説明

高温作動型燃料電池システム

【課題】比較的小規模のユーザー(例えば、一般家庭や中小規模の飲食店、食品加工工場等)の電力需要や熱需要を上回る余剰発電出力や余剰熱出力を有効利用することが出来て、当該比較的小規模のユーザーからの廃棄物の処理に寄与することが出来る様な高温作動型燃料電池システムを提供する。
【解決手段】廃棄物12を減容処理するための減容処理容器10を備え、該減容処理容器10には、燃料電池1の高温排ガス、燃料電池の発電部分から抽気される高温ガス(抽気ガス)、燃料電池1の発電出力が供給される電気加熱装置(電気ヒーター)により加熱される空気の何れかが供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、固体酸化物燃料電池(SOFC)や溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)の様な高温作動型燃料電池を具備するシステムに関する。より詳細には、本発明は、一般家庭や中小規模の飲食店や食品加工工場の様な、比較的小規模のユーザーから生じる廃棄物の処理に寄与することが出来る様な高温作動型燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭や中小規模の飲食店、食品加工工場など、電力需要と熱需要に加え、日常的に生ごみに代表される有機性廃棄物が1日当り一トン未満の規模で生成している需要家では、照明、動力等の電力負荷と給湯、暖房などの熱需要があることに加え、食事や飲食サービス、食品加工等に伴う生ごみが日常的に発生している。そして、衛生上の理由や保管スペースの問題から、これらのゴミはその都度まとめ、収集場に運んで処理業者に処分依頼を行うという、煩雑で不快な作業を頻繁に行う必要があった。
【0003】
家庭や中小規模の飲食店、食品加工工場などを一部のユーザーとする発電システムであって、固体酸化物燃料電池(SOFC)や溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)といった、高温作動型燃料電池を利用する燃料電池システムは、炭化水素系燃料を改質して利用し、SOFCでは600〜1000℃程度、MCFCでは約500〜900℃程度の高温で作動させる。
【0004】
従ってこれら燃料電池の排気ガスは、家庭を想定した1kW級でも、150〜200℃程度、業務用を想定した5〜数十kW級では200〜500℃以上と、高温であるのが一般的である。
【0005】
上記燃料電池は、高温排ガスの熱エネルギーを、排ガス熱交換器を利用して、風呂や厨房などの給湯等も行わせることで、電力と熱を需要家に供給するコージェネレーションシステムとすることが一般的である。
【0006】
ここで、固体酸化物燃料電池(SOFC)や溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)などの高温作動型燃料電池からの高温排気を利用し、これを熱分解炉に投入することで生ごみ等の廃棄物を熱分解反応させ、廃棄物を高速減容処理するとともに、発生したCOとHの混合ガス(熱分解ガス)を生成し、前記燃料電池の燃料として利用する、廃棄物発電システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
又、生ごみを高速減容処理する装置として、生ごみを収納して乾燥させる乾燥用容器と、この容器に設けられた生ごみ撹拌手段と、乾燥容器内にブロワーと電気ヒーターを利用して温風を吹付ける温風発生装置と乾燥処理に伴って生じる蒸気と臭気成分を含む排気ガスを脱臭し、ブロワーにて排気する排気手段を設け、前記温風を乾燥容器内下方に向う旋回流とすることで、乾燥した生ごみが巻き上げられない様にした生ごみ乾燥処理機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
さらに、多量の生ごみを高速処理する際に発生するガスの脱臭エネルギーを低減できる生ごみ処理装置として、生ごみ処理槽の生成ガスに補助燃料を加えて混合気を形成し、この混合気を燃焼部で触媒燃焼させる生ごみ処理装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
その装置は、上記燃焼部における発熱や、燃焼部での排気ガスの持つ熱を生ごみ処理層に伝達することで、生ごみの乾燥・減容処理に利用することも特徴としている。加えて電気ヒーターを利用することで、上記脱臭手段における燃焼用触媒の外周部上流温度が所定値になるよう、制御する手段も設けている。
生ごみ処理の方法としては、40〜60℃に加温した処理容器内で微生物を活性させ、微生物の分解速度を速める高速減容処理である促進微生物方式を想定しており、上記提案は、この方式を用いる場合に生ごみ処理層から放出される発酵ガスや臭気成分の課題と、生ごみ処理槽の加熱エネルギー確保の課題を解決する手段として提案されている。
【0009】
家庭や飲食店、食品加工工場などでは、一日における電力と熱(給湯)の需要が時間や曜日によって大きく変化するが、これらの需要変化に対応し、常に高い効率で熱電併給できるシステムや、その運転方法が提供されていない。特に家庭においては休日や夜間、店舗・工場においては休業時間帯は、電力、熱共に需要が減少するのが一般的である。
しかし、高温作動型燃料電池は、熱自立や省エネ性維持等の理由から、完全な起動・停止を伴うDSS(1回/1日、起動・停止)運用は困難であり、これらの時間帯では燃料電池が熱自立を維持できる最低出力状態の運転を保持する準DSS運用を行うことが現実的である。その場合、需要家の電力や熱の需要量によっては、余剰の発電出力や排気ガスの熱が発生することとなり、これらを有効利用することは、省エネルギー化や環境負荷の低減の観点から、重要な課題となっている。
【0010】
前述の特許文献1で引用した熱分解方式による廃棄物の減容化は、残渣成分が少ないことに加え、生成する熱分解ガスが高温作動型燃料電池の燃料ガス成分に近いために再利用もしやすく、省エネルギーや廃棄物処理問題を解決できる可能性が有る。しかし一般的に、熱分解方式は1日当りの廃棄物処理量が、数トン〜数十トンクラスの比較的大きな処理システムでなければ、高温の反応炉を運転させる熱分解が維持出来ないという問題を抱えている。
従ってこの方式では、廃棄物発電システムが大規模である必要があり、システムの運転を維持するためには、家庭や店舗の夫々の場所で発生する廃棄物を、日常的に収集し、安定供給する必要が生じてしまう。従って、需要家側から見れば、そのシステムを運用するためには、従来通り発生する廃棄物を、そのままの状態で発生の度にまとめて収拾場まで運搬しなければならず、不快で煩雑な作業を頻繁に行わざるを得ないという課題がある。
