説明

高光沢でにじみがないリップ製品

【課題】見栄えのよくないにじみと短い耐用性を回避しながら、使用者の口唇に鮮明な光沢のある局所用組成物を提供。
【解決手段】少なくとも1種の水不溶性で脂肪族アルコール可溶性の多糖類高分子および1種の液状ポリオールエステルを含む、高光沢でにじみがない局所用組成物。さらに脂肪族アルコール、極性脂肪酸または極性脂肪酸エステル、顔料または着色剤、C12-C22脂肪族アルコール、液状脂肪酸または極性液状非高分子脂肪酸エステルを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧用組成物に関する。特に本発明は着色化粧品、特にリップ製品に関する。
【背景技術】
【0002】
リップ製品には多様な形態のものがある。これは使用者が所望する外観に応じて変更されるものである。その製品には高度の着色、真珠様光沢、つや消し、または光沢/輝きを持つものがある。後者のタイプ、すなわち高グロスタイプの口紅は、殊に若い女性に現在特に人気がある。こうした製品から与えられる外観は極めて魅惑的かつ官能的であるが、これに伴ういくつかの欠点がある。高輝度のリップスティックを製造するために利用し得る現在の技術では、最良の輝度を与えるリップスティックまたはグロスは典型的には口唇上で効力がわずかしか持続しない。その上、これらの製品は中度から重度のにじみも発生させる。これは口唇を着色することを意図した顔料が現実には口の周囲の細い皺の中に移動して、染み出した見栄えのしない外観になることである。この問題を解消するためには、以下のようなステップを経ることができる: 高輝度の製品とともにリップライナーを使用する; 所望の輝きを達成するために、つや消しリップスティックの上に別のグロスを使用する; または各種の真珠光沢フィラーの使用によって、油によるものでなく、真珠による輝きを生成させる。しかし、必要な余分なステップは消費者には不満足なことがあり、一方使用者には真珠様の輝きは油性の輝きほど魅力的ではないようである。
【0003】
別の解決法として、放出を制御する物質の使用がある。これらの物質は典型的には、輝き成分として作用する液体を包埋または吸着して含んでいる固体であって、これを口唇に適用する。液体はせん断力(すなわち、適用時の作用力)または平衡状態の究極的力によって放出されて、一定の期間、光沢のある外観を提供する。しかし、今日まで、これらの技術は、現在特に要請がある特別の輝きを持つ製品のタイプを達成していない。
【0004】
輝きを生成させるためのさらに別の可能性は、組成物中へのフィルム形成剤の使用である。こうした物質は確かにある程度のレベルの光沢を提供はするが、その光沢は使用するフィルム形成剤の量に比例するものである。快適性と審美性の問題から、1つのリップ組成物中で使用することができるフィルム形成剤の量は制限され、したがってこの手法は高輝度製品の製造では限られた成果が得られただけである。
【0005】
これらの手法の2つまたはそれ以上の組み合わせが所望の高光沢リップ製品を生み出すかもしれないことも認識されている。しかし、その組み合わせは、概念としては容易に考えられるが、実際上ではそうはいかず、高輝度を達成するためのフィルム形成剤、制御放出剤およびその他の輝き誘発成分の適合性を確定する一方で、分離を回避し、かつ/またはにじみを低下させることは、単純な仕事ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、単一の製品中で、見栄えのよくないにじみと短い耐用性を回避しながら、使用者の口唇に鮮明な光沢のすべてを提供する、高輝度化粧用組成物への需要が依然としてある。本発明はこの需要のための解決法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、少なくとも1種の水不溶性で脂肪族アルコール可溶性の多糖類高分子を少なくとも1種の液状ポリオールエステル(liquid polyol ester)と組み合わせて含む、化粧用組成物が提供される。本発明の組成物は特に、リップ製品での使用に好適で、長期継続する高度の輝きを提供し、かつにじみが最少であるかまたは全くない。本発明はまた、角質表面に高度の輝きを提供する方法であって、その表面に少なくとも1種の水不溶性で脂肪族アルコール可溶性の多糖類高分子を少なくとも1種の液状ポリオールエステルと組み合わせて含む組成物の適用を含んでなる方法をも提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の組成物は2つの基礎成分を含み、液状ポリオールエステルが水不溶性で脂肪族アルコール可溶性の多糖類高分子とブレンドされている。これらの2つのタイプの分子の組み合わせの結果、皮膚に適用したときに、そのエステル(輝き成分)を徐々に放出することによって、フィルム形成剤または油からの輝きに依拠する別の高輝度化粧品によって典型的に達成されてきたものよりも長く持続する輝きをもたらす、柔らかいゲル系が得られる。
