説明

高圧ガス供給装置及び高圧ガス供給設備

【課題】移動の際に便利であって、狭い場所でも簡単に設置することができる高圧ガス供給装置を提供する。
【解決手段】ユニットにより構成される高圧ガス供給装置であって、前記ユニットの本ユニット110,120は、枠体5と、枠体に収納された複数の蓄圧器1a〜1dと、昇圧器から送られる高圧ガスを蓄圧器内に供給する供給配管11と、蓄圧器内の高圧ガスをディスペンサーに供給する供給配管12と、前記供給配管に設けられた自動開閉弁2a〜2dと、他の本ユニットを接続するための接続用配管9と、増設用ユニットを接続するための増設用配管6と、により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高圧にした水素ガスや天然ガス(CNG)等を車両等に供給するための高圧ガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
石油の枯渇や公害の問題等から、自動車等の燃料として水素ガスや天然ガス等を用いることが考えられるが、天然ガスについては既に実用化、水素ガスについては実用化に向けての開発が進められている。近年、これらのガスを燃料とする自動車の普及台数が増加するにつれて、ガスを供給するためのガスステーションが各地で設立されている(例えば、特許文献1参照)。また、ガスステーションでは、複数の自動車等に連続的に高圧ガスを供給する必要があるため、高圧ガスを蓄えた蓄圧器を複数組み込んだ蓄圧器ユニットを備えておく必要がある。
【0003】
図7に示すように、従来のガスステーションの蓄圧器ユニット200は、工場にて複数の蓄圧器201が1つの大きな枠体205に組み付けられることで製作され、ガスステーションまで運ばれる。さらに、高圧ガス供給装置である蓄圧器ユニットの前後にガスを高圧に昇圧する昇圧機器、車載用高圧タンクに高圧ガスを供給するディスペンサーが接続され、高圧ガス供給設備が構成される。
【0004】
【特許文献1】特開2005−127421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガスステーションに蓄圧器ユニットを組み付ける際には、クレーン等の重機を使用するための広い作業スペースが必要となる。そのため、例えば、市街地等の狭い場所では、大きな枠体の蓄圧器ユニットを輸送し、ガスステーションに設置することが難しくなるという輸送・設置性の問題が生じる。
【0006】
また、従来の蓄圧器ユニットは大きな枠体からなるため、輸送時に法的な制限をクリアするために、特別に許可を受ける必要性も考えられる。
【0007】
本発明の目的は、上記のような問題点を考慮し、移動の際に便利であって、かつ狭い場所でも簡単に設置することができる高圧ガス供給装置(蓄圧器ユニット)、及び蓄圧器ユニットを含んだ高圧ガス供給設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような目的を達成するためになされたものであり、この目的は、下記(1)〜(10)の発明によって達成される。
【0009】
(1)ユニットにより構成される高圧ガス供給装置であって、
前記ユニットの本ユニットは、
枠体と、
枠体に収納された複数の蓄圧器と、
昇圧器から送られる高圧ガスを蓄圧器内に供給する供給配管と、
蓄圧器内の高圧ガスをディスペンサーに供給する供給配管と、
前記供給配管に設けられた自動開閉弁と、
他の本ユニットを接続するための接続用配管と、
増設用ユニットを接続するための増設用配管と、を備えていること
を特徴とする高圧ガス供給装置。
【0010】
(2)前記接続用配管と他の本ユニットの接続用配管とを接続することにより、複数のユニットが組み合わされていること
を特徴とする上記(1)に記載の高圧ガス供給装置。
【0011】
(3)前記複数のユニットは、上下方向に組み合わされていること
を特徴とする上記(2)に記載の高圧ガス供給装置。
【0012】
(4)前記接続用配管は、上下方向に延びるように形成されていること
を特徴とする上記(3)に記載の高圧ガス供給装置。
【0013】
(5)前記複数のユニットの枠体は、同一の形状を有するように構成されていること
を特徴とする上記(4)に記載の高圧ガス供給装置。
【0014】
(6)前記複数のユニットのうち、少なくとも1つの本ユニットは、圧力センサーと制御ボックスを備えていること
を特徴とする上記(1)に記載の高圧ガス供給装置。
【0015】
