説明

高い記憶密度を有する光学記録材料

【課題】光学記録媒体の記録層に用いることができる、新規な化合物を提供する。
【解決手段】式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に350〜500nmの波長で優れた記録及び再生品質を有する新規な光学記録材料に関する。非常に好都合には、記録と再生とが同じ波長で起こることができ、達成しうる記憶密度は公知の材料の場合よりもかなり高い。加えて、本発明の材料は、特に過酷な条件、たとえば日光もしくは蛍光灯光、熱及び/又は高い湿度への曝露の下でさえ、記録の前後で非常に良好な記憶特性を示す。これらの材料はまた、通例のコーティング法、たとえばスピンコーティングを使用して、簡単かつ良好な再現精度で製造することができる。さらには、本発明の材料に使用される化合物の多くは重金属を含まず、よってたとえばホワイトゴールド、銀又はアルミニウムの金属反射体層のリサイクルを実質的に促進する。
【0002】
JP−A−07/126543は、光学記録材料としての式
【0003】
【化5】

【0004】
の非置換又は置換インドリジン染料の使用を開示しているが、当該染料は酸化を受けやすく、不十分な耐光堅ロウ性しか示さない。これらの光学特性は疑わしい。UV範囲又はその付近での書き込みは可能ではあるが、高い情報密度に必要なコントラストをもって可能ではない。加えて、読み取りは、IR範囲又はその付近でなければならない。さらには、記録結果は高い品質要件を完全には満たさず、特に、単位面積あたりの最大読み取り可能情報密度が低すぎる。
【0005】
JP−A−11/34500及びJP−A−11/92479は、光学記録材料、たとえばCD−R又はDVD−Rのために520〜690nmで使用することができる式
【0006】
【化6】

【0007】
の染料の金属及びホウ素錯体を開示している。この場合もまた、光学特性が疑わしく、単位面積あたりの最大情報密度が所望よりもはるかに低い。
【0008】
また、これらの系における性質、特に、最大記憶密度に必要なUV範囲又はその付近のスペクトル特性及び単位面積あたりの情報密度は、非常に高い要件を望みどおり満足させることはできない。
【0009】
EP A−0528512は、2種の異なるシアニン染料及び2種の蛍光消光剤を所定の比で含む光学記録材料を記載している。記録及び再生は通常、770〜830nmで起こる。US5061796は、光安定性かつ熱安定性であると伝えられる、600〜900nmで高い反射率を有する非対称なアザメチン染料を開示している。US5958650は、光学記録材料のためのポリメチン金属錯体の使用を開示している。記録は、好ましくは600〜800nm、たとえば650nmで起こる。しかし、これら3種の系でも、性質、特に単位面積あたりの情報密度は、非常に高い要件を望みどおり満足させることはできない。
【0010】
他方で、J. Imaging Sci. 47/2, 113-117(1999)は、JP−A−04/74690及びJP−A−05/38879から公知の式
【0011】
【化7】

【0012】
の染料を用いて480nmで動作するDVD−Rシステムに光学記録材料の将来を見ている。
【0013】
しかし、モル吸光係数が望ましくないほど低い。
【0014】
他方で、JP−A−05/224347は、ハロゲン化銀及びたとえば式
【0015】
【化8】

【0016】
の増感剤を含む、300〜500nmの波長のレーザを使用して露光可能である写真材料を開示している。同様なベンゾチアゾール化合物がハロゲン化銀を基材とする写真材料における解凝固剤としてUS3850645から公知であるが、そのような材料は、現像される必要があるため、通例のコンピュータ周辺機器、たとえばCD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD及びDVD−Rにおける使用には適さない。
【0017】
JP−A−03/284743は、光互変性のスピロピラン及び式
【0018】
【化9】

【0019】
のシアニン染料を含む光学記録材料を開示している。しかし、これらの材料は、日光に感受性であるため、使用する前に消光しなければならず、通例のコンピュータ周辺機器、たとえばCD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD及びDVD−Rにおける使用には適さない。しかも、光学的に記録される情報は永久的ではなく、はやくも再生時に変更を受ける。蛍光検出器が必要になり、読み取り装置の構造がより複雑でより高価になる。
【0020】
また、JP−A−03/284743と同じシアニン染料が、US5316899により、第二の同族のシアニン染料と組み合わせて使用されて、深色シフトされた「J会合体」を形成しているが、この系もまた、高い情報密度を有する光学記録材料の製造には適さない。さらにコーティング技術が困難であり、層の厚さが標準感度の装置にとって低すぎる。
【0021】
したがって、従来の光学記録材料は、高い要求の一部しか満たしていないか、すべての要求を同時に完全に満足な程度まで満たしてはいない。
【0022】
先行公開されていない出願WO−01/75873は、360〜460nmの波長範囲のレーザを使用して書き込み可能である光学記録媒体における非常に多数の染料の使用を開示している。とりわけ、式
【0023】
【化10】

【0024】
(式中、EはNであることができ、Zは、O、S又はNR244であることができ、R244及びR245は、互いに独立して、C1〜C16アルキルであることができる)
が開示されている。アニオンAn-の定義は与えられていない。加えて、57頁の実施例の最後から二番目の化合物及び層に関する詳細が優先出願DE10016699からなくなっている。
【0025】
本発明の目的は、高い情報密度及び高いデータ信頼性を有する光学記録媒体を提供することである。このような記録媒体は、ロバストで耐久性がありかつ使いやすいものであるべきである。加えて、大規模で安く製造することができ、できるだけ小さく廉価な装置しか要さず、環境に有害な物質、たとえば揮発性物質又は毒性の金属をできるだけわずかしか含まないか、少なくとも、そのような環境に有害な物質の容易な処分を可能にするべきである。
【0026】
したがって、本発明は、基材、記録層及び反射層を含む光学記録媒体であって、記録層が、式
【0027】
【化11】

【0028】
(式中、
1及びA2は、互いに独立して、C(C1〜C5アルキル)2、C(C4〜C5アルキレン)、N(R15)、O、S、Se、又は非置換であるか、R16置換されているCH=CHであり、
Qは、
【0029】
【化12】

