説明

高強度アルミニウム合金ろう付けシート

本発明は、Al−Cuコア層および少なくとも一つのクラッド層を含んでなり、該コア層が、実質的に下記の組成、すなわち(重量%で)Cu1.2〜4.0、Mn0.06〜1.5、Mg0.06〜1.5、Si0.5まで、Zn≦0.4、Zr≦0.25、Fe≦0.5、Ti≦0.25、Cr≦0.25、V≦0.25を含んでなり、残りが実質的にアルミニウムおよび不純物であり、該クラッド層が、Al−Si系溶加合金を含んでなり、該コア層の少なくとも片側に配置されている、高強度アルミニウム合金ろう付けシートに関する。本発明はさらに、該ろう付けシートを含んでなるろう付け組立構造、および該ろう付けシートのろう付け用途、例えば熱交換機、への使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、高強度、高成形性、改良されたろう付け特性および優れた耐食性を有する、ろう付け用のアルミニウム合金ろう付けシートに関する。本発明はさらに、そのようなろう付けシートを含んでなる、ろう付けされた組立構造、およびそのようなアルミニウム合金ろう付けシートを製造する方法にも関する。より詳しくは、本発明は、ろう付けクラッドとコアとの間に中間相を含んでなり、それによって耐食性を改良し、ろう付けサイクル中のケイ素およびマグネシウムの浸透を低減させる、ろう付け特性が改良された高強度多層アルミニウム材料に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
この分野では、例えば自動車または他の車両の熱交換機、オイルクーラー、インタークーラー、エバポレータまたはコンデンサ、または熱交換機を使用する用途に、アルミニウム合金ろう付けシートを使用することが公知である。従来、これらの組立構造は、ろう付け用ろう付けシートから製造され、Al−Mn系アルミニウム合金またはAl−Mg−Si系アルミニウム合金をコア材料として使用し、Al−Si系アルミニウム合金、典型的にはアルミニウム協会(AA)4xxx−シリーズ合金、を従来のろう付け用途向けのクラッドろう材として使用する。これらのろう付けシートを例えば自動車用熱交換機に組立、ろう付けした後、冷却媒体または加熱媒体を該組立構造中に装填する。そのため、ろう付けされた組立構造の漏れを阻止し、同時にそのような組立構造の重量および大きさを抑えることが不可欠である。従って、最近の開発では、材料の厚さを低下させ、熱交換機構造の設計を変えることにより、大きさ、重量およびコストを下げるように改良されたろう付けシートから製造された組立構造が示されている。
【0003】
ろう付け品質および熱処理可能なろう付けシートの耐久性を改良するために、多層クラッドアルミニウム材料が開発されている(H. EngstroemおよびL.-O. Gullman, 「A Multilayer Clad Aluminium Material with Improved Brazing Properties」, 18th International AWS Brazing Conference, of March 24-26, 1987 in Chicago参照)。この論文では、ろう付けクラッドとコア層との間に中間相を使用し、耐食性を高めることが提案されている。さらに、その結果、そのような多層材料では、標準的な「コア/ろう付け」材料と比較して、コア層の粒界に沿ったケイ素浸透が大幅に遅延し、より多くのケイ素がクラッド層中に止まり、浸透深度が低下することが示されている。
【0004】
日本国特許第JP−02030394号は、Al−Si合金材料のコア材料、およびそのコア材料の片側または両側にある純粋なAl合金の中間層からなるアルミニウムろう付けシートを開示している。コア層は、(重量%で)実質的に下記の組成、すなわち
Cu 0.10〜1.0
Mn 0.30〜1.5
Mg 0.10〜1.0
を含んでなり、残りがアルミニウムおよび不可避な不純物である。
【0005】
日本国特許第JP−09176767号は、下記の組成、すなわち
Cu 0.10〜0.80
Mn 0.30〜1.5
Ti 0.01〜0.20
を有し、残りがアルミニウムおよび不可避な不純物であるコア層、および組成が(重量%で)Si5.0〜15、Mg0.30〜2.5、残りがアルミニウムおよび不可避な不純物であるろう材層ろう付けシート、ならびに(重量%で)Zn2.0〜5.0を含むAl−Zn合金から構成される中間の犠牲腐食層を含んでなる、真空ろう付け用のアルミニウムろう付けシートを開示している。
【0006】
ヨーロッパ特許第EP−0823305−A2号は、下記の組成(重量%で)、すなわち
Cu 0.15〜0.35
Mn 0.50〜1.6
Mg 0.05〜0.50
Ti 0.06〜0.30
を有し、残りがアルミニウムおよび不可避な不純物であるコア層、Al−Si−Mg型クラッド材料を含んでなるクラッド層、および(重量%で)Mn0.50〜1.2ならびに所望によりMg0.5〜1.20を含み、残りがアルミニウムおよび不可避な不純物である中間層を含んでなる、熱交換機用の良好な耐食性を有するろう付けシートを開示しており、その際、(重量%で)1.0〜5.0の量でZnを添加することも開示している。これらの多クラッドまたは多層ろう付けシートは、ろう付けした後の引張特性140MPa〜165MPaを示している。
