説明

高圧ガスを駆動源とする高圧ガス駆動装置

【課題】 高圧ガスを駆動源に用いながら、安定した駆動を実現する。
【解決手段】 高圧ガスの圧力を利用して駆動される高圧ガス駆動工具としての打撃工具に供給される液化炭酸ガスが充填されたガス収納容器2から噴射される炭酸ガスの圧力を減圧制御するガス圧制御機構55とを備える。ガス圧制御機構は、ガス収納容器2の液化炭酸ガスが充填された容器本体21内に進退可能に配設され、バルブ付勢バネ28により付勢されてガス噴射孔26を閉塞する方向に付勢されたニードルバルブ24と、ピストン押圧バネ42の付勢力を受けてニードルバルブ24を押圧操作するピストン39に、ニードルバルブ24をガス噴射孔26から退出する方向に押圧する付勢力を付与するピストン押圧バネ42とを備え、ピストン押圧バネの付勢力を制御することによって、噴射孔26から放射される炭酸ガスの圧力を減圧制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮された高圧の炭酸ガス等の高圧ガスを駆動源として用いる高圧ガス駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮空気や、圧縮炭酸ガス、圧縮窒素ガス等の高圧ガスを駆動源とする高圧ガス駆動装置が用いられている。この種の高圧ガス駆動装置として、例えば、圧縮空気の圧力を利用して打撃具を移動操作することによって、釘や線材をコ字状に形成したステープル等の止着具の打ち込みを行う釘打機等の打込装置がある。この種の打込装置は、空気を圧縮し圧縮空気を生成するエアコンプレッサにエアホースを介して接続され、エアコンプレッサから供給される圧縮空気を駆動源として動作するように構成されている。
【0003】
ところで、釘打機等の打込装置は、住宅の建築現場等において用いられ、適宜の打込位置へ移動しながら釘等の止着具の打ち込みをするようにしている。このように打ち込み位置を移動しながら用いる場合、エアコンプレッサを用いた打込装置にあっては、移動範囲に制約を受けてしまう。エアコンプレッサは、大きな重量を有し、しかも打込装置に比し大型であるので、容易に移動することができない。そのため、打込装置の移動範囲は、エアコンプレッサの設置位置やエアコンプレッサに接続されるエアホースの長さにより制約を受け、所望の打込位置に自在に移動して止着具の打ち込み作業を行うことができない。
【0004】
そこで、エアコンプレッサを用いることなく、高圧ガス等の加圧媒体を打込装置に供給し、止着具の打ち込みを可能とした釘打機等の打込装置が提案されている。この種の打込装置として、釘の打込部に着脱自在に取り付けられた高圧ガス容器から高圧ガスを打込部に供給して釘の打ち込みを行うようにしたものがある(特許文献1)。
【0005】
また、打込装置の内部に、液体炭酸ガスが充填されるガス貯蔵部を設け、このガス貯蔵部に充填された液体炭酸ガスを高密度炭酸ガスに相変化させて打込部に供給することによって釘の打ち込みを行うようにした打込装置が提案されている(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭48−29906号公報
【特許文献2】特表2005−510369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載される打込装置は、高圧ガス容器に充填された高圧液化ガスを気化促進部材により気化して打込部に供給するようにしているが、高圧ガス容器に充填された高圧液化ガスは、圧力制御が行われることなく気化促進部材により気化されて直接打込部に供給されている。このように、打込部に供給される高圧ガスの圧力の制御がされていないため、打込部に供給される高圧ガスの圧力を一定に維持することができなくなり、安定した釘の打ち込みを行うことができない。また、極めて高圧のガスが打込部に供給されてしまい、安全な釘の打ち込みを行えなくなる虞もある。
【0008】
また、特許文献2に記載される装置も、ガス貯蔵部に充填された液体炭酸ガスを高密度炭酸ガスに相変化させて打込部に供給するだけであって、打込部に供給される炭酸ガスの圧力は全く制御されていない。そのため、特許文献1に記載された装置と同様に、打込部に供給される高圧ガスの圧力を一定に維持することができなくなり、安定した釘の打ち込みを行うことができない。また、極めて高圧のガスが打込部に供給されてしまい、安全な釘の打ち込みができなくなる虞もある。特に、高圧ガスの暴発の虞もある。
【0009】
そこで、本発明は、ガス収納容器に充填した高圧ガスを駆動源に用いながら、安定した駆動を実現できる高圧ガス駆動装置を提供することを技術課題とする。
【0010】
また、本発明は、高圧ガス駆動工具に一定の圧力制御された高圧ガスを供給することによって高圧ガス駆動工具の安定した駆動を実現できる高圧ガス駆動装置を提供することを技術課題とする。
【0011】
さらに本発明は、ガス収納容器から供給される高圧ガスの圧力制御を、簡素でしかも小型の機構で実現可能とした高圧ガス駆動装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述したような課題を達成するために提案される本発明に係る高圧ガスを駆動源とする高圧ガス駆動装置は、高圧ガスの圧力を利用して駆動される高圧ガス駆動工具と、上記高圧ガス駆動工具に供給される高圧ガスが充填されたガス収納容器と、上記ガス収納容器から噴射される高圧ガスの圧力を減圧制御する圧力制御機構とを備え、上記ガス収納容器から噴射される高圧ガスを上記圧力制御機構で減圧制御して上記高圧ガス駆動工具に供給することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る高圧ガス駆動装置において、圧力制御機構は、ガス収納容器と一体に設けられている。
