説明

高清浄鋼の製造方法

【課題】鋳片の清浄性向上をめざして鋳型上部に設置された移動磁場発生装置と鋳型下部に設置された静磁場発生装置の双方を同時に用いる場合に、鋳造条件や電磁力の付与条件によっては鋳片内部の介在物が逆に悪化するという問題を解決する。
【解決手段】連続鋳造鋳型に設置された直流磁場発生装置で、鋳型の鋳片厚み方向に直流磁場を印加し、かつ直流磁場発生装置の上方で、鋳型内の溶鋼表面が存在する位置の近傍に設置された移動磁場発生装置により溶鋼表面位置での凝固シェル前面に連続的な溶鋼流を形成する場合に、移動磁場発生装置の推力と直流磁場発生装置の磁束密度および鋳造速度、鋳型幅、注入ノズルを介して鋳型内に吹き込むArガス流量で構成される関係式がある値の範囲を満たすようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造鋳型に設置された電磁気力場発生装置を用いて、鋳片表層および内部の介在物が少ない高清浄な鋳片を連続鋳造により製造する方法に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、連続鋳造鋳型の上部に電磁気力場を発生する装置を組み込み、溶鋼表面位置での凝固シェル前面に連続的な溶鋼流、すなわち水平断面内を旋回するような溶鋼流を生成させ、鋳片表面近傍の介在物を少なくする連続鋳造方法が、古くから広く知られている。また、鋳型内に設置した電磁気力場を発生する装置を用いて、溶鋼流れを制動することにより、介在物が鋳片内部に多くなることを防止する連続鋳造方法も広く知られている。
【0003】
その後、鉄鋼材料ユーザーの品質厳格化要求により、鋳片表面と内部の両方において介在物が少ない鋳片のニーズが高まり、これを実現するために、鋳型下部もしくは鋳型直下に電磁石を配置して溶鋼下降流に静磁場を作用させて制動させ、かつ鋳型上部に移動磁場形成磁石を組み込み、溶鋼流れを促進する技術(例えば、特許文献1および特許文献2参照)が発明された。
しかしながら、静磁場および移動磁場に関する条件については、それらの文献の実施例にわずかな記載があるのみで、鋳造速度や鋳片幅等の操業条件が変化した時に対する最適な電磁力の付与条件に関しては不明である。
【0004】
そのような鋳型部に移動磁界と静磁場の両方を付与させる連続鋳造技術に関しては、他にもいくつかの発明が為されている(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)。
しかしながら、特許文献3では、鋳型内への注入ノズル孔位置の上方および下方に別々の静磁場を付与する必要があり、機構的に複雑となる問題がある。特許文献4では、鋳型内への注入ノズルの形状を下向きに限定しているため、操業の自由度が制約される。また、特許文献5では、これまで述べた方法とは逆に静磁場を鋳型上部に、移動磁場を鋳型下部に付与する技術を提示しているが、この場合には、溶鋼上面に温度の高い溶鋼が供給されにくくなるため、溶鋼表面が薄く凝固する問題がある。更に、特許文献6では、鋳型内への注入ノズル吐出孔の位置を電磁力装置が発生する磁束密度がある値以下になる位置に設置するという発明が示されているが、この場合には、電磁力の効果を十分に発揮できない恐れがある。
【0005】
以上、移動磁場と静磁場を組み合わせて用いる鋳型内電磁力の適用方法について、従来の技術を述べたが、どの発明にも共通する問題は、鋳造速度や鋳型幅が変わった場合でも鋳片表層および内部介在物を低減出来るような、電磁力条件に関する規定が無いことである。
【0006】
【特許文献1】特開昭61−140355号公報
【特許文献2】特開平05−177317号公報
【特許文献3】特開平05−154620号公報
【特許文献4】特開平07−112246号公報
【特許文献5】特開昭62−72458号公報