【0007】
ヨーロッパ特許第EP−0799667−A1号は、下記の組成(重量%で)、すなわち
Cu 0.05〜1.2(所望により)
Mn 0.50〜1.5
Si ≦0.60
Fe ≦0.70
を有し、残りがアルミニウムおよび不可避な不純物であるコア層を含んでなる、熱交換機用のアルミニウム合金ろう付けシートを開示しており、その際、不可避な不純物は、Si0.60重量%以下、Fe0.70重量%以下に制限されている。さらに、そのようなろう付けシートは、Al−Si系溶加合金型のクラッド層およびアルミニウムおよび総量が1.0重量%に制限される不可避な不純物を含んでなる中間層を有する。
【0008】
ヨーロッパ特許第EP−1175954−A1号は、下記の組成(重量%で)、すなわち
Cu 0.20〜1.0
Mn 0.30〜1.5
Mg ≦0.30
Si 0.30〜1.3
Fe ≦0.20
を有し、残りがアルミニウムおよび不可避な不純物であるコア層、コア材料の一表面上に形成されている、Al−Si系アルミニウム合金を含んでなるろう材、コア材料の反対側に形成されている、(重量%で)
Mg 2.0〜3.5
Zn 0.50〜2.0
Si ≦0.20
を含み、残りがアルミニウムおよび不可避な不純物であるクラッド材料を有する、多層アルミニウム合金ろう付けシートを開示している。さらに、コア材料にマグネシウムを添加することは、マグネシウムの添加がろう付けシートの強度を改良しても、NOCOLOK(登録商標)フラックスろう付け方法では、マグネシウムがコア材料に添加されているろう付けシートのろう付け特性が大きく低下するので、好ましくないことが記載されている。ろう付けの際、マグネシウムがクラッドろう付け層の表面に浸透し、NOCOLOKフラックス塩に影響を及ぼす。
【0009】
国際特許第WO−02/49798−A2号は、ヘッダ型熱交換機用の折りたたんだ、および/または溶接したチューブとして使用する、4層の熱処理可能なろう付けシートを開示している。コア層は、(重量%で)
Mn 0.5〜1.7
Mg 0.1〜1
Cu 0.02〜1.2
Si 0.9まで
Ti 0.02〜0.25
を含むアルミニウム合金から製造される。様々な個別層の合金組成を最適化し、熱交換機における配管として使用するのに十分な内部耐食性を与えている。
【0010】
米国特許出願第US−2002/0037426−A1号は、コア材料、Al−Si合金のろう材合金を含むクラッド層、およびAl−Zn合金の中間にある層(中間層)用の犠牲アノード材料を含む4層構造を有する、熱交換機用アルミニウム合金ろう付けシートを開示しているが、そこではコア合金が、(重量%で)
Cu 0.05〜0.50
Mn 0.05〜2.0
Fe 0.20〜0.80
Si 0.10〜0.50
から構成され、残りがアルミニウムおよび不可避な不純物であり、中間層が、実質的に(重量%で)
Cu 0.40〜1.0
Mn 0.50〜2.0
Si 0.10〜0.50
Fe 0.20〜0.80
含んでなる組成物から構成され、残りがアルミニウムおよび不可避な不純物である。
【発明の概要】
【0011】
良好な特性および成形性の特徴のみならず、高強度および改良された耐食性をも有するろう付けシート製品を得るのが困難であったので、本発明の目的は、これらを得ることである。より詳しくは、本発明の目的は、ろう付けおよび常温時効後の降伏強度を、従来のAA3xxx−合金の約50MPaから、少なくとも100MPaに増加させ、同時に、厚さが小さく、重量が低い軽量ろう付け組立構造を製造するために、コア層のための高い初期融点を得ることである。
【0012】
本発明の別の目的は、高い強度を有するアルミニウム合金ろう付けシートおよび/またはろう付けされた組立構造を製造するための、製造コストが通常方法のコストよりも低い方法を提供し、それによって、より薄い材料を使用して軽量およびより低い製造コストを達成し、同時に多クラッドまたは多層アルミニウム材料を製造することである。
【0013】
本発明は、これらの目的の一つ以上を、Al−Cu合金コア層および少なくとも一つのクラッド層を含んでなり、該コア層が、実質的に下記の組成、すなわち(重量%で)
Cu 1.2〜4.0
Mn 0.06〜1.5
Mg 0.06〜1.5
Si ≦0.5
Zn ≦0.4
Fe ≦0.5
および所望により
Zr ≦0.25
Cr ≦0.25
V ≦0.25
Ti ≦0.25
の一種以上を含んでなり、残りが実質的にアルミニウムおよび不可避な元素および不純物(各<0.05、合計<0.20)であり、該クラッド層が、典型的にはAA4xxx型の、Al−Si系溶加合金を含んでなり、該コア層の少なくとも片側に配置されている、高強度アルミニウム合金ろう付けシート製品により達成する。
【0014】
