説明

高含量ファムシクロビル錠剤

【課題】高用量のファムシクロビルを活性成分として含み、そしてラクトースの含量を減らした、適当な錠剤サイズの医薬錠剤である、ファムシクロビルの新規な処方を提供することが本発明の課題である。
【解決手段】ファムシクロビルが活性成分であって、錠剤中のファムシクロビルの重量パーセンテージが85%かまたはそれ以上であり、ラクトースの重量パーセンテージが15%未満である医薬錠剤を提供することにより、上記課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製品の新規な処方に関する。
【背景技術】
【0002】
EP−A−182024(Beecham Group p.l.c.)、実施例2は、ファムシクロビル(famciclovir)、該化合物の経口形態として有用である化合物、単純ヘルペス1型、単純ヘルペス2型および水痘帯状ヘルペスウイルスのごときヘルペスウイルスによって引き起こされる感染に対してならびにB型肝炎ウイルスに対しても抗ウイルス活性を有するペンシクロビル(penciclovir)の製法を記載する。ペンシクロビルおよびその抗ウイルス活性は、‘Abstracts of 14th Int. Congress of Microbiology’のAbstract P.V11-5p.193、マンチェスター、イングランド1986年9月7−13(Boydら)に開示される。
【0003】
ファムシクロビルは、好ましくは125mg、250mg、500mgまたは750mgの活性成分を含有する錠剤の形態で投与される。錠剤組成物において従来、錠剤は、全賦形剤含量が少なくとも15%となるように、ラクトース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのごとき賦形剤を含有する。無水ラクトースは、従来、活性成分の圧縮特性におけるいずれかの潜在的インコンシステンシー(inconsistency)を補うために、主要な賦形剤として含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
賦形剤含量パーセンテージが高ければ高いほど、いずれかの投薬量を与える錠剤のサイズがより大きくなる。特に、500mgおよび750mgの活性成分を含有する錠剤の場合、錠剤が約76%ファムシクロビルを含有するとき錠剤の長円形の表面は各々18mm x 8.5mmおよび21mm x 10mmの面積であるので、その大きな錠剤サイズは患者の応諾に影響し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ファムシクロビルの圧縮特性がファムシクロビルを15%未満の賦形剤を含有する錠剤中に処方することを可能にするのに十分なコンシステンシーを有することが判明したので、ファムシクロビルを15%未満の賦形剤を含有する錠剤中に処方することが可能であることが発見された。
【0006】
したがって、本発明は、ファムシクロビルが活性成分であって、錠剤中のファムシクロビルの重量パーセンテージが85%かまたはそれ以上である医薬錠剤を提供する。
【0007】
別に提示しないかぎり、本明細書中で与えられる全ての重量パーセンテージは、被覆されてもよい、例えばフィルム被覆されたいずれかの錠剤の中心部に関して定義される。
適当な錠剤は、15%未満、10%未満、5%未満および好ましくは0%の無水ラクトースまたは他の同様な賦形剤、例えば微晶質セルロースを含有する。
【0008】
適当な錠剤は、85%、86%、87%、88%、89%、90%または91%より多くの重量パーセンテージでファムシクロビルを含有する。最も高い可能なパーセンテージのファムシクロビルが好ましい。ファムシクロビルは、いずれかの適当な医薬上許容される形態、例えば塩、溶媒和物または多形の形態であってもよい。ファムシクロビルは、好ましくは無水物、遊離塩基形態である。
【0009】
錠剤の組成に含まれる従来の賦形剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、たとえば5%までかまたは3%まで、デンプングリコール酸ナトリウム、例えば15%、10%、7%または5%まで、およびステアリン酸マグネシウム、例えば2%または1%までを包含する。
【0010】
錠剤は、医薬錠剤に使用されるいずれかの適当なコーティングで被覆されてもよい。
錠剤は、当該分野において既知の従来の圧縮法によって調製されてもよい。好ましい方法において、ファムシクロビルはヒドロキシプロピルセルロースのごとき賦形剤とともに顆粒化して、活性成分の物質形態におけるいずれかの変化の影響を最小化する。顆粒をスクリーンし、乾燥し、次いでいずれかのさらなる賦形剤と混合して、圧縮混合物を形成する。錠剤は、必要な投薬量に適するサイズおよび重量に圧縮し、次いで所望により被覆してもよい。
【0011】
以下の実施例は本発明を説明する。
【実施例】
【0012】
括弧内のパーセンテージ価は、グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国、アメリカ合衆国ならびに世界の他の国々における規定の薬事当局によって現在登録されているファムシクロビル錠剤中のパーセンテージ価を示す。
【表1】

【0013】
およその中心部重量は、500mg投薬量に対して547mg、750mg投薬量に対して820mgである。
被覆された錠剤の場合、中心部重量の2.5%はコーティングによって付加され、被覆錠剤は、500mg投薬量に対して560mg、および750mg投薬量に対して840mgの重量である。
【0014】
錠剤は、ファムシクロビルをヒドロキシプロピルセルロースと乾燥混合し、次いで高剪断粒化機内で水とともに混合物を顆粒化することによって調製する。含水塊をスクリーンし、乾燥し、粉砕する。粉砕した顆粒をデンプングリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムと混合して、圧縮混合物を製造する。錠剤を必要な錠剤強度に適するサイズおよび重量に圧縮し、次いで水性フィルム被覆する。
750mg錠剤での得られる長円形表面のサイズは、19mm x 9mmであって、500mg錠剤では17mm x 8mmである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファムシクロビルが活性成分であって、錠剤中のファムシクロビルの重量パーセンテージが85%かまたはそれ以上である医薬錠剤。
【請求項2】
15%未満のラクトースを含有する請求項1記載の医薬錠剤。
【請求項3】
5%未満のラクトースを含有する請求項1または2記載の医薬錠剤。
【請求項4】
0%のラクトースを含有する請求項1、2または3記載の医薬錠剤。
【請求項5】
錠剤中のファムシクロビルの重量パーセンテージが90%かまたはそれ以上である
請求項1、2、3または4記載の医薬錠剤。
【請求項6】
以下の組成:
【表1】

を有する請求項1ないし5のいずれか1項記載の医薬錠剤。
【請求項7】
ファムシクロビルおよび賦形剤を顆粒化し、次いで圧縮して打錠する、請求項1ないし6のいずれか1項記載の錠剤の調製方法。

【公開番号】特開2009−91362(P2009−91362A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295818(P2008−295818)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【分割の表示】特願平9−525692の分割
【原出願日】平成9年1月13日(1997.1.13)
【出願人】(302012969)ノバルティス・インターナショナル・ファーマシューティカル・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】