説明

高分子成形体の製造方法

【課題】 光硬化性または熱硬化性を必要とせずに、精度の高い、高分子成形体、特に光学用部材を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 任意の形状を付与した支持体に高分子の溶液を塗布、支持体上に保持したままで乾燥する高分子成形体を製造する方法において、支持体からの剥離時に残存する揮発物が10重量%以下である芳香族高分子または脂環式高分子の成形体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の形状を容易に付与できる高分子成形体の製造方法に関し、特に光導波路、マイクロレンズアレイ、プリズムシートや、光学フィルター、フィルムなど、微細かつ精密な形状が必要な光学部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロレンズアレイなどの光学部材は、寸法の僅かな誤差により光が意図しない方向に曲がったり、あるいは光損失が大きくなる問題があり、極めて精密な成形が必要である。従来、このような精密光学部材の成型方法としては特許文献1および2に開示があるように、硬化性の樹脂を型に流して光または熱により硬化する方法が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、光硬化性または熱硬化性の樹脂は硬化性能を付与する必要があるため、高価であったり、使用できる樹脂の種類が限定されたりといった問題を有していた。
【特許文献1】特開2004−4233号公報
【特許文献2】特開2004−163695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明の目的は、光硬化性または熱硬化性を必要とせずに、精度の高い、高分子成形体、特に光学用部材を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するため本発明は、所定の表面形状が設けられた支持体の上に、高分子を含む溶液を塗布し、この溶液の揮発成分が10重量%以下になるまで支持体上で乾燥せしめた後、支持体上の表面形状が転写された成形体を剥離する高分子成形体の製造方法であることを特徴とする。ここで、乾燥を、温度の異なる2つ以上の工程で行うことも好ましい。また、高分子として、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、アクリル、ポリエステル、フッ素樹脂およびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子を用いることも好ましい。さらに、高分子の、450nmから700nmまでの全ての波長の光の光線透過率が80%以上であることも好ましい。
【発明の効果】
【0006】
光硬化性または熱硬化性を必要とせずに、精度の高い、高分子成形体、特に光学用部材を製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、所定の表面形状が設けられた支持体の上に、高分子を含む溶液を塗布し、この溶液の揮発成分が10重量%以下になるまで支持体上で乾燥せしめた後、支持体上の表面形状が転写された成形体を剥離して高分子成形体を得ることを特徴とする。一般に溶液キャスト法、すなわち高分子溶液を支持体に塗布、乾燥する方法で高分子フィルムなどの成形体を製造する場合、50重量%程度の揮発分が残った不十分な乾燥状態で支持体から剥離した後に成形体単体で、さらに乾燥する方法が用いられている。この方法ではフィルムなどの成形体両面から溶媒が乾燥するため、支持体上で乾燥する場合と比較して乾燥速度が早い利点があるが、形状を転写するという目的に着目すると、支持体から剥離した後の乾燥による収縮が大きいため、支持体の形状を正確に転写できない欠点がある。
【0008】
支持体からの剥離時に残存する揮発物が10重量%以下であると、剥離後の乾燥収縮が小さく、支持体の形状を正確に転写できるため好ましい。剥離時に残存する揮発物はより好ましくは5重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。残存する揮発分が少ないことにより、剥離後の乾燥収縮が小さい、使用時に揮発分による問題が発生しない等の利点が上げられる。また、揮発分の量に下限は存在しないが、通常0重量%以上である。
【0009】
本発明は支持体の形状を正確に転写することを特徴とし、支持体の表面形状の最大高さをRz1とし、成形体の表面形状の最大高さをRz2としたとき、Rz2がRz1の90%以上110%以下の値であることが好ましい。より好ましくはRz2がRz1の95%以上105%以下である。
【0010】
