説明

高炉における装入物プロフィールの測定方法及び測定装置

【課題】高炉に挿入された装入物の表面のプロファイルを面状に測定でき、プロフィール測定中でも装入操作が可能で測定したプロフィールに応じて迅速な導入操作を可能にし、更に装置全体の小型軽量化を図る。
【解決手段】マイクロ波送受信手段に連結するアンテナと、反射角度可変の反射板とを容器内に収容し、該容器を高炉上部の適所に設けた開口に気密に取り付け、アンテナから発射されたマイクロ波ビームを反射板で反射して装入物の表面を面状に走査するとともに、表面で反射されたマイクロ波をマイクロ波送受信手段で検波して走査位置に対応する距離データを求めてマップ化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉に挿入された装入物の表面のプロフィールを測定する方法及び測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鉱石を溶解する高炉では、通常、炉頂から鉄鉱石とコークスを交互に装入し、炉頂部での装入物の表面プロフィールが蟻地獄の如き逆錘状(図4参照)になるように装入操作を行う。
【0003】
このような高炉では、適正な装入物分布を形成することにより、炉内のガス流れが安定し、燃料費低減や炉体の長寿命化が可能となる。適正な装入物分布制御を行うためには、装入物の表面プロフィールを短時間で正確に測定し、炉況の変化に対応して適正な原料装入調整を行う必要がある。表面プロフィールの測定方法として従来では、図7に示すように、炉壁1を貫通して炉内に挿入されるランス10の先端に装着したアンテナ11から装入物20の表面に向けてマイクロ波M1を発射し、装入物20の表面からの反射マイクロ波M2をアンテナ10で受信し、ミキシングして得られるビート波の周波数により、アンテナ10から装入物20の表面までの距離を測定する方法が一般的であり、ランス10を移動させながら測定することにより装入物20の表面プロフィールを求めている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、ランス10は直線状に移動するため、装入物20の表面全面のプロフィールが得られない。また、ランス10は炉の内径ほどの長さが必要であり、長尺で、高荷重でもあるため、炉内に長く挿入しておくと自重により垂れ下がって炉から抜けなくなり、移動の際のストロークも大きいため炉外に大きなスペースが必要になる。更に、ランス10を移動させるための駆動ユニットが別途必要であり、設備費や運転コストが高くなる。加えて、プロフィール測定中に装入操作を行うことができず、測定したプロファイルに応じた迅速な装入操作ができない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「製鉄研究」第317号、第3〜16頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、高炉に挿入された装入物の表面のプロファイルを面状に測定でき、プロフィール測定中でも装入操作が可能で測定したプロフィールに応じて迅速な導入操作を可能にし、更に装置全体の小型軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、下記に示す高炉における装入物プロフィールの測定方法及び測定装置を提供する。
(1)高炉内に装入された鉄鉱石やコークス等の装入物の表面のプロフィールをマイクロ波により測定する方法であって、
マイクロ波送受信手段に連結するアンテナと、反射角度可変の反射板とを容器内に収容し、該容器を高炉上部の適所に設けた開口に気密に取り付け、前記アンテナから発射されたマイクロ波ビームを前記反射板で反射して装入物の表面を面状に走査するとともに、表面で反射されたマイクロ波を前記マイクロ波送受信手段で検波して走査位置に対応する距離データを求めることを特徴とする装入物プロフィール測定方法。
(2)高炉内に装入された鉄鉱石やコークス等の装入物の表面のプロフィールをマイクロ波により測定するための装置であって、
反射角度が可変の反射板と、前記反射板の反射角度を制御するための角度可変機構と、マイクロ波送受信手段と、誘電材料からなる栓部材で閉塞された導波管により前記マイクロ波送受信手段に連結されたアンテナとを備え、一面が開口した容器内に前記反射板と前記アンテナとを対向配置するとともに、該容器に、前記マイクロ波送受信手段及び前記角度可変機構をそれぞれ別容器に収容した状態で取り付けてなる測定部と、
前記角度可変手段及び前記マイクロ波送受信手段の駆動を制御するとともに、検波信号の解析を行う制御部とを備えるとともに、
