説明

高湿気バリヤおよびリビングヒンジを備える自己乾燥型容器

リビングヒンジを備える自己乾燥容器が、樹脂接着吸収剤から作られる容器本体および少なくとも1つの取付機能部と、容器閉鎖体とを含み、当該容器閉鎖体が、本体を閉じるための容器本体に係合可能である閉鎖体部分と、閉鎖体を本体に固定するために容器本体上の取付機能部に互換性のある取付機能部と、閉鎖体部分を取付機能部に接続するリビングヒンジとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、概して、食物、製薬品、およびその他のアイテムのための容器に関し、より詳細には、湿気の侵入に抵抗し、パッケージ内の水分の軽減を可能にし、リビングヒンジ(living hinge)によって容器に取り付けられる閉鎖体を有するそのような容器に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]最も一般的な樹脂ベースのヒンジであるリビングヒンジは、通常、比較的薄くて可撓性があり、容器の2つの剛性または半剛性の部品を一体に接合させ、それらをヒンジの線に沿って曲げるのを可能にする。好都合には、リビングヒンジは、ヒンジと、ヒンジのそれぞれの側に接続される2つのパッケージ構成要素とを同時に作る射出成形処理で製造される。リビングヒンジは便利であり、それらが使用される物品の価格を下げ、寿命が比較的長い。
【0003】
[0003]製薬品および食物のパッケージング容器、さらには別の容器では、変位されることがないように閉鎖要素を閉じられているパッケージに取り付け、パッケージを容易に開けたり閉じたりすることを促進することがしばしば所望される。リビングヒンジはこれを行うための便利な手法を提供し、多種多様なこのようなパッケージに使用される。
【0004】
[0004]また、パッケージ内の過度の水分によって劣化する食物および製薬品さらには別のアイテムのために使用されるパッケージでは、乾燥機能を有する材料、すなわち、材料自体に水蒸気を吸収してパッケージ内の湿り気を減少させるような成分を含む材料から作られるパッケージを提供することが所望される。このような材料は一般に知られており、記載されるタイプのパッケージは過去に提供されている。
【0005】
[0005]湿気を吸収するプラスチック材料の組成物は、これまで、リビングヒンジを形成するためにこのような材料を使用することとは整合性がなかった。有用な量の湿気を吸収するために、容器を形成するのに使用されるプラスチックおよび別の樹脂は、乾燥材料(desiccant material)などの高い割合の添加物を含まなければならない。適切な乾燥機能を提供するために十分な量の乾燥材料が存在することにより、プラスチック材料の性質が変化する。この材料は、リビングヒンジの材料に必要とされるように繰り返し応力を受けると、可撓性が低くなり、歪みおよび屈曲疲労を受けやすくなり、最終的に破損しやすくなる。
【0006】
[0006]したがって、リビングヒンジを備える乾燥用パッケージは単一の材料から作られ得ないが、適切なリビングヒンジと適切な乾燥機能との両方を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]本発明の目的は、これまでに知られている容器の制限に対処する、リビングヒンジを有する乾燥容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]簡単に述べると、リビングヒンジを備える自己乾燥容器が、樹脂接着吸収剤(resin bonded sorbent)から作られる容器本体および少なくとも1つの取付機能部と、本体を閉じるための容器本体に係合可能である閉鎖部分、および閉鎖部を本体に固定するために容器本体上の取付機能部に適合性のある取付機能部、および閉鎖部分を取付機能部に接続するリビングヒンジを有する容器閉鎖体とを含む。
【0009】
[0009]本発明の別の態様によると、容器の本体ならびに容器閉鎖体は、第1および第2の異なる曲げ弾性率を特徴とし、閉鎖体の曲げ弾性率は容器の曲げ弾性率より大きい。[0010]本発明の別の態様によると、容器本体は高密度のポリエチレンを含む。[0011]本発明の別の態様によると、容器本体はポリプロピレンを含む。[0012]本発明の別の態様によると、容器本体は、ゲルまたはシーブ(sieve:ふるいで選別された材)、粘土、酸化カルシウム、あるいは炭素からなる群から選択される、約5から約50重量%の間、好適には約30重量%の乾燥剤を含む。[0013]本発明の別の態様によると、容器本体および容器の色が異なる。[0014]本発明の別の態様によると、樹脂接着吸収剤は樹脂接着乾燥剤(resin bonded desiccant)を含む。[0015]本発明の別の態様によると、容器本体は脱酸素剤を含む。[0016]本発明のさらに別の態様によると、閉鎖体上の取付機能部は環状リングを有する。[0017]本発明のさらに別の態様によると、環状リングは複数の孔を有する。[0018]本発明のさらに別の態様によると、容器本体上の取付機能部は、複数の孔内へ延伸可能な複数の突出部を有する。[0019]本発明のさらに別の態様によると、容器本体上の取付機能部はテーパ領域を有する。