【0011】
また、前述の文献2で引用した技術では、生ごみを高速減容処理するため、温風発生用ヒーターや吸・排気用のブロワー及び撹拌手段等で多量の電力を消費する。電気ヒーター等、これら電力には直流供給されるほうがよいものもあるが、交流の系統電力を利用すれば直流変換する際にロスが生じる。温風を乾燥機内に吹付ける方法が改善されているものの、乾燥ゴミに温風を吹付けることで、乾燥ゴミが巻き上げられ、容器内などで散乱する課題は依然として残っている。
【0012】
さらに、前述の文献3で引用した技術では、生ごみ処理層での生成ガスに、他の燃料を加えて燃焼させるため、省エネルギーの点で課題が残る。特に多量の空気を含む排気ガスに含まれる生成ガス(可燃成分)の濃度は比較的低いため、これを触媒燃焼で処理する際には、補助燃料の投入量が相対的に多くなり、省エネルギー性が大きく損なわれてしまう。触媒燃焼を確実に行うために、触媒燃焼部の外周上流側に電気ヒーターを設けて加温制御を行っているが、加熱用や制御動作のための電力が必要となっている。電気ヒーター用等、これら電力には直流供給されるほうが良いものもあるが、その場合、交流系統電力を利用すれば、交流・直流変換の際にロスが生じてしまう。
【特許文献1】特開2003-243019号公報
【特許文献2】特開2003-24896号公報
【特許文献3】特開2003-175371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、比較的小規模のユーザー(例えば、一般家庭や中小規模の飲食店、食品加工工場、各種オフィス等)の電力需要や熱需要を上回る余剰発電出力や余剰熱出力を有効利用することが出来て、当該比較的小規模のユーザーからの廃棄物の処理に寄与することが出来る様な高温作動型燃料電池システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の高温作動型燃料電池システムは、廃棄物(12)を減容処理するための減容処理容器(10)を備え、該減容処理容器(10)には、燃料電池(1)の高温排ガス、燃料電池の発電部分から抽気される高温ガス(抽気ガス)、燃料電池(1)の発電出力が供給される電気加熱装置(電気ヒーター14h)により加熱される空気の何れかが供給されることを特徴としている(図1)。
【0015】
本発明において、前記減容処理容器(10A)のケーシングは多層構造となっており、廃棄物が貯留する内部ケーシング(11A)と、その直ぐ外側のケーシング(11B)との間の空間に、燃料電池(1)の高温排ガス、燃料電池(1)の発電部分から抽気される高温ガス(抽気ガス)、燃料電池(1)の発電出力が供給される電気加熱装置(電気ヒーター14h)により加熱される空気の何れかが供給される様に構成されているのが好ましい(図2)。
この場合(図2の場合)、減容処理容器(11A)内の廃棄物を脱水乾燥処理するか、或いは、現要処理容器(11A)内の温度を40℃〜60℃にして、微生物の作用により廃棄物(12)を処理するのが好ましい。
【0016】
本発明の高温作動型燃料電池は、廃棄物(12)を減容処理するための減容処理容器(10B)を備え、該減容処理容器(10B)には減容処理容器加熱用の電気加熱装置(例えば電気ヒーター16)が設けられており、該減容処理容器加熱用の電気加熱装置(例えば電気ヒーター16)には燃料電池(1)の発電出力が供給されることを特徴としている(図3)。
この場合(図3)も、減容処理容器(10B)内の廃棄物(例えば生ゴミ12)を脱水乾燥処理するか、或いは、減容処理容器(10B)内の温度を40℃〜60℃にして、微生物の作用により廃棄物(12)を処理するのが好ましい。
【0017】
本発明において、前記減容処理容器(10)内の廃棄物(12)を攪拌する攪拌用電気モータ(13m)と、減容処理容器(10)からの排ガス(減容処理容器10から排出される臭気成分を含んだ排気)を排気するためのブロワー(20)と、減容処理容器(10)からの排気を脱臭処理するための脱臭装置(30)を有し、該電気モータ(13m)、ブロワー(20)、脱臭装置(30)には燃料電池(1)の発電出力が供給されるのが好ましい(図4)。
【0018】
ここで、前記脱臭装置は、減容処理容器(10)からの排気が流過するライン(Lh4)に介装された脱臭触媒(31)と、該脱臭触媒(31)よりも減容処理容器(10)側に設けられ且つ脱臭触媒(31)に流入する(減容処理容器10からの)排気を加熱する脱臭触媒流入排気加熱用電気加熱装置(電気ヒーター31h)とを有し、該脱臭触媒流入排気加熱用電気加熱装置(電気ヒーター31h)には燃料電池(1)の発電出力が供給されるのが好ましい(図5)。
【0019】
或いは、前記脱臭装置として、燃料電池(1)の発電出力が供給されるオゾン発生装置(オゾナイザー33)を用いることが可能である(図6)。
【0020】
本発明において、減容処理容器(10A)が多層構造をしている場合に(図2参照)、減容処理容器(10A)の排ガスが流過するライン(Lh4)に精製器(34)を介装し、該精製器(34)は減容処理容器(10A)からの排ガスから燃料成分(メタンCHやプロパンC等)を抽出し且つ抽出した燃料成分を燃料電池(1)の燃料供給系(4における改質器上流の領域)に供給する様に構成されているのが好ましい(図7)。
この場合、該精製器(34)は、燃料電池(1)の出力電流により作動するのが好ましい。
【0021】
また、本発明において、熱需要に対処するための熱交換器(給湯・温水暖房用の熱交換器40)を設け、該熱交換器(40)には燃料電池(1)の高温排ガス或いは燃料電池(1)の発電部分から抽気される高温ガス(抽気ガス)の何れかが供給される様に構成されているのが好ましい(図8〜図13)。
ここで、燃料電池(1)の高温排ガス或いは燃料電池の発電部分から抽気される高温ガス(抽気ガス)の前記熱交換器(40)に供給されない方は、前記減容処理容器(10)に供給される。
【0022】
本発明において、電力需要監視装置(例えば、需要者側の電力計Me2)と、熱需要監視装置(例えば、需要者側の給湯量センサ、需要者側の暖房用温水流量センサMw2及び温度センサ)と、電力出力監視装置(例えば、出力電力センサMe2)と、熱出力監視装置(給湯量センサMw1、暖房用温水流量センサ及び温度センサ)と、減容処理容器(10)内の廃棄物計測装置(例えば質量センサ70:質量や含水率を計測)と、制御手段(統合制御コントローラー60)とを備え、該制御手段(統合制御コントローラー60)は、電力需要及び熱需要が少ない時間帯(例えば、深夜〜早朝の時間帯)には発電出力及び/又は熱出力は減容処理容器(10)における廃棄物処理に用いられ、電力需要及び熱需要が多い時間帯(例えば、昼間の時間帯)には余剰出力(余剰の発電出力及び/又は余剰の熱出力)のみが減容処理容器(10)における廃棄物処理に用いられる制御を行う様に構成されているのが好ましい(図14〜図20)。
