説明

高圧処理中にウエハを保持する真空チャック装置及び方法

処理中にウエハ寸法を有するウエハを保持するための方法及び装置であり、真空チャックは、ウエハを密着させるように形成された凹状のウエハプラテンを備え、ウエハに高圧が印加された時にそれらの示唆にシールを提供する。ウエハプラテンは、ウエハと真空チャックの間に物質が入るのを防止する。ウエハプラテンには、ウエハの下側に真空を印加するための溝が形成されている。プラテンに形成されたプリーナムは、ウエハと真空チャックの間に所定時間量だけ圧力を提供し、真空チャックがウエハの係合を解く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関係出願
本特許出願は、2003年8月11日付けで出願された「高圧処理中にウエハを保持する真空チャック装置及び方法」という名称の米国特許出願番号10/639,224の米国特許法第119条(e)の優先権を主張し、ここではこの出願が参照される。
【0002】
本発明は、一般的に高圧処理中にウエハを保持する真空チャック装置に関し、特にウエハプラテンを有する真空チャックで、処理中にウエハとウエハプラテンの間に物質が移動するのを防止するように形成された真空チャックに関する。
【背景技術】
【0003】
高処理チャンバ内でシリコンウエハを処理する場合に、ウエハを保持する真空チャックを使用するのが普通である。図1A及び図1Bは、従来の平坦な真空チャックを示す。図1A及び図1Bに示すように、従来の平坦な真空チャック10は、ウエハ99を保持するのに利用され、真空チャックのウエハ支持表面すなわちウエハプラテン12に1つ以上の真空溝14が加工されている。特に、真空溝すなわち溝14は、ウエハ支持表面12の中心に対して同心円状に位置している。更に、ウエハ99を処理するためにウエハ支持表面12上にウエハ99を効果的に降下させると共に、ウエハ99の処理が完了した後ウエハ支持表面12からウエハ99を上昇させるように、1組のピン16がウエハ支持表面12の中心付近に形成されている。従来、図1Bに示すように、ウエハ99、好ましくはシリコンウエハは、ウエハ支持表面12上に中心から同心円状に配置され、真空は真空溝すなわち溝14を通してウエハの裏面98に印加され、高圧処理の初期にウエハをその場に保持する。
【0004】
真空溝14の最大外側径は、ウエハ99の外側直径より約20mm小さい。ウエハと真空溝の外側直径の差は、おおよそ10mmであり、ウエハ99の外側の底エッジ97の周りに10mmのギャップが残る。上記のように、ウエハの裏面98は、真空溝14内で直径にわたって印加される真空にさらされると共に、チャンバの取り囲む圧力が真空溝14の外側に直径にわたって印加される。高圧処理の間、クリーニング助溶剤が、処理チャンバ内の真空チャック10及びウエハに印加される。10mmのギャップは処理における問題ではないが、高圧の超臨界クリーニング助溶剤又は他の物質は、図1Bにおいて矢印で示すように、ウエハ支持表面12と外側底エッジ97の間のこの10mmのギャップに移動することができ、その間で凝縮する。10mmのギャップ内での助溶剤の凝縮は、真空チャック又はウエハ上の凝縮した物質のビルドアップ(集積)を生じ得る。更に、凝縮した物質は、ウエハの下側98上と共にウエハ支持表面12上に残留物を生じ得て、ウエハ支持表面12上の残留物は引き続いて行われる動作でのアライメントの問題を生じ得る。更に、凝縮された物質は、ウエハ99及び処理チャンバを汚すと共にウエハの処理が完了した後のチャックからのウエハの容易な取り外しを妨げる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
