説明

高沸点の空気および/または温度感受性有用生成物の混合物の精留方法

本発明によれば、高分離効率を必要とする高沸点の空気および/または温度感受性物質の混合物の精留方法、特にVEまたはVEA含有生成物流の処理方法が提案される。この方法は特に第1の精製工程において、低沸点生成物および有用性生物の不特定異性体が、事実上有用生成物の損失なく生成物流から分離されるとともに、第2の精製工程において、有用生成物が、97重量%を超える純度を有する1つの流れでおよび92重量%を超える純度を有するさらなる流れで除去されることを特徴とする。この方法の好適な実施形態はVEAを処理するのに役立ち、第1の精製工程における有用生成物の損失が、単位時間当たり精製工程に追加される供給原料内のVEA量を基準にして5%未満である。さらにまた第1の精製工程が精留塔(1)を備え、その上部(1a)から低沸点生成物およびVEAの不特定異性体が取り出され、精製された形態の有用生成物を含有する流れが塔(1)の側部(15)および/または下部(1b)で取り出される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、高沸点の空気および/または温度感受性物質の混合物の精留、特に有用生成物から低沸点および高沸点不純物を分離するための、ビタミンEアセテート(VEA)とも称される酢酸トコフェロールの精留方法に関する。
【0002】
以下に未精製VEAとも称される、無水酢酸によるビタミンEのエステル化により得られるVEAを、例えば流下液膜式蒸発器、薄膜蒸発器等における多工程蒸留ステップにより、酢酸および無水酢酸の大量の残渣ならびに他の不純物から除去することができる。通常、このような反応混合物は、約94重量%のVEA、約1〜2重量%の低沸点物質(主にフィタジエン)、約2〜3重量%の有用生成物(VEA)の不特定異性体、および約1〜2重量%の高沸点副成分を有する。
【0003】
VEA含有生成物流の工業的精製では、例えば短経路蒸発器のカスケードが用いられる。短経路蒸発器のカスケードへ流れる生成物流からの低沸点物質の可能な限り完全な分離が、必要とされる非常に低い圧力の短経路蒸発器および真空システムの寸法決定および動作にとって重要である。通常約1mbarで動作されるとともに低沸点溶剤を除去するための薄膜蒸発器は、そのため、短経路蒸発器のカスケードの上流に接続されている。薄膜蒸発器内で生成される蒸気流は実質的にフィタジエン、ビタミンEアセテートならびに酢酸および無水酢酸の残渣を含有するとともに、下流の凝縮システム内で事実上完全に凝縮される。高含量の低沸点溶剤のため、得られた凝縮物はさらに用いることができずに廃棄される。相平衡の位置のためにこの蒸気流内のVEAの比率は約13重量%であるとともに、VEAの損失はVEAの流入量を基準にして約2.7%である。通常約2重量%の低沸点溶剤留分が有用生成物(薄膜蒸発器の下部生成物)内に残る。薄膜蒸発器の下部生成物は短経路蒸発器のカスケードに供給され、そこでVEAは繰り返し蒸発および凝縮することによりさらに濃縮される。
【0004】
上述した且つVEAを得るためのプロセスは以下の欠点を有する。既述したように、有用な生成物(VEA)の一部は、薄膜蒸発器から気相により下流の凝縮器システムへ流出し、最終的には失われる。さらにまた低沸点溶剤の一部のみが、それ自体が比較的複雑で高価な装置である薄膜蒸発器内で分離されるとともに、残部は有用生成物内に残留して後で複雑な手法で分離されなければならない。同時に、それぞれの精製ステップにおける副生成物からの不完全な主生成物の分離のため、このプロセスは再循環流も含み、この再循環流は比較的複雑な手順によってこのプロセスに戻さなければならない。
【0005】
VEAは人間の栄養または健康管理上の予防のために使用が増大しているため、この生成物の純度はますます高い要望を満たさなければならない。以下に「医薬品水準」(PG)品質とも称されるこれらの使用目的に対して要求されるVEA品質は、以下のように規定される。
−純度97.5重量%以上
−無色〜若干緑がかった黄色
【0006】
