高スループットSEMツール
走査荷電粒子ビーム装置が説明される。走査荷電粒子ビーム装置は、一次電子ビームを放出するためのビームエミッタと、試料上にビームを走査させるための第1の走査段と、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応されたアクロマチックビームセパレータと、信号電子を検出するための検出ユニットと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[0001]本発明は、ビーム電子顕微鏡、特に、半導体産業のための高スループットツールに関する。より詳細には、ビーム走査荷電粒子ビーム装置、ビーム走査荷電粒子ビーム装置を操作する方法、及びビーム走査荷電粒子ビーム装置の使用に関する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]近代的な半導体デバイスは、設計者の意図した機能を集合的に具現化する約20−30パターン層のコンポーネントである。一般的に、設計者は、チップの機能性を、VHDLのような高レベルの行動設計言語で記述し、次いで、一連のEDAツールがその高レベル記述をGDSIIファイルへと変換する。GDSIIファイルは、異なる層のパターンを記述する多角形及び他の形状の幾何学的記述を含む。デバイスを形成するのに使用される製造プロセスのためのプロセス設計ルールを付随するGDSIIファイルは、レイアウト上での意図された幾何学構造を関連公差と共に記述する。
【0003】
[0003]近代的なホトリソグラフィーは、ステッパー波長を193nmに保ちながら90nmから45nm及び32nmまで移動することに関連したものを含む多数の難題を提示している。これは、意図されたレイアウト幾何学構造を、GDSIIファイルの後解像度向上技術(RET)形態へと更に変換することを要求する。この新規なGDSIIファイルは、光学的接近度補正(OPC)及びマスク技術に対するパターン変更を含む。意図された幾何学構造をウェハ上にプリントするには、OPC補正、マスク形成及びステッパー条件の複雑なセットが要求される。
【0004】
[0004]以上に鑑み、半導体技術は、ナノメートルスケール内で試料を構造化し探知するための高い需要を生み出した。マイクロメートル及びナノメートルスケールのプロセス制御、検査及び構造化は、ほとんどの場合、荷電粒子ビームで行われる。探知又は構造化は、ほとんどの場合、荷電粒子ビーム装置において発生されて収束される荷電粒子ビームで遂行される。荷電粒子ビーム装置は、例えば、電子顕微鏡、電子ビームパターンジェネレータ、イオン顕微鏡及びイオンビームパターンジェネレータである。荷電粒子ビーム、特に、電子ビームは、同等の粒子エネルギーにおいて波長が短いために、光子ビームに比して優れた空間的解像度を与える。
【0005】
[0005]半導体製造の場合、幾何学的構造を全体的に走査するためのツールでは、スループットが著しく制限される。CD−SEM解像度が1nmと仮定すれば、10mm2ダイは、10E14ピクセルを含む。従って、レイアウト全体をカバーするには、高速検査アーキテクチャーが望まれる。
【0006】
[0006]高スループットの電子ビームシステムは、例えば、高速ウェハ検査に使用できる複数の電子ビームを伴うシステムで、一般的には、数センチメートル範囲の間隔を有する従来の単一ビームカラムのアレイによるか、又はビームのアレイを伴う単一カラムによって実現される。後者のケースにおいて、ビームアレイは、10μm−100μm範囲の比較的小さな電子ビーム間隔を有している。従って、数百又は数千といった多数のビームを使用することができる。しかしながら、ビームの個々の補正が困難である。
【0007】
[0007]電子ビーム光学系を利用して、望ましい信号対雑音比(SNR)及び解像度内でチップ層の全幾何学構造を走査し、設計上意図されたGDSIIファイル、即ち元のGDSIIファイルに対してウェハパターンの幾何学構造を抽出し且つ検証できるようにするツールを提供するには、改良型で且つ異なるシステム設計を考慮しなければならない。
【概要】
【0008】
[0008]以上に鑑み、独立請求項1に記載の荷電走査粒子ビーム装置と、独立請求項15に記載の荷電粒子ビーム用のアクロマチックビーム偏向器を操作する方法が提供される。
【0009】
[0009]一実施形態によれば、走査荷電粒子ビーム装置が提供される。この装置は、一次電子ビームを放出するためのビームエミッタと、試料上にビームを走査させるための第1の走査段と、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応されたアクロマチックビームセパレータと、信号電子を検出するための検出ユニットとを備えている。
【0010】
[0010]ここに説明する実施形態と結合できる更に別の効果、特徴、態様及び細部は、従属請求項、説明及び図面から明らかとなろう。
【0011】
[0011]別の実施形態によれば、光学軸を有する荷電粒子ビーム用のアクロマチックビーム偏向器を操作する方法が提供される。この方法は、偏向する静電双極フィールドを設けるステップと、偏向する磁気双極フィールドを設けるステップと、磁気双極フィールド及び静電双極フィールドに四極フィールドを重畳させるステップとを備え、静電双極フィールド及び磁気双極フィールドは、アクロマチックビーム偏向を設けるように互いに調整され、且つ四極フィールドは、軸ずれした荷電粒子ビームのビーム傾斜を補正するように調整される。
【0012】
[0012]また、これらの実施形態は、ここに開示する方法を実施する装置であって、ここに説明する各方法ステップを遂行するための装置部分を含む装置にも向けられる。これら方法ステップは、ハードウェアコンポーネント、適当なソフトウェアでプログラムされたコンピュータ、それら2つの組み合わせ、或いは他の仕方で遂行されてもよい。更に、本発明による実施形態は、ここに説明する装置を操作する方法にも向けられる。これは、装置の各機能を実行するための方法ステップを含む。
【0013】
[0013]本発明の前述した特徴を詳細に理解できるように、概要について簡単に前述した本発明を、その実施形態を参照して、詳細に説明する。添付図面は、本発明の実施形態を例示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ここに説明する実施形態による高スループット走査電子ビーム装置の概略図である。
【図2A】ここに説明する実施形態によるビーム走査電子ビーム装置のためのアクロマチックビームセパレータの概略図である。
【図2B】ここに説明する実施形態によるビーム走査電子ビーム装置のためのアクロマチックビームセパレータの別の概略図である。
【図2C】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータ及びその軸ずれ補正を示す概略拡大図である。
【図2D】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータ及びその更に別の軸ずれ補正を示す概略拡大図である。
【図3A】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータに対するモデルシミュレーションの結果を示す。
【図3B】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータに対するモデルシミュレーションの結果を示す。
【図3C】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータに対するモデルシミュレーションの結果を示す。
【図3D】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータに対するモデルシミュレーションの結果を示す。
【図3E】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータに対するモデルシミュレーションの結果を示す。
【図4】ここに説明する実施形態による走査電子ビーム装置の検出スキームを示す概略図である。
【図5】ここに説明する実施形態による更に別の高スループット走査電子ビーム装置の概略図である。
【発明の詳細な説明】
【0015】
[0014]図面に1つ以上の実施例が示された本発明の種々の実施形態について以下に詳細に説明する。各実施例は、本発明を例示するためのもので、本発明をそれに限定するものではない。例えば、1つの実施形態の一部分として示され又は説明された特徴を他の実施形態に又はそれに関連して使用して、更に別の実施形態を生み出すこともできる。本発明は、このような変更及び修正を含むことが意図される。
【0016】
[0015]本出願の保護の範囲を限定することなく、以下、荷電粒子ビーム装置又はそのコンポーネントは、例えば、二次電子の検出を含む荷電粒子ビーム装置とも称される。また、本発明は、試料の映像を得るために、電子又はイオン、光子、X線又は他の信号の形態の二次及び/又は後方散乱荷電粒子のような小体(corpuscle)を検出する装置及びコンポーネントにも適用することができる。
【0017】
[0016]一般的に、小体と言うときには、それは、小体が光子である光信号として、及び小体がイオン、原子、電子又は他の粒子である粒子として理解されたい。
【0018】
[0017]図面についての以下の説明の中で、同じ参照番号は、同じコンポーネントを指す。一般的に、個々の実施形態に対する相違についてのみ説明する。
【0019】
[0018]また、ここで「試料」と言うときには、半導体ウェハ、半導体ワークピース、及び他のワークピース、例えば、メモリディスク、等を含むが、これらに限定されない。本発明の実施形態は、材料が堆積されるワークピースや、検査又は構造化されるワークピースに適用することができる。試料は、構造化される面又は層が堆積される面、縁、及び典型的に斜面を含む。
【0020】
[0019]走査電子顕微鏡は、ビームエミッタを含む。図1に示すように、エミッタ先端102をもつビームエミッタは、電子ビームを放射する。走査電子ビーム装置100は、銃コンデンサエリア内にコンデンサレンズ123を備えている。ビームエミッタ内のエミッタ先端102は、例えば、コールドフィールドエミッタである。
【0021】
[0020]ここに説明する幾つかの実施形態によれば、ビームは、エミッタから放射された後に、電子光学モジュール122/124を通して進む。この光学モジュールは、電子ビームを整形するために、例えば、異なるサイズの1つ以上のアパーチャーをもつアパーチャープレートを備えている。異なるサイズのアパーチャー開口が設けられる場合には、所望のアパーチャー開口を選択することによりビーム電流を選択することができる。更に、アパーチャー開口を通るビーム路を選択し、ビームを整列させ、更に/或いは非点補正を行うために偏向及び補正要素が設けられる。
【0022】
[0021]ここに説明する実施形態によれば、エミッタは、典型的に、1x108から1x1012Am−2sr−1eV−1の範囲の減少輝度を有する。これは、充分な信号対雑音比で高速走査を行えるようにする。高速走査は、製造プロセスのスループット要件を満足するために望まれる。従って、「減少」という技術的用語は、輝度が荷電粒子のエネルギーへ正規化されることを意味する。
【0023】
[0022]装置における走査は、例えば、2つの高速走査段で行うことができる。従って、2つの段は、1つの方向に少なくとも1μm、例えば、10μmから500μmの範囲の充分に大きな走査フィールドを許容する。単一段走査偏向は、若干減少された走査フィールドしか与えないが、多くの用途では充分である。ここに説明するいずれかの実施形態と結合できる更に別の実施形態によれば、走査速度は、典型的に、少なくとも10MHzピクセル周波数、例えば、50MHzから3GHzピクセル周波数の範囲とすることができる。
【0024】
[0023]ここに説明する実施形態によれば、第1走査段は、アクロマチックビームセパレータの前に設けられ、第2走査段は、アクロマチックビームセパレータの後に設けられる。即ち、典型的に一次ビームと信号ビーム(1つ又は複数)を分離するためのアクロマチックビームセパレータが第1走査段と第2走査段との間に設けられる。ビームセパレータは、図2Aから図2Cを参照して詳細に説明する。
【0025】
[0024]ここに説明する更に別の付加的な又は代替的な具現化によれば、走査段は、静電、磁気、又は静電−磁気の組み合せ、のいずれの走査段でもよい。
【0026】
[0025]ここに説明する実施形態によれば、ビーム走査電子ビーム装置100は、電子ビームを収束する対物レンズであるレンズ150を更に含む。このレンズ150は、静電、磁気、又は静電−磁気の組み合せでもよい。ここに説明する他の実施形態と結合できる幾つかの実施形態によれば、装置100は、シールド電極146を更に含む。これは、例えば、静電−磁気の組み合わせ対物レンズの一部分として、ビームブースト(例えば、エミッタとレンズとの間のカラムにおけるビームの2、5又は10倍高いエネルギー)を設ける要素の一部分として、更に/或いは信号電子を加速する要素の一部分として使用することができる。
【0027】
[0026]走査電子ビーム装置は、多数の検出要素をもつ検出アセンブリを含む。一般に、信号電子は、試料20への一次ビームの衝撃で発生される。解放された電子は、レンズの開口に向かい且つそれを通して加速することができる。更に、信号電子は、典型的に、二次電子、オージェ電子、及び/又は後方散乱電子である。特に、磁界及び電界により設けられるアクロマチックビームセパレータ130は、一次ビームから信号電子を分離する。
【0028】
[0027]図1に示すように、ここに説明するいずれかの実施形態と結合できる幾つかの実施形態によれば、信号電子は、例えば、セクタの形態の二重収束ビーム曲げ器160により一次ビームから更に分離させることができる。この二重収束曲げ器は、以下に詳細に説明する。
【0029】
