説明

高眼圧症を治療するための眼科用組成物

本発明は、緑内障および患者の眼の眼内圧上昇を導く他の状態を治療するための、式Iの強力なカリウムチャネル遮断薬化合物またはこの調合物に関する。本発明は、哺乳動物種、特にヒトの眼に神経保護効果をもたらすためのこうした化合物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
緑内障は、眼内圧が高すぎて眼が正常に機能できない眼の変性疾患である。結果として、視神経乳頭に損傷が生じ、視覚機能を不可逆的に喪失することとなる場合もある。もし治療しなければ、最終的には緑内障が失明につながることもある。高眼圧症(すなわち、視神経乳頭の損傷または特徴的な緑内障性視野欠損を伴わない眼内圧上昇状態)は、単に緑内障の発症における最も早期の象徴に過ぎないと、現在、大多数の眼科医は考えている。
【0002】
緑内障および眼内圧上昇を治療する幾つかの治療薬があるが、これらの薬剤の有効性および副作用のプロフィールは理想的ではない。近ごろ、カリウムチャネル遮断薬は、眼の眼内圧を低下させ、従って、高眼圧症およびこれに関連した眼の変性状態の治療へのさらにもう1つのアプローチとなることが判明した。カリウムチャネルの遮断は、液体分泌を減少させることができ、ならびに一部の環境下では、平滑筋収縮を増大させ、IOPを低下させることが期待され、眼に関する神経保護効果を有する。(米国特許第5,573,758号および同第5,925,342号;Mooreら,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci 38,1997;国際公開第89/10757号、同第94/28900号および同第96/33719号参照)。
【0003】
ケトン官能基を有する一部のMaxi−Kチャネル遮断薬は、かなり低い水溶性を有する。治療薬は、一般に、眼科処方水溶液の形態であるため、緑内障などの眼病を治療するために利用する場合、これは深刻な問題である。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、緑内障および患者の眼の眼内圧上昇に関連する他の状態の治療における強力なカリウムチャネル遮断薬またはこの調合物の使用に関する。本発明は、哺乳動物種、特にヒトの眼に神経保護効果をもたらすためのこうした化合物の使用にも関する。さらに詳細には、本発明は、構造式I:
【0005】
【化7】

[式中、
M、M1およびM2は、独立して、CHまたはNであり;
Qは、
【0006】
【化8】

(R10およびR11は、OPO(ORおよびRをそれぞれ表すか、それぞれRおよびOPO(ORをそれぞれ表す)
を表し、
Zは、NまたはCを表し;
Zが、Nであるときには、YとZの間の結合は、単結合であり、XとYの間の結合は、それぞれ、CR=N;CR=CR1’;CR1’=CR;またはN=CRを表し;
Zが、Cであるときには、Xは、OまたはSであり、Yは、CRを表し、およびYとZの間の結合は、点線−−−によって示されているような二重結合であり、
は、
【0007】
【化9】

を表し;
’は、水素、C1−6アルキル、−(CH3−8シクロアルキルを表し、前記アルキルもしくはシクロアルキルは、Raの1から3個の基で置換されており;または
X−Yが、CR=CR’もしくはCR’=CRであるとき、RおよびR’は、介在二重結合と一緒になって、4から10員環または縮合環を形成することがあり、この場合、前記環にはO、S、C(O)もしくはNRのうちの1から3個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに前記環は、1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されており;但し、
少なくとも1個のエノールホスフェート基がこの化合物上に存在することを条件とし;
Wは、(CHR−を表し;
は、−(CH−CO(CH−、−SO−、−O−、−S−、−CH(OR^)−、またはCONR^を表し、
R^は、水素、C1−10アルキル、−(CH1−6アルコキシ、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリルを表し、前記アルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択される1から3個の基で場合によっては置換されており;または
R^およびRは、YのCONR’の介在N原子と一緒になって、4から10員炭素環または複素環または縮合環を形成し、この場合、前記環にはO、S、C(O)もしくはNRのうちの1から3個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに前記環は、1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されており;
Gは、N、CRyまたはOを表し、GがOであるとき、Rは不在であり;
およびR2aは、水素、C1−10アルキル、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH6−10アリール、−(CH1−6アルコキシ、CFニトロ、OH、シアノもしくはハロゲンを独立して表し、前記アルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルもしくはアリールは、Rの1から3個の基で場合によっては置換されており;または
およびR2aは、介在原子と一緒になって、4から10員炭素環もしくは複素環もしくは縮合環を形成し、この場合、前記環にはO、S、C(O)もしくはNRのうちの1から2個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに前記環は、1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されており;
およびR3aは、水素、C1−10アルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH1−6アルコキシ、−(CH6−10アリールを独立して表し、前記アルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルまたはアリールは、Rの1から3個の基で場合によっては置換されており;
およびRは、水素、C1−6アルコキシ、OH、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、S(O)R、COOR、COR、SOH、−O(CHN(R)、−O(CHCOR、−OPO(OH)、CF、OCF、−N(R)、ニトロ、シアノ、C1−6アルキルアミノ、またはハロゲンを独立して表し;
は、水素、C1−10アルキル、−(CH6−10アリール、−NH(CH6−10アリール、−(CH5−10ヘテロアリール、−NH(CH5−10ヘテロアリール、(C6−10アリール)O−、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH3−10シクロアルキル(縮合環を含む)、−COOR、−C(O)CORを表し、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキルおよびアルキルは、Rから選択される1から3個の基により場合によっては置換されており;
は、水素、C1−6アルキル、−(CHCOORまたは−(CHN(R)を表し;
は、水素、C1−10アルキル、C1−6アルキルSR、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH5−10ヘテロアリール、−N(R)、−COOR、または−(CH6−10アリールを表し、前記アルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択される1から3個の基により場合によっては置換されており;
は、水素、C1−10アルキル、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH5−10ヘテロアリール、−(CHCOOR、−(CH6−10アリール、−(CHNHR、−(CHN(R)、−(CHN(R、−(CHNHCOOR、−(CHN(R)COR、−(CHN(R)COR、−(CHNHCOR、−(CHCONH(R)、アリール、−(CH1−6−OR、CF、−(CHSOR、−(CHSON(R)、−(CHCON(R)、−(CHCONHC(R)、−(CHCONHC(R)COR、−(CHCOR、窒素、シアノまたはハロゲンを表し、前記アルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rの1から3個の基で場合によっては置換されており;または
Qが、Nであるとき、RおよびRは、介在N原子と一緒になって、4から10員複素環式炭素環を形成し、この場合、前記環には、O、S、C(O)もしくはNRのうちの1から2個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに前記環は、1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されており;または
Qが、CRyであるとき、RおよびRは、介在C原子と一緒になって、3から10員炭素環もしくは縮合環を形成し、この場合、前記環には、O、S、C(O)もしくはNRのうちの1から2個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに前記環は、1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されており;または
Qが、CRyであるとき、RおよびRは、介在CRyと一緒になって、5から12員縮合環を形成し、この場合、前記環には、O、S、C(O)もしくはNRのうちの1から3個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに前記環は、1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されており;
は、H、C1−6アルキル、−C(O)C1−6アルキル、−C(O)OC1−6アルキル、−SON(R)、−SO1−6アルキル、−SO6−10アリール、NO、CNまたは−C(O)N(R)を表し;
RおよびRyは、水素またはC1−6アルキルを独立して表し;
は、F、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−COR、−CONHR、−CON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−(CHOH、(C−Cアルキル)S(O)−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、−(C−Cアルキル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(CH−Z−C(=Z)N(R)、−(C2−6アルケニル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−Z−C(=Z)N(R)、−(CHSOR、−(CHSOH、−(CHPO(OR)、−(CHOPO(OR)、C3−10シクロアルキル、C6−10アリール、C3−10ヘテロシクリル、C2−6アルケニル、およびC−C10アルキルを表し、前記アルキル、アルケニル、アルコキシ、ヘテロシクリルおよびアリールは、C−Cアルキル、CN、NO、OH、CON(R)およびCOORから選択される1から3個の基で場合によっては置換されており;
およびZは、NR、O、CHまたはSを独立して表し;
mは、0から3であり;
nは、0から3であり;
pは、0から1であり;ならびに
qは、0から2である]
を有する新規エノールホスフェート化合物またはこれらの医薬的に許容される塩、インビボ加水分解性エステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体または混合物を使用する緑内障および/または高眼圧症(眼内圧上昇)の治療に関する。
【0008】
これらの化合物は、これらのエノールホスフェートに転化させることができる対応するケトン形態よりはるかに高い水溶性を有する。本発明のこれおよび他の態様は、本発明全体の精査により明らかにされるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、式Iの新規カリウムチャネル遮断薬に関する。本発明は、上に記載した式Iのカリウムチャネル遮断薬および医薬的に許容される担体を含有する組成物の投与、好ましくは局所または眼房内投与により、眼内圧上昇を低下させるまたは緑内障を治療するための方法にも関する。
【0010】
本発明の1つの実施態様は、−X−Y−が、CR=N−であり、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0011】
本発明のもう1つの実施態様は、−X−Y−が、それぞれ、CR=CRであり、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0012】
本発明のもう1つの実施態様は、−X−Y−が、それぞれ、CR=CRであり、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0013】
本発明のもう1つの実施態様は、−X−Y−が、それぞれ、N=CRであり、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0014】
本発明のもう1つの実施態様は、M、M1およびM2が、CHであり、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0015】
本発明のもう1つの実施態様は、M、M1およびM2のうちの少なくとも1つが、Nであり、他(複数を含む)が、CHであり、ならびに他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0016】
本発明のもう1つの実施態様は、Qが、
【0017】
【化10】