【0030】
であり、
-は、1個の負の電荷を有する無機アニオン、有機アニオン、もしくは好ましくは有機金属アニオン又はx個(xは、2〜4の数である)の負の電荷を有する無機アニオン、有機アニオンもしくは有機金属アニオン1/x個又はそれらの混合物であり、
1、R2、R7、R8及びR15は、互いに独立して、それぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR18基によって置換されているC1〜C24アルキル、C3〜C24シクロアルキル、C1〜C4アルキル−〔O−C1〜C4アルキレン〕m、C1〜C4アルキル−〔NH−C1〜C4アルキレン〕m、C2〜C24アルケニルもしくはC3〜C24シクロアルケニル、又はそれぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR19基によって置換されているC6〜C12アリール、C4〜C12ヘテロアリールもしくはC7〜C12アラルキルであるか、あるいは、
1とR2とが、いっしょに一組として、それぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR18基によって置換されているC1〜C24アルキレン、C3〜C24シクロアルキレン、C2〜C24アルケニレン、C3〜C24シクロアルケニレン又はC7〜C12アラルキレンであり、
3、R4、R5、R6、R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR16は、互いに独立して、水素、R19、それぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR18基によって置換されているC1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C24アルケニルもしくはC3〜C24シクロアルケニル、又はそれぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR19基によって置換されているC6〜C12アリール、C4〜C12ヘテロアリールもしくはC7〜C12アラルキルであるか、あるいは、
3とR4及び/又はR5とR6ならびにR9とR10及び/又はR11とR12が、各場合ともいっしょに一組として、非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR19基によって置換されている1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであり、その結果、共通のフェニルといっしょになってナフチルが形成されており、
式(I)、(II)、(III)又は(IV)の二、三又は四つ以上の化合物が、直接結合によって結合されているか、各置換基R1及び/又はR2、R3及び/又はR4あるいはR9及び/又はR10の間の−NH−、−NR15−、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、C1〜C12アルキレン又はC3〜C12シクロアルキレン橋掛けによって結合されていることができ、
17は、水素、それぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C12アルコキシ又はC3〜C12シクロアルコキシ基によって置換されているC1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルコキシ、C1〜C12アルキルチオ、C3〜C12シクロアルキルチオ、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC3〜C12シクロアルケニル、又はそれぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR19基によって置換されているC6〜C12アリール、C4〜C12ヘテロアリールもしくはC7〜C12アラルキルであり、
18は、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R20、O−CO−R20、S−R20、アミノ、NH−R20、NR2021、NR20−CO−R22、NR20COO−R22、シアノ、ホルミル、CO−R20、COO−R20、カルボキシ、カルバモイル、CONH−R20、CONR2021、ウレイド、NR20−CO−NHR22、ホスファト、PR2022、POR20OR22、P(=O)OR20OR22、OPR2022、OPR20OR22、OP(=O)R20OR22、OP(=O)OR20OR22、OPO320、スルファトもしくはスルホ、又はそれぞれハロゲンによって一又は多置換されているC1〜C12アルコキシもしくはC1〜C12シクロアルコキシであり、
19は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、O−R23、O−CO−R23、S−R23、ホルミル、CH=C(CN)2、CH=C(CN)CONH2、CH=C(CN)CONHR23、CH=C(CN)CONR2324、CH=C(CN)COOR23、CH=C(COOR23)COOR24、アミノ、NHR23、NR2324、CONH2、CONHR23、CONR2324、SO21〜C12アルキル、SO2NH2、SO2NHR23、SO2NR2324、COOH、COR23、COOR23、NHCOR23、NR23COR25、NHCOOR23、NR23COOR25、ウレイド、NR23−CO−NHR25、ホスファト、PR2325、POR23OR25、P(=O)OR23OR25、OPR2325、OPR23OR25、OP(=O)R23OR25、OP(=O)OR23OR25、OPO323、スルファトもしくはスルホ、又はそれぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR18基によって置換されているC1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12アルキルチオ、C3〜C12シクロアルキルチオ、C1〜C12アルコキシもしくはC3〜C12シクロアルコキシであり、
20、R21及びR22は、互いに独立して、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルケニル、C6〜C12アリール、C4〜C12ヘテロアリール又はC7〜C12アラルキルであるか、あるいは
20及びR21が、共通の窒素といっしょになって、それぞれ非置換であるか、C1〜C4アルキルによって一ないし四置換されているピロリジン、ピペリジン、ピペラジン又はモルホリンであり、
23、R24及びR25は、互いに独立して、それぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C12アルコキシ又はC3〜C12シクロアルコキシ基によって置換されているC1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニルもしくはC3〜C12シクロアルケニル、又はそれぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR26基によって置換されているC6〜C12アリール、C4〜C12ヘテロアリールもしくはC7〜C12アラルキルであるか、あるいは、
23及びR24が、共通の窒素といっしょになって、それぞれ非置換であるか、C1〜C4アルキルによって一ないし四置換されているピロリジン、ピペリジン、ピペラジンもしくはモルホリン、又はそれぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR26基によって置換されているカルバゾール、フェノキサジンもしくはフェノチアジンであり、
26は、R18であるか、又はそれぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR18基によって置換されているC1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12アルキルチオ、C3〜C12シクロアルキルチオ、C1〜C12アルコキシ又はC3〜C12シクロアルコキシであり、そして
mは、1〜10の数である)
の化合物を含む光学記録媒体に関する。
【0031】
酸基、たとえばカルボキシ、スルホ、スルファト及びホスファトは、式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物の対イオンX-ではないならば、塩、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はホスホニウム塩、たとえばLi+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Fe2+、Co2+、Zn2+、Sn2+、La3+、アンモニウム、メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ペンタデシルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、ブチルトリフェニルホスホニウム又はエチルトリフェニルホスホニウムの形態にあってもよいし、本明細書で個々のカチオン引用を明示的に行うUS−6225024で挙げられているカチオンB−1〜B−180のいずれであってもよいことが理解されよう。
【0032】
ハロゲンは、塩素、臭素、フッ素又はヨウ素、好ましくはフッ素又は塩素、特にアルキル上のフッ素(たとえばトリフルオロメチル、α,α,α−トリフルオロエチル又はペルフッ素化アルキル基、たとえばヘプタフルオロプロピル)及びアリール、ヘテロアリール又はアラルキルのアリール部分上の塩素である。
【0033】
アルキル、シクロアルキル、アルケニル又はシクロアルケニルは、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、単環式でも多環式でもよい。アルキルは、たとえばメチル、直鎖状C2〜C24アルキル又は好ましくは分岐鎖状C3〜C24アルキルである。アルケニルは、たとえば直鎖状C2〜C20アルケニル又は好ましくは分岐鎖状C3〜C24アルケニルである。したがって、本発明はまた、特に、分岐鎖状C3〜C24アルキル又は分岐鎖状C3〜C24アルケニルを含有する式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物ならびに当該化合物を含む光学記録材料に関する。したがって、C1〜C24アルキルは、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル又はテトラコシルである。C3〜C24シクロアルキルは、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ツイル、ボルニル、1−アダマンチル又は2−アダマンチルである。
【0034】
2〜C20アルケニル及びC3〜C20シクロアルケニルは、それぞれ、C2〜C20アルキル及びC3〜C20シクロアルキルそれぞれが一又は多不飽和であって、二以上の二重結合は場合によっては隔離又は共役化されていてもよいもの、たとえばビニル、アリル、2−プロペン−2−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、1,3−ブタジエン−2−イル、2−シクロブテン−1−イル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−2−イル、2−メチル−1−ブテン−3−イル、2−メチル−3−ブテン−2−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル、1,4−ペンタジエン−3−イル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、2,4−シクロヘキサンジエン−1−イル、1−p−メンテン−8−イル、4(10)−ツジェン−10−イル、2−ノルボルネン−1−イル、2,5−ノルボルナジエン−1−イル、7,7−ジメチル−2,4−ノルカラジエン−3−イル又はヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、エイコセニル、ヘンエイコセニル、ドコセニル、テトラコセニル、ヘキサジエニル、オクタジエニル、ノナジエニル、デカジエニル、ドデカジエニル、テトラデカジエニル、ヘキサデカジエニル、オクタデカジエニルもしくはエイコサジエニルの種々の異性体である。
【0035】
7〜C18アラルキルは、たとえばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、9−フルオレニル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−オクチル、ω−フェニル−ドデシル又は3−メチル−5−(1′,1′,3′,3′−テトラメチル−ブチル)−ベンジルである。さらには、C7〜C24アラルキルはまた、たとえば、2,4,6−トリ−tert−ブチル−ベンジル又は1−(3,5−ジベンジル−フェニル)−3−メチル−2−プロピルであってもよい。C7〜C18アラルキルが置換されているとき、置換は、アラルキル基のアルキル部分又はアリール部分のいずれにあってもよく、後者の選択が好ましい。
【0036】
6〜C14アリールは、たとえばフェニル、ナフチル、ビフェニリル、2−フルオレニル、フェナントリル、アントラセニル又はテルフェニリルである。
【0037】
4〜C12ヘテロアリールは、不飽和又は4n+2個の共役化π電子を有する芳香族の基、たとえば2−チエニル、2−フリル、2−ピリジル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル、2−イミダゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、又はチオフェン、フラン、ピリジン、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピリジン及びベンゼン環からなる他の所望の環系であって、これらは非置換であるか、1〜6個のエチル、メチル、エチレン及び/又はメチレンによって置換されている。
【0038】
加えて、アリール及びアラルキルはまた、たとえば、そのものは公知である遷移金属メタロセンの形態にある金属に結合された芳香族基、より具体的には
【0039】
【化13】