[0028]図1に示すように、信号電子ビーム(1つ又は複数)を収束するための収束レンズによって検出が行われる。従って、信号電子の損失を減少することができる。これは、高速走査に望まれる信号対雑音比を改善する。更に、小角度検出器178及び大角度検出器172が設けられる。これら2つの検出器の間には、バイアス型プレートの形態のエネルギーフィルタが設けられる。この配列は、信号電子の効率的な高速検出を行えるようにする。1つのシンチレータ及び光電子増倍管しかもたないシステムに比して情報の量が増加される。情報量の増加は、所定の信号対雑音比における高速走査も改善する。従って、ここに説明する実施形態は、例えば、図1を参照して上述したマルチチャンネル検出を含む。
【0030】
[0029]図1は、高スループットツールの実施例を示す。ビーム走査電子ビーム装置100の特徴は、大電流、高解像度CFE、2段システムによる高速及び大走査を含むか、或いは高輝度TFE又はCFEエミッタ、2段システムによる高速及び大走査を含むことができる。また、マルチチャンネル検出器による高速多観点(a fast multi-perspective)検出も含む。従って、高速検出に対して信号対雑音比を改善するために、典型的に、二次電子、オージェ電子及び後方散乱電子を測定することができる。従って、検出要素は、二次電子、オージェ電子及び/又は後方散乱電子を感知する。幾つかの実施形態によれば、更に、エネルギー及び/又は角度の感度を設けることができる。
【0031】
[0030]一般的に、幾つかの実施形態によれば、半導体製造プロセスの運転に対する強靭性は、カラムサイズの減少で設けることができる。従って、光学軸に沿った長さ寸法、即ち一般的にカラムの高さは、100から400mmの範囲で設けることができる。
【0032】
[0031]更に別の実施形態によれば、エミッタ、即ち銃のコンデンサエリアは、次のように設けることができる。一実施形態によれば、単一エミッタ電子銃、典型的に、TFEソースを使用することができる。更に別の実施形態によれば、仮想ソースz位置(zは光学軸を表す)を調整し、更に/或いはアパーチャーを対物レンズアレイと一致させるためのコンデンサを含ませることができる。更に別の代替的又は付加的な変形例によれば、アパーチャーを整列させるためにアパーチャー用のX−Y段を設けることができる。典型的に、例えば、電気−磁気整列を有することができる。更に別の付加的な又は代替的な変形例によれば、機械的なアパーチャー段を設けることができる。
【0033】
[0032]ここに説明するいずれかの実施形態と結合できる他の実施形態によれば、静電偏向要素及び磁気偏向要素を有するアクロマチック偏向器130又はアクロマチックビームセパレータ130を設けることができる。図1においては、磁気偏向要素を示すために磁界が指示されている。アクロマチック偏向器130は、一次電子ビームを偏向し、一次電子ビームを、二次電子ビーム(1つ又は複数)、即ち信号電子から分離する。
【0034】
[0033]図2Aは、アクロマチックセパレータの拡大図である。最先端の電子ビーム装置は、そのほとんどが、一次及び二次ビームのビーム分離のために磁気偏向器又はウィナーフィルタを使用している。従って、z軸(光学軸)に直角の、実質的に垂直の静的な電界及び磁界が使用される。イオンに作用する力は、クーロン力、
【0035】
【数1】
【0036】
[0034]及びローレンツ力、
【0037】
【数2】
【0038】
によって与えられる。
【0039】
[0035]両方とも長さ1である電界及び磁界中のイオンの偏向角度は、次の式で記述することができる。
【0040】
【数3】
【0041】
[0036]図2Aは、アクロマチック曲げ器又はアクロマチックビームスプリッタ130の一実施形態を示す。ここでは、コイル巻線163及びプレート形状の電極165が示されている。コイル163は、磁界31を発生する。この磁界は、電子ビーム170のための磁力32を発生する。この磁力は、式2に基づいて発生される。磁界31に実質的に垂直に、電極165間に電界が発生される。従って、磁気力とは実質的に反対の電気力33が発生される。
【0042】
[0037]図2Aに示す実施形態は、垂直の均一の磁界及び電界を発生する。図2Aにおいては、電子がアクロマチック偏向器に入るときに電子ビーム路170が軸142に対して若干傾斜される。電子は、アクロマチック偏向器に侵入した後に本質的に軸144に沿って進行するようにアクロマチック偏向器内で偏向される。これは、式3の導関数に鑑み、理解することができ、即ち次の通りである。
【0043】
【数4】
【0044】
[0038]偏向角は、磁気力が電気力の2倍に等しいという条件が満足される場合に、電子の速度とは独立したものになる。図2Aにおいて、これは、力を指示する矢印32及び33の長さで示される。
【0045】
[0039]ここに示す実施形態では、アクロマチック偏向器162は、少なくとも次の特徴の1つによって説明することができる。一実施形態によれば、20から80アンペアターン(Aターン)、例えば、40Aターンを設けることができる。更に別の実施形態によれば、約10から400のコイル巻線を設けることができる。別の実施形態によれば、50から500のコイル巻線を設けることができる。それでも、更に多くのコイル巻線、例えば、数千までのコイル巻線を設けることが考えられる。
【0046】
[0040]
[0041]なお更に別の実施形態によれば、アクロマチック偏向角は、0.3°から7°である。更に別の実施形態によれば、偏向角は、1°から3°である。
【0047】
[0042]図2Aに示すアクロマチックビーム偏向器又はビームスプリッタは、本発明に基づいて使用することができる。従って、上述したように、静電偏向は、次のように表される。
【0048】
【数5】
【0049】
[0043]更に、磁気偏向は、次のように表される。
【0050】
【数6】
【0051】
[0044]上述したように、磁気偏向が静電偏向のマイナス2倍に等しい場合には、色収差(分散)を伴わない偏向を実現することができる。
【0052】
[0045]図2Bに示されてここに説明する幾つかの実施形態によれば、実質的に純粋な双極フィールドを含むシステムを使用することができる。図2Bは、8個の電極及び極片を有するシステムを示す。コア564は、絶縁体563を経てハウジング566に接続される。コア、ひいては、極片を励起するためのコイルは、コア564の周りに巻かれる。コアの他端には電極−極片567/8が設けられる。例えば、図2Aに示す偏向ユニットを使用する実施形態によれば、磁界及び電界に対して同様にフリンジフィールドを与えて、非常に純粋な双極フィールドを発生することができる。しかしながら、8個のコイル及び8個の電極を含むシステムは、より多くの電流源及び電圧源を必要とし、コストが増加される。その結果、ここに説明する実施形態に対して2つの極(電気及び磁気)を各々有する最適化されたシステムを典型的に使用することができる。
【0053】
[0046]一般的に、ここに説明する実施形態は、高スループット、高解像度の像形成システムに関する。像形成システム(ビーム走査電子ビーム装置)は、球面収差及び色収差の低い高性能対物レンズを伴うビームシステムと、一次及び二次の電子ビームを分離するための低操作ビームセパレータと、マルチチャンネル信号検出部とを含むことができる。
【0054】
[0047]図2Cに示すように、幾つかの実施形態によれば、電子ビームが光学軸に平行な共通のアクロマチックビームセパレータに入らない場合には、全ての電子ビームに対して上述したアクロマチック条件を満足することができない。アクロマチック偏向器の上に第1の走査段が設けられることに鑑み、特に大きな走査エリアでは無視できないビーム傾斜が生じ得る。
【0055】
[0048]図2Cは、静電偏向要素132及び磁気偏向要素134を有するアクロマチックビームセパレータ130に入る3つの例示的な電子ビームを示している。説明を容易にするために、ビームは、互いに隣接して描かれている。これにより、中央のビームは、上述したアクロマチック条件を満足するように示されている。しかしながら、他の2つの電子ビームは、対物レンズアセンブリ150の光学軸2に対して指示される傾斜角が中央の電子ビームとは異なり、各々、傾斜軸4及び4’を有する。従って、傾斜した電子ビームの場合に、アクロマチックビームセパレータは、全ての電子ビームに対して完全にアクロマチックではなく、従って、低収差ビームセパレータとして表すことができる。
【0056】
[0049]幾つかの実施形態によれば、図2Cに示すように、四極要素等の形態の傾斜補正電子ビーム光学系140を設けることができる。これにより、中央の電子ビームに平行ではなく且つアクロマチックに偏向される左電子ビーム及び右電子ビームの軸4及び4’で各々示された補正ビーム傾斜を傾斜補正電子ビーム光学系に導入することができる。従って、対物レンズへの垂直ランディング及び整列のために導入されるビーム傾斜−αtilt及びαtiltを導入することができる。従って、電子ビームは、補償の後、対物レンズ150を平行に通過する。
【0057】
[0050]更に別の実施形態によれば、図2Dに示すように、静電偏向要素132’及び磁気偏向要素134’を有するアクロマチックビームセパレータ130’は、このアクロマチックビームセパレータ130’の中心軸を通過しない電子ビームに対するアクロマチックビーム偏向を調整する四極要素により与えられる重畳四極フィールドによって補償することができる。図2Bについて示したように、アクロマチックビーム偏向器は、八極要素によって実現することができる。この八極要素は、アクロマチックビームセパレータを軸ずれして通過する電子ビームに対して調整されたビーム偏向を行えるようにする。これにより、電子ビームは、図2Dに示すように、所望の方向に沿ってアクロマチックビームセパレータを出ることになり、要素140のようなビーム傾斜偏向器の分散を回避することができる。
【0058】
[0051]幾つかの実施形態によれば、走査電子顕微鏡は、信号電子を侵入させるよう適応されるビーム曲げ器(例えば、図1の160を参照)を有することができる。一次ビームが試料に収束された後に、一次荷電粒子のビームは、試料との異なる相互作用を受けて、二次粒子を形成する(ここで、「二次粒子」という語は、試料を去る全ての粒子を含むものと理解されたい)。これら二次粒子ビームは、偏向器130を通して進む二次電子、オージェ電子及び後方散乱電子を含むもので、これらは、例えば、偏向器130に向かって加速され、ビーム曲げ器160に向かって偏向される。
【0059】
[0052]一般的に、ここに開示する実施形態と結合されてもよい曲げセクタのようなビーム曲げ器は、静電、磁気、又は静電−磁気の組み合わせでよい。静電曲げセクタに要求されるスペースは、磁気部を含むセクタに必要とされるスペースより小さいので、典型的に静電セクタが使用される。静電曲げセクタは、丸い形状にされた2つの電極でよい。セクタは、負に荷電された電極と、電子ビームを曲げるように働く正に荷電された電極とを有することが可能である。これにより、電子ビームは、1つの次元に収束され、更に、高速検出に影響を及ぼし得る飛行時間作用を回避するために高いエネルギーに保持される。第2の次元における収束は、四極要素において、静電サイドプレート又は円筒状レンズにより行うことができる。これにより、例えば、二重収束セクタユニットの形態の二重収束曲げ器を設けることができる。
【0060】
[0053]これにより、二次荷電粒子のビームは、一次荷電粒子のビームに対して約90°偏向することができる。しかしながら、30°から110°の他の値、典型的に、45°から95°の間または60°から85°の間の他の値も考えられる。偏向に加えて、ビームは、典型的に、既に述べたように、収束もされる。曲げセクタを適用する1つの効果は、二次荷電粒子のビームを、一次荷電粒子ビームの直接的な近傍から離れるようにガイドすることである。従って、分析ツールを、一次荷電粒子ビーム付近の限定されたスペースに適合させる必要なく、更には、一次荷電粒子ビームとの望ましからぬ相互作用を招くこともなく、荷電粒子ビーム装置に適用することができる。
【0061】
[0054]付加的なサイドプレートが任意に設けられる電極に代わって、曲げセクタは、半球状のセクタでよい。半球状のセクタは、ビームの二次元収束を行えるようにする。従って、二重収束セクタユニットのための付加的な収束ユニットは、必要とされない。一般的に、静電ビーム曲げセクタは、円筒状又は半球状のいずれでもよい。円筒状の形式は、ビームが曲げられるときに二次電子が一方の平面では収束されるが他方の平面では収束されないということで苦慮する。半球状の曲げセクタは、二次ビームを両方の平面において収束させる。円筒状セクタは、横方向平面において収束を得るようにバイアスされたサイドプレートと共に使用して、半球状セクタと同様の収束特性を生じさせることができる。
【0062】
[0055]ここに説明する他の実施形態と結合できる一実施形態として使用されてもよいアクロマチックビームセパレータ又はビーム偏向器の1つのモデルは、以下のように説明することができる。内径36mm、2mmx2mmのX区分、及び40アンペアターンを有するサドルコイルは、更に、約30mmの長さを有してもよい。60°の角度のサドルコイルは、六極コンポーネントを減少又は回避することができる。更に、それとは別に、角度が42°及び78°のコイルの組み合わせは、六極及び十極コンポーネントを減少又は回避することができる。静電偏向器、即ち図2Bに示す電極は、内径16mm及び長さ30mmの光学的幾何学構造を有してもよい。更に、カラム電圧に対して(静的に)浮動する±500Vの偏向電圧を設けることができる。図2Bを参照して説明したように、x、y=0.7071・X、Yである場合には、六極及び十極コンポーネントを減少又は回避することができる。このモデルの場合、カラム電圧は、9.5keVとして与えられ、即ち電圧は、一般的に、カラム内にビームブーストを設けるために増加された電位(例えば、5倍、10倍、又は20倍もの増加)にセットすることができ、また、ランディングエネルギーは、各々、500eV又は1keVである。
【0063】