を表し、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0018】
本発明のもう1つの実施態様は、Qが、
【0019】
【化11】

を表し、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0020】
本発明のもう1つの実施態様は、Qが、
【0021】
【化12】

を表し、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0022】
本発明のもう1つの実施態様は、Qが、
【0023】
【化13】

を表し、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0024】
本発明のもう1つの実施態様は、Zが、Nを表し、YとZの間の結合が、単結合であり、X−Yが、それぞれ、CR=N;CR=CR;CR=CR;N=CRを表し、ならびに他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0025】
本発明のもう1つの実施態様は、Zが、Cを表し、Xが、OまたはSを表し、Yが、CRを表し、YとZの間の結合が、点線−−−によって表されるような二重結合であり、ならびに他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0026】
本発明のもう1つの実施態様は、Rが、
【0027】
【化14】

を表し、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0028】
本発明のもう1つの実施態様は、Rが、
【0029】
【化15】

を表し、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。本発明の副次的実施態様は、Yが、−CO(CHまたは−(CHであるとき実現される。
【0030】
本発明のもう1つの実施態様は、Yが、−(CH−または−CO(CH−であるとき実現される。
【0031】
本発明のもう1つの実施態様は、Gが、Nを表し、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。本発明のさらにもう1つの実施態様は、Gが、Cryであり、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。本発明のさらにもう1つの実施態様は、Gが、Oを表し、他のすべての可変項が、当初記載したとおりであるとき、実現される。
【0032】
本発明のもう1つの実施態様は、M、MおよびMが、CHであり、Zが、Nであり、Gが、NまたはCRyであり、Qが、
【0033】
【化16】