前記測定部を、前記容器の開口部が高炉上部の適所に設けた開口と重なるように高炉に気密に取り付け、前記アンテナから発射されたマイクロ波を前記反射板で反射して装入物の表面を面状に走査するとともに、表面で反射されたマイクロ波を前記マイクロ波送受信手段にて検波し、前記制御部にて走査位置に対応する距離データを求めてマップ化することを特徴とする装入物プロフィール測定装置。
(3)前記測定部において、
反射板が、その両端に設けた支軸を介して支持部材に、該支軸を中心に回動自在に支持されるとともに、該反射板のアンテナ対向面とは反対側の面上を前記支軸と直交する直線上を移動する棒状片を備え、
前記反射板を、前記棒状片を移動させて前記支軸を中心に第1の方向に回動させるとともに、前記支持部材をその軸線を中心に回動させて第2の方向に回動させ、
前記第1の方向への回動と、前記第2の方向への回動とを組み合わせることにより、前記反射板によるマイクロ波の反射角度を制御することを特徴とする上記(2)記載の挿入物プロフィール測定装置。
(4)前記棒状片が、導波管の軸線に沿って移動する連結棒の先端から前記反射板の裏面に向かって垂下しており、
内軸と外軸との二重構造からなる軸管の内軸の先端に前記支持部材が固定され、外軸に連結棒が固定されるとともに、前記内軸をその軸線を中心にして回動させ、前記外軸をその軸線に沿って移動させる駆動手段を備えることを特徴とする上記(3)記載の挿入物プロフィール測定装置。
(5)前記反射板及び前記アンテナを収容する前記容器に、窒素ガス取り入れ口を設けて窒素ガスを流入させることを特徴とする上記(3)または(4)記載の挿入物プロフィール測定装置。
(6)前記測定部において、
高炉の開口と対向する開口部が形成されたガイドパイプの前記開口部に、反射板が、その両端に設けた支軸を介して回動自在に支持されているとともに、
前記反射板のアンテナ対向面とは反対側の面の中心に棒状片の一端が固定され、該棒状片の他端がガイドパイプの軸線方向に移動可能な連結棒に連結しており、
前記反射板を、前記連結棒を移動させて前記支軸を中心に第1の方向に回動させるとともに、前記ガイドパイプをその軸線を中心に回動させて第2の方向に回動させ、
前記第1の方向への回動と、前記第2の方向への回動とを組み合わせることにより、前記反射板によるマイクロ波の反射角度を制御することを特徴とする上記(2)記載の挿入物プロフィール測定装置。
(7)前記ガイドパイプの開口部が、該ガイドパイプの長手方向中央部に形成されており、
該ガイドパイプの一方の端部にアンテナが接続され、他端を閉塞する端面の外側に、前記連結棒を移動させるための駆動手段及び該ガイドパイプを回動させるための駆動手段が取り付けられていることを特徴とする上記(6)記載の挿入物プロフィール測定装置。
(8)前記反射板と前記ガイドパイプの開口部周辺とを包囲する容器と、
前記容器の両外側に配置され、該容器の両側に突出する前記ガイドパイプを支持するための一対の軸受と、該容器の気密性を維持するシール部材とを備える支持部材と
を備えることを特徴とする上記(7)記載の挿入物プロフィール測定装置。
(9)前記ガイドパイプを、前記容器のアンテナ側壁面で分割するとともに、該ガイドパイプの該容器からアンテナ側に突出する部分を前記容器に接合し、前記容器から突出する他方の部分を前記支持部材で支持することを特徴とする上記(8)記載の挿入物プロフィール測定装置。
(10)前記アンテナ及び前記反射板の少なくとも一方に、マイクロ波の送受信に影響しない孔を開けるとともに、前記ガイドパイプに窒素ガス取り入れ口を設けて窒素ガスを流入させることを特徴とする上記(6)〜(9)の何れか1項に記載の挿入物プロフィール測定装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高炉に挿入された装入物の表面のプロフィールを全面にわたり測定でき、プロフィール測定中でも装入操作が可能で、かつ測定したプロフィールに応じて迅速な導入操作も可能となる。また、装置全体の小型軽量化を図ることができ、保守作業を安全に行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る装入物プロフィール測定装置の全体構成を示す図である。
【図2】測定部の第1の例を示す拡大図である。
【図3】図2に示す測定部を上面からみた断面図である。
【図4】測定部の第2例を示す側断面図である。
【図5】図4に示す測定部の反射板周辺を示す一部切欠斜視図である。
【図6】図4に示す測定部の反射板の傾斜角度を変更する機構を示す図である。
【図7】従来の装入物プロフィール測定装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の挿入物プロフィール測定装置の全体構成を示す図であるが、高炉の軸線に沿った断面を示している。また、図2は測定部Aの周辺を示す拡大図であり、図3は測定部Aを上面からみた断面図である。