[0056]図3Aは、ビームセパレータのシミュレーション結果を示す。偏向は、ある程度の非点収差を生じさせる。しかしながら、非点収差は、補正するに充分なほど小さなものである。補正された非点収差が、図3Bに示されている。これにより、スポット直径は、図3Aの24nmから図3Bの約1nmへ減少することができる。図3C及び図3Dは、更に、上述したアクロマチックビームセパレータ又はアクロマチックビーム偏向器が付加的な色収差を導入しないことを示している。これにより、図3Cは、ビームセパレータがない場合のスポットを示し、図3Dは、ビームセパレータがある場合のスポットを示す。図3C及び図3Dにおいて、実質的な相違は見られない。図3Eは、ビームセパレータの更に別のシミュレーションを示し、60°サドルコイルを伴う大ビームX区分を示している。図3Eに見られるように、著しい付加的な収差、例えば、「六極」コマ、が導入されることはない。従って、大直径の60°サドルコイルは、ここに説明するアクロマチック又は低収差ビームセパレータの実施形態に対して充分であると考えられる。
【0064】
[0057]また、シミュレーションで示すことができるように、アクロマチックビーム偏向器は、試料へのランディングエネルギーのエネルギー変化に非常に敏感というのではない。従って、偏向が小さい場合は、エネルギー変化に対する公差を減少することができる。小さなエネルギー変化に対して偏向器を調整し直す必要はない。
【0065】
[0058]例えば、分光計を含んでもよい、検出に関する更に別の代替的又は付加的な具現化を以下に説明する。従って、図4を一部分参照して説明する。一般的に、アクロマチックビームセパレータは、一次電子ビームに対してはアクロマチックと考えられるが、二次信号ビームについては分散を導入することがある。理解を容易にするため、図4は、1つの一次ビーム及び1つの信号ビームしか示していない。しかしながら、複数の信号ビームについても、同じ原理を使用することができる。
【0066】
[0059]アクロマチックビーム偏向器は、信号ビームを一次ビームから分離し、3つの異なるビームで示された分散を導入する。例えば、セクタの形態のビーム曲げ器に侵入した後に、参照番号474で示された分散映像の平面で分散を見ることができる。レンズ472は、異なる信号ビームエネルギーに対応する異なる仮想映像をサブ検出要素471に結像する。これにより、エネルギーフィルタリングを実現することができる。
【0067】
[0060]中心ビームのビーム線が、図4に示されている。曲げセクタ160の直後に交差があることが明らかである。また、一般的に、他の実施形態によれば、曲げ器160の直後に、典型的には、異なる信号エネルギーをもつ異なる信号ビームの焦点に、サブ検出要素が位置されてもよい。しかしながら、レンズ472は、エネルギーの広がりを像形成及び拡大することができる。従って、異なるΔEチャンネルの高速且つ並列の検出を実現することができる。これは、例えば、ドーパントプロフィールのための元素マッピング又は電位マッピングに使用されてもよい。
【0068】
[0061]上述したように、アクロマチックビームセパレータ及び/又はビーム曲げ器は、信号電子及び一次電子を分離する。一般的に、この分離により検出システムの機械的構成を簡単化することができる。上述したように、検出は、一次及び二次ビームアレイの分離により改善することができる。このケースでは、磁界、或いは静電界と磁界の組み合せに基づくビームセパレータは、一次ビームアレイの経路から二次ビームアレイを分離することができる。ここに説明する幾つかの実施形態によれば、例えば、図2A−2Dを参照して説明したアクロマチックビームセパレータを使用することができる。「完全」な分離は、検出器の設計を簡単化し、エネルギー及び/又は角度弁別のための要素、例えば、エネルギーフィルタ及び分光計、及び/又は環状多観点検出のための要素を容易に一体化できるようにする。更に別の付加的な又は代替的な具現化によれば、検出システムは、セクタフィールドベースの分光計、遅延フィールド分光計、環状制御のためのレンズ、静列及び選択のための偏向器、等を含むことができる。従って、ここに説明する典型的な実施形態によれば、分離、フィルタリング、整列、環状制御が設けられる。
【0069】
[0062]更に別の代替的又は付加的な実施形態によれば、二重収束曲げ要素、例えば、曲げセクタ、典型的に、球状静電セクタ配列体が設けられる。典型的に、ビーム検出器は、セクタの焦点付近に位置されて、例えば、異なるビーム間のクロストークを回避することができる。スペースの必要性を改善するために、光電子増倍管(PMT)を伴うシンチレーション検出器が設けられ、ビームのためにそれらの間に例えば光ガイドが設けられる。これにより、PMTアレイのための充分なスペースを実現することができる。ここに説明する他の実施形態と結合できる更に別の実施形態によれば、検出器又は検出チャンネル上で信号電子の機械的及び/又は電磁的整列を設けることができる。複数のチャンネルの並列検出に鑑み、チャンネルごとに個々の検出電子装置をもたせることが更に考えられる。
【0070】
[0063]ここに説明する他の実施形態と結合できる幾つかの実施形態によれば、高スループットツールを設けるためのシステムは、典型的に、低電圧システムでよく、即ち試料に対して低いビームエネルギーをもつものでよい。このエネルギーは、例えば、100eVから5keVの範囲でよい。典型的に、低電圧ビームエネルギーは、例えば、8から10keV又は7から15keVの高いビームエネルギーでカラム内に電子を進行させることが考えられる。このビームブースト原理は、短い飛行に鑑み、カラム内の電子−電子の相互作用を減少することができる。更に別の代替的又は付加的な具現化によれば、カラムのコンポーネントを接地電位とする一方、エミッタ及びウェハを高電位とすることができる。これにより、走査モジュール、ビームセパレータ及び曲げ器を接地電位とすることができる。これは、特に、共通の電子ビーム光学要素を簡単化する。
【0071】
[0064]ここに説明する他の実施形態と結合できる幾つかの実施形態によれば、大きな角度で放出する高輝度ソースエミッタを使用して、高プローブ電流を実現することができる。例えば、大きなエミッタ曲率半径(例えば、0.5μm以上、又は1μm以上のこともある)をもつTFEのような熱フィールド放出カソードを使用することができる。他の実施形態によれば、CFE、ショットキーエミッタ、等を使用することができる。
【0072】
[0065]ここに説明する他の実施形態と結合できる更に別の実施形態によれば、システムの仕様は、サンプルにおいて10pAから10nA、例えば、100pAから1nAの範囲のプローブ電流を含むことができる。更に、ここに説明するシステムに使用されるスポットの直径は、1nmから50nm、典型的に、1nmから20nmの範囲でよい。
【0073】
[0066]ここに説明するシステムの更に別のオプションは、例えば、図2Bに示す八極要素により発生できる重畳電気−磁気四極をもつアクロマチックビームセパレータを含んでもよい。この四極は、ビームが対物レンズアレイを垂直入射状態で出るように、傾斜一次ビームに(一方向に)作用を及ぼすことができる。これにより、図2Dを参照して説明したように、アクロマチックビームセパレータに不平行ビームレットが使用される場合に、個々のビーム傾斜が要求されることはない。これにより、ビームの色収差を減少することができ、従って、スポットサイズ、ひいては、軸ずれビームレットの解像度を改善することができる。
【0074】
[0067]また、ここに説明する実施形態は、アクロマチックビームセパレータ(静電−磁気の双極)に静電−磁気の四極を重畳させる方法にも言及する。四極は、全システム光学軸に整列され、これにより、軸ずれビームレットを(一方向に)傾斜させて、その後の光学的要素に垂直に入れることができる。
【0075】
[0068]ここに説明する他の実施形態と結合できる更に別の実施形態によれば、高スループット及び小プローブ直径での電子ビーム検査を次のように行うことができる。一般的に、高スループット、高解像度(試料に対して小さな電子ビームプローブ)の検査装置を設けるには、上述したように、改良された検出アセンブリ及び低い分散が要求される。これにより、ビームの分離は、改良された検出アセンブリを簡単化する。更に、解像度の必要性を高くすると、カラム内での電子−電子相互作用が低い低分散のシステムが望ましくなる。電子−電子相互作用は、例えば、ビームの交差を回避し、更に/或いはカラムの長さを短くすることで減少できる。通常のビームセパレータは、磁気、静電偏向器、又はウィナーフィルタを使用している。交差が分離要素の中心に位置されない限り、これらシステムの分散を回避することができない。しかしながら、これは、光線経路の融通性を低下させ、エネルギーの幅(ベルシュ効果/電子−電子相互作用)を増加させることがある。それとは別に、対称的偏向のための二重段ウィナーフィルタ又は付加的なコンポーネントを使用して、分散作用を減少させてもよい。しかしながら、これは、カラムの光学経路の長さを増加させるので、電子−電子相互作用によりスポットサイズを増加させる。これらの制約は、アクロマチック要素をビームセパレータとして使用することにより回避することができる。
【0076】
[0069]図5は、上述したアクロマチックビームセパレータ及び本発明の実施形態による半球状のセクタを有する光学的システムを示す図である。この実施形態では、半球状セクタが両平面において二次電子ビームの収束をなすので、サイドプレートは不要である。
【0077】
[0070]図5を参照すれば、一次電子ビーム500は、プレート510の開口を通過し、アクロマチックビームセパレータ130を通過するときに曲げられる(方向を変える)。一実施例として、プレート510は、上述したように、カラムにおいてビームエネルギーをより高い電位にセットするビームブーストシステムの一部分である。一次電子ビーム500は、対物レンズ525の開口520を通過し続け、半導体ウェハ530のようなサンプルに当たる。それにより生じる二次電子ビーム535は、対物レンズ525の開口520を通過し、アクロマチックビームセパレータを通過するときに曲げられる(方向を変える)。プレート510の開口を通過した後に、二次電子ビーム535は、半球状のセクタ540に入る。
【0078】
[0071]このセクタに続くのは、二次電子ビームを電子検出器565のアクティブなエリア上の小さな(例えば、4mm直径の)スポットへと収束し、二次電子ビームのエネルギーフィルタリングを可能にする収束及びフィルタリング要素のセットである。収束は、磁気レンズ又は静電レンズのいずれかで行うことができる。静電レンズは、サイズをよりコンパクトにすると共に複雑さを低減させる。フィルタリングは、二次ビームのエネルギーを変化させなければならないので、1つ以上の静電電極を必要とする。
【0079】
[0072]図5の実施形態において、収束レンズは、レンズ550を形成する3つの電極より成る簡単な静電レンズである。SE整列手段は、例えば、電極545及び/又は555を四極として設計することで組み込むことができる。二次電子フィルタ560は、サンプルウェハとほぼ同じ電位にバイアスされる長い円筒である。
【0080】
[0073]レンズ550は、液浸レンズ又はアインツェルレンズである。ウェハがバイアスされる場合には、プレート545、555を接地することができる。
【0081】
[0074]上述した実施形態では、四極545及びプレート555がレンズ550に一体化される。一般的に、本出願に示される全ての実施形態に関して、四極及び/又はプレートがレンズとは独立して設けられると考えられる。従って、適当な数のレンズ電極が設けられ、加えて、四極545及びプレート555の電極が設けられる。更に、プレート555に代わって、四極が設けられることも考えられる。この第2の四極は、二次電子ビームの付加的な整列を行えるようにする。
【0082】
[0075]一般的に、二次電子ビームを収束するレンズは、分離ユニット(アクロマチックビームセパレータ)と検出器との間に位置される。典型的に、これは、偏向角増加ユニット(分離ユニット)とフィルタとの間に位置される。収束レンズは、静電(上述したアインツェルレンズを参照)、磁気、又は静電−磁気の組み合わせ、のいずれかである。典型的に、スペースの理由で、二次電子を収束するのに静電レンズが使用される。更に、二次電子ビームの収束ユニットとしてアインツェルレンズ又は液浸レンズを設けることもできる。
【0083】
[0076]二次電子ビーム535を検出器上の小さなスポットへと収束することで、高速像形成が可能となる。検出器の形式は、例えば、p−i−nダイオードである。このような検出器は、大電流電子ビームシステムとして優れている。というのは、それらが小型である場合には、(ほぼ1に等しい)非常に高い量子効率及び優れた応答時間を有するからである。応答時間は、装置のキャパシタンスに比例し、また、キャパシタンスは、面積に比例する。従って、面積を最小にしなければならない。しかしながら、それ故、二次電子ビームの収束が効果的である。典型的に、ほぼ600MPPS像形成速度には、4から5mm直径の検出器アクティブ面積が適当である。
【0084】
[0077]この実施形態は、pinダイオードを含むものとして説明したが、他の検出器が使用されてもよい。ここに開示する全ての実施形態に対して、高速シンチレーション検出器が使用されてもよいし、pinダイオードが使用されてもよい。検出器は、典型的に、偏向角増加ユニット、即ち、例えば、前記図面におけるセクタの後方に配列される。シンチレーション検出器の場合には、二次電子ビームは、典型的に、検出器に収束されない。従って、その寿命時間が延長され、汚染が減少される。
【0085】
[0078]通常の像形成モード(非電圧コントラスト)の場合に、収束要素の目標は、検出器に小さなスポットを形成することである。このモードでは、SEビーム収束のために、フィルタ及び収束電極の両方を使用することができる。
【0086】
