説明

高温充填用容器

本発明は、PET容器の製造および高温充填方法に関し、次のステップ:
a)ブロー成形され得るPETプリフォームを用意すること;
b)容器を形成するために金型のキャビティ内でプリフォームをブロー成形すること;
c)金型キャビティから容器を取り出すこと;
d)容器に液体を充填し、その温度は80℃より高いこと;
e)漏れ防止の態様で容器をシールすること;
f)容器を殺菌および冷却すること;ならびに
g)容器を収縮させること、
を含み、次の特徴:
−ステップa)において、テレフタル酸に基づくコポリマーからなるPETプリフォームが使用され;
−ステップa)において、プリフォームの少なくとも1部分は110℃より高い温度である;
−ステップb)で使用される金型の温度は、65℃以下である;
−ステップg)の間、容器は、収縮を創り出し、容器の容量を減少させるために、容器の少なくとも1部分において、1〜5秒間、600〜1000℃の温度に加熱される、
を有する。本発明は、さらに上記の方法を用いて得られた容器に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温充填(hot-filled)ポリエチレンテレフタレート(PET)容器、ならびにその容器を充填する方法に関する。特に、その方法は、PETボトル中に、約80℃で製品を詰めるのに適用され得るが、そのボトルは「耐熱性」(”Heat Resistant”)といわれ、HRという文字で一般的に表示される、ブロー成形法で製造されていない。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルは、抵抗性(resistance)、軽さ、透明性および感覚受容性(organolepticity)の優れた特性により、多くの分野で使用される。これらのボトルは、金型中でプリフォームを2軸延伸することにより高製造速度で製造される。
【0003】
ここでは、「高温充填」(”hot-filling”)の表現は、液体の温度が大気温度より高くなり、通常80℃を超える、充填を意味すると理解されるべきである。「低温充填」(”cold-filling”)の表現は、大気温度、または大気温度より低い温度を意味すると理解される。
【0004】
低温充填ボトル用のPETボトルの製造は、金型のキャビティ内でプリフォームをブロー成形する方法に依る。射出成形により製造されるプリフォームは、管に似ており、その一端が塞がれ、その他端はネック部(neck)を形成する。赤外線放射により、このプリフォームを95〜120℃に加熱した後に、無定形PETは軟化され、金型のキャビティ内でブロー成形により変形を受ける。ブロー成形段階の間、プリフォームは延伸ロッドの結合作用により、そしてプリフォームに圧力下で導入される空気により、2軸に変形され、空気は膨張を生じさせる。金型は、接触によりPETの熱を消散させるために水冷され、それはボトルの幾何学的形状を固定する効果を有する。得られるボトルは、製造時に2軸延伸を受けたので、2軸配向されているといわれる。このように配向された巨大分子鎖は、大気温度で優れた機械的および光学的特性をもたらす。この2軸配向の弱点は、その可逆的性質に由来し、その材料は温度が上昇すると、最初の状態に戻ろうとする;形状記憶として知られる現象である。
【0005】
したがって、これらのボトルは多くの利点を提供するが、温度が60℃より高いときに、変形の弱点を有する。85〜95℃の高温で製品をこれらのボトルに充填することは、変形を生じさせるので、ボトルは使用するのに不適となる。上述の弱点を改良し、PETボトルを高温充填可能にする、いくつかの方法が従来技術で説明された。
【0006】
PETボトルが高温の液体で充填されるのを可能にするために、最も一般的な解決法は、「耐熱性」(”Heat Resistant”)ボトルブロー成形法として知られる方法および一定のボトル設計を一緒に用いることにある。
【0007】
「耐熱性」として知られ、文字HRにより比較的一般的に表示される方法は、ボトルの耐熱性を改良することを可能にする。したがって、1段階(one-part)プロセスといわれる第1のHR法は、80〜88℃の充填温度が達成されるのを可能にする。2段階(two-part)プロセスといわれる第2のHR法は、88〜95℃の温度で充填されるのを可能にする。
【0008】