(7)前記複数のユニットのうち、異なる本ユニットの蓄圧器から、交互にガスを供給すること
を特徴とする上記(2)に記載の高圧ガス供給装置。
【0016】
(8)前記蓄圧器は、弾性を有する固定部材によって前記枠体に固定されていること
を特徴とする上記(1)に記載の高圧ガス供給装置。
【0017】
(9)前記増設用ユニットは、枠体と、枠体に収納された複数の蓄圧器と、本ユニットに接続するための増設用配管と、を備え、
前記増設用ユニットの増設用配管と前記本ユニットの増設用配管とを接続することにより、複数のユニットが組み合わされていること
を特徴とする上記(1)に記載の高圧ガス供給装置。
【0018】
(10)昇圧機器と、高圧ガス供給装置と、ディスペンサーと、を備えた高圧ガス供給設備であって、
前記高圧ガス供給装置は、ユニットにより構成されており、
前記ユニットの本ユニットは、
枠体と、
枠体に収納された複数の蓄圧器と、
昇圧器から送られる高圧ガスを蓄圧器内に供給する供給配管と、
蓄圧器内の高圧ガスをディスペンサーに供給する供給配管と、
前記供給配管に設けられた自動開閉弁と、
他の本ユニットを接続するための接続用配管と、
増設用ユニットを接続するための増設用配管と、を備えていること
を特徴とする高圧ガス供給設備。
【発明の効果】
【0019】
本発明の高圧ガス供給装置によれば、増設用配管及び複数の蓄圧器を収納している複数のユニットを組み合わせるだけで、簡単に高圧ガス供給装置を作ることができる。
【0020】
また、ユニット単位で作業を行うことができるので、蓄圧器ユニットを組み立てる際に広い作業スペースを必要とせず、市街地等の狭い場所でも簡単に高圧ガス供給装置を設置することができる。また、移動する際には、蓄圧器ユニットをユニット毎に分解するだけでよいので、容易に高圧ガス供給装置を移動することができる。
【0021】
本発明の高圧ガス供給設備によれば、増設用配管及び複数の蓄圧器を収納している複数のユニットを組み合わせるだけで、簡単に高圧ガス供給設備を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る高圧ガス供給装置を実施するための一実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、本発明に係る高圧ガス供給設備については、高圧ガス供給装置と併せて説明する。
【0023】
図1(a)は、本実施形態に係る高圧ガス供給装置としての蓄圧器ユニットを構成するユニットの概略構成図を示したものである。
図1(a)に示すように、本ユニットである主ユニット110は、鋼鉄性の柱部材で長方形状に枠組みされた枠体5と、枠体の底部に取り付けられた架台部材5aと、架台部材5aに固定部材8により固定された2本の蓄圧器1a、1bと、蓄圧器1に接続された供給配管11及び供給配管12と、供給配管11及び供給配管12の途中にそれぞれ設けられたユニット接続用配管9とを備えている。架台部材5aは、鋼材で構成されており、例えば、L字状、コの字状、H型状の形状で形成されている。
【0024】
ユニット接続用配管9は、上方へ延びるように形成されており、その先端部には接続用のカップリング部材19が設けられている。このユニット接続用配管9は、後述する従ユニット120と組み合わされる際に、従ユニットのユニット接続用配管9′と接続する。
【0025】
供給配管11は、枠体5の外部に設置されている昇圧装置と接続し、この昇圧装置から供給される高圧ガスを蓄圧器1に導入する。なお、昇圧装置の手前には、液化ガス貯槽などのガス発生源が設けられている。また、供給配管12は、枠体5の外に設けられたディスペンサー等と接続し、蓄圧器1からの高圧ガスを、ディスペンサーを介して車載タンクに充填する。
【0026】
蓄圧器1は、鋼製若しくは、金属製又は樹脂製ライナーを炭素繊維強化プラスティックで強化したものからなる。また、ガスとしては、例えば、水素ガス、天然ガス等を用いることができる。なお、本実施の形態では、枠体に収納される蓄圧器の本数を2本としたが、必要に応じて3本以上の蓄圧器を収容するようにしてもよい。
【0027】
蓄圧器1a、1bの入口側の配管には、それぞれ蓄圧器バルブ4が設けられており、蓄圧器1a、1bの入口同士は、共通の配管14で接続されている。入口側の共通配管14は、供給配管11に接続しており、共通配管14と供給配管11との接続点には、ユニット増設用配管6が上方に延びるように設けられている。
【0028】