[0079]電圧コントラストモードでは、フィルタ電極560は、ウェハ530の平面において(ユーザ選択可能な)設定初期エネルギーレベルより低い二次電子を拒絶するハイパスフィルタとして働く。二次電子は、セクタ540を出て、フィルタ電極フィールド内に交差が形成されるように減速静電レンズ(SE収束レンズ)を通して収束される。フィルタ電極560は、サドル電位Ufを発生する電位UFへとバイアスされる。これら電位は、一般的に、ウェハに対する相対的な電位である。それ故、電位がUfより高い状態で試料から解放される電子は、フィルタを通過することができるが、電位がUfより低い(又はそれに等しい)状態での電子は、フィルタを通過できずに、拒絶される。
【0087】
[0080]電圧コントラスト像形成の典型的な用途は、ウェハ上のデバイスにおける非充填又は充填コンタクトホールである。検査されるべきデバイスのこの層は、隔離された導電性コンタクトを伴う誘電体材料のフィールドより成り、導電性コンタクトは、その下の大キャパシタンス金属層又はバルクシリコンのいずれかへ至る通路を有している。電子ビーム検査において好結果を示している1つの電圧コントラスト技術は、誘電体材料を電子ビームで5から50Vの範囲の値へ正に荷電することである。それ故、荷電された誘電体から放出する二次電子は、それが脱出して検出信号に貢献するためにはその初期エネルギーが表面電荷電位より大きくなければならない。良好なコンタクトから放出される二次電子は、本質的に、接地された基板から放出され、接地された金属材料に関連した典型的な二次エネルギー分布は、ピークがほぼ2eVである。次いで、初期エネルギーが(例えば)5eVより大きな全ての電子が検出されるように二次信号をフィルタする場合には、荷電された誘電体を表す映像の領域が暗く見えると共に、良好なコンタクトが明るく見える。
【0088】
[0081]一般的に、ここに説明する実施形態は、対応するシステムのアレイを設けるように使用できる。従って、例えば、試料上にビームを走査する第1の走査段、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応されるアクロマチックビームセパレータ、及び信号電子を検出する検出ユニットを含む多数のアセンブリを互いに隣接して設けて、それに対応する検査、テスト又は像形成システムを2倍以上設けるにより、スループットを更に高めることができる。これらのアセンブリは、アレイの形態で、又は典型的に一次元に沿って、互いに隣接して設けることができる。従って、マルチビームモジュール又はマルチカラムモジュールを提供することができる。
【0089】
[0082]以上に鑑み、幾つかの実施形態は、走査荷電粒子ビーム装置を提供する。この装置は、一次電子ビームを放出するためのビームエミッタと、試料上にビームを走査するための第1の走査段と、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応されるアクロマチックビームセパレータと、信号電子を検出するための検出ユニットとを含む。任意の具現化によれば、この装置は、試料上にビームを走査するための第2の走査段を含み、例えば、第1の走査段と第2の走査段との間にアクロマチックビームセパレータを位置させることができ、また、検出ユニットは、マルチチャンネル検出ユニットである。他の付加的な又は代替的な具現化によれば、二重収束ビーム曲げ器、特に、半球状セクタを設けることができ、アクロマチックビームセパレータのフィールド上に四極フィールドを重畳させる手段を設けることができ、マルチチャンネル検出ユニットは、エネルギーフィルタを含むことができ、マルチチャンネル検出ユニットは、第1(大きな)角度のための検出器と、この第1角度より小さい第2角度のための検出器とを含むことができ、更に/或いはマルチチャンネル検出ユニットは、二次電子、オージェ電子及び後方散乱電子を検出するように適応させることができる。
【0090】
[0083]ここに説明する他の実施形態と結合できる更に別の実施形態によれば、マルチチャンネル検出ユニットは、2つ以上の検出サブ要素と、エネルギーの異なる信号電子を異なる検出サブ要素へガイドするための手段とを有することができ、また、装置は、エミッタとサンプルとの間に約300mm以下の光学的長さを有することができ、ビームエミッタは、少なくとも1x108Am−2sr−1eV−1、特に、1x108から1x1012Am−2sr−1eV−1の範囲の減少輝度を設けるように適応させることができ、第1及び/又は第2の走査段は、少なくとも10MHzのピクセル周波数、特に、50MHzから3GHzのピクセル周波数の範囲の走査速度で走査するように適応させることができ、アクロマチックビームセパレータは、交差をもたないビーム経路位置に設けることができ、また、アクロマチックビームセパレータは、一次電子ビームが対物レンズによって画成された光学軸に対して第1の角度で傾斜されるようにビーム経路位置に設けることができ、更に/或いはビームエミッタは、対物レンズによって画成された光学軸に対して第1の角度で一次電子ビームを放出することができる。
【0091】
[0084]他の実施形態によれば、装置のアレイを設け或いは装置を1行又は2行設けて、スループットを更に高めることができる。従って、装置は、一次電子ビームを放出するための少なくとも1つの更に別のビームエミッタと、試料上にビームを走査するための少なくとも1つの更に別の第1走査段と、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応される少なくとも1つの更に別のアクロマチックビームセパレータと、信号電子を検出するための少なくとも1つの更に別の検出ユニットとを含む。また、ここに説明するいずれかの実施形態による2つ以上の装置を備えた走査荷電粒子ビーム装置アセンブリが提供されることも考えられる。
【0092】
[0085]更に他の実施形態によれば、荷電粒子ビームのためのアクロマチックビーム偏向器を操作する方法を提供することができる。アクロマチックビーム偏向器は、光学軸を有する。この方法は、偏向静電双極フィールドを設けるステップと、偏向磁気双極フィールドを設けるステップと、磁気双極フィールド及び静電双極フィールドに四極フィールドを重畳するステップとを含み、静電双極フィールド及び磁気双極フィールドは、アクロマチックビーム偏向を設けるように互いに調整され、更に、四極フィールドは、軸ずれした荷電粒子ビームのビーム傾斜を補正するように調整される。典型的な具現化によれば、荷電粒子ビームは、0.3°から7°の角度で偏向することができ、四極フィールドは、アクロマチックビーム偏向器の光学軸に整列させることができ、マルチビームアレイの軸ずれビームを補正することができ、更に/或いは補正を一方向に沿って行うことができる。
【0093】
[0086]以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに他の実施形態及び更に別の実施形態を案出することができ、従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0094】
20…試料、31…磁界、32…磁気力、33…電気力、100…ビーム走査電子ビーム装置、130…アクロマチックビームセパレータ、132…静電偏向要素、134…磁気偏向要素、142…軸、146…シールド電極、150…レンズ、160…二重収束ビーム曲げ器、163…コイル、165…プレート形状の電極、170…電子ビーム、172…大角度検出器、178…小角度検出器、471…サブ検出要素、472…レンズ、500…一次電子ビーム、510…プレート、520…開口、525…対物レンズ、530…半導体ウェハ、535…二次電子ビーム、540…半球状セクタ、545、555…電極、550…レンズ、560…二次電子フィルタ、563…絶縁体、564…コア、565…電子検出器、566…ハウジング
【発明の分野】
【0001】
[0001]本発明は、ビーム電子顕微鏡、特に、半導体産業のための高スループットツールに関する。より詳細には、ビーム走査荷電粒子ビーム装置、ビーム走査荷電粒子ビーム装置を操作する方法、及びビーム走査荷電粒子ビーム装置の使用に関する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]近代的な半導体デバイスは、設計者の意図した機能を集合的に具現化する約20−30パターン層のコンポーネントである。一般的に、設計者は、チップの機能性を、VHDLのような高レベルの行動設計言語で記述し、次いで、一連のEDAツールがその高レベル記述をGDSIIファイルへと変換する。GDSIIファイルは、異なる層のパターンを記述する多角形及び他の形状の幾何学的記述を含む。デバイスを形成するのに使用される製造プロセスのためのプロセス設計ルールを付随するGDSIIファイルは、レイアウト上での意図された幾何学構造を関連公差と共に記述する。
【0003】
[0003]近代的なホトリソグラフィーは、ステッパー波長を193nmに保ちながら90nmから45nm及び32nmまで移動することに関連したものを含む多数の難題を提示している。これは、意図されたレイアウト幾何学構造を、GDSIIファイルの後解像度向上技術(RET)形態へと更に変換することを要求する。この新規なGDSIIファイルは、光学的接近度補正(OPC)及びマスク技術に対するパターン変更を含む。意図された幾何学構造をウェハ上にプリントするには、OPC補正、マスク形成及びステッパー条件の複雑なセットが要求される。
【0004】
[0004]以上に鑑み、半導体技術は、ナノメートルスケール内で試料を構造化し探知するための高い需要を生み出した。マイクロメートル及びナノメートルスケールのプロセス制御、検査及び構造化は、ほとんどの場合、荷電粒子ビームで行われる。探知又は構造化は、ほとんどの場合、荷電粒子ビーム装置において発生されて収束される荷電粒子ビームで遂行される。荷電粒子ビーム装置は、例えば、電子顕微鏡、電子ビームパターンジェネレータ、イオン顕微鏡及びイオンビームパターンジェネレータである。荷電粒子ビーム、特に、電子ビームは、同等の粒子エネルギーにおいて波長が短いために、光子ビームに比して優れた空間的解像度を与える。
【0005】
[0005]半導体製造の場合、幾何学的構造を全体的に走査するためのツールでは、スループットが著しく制限される。CD−SEM解像度が1nmと仮定すれば、10mm2ダイは、10E14ピクセルを含む。従って、レイアウト全体をカバーするには、高速検査アーキテクチャーが望まれる。
【0006】
[0006]高スループットの電子ビームシステムは、例えば、高速ウェハ検査に使用できる複数の電子ビームを伴うシステムで、一般的には、数センチメートル範囲の間隔を有する従来の単一ビームカラムのアレイによるか、又はビームのアレイを伴う単一カラムによって実現される。後者のケースにおいて、ビームアレイは、10μm−100μm範囲の比較的小さな電子ビーム間隔を有している。従って、数百又は数千といった多数のビームを使用することができる。しかしながら、ビームの個々の補正が困難である。
【0007】
[0007]電子ビーム光学系を利用して、望ましい信号対雑音比(SNR)及び解像度内でチップ層の全幾何学構造を走査し、設計上意図されたGDSIIファイル、即ち元のGDSIIファイルに対してウェハパターンの幾何学構造を抽出し且つ検証できるようにするツールを提供するには、改良型で且つ異なるシステム設計を考慮しなければならない。
【概要】
【0008】
[0008]以上に鑑み、独立請求項1に記載の荷電走査粒子ビーム装置と、独立請求項15に記載の荷電粒子ビーム用のアクロマチックビーム偏向器を操作する方法が提供される。
【0009】
[0009]一実施形態によれば、走査荷電粒子ビーム装置が提供される。この装置は、一次電子ビームを放出するためのビームエミッタと、試料上にビームを走査させるための第1の走査段と、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応されたアクロマチックビームセパレータと、信号電子を検出するための検出ユニットとを備えている。
【0010】
[0010]ここに説明する実施形態と結合できる更に別の効果、特徴、態様及び細部は、従属請求項、説明及び図面から明らかとなろう。
【0011】
[0011]別の実施形態によれば、光学軸を有する荷電粒子ビーム用のアクロマチックビーム偏向器を操作する方法が提供される。この方法は、偏向する静電双極フィールドを設けるステップと、偏向する磁気双極フィールドを設けるステップと、磁気双極フィールド及び静電双極フィールドに四極フィールドを重畳させるステップとを備え、静電双極フィールド及び磁気双極フィールドは、アクロマチックビーム偏向を設けるように互いに調整され、且つ四極フィールドは、軸ずれした荷電粒子ビームのビーム傾斜を補正するように調整される。
【0012】
[0012]また、これらの実施形態は、ここに開示する方法を実施する装置であって、ここに説明する各方法ステップを遂行するための装置部分を含む装置にも向けられる。これら方法ステップは、ハードウェアコンポーネント、適当なソフトウェアでプログラムされたコンピュータ、それら2つの組み合わせ、或いは他の仕方で遂行されてもよい。更に、本発明による実施形態は、ここに説明する装置を操作する方法にも向けられる。これは、装置の各機能を実行するための方法ステップを含む。
【0013】
[0013]本発明の前述した特徴を詳細に理解できるように、概要について簡単に前述した本発明を、その実施形態を参照して、詳細に説明する。添付図面は、本発明の実施形態を例示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ここに説明する実施形態による高スループット走査電子ビーム装置の概略図である。
【図2A】ここに説明する実施形態によるビーム走査電子ビーム装置のためのアクロマチックビームセパレータの概略図である。
【図2B】ここに説明する実施形態によるビーム走査電子ビーム装置のためのアクロマチックビームセパレータの別の概略図である。
【図2C】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータ及びその軸ずれ補正を示す概略拡大図である。
【図2D】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータ及びその更に別の軸ずれ補正を示す概略拡大図である。