また、表面形状が所定の周期を有していることも好ましく、点や線、任意の図形の繰り返しパターンが付与されていることも好ましい。この場合、形状が付与されている面内において、面上の特定の方向における表面形状の周期をL1とし、この特定の方向に対応する方向における成形体の表面形状の周期をL2としたとき、L2がL1の90%以上110%以下であることが好ましい。さらに好ましくはL2がL1の95%以上105%以下である。成形体の形状が支持体の形状を正確に転写されていれば(L2=L1である場合)、成型品や光学部材としたときの性能が極めて良好となる。
【0011】
本発明において、周期L1およびL2の測定方法は特に限定はないが、支持体の形状を正確に転写しているか否かを判断するために、以下の基準点を決めて測定することが好ましい。
【0012】
(1)マイクロレンズアレイ、すならち平面の上に半球または球の一部を並べた形状の場合、断面におけるそれら半球または球の頂点と、その頂点と隣接する頂点の距離を測定し、3点以上の距離の測定値から平均を求め、周期L1およびL2とすることが好ましい。測定する部位は支持体の測定部位と、その測定部位に対応する成形体の部分を測定することが好ましいが、相似の形状が連続する支持体を用いる場合には、上記の対応関係が必ずしも必要になるわけではない。また、本発明においては、L1とL2に関する上記規定が支持体あるいは成形体のどこかの箇所について満足されていればよい。なお、非球面レンズ、フレネルレンズ、ピラミッド形状のレンズなど、特殊形状のレンズが平面上に並べた形状についても上記方法で測定することができる。
【0013】
(2)プリズムシート、すなわち三角柱などを平面上に並べた形状の成形体の場合(たとえば住友スリーエム社製“BEFII”など)、隣り合う稜線間の距離を測定する。この場合についても、3点以上の距離の測定値から平均を求め、周期L1およびL2とすることが好ましい。この場合についても支持体および成形体のどこかの箇所について、上記したL1とL2との関係が満足されていればよい。
【0014】
本発明の成形体の製造方法は例えば、導光板、拡散反射板、革模様、フィルム、シートなど一定の周期を持たない形状の製造にも好適に用いることが可能である。この場合、JIS B0601−2001に記載される方法に準じて測定したRaについて上記と同様の関係を満足していることが好ましい。すなわち、支持体の表面形状の算術平均高さをRa1とし、成形体の表面形状の算術平均高さをRa2としたとき、Ra2がRa1の90%以上110%以下の値であることが好ましい。
【0015】
本発明においては、乾燥工程を、温度の異なる2つ以上の工程で行うことが好ましい。もちろん、3つ以上の異なる工程(温度)で乾燥を行うことも好ましい。この場合、乾燥温度を乾燥開始から順次、T1、T2、T3、・・・としたとき、初期乾燥温度T1は用いる溶媒の沸点以下の温度であることが好ましい。本発明においては、支持体上に成形体を保持したまま、十分な乾燥を行うことを特徴としているが、第一段階から溶媒の沸点を超える温度で加熱を行うと、気泡状の欠点ができることがある。さらにT2、T3、・・・は、任意の温度Tmaxまで順次昇温することが好ましい。溶媒の沸点を超えない温度であっても、T1が高い温度であると、成形体表面に被膜状の乾燥した部分が形成され、この皮膜によって、溶媒の蒸発が妨げられるため内部が十分に乾燥できないことがある。
【0016】
Tmaxは特に限定されないが、工程の気圧における溶媒の沸点以上の温度であることが好ましい。最終工程まで溶媒の沸点以下の温度で乾燥を行い、残存する揮発分を10重量%以下にするためには著しく長い乾燥時間が必要になることがあり、製造コストが大きくなる。溶媒の沸点以上の温度で加熱することにより成形体の片側が支持体に密着している状態でも溶媒を十分に乾燥することが可能になる。さらに好ましくはTmaxは高分子のガラス転移点温度以上の温度であることが好ましい。ガラス転移点温度以上の温度で加熱することにより、分子が動きやすくなり、溶媒が揮発しやすくなる。
【0017】
Tmax以降は徐々に降温し、支持体から成形体を剥離するが、Tmaxが高分子のガラス転移点温度以下であればTmaxで剥離しても構わない。
【0018】
また、乾燥工程について、0.1MPa以下で減圧乾燥することも好ましい。減圧することで、溶媒の沸点を下げることができ、大きな電気エネルギーを必要とするヒーターの温度を下げることができるため、コストダウンが可能となる。また、光学部材は着色が無いことが必要であるが、低温で乾燥できるため、着色を低減できる。
【0019】
本発明の製造方法に使用する支持体には特に制約は無く、金属、ガラス、高分子などから選ばれるが、使用する溶媒に対して耐性があること、および溶媒の沸点+50℃での寸法変化が小さいことが重要である。支持体は金属、ガラス、高分子などの単体であっても、複合素材であってもよい。乾燥時の密着性と、その後の剥離性を両立する目的で、表面が加工されているものも好ましい。