【0012】
測定部Aは、円板状の反射板100と、マイクロ波送受信手段110に連結するアンテナ120とを対向配置して第1の容器130に収容して構成されており、炉壁1の頂部近傍の適所に設けられた開口2に装着される。また、反射板100の下にはセラミックスフィルタ31を介してバルブ30が設けられており、プロフィール計測時にはバルブ30を開き、保守点検時にはバルブ30を閉めるようになっている。更に、バルブ30と開口2との間にフィルタ32を設け、炉内からの高温ガスの流入や粉塵の侵入を防止している。また、窒素ガス取入れ口33から窒素ガスを供給して、プロフィール測定時に測定部Aの内部を炉内より高圧にして粉塵の侵入を防止する。
【0013】
アンテナ120は、取り付けのための奥行きが短かいことから、パラボラアンテナが好ましい。
【0014】
第1の容器130は略円筒状で、その上面は上蓋131で閉塞されており、下面132は開口しており、図示は省略されるセラミックフィルタ31やフィルタ32を介在させて、炉壁1の開口2と重なるように装着される。また、窒素ガス取り入れ口135を設け、窒素ガスが供給される。
【0015】
また、第1の容器130の周壁にはアンテナ120が取り付けられており、アンテナ120の背面を覆うように第2の容器140が装着されている。この第2の容器140には、マイクロ波送受信手段110が収容され、マイクロ波送受信手段110とアンテナ120とは導波管150により連結されている。導波管150は、誘電材料からなる栓部材151により閉塞されており、アンテナ120のマイクロ波の送受信を行うための開口(図示せず)を通じてガスや粉塵が流入しないようにしてある。また、マイクロ波送受信手段110は、コネクタ155を介して外部の制御部(図示せず)に繋がっており、電力の供給やマイクロ波の送受信の制御、検波信号の処理等が制御部を通じて行われる。
【0016】
更に、第1の容器130の周壁には、アンテナ120と直交する位置に、反射板100の角度を制御するための角度可変機構160が装着されている。反射板100は第1の容器130の中央部に配置されており、その直径両端が半円環の支持アーム101の両端に設けられた軸受102a,102bにより支持されている。支持アーム101は、角度可変機構160の内軸161に直結している。内軸161は、第1のモータ170により回転駆動され、それに伴って反射板100は矢印X方向に回動する。
【0017】
また、反射板100のアンテナ対向面とは反対側の裏面100aの中心部には、棒状片103の先端103aが固着されている。この棒状片103は、第1の球面滑り軸受104を介して連結棒105に接続しており、連結棒105の他端は第2の球面滑り軸受106を介して、内軸161と同軸に配設された外軸162の先端部に接続している。
【0018】
外軸162には、第2の球面滑り軸受106とは他端の外周面に雄ネジ162aが形成されており、内軸161上に取り付けられた第2のモータ172により回転駆動される雌ネジ部材173の内周面に形成された雌ネジ173aと螺合している。そして、第2のモータ172を駆動すると、雌ネジ部材173が回転して外軸162が反射板100に接近または離間するように図中の左右方向に移動し、それに伴って連結棒105が図中の左右方向に移動する。連結棒105の動きは軸受102a,102bを支点として第1の球面滑り軸受104を円運動させる。反射板100は軸受102a,102bにより図中左右方向への移動が規制されているため、第1の球面滑り軸受104の動きに連動して棒状片103の先端103aが円運動することにより、反射板100は図中の上下方向、即ち矢印Y方向に回動する。
【0019】
尚、図示は省略するが、第2のモータ172を内軸161上に取り付けず、第1のモータ170と第2のモータ172の回転差で雌ネジ部材173を回転させることもできる。
【0020】
このように構成される角度可変機構160において、内軸161と外軸162とを協働すると、内軸161の回転により反射板100を矢印X方向に所定角度で傾斜させ、それと同時に外軸162を回転して棒状体103の先端103aを円運動させて矢印Y方向への回動を付加することができ、反射板100を任意の方向に傾斜させることができる。
【0021】
また、角度可変機構160は、第1のモータ170、第2のモータ172、内軸161及び外管162の一部、更に雌ネジ部材173は第3の容器180に収容され、第1の容器130に取り付けられている。更に、第1のモータ170はコネクタ174を通じて、第2のモータ172はコネクタ175を通じて外部の制御部に接続されており、電力供給や回転の制御が制御部を通じて行われる。