ここで、バックアップ加熱用の加熱装置(例えば、バックアップ用給湯装置等)と、該加熱装置による加熱量計測装置(例えば、バックアップ用給湯装置への燃料供給量計測装置)とを設けているのが好ましい。
【0023】
この様に構成された高温作動型燃料電池(図14〜図20)の制御方法において、電力需要及び熱需要が少ない時間帯(例えば、深夜〜早朝の時間帯)には発電出力及び/又は熱出力は減容処理容器(10)における廃棄物処理に用いられ、電力需要及び熱需要が多い時間帯(例えば、昼間の時間帯)には余剰出力(余剰の発電出力及び/又は余剰の熱出力)のみが減容処理容器(10)における廃棄物処理に用いられるのが好ましい(図19、図20)。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、家庭における休日夜間や、店舗、工場における休業時間帯に、それまで余剰しがちだった電力と熱を利用して、廃棄物を減容処理することで、ごみ処理のエネルギーとして有効活用出来るため、各家庭や店舗、工場でのエネルギーの無駄が減少し、省エネ性が向上する。
【0025】
また、ごみ処理のための電気ヒーター加熱や粉砕撹拌、脱臭や搬送動力などで、燃料電池の直流出力を利用するため、従来の系統電力(交流)を用いるごみ処理に比べて、省エネ性が高いゴミ処理が可能となる。
【0026】
各需要家におけるオンサイト廃棄物減容処理により、各需要家が排気するゴミの体積と質量が減少(例えば、生ごみをそのまま収集するのに比べ1/7の容積まで減容)するため、ゴミの収集や処理場で消費する処理のエネルギーを大幅に削減することが出来る。
即ち、ゴミの収集、運搬を含めたごみ処理サイクル全体のエネルギー削減効果が大である。
【0027】
各需要家におけるオンサイト廃棄物減容処理により、従来問題となっていた、日常的に発生する廃棄物を、そのままの状態で発生の度にまとめて収集するという、不快で煩雑な作業から開放される。
【0028】
上述した様な構成を具備する本発明の高温作動型燃料電池システム(図1の燃料電池システム)によれば、燃料電池(1)の高温排ガス、燃料電池(1)の発電部分から抽気される高温ガス(抽気ガス)、燃料電池(1)の発電出力が供給される電気加熱装置(電気ヒーター14h)により加熱される空気の何れかが減容処理容器(10)に供給され、減容処理容器(10)内の廃棄物(例えば、生ゴミ12)を加熱し、乾燥して、その容積を減少させる(減容する)。
そのため、高温作動型燃料電池(1)における余剰発電出力や余剰熱出力を有効利用することが出来て、当該比較的小規模のユーザーからの廃棄物の処理に寄与することが出来るのである。
ここで、通常の電気加熱装置(例えば電気ヒーター14h)は、直流電流を供給される方が(交流電源で駆動するよりも)効率が良い。本発明では、上記電気加熱装置(14h)の駆動電流は高温作動型燃料電池の出力電流、すなわち直流電流であるので、電気加熱装置を効率良く用いることが出来る。
【0029】
そして、前記減容処理容器(10A)を多層構造にせしめ、廃棄物(12)が貯留する内部ケーシング(11A)と、その直ぐ外側のケーシング(11B)との間の空間に、燃料電池(1)の高温排ガス、燃料電池(1)の発電部分から抽気される高温ガス(抽気ガス)、燃料電池(1)の発電出力が供給される電気加熱装置(電気ヒーター14h)により加熱される空気の何れかが供給される様に構成すれば(図2)、減容処理容器(10A)に供給される高温の気体が水蒸気を包含していても包含していなくとも、その保有する熱量のみが廃棄物(例えば生ゴミ12)を加熱して、乾燥・減容するのに利用されるので、水蒸気を包含しない抽気ガスを利用できない場合でも、確実に廃棄物(例えば生ゴミ12)を乾燥・減容することが可能になる。
【0030】
減容処理容器(10B)に減容処理容器加熱用の電気加熱装置(例えば電気ヒーター16)を設け、該減容処理容器加熱用の電気加熱装置(例えば電気ヒーター16)には燃料電池(1)の発電出力が供給される様に構成した本発明によれば(図3)、減容処理容器加熱用の電気加熱装置(例えば電気ヒーター16)により廃棄物(生ゴミ12)が加熱され、減容される。
この場合においても、減容処理容器加熱用の電気加熱装置(例えば電気ヒーター16)の駆動電流は高温作動型燃料電池(1)の出力電流、すなわち直流電流であるので、減容処理容器加熱用の電気加熱装置(例えば電気ヒーター16)を効率良く用いることが出来るのである。
【0031】
本発明において、前記減容処理容器(10)内の廃棄物を攪拌、破砕する攪拌・破砕用電気モータ(13m)と、減容処理容器(10)から排気するためのブロワー(20)と、減容処理容器(10)からの排気を脱臭処理するための脱臭装置(30)を有し、該電気モータ(13m)、ブロワー(20)、脱臭装置(30)には燃料電池(1)の発電出力が供給されれば(図4)、生ゴミ等の廃棄物(12)を処理した際に生じる悪臭が減容処理容器(10)周囲の環境に悪影響を与えることが確実に防止される。
【0032】
ここで、前記脱臭装置が、脱臭触媒(31)と該脱臭触媒(31)に流入する(減容処理容器10からの)排気を加熱する脱臭触媒流入排気加熱用電気加熱装置(電気ヒーター31h)とで構成され、該脱臭触媒流入排気加熱用電気加熱装置(電気ヒーター31h)には燃料電池(1)の発電出力が供給されれば(図5)、減容処理容器(10)からの排気の悪臭が確実に除去されると共に、直流である燃料電池出力が使用されるので、脱臭触媒流入排気加熱用電気加熱装置(電気ヒーター31h)における効率が向上する。
【0033】
或いは、前記脱臭装置として、燃料電池(1)の発電出力が供給されるオゾン発生装置(オゾナイザー33)を用いれば(図6)、減容処理容器(10B)からの排気に包含される臭気成分(悪臭成分)がオゾンの強力な酸化力により酸化されて、確実に脱臭される。それと共に、直流である燃料電池出力が供給されるので、オゾン発生装置(33)の効率が向上する。
【0034】
ここで、廃棄物を発酵処理にて減容する場合に、減容過程で精製する醗酵ガスは二酸化炭素(CO)とメタン(CH4)やプロパン(C)等との混合物であり、当該醗酵ガスから二酸化炭素(CO)を除去すれば、燃料電池の燃料供給系の改質器上流側領域に供給される燃料ガスと組成は変わらなくなる。