であり、Rが、
【0034】
【化17】

であるとき、実現される。
【0035】
本発明のもう1つの実施態様は、Rが、F、Cl、Br、I、OH、CF、N(R)、NO、CN、−CONHR、−CON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−(CHOH、(C−Cアルキル)S(O)−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、−(CHPO(OR)、−(CHOPO(OR)、C2−6アルケニル、およびC−C10アルキル(前記アルキルおよびアルケニルは、C−CアルキルおよびCOORから選択される1から3個の基で場合によっては置換されている)から選択されるとき、実現される。
【0036】
本発明の式Iの化合物の例は:
ジメチルリン酸1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル;
リン酸二水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル;
リン酸二水素1−(1−{2−[(3,3−ジメチルブチル)(エチル)アミノ]−2−オキソエチル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル;
リン酸二水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル;
メチルリン酸水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル;
リン酸二水素シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチル;
リン酸二水素シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチル;
N,N−ジブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)アセトアミド;
N,N−ジイソブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)アセトアミド;
N−(シクロプロピルメチル)−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N−プロピルアセトアミド;
N−シクロヘキシル−N−エチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)アセトアミド;
2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N,N−ジプロピルアセトアミド;
N−ブチル−N−エチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)アセトアミド;
N−エチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N−(3−メチルブチル)アセトアミド;
N−ブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N−プロピルアセトアミド;
2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセトアミド;
1−(6−メトキシ−1−{2−[トランス−オクタヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]−2−オキソエチル}−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパン−1−オン;
1−(6−メトキシ−1−{2−[シス−オクタヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]−2−オキソエチル}−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパン−1−オン;
N−(3,3−ジメチルブチル)−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N−プロピルアセトアミド;
リン酸二水素(Z)−1−t−ブチル−2−{6−メトキシ−3−[2−メチル−1−(ホスホノオキシ)プロパ−1−エン−1−イル]−1H−インダゾール−1−イル}ビニル;
リン酸二水素(Z)−1−t−ブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)ビニル
である化合物、またはこの医薬的に許容される塩、インビボ加水分解性エステル、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはこれらの混合物である。
【0037】
特に別の指定がない限り、本明細書では下で定義する用語を用いて本発明を詳細に説明する。
【0038】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸およびキラル面を有することがあり、ラセミ体、ラセミ混合物としておよび個々のジアステレオマーとして存在することがあり、光学異性体を含むすべての可能な異性体は、本発明に包含される(E.L.Eliel and S.H.Wilen Stereochemistry of Carbon Compounds(John Wiley and Sons,New York 1994)、特に、1119−1190頁参照)。
【0039】
任意の可変項(例えば、アリール、複素環、R、Rなど)が、任意の構成成分中で1回より多く出現する場合、各出現時のこの定義は、他のすべての出現時とは無関係である。また、置換基/または可変項の組み合わせは、こうした組み合わせによって安定な化合物が得られる場合にのみ許容される。
【0040】
が、−O−であり、炭素に結合している場合、これをカルボニル基を呼び、ならびに窒素(例えば、ピリジル基上の窒素原子)または硫黄原子に結合している場合、これをそれぞれN−オキシドおよびスルホキシドと呼ぶ。
【0041】
用語「アルキル」は、別様に定義されていない限り、1から10個の炭素原子を含有する一価アルカン(炭化水素)由来のラジカルを指す。直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよいし、環状であってもよい。好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。アルキル基がアルキル基で置換されていると言われている場合、これは、「分枝アルキル基」と同義で用いている。
【0042】
シクロアルキルは、別様に定義されていない限り、炭素原子間に交互または共鳴二重結合がない、3から15個の炭素原子を含有するアルキルの一種である。縮合している1から4個の環を含有することもある。こうしたシクロアルキル要素の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
アルケニルは、C−Cアルケニルである。
【0044】
アルコキシは、指示されている数の炭素原子が酸素架橋によって結合しているアルキル基を指し、前記アルキル基は、本明細書に記載するとおり場合によっては置換されている。前記基は、直鎖または分枝鎖いずれかの立体配置での指定長の基であり、長さが2個またはそれ以上の炭素原子である場合、これらは、二重または三重結合を含むことがある。こうしたアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ アリルオキシ、プロパルギルオキシなどである。
【0045】
ハロゲン(ハロ)は、塩素、フッ素、ヨウ素または臭素を指す。
【0046】
アリールは、芳香族環、例えばフェニル、置換フェニルなど、ならびに融合している環、例えばナフチル、フェナントレニルなどを指す。従って、アリール基は、少なくとも6個の原子を有する環を少なくとも1個含有し、5個以下のこうした環が存在し、この中に22個の原子を含有し、隣接する炭素原子または適するヘテロ原子の間に交互(共鳴)二重結合を有する。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルおよびフェナントレニルであり、好ましくはフェニル、ナフチルまたはフェナントレニルである。アリール基も、定義されているとおり置換されていることがある。好ましい置換されるアリールには、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0047】
ここで用いる用語「ヘテロシクリル」または「複素環の」は、飽和されているか、不飽和であり、炭素原子ならびにN、OおよびSから成る群より選択される1から4個のヘテロ原子から成る、安定な3から7員単環式または安定な8から11員二環式複素環を指し、上で定義した複素環のいずれかがベンゼン環に融合している任意の二環式の基を包含する。複素環は、安定な構造を結果的に生じさせる任意のヘテロ原子または炭素原子で結合させることができる。融合複素環構造は、炭素環を含むことができ、1つだけ複素環を含まなければならない。用語「複素環」または「複素環の」は、ヘテロアリール部分を包含する。こうした複素環要素の例としては、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、ジヒドロピロール、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニルおよびチエニルが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、複素環は、2−アゼピノニル、ベンゾイミダゾリル、2−ジアザピノニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、2−イミダゾリジノニル、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノニル、2−ピリミジノニル、2−ピロリジノニル、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニルおよびチエニルから選択される。
【0048】
用語「ヘテロ原子」は、独立して選択されるO、SまたはNを意味する。
【0049】
用語「ヘテロアリール」は、ヘテロ原子、O、SまたはNのうちの少なくとも1つを含有する、5もしくは6個の環原子を有する単環式芳香族炭化水素基または8から10個の原子を有する二環式芳香族基を意味し、この場合、炭素または窒素原子は、結合点であり、ならびに1個または2個のさらなる炭素原子が、OまたはSから選択されるヘテロ原子により場合によっては置換されており、および1個から3個のさらなる炭素原子が、窒素ヘテロ原子により場合によっては置換されている。前記ヘテロアリールは、本明細書で説明するように場合によっては置換されていることがある。こうした複素環要素の例としては、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる窒素原子が最初の窒素および酸素または硫黄と共に存在して、例えばチアジアゾールをもたらすこともある。
【0050】
本発明は、式Iの化合物のうちの1つを、単独で、または次の活性成分の1つまたはそれ以上と併用で、β−アドレナリン遮断薬、例えば、チモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール;副交感神経作用薬、例えば、エピネフリン、イオピジン、ブリモニジン、クロニジン、p−アミノクロニジン;炭酸脱水酵素阻害、例えば、ドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミドまたはブリンゾラミド;EP4作動薬(例えば、国際公開第02/24647号、同第02/42268号、欧州特許第1114816号、国際公開第01/46140号、PCT出願番号CA2004000471、および国際公開第01/72268号に開示されているもの);プロスタグランジン、例えば、ラタノプロスト、トラバプロスト、ウノプロストン、レスキュラ、S1033(米国特許第5,889,052号、同第5,296,504号、同第5,422,368号および同第5,151,444号に記載の化合物);血圧降下性脂質、例えば、ルミガンおよび米国特許第5,352,708号に記載の化合物;米国特許第4,690,931号に開示されている神経保護物質、特に、国際公開第94/13275号に記載されているようなエリプロジルおよびR−エリプロジル(メマンチンを含む);PCT/US00/31247に記載されているような5−HT2受容体の拮抗薬、特に、フマル酸1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−イミダゾール−6−オールおよび2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾール−1−イル)−1−メチル−エチルアミンまたはこれらの混合物と併用で、この必要がある患者に投与することによって高眼圧症または緑内障を治療する、組成物および方法にも関する。(基本プロスタグランジン構造のα鎖リンク上のカルボン酸基が、電気化学的に中性の置換基で置換されている)血圧降下性脂質の例は、このカルボン酸基が、C1−6アルコキシ基、例えばOCHで置換されているもの(PGF2a 1−OCH)、またはヒドロキシ基で置換されているもの(PGF2a 1−OH)である。
【0051】
好ましいカリウムチャネル遮断薬は、カルシウム活性化カリウムチャネル遮断薬である。さらに好ましいカリウムチャネル遮断薬は、高伝導性、カルシウム活性化カリウム(Maxi−K)チャネル遮断薬である。Maxi−Kチャネルは、ニューロン組織、平滑筋組織および上皮組織において優勢であり、膜電位および細胞内Ca2+によってゲートされるイオンチャネルの1ファミリーである。
【0052】
本発明は、maxi−Kチャネルは、遮断されると、正味の溶質およびHO外向きフラックスを抑制することにより眼房水の生産を抑制し、この結果、IOPを低下させるという発見に基づく。この発見は、maxi−Kチャネル遮断薬が、他の眼科的機能不全、例えば、黄斑浮腫および黄斑変性の治療に有用であることを示唆している。IOPを低下させると網膜および視神経への血流が促進されることは公知である。従って、本発明の化合物は、黄斑浮腫および/または黄斑変性の治療に有用である。
【0053】
IOPを低下させるmaxi−Kチャネル遮断薬は、神経保護作用をもたらすために有用であると考えられる。これらは、IOPを低下させることにより網膜および視神経乳頭の血流速度上昇ならびに網膜および視神経の酸素増加に有効であるとも考えられ、これらが併さると視神経の健康に恩恵をもたらす。結果として、本発明は、網膜および視神経乳頭の血流速度を上昇させる、網膜および視神経の酸素分圧を上昇させる、ならびに神経保護効果をもたらす、またはこれらの組み合わせのための方法にさらに関する。
【0054】
多数の市販薬が、カリウムチャネル拮抗薬として機能する。これらのうち最も重要なものとしては、化合物グリブリド(Glyburide)、グリピジド(Glipizide)およびトルブタミド(Tolbutamide)が挙げられる。これらのカリウムチャネル拮抗薬は、抗糖尿病薬として有用である。本発明の化合物をこれらの化合物のうちの1つまたはそれ以上と併用して、糖尿病を治療することができる。
【0055】
カリウムチャネル拮抗薬は、クラス3抗不整脈薬としておよびヒトの急性梗塞を治療するためにも利用される。アパミン(Apamin)、イベリオトキシン(Iberiotoxin)、カリブドトキシン(Charybdotoxin)、ノキシウストキシン(Noxiustoxin)、カリオトキシン(Kaliotoxin)、デンドロトキシン(Dendrotoxin)類、肥満細胞脱顆粒(MCD)ペプチドおよびβ−ブンガロトキシン(β−Bungarotoxin)(β−BTX)をはじめとする多数の天然毒素がカリウムチャネルを遮断することは公知である。本発明の化合物をこれらの化合物のうちの1つまたはそれ以上と併用して、不整脈を治療することができる。
【0056】
うつ病は、神経伝達物質放出の減少に関連する。現行のうつ病治療薬としては、神経伝達物質吸収遮断薬、および神経伝達物質の寿命を延長するように作用する、神経伝達物質分解に関与する酵素の阻害剤が挙げられる。
【0057】
アルツハイマー病も神経伝達物質放出減少を特徴とする。3つのクラスの薬物が、アルツハイマー病治療のために研究されている: コリン作動性増強薬、例えば抗コリンエステラーゼ薬[例えば、フィゾスチグミン(エセリン)およびタクリン(Tacrine)(テトラヒドロアミノクリジン)];ニューロン代謝に作用するが、他には殆ど作用しない向知性薬[例えば、ピラセタム(Piracetam)、オキシラセタム(Oxiracetam)];ならびに脳血管に作用する薬物、例えばメシル酸エルゴロイドおよびカルシウムチャネル遮断薬[ニモジピン(Nimodipine)を含む]。脳ドーパミンおよびノルエピネフリンを増加させるセレギリン(Selegiline)、モノアミン酸化酵素B阻害剤は、伝えられるところによると、一部のアルツハイマー病患者において軽い改善を生じさせた。アルミニウムキレート化剤は、アルツハイマー病がアルミニウム毒性に起因すると考えている人には興味を持たれている。神経弛緩薬をはじめとする行動に影響を及ぼす薬物、および抗安定薬が利用されている。弱精神安定剤である抗安定薬のほうが神経弛緩薬より効力が低い。本発明は、カリウムチャネル拮抗薬として有用な新規化合物に関する。
【0058】
本発明の化合物は、アルツハイマー病の治療において、抗コリンエステラーゼ薬、例えばフィゾスチグミン(エセリン)およびタクリン(テトラヒドロアミノクリジン)、向知性薬、例えばピラセタム、オキシラセタム、メシル酸エルゴイド、選択的カルシウムチャネル遮断薬、例えばニモジピン、またはモノアミン酸化酵素B阻害剤、例えばセレギリンと併用することができる。本発明の化合物は、不整脈の治療において、アパミン、イベリオトキシン、カリブドトキシン、ノキシウストキシン、カリオトキシン、デンドロトキシン類、肥満細胞脱顆粒(MCD)ペプチドおよびβ−ブンガロトキシン(β−BTX)またはこれらの組み合わせと併用することもできる。さらに、本発明の化合物をグリブリド、グリピジド、トルブタミドまたはこれらの組み合わせと併用して、糖尿病を治療することができる。
【0059】
本明細書における実施例は、本特許請求の範囲に記載の本発明を説明するものであり、制限するものではない。本特許請求の範囲に記載の各化合物は、カリウムチャネル拮抗薬であり、従って、最大神経伝達物質放出を達成するために脱分極状態で細胞を維持することが望ましい、記載の神経疾患において有用である。本発明において製造される化合物を適切な公知医薬適合性賦形剤と併用して、ヒトをはじめとする哺乳動物に投与して有効なカリウムチャネル遮断を達成することができる組成物を製造することは容易である。
【0060】
医薬として使用するため、式Iの化合物の塩は医薬的に許容される塩であろう。しかし、他の塩が、本発明の化合物のまたはこれらの医薬的に許容される塩の調製に有用である場合もある。本発明の化合物が酸性であるとき、適する「医薬的に許容される塩」は、無機塩基および有機塩基を含む医薬適合性で非毒性の塩基から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩が、特に好ましい。医薬適合性で非毒性の有機塩基から誘導される塩としては、第一、第二および第三アミン、置換アミン(天然置換アミンを含む)、環状アミンならびにイオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が挙げられる。
【0061】
本発明の化合物が塩基性であるとき、塩は、無機および有機酸を含む医薬適合性で非毒性の酸から調製することができる。こうした酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が、特に好ましい。
【0062】
上に記載した医薬的に許容される塩および他の典型的な医薬的に許容される塩の調製は、Bergら(「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci,1977:66:1−19)によってさらに詳細に記載されている。
【0063】
ここで用いる用語「組成物」は、指定の成分を指定の量で含む製品、ならびに指定の成分を指定の量で組み合わせることにより直接または間接的に得られるあらゆる製品を包含すると解釈する。
【0064】
本発明の化合物が、ヒト被験者に投与されるとき、この日用量は、通常処方する医師によって決定され、この用量は、一般に、個々の患者の年齢、体重、性別および応答、ならびにこの患者の症状の重症度によって変わるであろう。
【0065】
maxi−Kチャネル遮断薬は、治療有効量で、静脈内投与、皮下投与、局所投与、経皮投与、非経口投与または当業者には公知の任意の他の方法で投与することができる。
【0066】
眼科用医薬組成物は、好適には、溶液、懸濁液、軟膏、クリームの形態でまたは固体挿入物として眼への局所投与に適応させる。本化合物の眼科用調合物は、0.01ppmから5%、特に0.1ppmから1%の医薬を含有することができる。例えば約10%またはそれ以下の投薬量のようなより高い投薬量を用いることもできるが、但し、この用量が眼内圧の低下、緑内障の治療、血流速度または酸素分圧の上昇に有効であることを条件とする。1回量について、1ngから5000μg、好ましくは10μgから500μg、特に100ngから200μgの化合物をヒトの目に投与することができる。
【0067】
本化合物を含有する医薬製剤は、非毒性製薬用有機担体または非毒性製薬用無機担体と適便に混合することができる。代表的な医薬的に許容される担体は、例えば、水、水と水混和性溶媒、例えば低級アルカノールまたはアラルカノール、との混合物、植物油、ポリアルキレングリコール、ワセリン、エチルセルロース、オレイン酸エチル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ミリスチン酸イソプロピルおよび他の従来から利用されている許容可能な担体である。本医薬製剤は、非毒性補助物質、例えば、乳化剤、保存薬、湿潤剤、増粘剤およびこれに類するもの、例えば、ポリエチレングリコール200、300、400および600、カーボワックス1,000、1,500、4,000、6,000および10,000など;抗菌成分、例えば、第四アンモニウム化合物、非加熱殺菌特性を有することおよび使用に際して有害でないことが知られているフェニル水銀塩、チメロサール、メチルおよびプロピルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエタノール;緩衝成分、例えば、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸緩衝液;ならびに他の従来どおりの成分、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、オレイン酸塩、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、モノチオグリセロール、チオソルビトール、エチレンジアミン四酢酸なども含有することがある。加えて、従来どおりのリン酸緩衝ビヒクル系、等張性ホウ酸ビヒクル、等張性食塩ビヒクル、等張性ホウ酸ナトリウムビヒクルなどをはじめとする、適する眼科用ビヒクルを本発明のための担体媒体として使用することができる。本医薬製剤は、微粒子調合物の形態である場合もある。本医薬製剤は、固体挿入物の形態である場合もある。例えば、医薬用の担体として固体水溶性ポリマーを使用してもよい。挿入物を形成するために使用されるポリマーは、任意の水溶性非毒性ポリマー、例えば、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、(ヒドロキシ低級アルキルセルロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;アクリレート、例えばポリアクリル酸塩、エチルアクリレート、ポリアクリルアミド;天然産物、例えばゼラチン、アルジネート、ペクチン、トラガカントゴム、カラヤゴム、ツノマタ、寒天、アラビアゴム;デンプン誘導体、例えば酢酸デンプン、ヒドロキシメチルデンプンエーテル、ヒドロキシプロピルデンプン;ならびに他の合成誘導体、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、中性カルボポールおよびキサンタンガム、ゲランガム、ならびに前記ポリマーの混合物であり得る。
【0068】
本発明の調合物の投与に適する被験者としては、霊長類、ヒトおよび他の動物、特にヒトおよび家畜、例えばネコおよびイヌが挙げられる。
【0069】
本医薬製剤は、非毒性補助物質、例えば、使用に際して有害でない抗菌成分、例えばチメロサール、塩化ベンズアルコニウム、メチルおよびプロピルパラベン、臭化ベンジルドデシニウム、ベンジルアルコールまたはフェニルエタノール;緩衝成分、例えば塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはグルコン酸緩衝液;ならびに他の従来どおりの成分、例えばモノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、エチレンジアミン四酢酸などを含有することがある。
【0070】
眼科用溶液または懸濁液は、眼において許容されるIOPレベルを維持するために必要なたびに投与することができる。哺乳動物の眼への投与は、1日に約1回または2回であろうと考えられる。
【0071】
局所的に眼に投与するために、本発明の新規調合物は、単位投薬量が活性成分の治療有効量または併用療法の場合にはこの何倍かを含むように調合された、溶液、ゲル、軟膏、懸濁液または固体挿入物の形態をとることができる。
【実施例】
【0072】
実例として与える以下の実施例は、本発明の例証となる。これらの実施例において使用する用語の定義は、次のとおりである:
SM − 出発原料、
DMSO − ジメチルスルホキシド、
TLC − 薄層クロマトグラフィー、
SGC − シリカゲルクロマトグラフィー、
PhMgBr − 臭化フェニルマグネシウム、
h=hr=時間、
THF − テトラヒドロフラン、
DMF − ジメチルホルムアミド、
min − 分、
LC/MS − 液体クロマトグラフィー/質量分析、
HPLC − 高性能液体クロマトグラフィー、
PyBOP − ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウム、
equiv=eq=当量、
NBS − N−ブロモスクシンアミド、および
AIBN − 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル。
【0073】
実例として与える以下の実施例は、本発明の例証となる。本発明の化合物は、下の図式に従って、必要な場合には修正して製造することができる。
【0074】
本発明の化合物を調製するための1つの方法を図式1に図示する。α−ブロモケトンは、 Cavaら(J.Org.Chem.1986,51,2044)の方法を用いてケトンから調製することができる。ブロモケトンと亜燐酸トリメチルとのPerkow反応(Lichtenthaler Chem.Rev.61,607,1961による総説参照) によってエノールリン酸ジメチルが生じる。この複素環を求電子試薬、例えばα−ブロモケトンによってアルキル化して、「頭」基を取り付けることができる。結果として生じたエノールリン酸ジメチルは、T.Hataら(Synthesis 1979,189)の修飾方法を用いてエノール二水素リン酸に転化させることができる。Hataらは、ニートの臭化トリメチルシリルを用いて反応を行ったが、ジクロロメタンまたはアセトニトリルなどの溶媒の使用も有用である。
【0075】
【化18】