必要とされていることは、ウエハを保持し、処理に含まれる助溶剤又は他の物質が処理中にウエハとウエハ支持表面との間に移動するのを防止できるように形成された真空チャックである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様では、真空チャックは、ウエハに高圧が印加された時に、ウエハをウエハプラテンに密着させてその間にシールを提供するように形成された凹状のウエハプラテンを有する。ウエハに高圧が印加される時に、ウエハはウエハプラテンとの係合位置にある。高圧により、ウエハの下側はウエハプラテンに密着した状態に保持される。真空チャックは、ウエハプラテンに形成された、ウエハの下側に真空を印加するための溝を更に備える。真空チャックは、ウエハプラテンに形成されたピンの組みを更に備える。ピンは第1の位置と第2の位置との間を移動可能であり、ピンが第1の位置にある時には、ウエハはウエハプラテンから容易に取り外し可能である。ウエハの下側は粗くされるように形成され、それにより高圧の印加を終了した時に、ウエハがウエハプラテンとの係合を自動的に解くのを可能にする。また、ウエハの下側は滑らかな表面を有してもよい。真空チャックは、ウエハと真空チャックの間に所定時間量の間圧力を提供するための、圧力レギュレータに連結されたプリーナムを更に備え、この圧力は係合位置からのウエハの係合を解く。真空チャックは、ウエハプラテンから垂直に伸びてウエハの側方への移動を制限する複数の突起をさらに備える。
【0007】
本発明の別の態様は、処理中にウエハを保持するための真空チャックに関する。真空チャックは、窪んだ領域を備え、窪んだ領域の一部は、高圧下でウエハの一部と密着するように形成可能な凹状の表面を有する。ウエハに印加される高圧はウエハの一部と窪んだ領域の間のシール可能な係合を形成する。ウエハの下側は粗くされ、それにより高圧の印加を終了した時に、ウエハがウエハプラテンとの係合を自動的に解くのを可能にする。また、ウエハの下側は滑らかな表面を有してもよい。窪んだ領域は、ウエハの厚さの寸法と等しいかそれより小さな深さ寸法を有する。真空チャックは、窪んだ領域に形成され、ウエハの下側に真空を印加するための溝を更に備える。真空チャックは、窪んだ領域に形成されたピンの組みを更に備える。ピンは、第1の位置と第2の位置との間を移動可能で、ピンが第1の位置にある時には、ウエハは窪んだ領域から容易に取り外し可能である。真空チャックは、内部に形成されると共に圧力レギュレータに連結されたプリーナムを更に備え、プリーナムは、ウエハと真空チャックの間に圧力を提供して、窪んだ領域からのウエハの係合を解く。真空チャックは、ウエハの側方への移動を制限するための窪んだ領域から垂直に伸びる複数の突起を更に備える。
【0008】
本発明の別の態様は、処理中にウエハ寸法を有するウエハを保持する方法に関する。この方法は、ウエハを受けるために少なくとも一部が凹状の表面を有するウエハプラテンを有する真空チャックを提供する。この方法は、ウエハを真空チャック上に配置することも備える。この方法は、ウエハに高圧を印加することも備え、高圧はウエハの少なくとも一部を凹状の表面に密着させてシール可能な係合を形成する。この方法は、ウエハを高圧下で処理することも備える。この方法は、ウエハに高圧を印加することを備え、高圧はウエハの外側エッジをウエハとのシール可能に係合する。シール可能な係合は、ウエハの外側エッジとウエハプラテンの間に物質が入るのを防止する。配置するステップは、ウエハの外側エッジの一部がウエハプラテンと密着するまでウエハを真空チャック上に降下させることを備える。高圧印加するステップは、ウエハの下側に真空を印加することを更に備える。真空は、ウエハの下側をウエハプラテンに密着させる。この方法は、ウエハへ印加される高圧の印加を停止するステップを更に備える。この方法は、真空チャックからウエハを取り外すステップを更に備える。好ましくは、ウエハを取り外すステップは、高圧の印加終了後に、ウエハプラテンからのウエハの係合を自動的に解くことを更に備える。また、ウエハを取り外すステップは、ウエハと真空チャックの間に所定時間量圧力を印加してウエハをウエハプラテンから持ち上げることを更に備える。取り外す別のステップは、持ち上げる手段がウエハの下側に接触する前に、ウエハと真空チャックの間への圧力の印加を終了し、そしてウエハをウエハプラテンから持ち上げることを、更に備える。この方法は、ウエハの外側エッジがチャックの上面に接触した後、ウエハを真空チャックから上昇させるステップを更に備える。
【0009】