上記のプロセスから得られるVEAは97重量%未満の純度を有する。92重量%を超える純度では、VEAは有用生成物のいわゆる「技術水準」(TG)品質用に設定された条件を満たすがPG品質の要件は満たさない。食品添加物としての使用または医療用途の場合、VEAはそのためさらなる精製ステップを経なければならない。
【0007】
蒸留による生成混合物の処理において、いわゆる対向流蒸留(精留とも称される)すなわち精留塔内の下降還流および上昇蒸気の対向流による特別な蒸留プロセスが用いられた時に、最良の結果が概して得られるということが分かっている。分離される混合物が塔の中央部に導入され、蒸気が塔内を下部から上部への進行中により容易に揮発する成分によって濃縮されたものになるとともに、還流が上部から下部へあまり揮発しない成分によって濃縮されたものになる塔を用いることが普通である。材料および熱の輸送は、相同士の十分な接触時間と十分に大きい相境界とを確保する塔トレイ、ランダム充填物または構造化充填物などの塔内に装着された要素により強化される。
【0008】
さらにまたここに挙げる混合物(未精製VEA)も含む、高分離効率を必要とする物質の高沸点の温度感受性混合物の分離の場合、規則的配列で整然と構成されるとともに対向流相用の規定通過領域を有する充填物を有する精留塔を用いることが好ましいということが分かっている。これは、特にランダム充填物と比べて規則的に構成された充填物はより高い負荷容量とより良好な分離効率とにより区別され、固有の圧力降下がより小さいとともに必要な充填物がより小量であり、そのためより小さい質量および熱伝達高さも可能にするために生じるケースである。構造化充填物はそのためすべての真空精留において用いられ、その精留では分離される混合物の温度感受性のため、塔圧力降下の制限が特に重要である。この使用目的のための既知の塔充填物は、スルザー(Sulzer)製のBXおよびCY型の金属織物充填物、オプティフロー(Optiflow)のエキスパンドメタル充填物または、それぞれスルザー(Sulzer)およびクーニ(Kuehni)製のメラパック(Mellapak)型およびロンボパック(Rhombopak)型、ならびにモンツ(Montz)GmbHなどの他の会社製の同様に有効な金属織物充填物である。
【0009】
VEA含有混合物の精留は、例えば国際出願第97/02880号パンフレットに開示されている。しかし工業規模の生成物の精製に概して有利であるこの精留は、VEAの高沸点および高温におけるその分解可能性のため、この場合大きな問題を生じる。そのため実質的に高真空下の蒸留あるいは分子蒸留も、可能な限り低い温度でVEAを蒸留することができるように行われる。
【0010】
高真空の使用の代わりに、概して97.3%(DE−A2743920号明細書)、98%(DE−A4208477号明細書およびJP−B−58011869号公報)、98.5%(米国特許第3459773号明細書)または98.5〜99%(DE−A2160103号明細書)の純度が従来技術により達成されるに過ぎない。99%を超える純度、すなわちJP−A51/14671号公報により99.3%およびJP−A−62/226976号公報により99.5%の純度は分子蒸留によってのみ達成されたが、今日用いられるより正確な分析方法による且つより純粋な比較物質の使用による検証で、おそらくさらに低い純度値が達成されるであろうということは指摘する必要がある。しかもこの手法で達成可能な蒸留歩留まりはいずれも場合も非常に低く、そのためそのような工場の資本コストおよび継続操業コストはともに極度の複雑さのために非常に高い。
【0011】
本発明の目的は高沸点の空気および/または温度感受性有用生成物の混合物の精留方法であるが、特にVEA含有生成物流を処理する方法であって、上記の欠点を有さないとともに、高純度および高歩留まりで有用生成物を分離するためのプロセス工学の点で単純である経済的な方法を可能にする方法を提供することである。しかもこの方法はプロセス工学の点で単純な分離装置の使用も可能にしなければならないとともに、異なる且つ場合によっては可変比率で純度が異なる2つの最終生成物の調製を可能にしなければならない。より軽度の条件下で生成物の処理の再循環がない方法を開発することも有利であると考えられる。
【0012】
この目的は特許請求項1の特徴を有する方法により達成される。
