説明

高効率照明アセンブリ

照明アセンブリ100は、電子ドライバ回路110と、放電ランプ10とを含む。放電ランプ10は、20〜30Wの定常状態平均電力で駆動される。該放電ランプは、2つの電極24を備えた3mm未満の最大内部寸法IDの放電容器20を含んでいる。放電容器充填物は、希ガスと、放電容器20の容積当たり13.2μg/μl未満の量で設けられるメタルハライド組成物とを有する。電気エネルギは交流電流Iとして供給され、該電流にはパルス150a〜150dが重畳される。これらパルスは、交流電流Iの極性変化の前又は後において、サイクル時間の10%の期間内に生じる。これらパルスの間において、電流Iは、該電流IのRMS値の少なくとも1.2倍の電流値に達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ドライバ回路と高圧ガス放電ランプとを備えた、特には自動車の前方照明に使用するための照明アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプ、特にHID(高輝度放電)ランプは、高光束が必要とされる多くの分野の用途に使用されている。特に自動車分野では、HIDランプは車両のヘッドランプとして使用されている。
【0003】
放電ランプは密閉された放電容器を有し、該放電容器は、例えば、内部放電空間を備えた石英ガラスから形成することができる。該放電空間内には、アークを点弧するために互いに或る距離で配置された2つの電極が突出している。該放電空間は、希ガスとメタルハライド等の他の物質とを有する充填物を含む。
【0004】
今日の重要な側面は、エネルギ効率である。放電ランプの効率は、使用される電力に関係するルーメン出力として測定することができる。今日において自動車の前方照明に使用される放電ランプにおいては、35ワットの定常状態動作電力において約90ルーメン/ワット(lm/W)の効率が達成されている。
【0005】
国際特許出願公開第WO2008/110967号公報は、20〜30Wの低減された公称電力の車両ヘッドライト用HIDランプを記載している。一実施例において、25Wランプは4.2mmなる光学距離で設けられた電極を備える楕円形状の放電容器を有している。該放電容器の内径は2.2mmであり、外径は5.5mmである。該放電容器内には、17barなる冷圧でのキセノン、並びに36重量%のNaI、24重量%のScI及び40重量%のZnIのメタルハライド充填物が設けられている。該放電容器の周囲には距離dに外球が設けられ、該外球は800℃で測定された低減された熱伝導度λの充填ガスにより充填され密閉されている。該放電容器と上記外球との間の距離dにより除算された上記外球充填ガスの熱伝導度λとして算出される熱伝達率は、150W/(mK)より低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、長寿命にわたりエネルギ効率的な動作を可能にするような照明アセンブリを提供することである。
【0007】
特に自動車の分野にとっては、従来の35Wランプよりも低い定格電力、例えば20〜30Wの範囲内、好ましくは22〜28Wの範囲内、より好ましくは25Wで放電ランプを駆動することが望ましいであろう。当該照明アセンブリが、斯かる低動作電力にも拘わらず十分な総ルーメン出力が達成されるような、高い効率で動作するように設計されたならば、エネルギを節約することが可能になる。
【0008】
発明者は、既存のランプ設計による従来の電気駆動方式を一層低い電力で使用することは、劇的な効率の低下につながるであろうことを認識した。例えば、35Wの定常状態動作において約90lm/Wの効率を持つランプは、25Wでは僅か約62lm/Wの効率しか持たない。
【0009】
このように、より低い電力に適合されたランプ設計が必要である。しかしながら、発明者は、ランプ設計のみでの最適化対策は、ランプ寿命が限られるという危険性を増加させることを見いだした。例えば、高いガス圧及び強力な熱絶縁(断熱)は、ランプ寿命の低下につながり得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、電子ドライバ回路がランプを特別な動作条件で駆動するような照明アセンブリが提供され、このために、ランプ設計は低い平均電力(例えば、25W)において高効率及び良好なランプ寿命が達成されるように特別に適合される。
【0011】
本発明によれば、当該ランプは、2つの電極が突出するような放電容器を有する。該放電容器内には、希ガス(好ましくはキセノン)及びメタルハライド組成物を含む充填物が設けられる。好ましくは、該充填物は少なくとも実質的に水銀を含まない、即ち水銀を全く有さないか又は水銀の不可避的な不純物しか有さない。
【0012】
本発明によれば、上記メタルハライド組成物は、当該放電容器の容積の13.2μg/μl未満の濃度で設けられ得る。8μg/μl未満を用いることは更に好ましい。好ましい実施例において示されるように、4〜6.7μg/μlなる少量のハライド(ハロゲン化物)さえ使用することができる。このような限られた量のメタルハライドの結果、より長い寿命が得られるように反応性が低下される。
【0013】