HRボトム製造法と同一の方法において、異なるボトル設計に依ることが必要である。充填の間、ボトルが高温で栓をされたときに、ボトルは液体の冷却により生じる真空に耐えなければならない。その冷却は、二重の収縮、すなわち液体の収縮と、ボトル中に取り込まれた空気の収縮である。したがって、高温充填ボトルは、その変動を大量に吸収することを可能にする、補償(compensating)パネル、ならびにボトルの制御されない変形を防止する、比較的硬い(rigid)部分、とを含む。これらの設計は、比較的大きな壁厚さを要求し、重さが低温充填ボトルの重さの2倍にも及び得るボトルをもたらす。
【0009】
これらの設計は、比較的大きな壁厚さを要求し、重さが低温充填ボトルの重さの2倍にも及び得るボトルを生じさせる。
【0010】
さらに、高温充填されるように設計されるボトルを製造するのに用いられるHR法は、金型のキャビティ内でプリフォームをブロー成形するのに依るが、比較的精巧で複雑な操作パラメーターを伴う。特に、プリフォームは低温充填容器をブロー成形する場合よりも高温で加熱される。高いブロー成形温度は、PETの形状記憶を最小にし、ブロー成形による応力のいくらかを緩和することを可能にする。1段階HR法の場合において、ボトルが金型の壁と接触するに至るとき、ボトルは熱処理に供される。金型の壁の高温は、2軸に配向されたPET鎖の結晶化を増大させ、したがって温度抵抗性を改良させる効果を有する。ボトル内側での空気の循環は、PETが熱を放出させ、金型の取り出しの前にボトルの壁を固化させることを可能にする。2段階HR法の場合には、その方法は、一連の比較的複雑なステップではあるが、比較的高い耐熱性を得ることを可能にする。特に、第1ステップは、プリフォームをブロー成形することにあり、その容量はボトルの容量よりもはるかに大きい;このプリフォームは高度の結晶化度を有し、ガラス転移点を超える加熱により収縮される;収縮プリフォームは、製造されるべきボトルの大きさに相当する金型のキャビティ内で最終的にブロー成形される。ボトルは、85〜95℃の温度での充填を可能にする高い結晶化度を有する。
【0011】
しかし、高温での液体の包装を可能にするために熱処理を受けたボトルには、いくつかの弱点がある。
【0012】
第1の弱点は、ボトル製造速度の低下につながる。なぜなら熱固定プロセスは、ブロー成形サイクルを遅くするからである。HR法は、従来のブロー成形法よりも複雑であり、したがって用意し、使用するのに比較的高価である。
【0013】
第2の弱点は、重さにつながり、したがってこれらのボトルのコストにつながる。上述のとおり、材料の付加は、容器内に創り出される真空と高温充填温度に材料が耐えることを可能にする。しかし、解決法は、過剰の材料を使用し、それは製品の良好な保存には厳密には必要ではない。さらに、補償パネルは、容器の外観を損ない、消費者にはあまり魅力的でないようにするものである。
【0014】
特許出願FR2887238は、高温充填に適した薄壁ボトルを製造することにより、前述の弱点を部分的に克服することを提案する。これらのボトルは、上述のように1段階または2段階HRブロー成形法を用いて製造され、したがって容器の収縮なしに高温充填を可能にする性質を有する。出願FR2887238で提案されるボトルは、収縮パネルを含まず、当業者に用いられる容器と比べて減少した重さを有するので、多くの利点がある。この重さは、等容量でミネラルウォーターを保持するのに用いられる容器の重さに実質的に等しい。容器は円筒形状を有し、本体部(body)を補強するために溝を有していてもよく、なおミネラルウォーター用の容器であるが、補強された容器のように軽い基底部(base)を有する。この容器は、公知の種類の充填機上で高温充填される。液体は、目的とする用途に依存して60〜95℃の温度にされ、保持される。高温で栓をし、そして冷却した後に、真空がボトル内で創り出され、ボトルの本体部の有意の変形を創り出す。出願FR2887238によれば、その方法は、液体の温度が約40〜50℃の転移点より低いときに、ボトルの壁の熱収縮を生じさせることによりボトルの容量を減少させることにある。特許出願FR2887238は、提供する多くの利点にもかかわらず、いくつかの弱点がある。
【0015】
第1の弱点は、容器に十分に耐熱性を与えるために1段階または2段階HRブロー成形法を要求する。前述のように、これらの製造プロセスは複雑で、したがって活用するのが比較的困難である。このことは、製造される容器のコストに影響する。
