を含有する。
【0040】
ヒドロキシル‐及びイソシアネート基の割合及び構造要素(I)及び(II)の割合から生じる、本発明による被覆剤における架橋結合にとって決定的な官能基の合計に対して、構造要素(I)及び(II)は、有利に2.5〜97.5モル%、特に有利に5〜95モル%及び極めて特に有利に10〜90モル%の割合で存在する。
【0041】
本発明による被覆物の、熱的最終硬化直後の高い引掻耐性と組み合わせた、CAM180‐試験(DIN EN ISO 11341 Feb 98及びDIN EN ISO 4892-2 Nov 00)でのUV線及び湿潤‐乾燥交代での亀裂形成に対する更に改善された安定性、高い光沢及び暴候後の高い光沢持続を保証するために、本発明による被覆剤が、各々被覆剤の固体含量に対して、構造単位(I)及び/又は(II)及び/又は(III)のSi6.5質量%よりも少なく、極めて特に最高に構造単位(I)及び/又は(II)及び/又は(III)のSi6.0質量%を含有するように、構造単位(I)及び/又は(II)及び/又は(III)の含量を最高に高く選択することが更に有利である。この際、シラン含量(質量%で)は、構造単位(I)を有する化合物又は化合物(IIa)又は(IIIa)の使用量から計算して調べられる。
【0042】
本発明のもう1つの実施態様で、構造要素(I)及び/又は(II)は、付加的に、成分(A)及び(B)とは異なる、1種以上の更なる成分(C)の成分であってもよく、この際、前記の基準が適用される。例えば、成分(C)として、アルコキシシリル基を有する低重合体又は重合体、例えば、特許(出願)US‐A‐4499150、US‐A‐4499151又はEP‐A‐0571073に挙げられたポリ(メタ)アクリレートを、構造要素(II)の担体として、又はWO‐A‐2006/042585に挙げられた化合物を、構造要素(I)の担体として使用することができる。通例、そのような成分(C)は、被覆剤の非揮発性成分に対して、40質量%まで、有利に30質量%まで、特に有利に25質量%までの割合で使用される。
【0043】
ポリオールA及びポリイソシアネートBの質量割合は、有利に、イソシアネート含有化合物(B)の未反応イソシアネート基対ヒドロキシル基含有化合物(A)のヒドロキシル基のモル当量比が、0.9:1〜1:1.1、有利に0.95:1〜1.05:1、特に有利に0.98:1〜1.02:1であるように選択される。
【0044】
単一成分の被覆剤が重要である場合には、その遊離イソシアネート基が前記の遮断剤で遮断されているイソシアネート基含有化合物(B)が選択される。
【0045】
本発明により有利な2‐成分(2K)被覆剤の場合には、被覆剤の塗布直前に、ヒドロキシル基含有化合物(A)及び更なる後記成分を含有するラッカー成分を、イソシアネート基含有化合物(B)及び場合により更なる後記の成分を含有するラッカー成分と自体公知の方法で混合させ、この際、通例、化合物(A)を含有するラッカー成分が触媒及び溶剤の一部を含有する。
【0046】
アルコキシシリル‐単位の架橋結合のための、及び化合物(A)のヒドロキシル基と化合物(B)の遊離イソシアネート基との間の反応のための触媒として、自体公知の化合物を使用することができる。例は、リュイス‐酸(電子欠乏化合物)、例えば、錫ナフテネート、錫ベンゾエート、錫オクトエート、錫ブチレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オキシド、鉛オクトエート、及び例えば、WO‐A‐2006/042585に記載されている触媒である。アルコキシシリル‐単位の架橋結合のための触媒として、燐酸又はスルホン酸のアミン付加体が有利に使用される(例えば、キングインダストリーズ社(Fa. King Industries)のナキュア‐型(Nacure-Typen))。
【0047】
触媒として、特に有利に燐含有の、殊に燐‐及び窒素‐含有の触媒が使用される。この際、2種以上の異なった触媒を含む混合物を使用することもできる。
【0048】
好適な燐含有触媒の例は、有利に、非環状のホスホン酸ジエステル、環状のホスホン酸ジエステル、非環状のジホスホン酸ジエステル及び環状のジホスホン酸ジエステルを含む群からの置換されたホスホン酸ジエステル及びジホスホン酸ジエステルである。この種類の触媒は、例えば、ドイツ国特許出願DE‐A‐102005045228に記載されている。
【0049】