ユニット増設用配管6は、後述する増設用ユニット130と組み合わされる際に、増設用ユニット130のユニット増設用配管6′と接続する。
【0029】
また、供給配管11には、自動開閉バルブ2aが取り付けられており、自動開閉バルブ2aとユニット増設用配管6との間の供給配管11の一部が、伸縮配管7となるように形成されている。伸縮配管7は、金属または樹脂で作られたフレキシブルチューブで構成されており、圧力・熱等により変形した蓄圧器の伸縮を吸収することができる。したがって、蓄圧器の伸縮により生じた応力によって、供給配管等の固定された配管が破壊されてしまうことを防止することができる。
【0030】
同様にして、蓄圧器1a、1bの出口側の配管には、それぞれ蓄圧器バルブ4が設けられており、蓄圧器1a、1bの出口同士は、共通の配管14で接続されている。出口側の共通配管14は、供給配管12に接続しており、共通配管14と供給配管12との接続点には、ユニット増設用配管6が上方に延びるように設けられている。供給配管12には、自動開閉バルブ2cが取り付けられており、自動開閉バルブ2cとユニット増設用配管6との間の供給配管12の一部が、伸縮配管7となるように形成されている。また、接続配管7と自動開閉バルブ2cとの間の供給配管12には、圧力センサー3が取り付けられている。さらに、蓄圧器1の出口側の枠体5の側部には、制御ボックス10が取り付けられており、この制御ボックス10には、自動開閉バルブ2a、2c及び圧力センサー3からの計装ライン15が接続されている。
【0031】
図1(b)は、本実施形態に係る高圧ガス供給装置に使用される蓄圧器ユニットを構成するユニットの概略構成図を示したものである。
図1(b)に示すように、本ユニットである従ユニット120は、鋼鉄性の柱部材で長方形状に枠組みされた枠体5と、枠体の底部に取り付けられた架台部材5aと、架台部材5aに固定部材8により固定された2本の蓄圧器1c、1dと、蓄圧器1に接続された供給配管11′及び供給配管12′と、供給配管11′及び供給配管12′に連接して形成されたユニット接続用配管9′とを備えている。ユニット接続用配管9′は、下方へ延びるように形成されており、その先端部には接続用のカップリング部材19が一体に設けられている。なお、カップリング部材の構成として、他のカップリング部材とワンタッチで着脱できるものを採用することにより、装置全体の組立て作業を効率化することができる。
【0032】
蓄圧器1c、1dの入口側の配管には、それぞれ蓄圧器バルブ4が設けられており、蓄圧器1c、1dの入口同士は、共通の配管14で接続されている。入口側の共通配管14は、供給配管11′に接続しており、共通配管14と供給配管11′との接続点には、ユニット増設用配管6が上方に延びるように設けられている。また、供給配管11′には、自動開閉バルブ2bが取り付けられており、自動開閉バルブ2bとユニット増設用配管6との間の供給配管11′の一部が、伸縮配管7となるように構成されている。
【0033】
同様にして、蓄圧器1c、1dの出口側の配管には、それぞれ蓄圧器バルブ4が設けられており、蓄圧器1c、1dの出口同士は、共通の配管14で接続されている。出口側の共通配管14は、供給配管12′に接続しており、共通配管14と供給配管12′との接続点には、ユニット増設用配管6が上方に延びるように設けられている。供給配管12′には、自動開閉バルブ2dが取り付けられており、自動開閉バルブ2dとユニット増設用配管6との間の供給配管12の一部が、伸縮配管7となるように構成されている。
【0034】
また、自動開閉バルブ2b、2dからは、主ユニット110に設けられた制御ボックス10へ接続するための計装ライン15が延びている。
【0035】
図2は、本発明に係る高圧ガス供給装置の一実施形態である蓄圧器ユニットの概略構成図を示したものである。
図2において、図1と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図2に示すように、蓄圧器ユニット100は、主ユニット110と従ユニット120とから構成されている。また、蓄圧器ユニット100は、主ユニット110の上部に、従ユニット120を載置することによって組み立てられている。
【0037】
蓄圧器1の入口側及び出口側では、上方に延びた主ユニット110のユニット接続用配管9と、下方に延びた従ユニット120のユニット接続用配管9′とが、カップリング部材19を介して接続されている。また、従ユニット120に設けられている自動開閉バルブ2b、2dからの計装ライン15は、制御ボックス10に接続されている。