【0013】
本発明の有利な実施形態は従属請求項の主題を構成する。
【0014】
請求項1は、第1の精製工程において、低沸点生成物が事実上有用物生成物の損失なく生成物流から分離されるとともに、有用物生成物の不特定異性体が取り出され、第2の精製工程において、有用生成物が、97重量%を超える純度を有する1つの流れでおよび92重量%を超える純度を有するさらなる流れで除去されることを特徴とする、高分離効率を必要とする高沸点の空気および/または温度感受性物質の混合物の精留方法、特にVEまたはVEA含有生成物流の処理方法を提供する。
【0015】
本発明によれば、高沸点の空気および/または温度感受性物質、例えばVEAの精製のための完全に新規な概念が開発された。純粋な廃棄物流(いずれの場合も非常に低いVEA含量を有する、低沸点溶剤、すなわち低沸点物質の流れ/有用生成物の不特定異性体を含む流れ/高沸点副生成物の流れ)および純粋生成物流のみが生じる。そのためさらなる処理を必要とする流れは生成されず、それが不利な再循環の回避も可能にする。
【0016】
この方法の好適な実施形態はVEAの処理方法に役立ち、第1の精製工程における有用生成物の損失が、単位時間当たり精製工程に追加される供給原料内のVEA量を基準にして5%未満である。この特定の場合、第1の精製工程は精留塔を備えてもよく、その上部から低沸点生成物およびVEAの不特定異性体が取り出され、精製された形態の有用生成物を含有する流れが塔の側部および/または下部で取り出される。
【0017】
そして第1の精留塔の側部取出物または下部取出物を、第2の精製工程で第2の精留塔に供給することが可能であり、その後第2の精留塔からVEAが、
−97%重量を超える純度を有する下部取出物として、および92%重量を超える純度を有する上部取出物として、または
−97重量%を超える純度を有する側部取出物として、および92重量%を超える純度を有する上部取出物と下部取出物の蒸留物との混合物として、除去される。
【0018】
本発明によれば、2つの精留塔は、好適には圧力降下mbar当たり15理論段より大きい、分離効率対圧力降下比率を有する構造化充填物構造を有する(原則:F係数=1Pa0.5、塔直径1メートル、試験混合物シス−/トランスデカリン)。特に適当な構造充填物はスルザー(Sulzer)AG製のオプティフロー(OPTIFLOW)充填材である。本発明によれば、少なくとも側部取出物は第2の塔において分縮によって、分離される生成物が蒸気の形態の生成物流としてではなく凝縮物として塔から出るようにして生じる。この目的のため、塔は凝縮プロセスに重要な重要設計細部を内蔵している。
【0019】
本発明による好適な方法の利点は以下の通りである。
−1つの塔内で厳密な分離が達成される。通常この目的のために複数の塔が必要である。
−特に第1の塔は若干の圧力降下との組み合わせで高分離効率を有する。
−生成物の損失が極僅かである。
−医薬品水準生成物の純度は非常に高く、VEA含量は97重量%以上である。
−この方法はPGまたはTG品質で生成される生成物量に関して非常に柔軟性がある。
【0020】
本発明のさらなる好適な実施形態において、未精製VEAが第1の塔に供給される前に、生成物流が脱気のために流下液膜式蒸発器に注入され、流下液膜式蒸発器内では特に例えば溶剤残渣などの低沸点物質、ならびに残留する微量の酢酸および無水酢酸が除去される。それにより流下液膜式蒸発器を、未精製VEA内の全塩素含量を低減するのにも役立つように設計し、それにより後続工程のいかなる不利な腐食も回避することができる。第1の塔において、残留低沸点物質および有用生成物の不特定異性体がその後上部で分離されるとともに、VEAが96%を超える含量を有する蒸気形態の側部取出物として除去される。「医薬品水準」品質の調製の場合、第1の塔の側部取出物流は第2の塔内で再度精留される。本発明によれば「医薬品水準」品質は側部取出物として取り出される。第1の塔からの下部生成物は短経路蒸発器内で圧搾されて、第2の塔の上部生成物と一緒に蒸留物としてVEA−TGを生じる。
【0021】
図面を参照して本発明を以下により詳細に説明する。
【0022】
