説明

高性能コネクター

高性能コネクター、例えばリフローはんだ付け又はリワークにかけられる可能性がある回路基板の中で使用することを意図した電気コネクター、又は過酷な操作条件下で採用される光ファイバーコネクターが、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物を使用して製造される。これらのポリマー組成物により、高温において優れた寸法安定性を有するコネクターが得られ、かつ、薄いか又は微細で精緻な特徴部を有するコネクターの、精密かつ高品質な成形が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温暴露を必要とされる用途及び組立品において使用するためのコネクターに関し、それらのコネクターは、一つ又は複数の導通性部材、例えば導電性部材、光ファイバー、又は気体若しくは液体を輸送するためのパイプ若しくは配管を支持する。特に、本発明は、例えば回路基板をリフローはんだ付け又はリワーク操作にかける場合のように、高温での繰り返し暴露に対して、最小の歪み又は反りで耐えることが可能な、ポリマー組成物からなる本体を有するコネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクターは多くの場合、個々の構成要素を、それらの構成要素が電気、光、気体、液体などを相互に移送することが可能となるようにつなぎ合わせるために使用される。
【0003】
例えば、電気コネクターを使用して、電気デバイス、例えば印刷回路基板が相互に通じ合うようにする。電気コネクターは典型的に、二つの部分を有し、その第一の部分は第一の電気デバイスに接続され、その第二の部分は第二の電気デバイスに接続されて、第一のデバイスと導通状態になる。二つのデバイスを接続するためには、電気コネクターの二つの部分を、相互につなぎ合わせる。
【0004】
コネクターのそれぞれの部分には、電子デバイスに導通的に結合するのに適合させた一組の接点又は端子と、他のコネクター部分に嵌合的に結合するのに適合させた第二の組の接点又は端子とが含まれる。このことは、そのコネクターの一つの部分を、他のコネクター部分の「雌型」接点又は端子と結合させるのに適合させた「雄型」接点又は端子を有するものとして指定することによって、容易に達成することができる。接点又は端子の設計の特性とは無関係に、それら二つのコネクター部分は、相互に容易に接続及び切断できるようにして、それらが接続されている電気デバイスとそれぞれ電気的に結合又は遮断できるようにするべきである。
【0005】
従って、それぞれのコネクター部分は、その残りの接点又は端子の組を用いて、電子デバイスに固定的に接続されている。それらの接点又は端子は、電気デバイスに対して取り外し可能であるか、又は恒久的接続可能であってよいが、そのコネクター部分が、何らかの物理的機構によって電気デバイスに固定されているのが望ましいことも多い。典型的には、そのコネクター部分が、はんだ付けによるか、そうでなければ、電気デバイスの上に形成されたコンタクトパッドなどに対して接点又は端子を融着させることによって、電気デバイスに固定される。
【0006】
例えば、その電気コネクターを含む組立品の製作、そのような組立品の修理若しくは改良、及び/又はそのような組立品の使用若しくは操作の際のように、電気コネクターが高温に暴露されるであろう用途は多く存在する。電気コネクターは典型的には、そのような条件下で、受容不可能なレベルの反り、歪み又は亀裂を示すことなく、寸法安定性及び機械的強度を維持できなければならない。
【0007】
近年においては、リフロー技術を使用して、電気コネクターを印刷回路基板のような電子デバイスに固定することが多くなってきている。例えば、はんだ(フラックスも含むはんだペーストの形態であってもよい)の部分を、電気コネクターの接点の上、及び/又は印刷回路基板のコンタクトパッドの上に置いてもよい。はんだの部分は、例えば球状であってもよい。次いでその電気コネクターの接点を、それらの間にある、はんだ部分を有するコンタクトパッドに対する位置に置き、次いでその組立品(又は、それらの局在的な部分)を、それらのはんだ部分を融解させるのに十分な温度に加熱して、それらのリフローを起こさせる。その組立品を冷却させると、そのはんだ部分が固化し、それによって、電気コネクターの接点と印刷回路基板のコンタクトパッドとの間に電気接続が確立される。同様にして、ピンインホール侵入型リフロー組立方法が開発されているが、この場合、はんだペーストをスルーホールパッドを有する印刷回路基板の表面上にスクリーン印刷して、はんだペーストがスルーホールの中に浸透するようにする。その後で、電気コネクターの上のピンをホールの中に差し込み、得られた組立品を加熱してはんだをリフローさせる。
【0008】