【0009】
本発明で使用する多糖類高分子は、油相、特に極性油相をゲル化する能力があるものである。理想的なポリマーは実質的に水不溶性であるが脂肪族アルコール可溶性であるものである。有用な多糖類の分類区分の例は、水不溶性で脂肪族アルコール可溶性のでんぷん、グリコーゲン、デキストリンおよびセルロースである。特に有用なものは水不溶性で脂肪族アルコール可溶性のセルロース、特にC1-C8アルキル修飾セルロースである。好ましい1実施形態中、ポリマーはエチルセルロースである。エチルセルロースは、化粧品および医薬製剤の両方で、フィルム形成剤、結合剤、フィラー、および遅延放出系として、広範に使用されている。どの水不溶性エチルセルロースまたはそれらの組み合わせでも、本発明の使用にとって適切である。しかし、特に好ましいのは、マイクロカプセル化の目的で常套的に使用されているエチルセルロースである。こうしたエチルセルロースの例は、Dow Chemical Companyから以下の商標名で販売されているものである: Ethocel(登録商標)Standard 45 Premium(数平均分子量(Mn): 約15,000、および重量平均分子量(Mw): 約160,000)、またはEthocel(登録商標) Standard 100 Premium(Mn: 約20,000、およびMw: 約220,000)。その他の等価なエチルセルロースも市販されている。AqualonおよびNatrosol等級のセルロース(Aqualon Company)ならびにStabilizer(TIC Gums)。好ましい1実施形態は、Ethocel(登録商標)Standard 45とEthocel(登録商標)Standard 100を約1.5:1の比率で配合したものである。使用する多糖類高分子の量は最終製品の所望の粘性に応じて決められ、したがって使用者が選択するところとなる。しかし、指針として、その量は通常は組成物の総量の約0.1〜約20.0重量%、好ましくは約0.5〜約10.0%、そしてより好ましくは約1〜約5%である。
【0010】
多糖類高分子は少なくとも1種の液状ポリオールエステル基剤と組み合わせて使用する。これは組成物の主要な輝き成分として作用する。対象とするエステル類は例えば以下に記載されている、当分野で既知の比較的極性である溶媒/エモリエント類である: GB 2,134,538、JP 5-120209、およびUS 3,694,382(これらの内容を参照として本明細書に組み入れる)。対象とするエステル類は上記の引用特許明細書および以下に記載されているような、ポリオールとモノカルボン酸およびジカルボン酸とのエステル化の生成物である: WO 93/25628(これも参照として本明細書に組み入れる)。これらのエステルのポリオール成分は以下のようなC2-20ポリオールである: 糖類もしくは糖アルコール類、例えばキシロース、キシリトール、エリトリトール、ショ糖、グルコース、マルトース、ラクトース、ソルボース、ソルビトール、ラクチトールもしくはマルチトール、およびこれらの誘導体。特に有用なポリオールとして限定するわけではないが、以下が含まれる: グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはこれらの組み合わせ。
【0011】
モノカルボン酸成分は、分枝鎖、直鎖もしくは芳香族C4-30カルボン酸、またはこれらの混合物である。好ましくは、モノカルボン酸はC6-C22モノカルボン酸またはその組み合わせである。こうしたモノカルボン酸の例は、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、リノール酸、オレイン酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エルカ酸、リシノール酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、およびベヘン酸である。特に好ましいのは、カプリル酸もしくはカプリン酸などのC6-C12モノカルボン酸またはこれらの組み合わせである。