【0014】
また、ガス収納容器は、導管を介して高圧ガス駆動工具に連結されている。
【0015】
本発明に係る高圧ガス駆動装置に用いられる圧力制御機構は、ガス収納容器の高圧ガスが充填された容器本体内に進退可能に配設され、第1の付勢部材により付勢されて上記容器本体に設けられたガス噴射孔を閉塞する方向に付勢されたニードルバルブと、第2の付勢部材の付勢力を受けて上記ニードルバルブを押圧操作するピストンを、上記ニードルバルブを上記ガス噴射孔から退出する方向に押圧付勢する第2の付勢部材とを備え、上記ピストンを押圧付勢する第2の付勢部材の付勢力を制御することによって、上記噴射孔から上記容器本体の外部に放射される高圧ガスの圧力を減圧制御する。
【0016】
さらに具体的に、上記圧力制御機構は、ガス収納容器の高圧ガスが充填された容器本体内に進退可能に配設され、上記容器本体に設けられたガス噴射孔を開閉するニードルバルブと、上記ガス噴射孔を閉塞する方向に上記ニードルバルブを移動付勢する第1の付勢部材と、上記容器本体に連結され、上記ガス噴射孔から噴射される高圧ガスが供給されるシリンダ部に移動可能に配設され、上記噴射孔から上記シリンダ部側に突出する上記ニードルバルブの先端側を押圧操作するピストンと、上記ピストンを上記ニードルバルブ側に押圧付勢する第2の付勢部材と、上記第2の付勢部材の変位量を可変制御して、上記ピストンの押圧付勢力を制御する付勢部材変位手段とを備え、上記付勢部材変位手段を操作して上記ピストンの押圧付勢力を制御することにより、上記シリンダ部に放射される高圧ガスの圧力を制御する。
【0017】
上記圧力制御機構を構成する上記シリンダ部は、上記容器本体に連結されたピストンハウジングに設けられ、上記シリンダ部には、ガス流出孔が設けられ、上記ガス流出孔を介して圧力制御された高圧ガスが流出される。
【0018】
そして、上記ピストンハウジングには、上記シリンダ部に連続してピストン開放部が設けられ、上記シリンダ部の圧力が過剰圧力とされたとき、上記ピストンを上記第2の付勢部材の付勢力に抗して上記ピストン開放部へ移動して上記シリンダ部を大気に開放し、上記シリンダ部内の高圧ガスを大気に放出する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る高圧ガス駆動装置は、高圧ガス駆動工具を駆動する高圧ガスが充填されたガス収納容器から噴射される高圧ガスを圧力制御機構で減圧制御して高圧ガス駆動工具に供給するようにしているので、高圧ガス駆動工具は、一定の圧力に減圧制御された高圧ガスで駆動され、暴発等を防止して安定した安全な駆動を行うことができる。
【0020】
また、噴射される高圧ガスの圧力を制御する圧力制御機構がガス収納容器に一体に設けられているので、ガス供給源の小型化を実現でき、装置全体を携帯可能とすることができる。
【0021】
さらに、本発明において、ガス収納容器が導管を介して高圧ガス駆動工具に連結されることにより、ガス収納容器から放射される高圧ガスが導管を流通する間に完全に気化させることができ、高圧ガス駆動工具の安定した駆動を実現できる。特に、高圧ガスとして液化炭酸ガスを用いた場合に有効である。液化炭酸ガスは、急峻に減圧された環境下に放射されたとき固相化することがあるが、導管を流通する間で確実に気化させることができる。
【0022】
さらにまた、ガス収納容器から噴射される高圧ガスの圧力を制御する圧力制御機構は、ガス収納容器に設けられたガス噴射孔を開閉するニードルバルブを押圧操作するピストンを押圧制御する付勢部材の付勢力を可変制御することによって、ガス収納容器から噴射される高圧ガスの圧力を制御することができるので、機構の簡素化を図り、小型化を実現できる。
【0023】
そして、ガス収納容器から噴射される高圧ガスは、圧力制御機構を構成するピストンが進退するシリンダ部に放出され、このシリンダ部に設けられたガス流出孔から外部に流出するようにしているので、高圧ガスを放出する機構の簡素化を実現できる。
【0024】
さらに、圧力制御機構が設けられるピストンハウジングには、ピストン開放部が設けられ、シリンダ部内が過剰圧力となったとき、シリンダ部を大気に開放するようにしているので、高圧ガスの暴発を防止して安全を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明を止着具の打込装置に適用した例を示す全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明に用いられる打撃工具の内部構造を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明に用いられるガス収納容器の外観を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明に用いられるガス収納容器の内部構造を示す断面図であって、ニードルバルブによってガス噴射孔が閉塞された状態を示す。
【図5】図5は、ニードルバルブがピストンによって押圧され、ガス噴射孔が開放された様態を示すガス収納容器の断面図である。
【図6】図6は、ニードルバルブによって閉塞されるガス噴射孔が開放された状態を示すガス噴射制御機構の断面図である。
【図7】図7は、ピストンがシリンダ部内のガスの圧力を受けてピストン押圧バネを圧縮する方向に移動され、ニードルバルブがガス噴射孔に嵌合し、ガス噴射孔を閉じた状態を示すガス収納容器の断面図である。