しかし、極めて特に有利に、非環状の燐酸ジエステル及び環状の燐酸ジエステルを含む群からの、置換された燐酸モノエステル及び燐酸ジエステル、特に有利に燐酸‐モノ‐及び‐ジ‐エステルのアミン付加体が使用される。殊に、相応するアミン遮断化の燐酸エステル、及びこの際、有利にアミン遮断化の燐酸エチルヘキシルエステル及びアミン遮断化の燐酸フェニルエステル、極めて特に有利にアミン‐遮断化の燐酸‐ビス(2‐エチルヘキシル)エステルが使用される。
【0050】
触媒は、本発明による被覆剤の非揮発性成分に対して、有利に0.01〜20質量%の割合で、特に有利に0.1〜10質量%の割合で使用される。この際、触媒のより少ない有効性が、相応するより高い使用量によって部分的に補正され得る。
【0051】
本発明による被覆剤用の溶剤として、殊に、被覆剤中で化合物(A)及び(B)に対して化学的に不活性であり、かつ被覆剤の硬化の際も(A)及び(B)と反応しない溶剤が好適である。そのような溶剤の例は、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素、例えば、トルオール、キシロール、ソルベントナフサ、ソルベッソ(Solvesso)100又はヒドロソル(Hydrosol)(登録商標)(Fa. ARAL)、ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はメチルアミルケトン、エステル、例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート、ペンチルアセテート又はエチルエトキシプロピオネート、エーテル又は前記の溶剤を含む混合物である。中性溶剤又は溶剤混合物は、溶剤に対して、有利に最高1質量%、特に有利に最高0.5質量%の水含量を有する。
【0052】
化合物(A)、(B)及び(C)の他に、有利に化合物(A)のヒドロキシル基及び/又は化合物(B)の遊離イソシアネート基及び/又は化合物(A)、(B)及び/又は(C)のアルコキシシリル基と反応し、かつ網状構造点を形成し得る、更なる結合剤(D)を更に使用することができる。
【0053】
成分(D)として、例えば、アミノプラスト樹脂及び/又はエポキシ樹脂が使用可能である。そのメチロール基及び/又はメトキシメチル基が部分的にカルバメート基又はアロファネート基によって脱官能化されていてよい慣例的な公知のアミノプラスト樹脂が考慮される。この種類の架橋結合剤は、特許明細書US‐A‐4710542及びEP‐B‐0245700に、及びB. Singh共同研究者による論文"Carbamylmethylated Melamines, Novel Crosslinkers for the Coatings Industry"、Advanced Organic Coatings Science and Technology Series, 1991, 13巻, 193〜207頁に記載されている。
【0054】
そのような成分(D)は、被覆剤の非揮発性成分に対して、通例40質量%まで、有利に30質量%まで、特に有利に25質量%までの割合で使用される。
【0055】
更に、本発明による被覆剤は、少なくとも1種の慣例的な公知のラッカー添加剤を有効量で、即ち、被覆剤の非揮発性成分に対して、有利に30質量%まで、特に有利に25質量%まで及び殊に20質量%までの量で含有することができる。
【0056】
好適なラッカー添加剤の例は、次のものである:
殊にUV‐吸収剤;殊に遮光剤、例えば、HALS‐化合物、ベンズトリアゾール又はオキサルアニリド;ラジカル受容体;滑剤;重合抑制剤;消泡剤;反応性希釈剤、例えば、‐Si(OR)3‐基に対して有利に不活性である、公知技術水準から一般に公知であるもの;湿潤剤、例えば、シロキサン、弗素含有化合物、カルボン酸半エステル、燐酸エステル、ポリアクリル酸及びそのコポリマー又はポリウレタン;粘着助剤、例えば、トリシクロデカンジメタノール;流展剤;被膜形成助剤、例えば、セルロース‐誘導体;充填剤、例えば、二酸化珪素、酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムをベースとするナノ粒子;補足的に、更にレンプレキシコン(Roempp Lexikon)》ラッカー及び印刷インク(Lacke und Druckfarben)《Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 1998, 250〜252頁に示されている;流動学的調整剤、例えば、特許明細書WO94/22968、EP‐A‐0276501、EP‐A‐0249201又はWO97/12945から公知である添加剤;架橋結合ポリマーミクロ粒子、例えば、EP‐A‐0008127に公開されているもの;無機層状シリケート、例えば、モンモリロナイト‐型のアルミニウム‐マグネシウム‐シリケート、ナトリウム‐マグネシウム‐及びナトリウム‐マグネシウム‐弗素‐リチウム‐層状シリケート;珪酸、例えば、エーロジル;又はイオン性及び/又は会合作用性の基を有する合成ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルピロリドン、スチロール‐無水マレイン酸‐又はエチレン‐無水マレイン酸‐コポリマー及びその誘導体又は疎水性に変性されたエトキシル化ウレタン又はポリアクリレート;及び/又は防炎剤。