他の特徴及び利点は、以下の説明及び議論から、この技術分野の技術者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図2は、本発明による好適な真空チャックの斜視図を示す。図2に示すように、本発明の真空チャック300は、外側表面312を有し、そしてウエハプラテン302、真空溝304及びウエハプラテン302の中心付近に配置された上昇/下降ピン306の組を有する。真空チャック300は、好適には200mmの直径を有するウエハを保持する。また、真空チャック300は、300mmの直径又は他の大きさの直径を有するウエハを保持するものでもよい。ここでの特徴は、本発明を適切に述べて説明するための誇張した形で本発明の特徴を示しており、その尺度ではないことに注目すべきである。好ましくは、本発明の真空チャックは、シリコンウエハを保持するのに使用される。しかしながら、この技術分野の通常の技術者には、ウエハが、変形されたシリコン又は変形するのに適当な弾性を有する他の材料から作られ、印加される高圧に応じて適切な歪が期待されるならばよいことが明らかである。
【0011】
本発明の好適な真空チャック300は、図2に示すように、少なくとも1つの真空溝304を有する。真空溝304は、高圧条件の下で処理されるウエハ99の直径より小さい直径を有する。更に、真空溝304は、1.27mm(0.050インチ)の最小深さ及び0.254−0.762mm(0.010−0.030インチ)の広さ範囲を有する。しかしながら、この範囲の内側及び外側の真空溝304の他の大きさも、可能であることが期待できる。いずれにしろ、1つ以上の真空溝がウエハプラテン302の上に形成され、多重の真空溝はウエハプラテン302の中心から同心円状に形成される。しかしながら、半導体ウエハがウエハプラテン302上に十分に保持され、真空領域304において印加される真空により生じる力を損なわないように、真空溝304の最大直径が半導体ウエハの外側の直径に等しいことに着目すべきである。真空生成装置(図示せず)は、真空溝304に連結され、真空溝304を介して印加される吸引力がウエハ99の底表面すなわち下側98に対して生じる。真空圧力だめ(プリーナム)310を介してウエハ99の底表面98に印加される吸引力は、ウエハ99を保持領域306に固定するのを助ける。いずれにしろ、多重真空ポート及びラインが使用され、真空溝304に連結される。
【0012】
図示のように、真空チャック300は、ピン開口306内に位置したピン307の組を有する。ピンは、図3B及び図3Cに示す係合位置と、図3Aに示す伸長位置の間を移動する。図3Aに示すように、伸長位置では、ピン307の組は、ウエハ99の下側98に接触して、真空チャック300の上でウエハ99を支持する。ピン307は、好ましくはウエハが処理チャンバ内で処理される前後に伸長位置にある。図3B及び図3Cに示すように、係合位置では、ピンはピン開口306内に位置し、ウエハ99の下側98とは接触しない。
【0013】
図3Cに示すように、真空チャック300のウエハプラテン302は、処理中にウエハ99の下側98を受けて保持する。好ましくは、ウエハプラテン102は、研磨された滑らか表面を有する。また、ウエハプラテン102は、粗い表面を有することもある。好適な実施例では、図2及び図3A−3Cに示すように、ウエハプラテン302は、ウエハ99とのインターフェース表面として真空チャック300を横切り、皿状のすなわち凹状の表面を有する湾曲した表面を有する。図2及び図3A−3Cに示すように、真空チャックの窪んだ領域については、真空チャック300の外側表面312が、ウエハプラテン302の中間部分より大きな高さを有する。特に、外側表面312は、ウエハプラテン302の中間すなわち中心部分より、0.254mm(0.010インチ)高いことが好ましい。外側表面312と窪んだ領域の凹部分の中心との間での距離は、ウエハの厚さより大きいことが望ましい。いずれにしろ、外側表面312と窪んだ領域の凹部分の中心との間での距離は、ウエハの厚さと実質的に等しい。また、外側表面312は、ウエハプラテン302に対して他の適当な高さであればよい。図2のウエハプラテンは完全に凹状であるとして示されているが、ウエハの下側とインターフェースするように形成されたプラテンの領域が凹状であると理解される。従って、くぼみ全体が凹状である必要はない。
【0014】