【図8】図8は、打撃工具のガス貯留室に供給された炭酸ガスが放出されニードルバルブによってガス噴射孔が閉塞された状態を示すガス噴射制御機構の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、高圧ガスを駆動源として駆動される本発明に係る高圧ガス駆動装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0027】
本発明は、液化炭酸ガスや圧縮窒素ガス等の高圧ガスを駆動源に用いる高圧ガス駆動装置に広く適用することができる。例えば、釘や線材をコ字状に形成したステープル等の止着具の打ち込みを行う釘打機やタッカー等の打込装置や、高圧ガスの圧力を利用して各種材料を突き出し、あるいは噴射させる装置に適用される。
【0028】
以下、本発明を、高圧ガス駆動工具として、釘やステープル等の止着具の打ち込みを行う打撃工具を用いる高圧ガス駆動装置に適用した例を挙げて説明する。
【0029】
本発明に係る高圧ガス駆動装置は、図1に示すように、打撃工具1と、この打撃工具1を駆動する高圧ガスを収納したガス収納容器2と、打撃工具1とガス収納容器2との間を連結する導管3とを備える。
【0030】
本実施の形態では、高圧ガスとして、圧縮されて液化された液化炭酸ガスを用いる例を挙げて説明する。なお、炭酸ガスは、常温(25℃)で、70気圧まで圧縮されると液化される。
【0031】
本実施の形態に用いられる打撃工具1は、細い線条部材をコ字状に折り曲げたステープル4の打ち込みを行うものであって、図2に示すように、ステープル4の打込操作を行う打撃機構5が設けられた打撃駆動部6と、ガス収納容器2から供給される気化された高圧の炭酸ガスが貯留されるガス貯留室7が内部に設けられたハンドル部8と、この打撃工具1によって打ち込みが行われるステープル4が収納されるステープル収納部9とを備える。
【0032】
上記打撃工具1を構成する打撃駆動部6には、打撃機構5を構成する打撃シリンダ10が内蔵されるように設けられている。打撃シリンダ10の内部には、打撃シリンダ10とともに打撃機構5を構成する打撃ピストン11が進退可能に配設されている。この打撃ピストン11には、ステープル収納部9から送り出されるステープル4の打込操作を行う打撃具12が取り付けられている。打撃具12は、長尺な軸状部材によって形成され、基端部を打撃ピストン11の中心部に連結し、打撃ピストン11と一体に移動可能とされている。また、打撃具12は、打撃ピストン11に連結された状態で、先端部を打撃駆動部6の先端部に設けられたノーズ部13に進入させている。
【0033】
なお、ノーズ部13には、ステープル収納部9の先端が開口し、このステープル収納部9に収納されたステープル4が供給されるように構成されている。
【0034】
そして、打撃駆動部6には、ガス収納容器2からガス貯留室7に供給された高圧の炭酸ガスを打撃シリンダ10に給排気し、打撃シリンダ10内に配設した打撃ピストン11の進退を制御するヘッドバルブ14が設けられている。
【0035】
また、ハンドル部8は、ステープル4の打込操作時に、この打撃工具1を把持する部分となり、打撃駆動部6への連結側の付け根部分には、ヘッドバルブ14を制御するトリガバルブ15を操作するトリガバルブ操作レバー16が設けられている。このトリガバルブ操作レバー16は、ハンドル部8に設けられた支軸16aを中心にして回転可能に取り付けられ、ハンドル部8を把持した手指により回転操作することによって、ハンドル部8の内部に設けられたトリガバルブ15を動作させ、ヘッドバルブ14を制御する。
【0036】
また、ハンドル部8の打撃駆動部6への連結部側とは反対側の基端部側には、ガス収納容器2から供給される高圧の炭酸ガスを打撃工具1内に導入する導管3が接続される接続プラグ17が設けられている。この接続プラグ17は、ハンドル部8内に構成されたガス貯留室7に連通している。そして、ガス収納容器2に連結された導管3は、一端側に取り付けた接続用ソケット18を接続プラグ17に嵌合することによって打撃工具1に連結され、ガス収納容器2から供給される炭酸ガスを打撃工具1内のガス貯留室7に導入する。
【0037】
そして、打撃工具1の駆動源となる液化炭酸ガスが充填されるガス収納容器2は、図3に示すように、充填される液化炭酸ガスの圧力に十分に耐え得る強度を有するように、鉄やステンレス等の金属を用いて有底の円筒状に形成された容器本体21を備える。容器本体21は、図4に示すように、上端側に筒状の縮径部22が形成されいる。この縮径部22は、容器本体21の上端側を絞り成形するようにして形成されている。そして、縮径部22には、ガス噴射制御機構23が設けられている。ガス噴射制御機構23は、容器本体21内に充填された液化炭酸ガスの噴射を制御する。
【0038】
上記ガス噴射制御機構23は、図4、図6に示すように、先端側をテーパ状に形成したニードルバルブ24が進退可能に配設されるバルブハウジング25を備える。このバルブハウジング25は、縮径部22に挿入される筒状に形成されたハウジング本体25aを有し、このハウジング本体25a内にニードルバルブ24が進退可能に配設される。そして、ハウジング本体25aの上端部には、ガス噴射孔26が形成されている。このガス噴射孔26は、ハウジング本体25a内に進退可能に配設されたニードルバルブ24の先端側にテーパ状に形成した封止部24aが嵌合することによって封止される。
【0039】