本発明によれば、上記ドライバ回路はランプを、本文脈においては"パルス動作"と称される特別な動作モードで駆動する。通常、ランプは交流電流、即ち極性を周期的に変化させる電流により駆動される。好ましい周波数は250〜750Hz、最も好ましくは300〜450Hzである。一般的に、正弦状波形等の交流電流の如何なる基本波形も使用することができるが、矩形波形の電流を供給することが好ましく、その場合、電流値は、極性変化(転流)の周辺では急激に変化し、各半周期の残りの間においては実質的に一定に留まる。当業者に依れば、理想的な矩形波形は完全には得られないことは、当然、理解されるであろう。ランプにおいて測定される電流値は、有限のエッジの急峻さを呈する。また、矩形波形の一定の部分の間において、実際の電流は正確に同一の値に留まることはない。本文脈において、ランプ電流の波形は、当該電流が半周期の少なくとも70%にわたり実質的に一定に、即ち平均値に対して±15%、好ましくは±10%の区間内留まると共に、極性変化が各半周期の残りの30%内で生じるならば、依然として矩形と称されるであろう。各半周期の80%又はそれ以上、最も好ましくは90%又はそれ以上にわたり実質的に一定な矩形波形が更に好ましい。
【0014】
パルス動作方式においては、交流電流に電流パルスが重畳される。当該ランプ電流の各極性変化に対して少なくとも1つのパルスが発生される。該電流パルスは、時間的に、各極性変化の近くに位置される。該パルスの中心は、半サイクル時間の20%の期間(該期間はランプ電流の転流を含む)内に位置する。このように、当該パルスの時間位置は、転流から半サイクル時間の±20%内に位置する。この定義は、好ましい実施例に関連して説明されるように、パルスの半値点(half maximum points)の間で測定されるパルス中心に関するものであり、該期間内に全パルスが位置することを必要とするものではないことに注意されたい。
【0015】
パルスの大きさは、完全なサイクルにおけるランプ電流のRMS(二乗平均平方根)値に関連して定義される。本発明によれば、電流パルスの高さ(即ち、最大電流値)は、ランプ電流のRMS値の少なくとも1.2倍である。ランプ電流のRMS値の少なくとも1.4倍のピーク電流値が更に好ましい。また、ピーク電流は、RMS値の例えば5倍までのように、大幅に(実質的に)大きくすることもできる。殆どの実際的応用例においては、RMS値の4倍までのピーク電流で十分であろう。
【0016】
好ましい実施例によれば、上記パルスは、半サイクル時間の1〜25%の、更に好ましくは3〜16%の幅(半値点の間で測定される)を有する。これらパルスは、極性変化の前又は後に設けることができる。好ましくは、各転流に対して、反対の極性の2つのパルスが、第1のパルスが転流の前に印加され、第2のパルス(逆極性の)が転流後に印加されるように設けられる。
【0017】
本発明により提案される該パルス駆動方式の結果、驚くべきことに、20〜30Wの、好ましくは22〜28Wの、即ち自動車の前方照明において通常であるよりも低い平均動作電力で駆動される本発明によるタイプのランプにより、一層高い光束が発生されることが分かった。25Wで駆動される斯様なランプの場合、約5%のランプ効率の増加が見られた。
【0018】
このように、特別なパルス動作モードを、低下された電力範囲に適したランプ設計及び相対的に少ない量のハライドと組み合わせる本発明による照明アセンブリは、自動車用の前方照明を、低減された電力で、しかも高光束及びランプの良好な寿命特性でもって提供することを可能にする。
【0019】
好ましい実施例によれば、当該照明アセンブリは、25Wの電力での定常状態動作において75lm/W以上の、好ましくは80lm/Wより高い、最も好ましくは85lm/W以上の効率を有する。本文脈において、参照されるlm/Wで測定される効率は、常に、バーンインされたランプで、即ち当該放電ランプが最初に起動され、バーンインシーケンスに従って45分間動作された後に測定される。
【0020】
後述する好ましい実施例の関連で明となるように、25Wなる低動作電力でさえも高い効率のランプを得るために使用することが可能な幾つかの対策が存在する。これらの対策は、一方では放電容器自体に関わるものであり、その場合、小さな内径及び薄い壁が高効率を達成するための助けとなる。他方、これは、放電空間内の充填物に関わるものであり、ハライド及び希ガスの量及び組成に関して後述される。更に、高効率を達成すべく"最冷点(coldest spot)"の温度が十分に高く維持されるように、外囲体を介しての熱伝導を制御するための対策が後述される。
【0021】
一般的に、20〜30Wにおける、好ましくは22〜28Wにおける動作に対して、放電容器の内径は、例えば2.0〜2.5mmのように、相対的に小さく選定されねばならない。アークの放電容器壁への過度な接近を防止するために、2.0mmなる最小内径が好ましい。好ましい実施例によれば、放電容器は2.0〜2.3mmなる中央内径を有する。
【0022】
当該放電容器の壁厚は、好ましくは、1.5〜1.9mmとなるように選定することができる。好ましい実施例によれば、少ない熱放射を有し、一層低い電力でも熱く維持される相対的に小さな放電容器が設けられるように、壁厚は1.5〜1.75mmとする。
【0023】
本発明の好ましい実施例によれば、当該ランプは、放電容器の周囲に設けられる外囲体を更に有する。該外囲体も、好ましくは、石英ガラスからなる。該外囲体は外部に対して密閉されると共に、真空に排気することができるか又は、好ましくは低下された圧力(1barより低い圧力)で設けられるガス充填物により満たされる。該外囲体は外部に対する熱流を規定する断熱体として作用し、かくして、当該放電容器の規定された動作温度が達成される。
【0024】
上記外囲体は、例えば円筒状、概ね楕円状又はその他等の如何なる幾何学構造のものとすることもできる。該外囲体は、最大で11mmの外径を有することが好ましい。
【0025】