【0020】
溶液状態で塗布された高分子は残存する揮発成分が10重量%以下に乾燥されるまでは支持体に密着している必要があるが、他方、乾燥後は支持体から剥離する必要がある。このため、支持体の表面形状が設けられた側の面上に剥離剤を付与すること、あるいは高分子溶液に剥離剤を添加することが有用である。使用する剥離剤には特に限定はないが、例えば滑剤、界面活性剤、表面改質剤、剥離剤などの名前で販売されているものを用いることができ、例えばクラリアントジャパン株式会社製リコモントFN901、ワックスコンポジットG431L、ワックスコンポジットG432L、ダイキン工業株式会社製ユニダインDS403、ゼッフルGH700、大日本インキ株式会社製メガファックF479、メガファックF1405、メガファックESM1、株式会社ネオス社製フタージェント、東レダウコーニングシリコーン社製シリコーン離型剤、巴工業株式会社製モールドウィズ、セイミケミカル株式会社製サーフロン、JSR株式会社製ダイナセラ、デュポンジャパン株式会社製ゾニール等が挙げられる。
【0021】
剥離剤により支持体と高分子溶液の密着性および高分子成形体の剥離性を制御することにより、良好な転写を得ることができる。
【0022】
本発明の方法で製造される成形体は溶媒に可溶である高分子で有れば特に限定は無いが、芳香族高分子や脂環式高分子であることが好ましく、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、アクリル、ポリエーテルスルホンの何れか1種類または1種類以上を含む高分子が好適に用いられる。
【0023】
特に好ましくは芳香族ポリアミド、変性アクリル、脂環式ポリオレフィンが挙げられる。芳香族ポリアミドは屈折率が1.6以上と大きく250℃以上の高いガラス転移点温度を併せ持つため、マイクロレンズとした場合に、高効率なレンズを作ることができる。
【0024】
アラミドは特異な構造単位を持つことにより、高い透明性と屈折率を実現することができる。即ち、化学式(I)、(II)、(III)または(IV)で示される構造単位を含み(これらの全ての構造単位を含むこともあり、またその一部のみを含むこともある)かつ、化学式(I)、(II)(III)および(IV)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、m、n、oとしたとき、次式(2)〜(4)を満足しているアラミドを用いることが好ましい。
【0025】
50<l+m+n≦100 ・・・ (2)
0≦l、m、n、o≦100 ・・・ (3)
0≦o≦50 ・・・ (4)
【0026】
【化1】

【0027】
:少なくとも一つの5員環、6員環または7員環を有する基
:任意の芳香族基
X :水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
【0028】
【化2】

【0029】
:−CF、−CCl、−CBr、−OH、−F、−Cl、−OCH(ただし、分子内においてこれらの基を有する構造単位が混在していてもよい。)
:任意の芳香族基
【0030】
【化3】

【0031】
:−SO−、−O−、−CH−、−C(CF−から選ばれる基、または−SO−、−O−、−CH−、−C(CF−から選ばれる基を1つ以上含む芳香族基
:任意の芳香族基
X :水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
【0032】
【化4】

【0033】
:任意の芳香族基
:任意の芳香族基
X :水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
化学式(I)、(II)、(III)および(IV)はそれぞれ存在しても、または存在しなくても構わないが、化学式(I)、(II)および(III)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、m、nとした時、l+m+nが50を超えることが好ましい様態である。さらに好ましくはl+m+nは80以上であり、最も好ましくはl+m+nは100である。l+m+nが50以下の場合にはこれらの効果よりも着色に寄与する構造単位の寄与が大きくなり無色透明フィルムは得られない(光線透過率に劣る)ことがある。
【0034】
アラミドの着色は分子内および分子間の電荷移動錯体によると考えられているが、化学式(I)、(II)および(III)はいずれもアラミド分子内および分子間の電荷移動錯体の形成を阻害し、アラミドフィルムを無色透明化する(光線透過率を向上させる)と考えられる。
【0035】
化学式(I)においてRは少なくとも一つの5員環、6員環または7員環を有する基などが好適に用いられるが、化学式(XI)で示される環状基であることがさらに好ましい。最も好ましくはフルオレン基である。
【0036】