ウエハプラテン302の湾曲した皿状の形状は、高圧条件下でウエハ99と真空チャック300との間に効果的にシールを生じる。湾曲したプラテン302のシール性能に加えて、凹状のウエハプラテン302は、以下に説明するように、チャンバ(図示せず)内にもはや高圧が存在しない時には、ウエハ99を載置した位置から自動的に引き離すのを補助する。図3Cに示すように、高圧がウエハ99の上及び/又は下から印加される時、ウエハ99は残留歪を受け、湾曲したウエハプラテン302の形状に沿うように変形する。これにより、図3Cに示すように、高圧が印加された状態では、ウエハ99は決められた載置位置にあり、ウエハ99の下側98と共に底エッジ97は、ウエハプラテン302に密着した状態になる。高圧力により生じるウエハ99の変形は、ウエハ99とウエハプラテン302の間にシールを発生させる。特に、ウエハ99が高圧下で変形する時には、ウエハ99の底エッジ97が湾曲したウエハプラテン302に適合及び合うため、シールが生成される。これにより、ウエハ99の底エッジ97とウエハプラテン302の間に生成されるシールは、処理中に、助溶剤又は他の流体のような物質がウエハ99とプラテン302の間に移動すなわち入らないようにするのを可能にする。圧力が終了した後は、ウエハ99がもはや湾曲したウエハプラテン302と密着した状態でなくなるので、シールは一時的なものである。
【0015】
図3Aは、本発明による、上昇した位置にあるウエハ99を有する好適な真空チャック300の概略側面図を示す。更に、図3Bは、本発明による、その上に載せられた非係合位置にあるウエハ99を有する好適な真空チャックの概略側面図を示す。更に、図3Cは、本発明による、引き込まれて着いた状態のウエハ99を有する別の真空チャックの概略側面図を示す。更に、図5は、図3A−3Cに関する好適な実施例の真空チャックを利用する処理方法のフローチャートを示す。図5に関して説明するプロセスは、以下に説明する他の実施例にも適用可能であることに注目すべきである。
【0016】
好適な動作では、図3Aに示すように、ピン307の組は最初伸長位置にあり、ウエハ99はクリーニングチャンバ内に挿入された後ピン307の先端上に位置している(ステップ400)。好ましくは、ピン307は、ピン307が伸びても、図3Aに示すように、ウエハ99がウエハプラテン302に接触しないような高さまで伸びる。このため、ピンは0.254mm(0.010インチ)の高さより高く伸びることが望ましい。また、ピンは、ピン307が伸びた状態でウエハ99の下側98の一部がプラテン302に接触している高さに伸びてもよい。
【0017】
ウエハが一旦処理されるようになると、図3Bに示すように、ピン307は駆動されて係合位置まで降下される(ステップ402)。ピン307が係合位置に降下された後、ウエハ99の外側エッジは、図3Bに示すように、ウエハプラテンに接触する。図3Bに示すように、次にウエハ99の下側98とウエハプラテン302の間に真空溝304を介して真空が印加される(ステップ404)。好ましくは、真空溝304を介して印加される圧力は、最初チャンバ内の圧力と共にウエハ99上の圧力よりも大きい。ウエハ99の下側98とウエハ99の上面の間の圧力の差は、図3Cに示すように、ウエハ99を係合位置に着ける力であることが望ましい。処理チャンバは圧力が印加され、図3Cで矢印で示すように、高圧がウエハ99の上側に印加される。チャンバに圧力が印加された後にはもはや真空溝304を介して真空が印加されないことも望ましい。いずれにしろ、真空は、ウエハ99を着いた位置には引っ張らないが、チャンバに圧力がかけられている間はウエハをプラテン302上に単に止めて保持する。
【0018】
図3Cに示すように吸引位置に着いた状態では、ウエハ99の下側98と共に底エッジ97は、図3Cに示すように、ウエハプラテン302に完全に密着した状態である。特に、ウエハプラテン302の凹形状と共にウエハ99の歪特性は、ウエハ99を変形させ、ウエハプラテン302の凹形状に沿うようにさせる。高圧下でのウエハ99の少しの変形は、ウエハ99の底エッジ97が凹状のウエハプラテン表面302に合うようにする。更に、高圧下でのウエハ99の少しの変形は、ウエハ99の下側98をウエハプラテン302に密着させる。
【0019】