【0022】
装入物の表面のプロフィールを測定するには、マイクロ波送受信手段110で発振されたマイクロ波Mをアンテナ120から発射し、反射波100で反射して開口2を通じて装入物20に向けて送信する。そして、装入物20の表面で反射されたマイクロ波Mを反射板100で反射してアンテナ120へと導き、マイクロ波送受信手段110で受信し、受信信号を外部の制御部に送り、ビート波の周波数によりアンテナ120から装入物20の表面までの距離を求める。
【0023】
本発明では、反射板100の角度を角度可変機構160により連続的に変化させてマイクロ波Mが装入物20の全面を走査するようにする。そして、走査の位置情報と、装入物20の表面までの距離とを2次元的にマップ化することにより、装入物の全面のプロフィールが得られる。マイクロ波Mによる走査に際し、装入物が新たに装入されても、測定には支障がない。
【0024】
尚、高炉内では、人体に有害な一酸化炭素ガスが発生しており、測定部Aの気密性は安全上の重要課題である。本発明では、上記のように、フィルタ32やセラミックスフィルタ31により2重の気密構造とするとともに、第1の容器に反射板100及びアンテナ120を収容し、第2の容器にマイクロ波送受信手段110を収容するとともにアンテナ120との連結に用いる導波管150を栓部材155で閉塞し、更に角度可変機構160を第3の容器180に収容しているため、測定部Aを通じて一酸化炭素ガスが外部に漏洩することがない。
【0025】
また、バルブ30を閉じることにより、高炉を気密にした状態で、測定部Aを高炉から分離でき、測定部Aの保守作業を安全に行うことができる。
【0026】
反射板の角度可変機構として、図4〜図6に示す構成にすることもできる。尚、図4〜図6において、図1〜図3に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。
【0027】
図4は全体構成を側断面図であるが、図示されるように、ガイドパイプ200の一端にアンテナ120が取り付けられており、アンテナ120にはマイクロ波送受信手段110が接続しており、制御部にてマイクロ波の送受信が制御される。尚、アンテナ120とマイクロ波送受信手段110とを接続する導波管150は、栓部材151で閉塞されており、マイクロ波送受信手段110は第2の容器140に収容され、密封されている。
【0028】
また、ガイドパイプ200の中央部には、炉の開口2に対面する面が切欠して開口部210が形成されており、この開口部210の内部に円板状の反射板100が収容される。また、ガイドパイプ200の開口部210は、第1の容器130で包囲されており、第1の容器130が、炉の開口2に対面する側が開口しており、図示は省略されるバルブ30、セラミックフィルタ31、フィルタ32を介在させて、炉の開口2に接続される(図1参照)。また、第1の容器130の開口は、炉内からの粉塵がガイドパイプ200の内部に流入しないように、フィルタ220で閉塞されていている。
【0029】
反射板100は、図5に示すように、その直径両端から突出する支軸190が設けられており、支軸190がガイドパイプ200に固定されている。それにより、反射板100は、支軸190を中心にして矢印Pに示すように回動する。
【0030】
また、反射100の裏面100aの中心Cには所定の角度θ(例えば45°)で棒状片230が固定されている。この棒状片230には第1の球面滑りヒンジ240を介して第1の連結棒232が接続され、更に第1の連結棒232には第2の球面滑りヒンジ241を介して第2の連結棒233が接続されている。
【0031】
ガイドパイプ200の他端は端面201で閉塞しており、端面201には第2の連結棒233を挿通可能な開口が開けられ、この開口から第2の連結棒233が外部に延出している。そして、端面201の外側には、第2の連結棒233をガイドパイプの軸線に沿って矢印H方向に移動させるための連結棒駆動手段235が取り付けられている。この連結棒駆動手段235は、例えばモータ236とラックギア237とで構成することができる。
【0032】
図6(A)に示すように、第2の連結棒233を矢印Ha方向に移動させると、第1の連結棒232も同方向に移動して第1の球面滑りヒンジ240を介して棒状片230が支軸190を中心にして矢印L方向に傾倒する。それに伴い、図6(B)に示すように反射板100が矢印Paで示す方向に回動する。このとき、第1の球面滑りヒンジ240は、図5(A)に示す当初の位置よりも図中左下方向に若干降下し、図6(B)に示すように第1の連結棒232も第1の球面滑りヒンジ240の端部が若干降下する。そこで、第2の球面滑りヒンジ241によりこの第1の連結棒232の降下を吸収する。
【0033】