【0016】
その提案されるプロセスの第2の弱点は、容器をもっと耐熱性にするHRブロー成形法を用いることにより容器が製造されたことを銘記すると、加熱により容器の容量を収縮させる困難さにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許出願FR2887238
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、新規な方法により製造され、高温充填される新規な容器により、上述の弱点を克服することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によれば、高温充填用PET容器は、従来のブロー成形法、すなわち低温充填用容器を製造するのに一般的に用いられる方法、を用いて製造される。本発明によれば、容器は、「低温」(”cold”)金型内でブロー成形され、高温で金型内で容器をブロー成形する「耐熱性」(”Heat Resistant”)すなわち「HR」ブロー成形法とは異なる。
【0020】
その充填法は、一般に使用される高温充填に比べて1つの付加ステップを含む。このステップは、強力な熱源を用いて容器壁を収縮させることにある。
【0021】
その容器は、その花弁状もしくは星型の基底部により、その低い重さにより、その低い平均密度により、そしてその密度の空間分布により、補償パネルなしに幾何学的形状で高温充填容器と区別される。
【0022】
特に、本発明は、低い重さの容器の製造を可能にし、その高温充填性は、HRブロー法により与えられないが、容器の幾何学的形状、容器の組成ならびに製造および充填プロセスを含む、いくつかのファクターの予期しない組み合わせにより与えられる。
【0023】
本発明による容器の重さは、低温充填された液体を含むように意図された容器、たとえばボトル、の重さに実質的に等しい。さらに、本発明による容器は、従来技術で提案されたように、圧力(真空ではない)に耐えるように設計されている。有利には、容器の基底部は容器内の陽圧に耐えるように設計されている。
【0024】
さらに本発明は、HRで製造されていない、PETボトルのような容器の高温充填方法を含み、その容器の高温充填性はボトルの設計および製造法の組み合わせから生じる。その充填法は、高温充填された液体が完全にまたは部分的に冷却されるとき、強い熱源の作用の下に、容器の収縮ステップをさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、HR法ではない、従来のブロー成形法によりプリフォームが製造される高温充填用PETボトルの製造を記載する例により、以下に良好に理解されるであろう。そのボトルの幾何学的形状、製造および充填法、ならびに使用される樹脂の、予期しない相乗効果により高温抵抗性を有する。
【0026】
温度抵抗性を改良するためにPET容器の結晶性を増大させるように提案する従来技術の解決法と異なり、本発明は、結晶化の比較的低い度合いだけでは充填温度に耐えることを可能にできない容器の使用を提案する。容器の耐熱性は、結晶化の度合い、容器の幾何学的形状ならびにブロー成形および充填法、の結合された作用から生じる。本発明は、容器の結晶化度を増大させるのに用いられる1段階もしくは2段階HR製造法を避けることを可能にするので、非常に重要である。これらの方法は、製造速度を遅くし、製造される容器のコストに大きな影響を有する複雑なステップを含む。
【0027】
上述のように、本発明の詳細な例はPETボトルを記載するが、本発明は、この種の目的物に限定されないことはいうまでもない。たとえば、PETもしくは類似の樹脂から製造される、他の種類の容器も、本発明の目的物を形成する。ボトルはネック部、通常円筒形の本体部、および基底部からなる。ボトルの重さは、等容量で、ミネラルウォーターまたは炭酸飲料のボトルの重さと同様である。
【0028】
そのネック部は、HR法を用いて製造されるボトルのネック部に比べて、厚さが薄い。たとえば炭酸飲料用ボトルのネック部は特に適している。
【0029】