【0040】
であってもよい。
【0041】
無機アニオン、有機アニオン又は有機金属アニオンとしてのX-は、たとえば、鉱酸のアニオン、有機酸の共役塩基(たとえばアルコラート、フェノレート、カルボキシレート、スルホネート又はホスホネート)又は有機金属錯体アニオン、たとえばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、ペルクロレート、ペルイデート、ニトレート、1/2カーボネート、水素カーボネート、1/2スルフェート、C1〜C4アルキルスルフェート、水素スルフェート、1/3ホスフェート、1/2水素ホスフェート、二水素ホスフェート、1/2C1〜C4アルカンホスホネート、C1〜C4アルカン−C1〜C12アルキルホスホネート、ジ−C1〜C4アルキルホスフィネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、アセテート、トリフルオロアセテート、ヘプタフルオロブチレート、1/2オキサレート、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、p−クロロベンゼンスルホネート、p−ニトロベンゼンスルホネート、フェノレート、ベンゾエート又は負に帯電した金属錯体である。
【0042】
当業者は、自らにとって公知の他のアニオンを使用することも可能であることを容易に認識するであろう。x個の負の電荷を有する無機アニオン、有機アニオン又は有機金属アニオン1/x個、たとえば1/2・SO42-とは、1の電荷を有する複数のカチオン又は、適宜、x個の電荷を有する1個のカチオンを中和する、1を超える電荷を有するアニオンと理解される。
【0043】
フェノレート又はカルボキシレートは、たとえば、式
【0044】
【化14】

【0045】
(式中、R3、R4及びR5は、式(I)又は(II)に関して定義したとおりであるが、式(I)又は(II)のR3、R4及びR5から独立した意味、たとえばC1〜C12アルキル化された、特にtert−C4〜C8アルキル化されたフェノール類及び安息香酸、たとえば
【0046】
【化15】

【0047】
の意味を有する)
で示される。
【0048】
金属錯体としてのX-は、好ましくは、式〔(L1)M1(L2)〕m-(V)又は〔(L3)M2(L4)〕-(VI)(式中、M1及びM2は、それぞれ遷移金属であり、M1は、好ましくはCr3+又はCo3+であり、M2は、好ましくはNi2+、Co2+又はCu2+であり、mは、1〜6の数であり、L1及びL2は、互いに独立して、式
【0049】
【化16】

【0050】
の配位子であり、
3及びL4は、互いに独立して、式
【0051】
【化17】

【0052】
の配位子であり、
式中、R27、R28、R29、R30、R31及びR32は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、R35、NO2、NR3536、NHCO−R35、NHCOOR35、SO2−R35、SO2NH2、SO2NHR35、SO2NR3536、SO3-又はSO3H、好ましくは水素、塩素、SO2NH2又はO2NHR35であり、R35及びR36は、互いに独立して、それぞれ非置換であるか、ヒドロキシ、ハロゲン、スルファト、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アルキルチオ、C1〜C6アルキルアミノ又はジ−C1〜C6アルキルアミノによって置換されているC1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ−C2〜C12アルキル、C7〜C12アラルキル又はC6〜C12アリール、好ましくはC1〜C4アルキルであり、R33及びR34は、互いに独立して、CN、CONH2、CONHR35、CONR3536、COOR35又はCOR35である)のアニオンである。
【0053】
一例として、ただし限定を意味することなく、US5219707、JP−A−06/199045及びJP−A−07/262604に開示されている個々の化合物が参照されよう。
【0054】
加えて、フェノール又はフェニルカルボキシルアゾ化合物を含有する他の公知の遷移金属錯体アニオンを配位子L1及びL2として使用することが可能である。
【0055】
好ましいものは、A1及びA2が、互いに独立して、N(R15)、O、S、又は非置換であるか、R16置換されているCH=CHであり、
Qが
【0056】
【化18】

【0057】
であり、
3、R4、R5、R6、R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR16が、互いに独立して、水素、R19又はそれぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR19基によって置換されているC6〜C12アリールもしくはC7〜C12アラルキルであり、
17が、水素、シアノ、非置換であるか、一つ以上のハロゲンによって置換されているC1〜C12アルキル、又は非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR19基によって置換されているC6〜C12アリールであり、
18が、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R20、アミノ、NH−R20、NR2021、NR20−CO−R22、NR20COOR22、シアノ、COO−R20、カルボキシ、CONH−R20、CONR2021、スルファトもしくはスルホ、又は非置換であるか、ハロゲンによって一又は多置換されているC1〜C12アルコキシであり、
19が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、O−R23、ホルミル、CH=C(CN)2、CH=C(CN)CONH2、CH=C(CN)CONHR23、CH=C(CN)CONR2324、CH=C(CN)COOR23、CH=C(COOR23)COOR24、CONH2、CONHR23、CONR2324、SO21〜C12アルキル、SO2NH2、SO2NHR23、SO2NR2324、COOH、COOR23、NHCOR23、NR23COR25、NHCOOR23、NR23COOR25、ウレイド、P(=O)OR23OR25もしくはスルホ、又はそれぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR18基によって置換されているC1〜C12アルキル、C1〜C12アルキルチオもしくはC1〜C12アルコキシであり、
20、R21及びR22は、互いに独立して、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール又はC7〜C12アラルキルであるか、あるいは
20及びR21が、共通の窒素といっしょになって、モルホリン又はC1〜C4アルキルによってN置換されているピペリジンであり、
23、R24及びR25が、互いに独立して、非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるハロゲン、ヒドロキシ又はC1〜C12アルコキシ基によって置換されているC1〜C12アルキル、又は非置換のC6〜C12アリールもしくはC7〜C12アラルキルであるか、あるいは、
23及びR24が、共通の窒素といっしょになって、モルホリン又はC1〜C4アルキルによってN置換されているピペリジンであり、
mが1〜4の数である式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物である。
【0058】
特に好ましいものは、A1及びA2がそれぞれSであり、Qが、N又は
【0059】
【化19】