本発明の別の態様では、そのような高強度アルミニウムろう付けシート製品を製造する方法を提供する。好ましい実施態様を説明し、対応する従属請求項で特許権請求する。
【好ましい実施態様の詳細な説明】
【0015】
本明細書では、他に指示がない限り、百分率はすべて重量で表示する。さらに、合金の名称および焼戻しの名称は、アルミニウム協会により出版されているAluminum Standards and Data and the Registration Recordsにおけるアルミニウム協会名称に従う。
【0016】
Cuの添加により、ろう付けシート製品の強度値を増加させることができよう。しかし、銅の添加量が多過ぎると、コア材料の融点が低下するので、Cu含有量は、MnおよびMg含有量と注意深く釣り合わせる必要がある。同時に、Cuの添加により、得られる合金の腐食電位も増加し、合金がより不活性(noble)になるので、Cu含有量は、追加の犠牲中間層に対して釣り合わせる必要がある。従って、コア層中のCuの量は、好ましくは(重量%で)1.2〜2.5の範囲内、より好ましくは1.2〜1.8の範囲内である。より好ましいCu含有量の下限は、1.3%である。
【0017】
マンガンは、コア材料の耐食性および強度を増加するのに重要な合金化元素である。Mnは、耐食性を下げずに機械的強度を付与するので、コア層中のMn量は、好ましくは0.1〜1.0重量%の範囲内、最も好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲内である。Mn含有量のより好ましい上限は、0.45重量%である。しかし、Mnの量が高過ぎると、金属間化合物が多くなり、加工性および耐食性に悪影響を及ぼす。Mnは、コア材料の腐食電位も高くし、それによって全体的な耐食性の改良にも役立つ。
【0018】
マグネシウムは、Cuと共に、特に時効の後、AlCuMg化合物の析出により、機械的強度も改良する。しかし、過剰量のMgは、クラッド溶加合金中へのMgの浸透およびろう付け塩フラックス、例えばNOCOLOK塩、との好ましくない反応を引き起こす。コア層中のMg量は、好ましくは0.2〜0.95重量%の範囲内、より好ましくは0.3〜0.8重量%の範囲内である。
【0019】
Siは、ろう付け後にマトリックス中の固溶強化により、コア合金の強度を改良するのに貢献する。また、MgSiから構成される金属間化合物がSiとMgの反応によりコア層中に析出する。コア層中のSi量は、好ましくは0.1〜0.25重量%である。ケイ素の含有量が0.5重量%を超えると、大量のSi含有化合物が析出し、コア合金の耐食性を下げるので、好ましくない。
【0020】
鉄は、有害な大量の金属間化合物の形成を促進し、これが合金全体にわたって分散することにより、成形時に合金の亀裂発生を助長する。従って、コア層中の鉄の量は、(重量%で)0.1〜0.4の範囲内、より好ましくは0.10〜0.30の範囲内である。
【0021】
好ましくは、添加する場合、ジルコニウム、クロム、および/またはバナジウムは、金属間化合物の形成を強化し、それによってろう付けシートの加工性および耐食性も低下させるので、それぞれ0.25重量%未満にすべきである。このことは、チタンにも等しく当てはまり、チタンを0.25重量%を超えて添加すると、耐食性が下がり、成形性が悪くなることが分かっているので、0.25重量%未満にすべきである。
【0022】
本発明の好ましい実施態様では、上記のコア層を含んでなり、コア層の両側にクラッド層を形成する。そのようなろう付けシート製品は、両側がろう付けシートの接合に使用される様々な用途に使用できる。
【0023】
一実施態様では、コア層の少なくとも片側に、ASTM−G69により測定して、コア層に対して少なくとも10mV、好ましくは少なくとも30mV対SCE、の腐食電位差を有する中間層を施す。
【0024】
本発明の別の好ましい実施態様では、コア層の少なくとも片側に中間層を形成し、該中間層は、コア層よりも耐食性が低い犠牲(アノード)材料またはコア層よりも耐食性が高い保護材料を含んでなる。好ましくは、中間層は、それぞれ所望により、約3%まで、好ましくは1.5%までのZnを添加した、AA3xxx−型のAl−Mn合金組成物またはAA1xxx−型の純粋なアルミニウム合金またはAA6xxx−型のAlMgSi合金を含んでなる。本願における百分率はすべて、他に指示がない限り、重量で示す。
【0025】
コア層とクラッド層との間に、溶加材を含んでなる中間層を使用することにより、下記の利点の一つ以上が得られる。
【0026】
第一に、全体的な耐食性を強化することができ、同時に、非常に大量の銅をコア層中に使用し、それによって、従来のAA3xxx−型コア層材料またはAA6xxx−型コア層材料、およびさらには高性能長寿命材料と同等またはそれより優れた全体的腐食性能を、材料の高い全体的な強度と組み合わせて得ることができる。
【0027】
第二に、中間層は、バリヤー層として作用し、コア層からクラッド層へのマグネシウム拡散およびクラッド層からコア層へのケイ素拡散を阻止する。そのような層全体にわたる元素移動の低減により、ろう付けシートの改良された特性、例えばより優れたろう付け能力および機械的特性、が達成される。