【図3A】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータに対するモデルシミュレーションの結果を示す。
【図3B】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータに対するモデルシミュレーションの結果を示す。
【図3C】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータに対するモデルシミュレーションの結果を示す。
【図3D】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータに対するモデルシミュレーションの結果を示す。
【図3E】ここに説明する実施形態によるアクロマチックビームセパレータに対するモデルシミュレーションの結果を示す。
【図4】ここに説明する実施形態による走査電子ビーム装置の検出スキームを示す概略図である。
【図5】ここに説明する実施形態による更に別の高スループット走査電子ビーム装置の概略図である。
【発明の詳細な説明】
【0015】
[0014]図面に1つ以上の実施例が示された本発明の種々の実施形態について以下に詳細に説明する。各実施例は、本発明を例示するためのもので、本発明をそれに限定するものではない。例えば、1つの実施形態の一部分として示され又は説明された特徴を他の実施形態に又はそれに関連して使用して、更に別の実施形態を生み出すこともできる。本発明は、このような変更及び修正を含むことが意図される。
【0016】
[0015]本出願の保護の範囲を限定することなく、以下、荷電粒子ビーム装置又はそのコンポーネントは、例えば、二次電子の検出を含む荷電粒子ビーム装置とも称される。また、本発明は、試料の映像を得るために、電子又はイオン、光子、X線又は他の信号の形態の二次及び/又は後方散乱荷電粒子のような小体(corpuscle)を検出する装置及びコンポーネントにも適用することができる。
【0017】
[0016]一般的に、小体と言うときには、それは、小体が光子である光信号として、及び小体がイオン、原子、電子又は他の粒子である粒子として理解されたい。
【0018】
[0017]図面についての以下の説明の中で、同じ参照番号は、同じコンポーネントを指す。一般的に、個々の実施形態に対する相違についてのみ説明する。
【0019】
[0018]また、ここで「試料」と言うときには、半導体ウェハ、半導体ワークピース、及び他のワークピース、例えば、メモリディスク、等を含むが、これらに限定されない。本発明の実施形態は、材料が堆積されるワークピースや、検査又は構造化されるワークピースに適用することができる。試料は、構造化される面又は層が堆積される面、縁、及び典型的に斜面を含む。
【0020】
[0019]走査電子顕微鏡は、ビームエミッタを含む。図1に示すように、エミッタ先端102をもつビームエミッタは、電子ビームを放射する。走査電子ビーム装置100は、銃コンデンサエリア内にコンデンサレンズ123を備えている。ビームエミッタ内のエミッタ先端102は、例えば、コールドフィールドエミッタである。
【0021】
[0020]ここに説明する幾つかの実施形態によれば、ビームは、エミッタから放射された後に、電子光学モジュール122/124を通して進む。この光学モジュールは、電子ビームを整形するために、例えば、異なるサイズの1つ以上のアパーチャーをもつアパーチャープレートを備えている。異なるサイズのアパーチャー開口が設けられる場合には、所望のアパーチャー開口を選択することによりビーム電流を選択することができる。更に、アパーチャー開口を通るビーム路を選択し、ビームを整列させ、更に/或いは非点補正を行うために偏向及び補正要素が設けられる。
【0022】
[0021]ここに説明する実施形態によれば、エミッタは、典型的に、1x108から1x1012Am−2sr−1eV−1の範囲の減少輝度を有する。これは、充分な信号対雑音比で高速走査を行えるようにする。高速走査は、製造プロセスのスループット要件を満足するために望まれる。従って、「減少」という技術的用語は、輝度が荷電粒子のエネルギーへ正規化されることを意味する。
【0023】
[0022]装置における走査は、例えば、2つの高速走査段で行うことができる。従って、2つの段は、1つの方向に少なくとも1μm、例えば、10μmから500μmの範囲の充分に大きな走査フィールドを許容する。単一段走査偏向は、若干減少された走査フィールドしか与えないが、多くの用途では充分である。ここに説明するいずれかの実施形態と結合できる更に別の実施形態によれば、走査速度は、典型的に、少なくとも10MHzピクセル周波数、例えば、50MHzから3GHzピクセル周波数の範囲とすることができる。
【0024】
[0023]ここに説明する実施形態によれば、第1走査段は、アクロマチックビームセパレータの前に設けられ、第2走査段は、アクロマチックビームセパレータの後に設けられる。即ち、典型的に一次ビームと信号ビーム(1つ又は複数)を分離するためのアクロマチックビームセパレータが第1走査段と第2走査段との間に設けられる。ビームセパレータは、図2Aから図2Cを参照して詳細に説明する。
【0025】
[0024]ここに説明する更に別の付加的な又は代替的な具現化によれば、走査段は、静電、磁気、又は静電−磁気の組み合せ、のいずれの走査段でもよい。
【0026】
[0025]ここに説明する実施形態によれば、ビーム走査電子ビーム装置100は、電子ビームを収束する対物レンズであるレンズ150を更に含む。このレンズ150は、静電、磁気、又は静電−磁気の組み合せでもよい。ここに説明する他の実施形態と結合できる幾つかの実施形態によれば、装置100は、シールド電極146を更に含む。これは、例えば、静電−磁気の組み合わせ対物レンズの一部分として、ビームブースト(例えば、エミッタとレンズとの間のカラムにおけるビームの2、5又は10倍高いエネルギー)を設ける要素の一部分として、更に/或いは信号電子を加速する要素の一部分として使用することができる。
【0027】
[0026]走査電子ビーム装置は、多数の検出要素をもつ検出アセンブリを含む。一般に、信号電子は、試料20への一次ビームの衝撃で発生される。解放された電子は、レンズの開口に向かい且つそれを通して加速することができる。更に、信号電子は、典型的に、二次電子、オージェ電子、及び/又は後方散乱電子である。特に、磁界及び電界により設けられるアクロマチックビームセパレータ130は、一次ビームから信号電子を分離する。
【0028】
[0027]図1に示すように、ここに説明するいずれかの実施形態と結合できる幾つかの実施形態によれば、信号電子は、例えば、セクタの形態の二重収束ビーム曲げ器160により一次ビームから更に分離させることができる。この二重収束曲げ器は、以下に詳細に説明する。
【0029】
[0028]図1に示すように、信号電子ビーム(1つ又は複数)を収束するための収束レンズによって検出が行われる。従って、信号電子の損失を減少することができる。これは、高速走査に望まれる信号対雑音比を改善する。更に、小角度検出器178及び大角度検出器172が設けられる。これら2つの検出器の間には、バイアス型プレートの形態のエネルギーフィルタが設けられる。この配列は、信号電子の効率的な高速検出を行えるようにする。1つのシンチレータ及び光電子増倍管しかもたないシステムに比して情報の量が増加される。情報量の増加は、所定の信号対雑音比における高速走査も改善する。従って、ここに説明する実施形態は、例えば、図1を参照して上述したマルチチャンネル検出を含む。
【0030】
[0029]図1は、高スループットツールの実施例を示す。ビーム走査電子ビーム装置100の特徴は、大電流、高解像度CFE、2段システムによる高速及び大走査を含むか、或いは高輝度TFE又はCFEエミッタ、2段システムによる高速及び大走査を含むことができる。また、マルチチャンネル検出器による高速多観点(a fast multi-perspective)検出も含む。従って、高速検出に対して信号対雑音比を改善するために、典型的に、二次電子、オージェ電子及び後方散乱電子を測定することができる。従って、検出要素は、二次電子、オージェ電子及び/又は後方散乱電子を感知する。幾つかの実施形態によれば、更に、エネルギー及び/又は角度の感度を設けることができる。
【0031】
[0030]一般的に、幾つかの実施形態によれば、半導体製造プロセスの運転に対する強靭性は、カラムサイズの減少で設けることができる。従って、光学軸に沿った長さ寸法、即ち一般的にカラムの高さは、100から400mmの範囲で設けることができる。
【0032】
[0031]更に別の実施形態によれば、エミッタ、即ち銃のコンデンサエリアは、次のように設けることができる。一実施形態によれば、単一エミッタ電子銃、典型的に、TFEソースを使用することができる。更に別の実施形態によれば、仮想ソースz位置(zは光学軸を表す)を調整し、更に/或いはアパーチャーを対物レンズアレイと一致させるためのコンデンサを含ませることができる。更に別の代替的又は付加的な変形例によれば、アパーチャーを整列させるためにアパーチャー用のX−Y段を設けることができる。典型的に、例えば、電気−磁気整列を有することができる。更に別の付加的な又は代替的な変形例によれば、機械的なアパーチャー段を設けることができる。
【0033】
[0032]ここに説明するいずれかの実施形態と結合できる他の実施形態によれば、静電偏向要素及び磁気偏向要素を有するアクロマチック偏向器130又はアクロマチックビームセパレータ130を設けることができる。図1においては、磁気偏向要素を示すために磁界が指示されている。アクロマチック偏向器130は、一次電子ビームを偏向し、一次電子ビームを、二次電子ビーム(1つ又は複数)、即ち信号電子から分離する。
【0034】
[0033]図2Aは、アクロマチックセパレータの拡大図である。最先端の電子ビーム装置は、そのほとんどが、一次及び二次ビームのビーム分離のために磁気偏向器又はウィナーフィルタを使用している。従って、z軸(光学軸)に直角の、実質的に垂直の静的な電界及び磁界が使用される。イオンに作用する力は、クーロン力、
【0035】
【数1】
【0036】
[0034]及びローレンツ力、
【0037】
【数2】
【0038】
によって与えられる。
【0039】
[0035]両方とも長さ1である電界及び磁界中のイオンの偏向角度は、次の式で記述することができる。
【0040】
【数3】
【0041】
[0036]図2Aは、アクロマチック曲げ器又はアクロマチックビームスプリッタ130の一実施形態を示す。ここでは、コイル巻線163及びプレート形状の電極165が示されている。コイル163は、磁界31を発生する。この磁界は、電子ビーム170のための磁力32を発生する。この磁力は、式2に基づいて発生される。磁界31に実質的に垂直に、電極165間に電界が発生される。従って、磁気力とは実質的に反対の電気力33が発生される。
【0042】
[0037]図2Aに示す実施形態は、垂直の均一の磁界及び電界を発生する。図2Aにおいては、電子がアクロマチック偏向器に入るときに電子ビーム路170が軸142に対して若干傾斜される。電子は、アクロマチック偏向器に侵入した後に本質的に軸144に沿って進行するようにアクロマチック偏向器内で偏向される。これは、式3の導関数に鑑み、理解することができ、即ち次の通りである。
【0043】
【数4】
【0044】
[0038]偏向角は、磁気力が電気力の2倍に等しいという条件が満足される場合に、電子の速度とは独立したものになる。図2Aにおいて、これは、力を指示する矢印32及び33の長さで示される。
【0045】
[0039]ここに示す実施形態では、アクロマチック偏向器162は、少なくとも次の特徴の1つによって説明することができる。一実施形態によれば、20から80アンペアターン(Aターン)、例えば、40Aターンを設けることができる。更に別の実施形態によれば、約10から400のコイル巻線を設けることができる。別の実施形態によれば、50から500のコイル巻線を設けることができる。それでも、更に多くのコイル巻線、例えば、数千までのコイル巻線を設けることが考えられる。
【0046】
[0040]
[0041]なお更に別の実施形態によれば、アクロマチック偏向角は、0.3°から7°である。更に別の実施形態によれば、偏向角は、1°から3°である。
【0047】
[0042]図2Aに示すアクロマチックビーム偏向器又はビームスプリッタは、本発明に基づいて使用することができる。従って、上述したように、静電偏向は、次のように表される。
【0048】
【数5】
【0049】
[0043]更に、磁気偏向は、次のように表される。
【0050】
【数6】
【0051】
[0044]上述したように、磁気偏向が静電偏向のマイナス2倍に等しい場合には、色収差(分散)を伴わない偏向を実現することができる。
【0052】
[0045]図2Bに示されてここに説明する幾つかの実施形態によれば、実質的に純粋な双極フィールドを含むシステムを使用することができる。図2Bは、8個の電極及び極片を有するシステムを示す。コア564は、絶縁体563を経てハウジング566に接続される。コア、ひいては、極片を励起するためのコイルは、コア564の周りに巻かれる。コアの他端には電極−極片567/8が設けられる。例えば、図2Aに示す偏向ユニットを使用する実施形態によれば、磁界及び電界に対して同様にフリンジフィールドを与えて、非常に純粋な双極フィールドを発生することができる。しかしながら、8個のコイル及び8個の電極を含むシステムは、より多くの電流源及び電圧源を必要とし、コストが増加される。その結果、ここに説明する実施形態に対して2つの極(電気及び磁気)を各々有する最適化されたシステムを典型的に使用することができる。
【0053】
[0046]一般的に、ここに説明する実施形態は、高スループット、高解像度の像形成システムに関する。像形成システム(ビーム走査電子ビーム装置)は、球面収差及び色収差の低い高性能対物レンズを伴うビームシステムと、一次及び二次の電子ビームを分離するための低操作ビームセパレータと、マルチチャンネル信号検出部とを含むことができる。