近年になって、従来からの鉛含有はんだに付随する毒性と環境面での問題のために、そのような用途において無鉛はんだを使用することに高い関心が寄せられるようにもなってきた。しかしながら、無鉛はんだは典型的には、最初の組立て、リフロー、リワーク、及び流動はんだ付けの際に、顕著により高い加工温度を使用する必要がある。電気コネクターは一般的に、個々の電気デバイスを電気的に接続するために採用される、金属導電部材を保持又は支持するためのプラスチックボディを使用して製作されるので、無鉛はんだを用いた作業は、極めて困難であるが、その理由は、無鉛はんだを十分にフロー又はリフローさせよるのに必要な条件下では、(たとえ高性能エンジニアリングプラスチックであったとしても)プラスチックが、歪んだり、反ったり、更には亀裂を生じたりする傾向を有しているからである。そのような歪み、亀裂又は反りは、個々の電気コネクターの接点を対応する印刷回路基板コンタクトパッドに適切に配列させることにより、それらの構成要素の間で所望の電気的接続が確立され、維持されるようにするという性能を妨害する。この問題は、コネクター上のピンのアレイを、回路基板上のスルーホールのアレイの中に差し込む、ピン−イン−ホールリフロー(PIHR)法を使用する場合には、特に切実である。スルーホールのサイズが、スルーホールに差し込まれ、リフローはんだ付けによって電気的に接続されるコネクターピンの最大直径よりも、わずか0.010〜0.015インチだけ大きいのが理想的である。このように厳しい許容度にしようとすると、ピンとスルーホールのアレイが、極めて精度高く配列されている必要がある。ピンを支持している本体が、熱歪みのためにほんのわずかでも反ったりすると、特にそのピンアレイが多数のピンを含んでいたり、及び/又はその本体が、相対的に長いか及び/又は広くて、相対的に薄かったりすると、この配列を維持することが極めて困難となる。
【0009】
更に、はんだ相互接続が完了した後でも、それらの構成要素を相互に分離させる必要が生じるかもしれない。エレクトロニクス製作プロセスでは、例えば、診断試験を実施するため、一つ又は複数の構成要素を置き換えたり修理したりするため、構成要素をアップグレードするため、又は、製品の実売に先立って、製品の性能及び信頼性を評価するために使用された試験車若しくは初期ユーザー用機器から電気的に良好な基材を回収するため、などの目的で、組み立てた構成要素を解体することが必要となることも多い。
【0010】
回路基板から電気的構成要素を除去するために現在実施されているアプローチ方法としては、加熱ガスによる除去が挙げられる。そのような加熱ガス法においては、加熱したガス、例えば窒素又はその他の不活性ガスの流れを、ノズルを介して、基板に取り付けられている電気的構成要素の上に送るか、又はそれらに向けて直射する。その他の熱入力を補う目的で、基板の裏側に位置させた加熱ブロック又は加熱ユニットを介して、更なるバイアス加熱を加えてもよい。電気的構成要素を基板につなぎ合わせているはんだ相互接続のところに加えられた熱が、はんだ接合部分を液状化させて、リワークのためにそのような電気的構成要素を回路基板から取り外すことが可能となる。加熱を調節して、所望のはんだ相互接続のところだけを高温に暴露させるようにするのは困難であるので、加熱したときにその電気的構成要素のプラスチック部分又は樹脂部分がすべて寸法的に安定である(すなわち、リワークの際に受ける高温に、受容不可能なレベルの反り、歪み、又は亀裂を示すことなく耐えることができる)ということが重要である。
【0011】
そのはんだ相互接続が無鉛はんだ相互接続である場合には、それらの相互接続方式では一般的に、従来からの鉛含有はんだを使用した場合に比較して、リワーク加工のためには顕著に高い温度を使用する必要がある。近共融及び共融無鉛はんだ合金(Sn/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu)のための、そのより高いリワーク温度は、典型的には約217℃〜227℃の範囲であり、前述の合金の超共融組成物の場合には、より高い温度、例えば227℃以上の温度となる可能性もある。高品質な電気コネクターを再現性よく達成するためには、250℃又は260℃又はそれ以上のリワーク温度を通常使用する。これら、無鉛はんだの場合の高いリワーク温度は、電気コネクターの本体を製作するために従来使用されてきた熱可塑性プラスチックに、修復不可能な損傷を与える可能性がある。そのような電気コネクターにおいて現在使用されている高性能熱可塑性プラスチック材料例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、及びポリフェニレンスルフィド(PPS)は、回路基板及びコネクターを含む組立品を、リフロー又はリワークはんだ付け法を使用して製造しようとすると、反り及び亀裂を回避するのに必要な熱的及び機械的安定性を示すことができない。
【0012】
コネクターは、異なった断片の光ファイバーをつなぎ合わせるために使用されることも多いが、その理由は、コネクターによれば、スプライシングの場合よりも迅速に接続及び切断することが可能となるからである。コネクターは、繊維のコアを機械的に結合、配列(アライン)するので、光は、繊維の一つの断片から他の断片へ進むことができるようになる。繊維の端面は、極めて正確に相互に保持又は圧接されていて、コネクターのロスを高くしてしまう可能性があるガラス−空気又はプラスチック−空気の界面を作らずに、繊維の末端の配列及び直接的な接触(例えばガラス−ガラス、又はプラスチック−プラスチック)が達成されるようになっていなければならない。このようにしっかりした配列と接触は、その接続を最初に作製するときだけでなく、その光ファイバーケーブルの寿命のある限り保持されるべきであるということが極めて重要である。典型的には、光ファイバーコネクターにはフェルールが含まれているが、これは、長く薄い円筒であって、繊維を配列させるための機構として機能している。フェルールの中央に孔ぐりがあり、その中に光ファイバーが保持されているが、繊維の終端がフェルールの末端の位置にある。