【0028】
本発明の好ましい中間層は、実質的に下記の組成、すなわち(重量%で)
Mn 0.8〜1.5
Si ≦0.5
Cu ≦0.5
Mg ≦0.3
Fe ≦0.5
Ti ≦0.2
を含んでなり、残りが実質的にアルミニウムおよび不可避な元素および不純物(各<0.05、合計<0.20)であるAl−Mn合金を含んでなる。
【0029】
さらに好ましくは、本発明の中間層は、マンガンに加えて、またはその代わりに、亜鉛を、(重量%で)好ましくは0.50〜2.5の範囲内、より好ましくは1.0〜1.5の範囲内で含んでなる。亜鉛の添加により、犠牲アノード材料の腐食電位が下がり、腐食防止効果が高くなる。中間層が腐食経路をそらせ、それによってコア層が影響を受けるのを防止すると考えられる。亜鉛添加の効果は、その量が少ないと不十分である。しかし、亜鉛の添加量が高過ぎると、合金の融点が、ろう付け温度の方向で低下するので、好ましくない。
【0030】
本発明の別の好ましい実施態様では、コア層の両側にクラッド層を形成し、コア層の少なくとも片側に、コア層とクラッド層との間に中間層を形成する。ろう付けシートは、使用の際、一般的に片側が腐食性雰囲気にさらされるので、そのような側は、コア層とクラッド層との間に中間層を含み、コア層をろう付け後の腐食から保護すべきである。コア層と中間層の厚さの比は、好ましくは10≦コア層/中間層≦50の範囲内であり、その際、中間層の厚さは好ましくは少なくとも40μmである。そのような厚さは、総厚が約0.4〜2.0mmの多クラッドろう付けシート製品に有利である。
【0031】
コア層の厚さは、(ろう付けシートの総厚に対する百分率で)好ましくは60〜90%であり、中間層の厚さは、(ろう付けシートの総厚に対する百分率で)好ましくは5〜25%であり、クラッド層の厚さは、(ろう付けシートの総厚に対する百分率で)好ましくは5〜15%である。
【0032】
本発明のろう付けされた組立構造は、上記のようなコア層、コア層の片側または両側にある中間層および少なくとも一方の中間層上、つまり層状構造の少なくとも片側にあるAl−Si型(溶加合金)のクラッド層を含むろう付けシートを含んでなる。
【0033】
本発明は、上記のろう付けシートまたは上記の組立構造の、ろう付け用途、例えば熱交換機、例えばラジエータ、オイルクーラー、インタークーラー、ヒーターコア、エバポレータまたはコンデンサ、または主として熱交換の目的で、小型の組立構造を形成するために、ろう付けシートを接合することにより製造する、類似の用途および組立構造、への使用を含んでなる。
【0034】
本発明は、高強度および良好な耐食性を有するアルミニウム合金ろう付けシートの製造方法であって、
a)下記の組成、すなわち(重量%で)
Cu 1.2〜4.0
Mn 0.06〜1.5
Mg 0.06〜1.5
Si ≦0.5
Zn ≦0.4
Fe ≦0.5
および所望により
Zr ≦0.25
Cr ≦0.25
V ≦0.25
Ti ≦0.25
の一種以上を含んでなり、残りが実質的にアルミニウムおよび不可避な元素および不純物であるコアインゴットをコア材料として鋳造する工程、
b)鋳造後のコアインゴットを均質化および/または予備加熱する工程、
c)Al−Si系溶加合金を含んでなるクラッドインゴットを鋳造し、鋳造後のクラッドインゴットを均質化および/または予備加熱し、該クラッドインゴットを圧延されたクラッド部材に熱間圧延する工程、
d)該コアインゴットおよび該熱間圧延されたクラッド部材を重ね合わせ、層状部材を形成する工程、
e)該層状部材を熱間圧延し、所望により冷間圧延して圧延された製品を形成する工程、
f)所望により、冷間圧延の前および/または間に中間焼きなましする工程、
g)所望により、最終焼きなましする工程、および
h)所望により、圧延し、所望により中間/最終焼きなましした製品を時効にかける工程
を含んでなる、方法を提供する。
【0035】
さらに、好ましくはAA3xxx−型のAl−Mn合金組成物またはAA1xxx−型の純粋アルミニウムまたはAA6xxx−型のAlMgSi合金を含んでなる中間層インゴット(中間層製造用のインゴット)を、所望によりZnを添加してさらに鋳造し、鋳造後の中間層インゴットを均質化および/または予備加熱し、該中間層インゴットを、圧延された中間層部材(中間層として使用する圧延されたシート)に熱間圧延し、該コアインゴット、該中間層部材および該熱間圧延されたクラッド部材(別のクラッドインゴットから製造された、クラッド層として使用される圧延されたシート)を重ね合わせ、該多層部材を形成することができる。ここで、圧延された中間部材および該熱間圧延されたクラッド部材のサイズに溝を削り取ることにより、コアインゴット中に長方形の溝を設けるのが有利である。次いで、この溝中に、圧延された中間部材のスライスおよび−その上に−圧延されたクラッド部材のスライスを配置し、その後、コア材料およびクラッド材料間の縁部を使用し、層状構造を溶接により継ぎ合わせ、層状部材を、圧延された製品に、熱間圧延し、所望により冷間圧延する。