【0057】
本発明のもう1つの実施態様で、本発明による被覆剤は、なお更なる顔料及び/又は充填剤を含有し、着色トップコートの製造に用いられ得る。それに使用される顔料及び/又は充填剤は当業者に公知である。
【0058】
本発明による被覆剤から製造される本発明による被覆物は、既に硬化された電気浸漬ラッカー被膜、充填剤ラッカー被膜、ベースラッカー被膜又は慣例的な公知のクリアラッカー被膜上に卓越的に接着するので、自動車連続(OEM)ラッカー塗布での使用のほかに、既にラッカー塗布された自動車体の自動補修ラッカー塗布又は又はモジュール式の引掻耐性仕上げに傑出して好適である。
【0059】
本発明による被覆剤の塗布は、全ての慣例的な塗布法で、例えば、射出、ドクターナイフ塗布、はけ塗り、注ぎ込み、浸漬、含浸、滴下又はローラー掛けによって行われ得る。この際、被覆すべき支持体は、そのものとして静置していてよく、この際、塗布機器又は‐装置を動かす。しかし被覆すべき支持体、殊にコイルを動かすこともでき、この際、塗布装置を支持体に相対的に静置させるか、又は好適な方法で動かす。
【0060】
射出塗布法、例えば、圧縮空気射出、エアレス‐射出、高速回転、静電噴霧塗布(ESTA)を、場合により熱射出塗布、例えば、ホット‐エア‐熱射出と接続させて有利に使用する。
【0061】
塗布された本発明による被覆剤の硬化は、一定の静置時間後に行われ得る。静置時間は、例えば、ラッカー層の流展のため及び脱ガスのため又は揮発成分、例えば、溶剤の蒸発のために用いられる。この際、ラッカー層の損傷又は変化、例えば、早期の完全な架橋結合化が生じない限り、高められた温度の適用によって及び/又は空気湿度の減少によって、静置時間を補助し及び/又は短縮することができる。
【0062】
被覆剤の熱硬化は、方法的な特殊性を有しないが、慣例的な公知方法、例えば、循環空気炉中での加熱又はIR‐ランプでの照射によって行われる。この際、熱硬化は段階的に行うこともできる。もう1つの有利な硬化法は、近赤外線(NIR‐線)での硬化である。
【0063】
熱硬化は、有利に30〜200℃、特に有利に40〜190℃及び殊に50〜180℃の温度で、1分間〜10時間、特に有利に2分間〜5時間及び殊に3分間〜3時間の時間で行われ、この際、有利に30〜90℃である自動車補修ラッカー塗布に適用される温度では、より長い硬化時間も適用され得る。
【0064】
本発明による被覆剤から、高い引掻耐性及び殊に化学薬品耐性及び耐候性である、新規の硬化被覆物、殊にラッカー被膜、特にクリアラッカー被膜、成形部材、特に光学的成形部材、及び自立シートが得られる。殊に、本発明による被覆物及びラッカー被膜、特にクリアラッカー被膜は、引張亀裂が生じることなく、層厚>40μmでも製造される。
【0065】
従って、本発明による被覆剤は、移動手段(殊に、自動車両、例えば、オートバイ、バス、LKW又はPKW)の車体又はその部材の;内部‐及び外部範囲での建築物の;家具、窓及び扉の;プラスチック成形部材、殊にCDs及び窓の;工業的小部材、コイル、容器及び包装部材の;白い品物の;シートの;光学的、電気技術的及び機械的構造部材の及びガラス中空体及び日常必定品の装飾的、保護的及び/又は効果的な高引掻耐性の被覆物及びラッカー被膜として卓越的に好適である。
【0066】
本発明による被覆剤及びラッカー被膜、殊にクリアラッカー被膜は、殊に、工業技術的及び美学的に特に要求の多い、自動車連続ラッカー塗布(OEM)及び自動車補修ラッカー塗布の範囲で使用される。本発明による被覆剤は、特に有利に、多段階の被覆法で、殊に場合により予備被覆された支持体上に先ず着色ベースラッカー層を、かつ次いで本発明による被覆剤を有する層を塗布する方法で使用される。
【0067】