コネクターの本体(場合によっては、コネクターハウジングとも呼ばれる)は、一つ又は複数の組み立てた部品を含んでいてもよいが、一般的には、フェルール(従って、繊維も)を所定の個所に保持するために使用される。フェルールは典型的には、コネクターの本体を超えて延びていて、コネクターをその他のコネクターとつなぎ合わせるために使用される連結デバイス(例えばアライメントスリーブ)、又はコネクターを光ファイバー伝送器又は受信器とつなぎ合わせるために使用されるフィードスルーバルクヘッドアダプターの中に入り込んでいる。フェルール、コネクターの本体、連結デバイス、及び/又はバルクヘッドアダプターを製作するのに使用する材料は、ある種の光ファイバーの末端用途においては、光ファイバーケーブルの切断及び再接続の性能の妨げとなりうる顕著な歪み又は反りなしで、あるいは、接続させる光ファイバーの末端の間で必要とされる正確な配列と接続を保持するために、高温への暴露に耐えうるものでなければならない。
【0013】
断続性又は実質的に連続性のベースで、コネクターが高温及びその他の過酷な環境条件に暴露される末端用途としては、例えば、自動車のボンネット内部品用途、航空機のエンジン、大型機械などのエンジンルーム、化学及び石油加工操作及び設備、更には石油及びガス井において使用される地下掘削口工具(ダウンホール工具)並びにその他の器具及び装置などが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上より、より高い耐熱性を有する改良されたコネクターが開発されることが、強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一つの態様においては、(例えば印刷回路基板の表面上で電気素子と導電体の間を電気的に接続したり、光ファイバーを接続したりするのに適した)コネクターが提供される。そのコネクターは、その電気的に絶縁性の本体の表面から突出していてもよい、一つ又は複数の(例えば、アレイの形状の)導通性部材を(直接的又は間接的に)保持する絶縁性本体からなっている。その本体は、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物からなっている。その導通性部材は、電気を導電し、光を移送し(例えばパルス光、情報を伝送するために変調された電磁搬送波を形成させることができる)、あるいは、気体又は液体を搬送させることができるものであってよい。そのコネクターは例えば、電気コネクター例えば、単極コネクター、多極コネクター、雄型コネクター、雌型コネクター、回転式コネクター若しくは無性コネクターであってもよいし、あるいは、光ファイバーコネクター例えば、FCコネクター、FDDIコネクター、LCコネクター、MTアレイコネクター、SCコネクター、SCデュプレックスコネクター、STコネクターなどであってもよい。本発明は、エッジコネクター、ワイヤ・ツー・ボードコネクター、ボード・ツー・ボードコネクター、電力コネクター、電気信号コネクター、RFコネクター、絶縁変位コネクター、及び同軸コネクターのために使用することもできる。
【0016】
また別な態様においては、本発明は、コネクター例えば、回路基板の表面上の電気素子と導電体との間を電気的に接続するために有用な電気コネクターを作製する方法を提供する。この方法に含まれるのは、型の内部に一つ又は複数の導通性部材を提供する工程(前記導通性部材は所望の位置及び配置に保持されている)、前記型の中にポリエーテルケトンケトン及びナノチューブからなるポリマー組成物を導入する工程(ここで、そのポリマー組成物は事前に、加圧下で流動させるのに有効な温度にまで加熱してある)、そのポリマー組成物で前記型を充填して、それら導通性部材の末端は、アクセス可能性を残しながらも、その導通性部材の長さの少なくとも一部を封入する工程、前記ポリマー組成物を固化させてコネクターを形成するのに有効な温度にまで前記ポリマー組成物を冷却する工程、並びに、その型からコネクターを取り出す工程、である。
【0017】
本発明の更に別な態様では、回路基板及び電気コネクターを含む組立品を提供する。その電気コネクターには、本体の表面から突出していてもよい導電性接点のアレイを保持する電気的に絶縁性の本体が含まれており、ここで前記導電性接点は、前記回路基板上の導電体にはんだ付けされており、そして前記電気的に絶縁性の本体は、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物からなっている。
【0018】
更に、組立品を作製する方法も、本発明によって提供される。この方法は、以下の工程からなっている:
A)その表面の上に複数の導電体を有する回路基板を提供する工程;
B)その電気的に絶縁性の本体の表面から突出していてもよい導電性接点のアレイを保持し、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物からなる、電気的に絶縁性の本体を含む電気コネクターを提供する工程;
C)前記電気コネクターと前記回路基板とを相互に配列させて、その導電性接点のそれぞれを、回路基板の表面上の導電体と固体はんだ又ははんだペーストの部分の一部との両方に近接させて、中間組立品を形成する工程;
D)前記固体はんだ又ははんだペーストの部分を、前記固体はんだ又ははんだペーストの部分の融解及び流動を起こさせるのに有効な温度にまで加熱する工程(それによって、融解されたはんだ部分が、導電性接点及び導電体の両方と密な接触状態となる);及び