上記ニードルバルブ24は、ハウジング本体25a内に収納され、このハウジング本体25aによって移動方向がガイドされる移動体27に支持され、この移動体27と一体に移動してガス噴出孔26を開閉する。そして、ニードルバルブ24は、このニードルバルブ24を支持した移動体27が圧縮コイルバネにより構成されたバルブ付勢バネ28により押圧付勢されることにより、封止部24aがガス噴出孔26に嵌合する方向に移動付勢され、ガス噴出孔26を封止するようにしている。上記バルブ付勢バネ28は、ガス収納容器2から噴射される炭酸ガスの圧力を制御する圧力制御機構の第1の付勢部材となる。本実施の形態では、バルブ付勢バネ28は、圧縮コイルバネにより構成されているが、ニードルバルブ24を押圧付勢し得るものであればいずれのバネ部材で構成したものであってもよい。
【0040】
そして、移動体27を付勢するバルブ付勢バネ28は、移動体27とハウジング本体25aの下端部側に取り付けられるバネ支持部材29との間に配設され、移動体27を図4矢印Y1方向のガス噴出孔26側に押圧付勢している。なお、バネ支持部材29には、ガス流通用の貫通孔30が穿設されている。
【0041】
そして、移動体27の外周面には、図6に示すように、容器本体21に充填された液化炭酸ガスを噴射孔26側に流通させるガス流通用の溝部27aが形成されている。
【0042】
ところで、ニードルバルブ24は、ハウジング本体25a内に配設されたとき、封止部24aの先端側がガス噴出孔26から突出する長さに形成されている。そして、ニードルバルブ24のガス噴出孔26から突出する先端部側は、後述するように、ニードルバルブ24をバルブ付勢バネ28の付勢力に抗して移動操作し、ガス噴出孔26を開放操作する押圧操作機構31によって操作される押圧操作部32として用いられる。
【0043】
また、ニードルバルブ24の押圧操作部32が突出するハウジング25の上端側には、押圧操作部32が進入するとともに、この押圧操作部32を押圧操作する押圧操作機構31の押圧操作子33が進入する筒状の操作子挿通部34が形成されている。この押圧操作子挿通部34は、ガス噴射孔26から噴射される気化された炭酸ガスのガス流通路としても機能する。
【0044】
上述したように、ニードルバルブ24が収納するように配設されたバルブハウジング25は、容器本体21の縮径部22にハウジング本体25aを挿入するように嵌合し、ハウジング本体25aの上端側の外周囲に一体に形成したフランジ部36を縮径部22の上端面に突き当てるようにして容器本体21に配設される。容器本体21に配設されたバルブハウジング25は、図4に示すように、フランジ部36が縮径部22の外周側に嵌合するように取り付けられる支持キャップ37により支持されることにより容器本体21に一体的に取り付けられる。このとき、容器本体21は、バルブハウジング25のフランジ部36及びこのフランジ部36を支持する支持キャップ37により、ガス漏れが生じないように密閉される。
【0045】
なお、支持キャップ37の中心部には、操作子挿通部34を突出させるための貫通孔38が形成されている。そして、操作子挿通部34は、バルブハウジング25が支持キャップ37により容器本体21に固定されたとき、貫通孔38を介して支持キャップ37から突出される。
【0046】
そして、バルブハウジング25を容器本体21に固定する支持キャップ37には、ニードルバルブ24を押圧操作し、噴射孔26を開閉操作する押圧操作機構31が取り付けられている。押圧操作機構31は、図4に示すように、ニードルバルブ24の押圧操作部32を押圧操作する押圧操作子33が設けられたピストン39と、このピストン39が進退するように配設されるシリンダ部40が形成されたピストンハウジング41と、バルブ付勢バネ28の付勢力に抗してニードルバルブ24を押圧する方向にピストン39を押圧するピストン押圧バネ42と、このピストン押圧バネ42を押圧して、ピストン39にニードルバルブ24を押圧する方向の付勢力を付与する噴射孔開閉つまみ43とを備える。
【0047】
ここで、ピストン押圧バネ42は、ガス収納容器2から噴射される炭酸ガスの圧力を制御する圧力制御機構の第2の付勢部材を構成する。
【0048】
上記押圧操作機構31を構成するピストンハウジング41は、ピストン39が進退するシリンダ部40の基端部側に、支持キャップ37の外周側に嵌合する嵌合凹部44が形成された嵌合取付部45が設けられている。この嵌合取付部45の上方側には、ピストン39が進退するシリンダ部40が一体に形成されている。さらに、シリンダ部40の上方側には、ピストン39と一体に形成した移動ガイド体46が進退する移動ガイド部47が一体に設けられている。このピストンハウジング41は、嵌合凹部44を支持キャップ37の外周側に嵌合することによって容器本体21に取り付けられる。
【0049】
なお、ピストンハウジング41は、支持キャップ37に対しガス漏れが生じないように、支持キャップ37との間を密閉した状態で取り付けられる。
【0050】
そして、シリンダ部40内に配設されたピストン39は、図4に示すように、一端側の中心部から押圧操作子33が突出するように一体的に形成され、他端側にこのピストン39より太径に形成された移動ガイド体46が一体に設けられている。このピストン39は、一端側に形成した押圧操作子33を操作子挿通部34に挿通して、シリンダ部40に進退するように配設される。なお、ピストン39の先端側の外周囲には、ピストンリング48が嵌合され、シリンダ部40を密閉した状態で、シリンダ部40内を進退する。
【0051】
また、ピストン39がシリンダ部40内に位置するように配設されたとき、移動ガイド体46が移動ガイド部47内に位置される。
【0052】
そして、ピストン39が配設されたピストンハウジング41の移動ガイド部47が設けられた先端側には、円筒状に形成した噴射孔開閉つまみ43が取り付けられている。この噴射孔開閉つまみ43は、ピストンハウジング41の外周側に螺合されることにより、回転操作されることにより、ピストンハウジング41に対し進退操作される。