前記放電容器からの熱流を低減するために、上記外囲体は該放電容器から或る距離に設けられる。測定の目的のため、ここで述べる上記距離は、当該ランプにおける前記電極間の中間位置における断面で測定される。該外囲体の前記ガス充填物又は排気は、該距離と共に、所望の熱伝達率λ/dが達成されるように選定される。λ/dに対する好ましい値は23.3〜80W/(mK)であり、更に好ましい値は32.6〜62W/(mK)である。好ましくは、該外囲体は放電容器まで0.4〜0.8mmの距離に配置される。
【0026】
他の実施例は、放電容器内に設けられる充填物に関するものである。
【0027】
当該放電空間内に設けられる希ガスは、好ましくは、キセノンである。該希ガスは、13barより高く17barより低い冷(20℃)充填圧で設けることができる。最も好ましくは、14〜16barのガス圧が使用される。これらの圧力値は、高いルーメン出力をもたらすと共に、迅速な立ち上げ(run-up)動作を達成する助けとなる。しかしながら、17bar以上の圧力値は寿命に悪い影響を与えることが分かっており、従って好ましくは回避されるものとする。
【0028】
好ましい実施例において、メタルハライド組成物は高ルーメン出力を達成するために入念に選定される。該組成物は、少なくともナトリウム(Na)及びスカンジウム(Sc)のハロゲン化物を有し、好ましくは少なくとも50総重量%のNaI及びScIを有する。60重量%より高い又は70総重量%よりをも高いハライド組成物という、更に高い割合の強発光ハロゲン化物NaI及びScI3が、更に好ましい。好ましくは、Na及びScのハロゲン化物の質量比(Scハロゲン化物の質量により除算されたNaハロゲン化物の質量)は、0.7〜1.3、好ましくは0.85〜1.15である。
【0029】
他の好ましい実施例において、上記メタルハライド組成物は、ナトリウム及びスカンジウムのハロゲン化物以外に他の物質も有する。斯かる他のハロゲン化物は、燃焼電圧(バーニング電圧)を調整すると共に、発生される光の所望の色を達成するよう作用する。本発明の好ましい実施例によれば、当該メタルハライド組成物は、15時間の動作の後に、4250〜4750Kの、より好ましくは4350〜4650Kの色温度を得るように選択される。これを達成するために、該メタルハライド組成物は、好ましくは、少量の、例えば0.1〜3重量%の、好ましくは0.2〜1重量%のインジウムのハロゲン化物(InI)を有する。他の添加物として、一定量の、好ましくは全ハライド組成物の5〜40重量%の、好ましくは10〜30重量%のツリウムのハロゲン化物(TmI)を添加することが好ましい。ツリウム及びインジウムのハロゲン化物の添加は、当該色を所望の色温度範囲に調整するように働く。
【0030】
オプションとして、当該メタルハライド組成物は少量(例えば、5重量%未満、好ましくは0.5〜3重量%)のトリウムハロゲン化物(好ましくは、ThI)の添加物を有することができる。トリウムハロゲン化物は、電極の仕事関数を低下させ、従ってランプ効率を改善するよう作用する。
【0031】
好ましい実施例において、電極は230〜300μmの、好ましくは240〜260μmの直径を持つ棒状のものである。一方において、これら電極は所要の立ち上げ(準備)電流に耐えるべく十分に太く形成されなければならない。他方において、相対的に低い定常状態電力において高効率を持つランプ設計のための電極は、定常状態において低電力で動作することができると共に放電容器を十分に加熱することができるように十分に細い必要がある。
【0032】
本発明の上記及び他の目的、フィーチャ及び利点は、好ましい実施例の後述する説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の一実施例による照明アセンブリの概略図を示す。
【図2】図2は、図1のアセンブリの電子ランプドライバ回路の概略図を示す。
【図3】図3は、ランプの側面図を示す。
【図4】図4は、図1に示すランプの中央部の拡大図を示す。
【図5】図5は、図2のA−A線に沿う断面図を示す。
【図6】図6は、ランプ電流のタイミング図を示す。
【図7a】図7aは、ランプ電流のタイミング図を示す。
【図7b】図7bは、ランプ電流のタイミング図を示す。
【図7c】図7cは、ランプ電流のタイミング図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図示及び説明される全ての実施例は、ECE R99及びECE R98に準拠する車両ヘッドライト用に使用されることを意図するものである。このことは、特別に、代替的な非自動車用途又は他の規則に従う車両照明を排除することを意図するものではない。
【0035】
自動車用の高圧ガス放電ランプ照明アセンブリ自体は既知であるので、好ましい実施例の下記説明は、主に、本発明の特別なフィーチャに焦点を合わせる。
【0036】
図1は照明アセンブリ100を概略示し、該照明アセンブリは動力車両のヘッドライト114の反射器112内に取り付けられたランプ10に電気的に接続された電子ドライバ回路(バラスト)110を有している。
【0037】
尚、動力車両ヘッドライト114は抽象的にのみ示されていることに注意されたい。レンズ、シェーディング装置等の更なる光学エレメントを有し得る高輝度放電ランプを用いた斯様なヘッドライトの固有の構成自体は、当業者により既知のものである。
【0038】
ランプ10は高輝度放電ランプである。ドライバ回路110は、車両の搭載電圧VBoardに接続されている。回路110内において、この電圧は、放電ランプ10が適切なランプ電流I及びランプ電圧Vで動作されるように変換される。
【0039】
ランプ10が始動されると、ドライバ回路110は該ランプ10の点弧電圧を供給し、該ランプの電極間にアークを点弧する。点弧に続いて、ランプ10は先ず立ち上げ(準備)フェーズで動作され、その場合、初期的にランプ電流Iのみが例えば2.0Aに制限される。