【0060】
であり、
1、R2、R7、R8及びR15が、互いに独立して、それぞれ非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR18基によって置換されているC1〜C24アルキル、C1〜C4アルキル−〔O−C1〜C4アルキレン〕mもしくはC1〜C4アルキル−〔NH−C1〜C4アルキレン〕m、又は一つ以上の場合によっては同一又は異なるR19基によって置換されているC6〜C12アリールであり、あるいは
1とR2とが、いっしょに一組として、非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR18基によって置換されているC1〜C24アルキレンであり、
17が、水素、シアノ、非置換であるか、一つ以上のハロゲンによって置換されているC1〜C12アルキル、又は非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR19基によって置換されているフェニルであり、
18が、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R20、シアノ、COO−R20、カルボキシ、スルファト又はスルホであり、
19が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、O−R23、CH=C(CN)2、COOR23、ウレイド、P(=O)OR23OR25又はスルホである式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物である。
【0061】
式(I)又は(III)の化合物が好ましく、式(I)の化合物が特に好ましい。
【0062】
記録層は、有利には、式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物又は当該化合物の混合物を、主成分として、たとえば少なくとも30重量%、特に少なくとも60重量%、より具体的には少なくとも80重量%含む。さらなる慣用の成分、たとえば他のクロモフォア(たとえばWO−01/75873で開示されているクロモフォア又は300〜1000nmで極大吸収を有する他のクロモフォア)、安定剤、12、三重項もしくはルミネセンス消光剤、融点降下剤、分解促進剤又は光学記録媒体に関してすでに記載されている他の添加物が可能である。好ましくは、場合によっては安定剤又は蛍光消光剤を加える。
【0063】
記録層がさらなるクロモフォアを含有するとき、これらのクロモフォアの量は、全体としての固体層の吸収特性の最長波長側面の反転点の波長の吸収におけるその吸収が、同じ波長で、全体としての固体層における式(I)、(II)、(III)又は(IV)の純粋な化合物の吸収の一部、有利には1/3以下、特に1/5以下、より具体的には1/10以下になるような少なさであることが好ましい。極大吸収は、好ましくは425nmよりも高く、特に好ましくは500nmよりも高い。
【0064】
安定剤、12、三重項又はルミネセンス消光剤は、たとえば、N又はS含有エノレート、フェノレート、ビスフェノレート、チオレート、ビスチオレート又はアゾ、アゾメチンもしくはホルマザン染料の金属錯体、たとえばビス(4−ジメチルアミノ−ジチオベンジル)ニッケル〔CAS番号38465−55−3〕、Irgalan(登録商標)Bordeaux EL、Cibafast(登録商標)N又は同様な化合物、立体障害フェノール類及びそれらの誘導体(場合によっては対イオンXとして)、たとえばCibafast(登録商標)AO、o−ヒドロキシフェニルトリアゾール、o−ヒドロキシフェニルトリアジン又は他のUV吸収剤、たとえばCibafast(登録商標)WもしくはCibafast(登録商標)P又は立体障害アミン(TEMPO又はHALS、同じくニトロキシド又はNOR−HALSとして、場合によっては対イオンXとして)、さらにカチオンとして、ジイモニウム、Paraquat(商標)塩又はOrthoquat(商標)塩、たとえばKayasorb IRG 022、Kayasorb(登録商標)IRG 040、場合によってはフリーラジカルイオンとして、たとえばN,N,N′,N′−テトラキス(4−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンアミン−アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート又はペルクロレートである。後者は、Organica(Wolfen/DE)から得ることができ、Kayasorb(登録商標)ブランドは、Nippon Kayaku社から得ることができ、Irgalan(登録商標)ブランド及びCibafast(登録商標)ブランドは、Ciba Spezialitatenchemie社から得ることができる。
【0065】
多くのそのような構造がたとえばUS5219707、JP−A−06/199045、JP−A−07/76169、JP−A−07/262604又はJP−A−2000/272241から公知であり、一部は光学記録媒体に関連している。これらは、たとえば、先に開示した金属錯体アニオンと所望のカチオン、たとえば先に開示したカチオンとの塩であってもよい。
【0066】
さらには、中性金属錯体、たとえば式(L3)M2(L5)(VII)、(L6)M2(L7)(VIII)又はM2(L8)(IX)(式中、L5は、C1〜C12アルキル−OH、C3〜C12シクロアルキル−OH、C6〜C12アリール−OH、C7〜C12アラルキル−OH、C1〜C12アルキル−SH、C3〜C12シクロアルキル−SH、C6〜C12アリール−SH、C7〜C12アラルキル−SH、C1〜C12アルキル−NH2、C3〜C12シクロアルキル−NH2、C6〜C12アリール−NH2、C7〜C12アラルキル−NH2、ジ−C1〜C12アルキル−NH、C1〜C12アルキル−(C3〜C12シクロアルキル)−NH、ジ−C3〜C12シクロアルキル−NH、ジ−C6〜C12アリール−NH、ジ−C7〜C12アラルキル−NH、トリ−C1〜C12アルキル−N、トリ−C3〜C12シクロアルキル−N、ジ−(C1〜C12アルキル)−(C3〜C12シクロアルキル)−N、(C1〜C12アルキル)−ジ−(C3〜C12シクロアルキル)−N、トリ−C6〜C12アリール−N又はトリ−C7〜C12アラルキル−Nであり、L6及びL7は、
【0067】
【化20】

【0068】
であり、L8は、
【0069】
【化21】

【0070】
であり、
式中、M2及びR27〜R32は、本明細書中で先に記した定義を有する)
の中性金属錯体が考えられる。
【0071】
式(IX)の添加物の具体的な例として、たとえば式
【0072】
【化22】