図1に示されたVEA調製方法は以下の構成を有する。アセチル化工程5(酢酸および無水酢酸の主要部分の分離を含むビタミンEのVEAへの変換)から生じる未精製VEAが脱ガス装置3(流下液膜式蒸発器)に供給される。そこで例えば酢酸または無水酢酸などの残留低沸点成分がライン2を介して除去される。脱ガス装置3の下部で得られた脱気未精製VEAが供給原料として精留塔1のほぼ中央部に追加される。塔1の上部1aにおいて、低沸点成分および有用生成物の不特定異性体は、事実上有用生成物の損失なくライン9を介して除去される。塔1の下部1bにおいて得られた下部取出物はライン11を介して短経路蒸発器13に供給される。第1の精留塔1の上部取出物による有用生成物VEAの損失は、単位時間当たりに塔に加えられる供給原料内のそのVEA量に基づいて5%未満、好適には1%未満、さらに理想的には0.5%である。
【0023】
塔1は塔供給口の下方にある側部取出口15をさらに有する。塔1の側部取出口はライン17を介して第2の精留塔19に接続され、ここでも供給口が塔のほぼ中央部に配置されている。塔19の下部19bに形成された下部取出物は、ライン11を介する塔1の下部取出物と共に、ライン23を介して短経路蒸発器13に供給される。短経路蒸留において残渣流4と蒸留流25とが得られる。蒸留流25は塔19の上部19aにおいて得られた上部取出物と混合される。
【0024】
本発明によれば塔19は、以下により詳細に説明するように側部取出口27も有する。さらにまた塔1および19は各々、それぞれ上部1aおよび19aに配置された凝縮器と、それぞれ下部1bおよび19bに設けられた蒸発器とを有する。精留塔に関して従来のおよび通例であるようなこれらの構成要素は概して当業者には周知であるため詳細に説明も図示もしない。本発明によれば2つの精留塔には構造化充填物が充填され、その分離効率対圧力降下比率は、mbar圧力降下当たり15理論段より大きい(原則:F係数=1Pa0.5、塔直径1メートル、試験混合物シス−/トランスデカリン)。図1による方法の原理は、例えばアセチル化から到達する生成物流からの酢酸、無水酢酸または溶剤残渣などの低沸点成分の微量残留物が、上流の脱ガス装置3内で未精製VEAから除去されるとともにライン2を介して輸送されるということによって特徴付けられる。
【0025】
第1の塔1において、残留低沸点成分および有用生成物の不特定異性体もその後上部1aにおいて分離されるとともに、96重量%を超える含量を有するVEAが分縮により側部取出点15において除去される。
【0026】
本発明によれば塔1は以下のように動作される。
−側部取出物は追加供給原料流の約75重量%を含み、これは微量の有用生成物の不特定異性体および高沸点成分を有する可能な限り高いVEA含量を有する。
−上部取出物は供給原料流の約2〜5重量%を含む。
−上部105a内に配置された上部凝縮器は流入する蒸気流を事実上完全に凝縮させて還流および上部取出物を生じる。
−塔の上部における圧力は約0.5〜1mbarであることが好適であるとともに可能な限り一定に維持され、さらに塔温度は塔の負荷により190〜280℃である。
【0027】
これらのガイドパラメータを維持すると、および塔1の設定還流比により、VEA含量が側部取出物内で約95重量%を大幅に上回るとともに上部取出物内で実質的に20重量%未満になるように塔1を動作させることができる。
【0028】
第1の塔1の側部取出物は、VEA−PGを調製するためにライン17を介して第2の塔19に供給される。この品質の取出物は次に位置27において分縮により側部取出物として生じるとともに、生成物ライン29を介して工場から除去される。
【0029】
第1の塔1の下部1bから出てくる下部生成物は、第2の塔19の下部生成物と一緒に短経路蒸発器13内で圧搾されて留出物を生じ、これは第2の塔19の上部19aから出てくる第2の塔19の生成物と一緒にVEA−TGを形成する。
【0030】
図2に示すVEA生成物の調製または精製のプロセスを実行する代替方法において、第1の塔1からの側部取出物はない。その代わりに塔1からの下部生成物が生成物流ライン11を介して直接且つ完全に第2の塔19に輸送される。この結果、短経路蒸発器への供給原料は塔19の下部取出物のみからなるとともに、この場合VEA−TGは第2の塔19の上部生成物と下部生成物の留出物との混合物のみから形成される。