【0053】
ピストンハウジング41に進退可能に取り付けられた噴射孔開閉つまみ43の天板50とピストンハウジング41内に進退可能に配設されたピストン39の他端側に設けた移動ガイド体46との間に、圧縮コイルバネによって構成されたピストン押圧バネ42が介在されている。
【0054】
このピストン押圧バネ42は、噴射孔開閉つまみ43とピストン39との間に介在されることにより、ピストン39に対しニードルバルブ24をバルブ付勢バネ28の付勢力に抗して押圧する方向の図4中矢印Y2方向の付勢力を付与する。
【0055】
ところで、ピストン押圧バネ42は、噴射孔開閉つまみ43がピストンハウジング41に対し上昇した図4に示す初期位置にあるとき、ピストン39に負荷を付与しない自由長の状態にある長さ、若しくは、噴射孔開閉つまみ43により押圧されながらも、噴射孔26に嵌合してこの噴射孔26を閉塞した状態にあるニードルバルブ24を、バルブ付勢バネ28の付勢力に抗して噴射孔26を開放する方向に移動させない程度のバネ定数を有するものが選択される。
【0056】
そして、ピストン押圧バネ42は、噴射孔開閉つまみ43がピストンハウジング41に対し図3中矢印R1方向に回転操作されて、上記初期位置からピストンハウジング41に進入するように移動すると、噴射孔開閉つまみ43によって押圧されて圧縮される方向の図4中矢印Y2方向の力を受ける。ここからさらに、噴射孔開閉つまみ43がピストンハウジング41に進入する方向の図3中矢印R1方向に回転されると、ピストン押圧バネ42に圧縮荷重(Kgf)が加わり圧縮される。ピストン押圧バネ42の圧縮荷重(Kgf)がニードルバルブ24を押圧付勢するバルブ付勢バネ28の付勢力より大きくなると、ニードルバルブ24がバルブ付勢バネ28の付勢力に抗して噴射孔26を開放する方向に移動し、図5に示すように、て噴射孔26を開放する。噴射孔26が開放されることにより、容器本体2に充填された炭酸ガスが噴射孔26を介して噴射される。
【0057】
ところで、本実施の形態のガス収納容器2において、容器本体21に充填された液化炭酸ガスは、気化されながら噴射孔26からピストンハウジング41のシリンダ部40に噴射される。シリンダ部40に噴射された炭酸ガスは、シリンダ部40に連通するように嵌合取付部45に形成されたガス流出孔51を介してガス収納容器2の外部に流出される。ガス流出孔51には、導管3を接続するための接続プラグ52が取り付けられている。導管3は、他端側に取り付けた接続用ソケット49を接続プラグ52に嵌合することによってガス収納容器2に接続される。
【0058】
本実施の形態に用いられるガス収納容器2は、上述したように、圧縮荷重(Kgf)が加えられ伸縮するピストン押圧バネ42の付勢力を受けてシリンダ部40内を移動するピストン39を介して、バルブ付勢バネ28の付勢力を受けてバルブハウジング25内を進退するニードルバルブ24を押圧して、噴射孔26を開閉するようにしている。そこで、ピストン押圧バネ42が圧縮され、ピストン39を押圧する付勢力が、噴射孔26を閉塞する方向にニードルバルブ24を付勢する力より大きくなると、ニードルバルブ24はガス噴射孔26から抜け出る方向の図4中矢印Y2方向に移動され、図5に示すように、ガス噴射孔26を開放する。すなわち、ニードルバルブ24のテーパ状に形成された封止部24aが、図6に示すように、容器本体21側に移動してガス噴射孔26を開放する。そして、ガス噴射孔26が開放されると、容器本体21に充填された液化炭酸ガスは、気化されながらシリンダ部40に噴射される。
【0059】
そして、シリンダ部40に炭酸ガスが供給され、シリンダ部40の内圧が、ピストン39を押圧するピストン押圧バネ42の付勢力より大きくなると、ピストン押圧バネ42を圧縮するようにピストン39を押圧する。ピストン39がピストン押圧バネ42を圧縮するように押圧されると、このピストン39は、ニードルバルブ24から離間する方向の図5中矢印Y1方向に移動する。ピストン39が図5中矢印Y1方向に移動し、ニードルバルブ24の押圧を解除すると、ニードルバルブ24は、バルブ付勢バネ28の付勢力を受けて噴射孔26を閉塞する方向の図5中矢印Y1方向に移動して噴射孔26に嵌合し、図7に示すように、噴射孔26を密閉する。すなわち、ニードルバルブ24のテーパ状に形成された封止部24aが、図8に示すように、ガス噴射孔26に嵌合するように移動し、ガス噴射孔26を閉塞する。そして、噴射孔26が密閉されることにより、容器本体21からの炭酸ガスの供給が停止する。
【0060】
このとき、噴射孔開閉つまみ43は、図7に示すように、ピストン押圧バネ42を所定量圧縮する下降位置に回転された状態に置かれている。
【0061】
そして、シリンダ部40側に噴射された炭酸ガスが上述した打撃工具1を動作させるために用いられる等して大気に開放され、シリンダ部40内の圧力がピストン39を押圧するピストン押圧バネ42の付勢力より小さくなると、ピストン39は再びピストン押圧バネ42の付勢力を受け、ニードルバルブ24をガス噴射孔26から抜け出る方向の図5中矢印Y2方向に移動してガス噴射孔26を開放し、容器本体21に充填された液化炭酸ガスを気化しながらシリンダ部40に噴射する。
【0062】
なお、噴射孔開閉つまみ43は、図4に示す初期位置にあるとき、図3中矢印R2方向への回転が規制され、ピストンハウジング41からの脱落防止されている。
【0063】
上述したように、本実施の形態に用いられるガス収納容器2は、シリンダ部40内の圧力が変化することにより噴射孔26の開閉が制御される。そこで、シリンダ部40内の圧力が所定の圧力を超えたとき、噴射孔26を開放する方向にニードルバルブ24を押圧する付勢力を付与しているピストン押圧バネ42が圧縮され、ピストン39がニードルバルブ24から離間する図7中矢印Y1方向に移動することにより、容器本体21から噴射される炭酸ガスを所定圧力に制御して放射することができる。