水で希釈可能なベースラッカーも有機溶剤をベースとするベースラッカーも使用することができる。好適なベースラッカーは、例えば、EP‐A‐0692007及びそこで3欄、50行以降に挙げられた文書に記載されている。塗布されたベースラッカーを、先ず乾燥させ、即ち、ベースラッカー被膜から、蒸発相で、有機溶剤又は水の少なくとも一部を除去させることが有利である。乾燥は、有利に室温〜80℃の温度で行われる。乾燥後に、本発明による被覆剤を塗布する。引き続き、二層ラッカー被膜を、有利に自動車連続ラッカー被膜に適用される条件下に、30〜200℃、特に有利に40〜190℃及び殊に50〜180℃の温度で、1分間〜10時間、特に有利に2分間〜5時間及び殊に3分間〜3時間の間で焼付け、この際、自動車補修ラッカー被膜に適用される、有利に30〜90℃である温度では、より長い硬化時間を適用することもできる。
【0068】
本発明による被覆剤で生じた層は、特に、特に高い化学薬品耐性及び耐候性及び極めて良好な洗浄ライン耐性及び引掻耐性、殊に、引掻耐性及び湿潤‐乾燥周期でのUV線に対する耐候性の卓越した組み合わせを特徴とする。
【0069】
本発明のもう1つの有利な実施態様で、本発明による被覆剤は、プラスチック支持体、殊に透明なプラスチック支持体の被覆のための透明なクリアラッカーとして使用される。この場合には、被覆剤は、プラスチック支持体の有効なUV‐保護にも、量及び種類で説明されているUV‐吸収剤を含有する。ここでも、被覆剤は、引掻耐性及び湿潤‐乾燥周期でのUV線に対する耐候性の卓越した組み合わせを特徴とする。このようにして被覆されたプラスチック支持体は、有利に自動車製造において、ガラス成分の代用に使用され、この際、プラスチック支持体は、有利にポリメチルメタクリレート又はポリカルボネートを含む。
【0070】

本発明による成分Bの製造
製造例VB1 部分シラン化ポリイソシアネートの製造(IIa100モル%を有するHDI:変換度c=30モル%)(比較例)
還流冷却器及び温度計を備えた三頸ガラスフラスコ中に、トライマー化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(バスフ社(Fa. BASF AG)のバソネート(Basonat)HI 100)57.3質量部及びソルベントナフサ88.0質量部を前もって装入させる。還流冷却、窒素被覆及び攪拌下に、N‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]‐ブチルアミン(IIa)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1189)21.8質量部を、50〜60℃を越さないように添加する。供給の終了後に、滴定により調べられるイソシアネート‐質量割合が、理論的に計算される70モル%となるまで、反応温度を50〜60℃で保持する。
【0071】
部分シラン化ポリイソシアネートの溶液は、固体含量47.1質量%を有する。
【0072】
製造例B1 部分シラン化ポリイソシアネートの製造(IIa70モル%及びIa30モル%を有するHDI:変換度c=30モル%)
還流冷却器及び温度計を備えた三頸ガラスフラスコ中に、トライマー化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(バスフ社のバソネートHI 100)57.3質量部及びソルベントナフサ69.7質量部を前もって装入させる。還流冷却、窒素被覆及び攪拌下に、N‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]‐ブチルアミン(IIa)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1189)14.8質量部及びビス‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]‐アミン(Ia)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1124)9.2質量部を含む混合物を、50〜60℃を越さないように添加する。供給の終了後に、滴定により調べられるイソシアネート‐質量割合が、理論的に計算される70モル%となるまで、反応温度を50〜60℃で保持する。
【0073】
部分シラン化ポリイソシアネートの溶液は、固体含量53.9質量%を有する。
【0074】
製造例B2 部分シラン化ポリイソシアネートの製造(IIa30モル%及びIa70モル%を有するHDI:変換度c=30モル%)