【0031】
塔19および/または1内における分縮による側部取出物は、本発明による好適なプロセスを実行するために重大である。そのためVEAの精製を2つの特定な例を参照してより詳細に説明する前に、この側部取出物をより詳細に説明する。
【0032】
図3に示した本発明による2つの精留塔1および19の部分において、対向流は精留塔内の下降還流31と上昇蒸気流33とによって特徴付けられ、側部取出点の領域で蒸気は充填物中を流れるとともに側部取出物の成分を下部から上部へ分離するとともに、還流はガイドパイプ内を上部から下部へ流れる。
【0033】
側部取出物上方のコレクタベッド37からの還流を再分配する分配器35は、側部取出点の下方領域内にある。(蒸気)側部取出物の液体による汚染を回避するために、メラパック(Mellapak)250Xの半層がスプラッシュガード39として装着されている。この層39の真上には側部取出物用のコレクタ41が設けられている。コレクタ41は例えば分離対象の蒸気凝縮物の除去用の出口45内に開口している液溜43に流入する。コレクタ41の上方には側部取出物分縮器47が続いており、これは例えばU字状管束熱交換器の形状で蒸気凝縮物を生成するのに役立つ。既述のように還流を分縮器47後の側部取出点の上部から下方分配器35内へ輸送する取出物コレクタ37全体は、最上流要素として存在することが好ましい。コレクタ37が、側部取出物が還流により汚染されない、さもなければ側部取出物の色に悪影響を与えるように取出全体を実行することは有利である。
【0034】
本発明によれば、側部取出物は塔内を上昇する気相の分縮により影響を受ける。これは蒸気凝縮物、すなわち蒸気の形態の生成物流ではないものが側部取出物として取り出され、その結果取出に起因するおよびより少量の液体流による圧力降下を大幅に低減することができるという利点を有する。取出は分縮を含むため追加精製工程がさらに得られ、これも特に有利であることが分かる。
【0035】
ここで図1および2を参照して説明した方法は本発明の一例に過ぎず、特にこの方法を実行するのに役立つ設備の設計は特許請求項1により規定される保護範囲内で異なる点で変更可能であることを指摘しなければならい。このため本発明による方法および一部側部取出物を、ビタミンE(VE)の精製およびVEおよびVEAのように高沸点および温度感受性があるとともに通常は精留塔により精製される、他の物質の処理および精製にも当然用いることができる。
【0036】
図1および2を参照して上述した方法を2つの特定例によりここで詳細に説明する。
【0037】
実施例1(図1参照)
約90〜92%のVEA、約2〜3%の低沸点成分(主にフィタジエン)、約2〜3%の有用生成物(VEA)の不特定異性体、および約3〜4%の高沸点成分の含量を有する合成的に調製された未精製VEAを、流下液膜式蒸発器内で185度および約3mbarで脱気する。脱気された未精製VEAは180〜250℃の温度で、スルザー・オプティフロー(Sulzer Optiflow)C36型の6〜8mの充填物高さを有する精留塔1のほぼ中央部に供給される。塔の上部における圧力は約0.5〜1mbarである。塔1の上部において供給原料流の約4質量%が、約3%のVEA含量を有する上部取出物として除去される。塔1は約10〜20の還流比で動作される。側部取出点は供給流入点の下方で約2〜3mの充填物高さである。約96〜97%のVEA含量を有する供給原料流の約75%は側部取出口において除去される。所望の流量は分縮器の前進流温度の調節により設定される。260〜270℃の温度で塔1の下部で得られる生成物はなおVEAの80〜82%を含有している。
【0038】