【0076】
代替方法は、頭基が既に取り付けられている化合物で始める方法である。要するに、活性Mixi−Kイオンチャネル遮断薬をエノールホスフェートの形態のこれらのプロドラッグに転化させる。このアプローチを図式2に図示する。一部のケースでは、臭化物の混合物が得られた。好適なケースでは、これらの臭化物を分離し、それぞれのエノールホスフェートに個々に転化させることができる。
【0077】
【化19】

【0078】
調製例1
【0079】
【化20】

【0080】
500mLフラスコに336mmol(13.44g、60%)のNaHを充填した。アルゴン下、150mLのDMSOを添加し、続いて32mLのシアノ酢酸エチル(2.2当量、352mmol)を5℃で一滴ずつ添加した。すべて添加した後、この反応物を1時間かけて室温に温めた。30gの出発ニトロベンゼン誘導体(160mmol)を粉末として添加した。この反応混合物を密閉系で8時間、90℃で加熱した。酸性化および標準的な処理によって、粗製油性残留物を得、これをシリカゲルカラムで精製して、39gの所望の結晶質生成物を得、これを脱カルボキシル化して、次のようにベンジルニトリルを得た。上で得られた38gのSMを400mLの1N炭酸ナトリウムに溶解した。この均質溶液を室温で2日間攪拌した。TLC分析は、反応の完了を示した。この反応混合物を酸性化し、酢酸エチル(100mLx4)で抽出した。併せた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、残留物をSGCに付して、所望生成物を得た。H NMR CDCl:7.72(1H,d,J=3Hz);7.61(1H,d,J=8.5Hz);7,25(1H,dd,J=3および8.5Hz);4.17(2H,s);3.94(3H,s)。LC−MS[M+H]=193。
【0081】
調製例2
【0082】
【化21】

【0083】
10gのベンジルニトリル誘導体を20mLのTHFに溶解し、続いて50mLのメタノールで希釈した。この反応混合物を圧力管に収容し、Pd−C(10重量%、10mol%)を添加し、この反応混合物を40psiで水素化した。NO基の還元に必要な量の水素が消費された後、反応を停止させた。TLC分析は、スポットからスポットへの(spot to spot)転化を示した。この反応混合物をCeliteのパッドで濾過し、濾液を濃縮乾固し、次の段階で直接使用した。粗製アニリン誘導体(52mmol)を2N HCl(150mL)に溶解し/懸濁させ、5℃に冷却し、次いで、10mLの水中の5.4gの亜硝酸ナトリウムを添加した。この反応混合物を攪拌しながら1時間放置して、徐々に室温に温めた。TLC分析は、SMの完全消費および新たなスポットの形成を示した。この反応混合物を酢酸エチル(100mLx4)で抽出し、有機相を回収し、乾燥させ、濃縮した。残留物をSGCによって精製して、所望の生成物を得た。LCMS[M+H]=174。
【0084】
調製例3
【0085】
【化22】

【0086】
調製例2から得たニトリル(1.5g)を20mLの乾燥THFに溶解し、アルゴン下で3当量のPhMgBr(THF中1M)を5℃で添加した。この反応混合物を室温で1時間攪拌した。水および1N HCl(15mL)の添加により、反応を注意深く停止させた。停止させた反応混合物を室温で1時間攪拌し、次いで、酢酸エチル(20mLx3)で抽出し、併せた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して固体残留物にし、これをトルエンと3回共沸させた。LCMS[M+H]=253。
【0087】
調製例4
【0088】
【化23】

【0089】
4.15gのインダゾールを計り取り、水と共沸させ、トルエン(100mL)で2回洗浄し、回転蒸発によってトルエン共沸混合物を除去した。高真空下で完全に乾燥させ、アルゴンパージを行った。アルゴン下で40mLの乾燥THFおよび92mLの乾燥エーテルに溶解した。氷水浴で5℃に冷却した。3当量の塩化イソプロピルマグネシウム(6mLのTHF中2M溶液)を充填し、0.5時間、室温で攪拌した。1NのHCL(240mL)を注意深く充填し、1時間攪拌した。TLCによってモニターした。EtOAcで抽出し、回転蒸発させ、所望の生成物を生じさせた。
【0090】
LCMS[M+H]=219。
【0091】
調製例5
【0092】
【化24】