【化5】

【0037】
化学式(II)においてRは、−CF、−CCl、−CBr、−OH、−F、−Cl、−OCH(ただし、分子内においてこれらの基を有する構造単位が混在していてもよい。)などが好適に用いられる。最も好ましくは−CFである。
【0038】
化学式(III)においてRは、−SO−、−O−、−CH−、−C(CF−から選ばれる基、または−SO−、−O−、−CH−、−C(CF−から選ばれる基を1つ以上含む芳香族基などが好適に用いられるが、最も好ましくは−SO−である。
【0039】
また、変性アクリルは、マレイミド、グルタルイミド、ラクトン、グルタル酸無水物、スチレンなどを分子構造に持つアクリル一般を指す。変性アクリルは高い光線透過率と、100℃以上の高いガラス転移点温度を併せ持つため、好ましい。また、脂環式ポリオレフィンはJSR株式会社製アートン、日本ゼオン株式会社製ゼオノア、三井化学株式会社製アペルなどが例示できる。これらは高い光線透過率と、低い吸水率を持つため好ましい。
【0040】
さらに、これら高分子は450nmから700nmまでの全ての波長の光の光線透過率が80%以上であることが光学用部材として利用する場合には好ましい。450nmから700nmまでの全ての波長の光の光線透過率が80%以上であることにより高性能な光学用部材を得ることができる。
【0041】
また、高分子には、屈折率制御、表面形成、加工性改善などを目的として無機質または有機質の添加物を含有させてもよい。添加物は、その目的に応じて選ばれることは言うまでもないが、例えば無機粒子としては、たとえば、アルミニウム錯体、酸化アルミニウム粒子、酸化スズ−酸化アルミニウム複合粒子、酸化ケイ素−酸化アルミニウム複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化アルミニウム複合粒子、酸化スズ−酸化ケイ素複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化ケイ素複合粒子等、スズ錯体、酸化スズ粒子、酸化ジルコニウム−酸化スズ複合粒子等、チタン錯体、酸化チタン粒子、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化チタン複合粒子等、ジルコニウム錯体、酸化ジルコニウム粒子等があげられる。これらのうち、好ましくは、酸化スズ−酸化アルミニウム複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化アルミニウム複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化ケイ素複合粒子等、酸化スズ粒子、酸化ジルコニウム−酸化スズ複合粒子等、酸化チタン粒子、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化チタン複合粒子等、酸化ジルコニウム粒子等があげられる。特に好ましくは、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム−酸化スズ複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化ケイ素複合粒子、酸化ジルコニウム粒子が挙げられる。
【0042】
これらの無機粒子は、単体粒子としても、複合粒子としても利用できる。さらに、これらの無機粒子は、1種以上を混合して用いられることもできる。
【0043】
市販されている化合物としては、酸化スズ−酸化チタン複合粒子の“オプトレイクTR−502”、“オプトレイクTR−504”、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子の“オプトレイクTR−503”、酸化チタン粒子の“オプトレイクTR−505”((以上、商品名、触媒化成工業(株)製)、酸化ジルコニウム粒子((株)高純度化学研究所製)、酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子ゾル(触媒化成工業(株)製)、酸化スズ粒子((株)高純度化学研究所製)等が挙げられる。
【0044】
本発明で用いられる高分子は、450nmから700nmまでの全ての波長の光の光線透過率が80%以上であることが好ましい。より好ましくは光線透過率が85%以上、さらに好ましくは90%以上である。450nmから700nmまでの全ての波長の光の光線透過率が80%以上であれば光学部材として有用である。光線透過率に上限は無く、例えば蛍光増白剤などを添加することにより100%を超えることも可能であるが、一般的には100%を超えることは困難である。
【0045】
ここで、全光線透過率および光線透過率は厚み10μmのフィルムを作製して測定する。
【0046】