【0038】
ここでは、主ユニット110の枠体5と従ユニット120の枠体5とは、同一の形状を有するように構成されているので、各ユニットを組み合わせた際に外形を一体化することができる。これにより、組み立てられた蓄圧器ユニット100は、無駄な凸凹を有することがなく、設置スペースを小さくすることができる。
【0039】
また、本実施の形態では、主ユニット110に設けられたユニット接続用配管9及び従ユニット120に設けられたユニット接続用配管9′は、ユニットを組み合わせた際に、互いに合致できるような位置に配置構成されている。これにより、各ユニット110,120を組み合わせるだけで、ユニット接続用配管9、9′の位置合わせを行うことができ、ユニット110,120を簡単に組み立てることができる。
【0040】
本実施の形態では、主ユニット110と従ユニット120とは上下方向に組立てられているが、作業スペース等を広くとれるような場合、又は貯蔵量が増えた場合には、主ユニット110と従ユニット120とを横方向に組み付けるようにしてもよい。なお、この場合には、各ユニットのユニット接続用配管を横方向に延びるように形成する。
【0041】
図3(a)は、主ユニット部の一実施の形態の概略構成図を示したものである。図3(a)において、図1(a)と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図3(a)に示すように、主ユニット部111は、主ユニット110と増設用ユニット130とから構成されている。すなわち、主ユニット部111は、主ユニット110の上部に、増設用ユニット130を載置することによって組み立てられている。
【0043】
増設用ユニット130の蓄圧器1a、1bの入口同士は、共通の配管14で接続されている。共通配管14の中点にはユニット増設用配管6′が接続されており、このユニット増設用配管6′は、下方に延びるように形成されている。同様にして、蓄圧器1の出口側にもユニット増設用配管6′が形成されている。すなわち、蓄圧器1の入口側及び出口側では、上方に延びた主ユニット110のユニット増設用配管6と、下方に延びた増設用ユニット130のユニット増設用配管6′とが、カップリング部材16を介して接続されている。
【0044】
本実施の形態では、主ユニット部111を組み立てるのに使用する増設用ユニット130の数は1つとしたが、蓄圧器ユニットが用いられる高圧ガス供給装置に要求される供給量の増加に応じて、2以上の増設用ユニット130を使用してもよい。
【0045】
また、主ユニット110の枠体5と増設用ユニット130の枠体5とは、同一の形状を有するように構成されているので、各ユニットを組み合わせた際に、凹凸を有することなく一体化できる。
【0046】
また、本実施の形態では、主ユニット110に設けられたユニット増設用配管6及び増設用ユニット130に設けられたユニット増設用配管6′は、ユニットを組み合わせた際に、互いに合致できるような位置に形成されている。
【0047】
図3(b)は、従ユニット部の一実施の形態の概略構成図を示したものである。図3(b)において、図1(b)と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図3(b)に示すように、従ユニット部121は、従ユニット120と増設用ユニット130′とから構成されている。すなわち、従ユニット部121は、従ユニット120の上部に、増設用ユニット130′を載置することによって組み立てられている。
【0049】
増設用ユニット130′の蓄圧器1c、1dの入口同士は、共通の配管14で接続されている。共通配管14の中点にはユニット増設用配管6′が接続されており、このユニット増設用配管6′は、下方に延びるように形成されている。同様にして、蓄圧器1c、1dの出口側にも、ユニット増設用配管6′が形成されている。すなわち、蓄圧器1の入口側及び出口側では、上方に延びた従ユニット120のユニット増設用配管6と、下方に延びた増設用ユニット130′のユニット増設用配管6′とが、カップリング部材16を介して接続されている。
【0050】
なお、本実施の形態では、従ユニット部121を組み立てるのに使用する増設用ユニット130′の数は1としたが、従ユニット部が用いられる高圧ガス供給装置に要求される供給量の増加に応じて、2以上の増設用ユニット130′を使用するようにしてもよい。
【0051】