【0040】
立ち上げの後、ランプ10は定常状態で動作され、その場合、ランプ電流I及びランプ電圧Vは、一定した平均電力が供給されるように供給される。本例において、平均電力の値は、今日の自動車用前方照明に通常使用されている35Wと比較して、25Wである。詳細に説明されるように照明アセンブリ100は25Wの動作に最適化されているが、当業者であれば、35Wより低い異なる電力、例えば20〜30W又は更に好ましくは22〜28Wで動作させることも可能であることが理解されよう。
【0041】
図2は、ドライバ(駆動)回路110の概略ブロック図である。本発明は定常状態における照明アセンブリ100の効率に焦点を合わせているので、駆動回路110のうちの、定常状態においてランプ10を駆動する責任を担うエレメントのみが示されると共に更に説明され、例えばランプの点弧のためのエレメントは図示されず、詳細には説明されない。
【0042】
図2に示す一般的な構成において、駆動回路110はブースタ(昇圧)回路120と、インバータ回路130と、コントローラ140とを有している。ブースタ回路120は、動力車両の搭載電圧VBoardを、本例では400Vの中間電圧に変換する。インバータ回路130は、例えば全ブリッジ構成のスイッチング素子を使用して、例えば250〜750Hzの周波数の交流電流Iを供給する。本例において、電流Iは330Hzの交流電流として供給される。駆動回路の一例は、国際特許出願公開第WO2006/137027号公報に詳細に記載されている。
【0043】
定常状態動作において、ランプは電流駆動される、即ち所望の電流値Iで動作される。対応する電圧値Vが、ランプ10のパラメータに従って確立される。このようなパラメータはランプ10の寿命にわたり変化し、それに応じて電圧Vは順応するので、例えば25Wなる所望の一定平均電力を得るために、Iに対する設定値も電力制御ループ(コントローラ140に統合され、ここでは特別に図示されていない)により変化される。
【0044】
コントローラ140は、上記に応じて、ブースタ回路120及びインバータ回路130を駆動する。
【0045】
本発明の当該実施例において、駆動回路110は電力をランプに対して固有の波形を持つ交流ランプ電流Iとして供給する。該ランプ電流Iは、好ましい実施例においては実質的に矩形の、即ち当該電流が各半周期においては実質的に一定であり、転流時に急速に変化するような基本波形を有する。この基本波形に重畳されるのは、該基本波形の転流の近くの時点に設けられるパルスである。これらパルスは全サイクル時間に比較して短い持続時間のものであり、パルス高は当該パルスにおける電流が残りのサイクルにおけるよりも著しく高くなるようなものである。
【0046】
図6は、定常状態動作における時間tにわたってのランプ電流Iの波形の一例のタイミング図である。該タイミング図は実寸通りではなく、使用される値及び定義を明確に解説することを意図したものであることを強調しておく。
【0047】
図6において、点線はランプ電流Iの理想波形を示し、実線は、バラスト110から実際に得られ得る電流Iの一例を示している。
【0048】
図6に示されるように、各転流145a、145b、145c、145dの前に、基本矩形波形上に重畳される電流パルス150a、150b、150c、150dが設けられる。当該矩形波形において、電流Iは各半周期の間では正の値IL,1及び負の値IL,2で実質的に一定である。重畳されたパルス150a〜150dは該電流を、一層高い正の値IP,1及び一層大きな負の値IP,2まで持ち上げる。パルス150a〜150dは、全体のサイクル時間と比較して相対的に短い。パルス高は、IP,1及びIP,2が全サイクル内のランプ電流IのRMS値の少なくとも1.2倍となるように選定される。これら電流パルスは短いので、IのRMS値は、IL,1より僅かに高くなる。本例において、パルスIP,1及びIP,2は、IL,1及びIL,2の約1.5倍に選定され、IのRMS値の約1.4倍に対応する。
【0049】
図7a〜7cは、基本矩形波形上に重畳された、異なるパルスを示す。各例において、パルス幅及びパルスの時間的位置は、図7a〜7cに示されるように、当該パルスの半値(half maximum)において、即ち値IがIhalf=IL,1+1/2(IP,1−IL,1)に到達する時点t,tにおいて測定される。本明細書及び請求項がパルスの時間的位置を参照する場合、これは半値点(half maximum points)の間の時間的中間点(t+1/2(t−t))を指す。パルス期間(持続時間)を参照する場合、これは、半値点t,tの間の期間を指す。
【0050】
図7a〜7cに示されるように、パルスは転流点145の前(図7b)、転流の後(図7c)又は転流の前及び後の両方(図7a)に供給することができる。
【0051】
好ましい実施例において、電流Iは330Hzの周波数を有する。従って、全サイクル時間は3msである。パルス期間は、好ましくは、該全サイクル時間の3〜16%、即ち90〜480μsとすることができる。
【0052】
パルス中心は、時間的に、各転流点145の図7bに示されるように前、又は図7cに示されるように後の何れかにおける半サイクル時間の20%の期間内、即ち転流の前後の±0.3msに配置することができる。
【0053】
図3は、放電ランプ10の側面図を示す。該ランプ10は、2つの電気接触子14を備えるソケット12を有し、これら電気接触子はバーナ16に内部的に接続されている。
【0054】