ただし、厚み10μmのフィルムを作成することが困難な場合は、下記式(1)、(2)を用いて厚み10μmに換算して評価する。もちろん、厚み10μmを超えるサンプルしか得られない場合においても、以下の換算手法を適用できる。
【0047】
10μmの時の光線透過率または全光線透過率(%):T10
膜の厚み(μm):L(適用範囲:0.1オングストローム〜10mm)
厚みLの時の光線透過率または全光線透過率(%):TL
反射率(%):R
吸光度(%/μm):a
T10=a×L+TL−a×10 ・・・ (1)
a=(100−R−TL)/L ・・・ (2)
ただし、膜厚が10μmを超え、かつ450nmから700nmまでの全ての波長の光の光線透過率が80%以上の場合は、10μmの時にも、この条件を満足することが自明であるため、必ずしも厚み10μmに換算する必要はない。
【0048】
次に、以下に本発明に好適に用いられる芳香族ポリアミドやその組成物の製造方法例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
芳香族ポリアミド溶液、すなわち製膜原液を得る方法は種々の方法が利用可能であり、例えば、低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法、蒸着重合法などを用いることができる。低温溶液重合法つまりカルボン酸ジクロライドとジアミンから得る場合には、非プロトン性有機極性溶媒中で合成される。
【0050】
ジアミンとしては例えば4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられるが、好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレンが挙げられる。
【0051】
カルボン酸ジクロライドとしてはテレフタル酸ジクロライド、2クロロ−テレフタル酸ジクロライド、2フルオロ−テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、オルトフタル酸ジクロライド、ナフタレンジカルボニルクロライド、ビフェニルジカルボニルクロライド、ターフェニルジカルボニルクロライドなどが挙げられる。
【0052】
芳香族ポリアミド溶液は、単量体として酸ジクロライドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
【0053】
2種類以上のジアミンを用いて重合を行う場合、ジアミンは1種類づつ添加し、該ジアミンに対し10〜99モル%の酸ジクロライドを添加して反応させ、この後に他のジアミンを添加して、さらに酸ジクロライドを添加して反応させる段階的な反応方法、およびすべてのジアミンを混合して添加し、この後に酸ジクロライドを添加して反応させる方法などが利用可能である。また、2種類以上の酸ジクロライドを利用する場合も同様に段階的な方法、同時に添加する方法などが利用できる。いずれの場合においても全ジアミンと全酸ジクロライドのモル比は95〜105:105〜95が好ましく、この値を外れた場合、成形に適したポリマー溶液を得ることが困難となる。
【0054】
本発明の芳香族ポリアミドの製造において、使用する非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の使用も可能である。さらにはポリマーの溶解を促進する目的で溶媒には50重量%以下のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の塩を添加することができる。
【0055】
このようにして得られたポリマー原液は酸ジクロライドから発生した塩化水素と、中和剤との中和反応によって塩が形成される。この割合は5〜20重量%になり、このポリマー原液をそのまま乾燥させると、塩が析出する。このため膜形成の前、もしくは膜の形成過程に於いて塩を除去することが好ましい。塩の除去方法としては、特に限定されないが、例えばポリマー原液に水を加え、カッターを備えた攪拌機で撹拌してポリマーを再沈、洗浄する。得られたポリマーを減圧乾燥機で乾燥し、任意の濃度で溶媒に溶解してコーティング用原液を得ることができる。
【0056】
本発明において、高分子成形体の製造は、例えば上記したコーティング用原液(有機溶媒を含む溶液)を所定の表面形状を付与した支持体に塗布した後、有機溶媒を除去することにより行うことができる。塗布する方法としては、特に限定はされないが、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、またはインクジェット法等の方法を挙げることができる。
【0057】
高分子成形体の膜厚には特に限定はないが、形成法として塗布を用いた場合、その膜厚は0.1nm以上10mm以下であることが好ましい。0.1nm未満では、均一に塗布することが困難なことがあり、10mmを超えると溶媒の除去が困難になることがある。