【0012】
ポリオールエステルのジカルボン酸成分はどんなC2-36直鎖、分枝鎖、環状ジカルボン酸もしくはモノカルボン脂肪酸(monocarboxylic fatty acid)の二量体(例えばジリノール酸)またはこれらの組み合わせでもよい。好ましくはC4-C10ジカルボン酸またはその組み合わせを使用する。さらに好ましくは、ジカルボン酸はアジピン酸、コハク酸またはヘプタン二酸からなる群から選択される。
【0013】
上記のように、これらの液状ポリオールエステル、およびこれの製造方法は当分野で周知である。これらはまた広範に市販されている。こうした製品は商品名Puresynとして購入することができる(Exxon-Mobil Chemical、例えば25℃で220cPsの粘度を持つPuresyn ME450、および25℃で約1050 cPSの粘度を持つME100)。特に好ましいポリオールエステルはInolexから商品名Lexfeel EL500として購入できる、アジピン酸/カプリン酸/カプリル酸/ヘプタン酸ペンタエリトリチルである。組成物中で使用するポリオールエステルの量は、組成物の約5〜約90重量%、好ましくは約10〜約75%、そしてさらに好ましくは約30〜約60%である。
【0014】
多糖類高分子および液状ポリオールエステルを組成物中で単独で使用してもよいが、機能を最適にするか、または美観上の理由から、追加の成分を入れるのが好ましいことが多い。特に好ましい追加成分の1つは、1種以上の脂肪族アルコール類である。脂肪族アルコールは、多糖類のポリオールエステルとの適合性を増大させ、その中への溶解性を増強し、また製品に対してさらに軟化特性も提供する。組成物に使用する脂肪族アルコールはどんなC4-C36脂肪族アルコールでもよく、好ましくはC4-C22脂肪族アルコール、さらに好ましくはC12-C22アルコールであり、あるいは任意のこれらの組み合わせである。特に好ましい脂肪族アルコールはオクチルドデカノールであり、これを単独で、または別の脂肪族アルコールと組み合わせて使用する。例えば、オクチルドデカノールを二量体脂肪族アルコールと配合して、その粘性を増大させることができる。好ましい二量体アルコールはC18二量体アルコールである。脂肪族アルコールは、組成物について重量で約2〜約80%、好ましくは約5〜約60%、そしてさらに好ましくは約10〜約30%の量を使用する。
【0015】
脂肪族アルコールは多糖類のポリオールエステルとの適合性を強化するために組み入れるのであるが、これらの2つの成分の完全な適合性/溶解性は、必要ではなく、また望ましいものでもない。その目的は、製品が少なくとも施用時までは単一の相としてまとまっているのに十分であるが、皮膚などの角質表面への施用の高せん断力条件下でのこれらの分離を妨げるほどではないようにすることである。何らかの理論に束縛されるわけではないが、混合したとき、多糖類高分子はポリオールエステルを「マイクロカプセル封入」して、最終製品として単一の均一相を提供するが、例えば口唇に適用したとき、適用過程のせん断力によってこのカプセルが破壊されて、ポリオールエステルを徐々に放出し、これによってより長期間続く輝きが提供されるらしい。ポリオールエステルを使用する場合のこの組成物のさらなる利点は、その極性の効果により比較的高表面張力であって、より低い表面張力を持つ低極性または非極性物質に勝るものとしている点である。こうして、比較的極性の高いエステルは、口唇上に放出されたとき、移動するような傾向はなく、広がったとしても施用したフィルムの端を越えて広がることはないので、したがってにじみを実質的に減少させる。その他のエモリエントに比較してやはり極性が高い脂肪族アルコールの使用も、沁み出しまたはにじみの主要な要因である毛管現象を低下させる。
【0016】
脂肪族アルコールは多糖類のエステルとの適合性を増大させるための好ましい手段であるが、別の成分も単独で、または脂肪族アルコールの補助として使用することができる。さらなる軟化特性が望ましい場合は、以下のようなその他の極性エモリエントを組み込むのが有利である: 液状脂肪酸類(例えばイソステアリン酸)、または典型的にはC18までの比較的極性がある液状非高分子脂肪酸エステル、例えば二ヘプタン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸アルキル、パルミチン酸アルキル、もしくはオクタン酸ミリスチル; 遊離ヒドロキシ基を持つエステル、例えばヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、またはグリセリルモノおよび/もしくはジアルキルエステルなど; あるいは極性植物油および/もしくはトリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなど; ならびに比較的極性がある成分の任意の混合物。