そこで、本発明において、減容処理容器(10A)の排ガスが流過するライン(Lh4)に精製器(34)を介装し、該精製器(34)は減容処理容器(10A)からの排ガスから燃料成分を抽出し且つ抽出した燃料成分を燃料電池(1)の燃料供給系(4)に供給する様に構成すれば(図7)、廃棄物(例えば生ゴミ12)処理により生成される醗酵ガスの有効利用が図られる。
【0035】
本発明において、熱需要に対処するための熱交換器(給湯・温水暖房用の熱交換器40)を設け、該熱交換器(40)には燃料電池(1)の高温排ガス或いは燃料電池(1)の発電部分から抽気される高温ガス(抽気ガス)の何れかが供給される様に構成すれば(図8〜図13)、熱交換器(40)に供給された高温ガス(高温排ガス或いは抽気ガスのいずれか一方)が保有する熱量によりユーザー(例えば、一般家庭や中小規模のオフィス)の熱需要に対処することが出来る。
ここで、熱交換器(40)には供給されなかったもう一方の高温ガス(高温排ガス或いは抽気ガスの内、熱交換器40に供給されなかった方)を減容処理容器(10)へ供給すれば、熱需要に対処すると同時に、廃棄物処理を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1を参照して第1実施形態を説明する。
【0037】
第1実施形態の高温作動型燃料電池システムは、発電システムは、固体酸化物燃料電池(SOFC)や溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)といった高温作動型燃料電池において、燃料電地の高温排気ガスか、発電部を冷却する際に得られる高温抽気ガスか、発電した電力の内、一つ以上を利用することで廃棄物を高速減容処理する廃棄物減容処理機能付き高温作動型燃料電池の実施形態である。
【0038】
図1において、高温作動型燃料電池(以降、高温作動型燃料電池を、燃料電池と略記する)1には、燃料電池1の発電モジュール等の温度を計測し、図示しない制御手段に図示しない信号ラインで前記計測した温度情報を伝送する、温度計測器2が取り付けられている。
【0039】
燃料電池1で発電された電力(直流電流)は、燃料電池1側の出力電力ラインLe1によってパワーコンディショナーを経由して、電力系統50に系統連系して供給する様に構成されている。
なお、「パワーコンディショナー」なる文言は、符号8で示すD/Dコンバータと符号9で示すインバータと、符号3で示す発電出力調整機構とを、包括的に表現する文言である。
【0040】
燃料電池1側の出力電力ラインLe1には、燃料電池1の電力出力(例えば、電流密度及び/又は燃料利用率)を調整するため、D/Dコンバータ8と、インバータ9を介装している。
【0041】
当該システムは、燃料電池1に燃料を供給する燃料供給ライン4と燃料電池1の酸化剤(例えば空気)を供給する酸化剤供給ライン6を備えており、燃料供給ライン4には燃料電池1に供給する燃料供給量を制御する燃料調整弁5が、一方、酸化剤供給ライン6には燃料電池1に供給する酸化剤(例えば、空気)供給量を制御する酸化剤調整弁7が介装されている。又、燃料電池1の発電モジュールには流量制御弁Vaを介装した冷却用空気供給ラインLaが連通し、そのラインLaを介して冷却用空気が供給される。
【0042】
燃料電池1のオフガス燃焼部1aには燃料電池1の高温排ガスを排出する第1の排気系Lh1が接続されている。又、燃料電池1の発電モジュールには発電モジュールの抽気高温排ガスを排出する第2の排気系Lh2が接続されている。
【0043】
第1の排気系Lh1は、オフガス燃焼部1aから下流に向って、配管Lh11、第1の三方弁(切換弁)Vh1、配管Lh12、合流点G、配管Lh13、第3の三方弁(切換弁)Vh3及び配管Lh14とが互いに接続されて構成されている。
【0044】
一方第2の排気系Lh2は、燃料電池1の発電モジュールから下流に向って、配管Lh21、第2の三方弁(切換弁)Vh2、第2の三方弁(切換弁)Vh2で分岐する配管Lh22及びLh23とが互いに接続されて構成され、配管Lh22は、前記合流点Gにおいて、第1の排気系Lh1に合流している。
【0045】
第1の排気系の第3の三方弁Vh3からは、廃棄物処理用の排気管Lh3が廃棄物処理装置を構成する廃棄物処理容器(減容処理容器;以降、廃棄物処理容器を減容処理容器という)10内に連通して、高温の排気を減容処理容器10に投入する様に構成されている。
【0046】
ここで、廃棄物処理装置は、廃棄物処理容器(減容処理容器)10と減容処理容器10に溜められた廃棄物12をモータ13mによって粉砕・撹拌する粉砕・撹拌機13とで構成されており、燃料電池1が排出する高温排気の一部(オフガス燃焼部1aから排出される排気の一部、及び/又は発電モジュールから直接排出される抽気ガスの一部)を、排気管Lh3を介して減容処理容器10内に吹き込むように構成されている。
【0047】
第1の排気系Lh1に介装された第1の三方弁Vh1は、弁操作によって、排気の一部、或いは全量を大気側に放出することも出来る。
第2の排気系に介装された第2の三方弁Vh2は、弁操作によって、排気の一部或いは全量を、配管Lh23を介して、図示しない排熱利用系に送ることも、配管Lh22を介して、合流点G側に流すことも出来る。
第1の排気系に介装された第3の三方弁Vh3は、弁操作によって、排気の一部或いは全量を、配管Lh3を介して廃棄物処理装置の減容処理容器10側に送ることも、排気管Lh14を経由して大気に放出することも出来る。
【0048】
廃棄物処理装置の減容処理容器10には排気ラインLh4が接続されており、減容処理容器10内で廃棄物12に熱を与えた後の排気ガス及び、廃棄物処理の過程で生じるガス類を、排気ラインLh4を介して、減容処理容器10外に排出する様に構成されている。又、排気ラインLh4の途中にはドレン管Ldが分岐しており、排気ラインLh4を流過する過程で排気ガス中に含まれる水蒸気が凝縮して生じた水分を途中で除去する様に構成されている。
更に、排気ラインLh4の減容処理容器10とドレン管Ldの間の領域には、ブロワー20が介装されており、減容処理容器10内で発生するガス及び排気を吸引して強制的に減容処理容器10外に排出する様に構成されている。
【0049】
図示の例では、ブロワー20とは別の、電気ヒーター14hを有する温風ブロワー14から減容処理容器10内に温風が送られるように構成されている。
【0050】
温風ブロワー14の電気ヒーター14hは、燃料電池1の出力電力ラインLe1に介装された切り替えスイッチ15と電源ラインLe2によって接続され、燃料電池1で発電した電力の一部又は前部が温風ブロワー14のヒーター14hに送られるように構成されている。