【0036】
本発明の別の好ましい実施態様により、多層ろう付けシート製造する新規な方法を提供する。本方法は、
a)中央コア層として上記の組成物、および中央コア層の両側にある中間層として、好ましくはAA3xxx−型のAl−Mn合金組成物またはAA1xxx−型の純粋アルミニウムまたはAA6xxx−型のAlMgSi合金を、所望によりZnを添加して使用し、クラッドインゴット(3層の材料を含む、すなわち中央コア材料の両側を中間層材料で被覆されているインゴット)を鋳造する工程、
b)鋳造後の該クラッドインゴットを均質化および/または予備加熱する工程、
c)Al−Si系溶加合金を含んでなるクラッド層インゴットを鋳造し、鋳造後のクラッド層インゴットを均質化および/または予備加熱し、該クラッド層インゴットを圧延されたクラッド部材に熱間圧延する工程、
d)該クラッドインゴットおよび該熱間圧延されたクラッド部材を重ね合わせ、該多層状部材を形成する工程、
e)該多層状部材を熱間圧延し、所望により該多層状部材を冷間圧延して圧延された製品を形成する工程、
f)所望により、冷間圧延通しの前および/または間に中間焼きなましする工程、
g)所望により、最終焼きなましする工程、および
h)所望により、圧延し、所望により中間/最終焼きなましした製品を時効にかける工程
を含んでなることにより、アルミニウム合金多クラッドまたは多層状ろう付けシートを製造する。
【0037】
そのような方法には、コアインゴット、およびコアインゴットの両側に集積された中間層を同時に鋳造し、それによってコスト、および熱間圧延またはロールクラッド加工の際に層が移動する問題が低減されるという利点がある。
【0038】
この分野で一般的な他のクラッド加工技術、例えば溶射クラッド加工または連続鋳造クラッド加工、も、本発明の多層材料の製造に同様に適用できる。
【0039】
本発明は、互いに重ね合わせた、好ましくはクラッドインゴットを鋳造する方法により、上記のように製造されたろう付けシートの組立構造を、ろう付け温度に加熱することにより、上記のろう付け組立構造を製造する好ましい方法も開示する。典型的なろう付けサイクルは、例えば第一時間間隔中に第一の温度に、第二時間間隔中に第二温度に加熱し、該組立構造を該第二温度に第三時間間隔だけ保持し、該組立構造を特定の冷却速度で冷却することを含んでなる。
【0040】
一例として、該第一温度は、約500℃〜550℃の範囲内であり、該第二温度は、約580℃〜600℃の範囲内であり、該第一時間間隔は約8〜12分間の範囲内であり、該第二時間間隔は約3〜7分間の範囲内であり、該第三時間間隔は約2〜4分間の範囲内であり、該冷却速度は典型的には約50℃/分〜70℃/分の範囲内である。
【0041】
様々なろう付け方法、例えば真空ろう付けまたは例えばNOCOLOKフラックスを使用する調整雰囲気ろう付け、またはニッケルおよび/または鉄および/またはコバルトを使用するのが有利である無フラックスろう付け、を使用することができる。
【0042】
そこで、本発明は、金属間化合物が小さく、一様に分布しているコア層を示すろう付けシートを開示する。コア合金の結晶粒構造は、僅かに細長く、再結晶した結晶粒を示し、平均結晶粒径(幅x長さ)は約75x150μmである。
【0043】
コア層の表面に向かって銅濃度が低下していることが分かる。表面区域における銅濃度が低いために、このコア合金は、表面区域で、中間層材料の腐食電位に近い、著しく低い腐食電位を示す。そのため、中間層がコア層を穿孔腐食から、特に点食に対して保護する。中間層中に亜鉛を添加することにより、材料にさらに高い腐食電位差を与え、それによって、以下および表4に、より詳細に示すように、全体的な腐食性能を改良することができる。
【0044】
本発明のろう付けシートの、上記および他の特徴および利点は、下記の幾つかの好ましい実施態様の詳細な説明から容易に理解できる。
【0045】
図1は、本発明のろう付けシートの、コア層1および別のクラッド層2を有する基本的な構造を図式的に示す。図2および3に示すように、コア層1は、両側でAl−Si系溶加合金型のクラッド層2で、または片側でクラッド層2および反対側で中間層3でクラッド加工することができる。中間層3を有する反対側は、腐食性雰囲気に露出される。
【0046】
本発明の好ましい実施態様を図3および4に示す。コア層1は、2個の個別中間層3の間に埋め込まれ、それらの中間層3は、クラッド層2でクラッド加工されている。本発明のろう付けシートを含む組立構造を製造することにより、2個の重なり合ったろう付けシートの角部4でクラッド層2が積み重なり、それによって、ろう付けの際に一緒にろう付けされる。
【実施例】
【0047】
実験室規模で、5種類の異なったアルミニウム合金を、下記の表1に示す化学組成を有する高強度アルミニウム合金ろう付けシートのためのAl−Cu合金コア層として使用するインゴットに鋳造した。
【0048】