【特許文献6】特開2000−47195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鋳型上部に設置された移動磁場発生装置と鋳型下部に設置された静磁場発生装置の双方を同時に用いる場合、鋳型上部の移動磁場により、鋳型上部の溶鋼流れは水平断面内を旋回する流れとなるが、この流れを強くすると鋳型短辺側の凝固シェルに流れが衝突し、一部の流れが短辺凝固シェル前面に沿って下方に向かい、鋳型下部の静磁場による制動が十分に効かない領域、すなわち凝固シェル前面を通過して溶鋼内部に到達する。この現象は、鋳型上部移動磁場を単独で用いた場合にも生じるが、鋳型下部の静磁場を併用した場合のほうが、影響が大きい。すなわち、鋳型下部の静磁場を併用した場合には、ノズル吐出流が静磁場によって制動され溶鋼表面に上昇してくることにより介在物の浮上が促進されるが、溶鋼表面に浮上した介在物が、前述した鋳型上部の水平溶鋼流に乗って鋳型短辺側に運ばれ、短辺に衝突した後、下降流によって鋳片内部に運ばれるため、鋳片内部の介在物が逆に悪化するという問題を生じる。
【0008】
この問題による悪影響の大きさは、操業条件によって異なる。すなわち、鋳型幅や鋳造速度によって影響が異なってくる。また、従来の発明では殆ど触れられていないが、注入ノズル詰まりを防止するために注入ノズル内に吹き込まれるArガスの流量も大きく影響する。更に、電磁力の条件もこの問題に大きく影響する。
【0009】
従って、上記の問題を解決するためには、鋳造速度や鋳型幅、Arガス流量が変化した場合にでも、最適な効果を得るための電磁力条件を求める必要があり、本発明はその条件を定める方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、本発明は以下の構成を特徴とする。
注入ノズル内にArを吹き込みながら連続鋳造鋳型に溶鋼を注入し、該鋳型に設置された直流磁場発生装置で、鋳型の鋳片厚み方向に直流磁場を印加し、かつ直流磁場発生装置の上方で、鋳型内の溶鋼表面が存在する位置の近傍に設置された移動磁場発生装置により溶鋼表面位置での凝固シェル前面に連続的な溶鋼流を形成させて高清浄鋼を連続鋳造する際に、以下(1)〜(3)の条件を満たすように移動磁場発生装置の推力F、鋳造速度V、鋳型幅W、注入ノズルを介して鋳型内に吹き込むArガス流量Q、直流磁場発生装置の磁束密度Mの条件を設定して鋳造することを特徴とする高清浄鋼の製造方法。
7≦F0.5×V0.5/(W×Q0.7×M0.3)≦16 (1)
1300≦F≦7300 (2)
0.3≦M (3)
ここで、F:移動磁場発生装置の推力 (N/m2
V:鋳造速度(m/min)
W:鋳型幅(m)
Q:注入ノズルを介して鋳型内に吹き込むArガス流量(Nl/min)
M:直流磁場発生装置の磁束密度(T:磁束密度分布の最大値)
【発明の効果】
【0011】
本発明は、鋳片内部の介在物を悪化させることなく、鋳片表面の介在物量を低減する方法を提供するものである。これにより、鋳片厚み方向全域にわたって介在物量が少ない鋳片を得ることが出来、製品加工においても欠陥が非常に発生しにくい鋼素材の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明者らは、鋳型上部に設置された移動磁場発生装置と鋳型下部に設置された静磁場発生装置の双方を同時に用いて、鋳型幅や鋳造速度、Arガス流量を変更した種々の条件で、電磁力条件(ここでは、鋳型上部移動磁場発生装置で生成する磁場によって生じる推力と鋳型下部の静磁場で発生する磁束密度をいう)を変化させ、鋳片表層と内部の介在物を調査した。その結果の詳細解析により、鋳造速度、鋳型幅、注入ノズルを介して鋳型内に吹き込むArガス流量と移動磁場発生装置の推力、直流磁場発生装置の磁束密度の関係が、ある条件を満たす場合に、介在物の個数が少なくなることを見出した。
【0013】
以下に本発明の詳細を記す。