E)前記中間組立品を、前記はんだの部分を再固化させるのに有効な温度にまで冷却して、前記導電性接点と前記導電体との間に導電性接続を確立させる工程。
【0019】
本発明は更に、回路基板から電気コネクターを分離する方法も提供するが、ここで前記電気コネクターは、はんだからなる一組の相互接続法により前記回路基板にとりつけられており、前記方法には、前記相互接続の組を、前記はんだを融解させるのに有効な温度にまで加熱する工程、及び前記回路基板から前記電気コネクターを取り外す工程を含み、ここで前記電気コネクターが、導電性接点のアレイを保持し、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物からなる電気的に絶縁性の本体からなっている。
【0020】
本発明は更に、回路基板に電気コネクターを取付けるため、及び取り外すための方法、並びに同一の電気コネクターを再取り付けするか、又はその電気コネクターを第二の電気コネクターに置き換えるかのいずれかの方法も提供する。この方法には次の工程が含まれる:
A)その表面の上に複数の導電体を有する回路基板を提供する工程;
B)導電性接点のアレイを保持し、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物からなる、電気的に絶縁性の本体を含む第一の電気コネクターを提供する工程;
C)前記第一の電気コネクターと前記回路基板とを相互に配列させて、前記アレイの中の導電性接点のそれぞれを、回路基板の表面上の導電体と固体はんだ又ははんだペーストの部分の一部との両方に近接させて、中間組立品を形成する工程;
D)前記固体はんだ又ははんだペーストの部分を、前記固体はんだ又ははんだペーストの部分の融解を起こさせるのに有効な温度にまで加熱して、流動可能な液状のはんだの部分を形成する工程;
E)前記液状のはんだの部分を、液状のはんだの部分の固化を起こさせるのに有効な温度にまで冷却して、前記導電性接点と前記導電体との間の導電性接続を確立させる工程;
F)前記相互接続の組を、前記はんだを融解させるのに有効な温度にまで加熱する工程;
G)前記第一の電気コネクターを前記回路基板から取り外す工程;及び
H)前記第一の電気コネクター又は第二の電気コネクターのいずれかを使用して工程B)〜E)を繰り返す工程であるが、前記第二の電気コネクターが、導電性接点のアレイを保持し、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物からなる電気的に絶縁性の本体を含んでいる、工程。
【0021】
本発明によって更に提供されるのは、第一の光ファイバー;第二の光ファイバー、光ファイバー伝送器及び光ファイバー受信器からなる群より選択される更なる構成要素;並びに、前記第一の光ファイバーと前記更なる構成要素とを接続し、1本又は複数の光ファイバーを(直接的又は間接的に)保持する絶縁性本体(ここで前記絶縁性本体は、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物からなっている)を含むコネクター;を含む組立品である。
【0022】
本発明の更に別な態様においては、第一の光ファイバー;第二の光ファイバー、光ファイバー伝送器及び光ファイバー受信器からなる群より選択される更なる構成要素;前記第一の光ファイバーと前記更なる構成要素とを接続し、1本又は複数の光ファイバーを(直接的又は間接的に)保持する絶縁性本体を含むコネクター;並びに、第一の光ファイバーを前記更なる構成要素とつなぎ合わせるために適合させた連結デバイス;を含む組立品が提供されるが、ここで、前記絶縁性本体又は前記連結デバイスの内の少なくとも一つは、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物からなっている。
【0023】
本発明は、コネクターの一部を構成している一つ又は複数の導通性部材が、最初の組立ての場合、及びその後で熱に繰り返し暴露される場合のいずれにおいても、他の要素と正確に配列させなければならないような末端用途において適用するのに、特に好適である。ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブから構成されている本体が熱歪み抵抗性を有していることによって、導通性部材の望ましい精密な配列を再現性よく維持しながら、コネクターを接続、切断、及び再接続することが可能となり、それによって、それらの導通性部材が、光、電気などを、そのコネクターが接続されている他の要素に効率的かつ効果的に移送することができるように維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明によるコネクターの本体は、有利には、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブからなるポリマー組成物を使用して製造される。ポリマー組成物においてこのような特定の構成要素の組合せを使用することは、例えばリフローはんだ付け及び回路基板組立品のリワークの際に遭遇する過酷な条件のような、繰り返しての高温に耐えることができ、特に使用するはんだが無鉛はんだであるような場合に、歪み、亀裂、及び反りが最小限にとどまる、寸法的に安定したコネクターを得るためには極めて重要であることがわかってきた。
【0025】