そのボトルの本体部は、厚さの小さい円筒形であるのが通常であり、剛性を与えるリブを含み得る。そのボトルは、肩部にパネル、バンド、バルブのような、高温充填PETボトルの特徴的な要素を含まない。しかしながら、本発明の好適な態様によれば、円筒形本体部は、液体の部分的もしくは完全な冷却後にボトル中の真空を取り除くことを意図された収縮帯域を含む。その収縮帯域は、局在化されているのが好適である。充填プロセスは、収縮帯域の強力加熱のステップを含み、それはボトル中の真空を取り除く作用を有する。熱の作用の下で、収縮帯域は収縮し、ボトルの容量の減少を創り出す。
【0030】
有利には、ボトルは、一定の特性を与えられている基底部を含む。従来技術で提案されているものと異なり、高圧抵抗性を有する基底部のみが使用され得る。驚くべきことに、炭酸飲料の容器に用いられる、花弁状の種類の基底部は、温度の作用下で、ほとんど変形されない。十分に圧力抵抗性のある星型の種類の基底部も適切であり得る。
【0031】
ボトルは、金型のキャビティ内で後延伸(post-stretching)結晶化ステップなしに、従来のブロー成形法を用いて製造される。しかし、ブロー成形法の一定の制御は、充填温度の作用下で変形しないボトルを得るために必要である。
【0032】
この方法は、結晶化に近接した、最大許容温度にプリフォームを加熱することにある第1ステップを含む。有利には、プリフォームは110℃より高い温度に加熱される。「熱固定」(”heat-set”)ボトルとして当業者に知られるPETグレードが用いられる。これらのグレードは、PETの通常高分子製品ましくはコポリマーである。テレフタル酸およびイソフタル酸から得られるPETコポリマーは特に適切である。
【0033】
プリフォームは延伸され、適切な幾何学的形状の金型キャビティ内でブロー成形され、その壁は接触により伝導された熱を消散するために冷却され、熱はボトルの壁を固定する作用を有する。ボトルの側壁の結晶化度を増大させるために、金型が通常115〜140℃の温度で加熱されるHR法と異なり、本発明は、PETのガラス転移点(約65℃)より低い温度で最良に調節される金型を用いることにある。ボトルの基底部を形成する金型の部分は、20℃より低い温度に冷却されるのが有利である。
【0034】
驚くべきことに、基底部を形成する金型の部分が低温であればあるほど、温度の作用下でボトル基底部の変形が小さいことがわかった。この驚くべき結果は、結晶化を増大させてポリマー鎖の応力を緩和するために金型の温度を上昇させることにある、現在の方法に反する。
【0035】
ボトルは、ミネラルウォーターまたは炭酸飲料を充填するように意図されたボトルと同様な高製造速度で製造される。本発明方法により製造され、充填される多層PETボトルは、果汁のような、酸素敏感性で高温充填される製品を充填するのに用いられるのが有利である。ボトルは、金型内でブロー成形された多層プリフォームから製造され、その温度は65℃より低い。ボトルの幾何学的形状は、本発明で記述される単層ボトルの形状と同様である。ボトルは、肩部にパネル、バンド、バルブのような、高温充填PETボトルの特徴的な要素を含まない。しかしながら、本発明の好適な態様によれば、円筒形本体部は、液体の部分的もしくは完全な冷却後にボトル中の真空を取り除くことを意図された収縮帯域を含む。
【0036】
単層または多層ボトルの高温充填は、ボトルのブロー成形後に迅速に、または種々の期間後に、実施され得る。乾燥ボトルは比較的良好な熱安定性を有するので、直後の充填が有利である。しかし、物流の観点から、ボトルは比較的長い貯蔵時間後に充填されるのが通常であり、その間、平衡が空気中の湿分とボトル壁の湿分の間で形成される。水分の吸収は、ボトルの耐熱性をわずかに低下させる。
【0037】
ボトルの充填は、収縮帯域を収縮させるステップにより、高温充填から区別される。そのステップは、冷却後にボトル内に創りだされる真空を消散することを可能にするステップである。
【0038】
その充填は、重力により実行されるのが通常であり、熱い液体は容器に直接流入する。製品によって、充填温度は80〜95℃である。
【0039】
しかし、熱い液体がボトルに流入するとき、容器の壁は、観察され得るボトル変形なしに、急速加熱される。ついで、容器は、栓を用いて密封される。ヘッドスペースに取り込まれる空気の温度上昇は、密封後のボトルの圧力をわずかに上昇させる作用を有する。
【0040】