還流冷却器及び温度計を備えた三頸ガラスフラスコ中に、トライマー化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(バスフ社のバソネートHI 100)57.3質量部及びソルベントナフサ69.7質量部を前もって装入させる。還流冷却、窒素被覆及び攪拌下に、N‐[3‐(トリメトキシシラン)プロピル]‐ブチルアミン(IIa)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1189)6.4質量部及びビス‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]‐アミン(Ia)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1124)21.5質量部を含む混合物を、50〜60℃を越さないように添加する。供給の終了後に、滴定により調べられるイソシアネート‐質量割合が、理論的に計算される70モル%となるまで、反応温度を50〜60℃で保持する。
【0075】
部分シラン化ポリイソシアネートの溶液は、固体含量55.0質量%を有する。
【0076】
製造例VB2 部分シラン化ポリイソシアネートの製造(Ia100モル%を有するHDI:変換度c=30モル%)(比較例)
還流冷却器及び温度計を備えた三頸ガラスフラスコ中に、トライマー化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(バスフ社のバソネートHI 100)57.3質量部及びソルベントナフサ88.0質量部を前もって装入させる。還流冷却、窒素被覆及び攪拌下に、ビス‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]‐アミン(Ia)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1124)30.7質量部を、50〜60℃を越さないように添加する。供給の終了後に、滴定により調べられるイソシアネート‐質量割合が、理論的に計算される70モル%となるまで、反応温度を50〜60℃で保持する。
【0077】
部分シラン化ポリイソシアネートの溶液は、固体含量63.0質量%を有する。
【0078】
製造例VB3 部分シラン化ポリイソシアネートの製造(IIa100モル%を有するHDI:変換度c=70モル%)(比較例)
還流冷却器及び温度計を備えた三頸ガラスフラスコ中でに、トライマー化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(バスフ社のバソネートHI 100)57.3質量部及びソルベントナフサ88.0質量部を前もって装入させる。還流冷却、窒素被覆及び攪拌下に、N‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]‐ブチルアミン(IIa)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1189)49.4質量部を、50〜60℃を越さないように添加する。供給の終了後に、滴定により調べられるイソシアネート‐質量割合が、理論的に計算される30モル%となるまで、反応温度を50〜60℃で保持する。
【0079】
部分シラン化ポリイソシアネートの溶液は、固体含量54.8質量%を有する。
【0080】
製造例B3 部分シラン化ポリイソシアネートの製造(IIa70モル%及びIa30モル%を有するHDI:変換度c=70モル%)
還流冷却器及び温度計を備えた三頸ガラスフラスコ中に、トライマー化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(バスフ社のバソネートHI 100)57.3質量部及びソルベントナフサ69.7質量部を前もって装入させる。還流冷却、窒素被覆及び攪拌下に、N‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]‐ブチルアミン(IIa)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1189)34.6質量部及びビス‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]‐アミン(Ia)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1124)21.5質量部を含む混合物を、50〜60℃を越さないように添加する。供給の終了後に、滴定により調べられるイソシアネート‐質量割合が、理論的に計算される30モル%となるまで、反応温度を50〜60℃で保持する。
【0081】
部分シラン化ポリイソシアネートの溶液は、固体含量61.9質量%を有する。
【0082】
製造例B4 部分シラン化ポリイソシアネートの製造(IIa30モル%及びIa70モル%を有するHDI:変換度c=70モル%)