こうした物質は製品に軟化特性を加えるだけでなく、液体として、多糖類のエステルへの溶解性を向上させる役割も持つ。これらの物質の量は、使用するならば、上記の脂肪族アルコールと同じ範囲とすることができる。しかし、特に脂肪酸に関しては、比較的少量、例えば多糖類と約1:1の比率で所望の効果を達成することが可能である。より大量に使用することはできるが、脂肪酸については、刺激の懸念上、その量を低く維持するのが好ましい。しかし、大量の場合でも、その製品に抗刺激性成分を添加することによって相殺することができる。
【0017】
意図する製品の最終用途および/または形態に応じて、その他の任意成分を組み入れることができる。上記のように、この組成物の好ましくて有益な用途の1つはリップ製品である。この点について、上記の製品は高輝度リップ製品として完全に機能するソフトゲルを提供することができる。しかし、より固形の製品を取得する、例えばソフトスティックの粘稠度を達成するためには、組成物に1種以上の濃化剤および/または構造形成剤を添加するのが望ましい。所望の性能にとって組成物の全体としての相対的極性を維持することが重要であるので、スティック製品の構造形成または濃化に従来利用されている非極性化合物を大量に利用しないのが好ましい。しかし、少量、好ましくは25重量%以下の例えば以下のようなこうした物質を使用して、最終製品の構造、粘性および/または感触を強化することができる: 炭化水素ワックス、ワセリン、シリコーンベースの樹脂もしくはエラストマー、または炭化水素ポリマー、線状もしくは分枝ポリブテン、ポリイソブテン、ポリエチレン、ポリデセン、これらの水素添加誘導体、およびこれらのコポリマーなど、エトキシル化アルコール、またはベントン、ならびに前記の任意の混合物。
【0018】
しかし、特に好ましい1実施形態中、極性油の濃化に特に適応させるゲル化系(gelling system)が使用される。こうした系の1例は、以下に記載されているような少なくとも1種のシリカと少なくとも1種の糖脂肪酸エステルもしくはエーテルの組み合わせである: 同時係属中のUS出願番号No. 60/519583(この内容を参照として本明細書に組み入れる)。どんなシリカ粒子でも、その粒子が完全に表面コーティングされていないかぎり、この配合物で使用することができる。部分的にコーティングされた製品の使用は可能であるが、所望の効果を達成するためにはより高レベルのシリカを使用する必要が出てくる。組成物中で使用する場合は、その量は組成物の約40重量%までとすることができるが、より典型的にはその量は約0.1〜約30%、好ましくは約.5〜約10%、さらに好ましくは約1〜約5%のあらゆるタイプのシリカ、またはあらゆるタイプのシリカの組み合わせを使用することができる。しかし、そのシリカは好ましくは完全に表面コーティングされていないものである。特に有用なシリカはCabot Corporationから商品名Cab-O-Sil M-5で市販されているヒュームドシリカ(fumed silica)である。
【0019】
本発明で使用する糖脂肪酸エステルは、飽和もしくは不飽和C12-C22 脂肪酸、好ましくはC16-C20炭素原子のものと、糖類もしくはアルキル基が1〜8炭素原子を含有するアルキル糖類との反応によって取得される化合物である。糖類は好ましくはモノまたはオリゴ糖類である。有用なモノまたはオリゴ糖類の例として、限定するわけではないが、以下が含まれる: グルコース、ショ糖、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、マンノース、マルトース、トレハロース、メリビオース、ラフィノース、またはリボース。好ましい糖脂肪族エステルはグルコースまたはアルキルグルコースの脂肪族エステルである。アルキルグルコースの脂肪酸エステルは、アルキル鎖が1〜8炭素原子、好ましくは1-4炭素原子を含む、グルコースのエーテルである。好ましいエステルには、混合物の総重量に対してモノおよびジエステル誘導体が少なくとも50重量%で、かつ通常はモノエステル誘導体が95重量%を超えない割合での、モノ、ジ、トリおよびテトラエステル誘導体の混合物を含有させることができる。