基底部は、圧力に耐えるように設計されているので、ボトル中で液体が高温であるにもかかわらず、変形しない。容器の壁は、約3分間、製品の温度により殺菌される。その殺菌操作は、栓および首部の内表面の殺菌を確実にするために、ボトルのひっくり返しを含む。
【0041】
ついで、ボトルは、外側壁上に冷水をスプレーすることにより急速に冷却される。冷却に際して、容器内に含まれる液体およびヘッドスペースは収縮し、ボトル内に真空を創り出す。負圧の作用下に、厚さが薄いボトルの側壁は、「つぶれ」(”collapsing”)により変形する。ボトルの設計において、負圧の作用下に、つぶれにより変形するフレキシブル帯域、および変形しない比較的硬い(rigid)帯域を備えることが有利である。したがって、ボトルの変形は、1つの限定された帯域に局在化される。フレキシブル帯域は、卵型または円形断面を有する幾何学的形状を形成するのが有利であることが見出された。
ボトルに詰められる液体の温度が50℃より低い温度に達すると、ボトルは収縮帯域で高温に加熱される。収縮帯域の加熱は、収縮帯域を収縮させることにより、ボトルの容量を減少させる作用を有する。収縮により創りだされるボトル容量減少は、液体の容量の変動を補償し、そして容器内側の真空を相殺する。
【0042】
従来技術で提案されるものと異なり、この加熱は放射により実施するのが困難である。エネルギー供給は、液体の有意の再加熱を防止するのに十分に急速ではないからである。
【0043】
その収縮ステップは、非常に短時間で強いエネルギー供給を要求する。ボトルは、収縮帯域の急激で再現可能な収縮を生じさせる、火炎処理により加熱され得ることが見出された。ボトルの壁が内部表面上の低温液体と接触するにつれて、外側表面は非常に短時間、非常に高温の火炎と直接接触するに至り得る。熱い空気による加熱も使用され得る。
【0044】
従来技術で提案されているものと比べて、ボトルは対称的に加熱されなければならず、そうでないとボトルは垂直状性(verticality)を失って、最終的な幾何学的形状は再現できないことが見出された。好適には、収縮ステップの間、ボトルは回転軸に関して対称的に位置される2つの熱源の前で回転される。有利には、ボトルの壁と熱源の間の距離は一定である。
【0045】
収縮ステップの前に、収縮帯域の幾何学的形状は、ボトルの周囲に均一な凸表面を形成するのが有利である。その凸表面は、円筒形、円錐形または凹表面に関して、いくつかの利点を有する。凸表面の収縮は、収縮プロセスを安定化し、ボトルの最終的な幾何学的形状の高い再現性を可能にすることが見出された。収縮帯域が凸状でないと、ネック部の軸とボトルの基底部の間の垂直状性において、大きな変動が観察されることがある。
【0046】
本発明は、容器の使用を提案し、それについては、比較的低い結晶化度だけでは充填温度に耐えることができない、容器の耐熱性は、結晶化度、容器の幾何学的形状ならびにブロー成形および充填プロセスの結合された作用から生じる。ボトルは、結晶化されるとき、ネック部を除く、ボトルの他の部分よりも2%以上大きい結晶化度を有する、収縮帯域を含む。したがって、ボトルは、収縮帯域において、比較的密な、すなわち比較的結晶性の、帯域を有する。この帯域は、ボトルの周囲にわたって拡がるのが通常であり、したがってボトルの側壁において、比較的高密度の環を形成する。
【0047】
本発明は、未結晶化ネック部を含むボトルについて、前記のように記載される。多くの方法は、ネック部を変形から防止するために高温で充填されるとき、ネック部の熱安定性を改良するために当業者に知られている。それらを得るために用いられる方法は、本発明と容易に結合され得る。しかし、予期に反して、炭酸飲料の充填に一般的に用いられる、比較的軽いネック部幾何学的形状は、本発明の関係で都合よく使用され得ることが見出された。
【0048】
その製造法と高温充填法で得られるボトルは、公知の高温充填用ボトムと、次の点で区別される:
−低い重さ;
−補償パネルの欠落;
−耐圧基底部;
−重さを減少し得るネック部;
−比較的結晶性の環を形成する収縮帯域;および
−充填後の内部陽圧
充填後の内部陽圧は、特にボトルの貯蔵に関して、多くの利点を有する。これは、その低い重さにもかかわらず、これらのボトルが容器中で陽圧により垂直方向の圧縮に高耐性を有するからである。したがって、ボトルの積層高さは増加される。充填後のボトル中の陽圧も、消費者によりボトルが開けられる際に示される。従来技術に記載されるボトルは、充填後も真空下にあり、開ける際に、そのレベルが減少するのがわかるが、本発明により得られるボトルは、開ける際に、そのレベルが一定のままか、わずかに増加するのがわかる。