上記バーナ16は、放電容器20を囲む石英ガラスの外囲体(以下では、外球と称する)18を有している。上記放電容器20も石英ガラスからなり、突出する棒状の(即ち、円形断面を持つ円柱状の)電極24を備えた内部放電空間22を画定している。放電容器20のガラス材料は、当該ランプ10の長さ方向に更に延在して、上記電極24との電気接続部を密閉し、該電気接続部は平らなモリブデン箔26を有している。
【0055】
外球18は、中央部が円筒形状であって、上記放電容器20の周囲に或る距離で配置され、かくして、外球空間28を画定している。該外球空間28は密閉されている。
【0056】
図4に更に詳細に示されているように、放電容器20は放電空間22の周囲に位置する外壁30を有している。該壁30の外側形状は楕円である。図示の例における放電空間22も、楕円形状のものである。他の例として、放電空間22は円柱状のものとすることもできる(図示略)。
【0057】
放電容器20は、該放電容器20の電極距離d、内径ID及び外径OD、該放電容器20の壁厚w、該放電容器20と外球18との間の距離d、並びに外球28の壁厚wにより特徴付けられる。ここで、値ID、OD、w、d、wは、図5に示されるように、当該放電容器20の中央の垂直面において測定される。
【0058】
当該ランプの定常状態における動作の間において、前述したように、電極24の間でアーク放電が点弧される。交流電流Iは、定常状態を確立する燃焼電圧Vにおいて25Wなる一定の平均電力が供給されるように供給される。
【0059】
可視光の発生、更に特定的には当該ランプ10により発生されるルーメンで測定される光束は、該ランプ10の及び電気駆動方式の両方のパラメータに依存する。
【0060】
ランプ10の1つの決定的パラメータは、放電空間22内に含まれるランプ充填物であり、該充填物は水銀を含まず、メタルハライド及び希ガスを含む。該充填物の詳細は後述する。他の決定的パラメータは、ランプ10の熱的設計である。
【0061】
図示された放電ランプ10の熱的挙動に関しては、自動車用ランプが、図1に示されるように水平で動作されることを意図するものであることに留意すべきである。この場合、電極24間のアーク放電は、放電容器20における当該アーク上の壁30においてホットスポットを生じさせる。同様に、放電空間22を囲む壁30の反対側の部分は相対的に低い温度に留まる(最冷点)。
【0062】
放電容器20から外部への熱の移送を低減すると共に、良好な効率のために要する高い温度を維持するために、外球18は低い熱伝導にすることが好ましい。外側からの冷却を制限するために、外球18は密閉され、排気されるか又は定められた熱伝導度の充填ガスにより充填される。該外球の充填物は1bar未満の低圧(当該ランプの29℃の冷状態で測定される)で設けられる。後に更に説明するように、真空又は適切な充填ガスの選択は、放電容器20から外球18への所望の熱伝導を達成するために、幾何学的構成との関連でなされなければならない。
【0063】
外側への熱伝導は、放電容器20と外球18との間の距離dにより除算された該外球の充填物の熱伝導度λ(本前後関係においては、常に800℃の温度で測定される)として計算される熱伝達率λ/dにより大凡特徴付けられる。
【0064】
放電容器20と外球18との間の相対的に小さな距離により、これら2つの間の熱伝導は本質的に拡散性であり、従ってq(ドット)=−λgradθと計算され、ここで、q(ドット)は熱流束密度、即ち放電容器と外球との間で時間当たりに移送される熱の量であり、λは熱伝導度であり、gradθは温度勾配である。該温度勾配は、ここでは、前記距離により除算された、放電容器と外球との間の温度差として大まかに計算することができる。即ち、gradθ=(TdischargeVessel−TouterBulb)/dである。このように、冷却はλ/dに比例する。
【0065】
本状況で提案される実施例に関しては、所望の伝達率λ/dを得るために、異なるタイプの充填ガス、異なる値の充填圧及び異なる距離値dが選択され得る。ガス充填の場合、充填圧は低減される(1barより低く、好ましくは700mbarより低く、更に好ましくは300mbarより低く)。特に好ましい値は、100mbarの充填圧である。しかしながら、好ましい領域では、熱伝達率が圧力に伴い僅かに変化することが分かった。他の例として、前記外球を12mbarより低い、好ましくは8mbar以下の、更には4mbar以下の圧力値まで排気することもできる。
【0066】
好ましい距離d2は、0.4mmから0.8mmまでの範囲である。当該充填物は、熱伝導値λ(800℃で測定される)により選択される如何なる好適なガスとすることもできる。下記の表は、λの値の例を示す。
ネオン 0.120W/(mK)
酸素 0.076W/(mK)
空気 0.068W/(mK)
窒素 0.066W/(mK)
アルゴン 0.045W/(mK)
キセノン 0.014W/(mK)
【0067】
良好な絶縁(断熱)を得るために、特には充填ガスの主成分としてアルゴン、キセノン又はこれらの混合物が好ましい。しかしながら、熱伝達率は、勿論、距離dに依存するので、十分に大きなdにより別のガス充填物を選択することもできる。
【0068】
前記外球の8mbar以下の真空の場合、約0.045W/(mK)の熱伝導度が観測された。
【0069】
λ/dの好ましい値は、約23W/(mK)(例えば、d=0.6mmの距離においてキセノン充填物により達成される)から、約80W/(mK)(例えば、d=0.6mmの距離において90%のアルゴン及び10%の酸素を含む充填物により達成される)までの範囲である。更に好ましいのは、32.6W/(mK)から62W/(mK)の範囲である。
【0070】