【0051】
水蒸気を含む燃料電池の排気ガス、例えば、固体酸化物燃料電池(SOFC)や溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)の高温排ガスよりも、これ等の燃料電池における発電部から得られる抽気ガスの方が、減容処理容器内10の廃棄物12を乾燥するのには好適である。従って、定格出力に近い状態で運転している場合は、抽気ガスの方を優先的に排気処理装置側に流すように制御している。
しかし、定格出力の50%以下の部分負荷運転時には抽気ガスが発生しない場合がある。その様な、抽気ガスが常時得られない場合には、第1の排気系Lh1側の燃料電池高温排ガスや、電気ヒーター14hで加熱された空気を温風ブロワー14で減容処理容器10内へ供給するのが好適である。
【0052】
次に、図2を参照して第2実施形態を説明する。
【0053】
第2実施形態は、廃棄物減容処理が、燃料電池の高温排気ガス、発電モジュールから抽気される高温ガス、又は発電出力を利用して電気ヒーターにより生成される温風の何れか一つを、多層構造から成る処理容器内を流通させ、容器内の廃棄物を40〜60℃として促進微生物方式によって廃棄物を処理する高速減容処理システムの実施形態である。
【0054】
図2の第2実施形態は、図1の第1実施形態に対して、廃棄物処理装置の減容処理容器が異なる。即ち、図2の第2実施形態の減容処理容器10Aは、内側ケーシング11Aと外側ケーシング11Bとで構成される二重構造(2槽式)の容器を有している。
【0055】
内側のケーシング11Aは第1実施形態の減容処理容器10と同様であって、内側のケーシング11Aを、所定の隙間を保ちつつ、外側のケーシング11Bによって囲んだ構成である。そして、内側のケーシング11Aと外側のケーシング11Bとの隙間に、排気管Lh3を経由した高温排気及び又は抽気ガスが投入され、それらのガスの保有する熱エネルギーが減容処理容器10Aの内側ケーシング11Aを介して、間接的に内側ケーシング11A内の廃棄物12に投与される。
【0056】
減容処理容器10Aの内側のケーシング11Aと外側のケーシング11Bとの隙間に投入された高温排気ガス及び抽気ガス中には、水蒸気が含まれている。そこで、外側のケーシング11Bには、図示例では、側部外周面に図示しない排気口が、底部には図示しないドレン孔が形成してあり、排気の一部H及び凝縮した水Dを排出できるように構成されている。
【0057】
そして、三方弁Vh2、Vh3及び電気ヒーター14hで加熱された空気を流量制御すれば、減容処理容器10Aの内側ケーシング11A内の温度を40〜60℃に保つことが出来る。減容処理容器11内の温度を40〜60℃に保つことによって、廃棄物12は廃棄物中の微生物によって迅速に分解されると共に、微生物の分解活性も高まり、減容が促進される。
【0058】
図2の様な減容処理容器10Aを使用する場合には、燃料電池高温排ガスであっても、生ゴミの様な多量の水分を包含する廃棄物を乾燥することが出来る。
その他の構成は図1の第1実施形態と同様である。
【0059】
次に、図3を参照して第3実施形態を説明する。
【0060】
図3の第3実施形態は、第2実施形態と概略同様の二重構造の減容処理容器10Bの内側ケーシング11A及び外側ケーシング11Bで形成される容器間の隙間に電気ヒーター16を組込み、その電気ヒーター16に燃料電池1の発電出力を切り替えスイッチ15及び電源ラインLe2を経由して送り、減容処理容器10B内の廃棄物12を電気ヒーター16で直接過熱する実施形態である。
【0061】
また、第3実施形態は、二重構造の容器でなく、第1実施形態と同様の単層構造とし、減容処理容器を直接ヒーターで加熱してもよい。
【0062】
上述した以外は、図1の第1実施形態及び図2の第2実施形態と同様である。
【0063】
次に、図4を参照して第4実施形態を説明する。
【0064】
第4実施形態は、図3の第3実施形態と同じように促進微生物方式の1種で、図1の第1実施形態に対して、減容処理容器の排気ラインLh4のドレン管Ldの下流側に脱臭処理装置30を設け、減容処理容器10の外周にヒーター16を設け、減容処理容器10内の廃棄物12を間接的に加熱する実施形態である。
【0065】
図4の第4実施形態では、粉砕・撹拌機13のモータ13m、温風ブロワー14のヒーター14h、減容処理容器10の加熱用ヒーター16、排気ラインLh4に介装されたブロワー20の図示しない駆動用モータ、及び脱臭装置30の図示しない駆動部に、燃料電池1で発電した電力が切換スイッチ15及び電源ラインLe2を経由して投入されるように構成されている。
【0066】
次に、図5を参照して第5実施形態を説明する。
【0067】
図5の第5実施形態は、図4の第4実施形態の脱臭処理装置30を、脱臭触媒31と、その上流側の加熱用電気ヒーター31hとに組み換えて構成した実施形態である。
脱臭触媒31の上流側の加熱用電気ヒーター31hとしては、図示の例では、減容処理容器10の排気ラインLh4にヒーター用ニクロム線を巻き付けて構成している。
その他の構成に関しては、図4の第4実施形態と同様である。
【0068】
次に、図6を参照して第6実施形態を説明する。
【0069】
第6実施形態は、燃料電池の直流出力を利用するオゾン発生装置により、空気中の酸素を利用してオゾンを発生させ、このオゾンを廃棄物処理の際に発生する排ガスと混合させて、排気ガスの臭気成分を処理する実施形態である。
【0070】
図6の第6実施形態は、図3の第3実施形態に対して、減容処理容器10Bの排気ラインLh4におけるドレン管Ldの下流にオゾン脱臭器36を介装し、そのオゾン回収器36の駆動を、高温作動型燃料電池1の直流出力を切換えスイッチ15、電源ラインLe2経由で投入し、その直流電流で賄う様に構成している。すなわち、オゾン脱臭器36は、かかる高電圧の直流でオゾンを発生し、発生したオゾンの酸化力により、臭気成分を酸化して、脱臭する様に構成されている。
【0071】
次に、図7を参照して第7実施形態を説明する。
【0072】
第7実施形態は、廃棄物減容過程で発生する発酵ガスを、燃料電池の燃料ガスに混合させ、発電に利用する実施形態である。
ここで、廃棄物減容過程で生成する発酵ガスとは、不活性成分である二酸化炭素(CO)と、メタンガス(CH)やプロパン(C)等の混合物であり、二酸化炭素(CO)を除去すれば、高温作動型燃料電池に投入する燃料ガスと組成は変わらない。
【0073】