ウエハ99は、処理チャンバ内で、好ましくは高圧又は超臨界状態の下で処理される(ステップ406)。ウエハ99とウエハプラテン302の間の密着は、上記のシールを発生する。ウエハ99の底エッジ97とウエハプラテン302との間のシールは、クリーニング化学物質のような流体物が処理中にウエハ99とウエハプラテン302の間に移動するのを防止する。従って、ウエハ99の底エッジ97及び下側98は、処理の間を通して乾燥した状態を維持する。
【0020】
ウエハ99の処理が完了すると、処理チャンバ内でウエハ99に印加される圧力の印加は終了する(ステップ408)。これにより処理チャンバ内は排出され、任意の圧力に戻る。ウエハ99に印加される高圧がなくなると、ウエハ99の材料内の残留歪が緩和され、ウエハ99は図3Bに示すような自然の形状に復帰する。好ましくは、ウエハプラテン302の凹状表面と共にウエハ99の自然な形状は、ウエハ99の下側98及び底エッジ97がもはやウエハプラテン302に密着しないようにする。これにより、これらの効果の組み合わせが、図3Bに示すように、ウエハ99を係合位置に着いた状態から係合を解くようにされてすなわち「跳ね上がり」、さしあたってウエハプラテン302上に置かれたようにする。一旦ウエハ99の印加された高圧が解除されると、図3Aに示すように、ピン307は再び上昇し、ウエハ99を真空チャックから離すように上昇させる(ステップ410)。このウエハプラテン302からのウエハ99の上昇は、処理後にウエハ99の下側にクリーニング助溶液が接触するのを防止する。
【0021】
上記のように、本発明の真空チャックは、粗い又は滑らかな表面を有することができる。更に、好適な別の真空チャックは、粗い表面の下側98を有するウエハ99を保持するように形成される。粗い表面の下側98は、ウエハ99をウエハプラテンと一緒に保持する結合力の不足に起因して、ウエハ99のウエハプラテンとの係合を解くのを助ける効果を有する。また、ウエハは滑らかな表面98を有してもよく、それによりウエハ99に高圧処理を行った後に、研磨された下側98と滑らかなウエハプラテン表面との間の密着が、それらの間に結合を生成する。ウエハ99とウエハプラテン202との間の結合は、ウエハ99がウエハプラテン上の吸引されて着いた状態から自動的に離れるすなわち「跳ね上がる」ことがなくなる。しかし、ウエハ99の下側98は滑らかな表面を有しており、それによりウエハの滑らかな表面が本発明の真空チャックのウエハプラテンの滑らかな表面と密着する。
【0022】
図4に示すように、真空チャック200’は、好適な実施例の真空チャック300と同様の凹状のウエハプラテン202’を有し、好適な真空チャック300と同じように動作する。図4に示した真空チャック200’は、ウエハプラテン202’内に形成された圧力プリナーム(空気だめ)205’を有する。圧力プリナーム205’は、圧力レギュレータ(図示せず)及びエアーコンプレッサのような圧力発生器(図示せず)に連結される。好ましくは、圧力プリナーム205’は、図4に示すように、ウエハプラテン202’上に、1つ以上の圧力溝205’として形成される。また、圧力プリナーム205’は、ウエハプラテン202’上又は真空チャック200’上の他の位置に配置される個別の開口であってもよい。
【0023】
圧力溝205’は、ウエハ99がウエハプラテン202’と密着する時、ウエハ99の下側98に正の圧力を伝える。正の圧力は、ウエハ99とウエハプラテン202’を一緒に保持する結合力を壊して解消するのに十分である。これにより、圧力溝205’を通して効果的に印加される圧力は、ウエハ99をウエハプラテン202’から少し離す小さな力を印加する。ウエハ99とウエハプラテン202’の間に印加される媒体は、圧縮気体であり、他の適当な媒体を使用することもできる。
【0024】