【0054】
[0047]図2Cに示すように、幾つかの実施形態によれば、電子ビームが光学軸に平行な共通のアクロマチックビームセパレータに入らない場合には、全ての電子ビームに対して上述したアクロマチック条件を満足することができない。アクロマチック偏向器の上に第1の走査段が設けられることに鑑み、特に大きな走査エリアでは無視できないビーム傾斜が生じ得る。
【0055】
[0048]図2Cは、静電偏向要素132及び磁気偏向要素134を有するアクロマチックビームセパレータ130に入る3つの例示的な電子ビームを示している。説明を容易にするために、ビームは、互いに隣接して描かれている。これにより、中央のビームは、上述したアクロマチック条件を満足するように示されている。しかしながら、他の2つの電子ビームは、対物レンズアセンブリ150の光学軸2に対して指示される傾斜角が中央の電子ビームとは異なり、各々、傾斜軸4及び4’を有する。従って、傾斜した電子ビームの場合に、アクロマチックビームセパレータは、全ての電子ビームに対して完全にアクロマチックではなく、従って、低収差ビームセパレータとして表すことができる。
【0056】
[0049]幾つかの実施形態によれば、図2Cに示すように、四極要素等の形態の傾斜補正電子ビーム光学系140を設けることができる。これにより、中央の電子ビームに平行ではなく且つアクロマチックに偏向される左電子ビーム及び右電子ビームの軸4及び4’で各々示された補正ビーム傾斜を傾斜補正電子ビーム光学系に導入することができる。従って、対物レンズへの垂直ランディング及び整列のために導入されるビーム傾斜−αtilt及びαtiltを導入することができる。従って、電子ビームは、補償の後、対物レンズ150を平行に通過する。
【0057】
[0050]更に別の実施形態によれば、図2Dに示すように、静電偏向要素132’及び磁気偏向要素134’を有するアクロマチックビームセパレータ130’は、このアクロマチックビームセパレータ130’の中心軸を通過しない電子ビームに対するアクロマチックビーム偏向を調整する四極要素により与えられる重畳四極フィールドによって補償することができる。図2Bについて示したように、アクロマチックビーム偏向器は、八極要素によって実現することができる。この八極要素は、アクロマチックビームセパレータを軸ずれして通過する電子ビームに対して調整されたビーム偏向を行えるようにする。これにより、電子ビームは、図2Dに示すように、所望の方向に沿ってアクロマチックビームセパレータを出ることになり、要素140のようなビーム傾斜偏向器の分散を回避することができる。
【0058】
[0051]幾つかの実施形態によれば、走査電子顕微鏡は、信号電子を侵入させるよう適応されるビーム曲げ器(例えば、図1の160を参照)を有することができる。一次ビームが試料に収束された後に、一次荷電粒子のビームは、試料との異なる相互作用を受けて、二次粒子を形成する(ここで、「二次粒子」という語は、試料を去る全ての粒子を含むものと理解されたい)。これら二次粒子ビームは、偏向器130を通して進む二次電子、オージェ電子及び後方散乱電子を含むもので、これらは、例えば、偏向器130に向かって加速され、ビーム曲げ器160に向かって偏向される。
【0059】
[0052]一般的に、ここに開示する実施形態と結合されてもよい曲げセクタのようなビーム曲げ器は、静電、磁気、又は静電−磁気の組み合わせでよい。静電曲げセクタに要求されるスペースは、磁気部を含むセクタに必要とされるスペースより小さいので、典型的に静電セクタが使用される。静電曲げセクタは、丸い形状にされた2つの電極でよい。セクタは、負に荷電された電極と、電子ビームを曲げるように働く正に荷電された電極とを有することが可能である。これにより、電子ビームは、1つの次元に収束され、更に、高速検出に影響を及ぼし得る飛行時間作用を回避するために高いエネルギーに保持される。第2の次元における収束は、四極要素において、静電サイドプレート又は円筒状レンズにより行うことができる。これにより、例えば、二重収束セクタユニットの形態の二重収束曲げ器を設けることができる。
【0060】
[0053]これにより、二次荷電粒子のビームは、一次荷電粒子のビームに対して約90°偏向することができる。しかしながら、30°から110°の他の値、典型的に、45°から95°の間または60°から85°の間の他の値も考えられる。偏向に加えて、ビームは、典型的に、既に述べたように、収束もされる。曲げセクタを適用する1つの効果は、二次荷電粒子のビームを、一次荷電粒子ビームの直接的な近傍から離れるようにガイドすることである。従って、分析ツールを、一次荷電粒子ビーム付近の限定されたスペースに適合させる必要なく、更には、一次荷電粒子ビームとの望ましからぬ相互作用を招くこともなく、荷電粒子ビーム装置に適用することができる。
【0061】
[0054]付加的なサイドプレートが任意に設けられる電極に代わって、曲げセクタは、半球状のセクタでよい。半球状のセクタは、ビームの二次元収束を行えるようにする。従って、二重収束セクタユニットのための付加的な収束ユニットは、必要とされない。一般的に、静電ビーム曲げセクタは、円筒状又は半球状のいずれでもよい。円筒状の形式は、ビームが曲げられるときに二次電子が一方の平面では収束されるが他方の平面では収束されないということで苦慮する。半球状の曲げセクタは、二次ビームを両方の平面において収束させる。円筒状セクタは、横方向平面において収束を得るようにバイアスされたサイドプレートと共に使用して、半球状セクタと同様の収束特性を生じさせることができる。
【0062】
[0055]ここに説明する他の実施形態と結合できる一実施形態として使用されてもよいアクロマチックビームセパレータ又はビーム偏向器の1つのモデルは、以下のように説明することができる。内径36mm、2mmx2mmのX区分、及び40アンペアターンを有するサドルコイルは、更に、約30mmの長さを有してもよい。60°の角度のサドルコイルは、六極コンポーネントを減少又は回避することができる。更に、それとは別に、角度が42°及び78°のコイルの組み合わせは、六極及び十極コンポーネントを減少又は回避することができる。静電偏向器、即ち図2Bに示す電極は、内径16mm及び長さ30mmの光学的幾何学構造を有してもよい。更に、カラム電圧に対して(静的に)浮動する±500Vの偏向電圧を設けることができる。図2Bを参照して説明したように、x、y=0.7071・X、Yである場合には、六極及び十極コンポーネントを減少又は回避することができる。このモデルの場合、カラム電圧は、9.5keVとして与えられ、即ち電圧は、一般的に、カラム内にビームブーストを設けるために増加された電位(例えば、5倍、10倍、又は20倍もの増加)にセットすることができ、また、ランディングエネルギーは、各々、500eV又は1keVである。
【0063】
[0056]図3Aは、ビームセパレータのシミュレーション結果を示す。偏向は、ある程度の非点収差を生じさせる。しかしながら、非点収差は、補正するに充分なほど小さなものである。補正された非点収差が、図3Bに示されている。これにより、スポット直径は、図3Aの24nmから図3Bの約1nmへ減少することができる。図3C及び図3Dは、更に、上述したアクロマチックビームセパレータ又はアクロマチックビーム偏向器が付加的な色収差を導入しないことを示している。これにより、図3Cは、ビームセパレータがない場合のスポットを示し、図3Dは、ビームセパレータがある場合のスポットを示す。図3C及び図3Dにおいて、実質的な相違は見られない。図3Eは、ビームセパレータの更に別のシミュレーションを示し、60°サドルコイルを伴う大ビームX区分を示している。図3Eに見られるように、著しい付加的な収差、例えば、「六極」コマ、が導入されることはない。従って、大直径の60°サドルコイルは、ここに説明するアクロマチック又は低収差ビームセパレータの実施形態に対して充分であると考えられる。
【0064】
[0057]また、シミュレーションで示すことができるように、アクロマチックビーム偏向器は、試料へのランディングエネルギーのエネルギー変化に非常に敏感というのではない。従って、偏向が小さい場合は、エネルギー変化に対する公差を減少することができる。小さなエネルギー変化に対して偏向器を調整し直す必要はない。
【0065】
[0058]例えば、分光計を含んでもよい、検出に関する更に別の代替的又は付加的な具現化を以下に説明する。従って、図4を一部分参照して説明する。一般的に、アクロマチックビームセパレータは、一次電子ビームに対してはアクロマチックと考えられるが、二次信号ビームについては分散を導入することがある。理解を容易にするため、図4は、1つの一次ビーム及び1つの信号ビームしか示していない。しかしながら、複数の信号ビームについても、同じ原理を使用することができる。
【0066】
[0059]アクロマチックビーム偏向器は、信号ビームを一次ビームから分離し、3つの異なるビームで示された分散を導入する。例えば、セクタの形態のビーム曲げ器に侵入した後に、参照番号474で示された分散映像の平面で分散を見ることができる。レンズ472は、異なる信号ビームエネルギーに対応する異なる仮想映像をサブ検出要素471に結像する。これにより、エネルギーフィルタリングを実現することができる。
【0067】
[0060]中心ビームのビーム線が、図4に示されている。曲げセクタ160の直後に交差があることが明らかである。また、一般的に、他の実施形態によれば、曲げ器160の直後に、典型的には、異なる信号エネルギーをもつ異なる信号ビームの焦点に、サブ検出要素が位置されてもよい。しかしながら、レンズ472は、エネルギーの広がりを像形成及び拡大することができる。従って、異なるΔEチャンネルの高速且つ並列の検出を実現することができる。これは、例えば、ドーパントプロフィールのための元素マッピング又は電位マッピングに使用されてもよい。
【0068】
[0061]上述したように、アクロマチックビームセパレータ及び/又はビーム曲げ器は、信号電子及び一次電子を分離する。一般的に、この分離により検出システムの機械的構成を簡単化することができる。上述したように、検出は、一次及び二次ビームアレイの分離により改善することができる。このケースでは、磁界、或いは静電界と磁界の組み合せに基づくビームセパレータは、一次ビームアレイの経路から二次ビームアレイを分離することができる。ここに説明する幾つかの実施形態によれば、例えば、図2A−2Dを参照して説明したアクロマチックビームセパレータを使用することができる。「完全」な分離は、検出器の設計を簡単化し、エネルギー及び/又は角度弁別のための要素、例えば、エネルギーフィルタ及び分光計、及び/又は環状多観点検出のための要素を容易に一体化できるようにする。更に別の付加的な又は代替的な具現化によれば、検出システムは、セクタフィールドベースの分光計、遅延フィールド分光計、環状制御のためのレンズ、静列及び選択のための偏向器、等を含むことができる。従って、ここに説明する典型的な実施形態によれば、分離、フィルタリング、整列、環状制御が設けられる。
【0069】
[0062]更に別の代替的又は付加的な実施形態によれば、二重収束曲げ要素、例えば、曲げセクタ、典型的に、球状静電セクタ配列体が設けられる。典型的に、ビーム検出器は、セクタの焦点付近に位置されて、例えば、異なるビーム間のクロストークを回避することができる。スペースの必要性を改善するために、光電子増倍管(PMT)を伴うシンチレーション検出器が設けられ、ビームのためにそれらの間に例えば光ガイドが設けられる。これにより、PMTアレイのための充分なスペースを実現することができる。ここに説明する他の実施形態と結合できる更に別の実施形態によれば、検出器又は検出チャンネル上で信号電子の機械的及び/又は電磁的整列を設けることができる。複数のチャンネルの並列検出に鑑み、チャンネルごとに個々の検出電子装置をもたせることが更に考えられる。
【0070】
[0063]ここに説明する他の実施形態と結合できる幾つかの実施形態によれば、高スループットツールを設けるためのシステムは、典型的に、低電圧システムでよく、即ち試料に対して低いビームエネルギーをもつものでよい。このエネルギーは、例えば、100eVから5keVの範囲でよい。典型的に、低電圧ビームエネルギーは、例えば、8から10keV又は7から15keVの高いビームエネルギーでカラム内に電子を進行させることが考えられる。このビームブースト原理は、短い飛行に鑑み、カラム内の電子−電子の相互作用を減少することができる。更に別の代替的又は付加的な具現化によれば、カラムのコンポーネントを接地電位とする一方、エミッタ及びウェハを高電位とすることができる。これにより、走査モジュール、ビームセパレータ及び曲げ器を接地電位とすることができる。これは、特に、共通の電子ビーム光学要素を簡単化する。
【0071】
[0064]ここに説明する他の実施形態と結合できる幾つかの実施形態によれば、大きな角度で放出する高輝度ソースエミッタを使用して、高プローブ電流を実現することができる。例えば、大きなエミッタ曲率半径(例えば、0.5μm以上、又は1μm以上のこともある)をもつTFEのような熱フィールド放出カソードを使用することができる。他の実施形態によれば、CFE、ショットキーエミッタ、等を使用することができる。
【0072】
[0065]ここに説明する他の実施形態と結合できる更に別の実施形態によれば、システムの仕様は、サンプルにおいて10pAから10nA、例えば、100pAから1nAの範囲のプローブ電流を含むことができる。更に、ここに説明するシステムに使用されるスポットの直径は、1nmから50nm、典型的に、1nmから20nmの範囲でよい。
【0073】
[0066]ここに説明するシステムの更に別のオプションは、例えば、図2Bに示す八極要素により発生できる重畳電気−磁気四極をもつアクロマチックビームセパレータを含んでもよい。この四極は、ビームが対物レンズアレイを垂直入射状態で出るように、傾斜一次ビームに(一方向に)作用を及ぼすことができる。これにより、図2Dを参照して説明したように、アクロマチックビームセパレータに不平行ビームレットが使用される場合に、個々のビーム傾斜が要求されることはない。これにより、ビームの色収差を減少することができ、従って、スポットサイズ、ひいては、軸ずれビームレットの解像度を改善することができる。