【0093】
THF(15mL)に溶解した調製例2からの中間体(1.00g、5.75mmol)の溶液に、臭化シクロペンチルマグネシウム(6.32mL、12.65mmol)を0℃で添加した。この反応物を放置して室温に温め、反応が完了し次第、飽和NHClで反応を停止させた。得られた反応混合物をEtOAcで抽出し、併せた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。この生成物をSiOゲルクロマトグラフィーによって精製して、580mgの所望の生成物を得た。H NMR(CDCl)δ:1.702(2H,m),1.803(2H,m),2.005(4H,m),3.904(3H,s),4.070(1H,m),6.915(1H,s),7.010(1H,d),8.272(1H,d)。
【0094】
調製例6
【0095】
【化25】

【0096】
所望の化合物は、調製例7に記載のものに類似した手順によって調製したが、臭化シクロペンチルマグネシウムの代わりに臭化シクロヘキシルマグネシウムを使用した。H NMR(CDCl)δ:1.327(1H,m),1.479(2H,m),1.604(2H,m),1.781(1H,m),1.861(2H,m),2.000(2H,m),3.641(1H,m),3.902(3H,s),6.923(1H,s),7.008(1H,d),8.259(1H,d)。
【0097】
(実施例1)
【0098】
【化26】

ジメチルリン酸1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
【0099】
方法I.
段階A. 2−ブロモ−1−(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパン−1−オン
Cavaらの方法(J.Org.Chem.1986,51,2044)を用いて、1−(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパン−1−オンおよびCuBrから表題化合物を調製した。H NMR(CDCl,500MHz)δ10.42(brs,1NH),8.26(d,8.9Hz,1H),7.03(dd,2.1Hz,1H),6.94(d,2.1Hz,1H),3.91(s,3H),2.28(s,6H)。LC−MS:3.38分。(m/Z=217.1,297/299.0)。これは、約5%の二臭化物を含有しており、精製せずに次の段階で使用した。
【0100】
段階B: ジメチルリン酸1−(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
62℃で21時間、過剰の亜リン酸トリメチル中で加熱することにより、上からの2−ブロモ−1−(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパン−1−オンから表題化合物を調製した。過剰の亜リン酸トリメチルは、真空蒸留によって除去した。この残留物を、TFAを伴わない水中の10から90%のMeCN勾配を用いてRP−HPLCで精製した。表題化合物を含有する画分をプールし、蒸発させて乾燥させ、酢酸エチルから再結晶させて、表題化合物を無色の結晶として得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ11.41(brs,1NH),7.63(d,9.0Hz,1H),6.815(dd,2.2&8.8Hz,1H),6.77(d,1.8Hz,1H),3.83(s,3H),3.65(d,JP−H=11.2Hz,6H),2.04(d,JP−H=2.5Hz,3H),1.81(d,JP−H=3.5Hz,3H)。LC−MS:2.79分。(m/Z=201.1,327.0,349.2)。
【0101】
段階C: ジメチルリン酸1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
上の段階Bからの0.52gのジメチルリン酸1−(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパ−1−エン−1−イルを10mLの乾燥DMFに溶解した。0.626gの炭酸セシウムを計り入れた。0.315g(0.237mL)の1−ブロモ−3,3−ジメチルブタン−2−オンを添加し、得られた混合物を室温で2時間、および50℃で1日攪拌した。減圧下でDMFの半分を除去した。残留物を1:1のMeCNと水で希釈し、TFAを伴わない20から100%のMeCN勾配を用いてRP−HPLCで精製して、表題化合物を無色の固体として得た。1:1のEtOAcとヘキサンから表題化合物を再結晶させた。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.70(d,9.0Hz,1H),6.86(dd,2.0&8.7Hz,1H),6.48(d,2.1Hz,1H),5.33(s,2H),3.87(s,3H),3.57(d,JP−H=11.4Hz,6H),2.02(d,JP−H=2.5Hz,3H),1.83(d,JP−H=3.4Hz,3H),1.32(s,9H)。13C NMR(CDCl,125MHz)δ:207.86,159.95,142.23,140.48,133.69(d,JP−C=9.6Hz),126.04(d,JP−C=7.7Hz),122.84,118.38,113.11,90.32,55.70,54.69(d,JP−C=5.7Hz),53.46,43.71,26.55,20.08,18.69.LC−MS:3.29分。(m/Z=299.1,447.0,425.0)。
【0102】
方法II.
段階A. 1−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−3,3−ジメチルブタン−2−オン
実施例3の段階Aにおいて説明したものに類似した手順を用いて、1−(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパン−1−オンと1−ブロモ−3,3−ジメチルブタン−2−オンを反応させることにより表題化合物を得た。2:1のヘキサンとEtOAcからの再結晶により細い針状結晶を得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.25(d,8.9Hz,1H),6.98(dd,2.0&8.9Hz,1H),6.52(d,1.8Hz,1H),5.37(s,2H),3.87(s,3H),3.86(七重項、6.9Hz,1H),1.36(s,9H),1.27(d,6.8Hz,6H)。LC−MS:3.70分。(m/Z=317.1,339.1)。
【0103】
段階B. 1−[3−(2−ブロモ−2−メチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−3,3−ジメチルブタン−2−オン
方法Iの段階Aにおいて説明した手順を用いて1−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−3,3−ジメチルブタン−2−オンをCuBrと反応させることにより表題化合物を主生成物として得た。これは、TFAを伴わない60から100%のMeCN勾配を用いる反応混合物のRP−HPLC分離で得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.25(d,9.0Hz,1H),7.01(dd,2.1&9.0Hz,1H),6.57(d,2.1Hz,1H),5.38(s,2H),3.89(s,3H),2.26(s,6H),1.36(s,9H)。LC−MS:3.89分。(m/Z=395/396.9,417/418.9)。
【0104】
段階C. ジメチルリン酸1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
上の方法Iの段階Bにおいて説明したとおりの手順を用いて、上からの1−[3−(2−ブロモ−2−メチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−3,3−ジメチルブタン−2−オンを亜リン酸トリメチルと反応させることにより、方法Iで得たものと同じ表題化合物を生じさせた。
【0105】
(実施例2)
【0106】
【化27】

リン酸二水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
【0107】
実施例1からの120mgのジメチルリン酸1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イルを0.75mLの無水DCMに溶解した。窒素下、氷浴でこの溶液を冷却した。108mgの臭化トリメチルシリルを添加し、この反応混合物を2.5時間、室温で置いておいた。減圧下で溶媒を除去した。残留物をMeCNと水の混合物に溶解し、約0.05%TFAを伴う10から100%のMeCN勾配を用いてRP−HPLCにより精製して、凍結乾燥後、表題化合物を無色の固体として得た。この反応は、MeCN中で行うこともできる。表題化合物は、無水MeCN中での再結晶によっても精製することができる。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.61(d,8.9Hz,1H),6.87(dd,2.1&8.9Hz,1H),6.78(d,1.8Hz,1H),6.25(vbrs,〜3H),5.32(s,2H),3.87(s,3H),1.95(d,JP−H=2.5Hz,3H,溶媒残留ピークとオーバーラップ),1.81(d,JP−H=3.4Hz,3H),1.26(s,9H)。LC−MS:2.73分。(m/Z=299.1,397.0,419.0)。
【0108】
(実施例3)
【0109】
【化28】