まず、最適な電磁力条件を表す指標について検討した。鋳型上部の移動磁場発生装置と鋳型下部の静磁場発生装置の双方を同時に用いた場合に、鋳造条件によっては鋳片内部の介在物が悪化することがあるが、その機構は以下の通りである。すなわち、ノズル吐出流が静磁場によって制動され溶鋼表面に上昇してくることにより介在物の浮上が促進されるが、溶鋼表面に浮上した介在物が、移動磁場により生成した流れに乗り、鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して短辺凝固シェル前面に沿って下方に向かい、鋳型下部の静磁場による制動が十分に効かない領域、すなわち凝固シェル前面を通過して溶鋼内部に到達する。
【0014】
このことから、介在物が鋳型上部の溶鋼表面に上昇してくる位置が重要になる。すなわち、介在物の上昇位置が鋳型短辺に近いと、前記移動磁場により生成した流れに乗り溶鋼内部に入りやすくなり、逆に鋳型短辺から遠いと溶鋼内部に入りにくくなる。
そこで指標として、介在物が溶鋼表面に上昇する位置を注入ノズルからの鋳型幅方向の距離で表し、この距離を鋳型幅の1/2、すなわち注入ノズル位置と鋳型短辺間の距離で割って規格化したものを用いた。さらに理論解析より、この指標には、鋳型幅、注入ノズルを介して鋳型内に吹き込むArガス流量、直流磁場発生装置の磁束密度がマイナス側で影響し、移動磁場の推力と鋳造速度がプラスで作用することが判った。
【0015】
以上のことより、指標:Fm×Vn/(W×Qr×Ms)を設定した。ここで、Fは移動磁場発生装置の推力(N/m2)、Vは鋳造速度(m/min)、Wは鋳型幅(m)、Qは注入ノズルを介して鋳型内に吹き込むArガス流量(Nl/min)、Mは直流磁場発生装置の磁束密度(T:磁束密度分布におけるピーク値)である。また、m、n、r、sは累乗であり、Wの累乗を1として基準にした場合の数値である。この数値は、以下に示す多数の実機試験により求めた。
【0016】
本発明者らは次に実機での試験を行ない、解析した。すなわち、鋳型上部に設置された移動磁場発生装置と鋳型下部に設置された静磁場発生装置の双方を同時に用いて、鋳型幅や鋳造速度、Arガス流量、そして電磁力条件を変化させ、鋳片表層と内部の介在物を調査した。試験に用いた鋼の成分を表1に示す。また、試験条件を表2に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
鋳型上部に設置された移動磁場発生装置と鋳型下部に設置された静磁場発生装置の同時使用に先立ち、まず移動磁場発生装置を単独で用いた場合の適正条件の検討を行った。評価に当たっては鋳片表層から10mm位置までに介在物個数を実測して行なった。
その結果を図1に示す。ここでは、介在物個数の基準を1000個/kgとしたが、図より鋳片表層の介在物個数は移動磁場発生装置の推力が1300〜7300N/m2の場合に介在物個数が基準値より下まわり良好な結果が得られることが判った。
【0020】
次に、直流磁場発生装置を単独で用いた場合の適正条件範囲を求めた。評価は鋳片内部、すなわち鋳片表層より20mm位置までの中心部までの介在物個数で行なった。
結果を図2に示す。同様に介在物個数基準を1000個/kgとしたが、図2より鋳片内部の介在物個数は直流磁場発生装置の磁束密度が0.3T以上の場合に基準値より下まわり良好な結果が得られることが判った。
【0021】
上記で得られた各々の適正条件範囲内で、次に鋳型上部に設置された移動磁場発生装置と鋳型下部に設置された静磁場発生装置の同時使用の試験を行なった。前述の通り、指標:Fm×Vn/(W×Qr×Ms)は、介在物が溶鋼表面に上昇する位置と注入ノズルとの距離を注入ノズル位置と鋳型短辺間の距離で割って規格化したものである。この指標の累乗m、n、r、sを求めるため、実機試験で試験条件を変化させ、以下の3つの関係を測定した。すなわち、介在物浮上位置と比例関係にある鋳型内溶鋼流速と磁場推力との関係、鋳造速度と鋳型内溶鋼流速との関係、そして鋳型内溶鋼表面を詳細に観察することにより測定したArガスの浮上位置(実際の介在物は目視できないので介在物と類似挙動するArガスで評価した)と注入ノズルとの距離を注入ノズル位置と鋳型短辺間の距離で割って規格化した値と指標との関係である。
【0022】