更に、図4に示すように、真空チャック200’は、ウエハプラテン202’上に配置された数個の円柱状の安定化ピン220’を有する。特に、安定化ピン220’は、ウエハプラテン202’の上に約0.635mm(0.025インチ)伸び、ウエハプラテン202’の中心から45度の等間隔で配置されている。更に、安定化ピン220’は、ウエハプラテン202’の中心から、ピン220’がウエハ99の配置と干渉しないような位置に配置される。安定化ピン220’は真空チャック200’との関係で説明したが、どのような個数の安定化ピン220’が使用されてもよい。更に、安定化ピン220’は、どのような長さでウエハプラテン202’から伸びても、ウエハプラテン202’の中心に対してどのような角度で配置されてもよい。図4の安定化ピン220’は、正の圧力が圧力溝205’を通してウエハ99の下側98に印加される時又は高圧がウエハに印加される時に、ウエハ99が側方に移動するのを制限する。これにより、安定化ピン220’は、ウエハ99がウエハプラテン202’から外される時に、ウエハ99の位置を維持する。安定化ピン220’は、どのような形状を有してもよく、図4に示す長方形のピンに限定されない。例えば、安定化ピン220’は、これに限定されるものではないが、バンプ、切り欠き、フランジ、円筒シリンダ、又は他の適当な形状を有することが可能である。
【0025】
図5は、本発明による真空チャック200’を利用する処理方法のフローチャートを示す。以下の処理方法は、例示のために図3Aから図3Cの真空チャック300に関連して説明されるが、図示した真空チャックに限定されるものではなく、以下に説明される。しかし、処理方法が好適な真空チャック(図2、図3Aから図3C)に適用可能であることは明らかである。動作においては、図4に示すように、ピン207’の組が最初に伸長位置にあり、ウエハ99はクリーニングチャンバ内に挿入された後ピン207’の上に配置される(ステップ500)。
【0026】
ウエハがピン207’の上に配置されると、ピン207’は係合位置まで降下される(ステップ502)。真空が真空溝204’を介してウエハ99の下側98とウエハプラテン202’の間に印加される(ステップ504)。ウエハ99の下側98とウエハ99の上側の間の圧力差は、ウエハ99をウエハプラテン202’の吸着位置に着かせるようにする。上記の説明した実施例における真空チャックにあるように、ウエハ99の上側98及び底表面97は、処理中ウエハプラテン202’に完全に密着している。
【0027】
ウエハ99は、次に適切な高圧条件の下で処理チャンバ内で処理される(ステップ506)。ウエハ99の外側エッジと内壁212’の間のシールは、クリーニング化学物質と同様に、処理中にウエハ99とチャック200’の間に流体物が移動してウエハの下側98に移動するのを防止する。ウエハ99の処理が完了すると、処理チャンバ内の圧力の印加が終了する(ステップ508)。こうして、処理チャンバ内は排出され、任意の圧力に戻る。
【0028】
真空チャック200’の動作において、正の圧力が圧力プリーナム205’を通してウエハ99の下側98とウエハプラテン202’の間に所定時間だけ印加される。また、ウエハ99を真空チャック200’から外れるのを助けるように、正の圧力が、ウエハ99と真空チャック200’の間のどのような位置に印加されてもよい。印加される圧力の量は、約13.78952Pa(2psi)であるが、他の圧力でもよい。特に、正の圧力が約1.5秒の間印加されるが、他の時間期間でもよい。上記のように、圧力プリーナム205’からの正の圧力は、ウエハ99をウエハプラテン202’から移動すなわち外し、ウエハ99がそこから上げられるのを可能にする。安定化ピン220’は、正の圧力がウエハ99の下側98に印加されている間、ウエハ99が側方に移動又は滑るのを制限する。
【0029】
正の圧力が圧力プリーナム205’を通してウエハ99とチャック200’の間に印加されるのと連動して、ピン207が動作されて伸長位置まで伸び始める(ステップ512)。ピン207’が伸びるがウエハ99の下側98に接触する前に、正の圧力の印加が終了する(ステップ514)。特に、圧力プリーナム205’を通した正の圧力の印加は、ピン207’が上方へ移動するように駆動された後約0.5秒で終了するが、他の時間期間でもよい。その後、ピン207’は、ウエハ99の下側98に接触し、真空チャック200’からウエハ99を持ち上げる(ステップ516)。しかしながら、印加された圧力は終了する必要はなく、ウエハ99を持ち上げるピン207’がある場合又は無い場合にも、プリーナム205’を通してウエハ99の下側98に圧力を印加し続けてもよいことに注目すべきである。
【0030】