【0058】
塗布に使用する有機溶媒には特に限定は無いが、高分子が芳香族ポリアミドの場合は例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、あるいはジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いても、混合して用いても構わない。
【0059】
高分子がアクリルの場合にはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、ブタノンなどのケトン系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いても、混合して用いても構わない。
【実施例】
【0060】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0061】
実施例における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
【0062】
(1)残存揮発分
下記装置を用いて測定し、残存揮発分(%)を求めた。
【0063】
装置:TGA−50(島津製作所社製)
温度範囲:30℃〜500℃
昇温速度:10℃/分
(2)支持体および成形体の高さRa、Rzおよび周期
下記装置を用いて測定し、支持体および成形体の高さおよび周期(μm)を求めた。
【0064】
算術平均高さRaおよび最大高さRzはJIS B0601-2001に準拠する方法で計算した。
【0065】
装置:超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK-9500(キーエンス社製)
使用対物レンズ:×150
測定モード:カラー超深度
なお、形状および/または屈折率によっては、全てのレーザー光線が反射してしまい、上記の方法では高さRa, Rzおよび/または周期が正確に測定できないサンプルがある。この場合、透過電子顕微鏡を用いて測定することが可能である(いわゆるTEM法)。
【0066】
装置:日立(株)製H-7100FA
加速電圧:75kV
試料調製:エポキシ包埋、超薄切片法
(3)光線透過率
下記装置を用いて測定し、透過率(%)を求めた。
【0067】
装置:UV測定器U−3410(日立計測社製)
波長範囲:300nm〜800nm
測定速度:120nm/分
測定モード:透過
(参考例1)
攪拌機を備えた200ml4つ口フラスコ中に4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン2.483g、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン2.483g、N−メチル−2−ピロリドン63.1mlを入れ窒素雰囲気下、氷冷下攪拌した。10分から30分後にかけてテレフタル酸ジクロライド4.060gを5回に分けて添加した。さらに1時間攪拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウム1.426gで中和して透明なポリマー溶液1を得た。
【0068】
得たポリマー溶液1をミキサーを用いて水中で粉砕し、濾取、乾燥してポリマーを単離した。単離したポリマーを固形分濃度が20重量%になるようにNN’ジメチルアセトアミドに溶解してポリマー溶液Aを得た。
【0069】
(参考例2)
攪拌機を備えた300ml4つ口フラスコ中に4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン6.2080g、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン6.2080g、N−メチル−2−ピロリドン194mlを入れ窒素雰囲気下、氷冷下攪拌した。塩化ベンゾイル0.021gを添加し、10分から30分後にかけてテレフタル酸ジクロライド9.6435gを5回に分けて添加した。さらに1時間攪拌した後、反応で発生した塩化水素をプロピレンオキシド2.6852gで中和して透明なポリマー溶液2を得た。
【0070】
得たポリマー溶液2をミキサーを用いて水中で粉砕し、濾取、乾燥してポリマーを単離した。単離したポリマーを固形分濃度が20重量%になるようにγブチロラクトンに溶解してポリマー溶液Bを得た。
【0071】
(参考例3)
攪拌機を備えた200ml4つ口フラスコ中に9,9ビス(4−アミノフェニル)フルオレン6.969g、N−メチル−2−ピロリドン80.64mlを入れ窒素雰囲気下、氷冷下攪拌した。10分から30分後にかけてテレフタル酸ジクロライド4.060gを5回に分けて添加した。さらに1時間攪拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウム1.426gで中和して透明なポリマー溶液3を得た。