【実施例】
【0049】

ボトルは、容量500mL、質量24gであった。その基底部は花弁型であり、本体部は薄い厚さの上方円筒形帯域および下方の凸状収縮帯域を有していた。このボトルは、約12℃の金型中で、100℃に加熱されたプリフォームをブロー成形することにより得られた。テレフタル酸とイソフタル酸に基づくPETコポリマーがプリフォーム(M&G Polimeri Italia からのCleartuf P85HF)を成形するのに用いられた。ボトルは充填前に3日間、貯蔵された。ボトルは洗浄され、当業者に用いられる充填手順により、85℃で充填された。ボトルを冷却後、上方帯域はボトル中の真空の作用下で変形された。上方帯域の変形は実質的に3.5%に等しいボトル容量の減少を創りだした。ついで、凸状収縮帯域は、1〜5秒間、そして有利には3秒間、火炎処理により加熱された。収縮ステップの間、ボトルは2つの正反対に対向されたステーションの前で回転された。収縮後に、ボトル中の真空は消散された;上方帯域は再びその当初の幾何学的形状を獲得し、そして当初の凸状収縮帯域は円筒形表面を形成した。ボトルは34%より大きい結晶化度を有する収縮帯域を含んでいたが、ボトルの他の部分の結晶化度は32%以下であった。したがって、ボトルは、収縮帯域において密な、すなわち比較的結晶性の帯域を有していた。この帯域はボトルの周囲にわたって拡がり、ボトルの側壁に比較的高密度の環を形成していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップ:
a)ブロー成形され得るPETプリフォームを用意すること;
b)容器を形成するために金型のキャビティ内でプリフォームをブロー成形すること;
c)金型キャビティから容器を取り出すこと;
d)容器に液体を充填し、その温度は80℃より高いこと;
e)漏れ防止の態様で容器をシールすること;
f)容器を殺菌および冷却すること;ならびに
g)容器を収縮させること、
を含み、次の特徴:
−ステップa)において、テレフタル酸に基づくコポリマーからなるPETプリフォームが使用され;
−ステップa)において、プリフォームの少なくとも1部分は110℃より高い温度である;
−ステップb)で使用される金型の温度は、65℃以下である;
−ステップg)の間、容器は、収縮を創り出し、容器の容量を減少させるために、容器の少なくとも1部分において、1〜5秒間、600〜1000℃の温度に加熱される、
を有するPET容器の製造および高温充填方法。
【請求項2】
金型の底部が20℃以下に保持される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
金型の底部が1〜15℃の温度に保持される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
加熱により収縮され、容器の側壁に位置し、結晶化度がネック部を除く容器の他の部分よりも少なくとも2%大きい結晶化度を有する、環状帯域を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の製造および高温充填方法により充填された容器。
【請求項5】
花弁型の基底部を含む請求項4に記載の容器。
【請求項6】
星型の基底部を含む請求項4に記載の容器。
【請求項7】
補償パネルがなく、容器の容量を2〜7%減少させる変形帯域および収縮性帯域を含み、その収縮は、加熱により、少なくとも同一の割合で容器の容量を減少させることができる、請求項4〜6のいずれかに記載の容器。

【公表番号】特表2011−504860(P2011−504860A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535482(P2010−535482)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054797
【国際公開番号】WO2009/069031
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(508053821)エイサパック ホールディング ソシエテ アノニム (16)
【Fターム(参考)】