驚くべきことには、ポリマー組成物の耐熱性は、無機ナノチューブを添加することによって改良される。無機ナノチューブは、他の充填剤と比較して、極めてサイズが小さいという更なる利点を有しており、それによって、充填剤を比較的大量に担持させた場合であっても、スムーズな表面を有するコネクターを製作することが可能となる。更に、無機ナノチューブは、有利なことには、ポリエーテルケトンケトンのメルトフロー挙動を変化させて、それにより、極めて微細な凹凸を有する型に完全に充填させることが容易となり、正確な寸法と形状を有するコネクターの成形が可能となる。本発明のまた別な利点は、特に導通性部材の表面がメタリックな場合に、そのポリマー組成物と導通性部材の表面との間で類まれなほど良好な接着性が得られことである。そのために、ポリマー組成物/導通性部材の界面における破断に対する優れた抵抗性を得ることが可能であり、そのことが更に、例えば高温及び化学薬品、溶媒などのような過酷な環境条件下に長期間置いても、そのコネクターの良好な性能を維持するのに役立っている。更に、ポリエーテルケトンケトンを使用することによって、その他のポリアリールエーテルケトン例えばポリエーテルエーテルケトンを使用した場合に観察されるよりも、より低い残存応力を有する成形本体が得られる。残存応力が低いことの結果として、本体を高温に暴露させたときの反りが小さい。更に、ポリエーテルケトンケトンを使用することによって、特定の用途のために、結晶化度、従って融点(Tm)を最適化することが可能となるが、これは、ポリエーテルエーテルケトンでは不可能なことである。
【0026】
本発明において使用するのに好適なポリエーテルケトンケトンには、次の式I及びIIによって表される繰り返し単位を含む(好ましくは、実質的にそれらからなっている):
−A−C(=O)−B−C(=O)− I
−A−C(=O)−D−C(=O)− II
ここで、Aはp,p’−Ph−O−Ph−基であり、Phはフェニレン基であり、Bはp−フェニレンであり、そして、Dはm−フェニレンである。ポリエーテルケトンケトン中の式I:式II(T:I)の異性体比は、100:0〜0:100の範囲とすることができるが、一般的には、約70:30又はそれ以上、好ましくは約90:10以下の(T:I)異性体比を有するポリエーテルケトンケトンを採用するのが望ましいであろう。一つの望ましい実施態様においては、そのポリエーテルケトンケトンが半晶質である。
【0027】
ポリエーテルケトンケトンは当業者には周知のものであり、以下の特許に記載された方法を含め、各種適切な重合法を使用して調製することができる:米国特許第3,065,205号明細書;米国特許第3,441,538号明細書;米国特許第3,442,857号明細書;米国特許第3,516,966号明細書;米国特許第4,704,448号明細書;米国特許第4,816,556号明細書;及び米国特許第6,177,518号明細書(すべての目的において、これら特許のそれぞれのすべてを、参考として引用し本明細書に組み入れるものとする)。ポリエーテルケトンケトンの混合物を採用してもよい。
【0028】
適切なポリエーテルケトンケトンは市販の供給源から入手可能であって、例えば、Oxford Performance Materials社(Enfield,コネチカット)から商品名OXPEKKとして販売されているポリエーテルケトンケトン(OXPEKK−Cポリエーテルケトンケトンを含む)が挙げられる。
【0029】
先にも述べたように、無機ナノチューブは、本発明のコネクターの本体中に使用されるポリマー組成物における極めて重要な構成要素である。本明細書で使用するとき、無機ナノチューブには無機材料及びカーボンナノチューブの両方が含まれ、それらは、形状が円筒状であって(すなわち、中空の筒状構造を有している)、その内径は典型的には約10〜約300nmであり、長さは典型的には、ナノチューブの直径の10〜10,000倍(例えば、500nm〜1.2ミクロン)である。一般的には、ナノチューブのアスペクト比(長さ対直径)は、比較的大きく、例えば約10:1〜約200:1となるであろう。それらのチューブは、完全に閉じている必要はなく、例えば、多層の壁を有する緊密に織り上げた巻物の形状をとっていてもよい。
【0030】
ナノチューブは、公知の無機元素更には炭素からなっていてよいが、そのようなものとしては、二硫化タングステン、酸化バナジウム、酸化マンガン、銅、ビスマス、及びアルミニウムシリケートが挙げられるが、これらに限定されない。一つの実施態様においては、そのナノチューブが、周期律表の第IIIa族、第IVa族及び第Va族の元素から選択された少なくとも1種の化学元素から形成されたものであり、例えば炭素、ホウ素、リン及び/又は窒素から作製されたもの、例えば、窒化炭素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、リン化ホウ素、窒化リン、ホウ化窒化炭素からのものである。有用なアルミニウムシリケートとしては、イモゴライト、円柱スズ鉱、ハロイサイト、及びブーランジェ鉱ナノチューブ、更には合成的に調製されたアルミノシリケートナノチューブが挙げられる。それらの性質を変化させたいのであれば、それらのナノチューブの表面を処理したり、変性させたりしてもよい。ポリエーテルケトンケトンと組み合わせる前に、ナノチューブを製錬したり、精製したり、その他の処理を施す(例えば、表面処理、及び/又は他の物質を組み合わせて、その他の物質がナノチューブの内部に保持されるようにする)ことをしてもよい。
【0031】