還流冷却器及び温度計を備えた三頸ガラスフラスコ中に、トライマー化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(バスフ社のバソネートHI 100)57.3質量部及びソルベントナフサ88.0質量部を前もって装入させる。還流冷却、窒素被覆及び攪拌下に、N‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]‐ブチルアミン(IIa)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1189)14.8質量部及びビス‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]‐アミン(Ia)(デグッサ社のダイナシラン(登録商標)1124)50.2質量部を含む混合物を、50〜60℃を越さないように添加する。供給の終了後に、滴定により調べられるイソシアネート‐質量割合が、理論的に計算される70モル%となるまで、反応温度を50〜60℃で保持する。
【0083】
部分シラン化ポリイソシアネートの溶液は、固体含量58.2質量%を有する。
【0084】
ポリアクリレートポリオールAの製造
モノマー供給口、重合開始剤供給口、温度計、油加熱器及び還流冷却器を備えた鋼釜中で、商慣習の芳香族溶剤混合物(ディーエイチシーソルベントヒェミー社(Fa. DHC Solvent Chemie GmbH)のソルベントナフサ(Solventnaphtha)(登録商標))29.08質量部を140℃に加熱する。次いで、ソルベントナフサ3.39質量部及びt‐ブチルペルオキシ‐2‐エチルヘキサノエート2.24質量部を含む混合物a1を、混合物a1の添加が6.75時間後に終了するような速度で攪拌下に添加する。混合物a1の添加開始15分間後に、スチロール4.97質量部、t‐ブチルアクリレート16.91質量部、2‐ヒドロキシプロピルメタクリレート19.89質量部、n‐ブチルメタクリレート7.45質量部及びアクリル酸0.58質量部を含む混合物a2を、混合物a2の添加が6時間後に終了するような速度で添加する。混合物a1の添加後に、反応混合物を更に2時間140℃に保ち、引き続いて100℃下に冷却させる。引き続き、反応混合物を、更に1‐メトキシプロピルアセテート‐2 3.70質量部、ブチルグリコールアセテート3.06質量部及びブチルアセテート6.36質量部を含む混合物a3で更に98/100に希釈する。
【0085】
得られるポリアクリレートポリオールAの溶液は、固体含量52.4%(1時間、130℃、循環空気炉)、粘度3.6dPas(ICI‐プレート‐コーン‐粘度計(ICI-Platte-Kegel-Viskosimeter)、23℃)ヒドロキシル価KOH155mg/g及び酸価KOH10〜13mg/gを有する。
【0086】
本発明による被覆剤及び比較例の組成
本発明による被覆剤及び比較試料は、次のように組成された:
成分A(ポリオール)及び商慣習の添加剤及び触媒及び溶剤を含む成分1を、塗布直前に、成分B(変性化ポリイソシアネート)を含む成分2と合一させ、均一な混合物が生じるまで攪拌する。
【0087】
塗布は、空気圧2.5バールで3回の射出行程で行われる。その後に、被膜を室温で5分間暴気させ、引き続き140℃で22分間焼き付ける。
【0088】
表1に、全ての被覆剤を、成分の割合に関して示す:
【表1】

生じた被覆物の表面の引掻耐性を、クロックメーター(Crockmeter)‐試験(EN ISO 105-X12により、9umの研磨紙(3M 281Q wetordryTMproductionTM)の使用下に、10回の往復行程及び押付力9Nで、引き続いて、商慣習の光沢装置を用いて20°で残余光沢の測定下に)、及びハンマー試験(ハンマーで実施する、鋼綿(RAKSO(登録商標)00(微細)及び押付重量1kgでの10回又は100回の往復行程。引き続き、再び、商慣習の光沢装置を用いて20°で残余光沢を測定する)により、耐候性をCAM 180‐試験(DIN EN ISO 11341 Feb 98及びDIN EN ISO 4892-2 Nov 00により)によって検査した。結果を表2に挙げる。
【0089】
【表2】

【0090】
表2は、成分B1、B2、B3及びB4を有する本発明による被覆剤を、HDI‐イソシアヌレート(次から短くHDI)、及び排他的に成分Ia(比較例VB2)又はIIa(比較例VB1及びVB3)との反応から出発するイソシアヌレート付加体Bを含有する被覆剤と比較して示す。