また、図示は省略するが、この状態から第2の連結棒233を矢印Haとは反対側に移動させると、反射板100が矢印Paとは反対側に回動する。
【0034】
上記の第2の連結棒233の移動に伴う反射板100の矢印P方向への回動により、アンテナ120から送信され反射板100で反射されたマイクロ波Mは、図中の左右方向に送られる。
【0035】
また、ガイドパイプ200は、アンテナ120及びマイクロ波送受信手段110を収容する第2の容器140ごと、その軸線を中心に矢印Q方向に回転可能に構成されており、それに伴い反射板100も同じように回動し、マイクロ波Mは紙面と垂直な方向に送られる。ガイドパイプ200の回転は、端面201の外側に設けたモータ205で行うことができ、モータ205の回転軸はガイドパイプ200の軸線の延長線上に設けられている。また、モータ205は、連結棒駆動手段235とともに容器208に収容される。
【0036】
このように、第2の連結棒233の移動と、ガイドパイプ200の回転により、マイクロ波Mを二次元方向に走査できる。
【0037】
また、第1の容器130の両側には支持部材260,261が配設される。支持部材260,261は、ガイドパイプ200の外周に軸受を嵌合してガイドパイプ200を回動自在に支持し、更にシール部材で容器内部の気密性を維持する。尚、シール部材は耐熱性を有することが望ましい。第1の容器130の内部は、測定時に炉の開口2を通じて炉内と同じガス圧になり、かなりの高圧となる。そこで、支持部材260,261で圧力を分担して受けることで、第1の容器130を保護するができ、ガイドパイプ200の抜け防止装置を別途設ける必要もなくなる。
【0038】
更に、第1の容器130には、窒素ガス取り入れ口135から窒素ガスを流入させることができ、内部を観察できるように窓137を設けることができる。
【0039】
また、ガイドパイプ200にも窒素ガス取り入れ口136a,136bを設け、ガイドパイプ200の内部に窒素ガスを流入させてもよい。
【0040】
上記において、ガイドパイプ200を第1の容器130のアンテナ側壁面130aで分割するとともに、アンテナ側の部分を第1の容器130に溶接等により接合し、第1の容器130からガイドパイプ200の端面201までの部分を回転可能にすることもでき、その場合、アンテナ側の部分を保持する支持部材261を省略することができる。
【0041】
また、図示は省略するが、アンテナ120に、マイクロ波の送受信に影響を与えない程度の小孔を開け、窒素ガス取り入れ口136aをアンテナ120の背面(マイクロ波送受信手段側の面)の近傍に設けることにより、窒素ガスがアンテナ120の小孔を通じてガイドパイプ200の内部を第1の容器130へと流入するとともに、アンテナ120の裏面の粉塵を除去することができる。
【0042】
更に、反射板100にも同様の小孔を開けることで、窒素ガス取り入れ口136aからの窒素ガスが反射板100の裏面側へも流通するとともに、窒素ガス取り入れ口136bからの窒素ガスがアンテナ側へも流通するようになり、ガイドパイプ200の全域にわたり窒素ガスがより流通しやすくなる。
【符号の説明】
【0043】
A 測定部
100 反射板
101 支持アーム
104 第1の球面滑り軸受
105 連結棒
106 第2の球面滑り軸受
110 マイクロ波送受信手段
120 アンテナ
130 第1の容器
140 第2の容器
150 導波管
151 栓部材
160 角度可変機構
161 内軸
162 外軸
170 第1のモータ
172 第2のモータ
180 第3の容器
190 支軸
200 ガイドパイプ
210 開口部
220 フィルタ
230 棒状片
232 第1の連結棒
233 第2の連結棒
240 第1の球面滑りヒンジ
241 第2の球面滑りヒンジ
260,261 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉内に装入された鉄鉱石やコークス等の装入物の表面のプロフィールをマイクロ波により測定する方法であって、
マイクロ波送受信手段に連結するアンテナと、反射角度可変の反射板とを容器内に収容し、該容器を高炉上部の適所に設けた開口に気密に取り付け、前記アンテナから発射されたマイクロ波を前記反射板で反射して装入物の表面を面状に走査するとともに、表面で反射されたマイクロ波を前記マイクロ波送受信手段で検波して走査位置に対応する距離データを求めてマップ化することを特徴とする装入物プロフィール測定方法。
【請求項2】
高炉内に装入された鉄鉱石やコークス等の装入物の表面のプロフィールをマイクロ波により測定するための装置であって、