全体的に高いルーメン効率を備えるランプ設計を提案することができるように、発明者はランプ効率に貢献する要因を研究した。下記のパラメータは、効率に貢献し、より高い効率を得るように、それに応じて調整することができる。しかしながら、該パラメータはランプの寿命に悪く影響する可能性がある。
【0071】
[放電管充填物]:
− メタルハライドの量:
ハロゲン化物の合計量を増加させる、従って当該放電容器内に設けられる発光ハロゲン化物の量を増加させることにより、ランプ効率は増加される。しかしながら、大量の活動的ハロゲン化物は、反応性を増加させ、Mo/帯密閉部における早期の腐食につながりかねない。
− メタルハライドの組成:
ツリウム及びインジウムのハロゲン化物等の二次的ハロゲン化物に対して、ナトリウム及びスカンジウムのハロゲン化物等の強い発光性ハロゲン化物の量を増加させることにより、効率は上昇される。しかしながら、得られる色は、二次ハロゲン化物により調整する必要がある。ナトリウム及びスカンジウムのハロゲン化物を有するメタルハライド組成物において、ランプ効率は、ナトリウムハロゲン化物及びスカンジウムハロゲン化物の質量比を約1.0の最適値の近くに選定することにより上昇される。
− 希ガスの圧力:
放電容器内に設けられる希ガス(好ましくは、キセノン)の圧力を上昇させることにより、ランプ効率は上昇される。しかしながら、過度に高い希ガス充填圧は、ランプの寿命に悪く影響し、このことが、本発明が放電空間22内のキセノン圧を17bar未満に制限するよう提案する理由である。
【0072】
スカンジウムハロゲン化物以外に、気相発光物としてトリウムハロゲン化物を使用することが可能である。無トリウム設計は環境的理由により好ましいが、THIの添加が、電極損失を低減させることによりランプ効率を改善し得ることが分かっている。
【0073】
[熱的対策:"最冷点"温度を上昇させる]
− 放電容器が小さくされると、"最冷点"温度が上昇され、高効率に貢献する。従って、放電容器の一層小さな内径は高効率につながる。しかしながら、過剰な(機械的及び熱的)壁負荷を避けるために、内径IDは過度に小さく選定してはならない。
− 最冷点温度は、更に、所望の低い熱伝達率λ/dを得るために外囲体(外球)による放電容器の断熱によって上昇させることができる。斯かる外球を放電容器から一層大きな距離dに設けることにより、熱の伝達が制限され、従って効率が上昇される。斯かる外囲体内にアルゴン等の、又は更に好ましくはキセノン等の低熱伝導度λのガス充填物を設けることにより、上記伝達はされに低減され得る。しかしながら、温度の上昇は、ランプの寿命に悪影響を与え得る。
【0074】
上述したように、上記パラメータは高効率を達成するためにのみ調整された場合、ランプの他の要件に関して悪い副作用を有し得る。本発明の実施例においては、上記パラメータは、所望のルーメン出力は達成するが、限られた寿命等の不必要な悪影響を招来しないように更なる最適化を限定するように選定される。
【0075】
驚くべきことに、発明者は、前述した特別なパルス駆動方式がランプ効率を大幅に改善することを見いだした。25Wで動作されるランプによる実験は、ルーメン効率が約5%増加することを示した。
【0076】
この場合、この効率の増加は、前記ランプパラメータを、高い効率のみならず、長寿命及び良好な立ち上がり特性が達成されるように選定することを可能にする。
【0077】
以下では、上記に関する知見に従い、従来の設計よりも低い(定常状態)平均レベルの動作電力で使用されることを意図するランプの実施例を説明する。これら実施例の公称動作電力は25Wである。提案された駆動方式により十分に高いランプ発光効率を達成すると同時に、十分なランプ寿命を維持すべく、ランプの熱的特性に関して固有の設計が選択されている。
【0078】
ルーメン出力及びランプ効率に対して言及される限り、これは、本前後関係では常に水平に向けられたバーナで行われる45分のバーンイン手順後に25Wで測定されるべきものであり、該手順は先ず始動され、40分動作され、次いでオフされ、長軸の周りに180°回転され、再度オンされ、当該ルーメン出力が測定されるまで更に5分動作されるものである。典型的なランプは、このようなバーニングシーケンスを完了した後に販売されるので、幾つかの規則におけるような15時間の動作の後に測定される値よりも、この方法が尊重される。比較のために、ランプ効率は寿命にわたり初期的に減少することに注意すべきである。
【0079】
第1実施例においては、放電容器及び外球は下記のように設けられる:
【実施例1】
【0080】
ランプ例1(25W)
放電容器:楕円又は円筒状内側形状
楕円外側形状
電極:棒状
電極直径:250μm
電極距離:3.9mm光学
内径ID:2.2mm
外径OD:5.5mm
放電容器容積:19μl
壁厚w:1.65mm
外球内径:6.7mm
外球距離d:0.6mm
外球充填物:100mbarにおいて85%キセノン、5%アルゴン、10%酸素
熱伝達率λ/d:800℃で測定されて36.25W/(mK)
外球壁厚w:1mm
【0081】
放電空間22の充填物は、以下のように、キセノン及びメタルハライド組成物からなる:
キセノン圧(25℃で):15bar
ハロゲン化物組成:41重量%のNaI、36.5重量%のScI、20重量%のTmI、2重量%のThI、0.5重量%のInI
ハロゲン化物の総量:200μg
放電空間のmm当たりのハロゲン化物の量:10.5μg/μl
NaI/ScIの質量比:1.12
【0082】
上記例1のランプの10個のバッチが試験された。先ず、これらランプは重畳パルス無しの交流電流により動作された。次いで、電子バラスト110は、転流の近くに前述した電流パルスを設けるようにプログラミングされた。当該ランプをバーンインシーケンスに従って45分動作させた後、下記の平均測定値が得られた:
【0083】
従来動作 パルス動作
効率: 88lm/W 92lm/W
電圧: 39.9V 40.0V
色: X 367 X 368
色: Y 371 Y 374
色温度Tc: 4351K 4339K
【0084】
このように、25Wなる動作電力においてさえ、提案されたランプによれば両方の場合において高ルーメン出力が達成されることが先ず分かる。驚くべきことに、当該ルーメン出力は、前述したパルス駆動方式を用いることにより2300lmまで大幅に上昇された。このように、この動作モードは、+4lm/Wのルーメン効率の増加をもたらす。また、燃焼(バーニング)電圧及び色等の当該ランプの他の特性は、パルス動作によっても実質的に変化しないことにも注意されたい。
【0085】
上述した値は45分のバーンインの後にとられたものであるが、当該特性は、ランプの初期動作期間の間に変化する。15時間の動作(多くの仕様において重要視される時点である)の後において、当該ランプ効率は、従来及びパルス動作の両方の場合とも、低下する。また、45分の動作の後の値と比較して、燃焼電圧は増加する。
【0086】
また、色は、4400Kより高い所望の色温度に到達するよう変化する。
【0087】
放電ランプが転流の近くのパルスによっても動作される場合のルーメン出力の観測された驚くべき増加は、開示されたタイプのランプのみに限られるものではなく、異なる動作電力で駆動される他の放電ランプにも当てはまる。また、35Wで駆動される従来の設計の(即ち、より大きな放電容器及び該容器内の一層多い量のハロゲン化物の)ランプの場合も、同様の効果が観測され得る。
【0088】
例1の上に示したパラメータは、既に、高い効率を得ると同時に、寿命のみならず立ち上がり挙動及び色に対して強い悪影響を持つ過剰な範囲を回避するよう選定されている。しかしながら、パルス動作から得られるランプ効率の増加により、上記例の、パラメータが低い値に選定された変形例を下記の通り定めることができる。これは、ランプ効率を勿論低下させるが、他の分野において当該ランプにとり有益である。
【実施例2】
【0089】
例2(25W、最適化された寿命)
放電容器及び外球の寸法は、例1におけるのと同様である。下記のパラメータは、例1とは異なるように選定された:
外球充填物:100mbarにおいて45%のキセノン、45%のアルゴン、10%の酸素
熱伝達率λ/d:800℃で測定されて56.9W/(mK)
ハロゲン化物の総量:100μg
放電空間のmm当たりのハロゲン化物の量:5.26μg/μl
【0090】
45分後に上述したパルス動作で駆動された例2のランプの全ルーメン出力は、2200ルーメン、即ち88lm/Wであった。このように、パルス動作で駆動される該例2のルーメン出力は、従来の方法で駆動される例1のものと同様である。しかしながら、例2の設計は、ランプ寿命に関して大きな利点を有する。外球の一層高い熱伝導度は、冷点温度の低下につながる。これが、放電容器内のハロゲン化物の大幅に低減された(50%)量と相俟って、該放電容器における反応度が低下し、一層長いランプ寿命が得られ得る。
【実施例3】
【0091】
例3(25W、高速立ち上がり)
該例3の場合、下記のパラメータを除き、上述した全てのパラメータは例1におけるのと同様である:
外球充填物:100mbarにおいて45%のキセノン、45%のアルゴン、10%の酸素
熱伝達率λ/d:800℃で測定されて56.9W/(mK)
ハロゲン化物の総量:100μg
放電空間のmm当たりのハロゲン化物の量:5.26μg/μl
25℃でのキセノン圧:16bar
【0092】
45分間パルス駆動方式で動作された該例3のランプは、2250ルーメン、即ち90lm/Wのルーメン出力を有していた。より高いキセノン圧により、立ち上がり挙動は上述した例よりも一層良好である。それでも、該例3のランプの寿命は、低減された最冷点温度及び大幅に低減されたハロゲン化物の量により依然として良好である。
【実施例4】
【0093】
例4(トリウム無し)
例4によるランプのバッチにおいて、上述したパラメータは例1に示した値に従って選定された。下記のパラメータは例1とは異なるように選定された:
ハロゲン化物の総量:100μg
放電空間のmm当たりのハロゲン化物の量:5.26μg/μl
ハロゲン化物組成:42重量%のNaI、37.5重量%のScI、20重量%のTmI、0.5重量%のInI
【0094】
パルス駆動方式で動作される該例4のランプは、2225ルーメン、即ち89lm/Wのルーメン出力を有していた。このように、該例4のランプは、非常に少量で設けられても環境に対して危険であり得るトリウムは含まない。それでも、該例4のランプは、ハロゲン化物の量の低減により良好な寿命特性を有する一方、従来の(非パルス)駆動方式により動作される場合の例1のランプよりも1lm/Wだけ高い効率で高光束を発生する。
【実施例5】
【0095】
例5(トリウム無し、高速立ち上がり、長寿命)
例5では、パラメータは下記を除き例1と同様に選定された:
外球充填物:100mbarにおいて45%のキセノン、45%のアルゴン、10%の酸素
熱伝達率λ/d:800℃で測定して56.9W/(mK)
ハロゲン化物の総量:100μg
放電空間のmm当たりのハロゲン化物の量:5.26μg/μl
キセノン圧(25℃で):16bar
ハロゲン化物組成:42重量%のNaI、37.5重量%のScI、20重量%のTmI、0.5重量%のInI
【0096】