【0072】
得たポリマー溶液3をミキサーを用いて水中で粉砕し、濾取、乾燥してポリマーを単離した。単離したポリマーを固形分濃度が25重量%になるようにNN’ジメチルアセトアミドに溶解してポリマー溶液Cを得た。
【0073】
(参考例4)
攪拌機を備えた200ml4つ口フラスコ中に9,9ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン7.6884g、N−メチル−2−ピロリドン37.6mlを入れ窒素雰囲気下、氷冷下攪拌した。10分から30分後にかけて2−クロロテレフタル酸ジクロライド4.7494gを5回に分けて添加した。さらに1時間攪拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウム1.4261gで中和して透明なポリマー溶液4を得た。
【0074】
得たポリマー溶液4をミキサーを用いて水中で粉砕し、濾取、乾燥してポリマーを単離した。単離したポリマーを固形分濃度が20重量%になるようにNN’ジメチルアセトアミドに溶解してポリマー溶液Dを得た。
【0075】
(実施例1)
ZONYL(R)UR(デュポン社製)0.1gをN−メチル−2−ピロリドン100gに溶解した懸濁液をステンレス製のマイクロレンズ型(レンズの高さ15μm、周期50μm)に塗布、120℃で5分間乾燥した。乾燥度、N−メチル−2−ピロリドン、アセトンで洗浄し、余分なZONYL(R)URを除去した。参考例1で得たポリマー溶液Aを塗布厚600μmになるようにバーコーターで塗布、120℃で60分、280℃で3分乾燥し、膜厚110μmのマイクロレンズアレイを得た。得た成形体のレンズの高さは14.5μm、周期は50μm、残存揮発分は3重量%だった。
【0076】
(実施例2)
使用するポリマー溶液をポリマーBにする以外は、実施例1と同一の条件で、膜厚105μmのマイクロレンズアレイを得た。得た成形体のレンズの高さは14.8μm、周期は50μm、残存揮発分は3重量%だった。
【0077】
(実施例3)
ZONYL(R)UR(デュポン社製)0.1gをN−メチル−2−ピロリドン100gに溶解した懸濁液をステンレス製の平板(Ra=0.8nm、Rz=52nm)に塗布、120℃で5分間乾燥した。乾燥度、N−メチル−2−ピロリドン、アセトンで洗浄し、余分なZONYL(R)URを除去した。参考例3で得たポリマー溶液Aを塗布厚300μmになるようにバーコーターで塗布、120℃で10分、280℃で3分乾燥し、膜厚55μmの成形体を得た。得た成形体のRaは0.8nm、Rzは50nm、残存揮発分は6重量%だった。
【0078】
(実施例4)
使用するポリマー溶液をポリマーDにする以外は、実施例1と同一の条件で、膜厚53μmの成形体を得た。得た成形体のRaは0.9nm、Rzは53nm、残存揮発分は7重量%だった。
【0079】
(実施例5)
ZONYL(R)UR(デュポン社製)0.1gをN−メチル−2−ピロリドン100gに溶解した懸濁液をステンレス製のマイクロレンズ型(レンズの高さ15μm、周期50μm)に塗布、120℃で5分間乾燥した。乾燥度、N−メチル−2−ピロリドン、アセトンで洗浄し、余分なZONYL(R)URを除去した。
【0080】
メタクリル酸メチル単位61.5重量%、メタクリル酸単位0.5重量%、スチレン単位19重量%、グルタル酸無水物単位19重量%からなる共重合体を2−ブタノンに25重量%溶解し、を塗布厚200μmになるようにバーコーターで塗布、50℃で5分、80℃で10分、120℃で10分、170℃で10分乾燥し、膜厚50μmのマイクロレンズアレイを得た。得た成形体のレンズの高さは14.8μm、周期は51μm、残存揮発分は5重量%だった。
【0081】
(実施例6)
ZONYL(R)UR(デュポン社製)0.1gをN−メチル−2−ピロリドン100gに溶解した懸濁液をステンレス製のマイクロレンズ型(レンズの高さ15μm、周期50μm)に塗布、120℃で5分間乾燥した。乾燥度、N−メチル−2−ピロリドン、アセトンで洗浄し、余分なZONYL(R)URを除去した。
【0082】
メタクリル酸メチル単位72重量%、グルタル酸無水物単位28重量%からなる共重合体を2−ブタノンに25重量%溶解し、を塗布厚200μmになるようにバーコーターで塗布、50℃で5分、80℃で10分、120℃で10分、170℃で10分乾燥し、膜厚50μmのマイクロレンズアレイを得た。得た成形体のレンズの高さは15.0μm、周期は49μm、残存揮発分は5重量%だった。
【0083】
(比較例1)
ZONYL(R)UR(デュポン社製)を塗布しない以外は、実施例1と同一の条件で参考例1で得たポリマー溶液Aをマイクロレンズアレイ型に塗布、乾燥した。成形体はマイクロレンズアレイ型に強固に付着し、剥離できなかった。
【0084】
(比較例2)