反射角度が可変の反射板と、前記反射板の反射角度を制御するための角度可変機構と、マイクロ波送受信手段と、誘電材料からなる栓部材で閉塞された導波管により前記マイクロ波送受信手段に連結されたアンテナとを備え、一面が開口した容器内に前記反射板と前記アンテナとを対向配置するとともに、該容器に、前記マイクロ波送受信手段及び前記角度可変機構をそれぞれ別容器に収容した状態で取り付けてなる測定部と、
前記角度可変手段及び前記マイクロ波送受信手段の駆動を制御するとともに、検波信号の解析を行う制御部とを備えるとともに、
前記測定部を、前記容器の開口部が高炉上部の適所に設けた開口と重なるように高炉に気密に取り付け、前記アンテナから発射されたマイクロ波を前記反射板で反射して装入物の表面を面状に走査するとともに、表面で反射されたマイクロ波を前記マイクロ波送受信手段にて検波し、前記制御部にて走査位置に対応する距離データを求めてマップ化することを特徴とする装入物プロフィール測定装置。
【請求項3】
前記測定部において、
反射板が、その両端に設けた支軸を介して支持部材に、該支軸を中心に回動自在に支持されるとともに、該反射板のアンテナ対向面とは反対側の面上を前記支軸と直交する直線上を移動する棒状片を備え、
前記反射板を、前記棒状片を移動させて前記支軸を中心に第1の方向に回動させるとともに、前記支持部材をその軸線を中心に回動させて第2の方向に回動させ、
前記第1の方向への回動と、前記第2の方向への回動とを組み合わせることにより、前記反射板によるマイクロ波の反射角度を制御することを特徴とする請求項2記載の挿入物プロフィール測定装置。
【請求項4】
前記棒状片が、導波管の軸線に沿って移動する連結棒の先端から前記反射板の裏面に向かって垂下しており、
内軸と外軸との二重構造からなる軸管の内軸の先端に前記支持部材が固定され、外軸に連結棒が固定されるとともに、前記内軸をその軸線を中心にして回動させ、前記外軸をその軸線に沿って移動させる駆動手段を備えることを特徴とする請求項3記載の挿入物プロフィール測定装置。
【請求項5】
前記反射板及び前記アンテナを収容する前記容器に、窒素ガス取り入れ口を設けて窒素ガスを流入させることを特徴とする請求項3または4記載の挿入物プロフィール測定装置。
【請求項6】
前記測定部において、
高炉の開口と対向する開口部が形成されたガイドパイプの前記開口部に、反射板が、その両端に設けた支軸を介して回動自在に支持されているとともに、
前記反射板のアンテナ対向面とは反対側の面の中心に棒状片の一端が固定され、該棒状片の他端がガイドパイプの軸線方向に移動可能な連結棒に連結しており、
前記反射板を、前記連結棒を移動させて前記支軸を中心に第1の方向に回動させるとともに、前記ガイドパイプをその軸線を中心に回動させて第2の方向に回動させ、
前記第1の方向への回動と、前記第2の方向への回動とを組み合わせることにより、前記反射板によるマイクロ波の反射角度を制御することを特徴とする請求項2記載の挿入物プロフィール測定装置。
【請求項7】
前記ガイドパイプの開口部が、該ガイドパイプの長手方向中央部に形成されており、
該ガイドパイプの一方の端部にアンテナが接続され、他端を閉塞する端面の外側に、前記連結棒を移動させるための駆動手段及び該ガイドパイプを回動させるための駆動手段が取り付けられていることを特徴とする請求項6記載の挿入物プロフィール測定装置。
【請求項8】
前記反射板と前記ガイドパイプの開口部周辺とを包囲する容器と、
前記容器の両外側に配置され、該容器の両側に突出する前記ガイドパイプを支持するための一対の軸受と、該容器の気密性を維持するシール部材とを備える支持部材と
を備えることを特徴とする請求項7記載の挿入物プロフィール測定装置。
【請求項9】
前記ガイドパイプを、前記容器のアンテナ側壁面で分割するとともに、該ガイドパイプの該容器からアンテナ側に突出する部分を前記容器に接合し、前記容器から突出する他方の部分を前記支持部材で支持することを特徴とする請求項8記載の挿入物プロフィール測定装置。
【請求項10】
前記アンテナ及び前記反射板の少なくとも一方に、マイクロ波の送受信に影響しない孔を開けるとともに、前記ガイドパイプに窒素ガス取り入れ口を設けて窒素ガスを流入させることを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の挿入物プロフィール測定装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−33619(P2011−33619A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155828(P2010−155828)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(593207271)株式会社ワイヤーデバイス (15)
【Fターム(参考)】