【0091】
HDIのイソシアネート基の変換度30モル%で、VB1(構造単位IIを含有する)は、VB2(構造単位Iを含有する)に比べて、CAM 180試験における亀裂出現までの明らかにより長い時間を示す。相応して、HDIのイソシアネート基の変換度70モル%で、例VB3(構造単位IIだけを含有する)は、B4(構造単位I 70モル%を含有する)に比べて、CAM 180試験における亀裂出現までの明らかにより長い時間を示す。これに対して、引掻耐性は逆に反応する:HDIのイソシアネート基の変換度30モル%で、VB1(構造単位IIを含有する)は、VB2(構造単位Iを含有する)に比べて、様々な引掻試験において明らかにより弱い引掻耐性を示す。相応して、HDIのイソシアネート基の変換度70モル%で、例VB3(構造単位IIだけを含有する)は、B4(構造単位I 70モル%を含有する)に比べて、様々な引掻試験において、明らかにより弱い引掻耐性を示す。従って、構造Iの相対的割合は引掻耐性について、及び構造IIの割合は耐候性についての原因となるので、2種のシロキサンアミンIa又はIIaの綿密な混合が、耐候時間と引掻耐性との間の微調整を可能にする。ここで、VB1及びVB2を、B1及び(u)B2に比べて、イソシアネート官能基の変換度30モル%を有する群で例証する。VB1は、耐候性で高い値を達成するが、引掻耐性は中庸である。VB2は、良好な引掻耐性値を有するが、耐候性ではより弱い。2例のB1及びB2は、VB1に比べてより良好な引掻耐性を有し、かつVB2に比べてより良好な耐候時間を有する。
【0092】
同様のことが、イソシアネートの変換度70モル%の群で、B3及びB4に比べてVB3に当てはまるが、ここでは、引掻耐性も耐候性も、シロキサン官能基の高い相対的割合によって更により強く影響される。B3及びB4の値の比較で容易に確認されるように、イソシアネート官能基の高い変換度で、構造IIの相対的割合は、構造Iが引掻耐性に影響するよりも、著しく強く耐候性に影響することが同様に明らかになる。一般に、引掻耐性値は、イソシアネート基と化合物I及びIIとの変換率と相関し、この際、極めて高い引掻耐性の達成のために、イソシアネート基のより高い変換率も必要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物(A)及び少なくとも1種のイソシアネート基含有化合物(B)を含有する被覆剤において、被覆剤の1種以上の成分は、付加的な官能性成分として、構造単位(I)及び(II)の総計に対して、少なくとも1種の式(I):
‐N(X‐SiR"x(OR’)3‐x)n(X’‐SiR"y(OR’)3‐y)m (I)
[式中、
R’=水素、アルキル又はシクロアルキルであり、この際、炭素鎖は非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基で遮断されていてよく、ここで、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、
X、X’=1〜20個の炭素原子を有する直鎖及び/又は分枝鎖のアルキレン又はシクロアルキレン基であり、
R"=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、この際、炭素鎖は非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基で遮断されていてよく、ここで、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、
n=0〜2であり、m=0〜2であり、m+n=2であり、かつx、y=0〜2である]の構造単位2.5〜97.5モル%
及び
構造単位(I)及び(II)の総計に対して、少なくとも1種の式(II):
‐Z‐(X‐SiR"x(OR’)3‐x) (II)
[式中、
Z=‐NH‐、‐NR‐、‐O‐であり、ここで、
R=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、この際、炭素鎖は非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基で遮断されていてよく、ここで、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、
R’=水素、アルキル又はシクロアルキルであり、この際、炭素鎖は非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基で遮断されていてよく、ここで、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、