本発明の構成及び動作の原理の理解を容易にするように、詳細を記載した特別な実施例で、本発明を説明してきた。これまでの特別な実施例及びその詳細についての参照は、付属の請求項の範囲を制限することを意図していない。この技術分野の技術者には、発明の精神及び範囲を逸脱することなしに、説明のために選択された実施例において変形例が可能であることが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】図1Aは、従来技術の真空チャックを概略的に示す斜視図を示す。
【図1B】図1Bは、ウエハがその上に配置された従来技術の真空チャックの概略側面図を示す。
【図2】図2は、本発明による好適な真空チャックの斜視図を示す。
【図3A】図3Aは、本発明による、上昇した位置にあるウエハを有する好適な真空チャックの概略側面図を示す。
【図3B】図3Bは、本発明による、その上に載せられたウエハを有する好適な真空チャックの概略側面図を示す。
【図3C】図3Cは、本発明による、引き込まれて着いた状態のウエハを有する好適な真空チャックの概略側面図を示す。
【図4】図4は、本発明による、圧力だめ(プリーナム)を有する好適な真空チャックの概略側面図を示す。
【図5】図5は、本発明による、真空チャックを利用する処理方法のフローチャートを示す。
【図6】図6は、本発明による、真空チャックを利用する処理方法のフローチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の高さの外側エッジ表面と、密着してウエハを保持するウエハプラテンと、を有する真空チャックであって、
前記ウエハプラテンは前記第1の高さより低く、
高圧が印加された状態下で、前記ウエハプラテンの一部は、前記ウエハプラテンと前記ウエハの外側エッジの間に流体が入るのを防止するように形成された実質的に凹状の形状を有する、真空チャック。
【請求項2】
前記ウエハの少なくとも一部は、前記高圧により前記ウエハプラテンに密着される請求項1に記載の真空チャック。
【請求項3】
前記ウエハの少なくとも一部が密着している時、前記ウエハは前記ウエハプラテンとの係合位置にいる請求項2に記載の真空チャック。
【請求項4】
前記印加された高圧は、前記ウエハを変形させて前記ウエハプラテンに沿うようにする請求項1に記載の真空チャック。
【請求項5】
前記印加された高圧は、前記ウエハの前記外側エッジを前記ウエハプラテンに合わせる請求項1に記載の真空チャック。
【請求項6】
前記ウエハプラテンに形成された、前記ウエハの下側に真空を印加するための溝を更に備える請求項1に記載の真空チャック。
【請求項7】
前記ウエハプラテンに形成され、第1の位置と第2の位置との間を移動可能なピンの組みを更に備え、
前記ピンが前記第1の位置にある時には、前記ウエハは前記ウエハプラテンから容易に取り外し可能である請求項1に記載の真空チャック。
【請求項8】
前記ウエハの下側は粗くされている請求項1に記載の真空チャック。
【請求項9】
前記ウエハの下側は滑らかな表面を有する請求項1に記載の真空チャック。
【請求項10】
前記ウエハと前記真空チャックの間に正の圧力を提供するためのプリーナムを更に備え、前記圧力は前記係合位置からの前記ウエハの係合を解き、前記プリーナムは圧力レギュレータに連結されている請求項2に記載の真空チャック。
【請求項11】
前記ウエハの側方への移動を制限するための複数の突起をさらに備え、前記複数の突起は前記ウエハプラテンから垂直に伸びている請求項1に記載の真空チャック。
【請求項12】
処理中にウエハを保持するための真空チャックであって、
窪んだ領域を備え、前記窪んだ領域の一部は、高圧下で前記ウエハの一部と密着するように形成可能な凹状の表面を有し、
前記ウエハに印加される高圧は前記ウエハの一部と前記窪んだ領域の間のシール可能な係合を形成する真空チャック。
【請求項13】
前記ウエハの下側は、前記高圧により前記窪んだ領域に密着するようにされる請求項12に記載の真空チャック。
【請求項14】
前記ウエハの外側エッジは、前記高圧により前記窪んだ領域に密着される請求項13に記載の真空チャック。
【請求項15】
前記窪んだ領域は、前記ウエハの厚さの寸法より大きな深さ寸法を有する請求項12に記載の真空チャック。