鋳造したインゴットを約100x80x80mmの圧延ブロックに切断した。均質化処理の後、これらのブロックを、AA4045合金のろう材層でクラッド加工し、ろう付けシート材料に使用する標準的な加工経路と同等の加工経路で(0.4または1.0mmに)圧延した。次いで、これらの多クラッドまたは多層材料を、350℃で3時間、O−焼戻し条件に最終焼きなまししたが、加熱および冷却速度は約30℃/時間であった。次いで、これらの多クラッド材料を、典型的なろう付けサイクル(590℃で保持時間4分)にかけた。O−焼戻し条件における、およびろう付けおよび30日間の常温時効後の、これらの多クラッド合金の機械的特性を表2に示す。
【0049】

表1 DC鋳造コアアルミニウム合金の化学組成、重量%、残りはアルミニウム
および不可避な不純物である
合金 合金化元素
Cu Si Mn Mg Fe Ti
1 1.53 0.37 0.30 0.69 0.25 0.03
2 1.73 0.28 0.31 0.76 0.25 0.03
3 1.98 0.20 0.30 0.88 0.26 0.03
4 1.51 0.18 0.30 0.67 0.25 0.03
5 2.50 0.18 0.30 0.01 0.25 0.03
【0050】

表2 表1のコア合金1〜5の、O−焼戻し条件における引張特性および伸長、
および30日常温時効後の、ろう付け後保証強度(Rp(p.b.))、
および初期融解温度(T−Melt、DSCにより測定)
コア Rp Rm A80 Rp(p.b.) T−Melt
合金 (MPa) (MPa) (%) (MPa) (℃)
1 55 159 14.6 - 594
2 50 150 15.0 165 596
3 50 148 14.0 - 592
4 49 149 17.1 140 610
5 44 136 17.6 - 608
【0051】
表2は、O−焼戻し条件で、多クラッド合金が極めて柔らかいことを示している。多クラッド合金の伸長により評価した成形性は、適度に良好である(14〜18%)。初期融点は590℃を超えており、その際、ケイ素およびマグネシウムの添加により、初期融点が大きく低下し、ケイ素をさらに約0.2%添加することにより初期融点は約15℃低下することが分かった。従って、ケイ素含有量の低下は融点増加を引き起こした。特に、合金4および5は、低いケイ素含有量で良好な特性(機械的特性および融点)を示した。合金2および4をろう付け後の引張降伏強度に関して試験し、140MPaおよび165MPaの非常に良い値が測定された。
【0052】
さらに、合金番号4を、コア合金と溶加合金との間に挿入された2種類の異なった中間層合金に関してさらに試験した。実験室規模で、中間層用の2種類の異なった合金組成物を含む、2種類の異なったアルミニウム合金を鋳造した。化学組成を表3に示す。
【0053】

表3 DC鋳造中間層合金の化学組成、重量%、Zr≦0.05、Ti≦0.05、
残りがアルミニウムおよび不可避な不純物である
合金化元素
中間層 Mn Si Cu Mg Zn Fe
合金
1 1.07 0.19 0.10 0.02 0.00 0.31
2 1.05 0.19 0.10 0.02 1.34 0.31
【0054】
表3に示す両合金を、表1の合金番号4を含んでなるコア層と組み合わせて使用した。溶加材および中間層の厚さは、どちらも総厚の10%であった。35日間常温時効後の各種多クラッド材料のろう付け後機械的特性を試験し、表4に示す。
【0055】

表4 様々な厚さと組み合わせた多クラッド材料の、35日間常温時効後のろう付け
後機械的特性、腐食性能(ASTM G85によるSWAAT試験)、
50日後に試験終了
合金 Rp Rm A80 SWAAT 総厚
コア/中間層 (MPa) (MPa) (%) (日) (mm)
4 1 144 272 14.4 29 0.4
4 2 138 263 15.4 49 0.4
4 1 141 273 18.3 50 1.0
4 2 140 275 20.0 50 1.0
【0056】
SWAAT試験の結果は、これらの材料の、標準的なろう付け材料と比較して優れた耐食性挙動を示している。さらに、耐食性は、亜鉛を含んでなる中間層を有する多クラッド材料のSWAAT試験で測定した時、亜鉛を含まない中間層を有する材料の耐食性よりも優れていることが分かった。合金番号4のろう付け後の保証強度140MPaは、先行技術のコア合金の大部分よりも優れている。従って、本発明の多クラッドまたは多層ろう付けシートは、非常に高いろう付け後強度を、非常に良い腐食特性および比較的高い初期融点と組み合わせて有し、構造に良好なろう付け特性を与える。
【0057】
以上、本発明を十分に説明したが、当業者には明らかなように、本明細書で記載する本発明の精神および範囲から離れることなく、多くの変形および修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の基本的なろう付けシート構造を図式的に示す。
【図2】本発明のろう付けシートの3層構造を図式的に示す。
【図3】本発明のろう付けシートの5層構造を図式的に示す。