【0064】
本実施の形態のガス収納容器2においては、ニードルバルブ24を押圧操作するピストン39の圧力を受ける面の大きさ、このピストン39を押圧付勢するピストン押圧バネ42を適宜選択し、噴射孔開閉つまみ43による圧縮量の変化に応じた圧縮荷重を選択することにより、噴射孔26を開放する方向にニードルバルブ24を押圧する付勢力を設定することができる。このピストン押圧バネ42を圧縮しピストン39をニードルバルブ24から離間する図7中矢印Y1方向に移動する圧力は、ピストン39が進退するシリンダ部40内の圧力に相当するものであり、シリンダ部40から外部に放射される炭酸ガスの圧力に一致する。したがって、ピストン39を押圧付勢する付勢力を制御することにより、ガス収納容器2からシリンダ部40内に放射される炭酸ガスの圧力を制御することができる。
【0065】
このように、本実施の形態のガス収納容器2において、炭酸ガスの噴射孔26を開閉制御するニードルバルブ24を押圧操作するピストン39と、このピストン39が進退するシリンダ部40と、ピストン39を押圧付勢するピストン押圧バネ42とにより、噴射孔26から噴射される炭酸ガスを一定範囲の圧力に制御して放射する圧力制御機構であるガス圧制御機構55を構成している。このようなガス圧制御機構55を備えることにより、本実施の形態のガス収納容器2にあっては、容器本体21に充填された炭酸ガスを所定の圧力に減圧制御して収納容器2の外部に放射することができる。本実施の形態においては、約70気圧の液体炭酸ガスから6〜10気圧程度の圧力に減圧されながら気化した炭酸ガスとされて放射されるように、ピストン39及びピストン押圧バネ42が設定されている。
【0066】
ところで、本実施の形態のガス収納容器2において、シリンダ部40の上方側には、通常ピストン39が進退する部分には、より大径とされたピストン開放部53が形成されている。シリンダ部40の圧力が急激に上昇して過剰圧力になるような場合に、ピストン39をピストン押圧バネ42の付勢力に抗してピストン開放部53に移動させ、シリンダ部40を迅速に開放し、シリンダ部40に噴射される高圧の炭酸ガスを大気に開放し、ガス収納容器2の破壊等の事項を防止するようにしている。
【0067】
なお、シリンダ部40から開放された炭酸ガスを迅速に大気に放出するため、噴射孔開閉つまみ43の天板50には、ガス抜き孔54が設けられている。
【0068】
さらに、本実施の形態のガス収納容器2には、このガス収納容器2を高圧ガス駆動工具1を操作する操作者の身体に装着するための身体装着具を備えている。この身体装着具は、例えば、身体装着用ベルト56であって、容器本体21の外周面に設けられた挿通用リング57に挿通して取り付けられている。このベルト56は、身体に巻き付け、一端部を他端側に設けた留め具58に止めることにより作業者の身体に固定され、ガス収納容器2を身体に装着する。
【0069】
上述したような構成を備えた本発明に係る高圧ガス駆動装置を用いてステープルの打ち込みを行う状態を説明する。
【0070】
まず、ステープルの打ち込みを行うには、液化炭酸ガスが充填されたガス収納容器22、導管3を用いて打撃工具1に連結する。導管3は、一端側に設けた接続用ソケット18が打撃工具1の接続プラグ17に接続され、他端側の接続用ソケット49がガス収納容器2に設けた接続プラグ52に接続されることによって、ガス収納容器2と打撃工具1との間を連結し、ガス収納容器2から気化されて噴射される炭酸ガスを打撃工具1に供給可能となす。
【0071】
次に、ガス収納容器2を支持した身体装着用ベルト56を作業者の身につけることによって、作業者の身体に装着する。
【0072】
なお、導管3の打撃工具1又はガス収納容器2への連結は、ガス収納容器2を身体に装着してから行うようにしてもよい。
【0073】
作業者は、ガス収納容器2を身体に装着することにより、打撃工具1に炭酸ガスを供給するための導管3によって移動範囲が規制されることなく、打撃工具1を持って所望のステープルの打込位置に自在に移動できる。
【0074】
ガス収納容器2を打撃工具1に連結し、身体に装着したところで、ガス収納容器2に設けた噴射孔開閉つまみ43を図3中矢印R1方向に回転する。噴射孔開閉つまみ43が、図4に示す初期位置から図3中矢印R1方向に回転ていくと、ピストン押圧バネ42が圧縮されていく。そして、噴射孔開閉つまみ43が矢印R1方向に所定量回転されて、ピストン押圧バネ42が圧縮され、このピストン押圧バネ42の圧縮荷重(Kgf)がニードルバルブ24を押圧付勢するバルブ付勢バネ28の付勢力より大きくなると、ニードルバルブ24がバルブ付勢バネ28の付勢力に抗して噴射孔26を開放する方向の図4中矢印Y2方向に移動され噴射孔26を開放する。
【0075】
なお、噴射孔開閉つまみ43とこの噴射孔開閉つまみ43が回転可能に取り付けられるピストンハウジング41との間に、噴射孔開閉つまみ43の回転量を示す指標を設けることにより、ピストン押圧バネ42の圧縮量を示すことができる。そして、ピストン押圧バネ42の圧縮量を適宜設定することにより、ガス収納容器2から噴射されシリンダ部40に供給される炭酸ガスの圧力を一定の範囲に可変制御することができる。
【0076】