【0074】
[0067]また、ここに説明する実施形態は、アクロマチックビームセパレータ(静電−磁気の双極)に静電−磁気の四極を重畳させる方法にも言及する。四極は、全システム光学軸に整列され、これにより、軸ずれビームレットを(一方向に)傾斜させて、その後の光学的要素に垂直に入れることができる。
【0075】
[0068]ここに説明する他の実施形態と結合できる更に別の実施形態によれば、高スループット及び小プローブ直径での電子ビーム検査を次のように行うことができる。一般的に、高スループット、高解像度(試料に対して小さな電子ビームプローブ)の検査装置を設けるには、上述したように、改良された検出アセンブリ及び低い分散が要求される。これにより、ビームの分離は、改良された検出アセンブリを簡単化する。更に、解像度の必要性を高くすると、カラム内での電子−電子相互作用が低い低分散のシステムが望ましくなる。電子−電子相互作用は、例えば、ビームの交差を回避し、更に/或いはカラムの長さを短くすることで減少できる。通常のビームセパレータは、磁気、静電偏向器、又はウィナーフィルタを使用している。交差が分離要素の中心に位置されない限り、これらシステムの分散を回避することができない。しかしながら、これは、光線経路の融通性を低下させ、エネルギーの幅(ベルシュ効果/電子−電子相互作用)を増加させることがある。それとは別に、対称的偏向のための二重段ウィナーフィルタ又は付加的なコンポーネントを使用して、分散作用を減少させてもよい。しかしながら、これは、カラムの光学経路の長さを増加させるので、電子−電子相互作用によりスポットサイズを増加させる。これらの制約は、アクロマチック要素をビームセパレータとして使用することにより回避することができる。
【0076】
[0069]図5は、上述したアクロマチックビームセパレータ及び本発明の実施形態による半球状のセクタを有する光学的システムを示す図である。この実施形態では、半球状セクタが両平面において二次電子ビームの収束をなすので、サイドプレートは不要である。
【0077】
[0070]図5を参照すれば、一次電子ビーム500は、プレート510の開口を通過し、アクロマチックビームセパレータ130を通過するときに曲げられる(方向を変える)。一実施例として、プレート510は、上述したように、カラムにおいてビームエネルギーをより高い電位にセットするビームブーストシステムの一部分である。一次電子ビーム500は、対物レンズ525の開口520を通過し続け、半導体ウェハ530のようなサンプルに当たる。それにより生じる二次電子ビーム535は、対物レンズ525の開口520を通過し、アクロマチックビームセパレータを通過するときに曲げられる(方向を変える)。プレート510の開口を通過した後に、二次電子ビーム535は、半球状のセクタ540に入る。
【0078】
[0071]このセクタに続くのは、二次電子ビームを電子検出器565のアクティブなエリア上の小さな(例えば、4mm直径の)スポットへと収束し、二次電子ビームのエネルギーフィルタリングを可能にする収束及びフィルタリング要素のセットである。収束は、磁気レンズ又は静電レンズのいずれかで行うことができる。静電レンズは、サイズをよりコンパクトにすると共に複雑さを低減させる。フィルタリングは、二次ビームのエネルギーを変化させなければならないので、1つ以上の静電電極を必要とする。
【0079】
[0072]図5の実施形態において、収束レンズは、レンズ550を形成する3つの電極より成る簡単な静電レンズである。SE整列手段は、例えば、電極545及び/又は555を四極として設計することで組み込むことができる。二次電子フィルタ560は、サンプルウェハとほぼ同じ電位にバイアスされる長い円筒である。
【0080】
[0073]レンズ550は、液浸レンズ又はアインツェルレンズである。ウェハがバイアスされる場合には、プレート545、555を接地することができる。
【0081】
[0074]上述した実施形態では、四極545及びプレート555がレンズ550に一体化される。一般的に、本出願に示される全ての実施形態に関して、四極及び/又はプレートがレンズとは独立して設けられると考えられる。従って、適当な数のレンズ電極が設けられ、加えて、四極545及びプレート555の電極が設けられる。更に、プレート555に代わって、四極が設けられることも考えられる。この第2の四極は、二次電子ビームの付加的な整列を行えるようにする。
【0082】
[0075]一般的に、二次電子ビームを収束するレンズは、分離ユニット(アクロマチックビームセパレータ)と検出器との間に位置される。典型的に、これは、偏向角増加ユニット(分離ユニット)とフィルタとの間に位置される。収束レンズは、静電(上述したアインツェルレンズを参照)、磁気、又は静電−磁気の組み合わせ、のいずれかである。典型的に、スペースの理由で、二次電子を収束するのに静電レンズが使用される。更に、二次電子ビームの収束ユニットとしてアインツェルレンズ又は液浸レンズを設けることもできる。
【0083】
[0076]二次電子ビーム535を検出器上の小さなスポットへと収束することで、高速像形成が可能となる。検出器の形式は、例えば、p−i−nダイオードである。このような検出器は、大電流電子ビームシステムとして優れている。というのは、それらが小型である場合には、(ほぼ1に等しい)非常に高い量子効率及び優れた応答時間を有するからである。応答時間は、装置のキャパシタンスに比例し、また、キャパシタンスは、面積に比例する。従って、面積を最小にしなければならない。しかしながら、それ故、二次電子ビームの収束が効果的である。典型的に、ほぼ600MPPS像形成速度には、4から5mm直径の検出器アクティブ面積が適当である。
【0084】
[0077]この実施形態は、pinダイオードを含むものとして説明したが、他の検出器が使用されてもよい。ここに開示する全ての実施形態に対して、高速シンチレーション検出器が使用されてもよいし、pinダイオードが使用されてもよい。検出器は、典型的に、偏向角増加ユニット、即ち、例えば、前記図面におけるセクタの後方に配列される。シンチレーション検出器の場合には、二次電子ビームは、典型的に、検出器に収束されない。従って、その寿命時間が延長され、汚染が減少される。
【0085】
[0078]通常の像形成モード(非電圧コントラスト)の場合に、収束要素の目標は、検出器に小さなスポットを形成することである。このモードでは、SEビーム収束のために、フィルタ及び収束電極の両方を使用することができる。
【0086】
[0079]電圧コントラストモードでは、フィルタ電極560は、ウェハ530の平面において(ユーザ選択可能な)設定初期エネルギーレベルより低い二次電子を拒絶するハイパスフィルタとして働く。二次電子は、セクタ540を出て、フィルタ電極フィールド内に交差が形成されるように減速静電レンズ(SE収束レンズ)を通して収束される。フィルタ電極560は、サドル電位Ufを発生する電位UFへとバイアスされる。これら電位は、一般的に、ウェハに対する相対的な電位である。それ故、電位がUfより高い状態で試料から解放される電子は、フィルタを通過することができるが、電位がUfより低い(又はそれに等しい)状態での電子は、フィルタを通過できずに、拒絶される。
【0087】
[0080]電圧コントラスト像形成の典型的な用途は、ウェハ上のデバイスにおける非充填又は充填コンタクトホールである。検査されるべきデバイスのこの層は、隔離された導電性コンタクトを伴う誘電体材料のフィールドより成り、導電性コンタクトは、その下の大キャパシタンス金属層又はバルクシリコンのいずれかへ至る通路を有している。電子ビーム検査において好結果を示している1つの電圧コントラスト技術は、誘電体材料を電子ビームで5から50Vの範囲の値へ正に荷電することである。それ故、荷電された誘電体から放出する二次電子は、それが脱出して検出信号に貢献するためにはその初期エネルギーが表面電荷電位より大きくなければならない。良好なコンタクトから放出される二次電子は、本質的に、接地された基板から放出され、接地された金属材料に関連した典型的な二次エネルギー分布は、ピークがほぼ2eVである。次いで、初期エネルギーが(例えば)5eVより大きな全ての電子が検出されるように二次信号をフィルタする場合には、荷電された誘電体を表す映像の領域が暗く見えると共に、良好なコンタクトが明るく見える。
【0088】
[0081]一般的に、ここに説明する実施形態は、対応するシステムのアレイを設けるように使用できる。従って、例えば、試料上にビームを走査する第1の走査段、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応されるアクロマチックビームセパレータ、及び信号電子を検出する検出ユニットを含む多数のアセンブリを互いに隣接して設けて、それに対応する検査、テスト又は像形成システムを2倍以上設けるにより、スループットを更に高めることができる。これらのアセンブリは、アレイの形態で、又は典型的に一次元に沿って、互いに隣接して設けることができる。従って、マルチビームモジュール又はマルチカラムモジュールを提供することができる。
【0089】
[0082]以上に鑑み、幾つかの実施形態は、走査荷電粒子ビーム装置を提供する。この装置は、一次電子ビームを放出するためのビームエミッタと、試料上にビームを走査するための第1の走査段と、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応されるアクロマチックビームセパレータと、信号電子を検出するための検出ユニットとを含む。任意の具現化によれば、この装置は、試料上にビームを走査するための第2の走査段を含み、例えば、第1の走査段と第2の走査段との間にアクロマチックビームセパレータを位置させることができ、また、検出ユニットは、マルチチャンネル検出ユニットである。他の付加的な又は代替的な具現化によれば、二重収束ビーム曲げ器、特に、半球状セクタを設けることができ、アクロマチックビームセパレータのフィールド上に四極フィールドを重畳させる手段を設けることができ、マルチチャンネル検出ユニットは、エネルギーフィルタを含むことができ、マルチチャンネル検出ユニットは、第1(大きな)角度のための検出器と、この第1角度より小さい第2角度のための検出器とを含むことができ、更に/或いはマルチチャンネル検出ユニットは、二次電子、オージェ電子及び後方散乱電子を検出するように適応させることができる。
【0090】
[0083]ここに説明する他の実施形態と結合できる更に別の実施形態によれば、マルチチャンネル検出ユニットは、2つ以上の検出サブ要素と、エネルギーの異なる信号電子を異なる検出サブ要素へガイドするための手段とを有することができ、また、装置は、エミッタとサンプルとの間に約300mm以下の光学的長さを有することができ、ビームエミッタは、少なくとも1x108Am−2sr−1eV−1、特に、1x108から1x1012Am−2sr−1eV−1の範囲の減少輝度を設けるように適応させることができ、第1及び/又は第2の走査段は、少なくとも10MHzのピクセル周波数、特に、50MHzから3GHzのピクセル周波数の範囲の走査速度で走査するように適応させることができ、アクロマチックビームセパレータは、交差をもたないビーム経路位置に設けることができ、また、アクロマチックビームセパレータは、一次電子ビームが対物レンズによって画成された光学軸に対して第1の角度で傾斜されるようにビーム経路位置に設けることができ、更に/或いはビームエミッタは、対物レンズによって画成された光学軸に対して第1の角度で一次電子ビームを放出することができる。
【0091】
[0084]他の実施形態によれば、装置のアレイを設け或いは装置を1行又は2行設けて、スループットを更に高めることができる。従って、装置は、一次電子ビームを放出するための少なくとも1つの更に別のビームエミッタと、試料上にビームを走査するための少なくとも1つの更に別の第1走査段と、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応される少なくとも1つの更に別のアクロマチックビームセパレータと、信号電子を検出するための少なくとも1つの更に別の検出ユニットとを含む。また、ここに説明するいずれかの実施形態による2つ以上の装置を備えた走査荷電粒子ビーム装置アセンブリが提供されることも考えられる。
【0092】
[0085]更に他の実施形態によれば、荷電粒子ビームのためのアクロマチックビーム偏向器を操作する方法を提供することができる。アクロマチックビーム偏向器は、光学軸を有する。この方法は、偏向静電双極フィールドを設けるステップと、偏向磁気双極フィールドを設けるステップと、磁気双極フィールド及び静電双極フィールドに四極フィールドを重畳するステップとを含み、静電双極フィールド及び磁気双極フィールドは、アクロマチックビーム偏向を設けるように互いに調整され、更に、四極フィールドは、軸ずれした荷電粒子ビームのビーム傾斜を補正するように調整される。典型的な具現化によれば、荷電粒子ビームは、0.3°から7°の角度で偏向することができ、四極フィールドは、アクロマチックビーム偏向器の光学軸に整列させることができ、マルチビームアレイの軸ずれビームを補正することができ、更に/或いは補正を一方向に沿って行うことができる。
【0093】
[0086]以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに他の実施形態及び更に別の実施形態を案出することができ、従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0094】