【0010】
[0020]本発明の新規な局面は,添付の特許請求の範囲に特に記載されている。本発明自体はさらなる目的および利点と共に、添付図面と併せて現在好適である本発明の実施形態の以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】[0021]本発明による容器を示す斜視図である。
【図2】異なる視点から見た、本発明による容器を示す斜視図である。
【図3】[0022]容器本体および容器閉鎖体を分離して示す斜視図である。
【図4】[0023]容器本体に組み付けられている容器閉鎖体を示す斜視図である。
【図5】容器本体に組み付けられている容器閉鎖体を示す斜視図である。
【図6】[0024]容器閉鎖体を容器本体に固定するための対応する孔および突出部を有する、容器本体および容器閉鎖体を示す斜視図である。
【図7A】[0025]2ショット射出成形によって作られた本発明の別の実施形態による容器を示す側面図である。
【図7B】2ショット射出成形によって作られた本発明の別の実施形態による容器を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0026]ここで図1を参照すると、本発明による容器が斜視図で示されている。概して10で示される容器は、容器本体12と、キャップを有する容器閉鎖体14と、本体上に組み立てられる取付機能部18とを含む。リビングヒンジ16はキャップ24と取付機能部18との間に接続される。リビングヒンジ16は、好適には、閉鎖体キャップ24と取付機能部18とに取り付けられる厚い部分28、30、ならびに、それらの厚い部分の間にある薄いヒンジ部分を有する。
【0013】
[0027]好適には、閉鎖体14、リビングヒンジ16および取付機能部18は、ポリエチレン、ポリプロピレン、または、リビングヒンジを作るのに適した性質を有する別の重合体などの、樹脂材料から作られる。容器本体12は、好適には、高密度のポリエチレンまたはポリプロピレン、あるいは、水蒸気透過率の低い別の重合体などの、重合体から作られる。シリカゲル、シーブ、粘土、酸化カルシウムまたは炭素などの乾燥剤が、約5%から50%の間、好適には約30%の量で重合体に組み込まれる。乾燥剤の代わりにまたは乾燥剤に加えて、鉄ベースの脱酸素剤などの脱酸素剤が含まれてよい。特定の用途において有用である場合、香料入りの樹脂またはゲルが含まれてもよい。
【0014】
[0028]図3は容器本体12および閉鎖体14を分離して示している。本体12は概略円筒形である。本発明の一実施形態によると、本体12は、基部20のところのわずかに小さい直径から開いている端部22のところのわずかに大きい直径まで勾配がつけられている。本体の開いている端部はわずかに外側に延在するリップ26を有していてよい。閉鎖体14は、本体12の開いている端部22に対して好適には嵌まる、おそらくはリップ26に係合されるキャップ24と、本体12のテーパに適合するように好適には勾配がつけられた内側表面19を有するリングの形態の環状取付機能部18とを含む。キャップ24および取付部材18は、約0.2〜0.3mmのより薄い厚さを有する薄いリビングヒンジ部分によって接続される2つの厚い部分28、30を有するリビングヒンジ16によって接続される。厚い部分28、30はそれぞれキャップ24および取付機能部18に接続される。リビングヒンジ16の正確な形態は本発明に関連して限定されず、任意の既知のヒンジ構成が使用されてよい。寸法は単なる例であり、材料または別の要素に応じて変化してよい。
【0015】
[0029]好適には、閉鎖体14は、ニートポリマー、すなわち、乾燥添加物または酸素吸収添加物を含まない重合体から形成される。好適には、取付機能部18は、開いている端部22に近傍の最終的な位置まで摺動するときに容器本体12上にぴったり接合される。閉鎖体14は、ポリエチレンまたはポリプロピレンあるいは別の重合材料から作られてよい。
【0016】
[0030]図4および5は、容器閉鎖体14がいかにして容器本体12上に配置されるかを示している。図4に見られるように、閉鎖体14は本体12の閉じられた端部20上にはめられ、図5に示されるように、より大きい開いている端部22に向かって上に摺動され、そこで固定されて接合される。好適には、容器本体12は勾配がつけられており、取付機能部18の内側表面が適合するテーパを有する。