上述したように、噴射孔開閉つまみ43が回転操作されることによって、図6に示すように、噴射孔26が開放され、容器本体21に充填された液化炭酸ガスが気化されながら噴射孔26からシリンダ部40に噴射される。シリンダ部40に噴射された炭酸ガスは、ガス流出孔51を介して導管3に流出し、この導管3を介して打撃工具1のガス貯留室7に貯留される。このとき、ガス貯留室7は、シリンダ部40と同圧となっている。すなわち、シリンダ部40からガス貯留室7には、一定圧に減圧された炭酸ガスが充満された状態にある。
【0077】
ところで、ガス収納容器2に充填された炭酸ガスを打撃工具1に導出するために用いられる導管3は、所定を長さを有する。すなわち、本発明には、ガス収納容器2を作業者の身体に装着した状態で打撃工具1の操作を行うために、導管3は、身体に装着されたガス収納容器2から手によって操作される打撃工具1との間を連結するに必要な長さを有するものであり、本実施の形態の装置にあっては、概ね1〜2m程度の長さを有する。そして、導管3は、打撃工具1の使用状態において、大気中に晒された状態にあり、この装置が用いられる環境の温度に近い温度とされている。そのため、容器本体21に充填された液化炭酸ガスは、噴射孔26から減圧されながら急峻に噴射されることにより固相状態にされたとしても、導管3内を通過する過程で加温されることにより気相化され、完全に気化された炭酸ガスとして打撃工具1に供給される。特に、本実施の形態に用いられる導管3は、ガス収納容器2と打撃工具1との間を連結するために1〜2m程度の長さを有し、しかも大気中に晒された状態でおかれることから、導管3内を通過する炭酸ガスを確実に気化することができる。したがって、導管3は、気化促進手段を構成している。
【0078】
なお、導管3は、高圧に対する耐久性を有しながら可撓性を有する材料によって形成したものを用いることが望ましい。
【0079】
そして、ガス収納容器2から供給された炭酸ガスが打撃工具1のガス貯留室7からシリンダ部40に充満され、シリンダ部40内の圧力が設定された圧力以上になると、ピストン39はシリンダ部40に充満された炭酸ガスの圧力を受けてピストン押圧バネ42を圧縮する図5中矢印Y1方向に移動する。ピストン39が図5中矢印Y1方向に移動し、ニードルバルブ24の押圧を解除すると、ニードルバルブ24は、図5中矢印Y1方向に移動し、図7に示すようにバルブ付勢バネ28の付勢力を受けて噴射孔26に嵌合し、図8に示すように、噴射孔26を密閉し、容器本体21からの炭酸ガスの供給を停止する。
【0080】
ガス貯留室7に炭酸ガスが充満された状態で打撃工具1のトリガバルブ操作レバー16を回動操作すると、トリガバルブ15が作動し、これに連動してヘッドバルブ14が動作され、打撃シリンダ10の上方側を開くように制御される。打撃シリンダ10が上方側が開放されると、ガス貯留室7に貯留されている高圧の炭酸ガスが打撃シリンダ10内に供給されて打撃ピストン11とともに打撃具12を駆動し、ステープル収納部9からノーズ部13に送り出されているステープル4を打撃して被打込み材への打ち込みが行われる。その後、トリガバルブ操作レバー16を解放することにより再びトリガバルブ15が作動し、さらにヘッドバルブ14が打撃シリンダ10の上方側を閉じるように動作し、同時に打撃シリンダ10が大気に接続され、打撃ピストン11が初期位置に復帰する。そして、打撃シリンダ10が大気に接続されるとき、打撃シリンダ10に供給された炭酸ガスは大気に放出される。また、打撃シリンダ10が大気に接続されるとき、ガス貯留室7も大気に接続され、ガス貯留室7に貯留されている炭酸ガスも大気に放出される。
【0081】
上述のように、ガス貯留室7に貯留されている炭酸ガスが打撃シリンダ10に供給され、打撃ピストン11が動作されて1回のステープル4の打込動作が完了すると、ガス貯留室7に貯留されていた炭酸ガスは大気に放出され、ガス貯留室7は大気圧となる。
【0082】
そして、ガス貯留室7に貯留された炭酸ガスが大気の放出されるとき、導管3を介してガス貯留室7に接続されているガス収納容器22側のシリンダ部40内の炭酸ガスも放出され、シリンダ部40は大気圧となる。シリンダ部40が大気圧に減圧されると、ピストン39がピストン押圧バネ42の付勢力を受けて図5中矢印Y2方向に移動し、ニードルバルブ24をバルブ付勢バネ28の付勢力に抗して図5中矢印Y2方向に移動する。そして、ニードルバルブ24が図5中矢印Y2方向に移動すると、図6に示すように、噴射孔26を開放し、ガス収納容器2に充填された液化炭酸ガスを気化させながらシリンダ部40に噴射し、さらに、導管3を介して打撃工具1のガス貯留室7に供給し、打撃工具1をステープル4の打込を可能とする打込待機状態にする。このとき、ガス収納容器2側のシリンダ部40は、炭酸ガスが充満されて設定された圧力以上になり、ピストン押圧バネ42を圧縮させながらピストン39を図7中矢印Y1方向に移動し、ニードルバルブ24の押圧を解除し、このニードルバルブ24をバルブ付勢バネ28の付勢力を受けて噴射孔26に嵌合させ、図7、図8に示すように、噴射孔26を密閉し、容器本体21からの炭酸ガスの供給を停止する。
【0083】
上述したような打撃工具1への炭酸ガスの供給、打撃工具1によるステープル4の打込動作による炭酸ガスの排気、打撃工具1への炭酸ガスの供給を繰り返すことによって、順次ステープル4の打ち込みが実行される。
【0084】
そして、多数回の打込動作を行いガス収納容器2に充填した炭酸ガスが消耗されたときには、炭酸ガスが充填されたガス収納容器2に交換することにより、直ちにステープル4の打込作業を継続することができる。ガス収納容器2の交換は、導管3の接続用ソケット49を接続プラグ52から外し、新たなガス収納容器2の接続プラグ52に接続することにより行われる。このように、ガス収納容器2の交換は、導管3の接続用ソケット49の付け替えだけで行うことができるので、短時間で簡単に行うことができるので、打撃工具1による打込作業を長時間に亘って中断することなく行うことができ、連続した打込作業も実現できる。