【図4】図3の構造を有する重ね合わせたろう付けシートを含むろう付け組立構造の断面を図式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al−Cuコア層(1)および少なくとも一つのクラッド層(2)を含んでなり、前記コア層(1)が、下記の組成、すなわち重量%で、
Cu 1.2〜4.0
Mn 0.06〜1.5
Mg 0.06〜1.5
Si ≦0.5
Zn ≦0.4
Fe ≦0.5
および所望により
Zr ≦0.25
Cr ≦0.25
V ≦0.25
Ti ≦0.25
の一種以上を含んでなり、残りが実質的にアルミニウムおよび不可避な元素および不純物であり、前記クラッド層(2)が、Al−Si系溶加合金を含んでなり、前記コア層(1)の少なくとも片側に付けられている、高強度アルミニウム合金ろう付けシート。
【請求項2】
前記コア層(1)中のCu量が、1.2〜2.5重量%の範囲内、より好ましくは1.2〜1.8重量%の範囲内である、請求項1に記載のろう付けシート。
【請求項3】
前記コア層(1)中のMn量が、0.1〜1.0重量%の範囲内、好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲内である、請求項1または2に記載のろう付けシート。
【請求項4】
前記コア層(1)中のMg量が、0.2〜0.95重量%の範囲内、好ましくは0.3〜0.8重量%の範囲内である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のろう付けシート。
【請求項5】
前記コア層(1)中のSi量が、0.1〜0.25重量%の範囲内である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のろう付けシート。
【請求項6】
前記コア層(1)中のZn量が、0.25重量%以下の範囲内である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のろう付けシート。
【請求項7】
前記コア層(1)中のFe量が、0.1〜0.4重量%の範囲内、好ましくは0.10〜0.30重量%の範囲内である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のろう付けシート。
【請求項8】
前記クラッド層(2)が、前記コア層(1)の両側に付けられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のろう付けシート。
【請求項9】
前記コア層(1)の少なくとも片側に中間層(3)が付けられ、前記中間層(3)が、前記コア層(1)よりも耐食性が低い犠牲アノード材料または前記コア層(1)よりも耐食性が高い保護材料を含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のろう付けシート。
【請求項10】
前記コア層(1)の少なくとも片側に中間層(3)が付けられ、前記中間層(3)が、ASTM−G69により測定して、前記コア層(1)に対して少なくとも10mV(対SCE)、好ましくは少なくとも30mV(対SCE)、の腐食電位差を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のろう付けシート。
【請求項11】
前記中間層(3)が、それぞれ所望により3%までのZnを添加した、AA3xxx−型のAl−Mn合金組成物またはAA1xxx−型の純粋アルミニウムまたはAA6xxx−型のAlMgSi合金を含んでなる、請求項10に記載のろう付けシート。
【請求項12】
前記中間層(3)が、下記の組成、すなわち重量%で、
Mn 0.8〜1.5
Si ≦0.5
Cu ≦0.5
Mg ≦0.3
Fe ≦0.5
Ti ≦0.2
を含んでなり、残りが実質的にアルミニウムおよび不可避な元素および不純物であるAl−Mn合金組成物を含んでなる、請求項9〜11のいずれか一項に記載のろう付けシート。
【請求項13】
前記中間層(3)が、Mnに加えて、またはMnの代わりに、Znを、0.5〜2.5重量%の範囲内、好ましくは1.0〜1.5重量%の範囲内で含んでなる、請求項9〜12のいずれか一項に記載のろう付けシート。
【請求項14】
前記クラッド層(2)が前記コア層(1)の両側に形成され、前記中間層(3)が、前記コア層(1)の少なくとも片側に、前記コア層(1)と前記クラッド層(2)との間に形成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載のろう付けシート。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のろう付けシートを含んでなる、ろう付けされた組立構造であって、前記組立構造が、コア層(1)、前記コア層の両側にある中間層(3)および少なくとも一つの中間層(3)の上にあるクラッド層(2)を含んでなる、4または5層のろう付けシートから構成される、ろう付けされた組立構造。
【請求項16】