また、従ユニット120の枠体5と増設用ユニット130′の枠体5とは、同一の形状を有するように構成されているので、各ユニットを組み合わせた際に、凹凸を有することなく一体化できる。
【0052】
蓄圧器ユニット100は、上記のように構成された主ユニット部111の上部に従ユニット部121を載置し、主ユニット部111のユニット接続用配管9と従ユニット部121のユニット接続用配管9とをカップリング部材19で接続することによって組み立てられる。すなわち、増設用ユニット130、130′の数を調整することにより、蓄圧器ユニット100が有する蓄圧器数を増加・減少させて、高圧ガス供給装置が供給するガスの全体量を調整することができる。
【0053】
図4は、本実施形態における枠体に取り付けられた蓄圧器の状態を示す断面図である。
図4に示すように、蓄圧器1は、枠体5に取り付けられた架台部材5a上に置かれた状態で、固定部材8により枠体5に固定されている。固定部材8は、ベルト状の固定金具8aと、その内側に沿って設けられた弾性材8bと、取付具8cとを備えている。
【0054】
蓄圧器1を架台部材5aに固定する際には、固定部材8の弾性材8bを蓄圧器の表面に沿うように取り付けて、その状態で、取付具8cにより固定金具8aの端部を固定する。これにより、弾性材8bの弾力を利用して圧力・熱等により周方向に変形した蓄圧器の伸縮を吸収し、常に安定した状態で蓄圧器1を枠体5に固定することができる。
【0055】
図5は、本発明に係る高圧ガス供給設備の一実施形態における概略構成図を示したものである。
図5に示すように、本実施の形態に係る高圧ガス供給設備50は、昇圧装置30、高圧ガス供給装置である蓄圧器ユニット100及びディスペンサー40を備えている。昇圧装置30は、図示しないガス発生源から供給されたガスを昇圧させ、高圧な状態にして、蓄圧器1に供給する。
【0056】
昇圧装置30は、供給配管11を介して、蓄圧器ユニット100と接続している。また、ディスペンサー40は、供給配管12を介して、蓄圧器ユニット100と接続している。
【0057】
昇圧装置30で昇圧されたガスは、供給配管11を通じて、主ユニット110若しくは従ユニット120内の蓄圧器1に供給される。蓄圧器1に貯められた高圧ガスは、供給配管12を通じて、ディスペンサー40に供給される。
【0058】
圧力センサー3は、制御ボックス10と接続しており、この制御ボックス10には、計装ライン36を介して、自動開閉バルブ2a、2b、2c、2dが接続されている。自動開閉バルブ2a〜2dの開閉状態は、制御ボックス10によって制御される。例えば、制御ボックス10は、圧力センサー3が予め設定された主ユニット110の圧力の上限値を検知した場合には、自動開閉バルブ2cを開くように制御して、ディスペンサー40へ高圧ガスを供給する。また、圧力センサー3が予め設定された下限値を検知した場合には、自動開閉バルブ2aを開くように制御して、昇圧装置30で昇圧されたガスを蓄圧器1に導入する。
【0059】
上述したように構成された本実施形態の高圧ガス供給装置によれば、複数の蓄圧器1を収納しているユニット110,120を組み合わせるだけで、ユニット接続用配管9、9′を接続して蓄圧器ユニット100を組み立てることができる。
【0060】
また、本発明の高圧ガス供給設備によれば、増設用配管及び複数の蓄圧器を収納している複数のユニット110,120を組み合わせるだけで、簡単に高圧ガス供給設備を設置することができる。
【0061】
また、本実施形態の高圧ガス供給装置によれば、複数の蓄圧器を連接する際に、外付け用の配管を後から取り付ける必要もないので、高圧ガス供給装置を組み立てる際の設置性を向上させることができる。また、ユニット単位で組み付け作業を行なうことができるので、クレーン等の大型重機を作業させるスペースが不要となり、例えば市街地等の狭い場所であっても、簡単に蓄圧器ユニットを設置でき、高圧ガス供給設備を組み上げることができる。また、蓄圧器ユニットを移動する際に、各ユニットに分解するだけで小型にすることができ、また移動先においても、簡単に蓄圧器ユニットを組み立てることができるので、輸送性を向上させることができる。
【0062】
また、各ユニットの枠体5は同一の形状であって、かつ各ユニットの所定の位置にユニット接続用配管9、9′が配置されているので、各ユニットを組み合わせるだけで正確にユニット接続用配管9、9′の位置合わせを行うことができる。これにより、複数のユニット110,120を簡単に連接することができ、蓄圧器ユニットの設置性を向上させることができる。