パルス駆動方式で動作される該例5のランプは、2200ルーメンの、即ち88lm/Wのルーメン出力を有していた。このように、この例5によるランプのバッチは、高光束(従来のように駆動された場合の前記例1によるランプと等しい)をもたらすと同時に、長寿命(一層低い最冷点温度及びハロゲン化物量による)及び良好な立ち上がり特性(高いキセノン圧による)に対して最適化される。更に、該例5によるランプはトリウムを含まない。
【0097】
以上、本発明を図面及び上記記載において詳細に図示及び説明したが、これら図示及び説明は解説的及び例示的なものであって、限定するものではないと見なされるべきである。即ち、本発明は開示された実施例に限定されるものではない。
【0098】
例えば、本発明は、パラメータが添付請求項に示される範囲内で異なって選定された実施例において動作させることも可能である。
【0099】
開示された実施例の他の変形例は、当業者によれば、請求項に記載された発明を実施する際に、図面、開示内容及び添付請求項を精査することにより理解し且つ実行することが可能であろう。尚、請求項において、"有する"なる文言は他の構成要素を排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。また、特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。また、請求項における如何なる符号も、その範囲を限定するものとみなしてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ドライバ回路と、該ドライバ回路に接続された放電ランプとを含む照明アセンブリであって、
前記放電ランプは放電容器を含み、該放電容器には内部に突出する2つの電極が設けられ、
前記放電容器は、前記電極の間における垂直中央面で測定して3mm未満の最大内径を有し、
前記放電容器は、少なくとも希ガスとメタルハライド組成物とを含む充填物を収容し、前記メタルハライド組成物は13.2μg/μl未満なる前記放電容器の容積当たりの量で設けられ、
前記ドライバ回路は、前記放電ランプに対して電気エネルギを、20〜30Wの定常状態平均電力で供給するよう構成され、
前記電気エネルギは交流電流として供給され、前記交流電流には該交流電流の各サイクル内で発生するパルスが重畳され、
前記パルスは、前記交流電流の極性変化の前又は後の半サイクル時間の20%の期間内に位置する中心を有し、
前記パルスの間において、前記ランプを経る電流は前記交流電流のRMS値の少なくとも1.2倍の電流値に達する、
照明アセンブリ。
【請求項2】
前記メタルハライド組成物が8μg/μl未満の量で設けられる請求項1に記載の照明アセンブリ。
【請求項3】
前記放電ランプは、前記放電容器の周囲に設けられた密閉された外囲体を含み、
前記外囲体は、800℃において熱伝導度(λ)を持つガス充填物又は真空を囲み、
前記外囲体は前記放電容器から前記中央面において測定して距離(d)に配置され、これにより、前記距離(d)により除算された前記熱伝導度(λ)として計算される熱伝達率(λ/d)が23.3〜80W/mKとされる、
請求項1又は請求項2に記載の照明アセンブリ。
【請求項4】
前記熱伝達率(λ/d)が32.6〜62W/mKである請求項3に記載の照明アセンブリ。
【請求項5】
前記放電容器における前記希ガスが、13barより高く17barより低い冷圧で設けられるキセノンである請求項1ないし4の何れか一項に記載の照明アセンブリ。
【請求項6】
前記メタルハライド組成物が、合計で少なくとも50重量%のナトリウム及びスカンジウムのハロゲン化物を有する請求項1ないし5の何れか一項に記載の照明アセンブリ。
【請求項7】
前記メタルハライド組成物が少なくともナトリウム及びスカンジウムのハロゲン化物を有し、
前記スカンジウムのハロゲン化物の質量により除算された前記ナトリウムのハロゲン化物の質量の質量比が、0.7〜1.3である、
照明アセンブリ。
【請求項8】
前記メタルハライド組成物が、0.1〜3重量%のインジウムのハロゲン化物を更に有する請求項6又は請求項7に記載の照明アセンブリ。
【請求項9】
前記メタルハライド組成物が、5〜40重量%のツリウムのハロゲン化物を更に有する請求項6ないし8の何れか一項に記載の照明アセンブリ。
【請求項10】
前記メタルハライド組成物が、0.5〜5重量%のトリウムのハロゲン化物を更に有する請求項6ないし9の何れか一項に記載の照明アセンブリ。
【請求項11】
前記メタルハライド組成物が、4250〜4750Kの色温度を得るように選択される請求項1ないし10の何れか一項に記載の照明アセンブリ。
【請求項12】
前記ランプが、75lm/Wより高い、得られた光束を平均入力電力により除算した比として計算されるルーメン効率で光を発生する請求項1ないし11の何れか一項に記載の照明アセンブリ。
【請求項13】
前記電極が、230〜300μmの直径を持つ棒状である請求項1ないし12の何れか一項に記載の照明アセンブリ。
【請求項14】
前記パルスが、前記半サイクル時間の1〜25%のパルス幅を有する請求項1ないし13の何れか一項に記載の照明アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【公表番号】特表2013−507731(P2013−507731A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532689(P2012−532689)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054335
【国際公開番号】WO2011/042830
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】