ポリエーテルケトンケトンと組み合わせる無機ナノチューブの量は、所望により変化させることができるが、一般的には、ポリマー組成物が、少なくとも0.01重量パーセントではあるが30重量パーセントは超えない量の無機ナノチューブを含む。例えば、ポリマー組成物が、約5〜約20重量パーセントのハロイサイトを含むようにするのが好適である。そのポリマー組成物には更に、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブ以外の構成要素、例えば安定剤、顔料、加工助剤、更なる充填剤などを含んでいてもよい。本発明のある種の実施態様においては、そのポリマー組成物が、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブから実質的になるか、又はそれらからなっている。例えば、そのポリマー組成物が、ポリエーテルケトンケトン以外のタイプのポリマーを含まないか又は実質的に含まない、及び/又は無機ナノチューブ以外のタイプの充填剤を含まないか又は実質的に含まなくてもよい。
【0032】
ポリマー組成物は、各種適切な方法を使用して、例えばポリエーテルケトンケトンと無機ナノチューブとをそれらの構成要素を密に混合するのに効果的な条件下で融解コンパウンディングすることによって調製してもよい。
【0033】
ポリマー組成物は、各種適切な成形方法、例えば射出成形法、インサート成形法、オーバーモールディング法などを使用して、コネクターの本体として望ましい形状に成形してもよい。本体を単一部品として成形するのが好ましいが、その理由は、つなぎ目があると、高温条件下でのコネクターの性能に悪影響を与える可能性があるからである。例えば、ポリマー組成物を、ポリエーテルケトンケトンを軟化又は融解させるのに有効な温度にまで加熱して、ポリマー組成物に流動性を付与し、次いで、所望のコネクターの本体の形状を有する型の中に導入する。圧力を加えて、その軟化させたポリマー組成物を型の中に強制的に押し込み、それによって、型の中に容易に充填されるようにしてもよい。その型には、一つ又は複数の導通性部材が提供されていて、それらの導通性部材が所望の位置及び配置で保持される。その型は、単一型であっても、あるいは成形加工の際に同時に保持される二つ以上の部品からなる型であってもよい。典型的には、その型が金属からなっていて、成形の際には、型への完全な充填を促進し、良好な品質の成形された本体を得るために、その型の中に導入されるポリマー組成物の温度よりはいくぶん低い温度の高温に保持されている。それらの導通性部材の末端が依然としてアクセス可能となっている(露出している)ように、個々の導通性部材の一部を封入(カプセル化)して、ポリマー組成物で型を充填してもよい。
【0034】
例えば、電気コネクターを望む場合には、導通性部材の一端が本体の表面から突出したピンの形態をとるようにしてもよいが、そのピンは、直線状であっても、曲がっていても、曲線状であっても、角度がついていても、あるいはその他適切な形状であってもよい。それらのピンは、各種所望の又は適切な断面形状、例えば円形、楕円形、三角形、正方形、長方形などをとっていてよく、そしてその表面は、なめらか、平坦、溝つき、波形、ねじ状又はそれらのピンがはんだ相互接続を貫通して取り付けられている回路基板の上の導電体のデザインに合わせて、所望されるか又は必要であろういくつかのその他の形状であってよい。その導通性部材の他の末端は、ピンなどを受け入れることが可能な窪み(すなわち、開口部又は雌型の受け口)の形状をとっていてよいが、ここで、その導通性部材のチップは、その本体と同一平面とすることもできる(しかしながら、別な方法として、導通性部材のチップを、本体の表面からいくぶんか窪ませたり、更には、本体の表面からいくぶんか突出させたりすることも可能である)。別な方法として、導通性部材の両末端がピンの形状になっていてもよい。更に別な実施態様においては、その両末端が窪みの形状になっていてもよい。
【0035】
次いで、その成形したポリマー組成物を、その軟化されたポリエーテルケトンケトンを固化させるのに有効な温度にまで冷却する。次いで、それによって成形されたコネクターを型から取り外すことができる。別な方法として、射出成形によって本体を成形し、その後で導通性部材を導入することも可能である(例えば、本体の中に開口部分が得られるように型を構成し、その中又はそれを通過させて、導通性部材を挿入するか又はその他の方法で導入してもよいし、あるいは、本体を内実の形状として成形し、その後で、機械加工によるか又は穿孔などの方法によって導通性部材のための開口部を形成させてもよい)。
【0036】
本体は、各種所望の形状としてよいが、非限定的に挙げれば、例えば、電気コネクター及び光ファイバーコネクターとして使用するために、当業界で開発された公知の形状などであってよい。本発明は、断面が比較的に薄いか及び/若しくは狭いか、又は断面が比較的に薄いか及び/若しくは狭い形状若しくはセクションを有する(例えば、その本体が、比較的に厚く、広い一つ又は複数のセクション又は部分と、更には、比較的薄いか又は狭い一つ又は複数のセクション又は部分とを含んでいる)本体を有するコネクターを製造するのには特に適しているが、その理由は、そのような形状は通常、そのコネクターを高温条件に暴露させたときに、反り又は歪みの影響を受けやすいからである。更に、本発明のポリマー組成物を使用することによって、そのような形状に成形することが容易になるが、その理由は、無機ナノチューブを導入することによってポリエーテルケトンケトンの流動挙動が改良されるからである。
【0037】