【0063】
また、高圧ガス供給設備50の規模に変動が生じた場合であっても、蓄圧器ユニット100を構成するユニットの数を増減させるだけで、供給量を変動させることができ、簡単に対応することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、差圧を利用して高圧ガスを自動車等に充填するので、高圧ガス供給装置に用いる自動開閉バルブの動作回数を少なし、故障の頻度を少なくすることができる。
【0065】
次に、本実施の形態の高圧ガス供給装置における自動開閉バルブの切換手順について、図6を用いて説明する。
【0066】
図6(a)は、昇圧装置30で昇圧された高圧ガスを主ユニット110内の蓄圧器1に移送する状態を示す図である。
図6(a)に示すように、主ユニット110の入口側の自動開閉バルブ2a及び従ユニット120の出口側の自動開閉バルブ2dは開状態であり、主ユニット110の出口側の自動開閉バルブ2c及び従ユニット120の入口側の自動開閉バルブ2bは閉状態である。これにより、昇圧機器30で昇圧された高圧ガスが、供給配管11を通って、主ユニット110内の蓄圧器1に移送される。
【0067】
図6(b)は、主ユニット110の蓄圧器1内の高圧ガスをディスペンサー40に移送するとともに、昇圧装置30で昇圧されたガスを従ユニット120内の蓄圧器1に移送する状態を示す図である。
図6(b)に示すように、主ユニット110の入口側の自動開閉バルブ2a及び従ユニット120の出口側の自動開閉バルブ2dは閉状態であり、主ユニット110の出口側の自動開閉バルブ2c及び従ユニット120の入口側の自動開閉バルブ2bは開状態である。これにより、従ユニット110の蓄圧器1内の高圧ガスが、供給配管12を通って、ディスペンサー40に移送されるとともに、昇圧機器30で昇圧されたガスが、供給配管11を通って、従ユニット120内の蓄圧器1に移送される。
【0068】
図6(c)は、従ユニット120の蓄圧器1内の高圧ガスをディスペンサー40に移送するとともに、昇圧装置30で昇圧されたガスを主ユニット110内の蓄圧器1に移送する状態を示す図である。
図6(c)に示すように、主ユニット110の入口側の自動開閉バルブ2a及び従ユニット120の出口側の自動開閉バルブ2dは開状態であり、主ユニット110の出口側の自動開閉バルブ2c及び従ユニット120の入口側の自動開閉バルブ2bは閉状態である。これにより、従ユニット120の蓄圧器1内の高圧ガスが、供給配管12を通って、ディスペンサー40に移送されるとともに、昇圧装置30で昇圧されたガスが、供給配管11を通って、主ユニット110内の蓄圧器1に移送される。
【0069】
すなわち、本実施形態の高圧ガス供給装置では、蓄圧器ユニット100を主ユニット110と従ユニット120に分けて構成し、主ユニット110及び従ユニット120からディスペンサー40に高圧ガスを交互に供給する。また、主ユニット110からディスペンサー40にガスを供給しているときは、昇圧装置30から従ユニット120にガスが供給される。一方、従ユニット120からディスペンサー40にガスを供給しているときは、昇圧装置30から主ユニット110にガスが供給される。
【0070】
このように本実施の形態の高圧ガス供給装置によれば、主ユニット110及び従ユニット120の蓄圧器1からディスペンサー40に交互に高圧ガスを供給することができるので、その結果、ディスペンサー40から自動車等に対して高圧ガスを連続的に充填することができる。
【0071】
なお、本発明の高圧ガス供給装置は、上述の各形態に限定されるものではなく、その他材料、構成等において本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】(a)は、本発明に係る高圧ガス供給装置の一実施形態であるユニットの概略構成図である。(b)は、本発明に係る高圧ガス供給装置の一実施形態であるユニットの概略構成図である。
【図2】本発明に係る高圧ガス供給装置の一実施形態である蓄圧器ユニットの概略構成図である。
【図3】(a)は、本発明に係る高圧ガス供給装置の一実施形態であるユニットの概略構成図である。(b)は、本発明に係る高圧ガス供給装置の一実施形態であるユニットの概略構成図である。
【図4】本発明の一実施形態である蓄圧器を固定する固定部材の概略断面図である。
【図5】本発明に係る高圧ガス供給設備の一実施形態における全体構成を示すブロック図である。