複数のろう付けシートが、クラッド層(2)により被覆されていない方の前記中間層(3)が外側に面するように互いに重ね合わされ、前記重ね合わされたろう付けシートが、面しているクラッド層(2)をろう付けすることにより一つに接合される、請求項15に記載のろう付けされた組立構造。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のアルミニウム合金の、ろう付けシート製品における、または請求項15または16に記載のろう付けされた組立構造における使用。
【請求項18】
高強度および良好な耐食性を有するアルミニウム合金ろう付けシートの製造方法であって、
a)下記の組成、すなわち重量%で、
Cu 1.2〜4.0
Mn 0.06〜1.5
Mg 0.06〜1.5
Si ≦0.5
Zn ≦0.4
Fe ≦0.5
および所望により
Zr ≦0.25
Cr ≦0.25
V ≦0.25
Ti ≦0.25
の一種以上を含んでなり、残りが実質的にアルミニウムおよび不可避な元素および不純物であるコアインゴットをコア材料として鋳造する工程、
b)鋳造後の前記コアインゴットを均質化および/または予備加熱する工程、
c)Al−Si系溶加合金を含んでなるクラッドインゴットを鋳造し、鋳造後の前記クラッドインゴットを均質化および/または予備加熱し、前記クラッドインゴットを圧延されたクラッド部材に熱間圧延する工程、
d)前記コアインゴットおよび前記熱間圧延されたクラッド部材を重ね合わせ、層状部材を形成する工程、
e)前記層状部材を熱間圧延し、所望により前記層状部材を冷間圧延して圧延された製品を形成する工程、
f)所望により、前記層状部材を冷間圧延通しの間に中間焼きなましする工程、
g)所望により、最終焼きなましする工程、および
h)圧延し、所望により中間/最終焼きなましした製品を時効にかける工程
を含んでなる、方法。
【請求項19】
さらに、好ましくはAA3xxx−型のAl−Mn合金組成物またはAA1xxx−型の純粋アルミニウムまたはAA6xxx−型のAlMgSi合金を含んでなる中間層インゴットを、所望によりZnを3重量%まで添加して鋳造し、鋳造後の前記中間層インゴットを均質化および/または予備加熱し、前記中間層インゴットを、圧延された中間層部材に熱間圧延し、前記コアインゴット、前記中間層部材および前記熱間圧延されたクラッド部材を重ね合わせ、前記層状部材を形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
a)中央コア層(1)として請求項18に記載の組成物、および前記中央コア層(1)の両側にある中間層(3)として、AA3xxx−型のAl−Mn合金組成物またはAA1xxx−型の純粋アルミニウムまたはAA6xxx−型のAlMgSi合金を、所望によりZnを添加して使用し、多クラッドインゴットを鋳造し、それにより多クラッドインゴットを形成し、
b)鋳造後の前記多クラッドインゴットを均質化および/または予備加熱し、
c)Al−Si系溶加合金を含んでなるクラッドインゴットを鋳造し、鋳造後の前記クラッドインゴットを均質化および/または予備加熱し、前記クラッドインゴットを圧延されたクラッド部材に熱間圧延し、および
d)前記多クラッドインゴットおよび前記熱間圧延されたクラッド部材を重ね合わせ、前記層状部材を形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
Al−Cu合金コア層(1)および少なくとも一つのクラッド層(2)を含んでなり、前記コア層(1)が、実質的に下記の組成、すなわち重量%で、
Cu 1.2〜4.0
Mn 0.06〜1.5
Mg 0.06〜1.5
Si ≦0.5
Zn ≦0.4
Fe ≦0.5
および所望により
Zr ≦0.25
Cr ≦0.25
V ≦0.25
Ti ≦0.25
の一種以上、残りの部分を構成する実質的にアルミニウムおよび不可避な元素および不純物からなり、前記クラッド層(2)が、Al−Si系溶加合金を含んでなり、前記コア層(1)の少なくとも片側に付けられている、高強度アルミニウム合金ろう付けシート。
【請求項22】
前記中間層(3)が、下記の組成、すなわち重量%で、
Mn 0.8〜1.5
Si ≦0.5
Cu ≦0.5
Mg ≦0.3
Fe ≦0.5
Ti ≦0.2、
残りの部分を構成する実質的にアルミニウムおよび不可避な元素および不純物からなるAl−Mn合金を含んでなる、請求項9〜11のいずれか一項に記載のろう付けシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−515293(P2007−515293A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520727(P2006−520727)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007702
【国際公開番号】WO2005/014274
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(500269255)コラス・アルミニウム・バルツプロドウクテ・ゲーエムベーハー (13)
【Fターム(参考)】