約96〜97%のVEA含量を有する塔1の側部取出物はその後180〜250℃の温度で供給原料として、スルザー・オプティフロー(Sulzer Optiflow)C36型の6〜8mの充填物高さを有する精留塔19のほぼ中央部に追加される。塔19の上部における圧力は約0.5〜1mbarである。塔19の上部において、供給原料流の約5〜15質量%が、約92〜95%のVEA含量を有する上部取出物として除去される。塔19は約15〜30の還流比で動作される。側部取出点は供給流入点の下方で充填物高さの約2〜3mである。側部取出口において所望のPG量によって、97%を超えるVEA含量を有する供給原料流の50〜78%(後者はPGの形態で用いられるVEAの60%に相当する)が除去される。所望の流量は分縮器の前進流温度の調節により設定される。260〜270℃の温度で塔19の下部で得られる生成物は、設定分割比に応じてなおVEAの90〜95%を含有している。
【0039】
塔1および19の下部生成物はここで、約0.1〜0.2mbarの圧力で動作される短経路蒸発器13に供給される。残渣はなおVEAの約2〜5%を含有する一方、留出物内のVEA含有物は約92%である。留出物は塔19の上部取出物と一緒に混合されてVEATGを生じる。
【0040】
実施例2(図2参照)
約90〜92%のVEA、約2〜3%の低沸点成分(主にフィタジエン)、約2〜3%の有用生成物(VEA)の不特定異性体、および約3〜4%の高沸点成分の含量を有する合成的に調製された未精製VEAを、流下液膜式蒸発器内で185度および約3mbarで脱気する。脱気された未精製VEAは180〜250℃の温度で、スルザー・オプティフロー(Sulzer Optiflow)C36型の6〜8mの充填物高さを有する精留塔1のほぼ中央部に供給される。塔の上部における圧力は約0.5〜1mbarである。塔1の上部において供給原料流の約4質量%が、約3%のVEA含量を有する上部取出物として除去される。塔1は約10〜20の還流比で動作される。260〜270℃の温度で塔1の下部で得られる生成物はVEAの約93〜95%を含有している。
【0041】
約93〜95%のVEA含量を有する塔1の下部取出物はその後180〜250℃の温度で供給原料として、スルザー・オプティフロー(Sulzer Optiflow)C36型の6〜8mの充填物高さを有する精留塔19のほぼ中央部に追加される。塔19の上部における圧力は約0.5〜1mbarである。塔19の上部において、供給原料流の約5〜15質量%が、約92〜95%のVEA含量を有する上部取出物として除去される。塔19は約15〜30の還流比で動作される。側部取出点は供給流入点の下方で充填物高さの約2〜3mである。側部取出口において所望のPG量によって、97%を超えるVEA含量を有する供給原料流の40〜60%(後者はPGの形態で用いられるVEAの60%に相当する)が除去される。所望の流量は分縮器の前進流温度の調節により設定される。260〜270℃の温度で塔19の下部で得られる生成物は、設定分割比に応じてなおVEAの82〜87%を含有している。
【0042】
塔19の下部生成物はここで、約0.1〜0.2mbarの圧力で動作される短経路蒸発器13に供給される。残渣はなおVEAの約2〜5%を含有する一方、留出物内のVEA含有物は分割比によって約92〜95%である。留出物は塔19の上部取出物と一緒に混合されてVEATGを生じる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】VEAを処理するように設計された本発明によるプロセスの概略図を示す。
【図2】図1によるプロセスを実行する代替方法を示す。
【図3】第2および必要に応じて第1の精留塔において本発明により設けられた側部取出点を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の精製工程において、低沸点生成物およびビタミンEアセテートの不特定異性体が、事実上有用物質の損失なく生成物流から取り出されるとともに、第2の精製工程において、前記有用生成物が、97重量%を超える純度を有する1つの流れでおよび92重量%を超える純度を有するさらなる流れで除去されることを特徴とする、高沸点の空気および/または温度感受性物質、特にビタミンEアセテートの処理方法。
【請求項2】