図7の第7実施形態は、図2の第2実施形態に対して、廃棄物処理装置の減容処理容器10Aの排気系Lh4のドレン管Ldの下流側に精製器34を介装し、精製器34で発生する二酸化炭素(CO)と、メタンガス(CH)やプロパン(C)等の燃料成分との混合ガスにおける二酸化炭素(CO)を、図示しない手段によって精製器34外に排除し、残った燃料成分をガスラインLgによって、燃料供給ライン4に介装したミキサー4Mを介して燃料供給ライン4に投入する様に構成されている。
尚、減容処理容器は第2実施形態と同様2層式(10A)が用いられる。
【0074】
次に、図8を参照して第8実施形態を説明する。
【0075】
第8実施形態は、燃料電池1の第1の排気系Lh1に熱交換器を介装し、例えば給湯設備に余剰の排熱エネルギーを供給することにより、第1実施形態〜第7実施形態よりも、コージェネシステムとして更に省エネ効果を高めた実施形態である。
【0076】
図8において、第8実施形態のシステムは、第1実施形態に対して、燃料電池1の第1の排気系Lh1の下流側に熱交換器(熱交換給湯器)40を介装し、その熱交換機40に給湯ラインLwを通し、図示しない給湯需要(給湯設備)に給湯を行うように構成されている。
【0077】
第8実施形態では、高温排気ガスライン(第1の排気系)Lh1の切換弁(第1の三方弁および第3の三方弁)Vh1、Vh3と抽気ライン(第2の排気系)Lh2の切換弁(第2の三方弁)Vh2とを適宜切り換えることにより、抽気ガス、高温排気の切り換え、合流などが可能に構成されている。
【0078】
次に、図9を参照して第8実施形態の第1変形例を説明する。
【0079】
図9の第8実施形態の第1変形例は、「抽気ガス」を常に減容処理容器10へ供給し、燃料電池1の「高温排気ガス」を、常時、給湯・温水暖房用の熱交換器40へ供給する実施例である。
【0080】
図9において、「抽気ガス」を第2の排気系Lh2の第2の三方弁Vh2の下流の配管Lh22から直接、廃棄物処理装置の減容処理容器10のみに供給し、他方、「燃料電池高温排気ガス」を、第1の排気系Lh1の配管Lh12から、給湯・温水暖房用の熱交換器40のみに供給する様に構成されている。
【0081】
即ち、「抽気ガス」と「燃料電池高温排気ガス」とは混合されることはなく、第1の排気系Lh1から第3の三方弁Vh3が排除されている。
【0082】
次に、図10を参照して、第8実施形態の第2変則例を説明する。
【0083】
図10の第8実施形態の第2変形例では、「燃料電池高温排気ガス」を常に減容処理容器10へ供給し、「抽気ガス」を、常時、給湯・温水暖房用の熱交換器40へ供給する実施例である。
【0084】
図10において、第1の排気系Lh1の構成を、燃料電池1のオフガス燃焼部1a側から下流に向い、配管Lh11、第1の三方弁(レリーフ弁)Vh3、配管Lh13で構成し、「燃料電池高温排気ガス」を第1の排気系Lh1から直接、廃棄物処理装置の減容処理容器10のみに供給するように構成している。
他方、第2の排気系Lh2の構成を、燃料電池(の発電モジュール)1側から順に、配管Lh21、第2の三方弁(レリーフ弁)Vh2、配管Lh22で構成し、「抽気ガス」を第2の排気系Lh2から直接、給湯・温水暖房用の熱交換器40のみに供給するように構成している。
即ち、「抽気ガス」と「燃料電池高温排気ガス」とは混合されることはない。
【0085】
第8実施形態の第1変形例(図9)も第2変形例(図10)も、共に、高温排気ガスラインと抽気ラインの切換弁における切り換えがない。但し、それぞれのライン(高温排気ガスラインLh1と抽気ラインLh2)には、流量制御機能のあるレリーフ弁Vh1、Vh2が介装されており、熱需要やゴミ処理量に対応して、各ラインを流れるガス流量が制御可能となっている。
【0086】
次に、図11を参照して第9実施形態を説明する。
【0087】
第9実施形態は、図5の第5実施形態の減容処理容器11の外周の電気ヒーター16を廃止したシステムに、図8の給湯・温水暖房用の熱交換器40を組み合わせた実施形態である。
【0088】
図11に示す様に、廃棄物減容のための粉砕・攪拌モータ13m、減容処理容器10内に温風を吹き込む温風ブロワー14の加熱用電気ヒーター14h、減容処理容器10内の空気を排出するためのブロワー20、減容処理容器10からの排気の悪臭を除去するための脱臭触媒31の上流のヒーター31hを高温作動型燃料電池1の出力で賄っている。それに加えて、図8の第8実施形態で示すような給湯・温水暖房用40の熱交換器を設けている。
【0089】
次に、図I2を参照して第10実施形態を説明する。
【0090】
第10実施形態は、図7の第7実施形態に対して、第1の排気系Lh1に図8の第8実施形態で示すような給湯・温水暖房用40の熱交換器を追加した実施形態である。
【0091】
図12の第10実施形態のシステムは、図12において、廃棄物処理装置に二重構造の減容処理容器10Aを採用し、且つ、減容処理容器10Aの内側ケーシング11Aからの排ガスを精製器34で精製して、その精製して得られた燃料成分で構成されるガスをガスラインLg経由で高温作動型燃料電池1の燃料(ガス)供給系4のミキサー4Mに送り、ミキサー4Mで燃料ガスと混合する様に構成されている。
【0092】
各種機器(粉砕・攪拌機のモータ13m、ブロワー20、温風ブロワー14のヒーター14h等)の動力は、高温作動型燃料電池1の出力で賄っている。
【0093】
次に、図I3を参照して第11実施形態を説明する。
【0094】
第11実施形態は、図6の第6実施形態に対して、第1の排気系Lh1に図8の第8実施形態で示すような給湯・温水暖房用40の熱交換器を追加した実施形態である。
【0095】
図13に示すように、電気ヒーターで加熱するタイプの廃棄物処理装置(減容処理容器10B)を採用し、且つ、減容処理容器10Bからの排ガスを排気ラインLh4に介装したオゾン脱臭器33により脱臭処理している。
減容処理容器加熱用の電気ヒーター16、ブロワー20、オゾン脱臭器33、及び温風ブロワー14のヒーター14h等の駆動用電力は、高温作動型燃料電池1の出力で賄っている。
【0096】
次に、図14〜図20を参照して第12実施形態を説明する。
【0097】
図14〜図20の第12実施形態は、システム構成(図14)は図11の第9実施形態をベースとし、これに制御手段であるコントロールユニット60を含む制御系を組み合わせた実施形態である。
尚、駆動電源のラインは、一部を除いては省略して描いている。
【0098】
ここで、廃棄物処理装置の減容処理容器10内の廃棄物(例えば、生ごみ12)の含水率は、乾燥前後の重さで判定することが好ましく、従って図14において、減容処理容器10の底部には、廃棄物の質量を計測する質量センサ70が取り付けられている。
【0099】