20…試料、31…磁界、32…磁気力、33…電気力、100…ビーム走査電子ビーム装置、130…アクロマチックビームセパレータ、132…静電偏向要素、134…磁気偏向要素、142…軸、146…シールド電極、150…レンズ、160…二重収束ビーム曲げ器、163…コイル、165…プレート形状の電極、170…電子ビーム、172…大角度検出器、178…小角度検出器、471…サブ検出要素、472…レンズ、500…一次電子ビーム、510…プレート、520…開口、525…対物レンズ、530…半導体ウェハ、535…二次電子ビーム、540…半球状セクタ、545、555…電極、550…レンズ、560…二次電子フィルタ、563…絶縁体、564…コア、565…電子検出器、566…ハウジング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次電子ビームを放出するためのビームエミッタと、
試料上にビームを走査させるための第1の走査段と、
上記一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応されたアクロマチックビームセパレータと、
信号電子を検出するための検出ユニットと、
を備えた走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
上記試料上にビームを走査させるための第2の走査段を更に備えた、請求項1に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
上記アクロマチックビームセパレータは、上記第1の走査段と、第2の走査段との間に位置され、上記検出ユニットは、マルチチャンネル検出ユニットである、請求項2に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
二重収束ビーム曲げ器、特に、半球状セクタを更に備えた、請求項1又は3に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
上記アクロマチックビームセパレータのフィールドの上に四極フィールドを重畳させる手段を更に備えた、請求項1から4のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
上記マルチチャンネル検出ユニットは、エネルギーフィルタを含む、請求項1から5のいずれかに記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
上記マルチチャンネル検出ユニットは、第1(大きな)角度のための検出器と、この第1角度より小さい第2角度のための検出器とを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
上記マルチチャンネル検出ユニットは、二次電子、オージェ電子、及び後方散乱電子を検出するよう適応される、請求項1から7のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
上記マルチチャンネル検出ユニットは、2つ以上の検出下位要素(sub-element)と、エネルギーの異なる信号電子を異なる検出サブ要素へガイドするための手段とを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
上記装置は、上記エミッタとサンプルとの間に約300mm以下の光学的長さを有するべきである、請求項1から9のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
上記ビームエミッタは、少なくとも1x108Am−2sr−1eV−1、特に、1x108から1x1012Am−2sr−1eV−1の範囲の減少輝度を設けるように適応された、請求項1から10のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項12】
上記第1及び/又は第2の走査段は、少なくとも10MHzのピクセル周波数、特に、50MHzから3GHzのピクセル周波数の範囲の走査速度で走査するように適応された、請求項2から11のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項13】
上記アクロマチックビームセパレータは、交差をもたないビーム経路位置に設けられる、請求項1から12のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項14】
上記アクロマチックビームセパレータは、一次電子ビームが対物レンズにより画成された光学軸に対して第1の角度で傾斜されるようにビーム経路位置に設けられる、請求項1から13のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項15】
上記ビームエミッタは、上記対物レンズによって画成された光学軸に対して第1の角度で一次電子ビームを放出する、請求項14に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項16】
上記装置は、一次電子ビームを放出するための少なくとも1つの更に別のビームエミッタと、試料上にビームを走査させるための少なくとも1つの更に別の第1走査段と、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応される少なくとも1つの更に別のアクロマチックビームセパレータと、上記信号電子を検出するための少なくとも1つの更に別の検出ユニットとを備えた、請求項1から15のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の少なくとも2つの走査粒子ビーム装置を備えた、走査荷電粒子ビーム装置アセンブリ。
【請求項18】
上記少なくとも2つの装置は、1本又は2本の線に沿って配置される、請求項17に記載の走査荷電粒子ビーム装置アセンブリ。
【請求項19】
光学軸を有する荷電粒子ビーム用のアクロマチックビーム偏向器を操作する方法において、
偏向する静電双極フィールドを設けるステップと、
偏向する磁気双極フィールドを設けるステップと、
上記磁気双極フィールド及び上記静電双極フィールドに四極フィールドを重畳させるステップと、
を備え、上記静電双極フィールド及び上記磁気双極フィールドは、アクロマチックビーム偏向を設けるように互いに調整され、更に、
上記四極フィールドは、軸ずれした荷電粒子ビームのビーム傾斜を補正するように調整される、前記方法。
【請求項20】
上記荷電粒子ビームは、0.3°から7°の角度で偏向される、請求項20に記載の方法。
【請求項21】
上記四極フィールドは、上記アクロマチックビーム偏向器の光学軸に整列される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項1】
一次電子ビームを放出するためのビームエミッタと、
試料上にビームを走査させるための第1の走査段と、
上記一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応されたアクロマチックビームセパレータと、
信号電子を検出するための検出ユニットと、
を備えた走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
上記試料上にビームを走査させるための第2の走査段を更に備えた、請求項1に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
上記アクロマチックビームセパレータは、上記第1の走査段と、第2の走査段との間に位置され、上記検出ユニットは、マルチチャンネル検出ユニットである、請求項2に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
二重収束ビーム曲げ器、特に、半球状セクタを更に備えた、請求項1又は3に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
上記アクロマチックビームセパレータのフィールドの上に四極フィールドを重畳させる手段を更に備えた、請求項1から4のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
上記マルチチャンネル検出ユニットは、エネルギーフィルタを含む、請求項1から5のいずれかに記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
上記マルチチャンネル検出ユニットは、第1(大きな)角度のための検出器と、この第1角度より小さい第2角度のための検出器とを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
上記マルチチャンネル検出ユニットは、二次電子、オージェ電子、及び後方散乱電子を検出するよう適応される、請求項1から7のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
上記マルチチャンネル検出ユニットは、2つ以上の検出下位要素(sub-element)と、エネルギーの異なる信号電子を異なる検出サブ要素へガイドするための手段とを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
上記装置は、上記エミッタとサンプルとの間に約300mm以下の光学的長さを有するべきである、請求項1から9のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
上記ビームエミッタは、少なくとも1x108Am−2sr−1eV−1、特に、1x108から1x1012Am−2sr−1eV−1の範囲の減少輝度を設けるように適応された、請求項1から10のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項12】
上記第1及び/又は第2の走査段は、少なくとも10MHzのピクセル周波数、特に、50MHzから3GHzのピクセル周波数の範囲の走査速度で走査するように適応された、請求項2から11のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項13】
上記アクロマチックビームセパレータは、交差をもたないビーム経路位置に設けられる、請求項1から12のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項14】
上記アクロマチックビームセパレータは、一次電子ビームが対物レンズにより画成された光学軸に対して第1の角度で傾斜されるようにビーム経路位置に設けられる、請求項1から13のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項15】
上記ビームエミッタは、上記対物レンズによって画成された光学軸に対して第1の角度で一次電子ビームを放出する、請求項14に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項16】
上記装置は、一次電子ビームを放出するための少なくとも1つの更に別のビームエミッタと、試料上にビームを走査させるための少なくとも1つの更に別の第1走査段と、一次電子ビームから信号電子ビームを分離するように適応される少なくとも1つの更に別のアクロマチックビームセパレータと、上記信号電子を検出するための少なくとも1つの更に別の検出ユニットとを備えた、請求項1から15のいずれか一項に記載の走査荷電粒子ビーム装置。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の少なくとも2つの走査粒子ビーム装置を備えた、走査荷電粒子ビーム装置アセンブリ。
【請求項18】
上記少なくとも2つの装置は、1本又は2本の線に沿って配置される、請求項17に記載の走査荷電粒子ビーム装置アセンブリ。
【請求項19】
光学軸を有する荷電粒子ビーム用のアクロマチックビーム偏向器を操作する方法において、
偏向する静電双極フィールドを設けるステップと、
偏向する磁気双極フィールドを設けるステップと、
上記磁気双極フィールド及び上記静電双極フィールドに四極フィールドを重畳させるステップと、
を備え、上記静電双極フィールド及び上記磁気双極フィールドは、アクロマチックビーム偏向を設けるように互いに調整され、更に、
上記四極フィールドは、軸ずれした荷電粒子ビームのビーム傾斜を補正するように調整される、前記方法。
【請求項20】
上記荷電粒子ビームは、0.3°から7°の角度で偏向される、請求項20に記載の方法。
【請求項21】
上記四極フィールドは、上記アクロマチックビーム偏向器の光学軸に整列される、請求項19又は20に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2c】
【図2d】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図5】
【図2A】
【図2B】
【図2c】
【図2d】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図5】
【公表番号】特表2010−519698(P2010−519698A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550680(P2009−550680)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001414
【国際公開番号】WO2008/101714
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(504144253)アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド (27)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001414
【国際公開番号】WO2008/101714
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(504144253)アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド (27)
【Fターム(参考)】
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