本発明で使用することができる糖脂肪族エステルの例として、限定するわけではないが、モノラウリン酸ショ糖、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース、例えばセスキステアリン酸メチルグルコース、およびパルミチン酸アルキルグルコース、例えばパルミチン酸メチルグルコースもしくはパルミチン酸エチルグルコース、ならびにこうした化合物のPEGもしくはPPG誘導体、例えばPEG-20セスキステアリン酸メチルグルコース。こうした化合物は例えば以下の商標名で広く購入可能である: Glucate(登録商標)、Glucam(登録商標)、およびGlucamate(登録商標)(Amerchol)、Grillocose(登録商標)(Grillo-Werke)、ならびにAntil(登録商標)(Goldschmidt)。組成物中で使用するエステルの量は、組成物の量の約0.1〜約10%、好ましくは約0.5〜約5%となる。
【0020】
最終製品の粘性は糖脂肪酸エステルの量に対するシリカの量の割合に応じて決まる。これらの物質の全体としての割合は、シリカ: エステルが約10: 0.5から0.5: 5.0の範囲であって、より少量のシリカではより低粘性の製品が製造され、より大量のシリカではより高粘性の製品が製造される。シリカ: エステルが約4.0: 1.0〜1: 1、好ましくは約2: 1〜1: 1の割合の製品が特に好ましい。粘性はまた、究極的には極性油の量に対して使用するゲル化剤の量によっても左右され、高粘性は大量のゲル化成分によって達成される。粘性はまた、使用する油の極性度によっても左右される。なぜならば、シリカはより極性の油により容易に懸濁するからである。これはシリカのヒドロキシル基と油上の極性基の相互作用によるものと推測される。したがって、あまり簡単に懸濁しないシリカよりも、十分懸濁するシリカならば少量使用するだけでよい。
【0021】
任意的な1実施形態中、粗くてざらざらした、もしくは多孔質の表面、および/または中空の内部空洞を持つ1種以上のビーズまたは樹脂粒子であって、施用時の高せん断力によって液体のいずれかが放出されるまで、その液体を保持できるもの、を組成物に添加することによって、前記によって生成された持続性の輝きをさらに増大させることができる。この目的にとって特に有用な粒子はシリカMSS500/3H(Kobo)である。所望の高輝度を達成するためには必須というわけではないが、こうした粒子は、おそらくはその輝きに寄与するエモリエントの放出の遅延によって、実際に効果を長期化するようである。使用する場合、その量は重要ではないが、普通約.05〜約5%の量で使用される。
【0022】
所望の輝度の外観の長期化に寄与するその他の任意成分は、低融点の樹脂またはバターである。低融点とは、ヒトの正常体温付近で溶融する物質であって、皮膚に適用したとき、その物質が徐々に溶融して、その液状形態でさらに別の輝きの発生源を放出することができるもの、を意味する。こうした物質の1例は、商品名Gransil ST-9 (Grant Industries)として販売されている、ステアロキシメチコン/ジメチコンコポリマーである。
【0023】
製品が着色化粧品として使用するためのものである場合は、1種以上の顔料または着色剤も含ませる。表面の処理を伴うか伴わないかにかかわらず、その製品を施用する部位での使用が許容される限り、どんなタイプの顔料でも、本発明の製品中に使用することができる。有用な顔料の例として、以下が含まれる: 酸化鉄(黄、赤、茶もしくは黒)、二酸化チタン(白)、酸化亜鉛、酸化クロム(緑)、クロム水和物(緑)、ウルトラマリン、マンガンバイオレット、フェロシアン化第二鉄、カルミン40、フェロシアン化アンモニウム第二鉄、またはこれらの組み合わせ。高屈折率の薄い板状層粒子であって、一定の薄さで、この板状物の別の層からの、典型的には2つ、場合によってそれ以上の光反射によって、干渉色を発生する、干渉性顔料も添加して、所望に応じて、製品に真珠光沢を与えることができる。化粧用に許容される1種以上のタイプのグリッター(glitter)も組成物に含ませることができる。すなわち、透明もしくは着色された固体有機物質、例えばポリ(テレフタル酸エチレン)、ポリメタクリレート、およびポリ(ビニルブチラル)など、金属粒子、または金属でコーティングしたフィルムもしくは紙の粒子、などである。
【0024】