光ファイバーコネクターにおいては、本体を形成している一つ又は複数の異なった構成要素の中で、そのポリマー組成物を使用してもよい。例えば、本体にコネクターハウジングとフェルールの両方が含まれていて、そのフェルールが光ファイバーを保持し、それを取り囲んでおり、そのコネクターハウジングが次いでそのフェルールを保持し、それを取り囲んでいるようになっていてもよい。コネクターハウジングとフェルールの一方又は両方が、本発明に従ったポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物を使用して製造されていてもよい。
【0038】
導通性部材は、所望の接続タイプに応じて、当業者公知の各種の導通性材料から作製されていてもよい。例えば、そのコネクターを電気コネクターとして使用したい場合には、その導通性部材は、金属又は金属合金からなっていてもよく、そのようなものとしては、金属、又は金属合金例えば、ニッケル合金、鉄合金、銅合金、クロムニッケル合金、アルミニウム合金、及び銀合金が挙げられる。導電性部材は、1種のそのような材料からなっていてもよいし、あるいは2種以上のそのような材料を含んでいてもよい。例えば、導通性部材が第一の導電性材料からなっていてもよく、それが、1種又は複数の異なった導電性材料を用いて(その表面の一部若しくは複数の部分か、又はその全表面の上に)メッキされるか、コーティングされていてもよい。
【0039】
そのコネクターを光ファイバーコネクターとして使用したい場合には、その導通性部材が、ガラス、プラスチック、又は光を移送させるのに適したその他の材料からなっていてもよい。光ファイバーは一般的には、ガラス又はプラスチックのコアと、そのコアよりも低い屈折率を有するガラス又はプラスチックのクラッドと、バッファー(外側の保護コーティング、例えばアクリレート)とからなっていて、ここでそのクラッドが、内部全反射の方法を使用することによって、光をそのコアに沿ってガイドしている。シングルモード、更にはマルチモードの光ファイバーを、導通性部材として採用してもよい。その導通性部材を、気体又は液体を移送するか又は輸送するために使用したい場合には、典型的には、その導通性部材を中空のチューブ又はパイプの形態とするであろうが、それは、各種適切な材料例えばプラスチック又は金属で構築されていてよい。一般的に言って、その導通性部材は、引き延ばされた形状であって(すなわち、典型的には、その導通性部材の直径の少なくとも数倍の長さを有している)、少なくとも本体の第一の表面から本体の第二の表面にまで届くのに十分な長さを有している(すなわち、その導通性部材が、本体を貫通している)。
【0040】
先にも述べたように、それぞれの導通性部材の一端又は両端が、本体表面から突出して、ピンを形成していてもよい。一つの実施態様においては、それぞれの導通性部材が独立しているが、他の実施態様においては、個々の導通性部材が、相互に接続されている二つ以上の部分又はセクションからなっていてもよい。第一の表面と第二の表面とが、相互に平行になっていてもよいし、互いに垂直になっていてもよいし、あるいは、相互に対していくつかのその他の配置をとっていてもよく、そのコネクターに意図されている特定の用途に応じて望まれるようにしてよい。従って、その導通性部材は、直線状であっても、曲がっていても、角度がついていても、曲線状であってもし、あるいはその他適切な各種の形状であってもよく、また硬質であっても軟質であってもよい。本体一つあたりの導通性部材の数は、所望に応じて変化させることができる。
【0041】
本体に加えて、コネクターの一つ又は複数のその他の構成要素を、特にそのような他の構成要素も同様に高温に暴露される可能性があり、そのような条件下でのそれらの構成要素の寸法安定性を維持したいのならば、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブからなる上述のポリマー組成物を使用して製作してもよい。例えば、コネクターの本体を他のコネクターの本体又は光ファイバーの伝送器若しくは受信器につなぎ合わせることを目的として、光ファイバーを保持する本体(例えば、コネクターの本体)と組み合わせて使用される、連結デバイス又はアライメントスリーブ又はフィードスルーバルクヘッドアダプターは、そのポリマー組成物を使用した、射出成形法のような成形技術によって、所望の形状と寸法になるように成形するのがよい。
【実施例】
【0042】
実施例1:電気用途のための非導通性コネクター
1000gのポリエーテルケトンケトン(OXPEKK C:Oxford Performance materials社製)及び10〜200gの非電導性無機ナノチューブ、又は5〜約10gのカーボンナノチューブを、2軸スクリューのKillion27mm異方向回転エクストルーダーを使用し365℃(フィード端)〜375℃(ダイ)の操作温度でブレンドして、1/8”のストランドを製造し、それを水浴中で冷却してから、切断して、1/8”×1/4”のペレットとする。約120℃で6〜8時間かけて乾燥させてから、そのペレットを、電気コネクターを製造するのに適した型を取り付けた28トン又は40トンのArburg射出成形機にフィードする。成形機のバレル及びスクリューは318℃(後部)〜327℃(ノズル)に加熱し、その一方で、型は150〜175℃に維持する。型の中の所望の位置及び配置のところに導通性部材を置き、流動性の融解物としたPEKK/無機組成物を、型にポリマー組成物を充填させるのに十分な15,000〜20,000psiの間の圧力を用いて、型の中に導入して、それらの導通性部材の長さ方向の少なくとも一部を封入するが、ただし導通性部材の末端はアクセス可能な状態に残しておく。次いでその成形したコネクターを、PEKK/ナノチューブ組成物を固化させるのに有効な温度にまで冷却して、コネクターを形成する。次いでそのコネクターを型から取り外す。