前記第1の精製工程における前記有用生成物の損失が、単位時間当たり前記精製工程に追加される供給原料内のVEA量を基準にして5%未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の精製工程において、前記生成物流が精留塔(1)に供給され、前記低沸点生成物および前記有用生成物の不特定異性体がこの塔の上部(1a)で取り出されるとともに、前記精製された形態の有用生成物を含有する流れが前記塔(1)の側部(15)および/または下部(1b)で取り出されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の精留塔の前記側部取出物または前記下部取出物が前記第2の精製工程で第2の精留塔に供給されるとともに、前記有用生成物が前記第2の塔から、97重量%を超える純度を有する下部取出物としておよび92重量%を超える純度を有する上部取出物として除去されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の精留塔(1)の前記側部取出物または前記下部取出物が前記第2の精製工程で第2の精留塔(19)に供給されるとともに、前記有用生成物が前記第2の塔(19)から、97重量%を超える純度を有する側部取出物としておよび92重量%を超える純度を有する上部取出物と下部取出物の留出物とからなる混合物として除去されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の塔の前記下部取出物が、同じ塔の前記上部取出物と混合される前に蒸留されることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記生成物流が前記第1の塔(1)に追加される前に流下液膜式蒸発器(3)内で脱気されることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
両方の塔(1、19)の前記下部取出物が互いに混合されるとともに蒸留されて、前記第2の塔の前記上部取出物と一緒に、92重量%を超える純度を有する前記有用生成物を形成することを特徴とする、前記第1の塔(1)の前記側部取出物が前記第2の塔(19)内に注入される、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記蒸留が短経路蒸発器(13)内で生じることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記側部取出物が前記塔(1、19)内を上昇する気相の分縮により生じるとともに、横方向流出生成物流が前記塔から蒸気凝縮物として除去されることを特徴とする特に請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記蒸気凝縮物が97重量%を超える純度を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
側部取出部が、
側部取出口上方のコレクタベッド(37)からの還流を再分配する生成物流分配器(35)と、
前記生成物流分配器(35)上方のスプラッシュガード(39)と、
側部取出物用であるとともに横方向蒸気凝縮物出口(45)内に開口している生成物流コレクタ(41)と、
前記コレクタ(41)上方に配置された側部取出物分縮器(47)と、
コレクタ(37)、好適には前記側部取出物分縮器(47)上方の全体取出コレクタとを備えることを特徴とする、精留塔(1、19)内の下降還流(31)および上昇蒸気流(33)、ならびに質量および熱輸送を強化する前記塔(1、19)内に装着された充填物を含む、請求項10または11に記載の側部取出を実行する精留塔(1、19)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−509954(P2008−509954A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526367(P2007−526367)
【出願日】平成17年8月13日(2005.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008822
【国際公開番号】WO2006/018256
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】