有機顔料も場合によって含ませることができる。これらとして、天然着色剤ならびに合成モノマー性および高分子着色剤が含まれる。代表的なものはフタロシアニン青および緑顔料、ジアリーリド黄およびオレンジ顔料、ならびにアゾタイプ赤および黄顔料、例えばトルイジン赤、リト赤、ナフトール赤および茶顔料など。レーキもまた有用である。これは、アルミナ、バリウムまたはカルシウム水和物などの不溶性基剤上への有機染料の沈降および吸収によって形成される顔料である。特に好ましいレーキは一級FD&CまたはD&C Lakeおよびそのブレンドである。ブロモ染料およびフルオレセイン染料などの染色剤も利用することができる。顔料を使用する場合、典型的には組成物に対して重量で約.1〜約30%、好ましくは約0.1〜約20%の量を存在させる。
【0025】
組成物に以下のようなソフトフォーカス粉末または板状非球形粉末などの無機粉末も含ませることができる: オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、硫酸バリウム、マイカ、セリサイト、マスコバイト、合成マイカ、セリサイト、マスコバイト、合成マイカ、酸化チタンでコーティングしたマイカ、酸化チタンでコーティングしたオキシ塩化ビスマス、酸化チタンでコーティングしたタルク、板状酸化鉄、アルミニウムなどの金属粉末、ラウロイルリジンならびに板状タルク。量は重要ではないが、使用する場合、典型的には約0.5〜約5%の量を使用する。
【0026】
組成物に油可溶性活性物質およびスキンコンディショナーも含ませてもよい。これらの物質の限定するわけではない例として、抗酸化剤、セラミド、脂肪酸類、サンスクリーン、油可溶性ビタミン類および植物抽出物などが含まれる。本発明の最も好ましい実施形態は無水組成物であるが、本発明の組成物を水と油のエマルジョンの油相として使用することは可能である。エマルジョンの油相として使用する場合、組成物の水相にも水可溶性活性成分を含ませてもよい。
【0027】
本発明の組成物は、角質表面に輝きをもたらすことが望ましい、あらゆる状況で使用することができる。特に好ましい用途はリップスティック、グロス、ジェル、またはバルムなどのリップ製品である。しかし、着色を伴うかまたは伴わない、輝きが必要とされる、例えば以下のような化粧品: ファウンデーション、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、ボディペイント、ボディメークアップもしくはブロンザーなど、または顔または身体への施用のための、以下のようなスキンケア製品: 日焼け止め、モイスチャライザー、もしくはセルフタナーなど、のその他のどんなタイプでも、使用することができる。これはまた、ヘアケアもしくはスタイリング製品で、毛髪に輝いた外観を与えるために、使用することもできる。これらの組成物は、これらを施用した表面に輝きを提供するほかに、特に口唇に適用した場合、保湿効果も提供する。
【実施例】
【0028】
本発明を以下の限定するわけではない例によって説明する。
【0029】
(実施例1)
ここに本発明の成分組成の1つを説明する。
【表1】

【0030】
1キログラムバッチを製造するため、予備混合したエモリエントおよびその他の液体に、エチルセルロースポリマー(番号1)を添加し、室温でよく混合する。次にこの系の温度を〜約90-95℃に上昇させて、透明で粘性があるソフトゲルが形成されるまで、100-400 rpmの速度で混合する。
【0031】
2つの別の容器中で、2種類のシリカ(番号2および3)をオクチルドデカノールと配合し、滑らかになるまでホモジナイズする。
【0032】
2リッタービーカー中で、番号1、2および3、ならびに顔料および粉末を除くその他の全ての成分を配合し、全物質が溶解するまで、約100-250rpmの速度で92-98℃で混合する。
【0033】
この系に番号6を添加し、滑らかになるまで混合を続ける。
【0034】
次に番号7を添加し、全部が混じり合うまで混合する。
【0035】
次に番号8を添加し、系を少なくとも30分間同一の条件下に維持し、その後注入のために〜約85-90℃まで冷却する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の水不溶性で脂肪族アルコール可溶性の多糖類高分子および液状高分子ポリオールエステルを含む局所用組成物。
【請求項2】
多糖類高分子が、でんぷん、グリコーゲン、デキストリンおよびセルロースからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
多糖類高分子がC1-C8アルキル修飾セルロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