【0073】
の化合物によって示される銅錯体を挙げることができる。
【0074】
式(VII)の添加物の具体的な例として、たとえば式
【0075】
【化23】

【0076】
の化合物によって示されるニッケルビスフェノレートを挙げることができる。
【0077】
当業者は、どの添加物がどの濃度でどの目的に特に好適であるのかを他の光学情報媒体から知るか、容易に察知するであろう。添加物の適切な濃度は、式(I)、(II)、(III)又は(IV)の記録組成物に基づいて、たとえば0.001〜1000重量%、好ましくは1〜50重量%である。
【0078】
本発明の光学記録材料は、固体非晶質記録層において優れたスペクトル特性を示す。そのような化合物が固体材料中で凝集する傾向が驚くほど低いおかげで、吸収バンドは狭くて強く、長波長側で特に高い峻度(steepress)を有する。思いがけなく、かつ非常に好都合であることに、二量体は形成されないか、無視しうる程度にしか形成されない。書き込み及び読み取り波長の領域における層の反射率は未書き込み状態で高い。
【0079】
これらの優れた層特性のおかげで、高い感度、高レベルの再現精度及び幾何学的に非常に精確なピット境界を有する高速光学記録が可能であり、屈折率及び反射率が実質的に変更され、その結果、高レベルのコントラストが得られる。ピット長及びギャップ距離(「ジッタ」)における公差は非常に小さい。これは、比較的小さなトラック分離(「ピッチ」)をもつ比較的薄い記録チャネルの結果として高い記憶密度を可能にする。加えて、記録されたデータは驚くほど低いエラー率で再生され、その結果、エラー訂正には少量の記憶空間しか要しない。
【0080】
また、非極性溶媒中でさえ優れている可溶性の結果として、たとえば貯蔵中にやっかいな沈殿を起こさせることなく高濃度の溶液を使用することが可能であり、その結果、スピンコーティングの際の問題がおおむね解消する。
【0081】
記録と再生とは同じ波長で実施することができる。好都合には、有利には350〜500nm、好ましくは370〜450nmの単一のレーザ光源を有する簡単なレンズが使用される。波長は、特に好ましくは、370〜390nmのUV範囲、特に約380nm又は特に390〜430nmの可視範囲の限界、特に約405±5nmである。コンパクトな青又は紫のレーザダイオード(たとえばNichia GaN 405nm)の範囲で、高い開口数を有するレンズを用いると、120mmのディスク上で記録層あたり約20〜25Gbまでを達成することができるほどピットを小さくし、トラックを狭くすることが可能である。380nmでは、インジウムドープされたUV−VCSEL(垂直キャビティ表面発光レーザ)、たとえばプロトタイプとしてすでに存在するレーザ光源を使用することが可能である〔Jung Hanら、MRS Internet J. Nitride Semicond. Res. 5S1, W6.2(2000)を参照〕。
【0082】
したがって、本発明はまた、データを記録又は再生する方法であって、本発明の光学記録媒体上350〜500nmの波長でデータを記録又は再生することを含む方法に関する。
【0083】
記録媒体は、公知の記録媒体の構造に基づき、たとえば、先述したものに類似している。たとえば、透明な基材、式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物の少なくとも一つを含む記録層、反射体層及びカバー層から構成することができ、基材を介して書き込み及び読み取りが実施される。
【0084】
適切な基材は、たとえば、ガラス、鉱物、セラミックス及び熱硬化性プラスチック又は熱可塑性プラスチックを含む。好ましい支持体は、ガラス及びホモ又はコポリマープラスチックである。適切なプラスチックは、たとえば、熱可塑性ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、熱硬化性ポリエステルならびにエポキシ樹脂を含む。特に好ましいものは、たとえば射出成形によって製造することができるポリカーボネート基材である。基板は、純粋な形態であってもよいし、たとえばJP−A−04/167239で提案されているように、記録層の光安定化として慣用の添加物、たとえばUV吸収剤又は染料を含んでもよい。後者の場合、支持基材に添加される染料は、書き込み波長(レーザの発光波長)の範囲で吸収を示さないか、わずかな量の吸収、好ましくは記録層に合焦するレーザ光の最大約20%までの吸収しか示さないということでもよい。
【0085】
有利には、基材は、基材に入射する書き込み又は読み取り波長の光のたとえば少なくとも80%に対して透過性であるよう、350〜500nmの範囲の少なくとも一部で透明である。基板は、有利には、厚さ10μm〜1mm、特に20〜600μm、より具体的には20〜600μmであり、好ましくはらせん形の案内溝(トラック)を、溝深さ10〜200nm、好ましくは80〜150nm、溝幅100〜400nm、好ましくは150〜250nm及び二巻きの間の間隔200〜600nm、好ましくは350〜450nmでコーティング側に有する。種々の断面形状、たとえば長方形、台形又はV字形の溝が公知である。公知のCD−R及びDVD−R媒体と同様、案内溝はさらに、小さな周期的又は準周期的な横方向の振れ(「ウォッブル」)を受けて、回転速度の同期化及び読み取りヘッドの絶対的位置決め(「ピックアップ」)を可能にする。隣接する溝の間のマーキング(「プレピット」)により、振れの代わり又は振れに加えて同じ機能を実行することができる。
【0086】
できるだけ非晶質である層を提供する意図をもって記録組成物がたとえば溶液のスピンコーティングによって被着され、表面(「ランド」)上のその厚さは有利には0〜30nm、特に1〜20nm、より具体的には2〜10nmであり、溝中のその厚さは、溝の形状に依存して、有利には20〜150nm、特に50〜120nm、より具体的には60〜100nmである。
【0087】
反射体層に適した反射材料は、特に、記録及び再生に使用されるレーザ放射線を反射しやすい金属、たとえば元素周期表第3、第4及び第5主族及び亜族の金属である。特に適当であるものは、Al、In、Sn、Pb、Sb、Bi、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt及びランタノイド金属Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuならびにそれらの合金である。高レベルの反射率及び製造しやすさのため、好ましいものは、特に、アルミニウム、銀、金又はそれらの合金(たとえばホワイトゴールド合金)の反射層であり、経済的及び環境保護的理由から、好ましいものは、より具体的にはアルミニウムである。反射体層は、厚さが有利には5〜200nm、特に10〜100nm、より具体的には40〜60nmであるが、より厚い、たとえば厚さ1mm以上の反射体層もまた可能である。
【0088】
カバー層に適した材料は主にプラスチックであり、プラスチックは、そのままで又は定着剤を使用して薄い層として反射体層に被着される。有利には、なおも改変、たとえば書き込みを受けることができる良好な表面特性を有する機械的及び熱的に安定なプラスチックが選択される。プラスチックは、熱硬化性又は熱可塑性のいずれかであることができる。そのまま被着されるカバー層の場合、好ましいものは、特に簡単で安く製造することができる、放射線硬化(たとえばUV線を使用)されるコーティングである。非常に多数の放射線硬化性材料が公知である。放射線硬化性モノマー及びオリゴマーの例は、ジオール、トリオール及びテトロールのアクリレート及びメタクリレート、アミノ基に対してオルトの少なくとも二つの位置にC1〜C4アルキル基を有する芳香族テトラカルボン酸及び芳香族ジアミンのポリイミドならびにジアルキルマレインイミジル基、たとえばジメチルマレインイミジル基を有するオリゴマーを含む。定着剤によって被着されるカバー層の場合、好ましくは、基材層に使用されるものと同じ材料、特にポリカーボネートが使用される。使用される定着剤も同じく、好ましくは放射線硬化性モノマー及びオリゴマーである。定着剤によって被着されるカバー層の代わりに、記録層及び反射体層を含む第二の基材を使用することが可能であり、その結果、記録媒体を両面で再生することができる。好ましいものは、二つの部分が反射体側で定着剤によって直接又は中間層を介して互いに結合されている対称構造である。
【0089】
この形態の構造では、カバー層又はカバー材料の光学特性そのものは、その硬化を適宜たとえばUV線によって実施することができることを除き、本質的に役割を演じない。カバー層の主な機能は、記録媒体全体としての機械的強度及び、必要ならば、薄い反射体層の機械的強度を保証することである。記録媒体が十分に安定である場合、たとえば厚い反射体層が存在するとき、カバー層を完全になしで済ますことさえ可能であるかもしれない。カバー層の厚さは、最大約2mmであることが好ましい記録媒体全体としての厚さに依存する。カバー層は、好ましくは厚さ10μm〜1mmである。
【0090】