出力電力ラインLe1のパワーコンディショナーの前後には、夫々電力計Me1(システム側の電力計),Me2(需要側の電力計)が介装されている。
熱交換器40を通る給湯ラインLwの熱交換器40の下流には、温水メーターMw1が、給湯手段の需要側には給湯メーターMw2が夫々装備されている。
【0100】
燃料電池1に装備された温度計測器2は信号ラインSi1によって、電力計Me1は信号ラインSi2によって、電力計Me2は信号ラインSi3によって、温水メーターMw1は信号ラインSi4によって、給湯メーターMw2は信号ラインSi5によって、質量センサ70は信号ラインSi6によって夫々コントロールユニット60に接続されている。
【0101】
燃料調整弁5は制御信号ラインSo1によって、酸化剤調整弁7は制御信号ラインSo2によって、発電出力調整機構3は制御信号ラインSo3によって、電力出力ラインLe1に介装された切換えスイッチ15は制御信号ラインSo4によって、第2の排気系Lh2に介装された第2の三方弁Vh2は制御信号ラインSo5によって、第1の排気系Lh1に介装された第3の三方弁Vh3は制御信号ラインSo6によって、夫々コントロールユニット60に接続されている。
【0102】
図14の第12実施形態における制御を説明するのが、図15〜図20である。
【0103】
図15(一個人の家庭の例)、図16(中規模店舗の例)における従来の「電気余り」、「熱余り」の時間帯(深夜から早朝の時間帯)では、本発明においては、図17(一個人の家庭の例)、図18(中規模店舗の例)で示す様に、発生した電気及び熱が、廃棄物処理に使用される。
一方、本発明において、昼間の時間帯では、余剰熱、余剰電力が生じた場合にのみ、当該余剰熱及び/又は余剰電力が廃棄物処理に用いられる。
すなわち、電気及び/又は熱が余っている時間(家庭なら深夜、店舗なら閉店後、等)に生ゴミ処理を行う。
【0104】
係る制御を示すのが、図19及び図20である。
【0105】
図19に基づいて、第12実施形態の制御の一例を説明する。
先ず、コントロールユニット60は、本日が、平日か休日か、を判断して(ステップS1)、平日であればステップS2に進む。一方休日であればステップS7に進む。
【0106】
ステップS2では現在が、朝から昼の時間帯か否かを判断して、朝から昼の時間帯であれば(ステップS2のYES)、ステップS3に進み、そうでなければ(ステップS2のNO)、ステップS7に進む。
【0107】
ステップS3では、コントロールユニット60は、電力計Me1、Me2からの電力情報によって、余剰電力が発生しているか否かを判断して、余剰電力が発生していれば(ステップS3のYES)、次のステップS4に進み、一方、余剰電力が発生していなければ(ステップS3のNO)、ステップS5まで進む。
【0108】
ステップS4では、余剰電力を廃棄物処理へ回し、ステップS5に進む。
【0109】
ステップS5では、コントロールユニット60は、温水メーターMw1、給湯メーターMw2からの情報によって、余剰熱が発生しているか否かを判断して、余剰熱が発生していれば(ステップS5のYES)、次のステップS6に進み、余剰熱を廃棄物処理に回した後制御を終了する。一方、余剰熱が発生していなければ(ステップS5のNO)、そのまま制御を終了する。
【0110】
ステップS7では、発電出力を廃棄物処理の各装置(ブロワー20の駆動、温風ブロワー14のヒーター14h、脱臭触媒上流のヒーター31h等)、に利用し、高温排ガス及び抽気ガスを廃棄物処理装置の減容処理容器10内に投入する。その後制御を終了する。
【0111】
次に、図20に基づいて、第12実施形態の別の制御について説明する。
先ずステップS11において、コントロールユニット60は、電力利用量、利用スケジュール、給湯利用量、入浴時間、ごみ処理時間帯等、をユーザーの直接入力又は、各センサ類からの情報及び図示しないデータベースに蓄積された過去のデータから読み込む。
【0112】
ステップS12において現在時刻をチェックするか、又は質量センサ70からの情報により、減容処理容器11内の廃棄物12の蓄積量(質量)を計測して、廃棄物処理の時間帯、又は廃棄物蓄積量が過多の状態となっているか否かを判断する(ステップS13)。
【0113】
廃棄物処理の時間帯、又は廃棄物蓄積量が過多の状態となっていれば(ステップS13のYES)、ステップS14に進み、そうでなければ(ステップS13のNO)、ステップS12に戻り、再びステップS12以降を繰り返す。
【0114】
ステップS14では、コントロールユニット60は、発電出力、給湯出力又は貯湯量が需要を満たしているか否かを判断しており、需要を満たしていれば(ステップS14のYES)、ステップS15に進み、一方需要を満たしていなければ(ステップS14のNO)、ステップS18まで進む。
【0115】
ステップS15では、排ガス流路を温水熱交換から廃棄物処理側へと切換え、発電出力を需要家給電から廃棄物処置側の各装置へ切換え、廃棄物処理を開始する(ステップS16)。
廃棄物処理に当たっては、電力、熱の不足時には、先ず、燃料電池1の発電出力や排ガス流通量の制御で対応し、それでも不足の場合は不足エネルギーを系統から受電して利用する。
【0116】
その後、コントロールユニット60は、質量センサ70からの情報によって廃棄物は減容・脱水されたか否かを判断し(ステップS17)、減容・脱水されていれば(ステップS17のYES)、ステップS11まで戻り再びステップS11以降を繰り返す。一方減容・脱水が未だ済んでいなければ(ステップS17のNO)、ステップS16以降を繰り返す。
【0117】
ステップS18では、コントロールユニット60は、発電出力は電力需要を満たしているか否かを判断しており、満たしていれば(ステップS18のYES)、ステップS22まで進み、満たしていなければ(ステップS18のNO)、燃料電池の出力制御を行い、即ち、発電量をアップさせ(ステップS19)、ステップS20に進む。
【0118】
ステップS20では、コントロールユニット60は、再度、発電出力は電力需要を満たしているか否かを判断しており、満たしていれば(ステップS20のYES)、ステップS22まで進み、満たしていなければ(ステップS20のNO)、不足電力を系統受電し(ステップS21)、ステップS22に進む。
【0119】
ステップS22では、コントロールユニット60は給湯需要には図示しないタンクの貯湯と排ガス熱交換器40の給湯出力で対応可能か否かを判断して、可能であれば(ステップS22のYES)、前述のステップS15に進み、対応が不可能であれば(ステップS22のNO)、ステップS23で、図示しないバックアップバーナ、或いは図示しない電気ヒーター等によって温水を加熱した後、ステップS24に進む。