【0043】
無機ナノチューブの含量は、既に示した範囲内に調節して、所望の型に完全に充填され、更に仕上がり部品において最適な剛性が得られるような融解物を得る。担持量が高いと、より硬い部品が得られるが、より硬い融解物ももたらされ、これは薄い断面を有する型に適切に充填されない可能性がある。
【0044】
実施例2:非電気用途のための電気散逸型コネクター
1000gのOXPEKK C及び20〜約30g、又は40gのカーボンナノチューブをブレンドし、用途に適した型を用いて、実施例1と同様にして成形する。前記型は、挿入した導通性部材を有さないが、コネクターのケーブルジャケット又は他の部分と接地デバイスとに電気散逸型の接続をもたらすであろう。カーボンナノチューブとPEKKとのメルトブレンド並びに射出成形の条件はいずれも、実施例1と同様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ又は複数の導通性部材を保持し、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物からなる絶縁性本体を含む、コネクター。
【請求項2】
前記一つ又は複数の導通性部材が、光ファイバーである、請求項1に記載のコネクター。
【請求項3】
前記一つ又は複数の導通性部材が、導電性部材である、請求項1に記載のコネクター。
【請求項4】
前記一つ又は複数の導通性部材が、導電性金属を含む、請求項1に記載のコネクター。
【請求項5】
前記一つ又は複数の導通性部材が、気体又は液体を輸送することが可能な中空チューブの形状になっている、請求項1に記載のコネクター。
【請求項6】
前記絶縁性本体が、導電性部材のアレイを保持している、請求項1に記載のコネクター。
【請求項7】
前記無機ナノチューブが、周期律表の第IIIa族、第IVa族、及び第Va族の元素から選択される、請求項1〜6いずれか1項に記載のコネクター。
【請求項8】
前記ポリマー組成物が、0.01〜30重量パーセントの無機ナノチューブを含む、請求項1〜7いずれか1項に記載のコネクター。
【請求項9】
前記ポリマー組成物が、5〜20重量パーセントの無機ナノチューブを含む、請求項8に記載のコネクター。
【請求項10】
前記ポリエーテルケトンケトンが半晶質である、請求項1〜9いずれか1項に記載のコネクター。
【請求項11】
前記ポリエーテルケトンケトンが、70:30〜90:10のT:I比を有している、請求項1〜10いずれか1項に記載のコネクター。
【請求項12】
前記導通性部材の少なくとも一部が、前記本体の表面から突出している末端を有する導電性部材である、請求項1に記載のコネクター。
【請求項13】
前記コネクターが、前記本体を貫通する一つ又は複数の導電性部材を含み、そして前記導電性部材のそれぞれが、一端に電気素子に接続するための接続部分を、そして他端に導電体に接続するための端子部分を有している、請求項1に記載のコネクター。
【請求項14】
前記端子部分が、ピンの形状となっている、請求項13に記載のコネクター。
【請求項15】
前記接続部分が、ピンを受け止めることが可能な窪みである、請求項13に記載のコネクター。
【請求項16】
請求項1〜15いずれか1項に記載のコネクターの作製方法であって、
型の中に一つ又は複数の導通性部材を提供し、前記導通性部材を所望の位置及び配置に保持する工程、
前記型の中に、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブからなる流動性の加熱したポリマー組成物を導入する工程、
前記ポリマー組成物で前記型を充填して、前記導通性部材の長さの少なくとも一部を封入しながらも、前記導通性部材の両末端をアクセス可能な状態に残す工程、
前記ポリマー組成物を固化させるのに有効な温度にまで前記ポリマー組成物を冷却して、前記コネクターを形成する工程、及び
前記型から前記コネクターを取り出す工程、
を含む方法。
【請求項17】
回路基板及び請求項1に記載のコネクターを含む、組立品であって、
導電性接点のアレイを保持している電気的に絶縁性の本体を含み、前記導電性接点が、前記印刷回路基板の上の導電体にはんだ付けされ、前記電気的に絶縁性の本体が、ポリエーテルケトンケトン及び無機ナノチューブを含むポリマー組成物からなる、組立品。
【請求項18】
前記導電体が、前記印刷回路基板の中で窪みの形状にあり、前記導電性接点が、前記窪みの中に挿入される、請求項17に記載の組立品。
【請求項19】
前記固体はんだ又ははんだペーストが鉛を含まない、請求項17に記載の組立品。

【公表番号】特表2012−516022(P2012−516022A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548035(P2011−548035)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/021102
【国際公開番号】WO2010/085419
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
【Fターム(参考)】