【0017】
[0031]図6は本発明の別の実施形態を示しており、ここでは、容器本体30が複数の突出部32を有し、これらの各々は、容器本体30の上側の開いている端部44に隣接して配置される円周上の環状リング34からわずかな距離だけ離れており、必須ではないが好適には勾配がつけられているまたは断面が三角形である。対応する容器閉鎖体40は、容器本体の開いている上側端部44に係合可能である閉鎖体キャップ部分42と、容器本体30上の同数の複数の突出部32に係合されるように離間されかつそのような大きさである中に形成される複数の孔48を有する環状バンド46の形態の取付機能部とを含む。示される実施形態では、孔48は断面が概略長方形である。突出部が孔より少なくてもよいことが理解されよう。リビングヒンジ50は、容器・閉鎖体・キャップ部分42を取付機能部即ちリム46に接続させる。容器本体30および容器閉鎖体40は、図1〜5の対応する要素に関連して言及した材料から形成される。
【0018】
[0032]本発明は上述したように2つの部品で形成され得るが、本発明の別の実施形態によると、容器は2ショット形成処理を使用して単一部品として成形される。図7Aおよび7Bを参照すると、容器10の底部分12は、モールドの一部分を乾燥剤を含む既に説明したタイプのプラスチック材料で充填することにより、その部分を硬化させたりその部分をモールドから取り外したりすることなく、形成され、容器の上側部分18およびキャップ14が、乾燥剤添加物を含まない既に考察したタイプのプラスチック材料を使用してモールドキャビティ内に射出される。2つの射出構成要素のためのプラスチック材料は、それらが適合性を有するように、すなわち、それらが上側部分およびキャップにおいてはそうではないが下側部分において添加剤を含む材料の実質的に連続した単一の本体を作るように、選択されなければならない。別法として、キャップ14は、スリーショットモールディング手順により、ヒンジ部分16のみが添加物を含まないようにして、乾燥剤添加物を含んでもよい。
【0019】
[0033]本発明をその特定の現在好適である実施形態に関連させて説明してきたが、種々の修正および変更が当業者には提案され、請求される本発明がそのような修正および変更を含むことが意図される。例えば、本体は、丸形、楕円および正方形などの種々の形状および大きさであってよい。特定の構成の突出部および孔を説明してきたが、孔ではなく、環状部材内の溝などの別のスナップ嵌め構成が採用されてもよい。
【0020】
[0034]加えて、容器本体上の取付機能部および容器閉鎖体上の取付機能部は、溶接または接着などによって一体に接続され得る特徴であってよい。本発明は容器本体上の突出部および環状リング内の孔を有するように示さているが、この構成は、容器本体内に孔があって環状リング内に突出部があるように逆であってもよい。
【0021】
[0035]材料は、それらが熱または超音波のいずれかによって互いに溶接され得るように、選択されてよい。容器本体および頂部は異なる材料から同時押出しされてもよい。
[0036]キャップ自体は、不正開封防止機能ならびに/またはスナップおよびロックタイプの閉鎖体を含んでいてよい。
【0022】
[0037]容器本体、頂部、またはその両方は、容器本体内の乾燥剤および/または酸素吸収剤ならびに/あるいは別の吸収剤の種類および能力を示すために着色被覆されていてよい。
【0023】
[0038]出願人は、容器本体内に乾燥剤または酸素吸収剤が存在することにより、本体の性質、すなわち、撓み特性(warp characteristics)および収縮特性(shrink characteristics)が改善されることを発見した。
【0024】
[0039]ポリプロピレンは湿気に対する有効なバリヤであるが、高い撓み特性および収縮特性を有することから、容器本体を製造するのに好適ではない。この同じ材料が、本発明による乾燥材料を備えると、撓み特性および収縮特性が大幅に改善した。
【0025】
[0040]既に考察したように、容器本体は、水蒸気吸収材料、酸素吸収材料、臭気吸収材料、香料入りの材料、またはそれらのうちの2つ以上の組み合わせを有することができる。
【0026】
[0041]本発明に従って作られる容器は、薬学の分野において、診断テスト用細長片をパッケージするものとして、さらには、補聴器(hearing aide)用のパッケージとして有用であり、さらには、パッケージから湿気を除去することが所望されるようなスナックおよび/またはキャンディの用途さらには任意の別の食物の用途において有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リビングヒンジを備える容器であって、
樹脂接着吸収剤および少なくとも1つの取付機能部を含む容器本体と、