【0120】
ステップS24では、コントロールユニット60は、給湯需要には対応可能となったか否かを判断しており、対応可能であれば(ステップS24のYES)、ステップS15に進み、対応不可であれば(ステップS24のNO)、ステップS23に戻り再びステップS23以降を繰り返す。
【0121】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の高温作動型燃料電池システムの第1実施形態の構成を示したブロック図。
【図2】本発明の第2実施形態の構成を示したブロック図。
【図3】本発明の第3実施形態の構成を示したブロック図。
【図4】本発明の第4実施形態の構成を示したブロック図。
【図5】本発明の第5実施形態の構成を示したブロック図。
【図6】本発明の第6実施形態の構成を示したブロック図。
【図7】本発明の第7実施形態の構成を示したブロック図。
【図8】本発明の第8実施形態の構成を示したブロック図。
【図9】本発明の第8実施形態の第1変形例の構成を示したブロック図。
【図10】本発明の第8実施形態の第2変形例の構成を示したブロック図。
【図11】本発明の第9実施形態の構成を示したブロック図。
【図12】本発明の第10実施形態の構成を示したブロック図。
【図13】本発明の第11実施形態の構成を示したブロック図。
【図14】本発明の第12実施形態の構成を示したブロック図。
【図15】第12実施形態の効果を説明するための従来方式での一般家庭での電力需要と熱需要及び電力出色と給湯出力の24時間のデータを示したグラフ。
【図16】第12実施形態の効果を説明するための従来方式での店舗での電力需要と熱需要及び電力出色と給湯出力の24時間のデータを示したグラフ。
【図17】第12実施形態を実施した場合の効果を説明するための一般家庭での電力需要と熱需要及び電力出色と給湯出力の24時間のデータを示したグラフ。
【図18】第12実施形態を実施した場合の効果を説明するための店舗での電力需要と熱需要及び電力出色と給湯出力の24時間のデータを示したグラフ。
【図19】第12実施形態における制御の一例を示すフローチャート。
【図20】第12実施形態における制御の他の例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0123】
1・・・燃料電池
2・・・燃料電池システム温度計測器
3・・・発電出力調整機構
4・・・燃料供給系
5・・・燃料調整弁
6・・・酸化剤供給系
7・・・酸化剤調整弁
8・・・D/Dコンバータ
9・・・インバータ
10,10A,10B・・・減容処理容器
11A・・・内側のケーシング
11B・・・外側のケーシング
12・・・廃棄物
13・・・粉砕・撹拌機
13m・・・モータ
14・・・温風ブロワー
14h・・・電気ヒーター
15・・・切換えスイッチ
20・・・ブロワー
30・・・脱臭処理装置
31・・・脱臭触媒
31h・・・電気ヒータ
33・・・オゾン脱臭器
34・・・精製器
40・・・熱交換給湯器
50・・・電力系統
60・・・コントロールユニット
70・・・質量センサ
Le1・・・燃料電池側の出力電力ライン
Le2・・・電源ライン
Lh1・・・第1の排気系
Lh2・・・第2の排気系
Lh4・・・排気ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を減容処理するための減容処理容器を備え、該減容処理容器には、燃料電池の高温排ガス、燃料電池の発電部分から抽気される高温ガス、燃料電池の発電出力が供給される電気加熱装置により加熱される空気の何れかが供給されることを特徴とする高温作動型燃料電池システム。
【請求項2】
前記減容処理容器のケーシングは多層構造となっており、廃棄物が貯留する内部ケーシングと、その直ぐ外側のケーシングとの間の空間に、燃料電池の高温排ガス、燃料電池の発電部分から抽気される高温ガス、燃料電池の発電出力が供給される電気加熱装置により加熱される空気の何れかが供給される請求項1の高温作動型燃料電池システム。
【請求項3】
廃棄物を減容処理するための減容処理容器を備え、該減容処理容器には減容処理容器加熱用の電気加熱装置が設けられており、該減容処理容器加熱用の電気加熱装置には燃料電池の発電出力が供給されることを特徴とする高温作動型燃料電池システム。
【請求項4】
前記減容処理容器内の廃棄物を攪拌する攪拌用電気モータと、減容処理容器からの排ガスを排気するためのブロワーと、減容処理容器からの排気を脱臭処理するための脱臭装置を有し、該電気モータ、ブロワー、脱臭装置には燃料電池の発電出力が供給される請求項1〜3のいずれか1項の高温作動型燃料電池システム。
【請求項5】
前記脱臭装置は、減容処理容器からの排気が流過するラインに介装された脱臭触媒と、該脱臭触媒よりも減容処理容器側に設けられ且つ脱臭触媒に流入する排気を加熱する脱臭触媒流入排気加熱用電気加熱装置とを有し、該脱臭触媒流入排気加熱用電気加熱装置には燃料電池の発電出力が供給される請求項4の高温作動型燃料電池システム。
【請求項6】
前記脱臭装置は、燃料電池の発電出力が供給されるオゾン発生装置である請求項4の高温作動型燃料電池システム。
【請求項7】
減容処理容器の排ガスが流過するラインに精製器を介装し、該精製器は減容処理容器からの排ガスから燃料成分を抽出し且つ抽出した燃料成分を燃料電池の燃料供給系に供給する様に構成されている請求項2の高温作動型燃料電池システム。
【請求項8】
熱需要に対処するための熱交換器を設け、該熱交換器には燃料電池の高温排ガス或いは燃料電池の発電部分から抽気される高温ガスの何れかが供給される様に構成されている請求項1〜7の何れか1項の高温作動型燃料電池システム。
【請求項9】
電力需要監視装置と、熱需要監視装置と、電力出力監視装置と、熱出力監視装置と、減容処理容器内の廃棄物計測装置と、制御手段とを備え、該制御手段は、電力需要及び熱需要が少ない時間帯には発電出力及び/又は熱出力は減容処理容器における廃棄物処理に用いられ、電力需要及び熱需要が多い時間帯には余剰出力のみが減容処理容器における廃棄物処理に用いられる制御を行う様に構成されている請求項1〜8の何れか1項の高温作動型燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−278176(P2006−278176A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96676(P2005−96676)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】