【図6】一実施形態における蓄圧器ユニットの自動開閉バルブの切替手順を示す概略図である。
【図7】従来使用されている蓄圧器ユニットの概略構成図である。
【符号の説明】
【0073】
1a〜1d・・蓄圧器、2a〜2d・・自動開閉バルブ、3・・圧力センサー、4・・蓄圧器バルブ、5・・枠体、5a・・架台部材、6、6′・・ユニット増設用配管、7・・伸縮配管、8・・固定部材、8a・・固定金具、8b・・弾性材、8c・・取付具、9・・ユニット接続用配管、10・・制御ボックス、11・・供給配管、12・・供給配管、14・・共通配管、15・・計装ライン、16、19・・カップリング部材、30・・昇圧機器、36・・計装ライン、40・・ディスペンサー、50・・高圧ガス供給設備、100・・蓄圧器ユニット(高圧ガス供給装置)、110・・主ユニット、120・・従ユニット、130、130′・・増設用ユニット、200・・蓄圧器ユニット、201・・蓄圧器、205・・枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットにより構成される高圧ガス供給装置であって、
前記ユニットの本ユニットは、
枠体と、
枠体に収納された複数の蓄圧器と、
昇圧器から送られる高圧ガスを蓄圧器内に供給する供給配管と、
蓄圧器内の高圧ガスをディスペンサーに供給する供給配管と、
前記供給配管に設けられた自動開閉弁と、
他の本ユニットを接続するための接続用配管と、
増設用ユニットを接続するための増設用配管と、を備えていること
を特徴とする高圧ガス供給装置。
【請求項2】
前記接続用配管と他の本ユニットの接続用配管とを接続することにより、複数のユニットが組み合わされていること
を特徴とする請求項1に記載の高圧ガス供給装置。
【請求項3】
前記複数のユニットは、上下方向に組み合わされていること
を特徴とする請求項2に記載の高圧ガス供給装置。
【請求項4】
前記接続用配管は、上下方向に延びるように形成されていること
を特徴とする請求項3に記載の高圧ガス供給装置。
【請求項5】
前記複数のユニットの枠体は、同一の形状を有するように構成されていること
を特徴とする請求項4に記載の高圧ガス供給装置。
【請求項6】
前記複数のユニットのうち、少なくとも1つの本ユニットは、圧力センサーと制御ボックスを備えていること
を特徴とする請求項1に記載の高圧ガス供給装置。
【請求項7】
前記複数のユニットのうち、異なる本ユニットの蓄圧器から、交互にガスを供給すること
を特徴とする請求項2に記載の高圧ガス供給装置。
【請求項8】
前記蓄圧器は、弾性を有する固定部材によって前記枠体に固定されていること
を特徴とする請求項1に記載の高圧ガス供給装置。
【請求項9】
前記増設用ユニットは、枠体と、枠体に収納された複数の蓄圧器と、本ユニットに接続するための増設用配管と、を備え、
前記増設用ユニットの増設用配管と前記本ユニットの増設用配管とを接続することにより、複数のユニットが組み合わされていること
を特徴とする請求項1に記載の高圧ガス供給装置。
【請求項10】
昇圧機器と、高圧ガス供給装置と、ディスペンサーと、を備えた高圧ガス供給設備であって、
前記高圧ガス供給装置は、ユニットにより構成されており、
前記ユニットの本ユニットは、
枠体と、
枠体に収納された複数の蓄圧器と、
昇圧器から送られる高圧ガスを蓄圧器内に供給する供給配管と、
蓄圧器内の高圧ガスをディスペンサーに供給する供給配管と、
前記供給配管に設けられた自動開閉弁と、
他の本ユニットを接続するための接続用配管と、
増設用ユニットを接続するための増設用配管と、を備えていること
を特徴とする高圧ガス供給設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−32053(P2008−32053A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203483(P2006−203483)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、九州経済産業局、地域新生コンソーシアム事業(CFRP高圧水素蓄圧器システムの開発)、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【出願人】(506255809)豊前高圧ガス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】