本発明の記録媒体はまた、さらなる層、たとえば干渉層又は遮蔽層を有することができる。また、記録媒体は、複数の(たとえば2〜10枚の)記録層で構成することが可能である。このような材料の構造及び使用は当業者に公知である。好ましいものは、適切な場合、EP−A−0353393に記載されているような、記録層と反射層との間及び/又は記録層と基材との間に配設される、誘電体材料、たとえばTiO2、Si34、ZnS又はシリコーン樹脂からなる干渉層である。
【0091】
本発明の記録媒体は、それ自体が公知である方法にしたがって調製することができ、使用する材料及びその作動形態に依存して種々のコーティング方法を使用することが可能である。
【0092】
適切なコーティング方法は、たとえば、浸漬、流し込み、ブラッシング、ナイフコーティング及びスピン流し込みならびに高真空で実施される蒸着法を含む。たとえば、流し込み方法を使用する場合、一般には有機溶媒中の溶液を使用する。溶媒を使用するとき、使用する支持体がその溶媒に対して反応しやすくないことを保証しなければならない。適切なコーティング方法及び溶媒は、たとえばEPA−0401791に記載されている。
【0093】
記録層は、好ましくは、染料溶液をスピンコーティングすることによって被着される。特に適していることがわかった溶媒は、アルコール、たとえば2−メトキシエタノール、イソプロパノールもしくはn−ブタノール、ヒドロキシケトン、たとえばジアセトンアルコールもしくは3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、ヒドロキシエステル、たとえば乳酸メチルエステルもしくはイソ酪酸メチルエステル又は好ましくはフッ素化アルコール、たとえば2,2,2−トリフルオロエタノールもしくは2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール及びそれらの混合物である。さらなる適切な溶媒がたとえばEPA−0483387に記載されている。
【0094】
また、一つ以上の不飽和非芳香族性結合を含む式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物を単独で又は他の重合性モノマー、たとえばアクリルモノマー及びビニルモノマーとともに重合させてもよい。重合は、好ましくは、重合性化合物又は混合物のコーティングの後で達成される。
【0095】
したがって、本発明はまた、基材、記録層及び反射層を含み、記録層が、不飽和非芳香族性炭素−炭素結合を含む式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物の単独重合又は共重合から得られるポリマーを含むものである光学記録媒体に関する。
【0096】
金属反射体層は、好ましくは、微粒化(スパッタリング)又は真空中の蒸着によって被着させる。これらの技術は公知であり、専門書(たとえばJ. L. Vossen and W. Kern, "Thin Film Processes", Academic Press, 1978)に記載されている。処理は、好都合に連続的に実施することができ、金属反射体層の高レベルの被着だけでなく良好な反射率が達成される。
【0097】
記録は、公知の方法にしたがって、記録層の表面上を一定又は可変速度で誘導される変調された合焦レーザビームによって固定長又は可変長のピット(マーク)を書き込むことによって実施される。情報は、そのもの公知の方法にしたがって、たとえば"CD-Player und R-DAT Recorder"(Claus Biaesch-Wiepke, Vogel Buchverlag, Wurzburg 1992)に記載されているように、レーザ放射線を使用して反射の変化を記録することによって読み取られる。必要条件は当業者に公知である。
【0098】
本発明の情報含有媒体は、特に、WORMタイプの光学情報材料である。これは、たとえば、CD−R(compact disc-recordable)又はDVD−R(digital video disc-recordable)と同様にコンピュータで使用することができ、また、IDカード及びセキュリティカードの記憶材料として使用することができ、又は、回折光学素子、たとえばホログラムの製造に使用することができる。
【0099】
しかし、CD−R又はDVD−Rと比較して、製造手順は相当にやっかいである。高い記憶密度及び相応に小さなピットを有する記録媒体を製造するためには、厚さ約50〜400μm(開口数0.85の場合で通常100μm)のカバー層が正確な合焦のために必要であることがわかった。
【0100】
したがって、層の順序が基材、反射体層、記録層及びカバー層である逆層構造が好ましい。したがって、記録層は反射体層とカバー層との間に位置する。したがって、記録及び再生は、基材を介して実施されるのではなく、カバー層を介して実施される。したがって、前記構造と比べて、カバー層及び基材の各役割、特に形状及び光学特性が切り替わる。多数の対応する概念が、青GaNレーザダイオードに関するデジタル録画に関するProceedings SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. 1999, 3864に記載されている。
【0101】
逆層構造が実質的により高い要求を記録物質に課し、当該要求は本発明で使用される化合物によって驚くほど見事に満たされるということが今やわかった。したがって、固体記録層に大きな変更を加えることなく、記録物質を摩擦、光酸化、指紋、湿度及び他の環境的影響から十分に保護する薄いカバー層をそれに被着することが可能である。
【0102】
逆層構造では、原則的に、記録層と反射体層とは、上記で指定した同じ機能を有する。したがって、これらの層は同じ寸法である。
【0103】
特に好ましくは、固体記録層には、金属、架橋有機金属又は誘電性無機材料のさらなる薄い分離層が、たとえば0.001〜10μm、特に0.005〜1μm、より具体的には0.01〜0.1μmの厚さで被着される。高レベルの反射率を考慮して、金属分離層は、0.03μmの最大厚さを有することが有利である。
【0104】
架橋有機金属又は誘電性無機層そのものは公知であり、たとえば、酸化物、水和酸化物又はハロゲン化物(特にフッ化物)、1〜2の電気陰性度を有する金属、たとえばII〜Vの酸化度のアルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル及び特にケイ素、たとえばCaF2、Fe23、CoO、CoTiO3、Cr23、Fe2TiO5又はSiO2からなる。これらは、公知の方法にしたがって又は公知の方法と同様にして、たとえば陰極微粉砕、蒸着、化学蒸着によって被着させることもできるし、一部の層の場合には、たとえばWO93/08237及びその中で挙げられているさらなる引用例に記載されている、その目的に関して公知の湿式化学法によって被着させることができる。蒸着、陰極微粉砕又は化学蒸着の一般的な方法は当業者に公知である。これらの方法は、有利には真空中で実施され、コーティング処理中の圧力は10-1〜10-8Paである。金属酸化物は、酸化ケイ素を除き、好ましくは1.3・10-2〜1.3・10-3Paで蒸着される。
【0105】
当業者に公知であるさらなるコーティング方法を使用してもよいことが理解されよう。たとえば、EP504926、JP−A−07/207186、JP−A−08/175823、JP−A−09/239311及びJP−A−10/204296から公知のゾル/ゲル技術によってコーティングを調製することもできるし、SiH4から熱分解によって酸化ケイ素コーティングを調製することもできる。
【0106】
酸化ケイ素は、特に有利には、酸素の存在における金属ケイ素の蒸着によって被着される。蒸着に関して、必ずしも高純度でなくてもよいケイ素を、減圧下、コーティングする基材の付近で、同じく必ずしも高純度でなくてもよい気体(分子)酸素の存在下、誘導加熱によって又はエレクトロンガンを使用して高温、たとえば500℃〜2000℃に加熱する。酸素の相対モル濃度に依存して、多少なりも黄色〜暗灰色又は好ましくは無色の二酸化ケイ素であるケイ素亜酸化物が形成される。
【0107】
特に、合金に基づく再書き込み可能な光学記録媒体(CD−RW)における隔離層と同一又は類似している層、たとえばSiO2とZnSとの混合物からなる層を被着させることが可能である。その結果、開発を促進することができ、コーティング処理のための新たな投資をなしで済ますことが可能である。
【0108】
さらなるコーティングの前に、記録層を定着剤、たとえばJ. Amer. Chem. Soc. 104, 2031-4(1982)及びChemistry of Materials 9/2, 399-402(1997)から公知であるN−(3−(トリメトキシシリル)−プロピル)ピロール、チタンもしくはジルコニウム塩、たとえばTi(OiPr)4もしくはZr(acac)4及び/又は酸もしくは塩基、たとえばアンモニア又は第一級、第二級もしくは第三級アミンで処理することが有利であるかもしれない。好ましいものは、式
【0109】
【化24】