容器閉鎖体とを有しており、当該容器閉鎖体が、前記容器本体に係合可能で前記本体を閉じる閉鎖部分と、前記閉鎖部を前記本体に固定するために前記容器本体上の前記取付機能部に適合性のある取付機能部と、前記閉鎖部分を前記取付機能部に接続するリビングヒンジとを有する、容器。
【請求項2】
前記容器本体および容器閉鎖体が第1および第2の曲げ弾性率を特徴とし、前記閉鎖体の前記曲げ弾性率が前記容器の前記曲げ弾性率より大きい、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器本体が高密度のポリエチレンを含む、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記容器本体がポリプロピレンを含む、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記容器本体が約5から約50重量%の間の乾燥剤を含む、請求項3に記載の容器。
【請求項6】
前記容器本体が約30重量%の乾燥剤を含む、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記乾燥剤が、ゲルまたはシーブ、粘土、酸化カルシウム、あるいは炭素からなる群から選択される、請求項5に記載の容器本体。
【請求項8】
前記容器本体および前記容器閉鎖体の色が異なる、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記樹脂接着吸収剤が樹脂接着乾燥剤を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
前記容器本体が脱酸素剤を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項11】
前記樹脂接着吸収剤が樹脂接着乾燥剤を含む、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
前記閉鎖体上の前記取付機能部が環状リングを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項13】
前記環状リングが複数の孔を有する、請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記容器本体上の前記取付機能部が、複数の孔内へ延伸可能な複数の突出部を有する、請求項12に記載の容器。
【請求項15】
前記容器本体の前記取付機能部がテーパ領域を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項16】
前記容器が射出成形容器であり、当該射出成形容器において、前記リビングヒンジを含む少なくとも一部が、前記容器の残りの少なくとも一部分とは異なる材料で成形される、請求項1に記載の容器。
【請求項17】
前記リビングヒンジがポリエチレンを含み、前記容器の残りの部分の少なくとも一部分が、酸素吸収添加物を含むポリエチレンを含む、請求項16に記載の容器。
【請求項18】
前記リビングヒンジおよびキャップがポリエチレンを含み、前記容器の残りの部分の少なくとも一部分が、酸素吸収添加物を含むポリエチレンを含む、請求項16に記載の容器。
【請求項19】
容器本体およびリビングヒンジを有する容器を製造する方法であって、
酸素吸収添加物を含むプラスチック材料を含む第1の材料からの前記容器本体と、酸素吸収添加物を含まないプラスチック材料を含む、容器本体と一体のリビングヒンジとを射出成形するステップを含む方法。
【請求項20】
前記射出成形ステップが2ショット射出成形処理を含み、ここでは、酸素吸収添加物を含む材料が1ステップで射出され、酸素吸収添加物を含まない材料が別のステップで射出される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記1ステップが前記容器の少なくとも一部分を形成し、前記別のステップが少なくとも前記リビングヒンジを形成する、請求項20に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公表番号】特表2012−519632(P2012−519632A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553040(P2011−553040)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/025917
【国際公開番号】WO2010/101915
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(503264031)マルチソーブ テクノロジーズ インコーポレイティド (12)
【Fターム(参考)】