乾燥工程を120℃で45分、マイクロレンズアレイ型から剥離、120℃で15分、280℃で3分乾燥とする以外は、実施例1と同一の条件で参考例1で得たポリマー溶液Aをマイクロレンズアレイ型に塗布、乾燥した。得た成形体のレンズの高さは9.3μm、周期は47μmだった。剥離直後の成形体の残存揮発分は54重量%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表面形状が設けられた支持体の上に、高分子を含む溶液を塗布し、この溶液の揮発成分が10重量%以下になるまで支持体上で乾燥せしめた後、支持体上の表面形状が転写された成形体を剥離する高分子成形体の製造方法。
【請求項2】
支持体の表面形状の最大高さをRz1とし、成形体の表面形状の最大高さをRz2としたとき、Rz2がRz1の90%以上110%以下の値である、請求項1に記載の高分子成形体の製造方法。
【請求項3】
表面形状が所定の周期を有する形状である、請求項1または2に記載の高分子成形体の製造方法。
【請求項4】
支持体の表面形状についての特定の方向における周期をL1とし、この特定の方向に対応する方向における成形体の表面形状の周期をL2としたとき、L2がL1の90%以上110%以下の値である、請求項3に記載の高分子成形体の製造方法。
【請求項5】
支持体の表面形状の算術平均高さをRa1とし、成形体の表面形状の算術平均高さをRa2としたとき、Ra2がRa1の90%以上110%以下の値である、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子成形体の製造方法。
【請求項6】
乾燥を、温度の異なる2つ以上の工程で行う、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子成形体の製造方法。
【請求項7】
溶液に含まれる溶媒の沸点よりも高い温度で加熱した後に成形体を剥離する、請求項1〜6のいずれかに記載の高分子成形体の製造方法。
【請求項8】
乾燥を0.1MPa以下の減圧雰囲気下で行う、請求項1〜7のいずれかに記載の高分子成形体の製造方法。
【請求項9】
支持体の表面形状が設けられた側の面上および/または溶液中に剥離剤を含んでいる、請求項1〜8のいずれかに記載の高分子成形体の製造方法。
【請求項10】
高分子として、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、アクリル、ポリエステル、フッ素樹脂およびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子を用いる、請求項1〜9のいずれかに記載の高分子成形体の製造方法。
【請求項11】
高分子として、化学式(I)、(II)、(III)または(IV)で示される構造単位を含み、かつ、化学式(I)、(II)(III)および(IV)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、m、n、oとしたとき、次式(1)〜(3)を満足している、請求項1〜10のいずれかに記載の高分子成形体の製造方法。
50<l+m+n≦100 ・・・ (1)
0≦l、m、n、o≦100 ・・・ (2)
0≦o≦50 ・・・ (3)
【化1】

:少なくとも一つの5員環、6員環または7員環を有する基
:任意の芳香族基
X :水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
【化2】

:−CF、−CCl、−CBr、−OH、−F、−Cl、−OCH(ただし、分子内においてこれらの基を有する構造単位が混在していてもよい。)
:任意の芳香族基
【化3】

:−SO−、−O−、−CH−、−C(CF−から選ばれる基、または−SO−、−O−、−CH−、−C(CF−から選ばれる基を1つ以上含む芳香族基
:任意の芳香族基
X :水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
【化4】

:任意の芳香族基
:任意の芳香族基
X :水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基高分子
【請求項12】
高分子の、450nmから700nmまでの全ての波長の光の光線透過率が80%以上である、請求項1〜11のいずれかに記載の高分子成形体の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法により製造された光学用成形体。

【公開番号】特開2006−137083(P2006−137083A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328718(P2004−328718)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】