リン酸二水素1−(1−{2−[(3,3−ジメチルブチル)(エチル)アミノ]−2−オキソエチル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
【0110】
段階A. (3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)酢酸エチル
5.456gの1−(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロピル−1−オンを100mLの無水DMFに溶解した。8.96gの炭酸セシウム、続いて4.593gのブロモ酢酸エチルを計り入れた。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。減圧下で溶媒を除去した。EtOAcと水とで残留物を分配した。水性層をEtOAcで数回抽出した。併せた有機抽出物を水(3x)および飽和ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、粗生成物を得た。40mLの4:1のヘキサンとEtOAcからの再結晶により表題化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.26(d,8.9Hz,1H),7.00(dd,2.1&9.0Hz,1H),6.685(d,2.1Hz,1H),5.17(s,2H),4.28(q,7.1Hz,2H),3.90(s,3H),3.87(七重項、6.9Hz,1H),1.29(t,7.1Hz,3H),1.28(d,6.8Hz,6H)。LC−MS:3.51分。(m/Z=305.1,327.0)。
【0111】
段階B. (3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)酢酸
45℃で50mLのMeOHに1.68gの(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)酢酸エチルを溶解した。10mLの水および1.5mLの5N NaOH溶液を添加した。得られた混合物を一晩加熱し、蒸発させて乾燥させた。残留物を水に吸収させ、0.8mLの濃HClで酸性化し、3x50mLのEtOAcで抽出した。併せた有機抽出物を水および飽和ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、表題化合物を白色の固体として得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.27(d,8.9Hz,1H),7.01(dd,2.1&8.9Hz,1H),6.69(d,2.1Hz,1H),5.23(s,2H),3.91(s,3H),3.85(七重項、6.9Hz,1H),1.28(d,7.1Hz,6H)。NOE差スペクトルでは、5.23ppm 一重項の照射が、6.69ppm 二重項で正のNOEを示した。LC−MS:2.94分(m/Z=227.0、299.0)。
【0112】
段階C. 塩酸N−エチル−3,3−ジメチルブタン−1−アミン
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(Abdel−Magidら,J.Org.Chem.1996,61,3849)を使用して、市販のエチルアミンおよび3,3−ジメチルブチルアルデヒドから表題化合物を調製した。H NMR(CDOD,500MHz)δ3.07(q,7.1Hz,2H),2.97−3.02(m,2H),1.57−1.62(m,2H),1.32(t,7.2Hz,3H),0.98(s,9H)。
【0113】
段階D. N−(3,3−ジメチルブチル)−N−エチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)アセトアミド
13x100mm スクリューキャップ付き試験管に、27.6mgの(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)酢酸、23.0mgのHOBt水和物、18.6mgの塩酸N−エチル−3,3−ジメチルブタン−1−アミンおよび89μLのDIEAを充填した。この混合物を1mLの無水DMFに溶解した。38.3mgのEDC・HCl塩を添加し、この混合物を室温で一晩置いておいた。0.1%TFAを伴う65から100%のMeCN勾配でRP−HPLCを用いて、この反応混合物から表題化合物を単離した。LC−MS:3.89分。(m/Z=388.2、410.1)
【0114】
段階E. 2−[3−(2−ブロモ−2−メチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−(3,3−ジメチルブチル)−N−エチルアセトアミド
実施例1の方法Iの段階Aにおいて説明した手順を用いてN−(3,3−ジメチルブチル)−N−エチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)アセトアミドをCuBrと反応させることにより、TFAを伴わない70から100%のMeCN勾配でのRP−HPLC後に表題化合物を得た。H NMR(CDCl、500MHz)は、一部の共鳴については、約1:1の比率でのアミド回転異性体のため、2セットのシグナルを示した。δ8.22(d,8.9Hz,1H),7.00(dd,2.1&8.9Hz,1H),6.98&6.91(d,2.1Hz,1H),5.25&5.19(s,2H),3.92&3.91(s,3H),3.53−3.56&3.35−3.38(m,2H),3.53&3.42(q,7.1Hz,2H),2.26(s,6H),1.60−1.64&1.43−1.47(m,2H),1.04&0.93(s,9H)。LC−MS:4.20分。(m/Z=466/468.1,488/490.1)
【0115】
段階F. ジメチルリン酸1−(1−{2−[(3,3−ジメチルブチル)(エチル)アミノ]−2−オキソエチル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
実施例1の方法Iの段階Bにおいて説明したように、上からの2−[3−(2−ブロモ−2−メチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−(3,3−ジメチルブチル)−N−エチルアセトアミドを亜リン酸トリメチルと反応させることにより、TFAを伴わない50から100%のMeCN勾配でのRP−HPLC後、表題化合物を生じさせた。H NMR(CDCl、500MHz)は、約1.3:1の比率で2つのアミド回転異性体を示した。δ主回転異性体:7.65(d,8.7Hz,1H),6.83(dd,9.0&2.1Hz,1H),6.805(d,1.9Hz,1H),5.15(s,2H),3.88(s,3H),3.55(d,11.2HZ,6H),3.48(q,7.1Hz,2H),3.32−3.35(m,2H),2.01(d,2.5Hz,3H),1.83(d,3.5Hz,3H),1.40−1.44(m,2H),1.14(t,7.1Hz,3H),0.91(s,9H)。副回転異性体:7.66(d,8.7Hz,1H),6.83(dd,9.0&2.1Hz,1H),6.77(d,1.8Hz,1H),5.12(s,2H),3.88(s,3H),3.54(d,11.4HZ,6H),3.41−3.44(m,2H),3.38(q,7.2Hz,2H),2.01(d,2.5Hz,3H),1.84(d,3.5Hz,3H),1.56−1.60(m,2H),1.12(t,7.1Hz,3H),1.00(s,9H)。13C NMR(CDCl,125MHz):主回転異性体:165.85,160.95,142.34,140.22,133.82(d,JC−P=9.6Hz),125.87(d,JC−P=6.7Hz),122.56,118.22,113.71,90.89,55.74,54.685(d,JC−P=5.8Hz),51.96,42.99,42.51,41.05,29.99,29.46,20.13,18.75,14.51;副回転異性体:165.71,159.96,142.45,140.22,133.88(d,JC−P=9.6Hz),125.79(d,JC−P=7.7Hz),122.60,118.27,113.51,90.94,55.74,54.685(d,JC−P=5.8Hz),51.18,44.03,42.82,41.50,29.96,29.46,20.18,18.75,13.21。LC−MS:3.67分。(m/Z=518.3,496.3,370.4)。
【0116】
段階G. リン酸二水素1−(1−{2−[(3,3−ジメチルブチル)(エチル)アミノ]−2−オキソエチル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
実施例2において説明したように、ジメチルリン酸1−(1−{2−[(3,3−ジメチルブチル)(エチル)アミノ]−2−オキソエチル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパ−1−エン−1−イルを臭化トリメチルシリルと反応させることにより、表題化合物を生じさせた。凍結乾燥させた後、TFAを伴わない10から100%のMeCN勾配を用いるRP−HPLCによってこれを単離した。H NMR(CDCN、500MHz)は、約6:7の比率で2つのアミド回転異性体を示した。δ7.55(d,8.7Hz,1H),6.88&6.87(d,1.9Hz,1H),6.84(dd,2.1&8.9Hz,1H),5.23&5.21(s,2H),3.88&3.87(s,3H),3.31−3.48(m,4H,残留水ピークとオーバーラップ),1.94(d,1.8Hz,3H),1.81−1.82(m,3H),1.61−1.64&1.42−1.46(m,2H),1.26&1.10(t,7.1Hz,3H),0.99&0.91(s,9H)。LC−MS:3.18分。(m/Z=370.2,468.1)。
【0117】
(実施例4)
【0118】
【化29】

リン酸二水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
【0119】
段階A. 1−ブロモ−3,3−ジメチルペンタン−2−オン
GaudryおよびMarguetの方法(Org.Syn.CV 6,193)を用いて市販の3,3−ジメチルペンタン−2−オンから表題化合物を調製し、帯黄色の液体として単離した。H NMR(CDCl,500MHz)δ4.17(s,2H),1.63(q,7.5Hz,2H),1.21(s,6H),0.85(t,7.5Hz,3H)。
【0120】
段階B. ジメチルリン酸1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
実施例1の方法Iの段階Cにおいて説明したものに類似した手順を用いて、実施例1の方法Iの段階Bからのジメチルリン酸1−(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパ−1−エン−1−イルおよび上からの1−ブロモ−3,3−ジメチルペンタン−2−オンより表題化合物を調製した。TFAを伴わない30から100%のMeCN勾配を用いるRP−HPLCでこれを精製して、凍結乾燥後、無色の固体を得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.70(d,9.0Hz,1H),6.86(dd,2.1&8.9Hz,1H),6.48(d,2.1Hz,1H),5.29(s,2H),3.86(s,3H),3.56(d,11.3Hz,6H),2.02(d,2.5Hz,3H),1.82(d,3.5Hz,3H),1.74(q,7.5Hz,2H),1.28(s,6H),0.94(t,7.6Hz,3H)。5.29ppm 一重項の照射からのNOE差スペクトルは、6.48ppm 二重項および1.28ppm 一重項で正のNOEを示した。LC−MS:3.484分(m/Z=313.2、461.2、439.2)。
【0121】
段階C. リン酸二水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
実施例2において説明した方法を用いて、ジメチルリン酸1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イルから表題化合物を調製した。RP−HPLC(TFAを伴わない10から100%のMeCN勾配)および凍結乾燥後、無色の固体としてこれを得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.605(d,9.1Hz,1H),6.87(dd,1.8&9.0Hz,1H),6.45(1.9Hz,1H),5.14(s,2H),3.86(s,3H),3.16(vbrs,OH+HO),2.01(brs,3H),1.82(d,JH−P=3.0Hz,3H),1.70(q,7.5Hz,2H),1.24(s,6H),0.91(t,7.5Hz,3H)。LC−MS:2.89分。(m/Z=313.2,411.1)。
【0122】
(実施例5)
【0123】
【化30】

メチルリン酸水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル
【0124】
実施例4の段階Cにおける反応を完了まで行わなかった場合、メチルリン酸水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イルとリン酸二水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イルの混合物が得られた。この混合物を、0.1%TFAを有する10から90%のMeCN勾配でZorbax SB−18カラムを用いるRP−HPLCによって分離した。このカラムでは、表題化合物のほうが、リン酸二水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イルより遅く溶出した。凍結乾燥後、無色の固体としてこれを得た。H NMR(DMSO−d,500MHz)δ7.55(d,9.0Hz,1H),6.92(d,2.1Hz,1H),6.76(dd,2.0&8.9Hz,1H),5.50(s,2H),3.78(s,3H),3.27(d,11.5Hz,3H),1.88(d,2.3Hz,3H),1.75(d,3.7Hz,3H),1.66(q,7.4Hz,2H),1.19(s,6H),0.81(t,7.5Hz,3H)。LC−MS:2.97分。(m/Z=313.2,425.1,447.1)。
【0125】
(実施例6)
【0126】
【化31】