まず、移動磁場発生装置の推力:Fの累乗は理論的には1となるが、介在物浮上位置と比例関係にある鋳型内溶鋼流速について推力との関係を測定した結果、0.5が適当であることが判ったので、m=0.5に固定した。同様に、鋳造速度:Vに関しても、直流磁場がない場合にはVの累乗は1となるが、直流磁場がある場合には鋳造速度の影響代が小さくなる。これも実際に鋳造速度と鋳型内溶鋼流速との関係を測定した結果、0.5が妥当であることが判った。
【0023】
次に、注入ノズルを介して鋳型内に吹き込むArガス流量:Qと直流磁場発生装置の磁束密度:Mの累乗であるrおよびsに関しては、m=0.5とn=0.5を代入した指標の式でrとsを変化させ、実機試験で測定したArガスの浮上位置と注入ノズルとの距離を注入ノズル位置と鋳型短辺間の距離で割って規格化した値と対比させた。その結果、s=0.7、r=0.3の場合に両者の傾向が最も合う条件であることを見出した。
【0024】
結果を図3に示す。縦軸には、鋳片内の直径53μm以上の介在物個数を示す。横軸は、これらの累乗の数値を入れた指標とした。図3より、鋳片内介在物個数、すなわち鋳片表層介在物と内部介在物を合計した個数が少なくなる指標の条件は、7から16の範囲である。
【0025】
次に、発明の条件を規定した理由とこの発明の具体的な適用法について説明する。
対象となるプロセスは連続鋳造であり、目的は鋳型上部に設置された移動磁場発生装置と鋳型下部に設置された静磁場発生装置の双方を用いて鋳片内介在物個数を低減することである。
指標は、以下の(1)に示す式で表わされ、その範囲は(1)の範囲である。
7≦F0.5×V0.5/(W×Q0.7×M0.3)≦16 (1)
ここで、F:移動磁場発生装置の推力(N/m2)、V:鋳造速度(m/min)、W:鋳型幅(m)、Q:注入ノズルを介して鋳型内に吹き込むArガス流量(Nl/min)、M:直流磁場発生装置の磁束密度(T:磁束密度分布におけるピーク値)である。
【0026】
この指標の式は、前述した実機試験の解析結果より得られたものである。指標の範囲の7から16は、鋳片内介在物個数を少なくすることが出来る条件で、同じく実機試験の解析結果、図3より得られたものである。
【0027】
次に、移動磁場発生装置の推力F(N/m2)は、以下の(2)の範囲である。
1300≦F≦7300 (2)
移動磁場発生装置の推力Fを1300〜7300(N/m2)に規定したのは、前記図1に見られるように、移動磁場発生装置単独使用でも鋳片表層介在物個数が基準値以下となる条件を選んだ。
【0028】
一方、直流磁場発生装置の磁束密度M(T)は、以下の(3)の範囲である。
0.3≦M (但し、Mは磁束密度分布の最大値である) (3)
直流磁場発生装置の磁束密度を0.3T以上としたのは、前記図2において直流磁場発生装置単独使用でも鋳片内部の介在物個数基準値以下となる条件を選んだ。
【0029】
なお、前記移動磁場発生装置の推力は、鋳造中に実測することは出来ないので、予め非鋳造中に測定して移動磁場発生装置に付与する電流値と推力の関係を求めておき、鋳造中にその関係から電流値を基に推力の制御することが可能となる。また、静磁場の磁束密度に関しても同様に、予め非鋳造中に測定して静磁場発生装置の電流値と磁束密度の関係から、鋳造中に電流値で磁束密度を制御することが可能となる。なお、磁束密度の大きさは鉛直方向に分布を持っているが、ここでは分布の最大値の値を直流磁場発生装置の磁束密度Mとして用いた。
【0030】
具体的な適用方法としては、鋳造する鋼種や操業条件によって、鋳型幅と目標鋳造速度、および注入ノズルからのArガス流量の各規制範囲が予め決められているので、これらの範囲の中から、前記(1)〜(3)の数値が適正範囲内に入るように、推力と磁束密度の組み合わせを決定し、それぞれの磁場発生装置の電流値を制御すれば良い。移動磁場発生装置の推力Fと直流磁場発生装置の磁束密度Mの組み合わせは複数種類存在するが、どの組み合わせでも、指標が前記式の適正範囲に入っていれば問題ない。適正範囲内であれば、鋼種によって要求される品質特性が鋳片表層部の介在物個数低減を重視する場合には移動磁場の推力を強めにし、また、要求される品質特性が鋳片内部の介在物個数低減を重視する場合には静磁場の磁束密度を強めにする等の設定をしても構わない。