【請求項16】
前記窪んだ領域は、前記ウエハの厚さの寸法と実質的に同じ深さ寸法を有する請求項12に記載の真空チャック。
【請求項17】
前記窪んだ領域に形成され、前記ウエハの下側に真空を印加するための溝を更に備える請求項13に記載の真空チャック。
【請求項18】
前記窪んだ領域に形成され、第1の位置と第2の位置との間を移動可能なピンの組みを更に備え、
前記ピンが前記第1の位置にある時には、前記ウエハは前記窪んだ領域から容易に取り外し可能である請求項12に記載の真空チャック。
【請求項19】
前記ウエハの下側は粗くされている請求項12に記載の真空チャック。
【請求項20】
前記ウエハの下側は滑らかな表面を有する請求項12に記載の真空チャック。
【請求項21】
内部に形成されたプリーナムを更に備え、前記プリーナムは、前記ウエハと前記真空チャックの間に正の圧力を提供して、前記窪んだ領域からの前記ウエハの係合を解き、前記プリーナムは圧力レギュレータに連結されている請求項12に記載の真空チャック。
【請求項22】
前記正の圧力は、前記ウエハと前記真空チャックの間に所定時間提供される請求項21に記載の真空チャック。
【請求項23】
前記ウエハの側方への移動を制限するための複数の突起を更に備え、前記複数の突起は前記窪んだ領域から垂直に伸びている請求項12記載の真空チャック。
【請求項24】
処理中にウエハ寸法を有するウエハを保持する方法であって、
a.前記ウエハを受けるために、少なくとも一部が凹状の表面を有するウエハプラテンを有する真空チャックを提供するステップと、
b.前記ウエハを前記真空チャック上に配置するステップと、
c.前記ウエハに高圧を印加し、前記高圧は前記ウエハの少なくとも一部を前記凹状の表面に密着させてシール可能な係合を形成するステップと、
d.前記ウエハを高圧下で処理するステップと、を備える方法。
【請求項25】
高圧を印加する前記ステップは、前記ウエハの下側に真空を印加することを更に備え、前記真空は前記ウエハの下側を前記ウエハプラテンに密着させる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記シール可能な係合は、前記ウエハの外側エッジと前記ウエハプラテンの間に物質が入るのを防止する請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ウエハに印加される前記高圧の印加を終了するステップを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ウエハを前記真空チャックから取り外すステップを更に備える請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ウエハを取り外すステップは、前記高圧の印加終了後に、前記ウエハプラテンとのシール可能な係合位置からの前記ウエハの係合を自動的に解くことを更に備える請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ウエハを前記真空チャックから外して上昇させるステップを更に備える請求項298に記載の方法。
【請求項31】
前記ウエハを取り外すステップは、
a.前記ウエハと前記真空チャックの間に圧力を所定時間量印加し、
b.前記ウエハプラテンから前記ウエハを持ち上げる手段を駆動し、
c.前記持ち上げる手段が前記ウエハの下側に接触する前に、前記ウエハと前記真空チャックの間への圧力の印加を終了し、そして
d.前記ウエハを前記ウエハプラテンから持ち上げることを、
更に備える請求項28に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−502538(P2007−502538A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523197(P2006−523197)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/022459
【国際公開番号】WO2005/018870
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】