リン酸二水素シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチル
【0127】
段階A. (1−ブロモシクロペンチル)(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)メタノン
実施例1の方法Iの段階Aにおいて説明した手順を用い、続いて、TFAを伴わない30から100%のMeCN勾配でRP−HPLCを用いて、シクロペンチル(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)メタノンおよびCuBrから表題化合物を調製した。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.27(d,9.0Hz,1H),7.03(dd,2.1&9.0Hz,1H),6.94(d,1.8Hz,1H),3.91(s,3H),2.75−2.81(m,2H),2.53−2.60(m,2H),2.10−2.20(m,2H),1.85−1.93(m,2H)。LC−MS:4.01分。(m/Z=243.2,175.1,323/325.1)。
【0128】
段階B. ジメチルリン酸シクロペンチリデン(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)メチル
実施例1の方法Iの段階Bにおいて説明した手順を用い、続いて、20から100%のMeCN勾配を用いるRP−HPLC精製を用いて、1−ブロモシクロペンチル)(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)メタノンおよび亜リン酸トリメチルから表題化合物を調製した。凍結乾燥後、白色の固体としてこれを単離した。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.79(d,8.9Hz,1H),6.85(dd,2.1&9.0Hz,1H),6.81(d,1.8Hz,1H),3.88(s,3H),3.67(d,11.3Hz,6H),2.72−2.79(m,2H),2.53−2.59(m,2H),1.70−1.81(m,4H)。LC−MS:3.00分。(m/Z=227.2,353.2,375.2)。
【0129】
段階C. ジメチルリン酸シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチル
実施例1の方法Iの段階Cにおいて説明した手順を用い、続いて、TFAを伴わない30から100%のMeCN勾配を用いるRP−HPLC精製を用いて、ジメチルリン酸シクロペンチリデン(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)メチルおよび1−ブロモ−3,3−ジメチルブタン−2−オンから表題化合物を調製した。凍結乾燥後、固体としてこれを得た。LC−MS:3.56分。(m/Z=325.2、451.2、473.1)。
【0130】
段階D. リン酸二水素シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチル
実施例2において説明した手順を用いて、ジメチルリン酸シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチルから表題化合物を調製した。0.1%TFAを伴う15から100%のMeCN勾配を用いるRP−HPLCでこれを精製し、凍結乾燥させた後、白色の固体として得た。H NMR(CDCN,500MHz)δ7.73(d,8.9Hz,1H),6.82(dd,2.0&8.9Hz,1H),7.73(d,1.8Hz,1H),5.33(s,2H),3.85(s,3H),2.63−2.67(m,2H),2.45−2.49(m,2H),1.67−1.72(m,4H),1.27(s,9H)。LC−MS:2.93分。(m/Z=325.2,423.2,445.2)。
【0131】
(実施例7)
【0132】
【化32】

リン酸二水素シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチル
【0133】
段階A. ジメチルリン酸シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチル
実施例1の方法Iの段階Cにおいて説明した手順を用い、続いて、TFAを伴わない35から100%のMeCN勾配を用いるRP−HPLC精製を用いて、実施例6の段階Bからのジメチルリン酸シクロペンチリデン(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)メチルおよび実施例4の段階Aからの1−ブロモ−3,3−ジメチルペンタン−2−オンから表題化合物を調製した。凍結乾燥後、無色の固体としてこれを得た。LC−MS:3.70分。(m/Z=339.2、465.2、487.1)。
【0134】
段階B. リン酸二水素シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチル
実施例2において説明した手順を用いてジメチルリン酸シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチルから表題化合物を調製した。0.1%TFAを伴う20から100%のMeCN勾配を用いるRP−HPLCでこれを精製し、凍結乾燥させた後、白色の固体として得た。H NMR(CDCN,500MHz)δ7.74(d,8.9Hz,1H),6.815(dd,2.1&8.9Hz,1H),7.73(d,1.8Hz,1H),5.28(s,2H),3.84(s,3H),2.62−2.67(m,2H),2.45−2.49(m,2H),1.66−1.72(m,6H),1.23(s,6H),0.88(t,7.4Hz,3H)。LC−MS:3.08分。(m/Z=339.3,437.2,459.2)。
【0135】
(実施例8から19)
【0136】
【化33】

【0137】
段階A.以下の表1中のアセトアミド誘導体は、実施例3の段階Dにおいて説明した手順を用い、(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)酢酸および適切なアミンから調製した。これらをRP−HPLCによって精製した。代替手段によってこれらを精製することもできる。例えば、化合物19Aは、10:1のヘキサンとEtOAcから再結晶させ、このH NMR(CDOD、500MHz)は、一部の共鳴については、約1:1の比率でのアミド回転異性体のため、2セットのシグナルを示した。δ8.22(d,8.9Hz,1H),6.98(brd,8.9Hz,1H),6.89および6.82(d,各1.4Hz,1H),5.22および5.20(s,2H),3.90(s,3H),3.88(七重項、6.7Hz,1H),3.43−3.46および3.36−3.40(m,2H),3.35−3.39および3.30−3.33(m,2H),1.56−1.62(m,2H),1.54−1.57および1.44−1.48(m,2H),1.27(d,6.8Hz,6H),1.02および0.93(s,9H),0.99および0.87(t,7.3Hz,3H)。
【0138】
【化34】

【0139】
【表1】

【0140】
段階BからD.実施例3の段階EからGにおいて説明した手順を用いて、化合物8Aから19Aから実施例8から19への転化を遂行することができる。
【0141】
【表2】


【0142】
(実施例20)
【0143】
【化35】

リン酸二水素(Z)−1−t−ブチル−2−{6−メトキシ−3−[2−メチル−1−(ホスホノオキシ)プロパ−1−エン−1−イル]−1H−インダゾール−1−イル}ビニル
【0144】
段階A. 1−ブロモ−1−[3−(2−ブロモ−2−メチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−3,3−ジメチルブタン−2−オン
実施例1の方法IIの段階BにおけるRP−HPLC精製中に表題二臭化物の一部を得た。LC−MS:41.8分。(m/Z=393/394.9、473/474.8/476.8)。
【0145】
段階B.ジメチルリン酸(Z)−1−t−ブチル−2−(3−{1−[(ジメトキシホスホリル)オキシ]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)ビニル
実施例1の方法Iの段階Bにおける方法を用いて、上の段階Aからの1−ブロモ−1−[3−(2−ブロモ−2−メチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−3,3−ジメチルブタン−2−オンおよび亜リン酸トリメチルから表題化合物を調製した。TFAを伴わない10から80%のMeCN勾配を用いるRP−HPLCによってこれを精製した。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.68(d,8.9Hz,1H),6.865(dd,2.1&8.9Hz,1H),6.71(d,JH−P=3.0Hz,1H),6.67(d,2.0Hz,1H),3.89(s,3H),3.63(d,JH−P=11.2Hz,6H),3.36(d,JH−P=11.6Hz,6H),2.02(d,JH−P=2.5Hz,3H),1.88(d,JH−P=3.4Hz,3H),1.38(s,9H)。LC−MS:3.26分。(m/Z=407.1,533.0,555.0)。早く溶出するほうの望ましくない異性体副生成物もこの反応中に得られることに注目された。
【0146】
段階C. リン酸二水素(Z)−1−t−ブチル−2−{6−メトキシ−3−[2−メチル−1−(ホスホノオキシ)プロパ−1−エン−1−イル]−1H−インダゾール−1−イル}ビニル
実施例2における手順を用いて、上の段階Bからのジメチルリン酸(Z)−1−t−ブチル−2−(3−{1−[(ジメトキシホスホリル)オキシ]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)ビニルから表題化合物を調製した。水中の0.06%TFAを伴う10から90%のMeCN勾配を用いるRP−HPLCによってこれを精製して、凍結乾燥させた後、白色の固体を得た。H NMR(CDCN,500MHz)□7.47(d,8.7Hz,1H),6.89(d,8.7Hz,1H),6.86(s,1H),6.76(d,JH−P=2.3Hz,1H),3.89(s,3H),1.95(d,JH−P=2.5Hz,〜3H 溶解残留物とオーバーラップ),1.70(d,JH−P=2.3Hz,1H),1.33(s,9H)。LC−MS:2.75分。(m/Z=477.0,379.1,499)。
【0147】
(実施例21)
【0148】
【化36】