【0085】
なお、交換されるガス収納容器2に導管が連結されているときには、打撃工具1に連結されている導管3も交換するように、打撃工具1に接続される側の接続用ソケット17を付け替えるようにしてもよい。
【0086】
上述したように、本実施の形態の打撃工具1を用いた高圧ガス駆動装置は、打撃工具1を駆動する高圧ガスである液化炭酸ガスが充填されたガス収納容器2から噴射される炭酸ガスをガス圧制御機構55で減圧制御して打撃工具1に供給するようにしているので、打撃工具1を一定の圧力に減圧制御された炭酸ガスにより駆動でき、暴発等を防止して安定した安全な駆動を行うことができる。
【0087】
また、上述した本実施の形態の高圧ガス駆動装置は、導管3を撓み変形可能な材料により形成することにより、打撃工具1を把持した姿勢に応じて導管3を変形させることができるので、ステープル4の打込作業を阻害することもなく、安定した姿勢での打込作業を行うことができる。
【0088】
上述の実施の形態では、駆動源として、ガス収納容器2に液化炭酸ガスを充填した例を挙げて説明したが、用いる高圧ガスは、炭酸ガスに限定されるものではなく窒素ガス等の高圧ガスを用いてもよい。
【0089】
また、本発明は、上述したような打撃工具に特定されるものではなく、高圧ガスを駆動源に用いる高圧ガス駆動工具に広く適用し、上述した打撃工具1に適用した場合と同様の利点を実現できる。
【符号の説明】
【0090】
1 打撃工具
2 ガス収納容器
3 導管
4 ステープル
7 ガス貯留室
10 打撃シリンダ
11 打撃ピストン
17 接続プラグ
18 接続用ソケット
21 ガス収納容器の容器本体
24 ニードルバルブ
26 ガス噴射孔
28 バルブ付勢バネ
39 ピストン
40 シリンダ部
41 ピストンハウジング
42 ピストン押圧バネ
43 噴射孔開閉つまみ
51 ガス流出孔
55 ガス圧制御機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガスの圧力を利用して駆動される高圧ガス駆動工具と、
上記高圧ガス駆動工具に供給される高圧ガスが充填されたガス収納容器と、
上記ガス収納容器から噴射される高圧ガスの圧力を減圧制御する圧力制御機構とを備え、
上記ガス収納容器から噴射される高圧ガスを上記圧力制御機構で減圧制御して上記高圧ガス駆動工具に供給することを特徴とする高圧ガスを駆動源とする高圧ガス駆動装置。
【請求項2】
上記圧力制御機構は、上記ガス収納容器と一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載の高圧ガス駆動装置。
【請求項3】
上記ガス収納容器は、導管を介して上記高圧ガス駆動工具に連結されていることを特徴とする請求項1記載の高圧ガス駆動装置。
【請求項4】
上記圧力制御機構は、
上記ガス収納容器の高圧ガスが充填された容器本体内に進退可能に配設され、第1の付勢部材により付勢されて上記容器本体に設けられたガス噴射孔を閉塞する方向に付勢されたニードルバルブと、
第2の付勢部材の付勢力を受けて上記ニードルバルブを押圧操作するピストンを、上記ニードルバルブを上記ガス噴射孔から退出する方向に押圧付勢する第2の付勢部材とを備え、
上記ピストンを押圧付勢する第2の付勢部材の付勢力を制御することによって、上記噴射孔から上記容器本体の外部に放射される高圧ガスの圧力を減圧制御することを特徴とする請求項1記載の高圧ガス駆動装置。
【請求項5】
上記圧力制御機構は、
上記ガス収納容器の高圧ガスが充填された容器本体内に進退可能に配設され、上記容器本体に設けられたガス噴射孔を開閉するニードルバルブと、
上記ガス噴射孔を閉塞する方向に上記ニードルバルブを移動付勢する第1の付勢部材と、
上記容器本体に連結され、上記ガス噴射孔から噴射される高圧ガスが供給されるシリンダ部に移動可能に配設され、上記噴射孔から上記シリンダ部側に突出する上記ニードルバルブの先端側を押圧操作するピストンと、
上記ピストンを上記ニードルバルブ側に押圧付勢する第2の付勢部材と、
上記第2の付勢部材の変位量を可変制御して、上記ピストンの押圧付勢力を制御する付勢部材変位手段とを備え、
上記付勢部材変位手段を操作して上記ピストンの押圧付勢力を制御することにより、上記シリンダ部に放射される高圧ガスの圧力を制御することを特徴とする請求項1記載の高圧ガス駆動装置。
【請求項6】
上記シリンダ部は、上記容器本体に連結されたピストンハウジングに設けられ、上記シリンダ部には、ガス流出孔が設けられ、上記ガス流出孔を介して圧力制御された高圧ガスが流出されることを特徴とする請求項5記載の高圧ガス駆動装置。
【請求項7】
上記ピストンハウジングには、上記シリンダ部に連続してピストン開放部が設けられ、上記シリンダ部の圧力が過剰圧力とされたとき、上記ピストンを上記第2の付勢部材の付勢力に抗して上記ピストン開放部へ移動して上記シリンダ部を大気に開放し、上記シリンダ部内の高圧ガスを大気に放出するようにしたことを特徴とする請求項6記載の高圧ガス駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−208760(P2011−208760A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78315(P2010−78315)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(309036818)有限会社マルコー電気工業 (3)
【Fターム(参考)】