【0110】
(式中、R37は、水素又はR40であり、R38及びR39は、互いに独立して、R40であり、R40は〔−1,2−C2〜C3アルキレン−T−〕n−Hであり、式中、Tは、O又はNHであり、nは、1〜3の数である)
のアミンと、式
【0111】
【化25】

【0112】
(式中、R41〜R43はC1〜C4アルキルである)
の有機金属化合物との同時使用である。
【0113】
この場合、アミン:有機金属化合物のモル比10:1〜1000:1、温度−20〜150℃、特に20〜80℃及び処理時間1/4時間〜100時間が好ましく、特に好ましいものは、アミン:有機金属化合物のモル比50:1〜250:1、温度50〜80℃及び処理時間1〜10時間である。
【0114】
望むならば、このようなコーティングは、たとえば、支持材料と金属反射体層との間又は金属反射体層と光学記録層との間と同じ厚さで被着することができる。場合によっては、たとえば銀反射体を硫黄含有添加物と組み合わせて記録層に使用する場合、これは利点を生むことができる。
【0115】
無機又は架橋した有機金属層に代えて又はそれに加えて、たとえば重合、特に光重合又は積層によって被着されるポリマーの層を使用することも可能である。
【0116】
特に有利には、無機又は架橋した有機金属層の上に、本明細書中で先に開示した厚さ及び光学特性を有するカバー層を重合又は積層によって被着することもできる。
【0117】
したがって、本発明はまた、以下の配置で
a)反射金属又は好ましくは反射金属層を有するポリマーからなる支持材料、
b)光学記録層、
c)金属、架橋した有機金属又は誘電性無機物質からなる分離層、及び
d)カバー層
を含む光学記録媒体に関する。
【0118】
本発明にしたがって使用される化合物の大部分は公知であるか、公知の方法、たとえばLiebigs Ann. Chem 647, 11(1961)、Liebigs Ann. Chem 663, 96(1963)、Chimia 20, 318-323(1966)、J. Indian Chem. Soc. 47/12, 1121-1128(1970)、US−3850645、Liebigs Ann. Chem 1975, 373-386(1975)、Bull. Chem. Soc. Japan 51/2, 535-539(1978)又はHelv. Chem. Acta 67/3, 770-773(1984)で開示又は引用されている方法にしたがって公知の化合物と同様に調製することができる。
【0119】
しかし、そのもの公知である同じ方法にしたがって又はそれと同様にして、本発明にしたがって光学記録媒体に使用することができる新規な化合物を調製することも可能である。
【0120】
したがって、本発明はまた、すでに公知である化合物、たとえば
・QがNであり、A1及びA2がいずれもSであり、R1及びR2が非置換の直鎖状C1〜C18アルキル又はヒドロキシもしくはスルホ置換されている直鎖状C1〜C3アルキルであり、R3及びR5がいずれもH、ハロゲン又はOR23である式(I)の化合物又はその塩、
・QがN又はPであり、A1及びA2がいずれもN(R15)であり、R1及びR2が、それぞれC1〜C2アルキルであるか、いっしょになってC1〜C3アルキレンであり、R3、R4、R5及びR6がすべて水素であり、R15がC1〜C2アルキルである式(I)の化合物、ならびに
・QがNであり、A1及びA2がいずれもSであり、R1及びR2がいずれもメチルであり、R10及びR12がいずれも非置換フェニルであり、R9及びR11がいずれも水素である式(III)の化合物
を除き、式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物に関する。
【0121】
本発明の目的に特に適した新規な化合物は、
・A1及びA2がいずれもSであり、R1及びR2が、互いに独立して、C3〜C24シクロアルキル、C1〜C4アルキル−〔O−C1〜C4アルキレン〕m、C1〜C4アルキル−〔NH−C1〜C4アルキレン〕m、C2〜C24アルケニル、C3〜C24シクロアルケニル、C7〜C12アラルキル又は分岐鎖状C3〜C24アルキルである式(I)の化合物、
・A1及びA2がいずれもSであり、R3、R4、R5及び/又はR6がC1〜C12アルキルである式(I)の化合物、
・A1及びA2がいずれもSであり、ハロゲン、O−R20、シアノ、CO−R20もしくはCOO−R20である基R18又はS−R23もしくはSO21〜C12アルキルである基R19を含む式(I)の化合物、
・A1及びA2がいずれもN(R15)であり、R3、R4、R5又はR6が、ハロゲン、O−R23、O−CO−R23、S−R23、アミノ、NHR23及びNR2324からなる群より選択される基R19であり、R1、R2及び/又はR15が好ましくはC1〜C24アルキル、特にC1〜C2アルキルである式(I)の化合物、
・A1及びA2がいずれもSであり、R1、R2又はR1及びR2がC2〜C24アルキル、C3〜C24シクロアルキル、C1〜C4アルキル−〔O−C1〜C4アルキレン〕m、C2〜C24アルケニル又はC3〜C24シクロアルケニルであるか、R1とR2とがいっしょに一組としてC2〜C24アルキレンである式(III)の化合物、
・A1及びA2がいずれもSであり、R9、R10、R11及び/又はR12が水素、R19、非置換であるか、一つ以上の場合によっては同一又は異なるR19基によって置換されているC1〜C12アルキル又はC6〜C12アリールであり、R19がハロゲン、ニトロ、シアノ、O−R23又はSO21〜C12アルキルである式(III)の化合物
(各化合物中、Qはいずれの場合でも好ましくはNである)
である。
【0122】
同じく非常に適したものは、遷移金属メタロセン部分、好ましくは
【0123】
【化26】

【0124】
を含む式(I)、(II)、(III)又は(IV)の新規な化合物である。
【0125】
以下の例が、本発明の範囲を限定することなく本発明を説明する(特に断らない限り、「%」は常に重量%である)。
【0126】
例1:(Zeitschrift fur Naturforschung A24(11), 1829 Table 1 e)〔1969〕参照)