【0031】
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例で採用した条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するための一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではなく、本発明を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【実施例】
【0032】
連続鋳造機を用いて鋳片を製造した。鋳片に用いた鋼の成分を表3に示す。また共通の実施条件および評価方法を表4に示し、個別の実施条件を表5に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
実施結果を同じく表5に示すが、表より本発明の条件を満たす場合には、鋳片内の介在物個数、すなわち鋳片表層介在物と内部介在物を合計した個数が少なく、良好な清浄性の鋳片を製造することが出来た。
【0037】
一方、比較1,比較2,比較3,比較4,比較5,比較6,比較7,比較8のいずれの比較例においても、鋳片内の介在物個数は多い結果となった。すなわち、比較1では指標が38.7、比較2では21.3、比較3では25.4と適正範囲より大きな数値となったため、鋳片内の介在物個数が多かった。また、比較4では指標が6.5、比較5では3.1と適正範囲より小さな数値となったため鋳片内の介在物個数が多い結果となった。なお、比較3は磁束密度の適正範囲も外れており、また比較4および比較5は推力の適正範囲も外れている。更に、指標は適正条件内に入っていても、比較6では推力が適正範囲より小さすぎたために、比較7では推力が適正範囲より大きすぎたために、また比較8では磁束密度が適正は範囲より小さすぎたために、鋳片内介在物個数が多くなった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】移動磁場発生装置の推力と鋳片表層介在物個数の関係を表した図である。
【図2】静磁場発生装置の磁束密度と鋳片内部介在物個数の関係を表した図である。
【図3】指標と鋳片内介在物個数の関係を表した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入ノズル内にArを吹き込みながら連続鋳造鋳型に溶鋼を注入し、該鋳型に設置された直流磁場発生装置で、鋳型の鋳片厚み方向に直流磁場を印加し、かつ直流磁場発生装置の上方で、鋳型内の溶鋼表面が存在する位置の近傍に設置された移動磁場発生装置により溶鋼表面位置での凝固シェル前面に連続的な溶鋼流を形成させて高清浄鋼を連続鋳造する際に、以下(1)〜(3)の条件を満たすように移動磁場発生装置の推力F、鋳造速度V、鋳型幅W、注入ノズルを介して鋳型内に吹き込むArガス流量Q、直流磁場発生装置の磁束密度Mの条件を設定して鋳造することを特徴とする高清浄鋼の製造方法。
7≦F0.5×V0.5/(W×Q0.7×M0.3)≦16 (1)
1300≦F≦7300 (2)
0.3≦M (3)
ここで、F:移動磁場発生装置の推力 (N/m2
V:鋳造速度(m/min)
W:鋳型幅(m)
Q:注入ノズルを介して鋳型内に吹き込むArガス流量(Nl/min)
M:直流磁場発生装置の磁束密度(T:磁束密度分布の最大値)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−301630(P2007−301630A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135501(P2006−135501)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】