多糖類高分子がエチルセルロースある、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
エステルがポリオールと、モノカルボン酸およびジカルボン酸とのエステル化の反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリオールがC2-C20ポリオールである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
モノカルボン酸がC4-C30カルボン酸である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
ジカルボン酸がC2-C36直鎖、分枝鎖もしくは環状ジカルボン酸、またはモノカルボン脂肪酸エステルの二量体である、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
さらに脂肪族アルコールをも含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
さらに極性脂肪酸または極性脂肪酸エステルをも含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の糖脂肪酸エステルもしくはエーテルおよび少なくとも1種のシリカを含んでなるゲル化系を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
シリカがヒュームドシリカである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
さらに顔料または着色剤をも含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の水不溶性で脂肪族アルコール可溶性のC1-C8アルキル修飾セルロース、ならびにC2-C20ポリオールと、C4-C30モノカルボン酸およびC2-C36直鎖、分枝鎖もしくは環状ジカルボン酸からなる群から選択されるジカルボン酸またはモノカルボン脂肪酸エステルの二量体とのエステル化の反応生成物である、ポリオールエステルを含む、局所用組成物。
【請求項15】
ポリオールがグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペアエリトリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、ジカルボン酸がアジピン酸、コハク酸およびヘプタン二酸からなる群から選択され、そしてモノカルボン酸がステアリン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エルカ酸、リシノール酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ベヘン酸、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
高分子ポリオールがアジピン酸/カプリン酸/カプリル酸/ヘプタン酸ペンタエリトリチルである、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
さらにC12-C22脂肪族アルコールをも含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
さらに液状脂肪酸または極性液状非高分子脂肪酸エステルをも含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
ヒュームドシリカおよび少なくとも1種の糖脂肪酸エステルもしくはエーテルの組み合わせによってゲル化される、請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
さらに顔料または着色剤をも含む、請求項14に記載の組成物。

【公開番号】特開2011−121979(P2011−121979A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−22908(P2011−22908)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【分割の表示】特願2007−521524(P2007−521524)の分割
【原出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】