【0127】
【化27】

【0128】
の化合物1.0gを2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール99.0gに溶解し、0.2μmテフロン(登録商標)フィルタに通してろ過した。次に、明澄な溶液を毎分250回転で厚さ0.6mmの溝付きポリカーボネートディスク(直径120mm、溝間隔0.74μm、溝深さ0.17μm、溝幅0.34μm)に塗布し、毎分1000回転でスピンコートすると、その結果、均一な固体層が形成した。乾燥後、固体層は365nmで0.75の吸光度を有した。次に、厚さ65nmの銀の反射体層を被着した。続いて、UV架橋性フォトポリマー(650-020, DSM)をスピンコーティングによって厚さ5μmに被着させ、UV光を使用して架橋させた。固体層の極大吸収(λmax)は366nmであった。405nmで、記録層は42%の反射率を示した。パルス式染料レーザ(パルス長15ns)を使用して、波長405nmで0.8kJ/m2のエネルギー密度で記録層にピットを書き込み、その結果、書き込み位置で反射率が42%から20%に変化した。
【0129】
例2〜34
以下の化合物を例1と同様に使用した。
【0130】
【化28】









【0131】
例35〜40
Marcel H. Luchsinger「Synthese, Spektroskopie und Hydrolyse von 3,3'-n-Methylen-bis-(benzthiazol)-azamonomethincyanin-perchloraten(Synthesis, Spectroscopy and hydrolysis of 3,3'-n-methylene-bis-(benzothiazole)-azamonomethinecyanine perchlorates)」(バーゼル大学1971)からの同族又は開鎖化合物7a、7b、27d、27e、7z及び32を例34と同様に使用した。
【0132】
例41〜52
以下の化合物を例1と同様に使用した。
【0133】
【化29】



【0134】
例53
例44の非対称化合物の代わりに、例41及び42の2種の対称化合物の1:1混合物を使用した。
【0135】
例54
a)2−アミノ−ベンゾチアゾール3.0部及び(3′,3′−ジメチル−ブチル−1′)−4−メチル−ベンゼンスルホネート7.7部を130℃で100分間加熱した。アセトンを加え、固体生成物をろ別し、乾燥させた。
【0136】
b)5%炭酸水素ナトリウム溶液60部を添加したのち、得られる懸濁液を80℃で2時間加熱した。室温まで冷ましたのち、ジエチルエーテル30部を加えた。エーテル層を分離し、乾燥させ、蒸発させた。
【0137】
c)p−トルエンスルホン酸0.52部とo−ジクロロベンゼン36部との混合物を沸騰状態で1時間加熱して水を留去し、75℃まで冷ました。b)からの生成物を加えたのち、温度を178℃に上げて90分おいた。室温まで冷ましたのち、エーテルを加え、形成した固体をろ過によって収集した。アセトンから再結晶させたのち、無色の結晶を40℃で乾燥させた。式
【0138】
【化30】

【0139】
の化合物が得られた。融点225〜226℃、UV/VIS(エタノール):λmax=379nm、ε=48418 l・mol-1・cm-1
【0140】
例55
例54の化合物1.0重量%を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールに溶解し、0.2μmテフロン(登録商標)フィルタに通してろ過した。次に、この染料溶液を毎分1000回転で厚さ0.6mmの平坦なポリカーボネートディスク(直径120mm)に塗布したのち、毎分1500回転でスピンコートを実施した。均一な固体層が得られ、これは、乾燥後、λmax366nmで0.33の吸光度を示した。光学計測装置(ETA-RT、Steag Hamatech)を使用して層厚さ及び屈折率を評価した。固体染料層は、厚さ36nmであり、405nmで、1.96の屈折率n及び0.083の吸光係数kを示した。溶媒、濃度及びスピンコート条件を変えることにより、種々の厚さの層、たとえば厚さ88.5nmの層(この層の屈折率n(上の線、左目盛り)及び吸光係数k(下の線、右目盛り)を図2に示す)を形成することが可能である。
【0141】
例56
例54c)の化合物0.187部をエタノール15部に溶解した。次に、エタノール12部中、式
【0142】
【化31】

【0143】
のコバルト錯体0.216部の溶液を加えた。ろ過したのち、合わせた溶液を蒸発乾固させた。残渣をジクロロメタン14部に溶解し、得られた溶液を水5部で4回洗浄した。次に、ジクロロメタン相をろ過し、蒸発乾固させ、真空中、室温でさらに乾燥させた。以下の構造のイオン対0.304部が得られた。
【0144】
【化32】

【0145】
この化合物1.5重量%を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールに溶解し、0.2μmテフロン(登録商標)フィルタに通してろ過した。次に、この染料溶液を毎分600回転で厚さ1.2mmの平坦なポリカーボネートディスク(直径120mm)に塗布したのち、毎分1500回転でスピンコートを実施した。均一な固体層が得られ、これは、乾燥後、λmax372nmで0.49の吸光度を示した。光学計測装置(ETA-RT、Steag Hamatech)を使用して層厚さ及び屈折率を評価した。固体染料層は、厚さ110nmであり、405nmで、1.86の屈折率n及び0.102の吸光係数kを示した。
【0146】
90時間、キセノン灯で照射を加速しても、この材料の光安定性は優れていた。
【0147】
例57〜76
以下の化合物を例54〜56と同様に使用した。
【0148】
【化33】







【0149】
例77〜88
上記例のいくつかの固体層のスペクトルデータを高純度エタノール溶液中の対応する化合物のスペクトルデータと比較した。
【0150】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】例46の記録ディスクの固体膜UV/VISスペクトルを示す。
【図2】例54の屈折率及び吸光係数に対する波長のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の配置で
a)反射金属又は好ましくは反射金属層を有するポリマーからなる支持材料、
b)光学記録層、
c)金属、架橋した有機金属又は誘電性無機物質からなる分離層、及び
d)カバー層
を含む光学記録媒体。
【請求項2】
固体記録層に、金属、架橋有機金属又は誘電性無機材料のさらなる薄い分離層が、0.001〜10μm、特に0.005〜1μm、より具体的には0.01〜0.1μmの厚さで被着され、高レベルの反射率を考慮して、金属分離層が、0.03μmの最大厚さを有する、請求項1記載の光学記録媒体。
【請求項3】
架橋有機金属又は誘電性無機層が、II〜Vの酸化度のケイ素、SiNx、ZnSである、請求項1又は2記載の光学記録媒体。
【請求項4】
酸化ケイ素が、酸素の存在における金属ケイ素の蒸着によって被着される、請求項1〜3のいずれか1項記載の光学記録媒体。
【請求項5】
記録層が定着剤で処理される、請求項1〜4のいずれか1項記載の光学記録媒体。
【請求項6】
無機又は架橋した有機金属層に代えて又はそれに加えて、たとえば重合、特に光重合又は積層によって被着されるポリマーの層を使用する、請求項1〜5のいずれか1項記載の光学記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−290401(P2007−290401A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154383(P2007−154383)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【分割の表示】特願2002−580321(P2002−580321)の分割
【原出願日】平成14年3月12日(2002.3.12)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】