X=1〜20個の炭素原子を有する直鎖及び/又は分枝鎖のアルキレン又はシクロアルキレン基であり、
R"=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、この際、炭素鎖は非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基で遮断されていてよく、ここで、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアルアルキルであり、
x=0〜2である]の構造単位2.5〜97.5モル%を有することを特徴とする被覆剤。
【請求項2】
被覆剤の1種以上の成分は、付加的な官能性成分として、構造単位(I)及び(II)の総計に対して、少なくとも1種の式(I)の構造単位5〜95モル%、殊に10〜90モル%、特に有利に20〜80モル%及び極めて特に有利に30〜70モル%、及び構造単位(I)及び(II)の総計に対して、少なくとも1種の式(II)の構造単位5〜95モル%、殊に10〜90モル%、特に有利に20〜80モル%及び極めて特に有利に30〜70モル%を有する、請求項1に記載の被覆剤。
【請求項3】
構造要素(I)及び(II)は、ヒドロキシル基及びイソシアネート基の割合及び構造要素(I)及び(II)の割合から生じる、被覆剤における架橋結合に決定的な官能基の合計に対して、2.5〜97.5モル%の割合で存在している、請求項1又は2に記載の被覆剤。
【請求項4】
ポリイソシアネート(B)は、構造単位(I)及び(II)を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項5】
ポリイソシアネート(B)において、ポリイソシアネート基体中のイソシアネート基の2.5〜90モル%が構造単位(I)に、かつポリイソシアネート基体中のイソシアネート基の2.5〜90モル%が構造単位(II)に変換されていて、かつポリイソシアネート基体中で、構造単位(I)及び(II)に変換されるイソシアネート基の全割合は5〜95モル%である、請求項4に記載の被覆剤。
【請求項6】
ポリイソシアネート基体は、1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及び4,4’‐メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、前記のポリイソシアネートのビゥレット‐ダイマー及び/又は前記のポリイソシアネートのイソシアヌレート‐トライマーの群から選択される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項7】
ポリオール(A)は、少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートポリオールを含有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項8】
被覆剤の硬化のための触媒として、被覆剤の非揮発性成分に対して、アミン遮断化の燐酸0.1〜20質量%を使用する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項9】
場合により予備被覆された支持体上に、着色ベースラッカー層を塗布し、次いで、請求項1から8までのいずれか1項に記載の被覆剤からなる層を塗布する、多段階の被覆法。
【請求項10】
着色ベースラッカー層の塗布後に、塗布されたベースラッカーを、先ず室温から80℃までの温度で乾燥させ、かつ請求項1から8までのいずれか1項に記載の被覆剤の塗布後に、30〜200℃の温度で、1分間から10時間までの時間で硬化させる、請求項9に記載の多段階の被覆法。
【請求項11】
自動車連続ラッカー塗布及び自動車補修ラッカー塗布のための、請求項1から8までのいずれか1項に記載の被覆剤のクリアラッカーとしての使用、又は請求項9又は10に記載の方法の適用。

【公表番号】特表2010−513618(P2010−513618A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541879(P2009−541879)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011192
【国際公開番号】WO2008/074491
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】