リン酸二水素(Z)−1−t−ブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)ビニル
【0149】
段階A. 1−ブロモ−1−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−3,3−ジメチルブタン−2−オン
実施例1の方法IIの段階BにおけるRP−HPLC精製中に微量成分として表題化合物を得た。LC−MS:3.90分。(m/Z=417/418.9、395/397.0)。
【0150】
段階B. ジメチルリン酸(Z)−1−t−ブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)ビニル
実施例1の方法Iの段階Bにおける手順を用いて、上の段階Aからの1−ブロモ−1−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−3,3−ジメチルブタン−2−オンから表題化合物を調製した。TFAを伴わない10から100%のMeCN勾配を用いるRP−HPLCによってこれを精製した。LC−MS:3.59分。(m/Z=447.0、425.0)。早く溶出するほうの望ましくない異性体副生成物もこの反応中に得られることに注目された。
【0151】
段階C. リン酸二水素(Z)−1−t−ブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)ビニル
実施例2における手順を用いて、上の段階Bからのジメチルリン酸(Z)−1−t−ブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)ビニルから表題化合物を調製した。水中の0.06%TFAを伴う25から100%のMeCN勾配を用いるRP−HPLCによってこれを精製して、凍結乾燥させた後、白色の固体を得た。H NMR(CDCN,500MHz)δ8.05(d,8.9Hz,1H),6.95(dd,2.0&8.7Hz,1H),6.86(brs,1H),6.68(brs,1H),3.86(s,3H),3.79(七重項、6.9Hz,1H),1.31(s,9H),1.20(d,6.9Hz,6H)。LC−MS:2.99分。(m/Z=397.1,419)。
【0152】
機能アッセイ
A.Maxi−Kチャネル
本化合物の活性は、以下のアッセイによっても定量することができる。
【0153】
Maxi−Kチャネルの阻害剤の特定は、発現されたMaxi−Kチャネルが、HEK−293細胞におけるこのチャネルのアルファサブユニットとベータ1サブユニットの両方のトランスフェクション後、ならびにHEK−293細胞の内因性カリウム伝導性を選択的に消去するカリウムチャネル遮断薬と共にインキュベートした後、細胞静止電位を設定する能力に基づく。maxi−Kチャネル阻害剤が不在の状態では、トランスフェクトされたHEK−293細胞は、E(−80mV)に近い、過分極した膜電位、負の内部を提示し、これは、maxi−Kチャネルの活性の結果である。maxi−Kチャネル遮断薬とのインキュベーションによるMaxi−Kチャネルの遮断は、細胞脱分極を引き起こす。膜電位の変化は、2つの成分、供与体クマリン(CCDMPE)および受容体オキサノール(DiSBAC(3))を使用する電圧感受性蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)色素ペアで、判定することができる。
【0154】
オキサノールは、親油性アニオンであり、膜電位に従って膜を横断して分布する。正常な条件下、細胞内部が外部に対して負である場合、オキサノールは膜の外層に蓄積し、クマリンの励起によりFRETが生じるであろう。膜脱分極を導く条件は、オキサノールを再び細胞内部に分布させるであろう。従って、比率変化(供与体/受容体)は膜脱分極後に増加し、これによって、試験化合物がmaxi−Kチャネルを積極的に遮断するかどうかが決まる。
【0155】
HEK−293細胞は、米国微生物系統保存機関(the American Type Culture Collection),12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland,20852からアクセッション番号ATCC CRL−1573で入手した。微生物の公開利用に関するあらゆる制約は、特許発行時に取り消し不能に解除されるはずである。
【0156】
HEK−293細胞におけるmaxi−Kチャネルのアルファおよびベータ1サブユニットのトランスフェクションは、次のように行った: HEK−293細胞を100mm組織培養処理皿に皿当たり細胞数3x10の密度でプレーティングし、計5個の皿を準備した。10%ウシ胎仔血清、1X L−グルタミンおよび1X ペニシリン/ストレプトマイシンを補足したダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)から成る培地で、37℃、10%COで細胞を成長させた。Maxi−K hα(pCIneo)DNAおよびMaxi−K hβ1(pIRESpuro)DNAでのトランスフェクションのために、150μLのFuGENE6(商標)を10mLの無血清/無フェノールレッドDMEMに一滴ずつ添加し、室温で5分間、インキュベートしながら放置した。次に、25μgの各プラスミドDNAを含有するDNA溶液に前記FuGENE6(商標)溶液を一滴ずつ添加し、室温で30分間インキュベートした。インキュベーション期間の後、2mLの前記FuGENE6(商標)/DNA溶液を各細胞プレートに一滴ずつ添加し、上で説明したのと同じ条件下でこれらの細胞を2日間放置して成長させた。2日目が終了した時点で、600μg/mLのG418と0.75μg/mLのピューロマイシンの両方を補足したDMEMから成る選択培地のもとに細胞を置いた。独立したコロニーが形成されるまで細胞を成長させた。5つのコロニーを回収し、6個の組織培養処理皿に移した。合計75のコロニーを回収した。集密な単層が得られるまで細胞を放置して成長させた。次に、maxi−Kチャネルアルファおよびベータ1サブユニットの存在について、このチャネルに対する125I−イベリオトキシン−D19Y/Y36Fの結合をモニターするアッセイを用いて、検査した。次に、VIPR装置で蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ABS法を用いて、トランスフェクトされたHEK−293細胞の膜電位を制御するmaxi−Kチャネルの能力をモニターする機能アッセイで、細胞が発現している125I−イベリオトキシン−D19Y/Y36F結合活性を評価した。最も大きなSN比を生じたコロニーを限界希釈に付した。このために、細胞を細胞数約5/mLで再び浮遊させ、200μLを96ウエルの組織培養処理プレートの個々のウエルに、ウエル当たり約1個の細胞を添加するようにプレーティングした。計2個の96ウエルプレートを作った。集密な単層が形成されたら、細胞を6ウエル組織培養処理プレートに移した。計62のウエルを移した。周密な単層が得られたら、FRET−機能アッセイを用いて細胞を検査した。最高SN比を生じた、トランスフェクトされた細胞を特定し、後続の機能アッセイで用いた。
【0157】
機能アッセイについて:
次に、トランスフェクトされた細胞(細胞数2E+06/mL)を96ウエルポリ−D−リシンプレートに細胞数約100,000/ウエルの密度でプレーティングし、約16から約24時間インキュベートした。培地を細胞から吸引し、細胞を100μLのダルベッコリン酸緩衝食塩水(D−PBS)で1回洗浄した。ウエル当たり100マイクロリットルの約9μM クマリン(CCDMPE)−0.02%プルロニック−127を添加し、暗所で約30分間、これらのウエルをインキュベートした。100μLのダルベッコリン酸緩衝食塩水で細胞を2回洗浄し、[140mM NaCl、0.1mM KCl、2mM CaCl、1mM MgCl、20mM Hepes−NaOH(pH7.4)、10mM グルコース]中約4.5μMのオキサノール(DiSBAC(3))を100μL添加した。HEK−293細胞の内因性カリウム伝導性の阻害剤を3マイクロモル添加した。maxi−Kチャネル遮断薬を添加し(約0.01マイクロモルから約10マイクロモル)、細胞を暗所、室温で30分間インキュベートした。
【0158】
これらのプレートを電圧/イオンプローブリーダー(VIPR)装置に装填し、CCDMPEとDiSBAC(3)の両方の蛍光発光を10秒間記録した。この時点で、100μLの高カリウム溶液[140mM KCl、2mM CaCl、1mM MgCl、20mM Hepes−KOH(pH7.4)、10mM グルコース]を添加し、両方の色素の蛍光発光をさらに10秒間記録した。高カリウム溶液を添加する前のCCDMPE/DiSBAC(3)比は、1である。maxi−Kチャネル阻害剤が不在の状態で高カリウム溶液を添加した後の比は、1.65から2.0の間を変動する。Maxi−Kチャネルが、公知標準物質または試験化合物のいずれかによって完全に阻害されたとき、この比は1のままである。従って、前記蛍光比の濃度依存性変化をモニターすることによって、Maxi−Kチャネル阻害剤の活性の力価を測定することができる。
【0159】
本発明の化合物は、約1nMから約20μM、さらに好ましくは約10nMから約500nMの範囲のIC50で前記蛍光比の濃度依存性阻害を生じさせることが判明した。
【0160】
B. 高導電性カルシウム活性化カリウムチャネルに対する化合物の効果の電気生理学的アッセイ
方法:
室温で、従来どおりの技法(Hamillら,1981,Pflugers Archiv.391,85−100)を用いて、maxi−Kチャネルのαサブユニットを構成的に発現するCHO細胞またはαサブユニットとβサブユニットの両方を構成的に発現するHEK293細胞から切り取った膜パッチから、高導電性カルシウム活性化カリウム(maxi−K)チャネルを通って流れる電流のパッチクランプ記録をとった。ガラス細管(Garner #7052、またはDrummond custom borosilicate glass 1−014−1320)を二段階で引いて、約1から2マイクロメートルの先端径を有するマイクロピペットを生じさせた。一般に、ピペットには、150mM KCl、10mM Hepes(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンメタンスルホン酸)、1Mg、0.01mM Caを含有し、KOHでpH7.20にした溶液を充填した。原形質膜とピペットの間に高抵抗(>10オーム)シールを形成した後、切り取られるインサイドアウト膜パッチを形成する細胞からピペットを抜き取った。このパッチを切り取って、150mM KCl、10 Hepes、5 EGTA(エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸)および1から5μMの遊離Ca濃度を生じさせるために充分なCaを含有する浴液に入れ、KOHでpHを7.2にした。例えば、22℃で1μMの遊離濃度を得るために、4.193mMのCaを添加した。EPC9増幅器(HEKA Elektronic,Lambrect,Germany)を用いて電圧を制御し、膜パッチを横断して流れる電流を測定した。ヘッドステージへのインプットは、Ag/AgCl線でピペット溶液に接続し、増幅器アースは、0.2M KClに溶解した寒天を充填した管で被覆したAg/AgCl線で浴液に接続した。膜電位および細胞内カルシウム濃度に対するチャネル開通確率の感度により、maxi−K電流の同一性を確認した。
【0161】
データ収集は、PULSEソフトウェア(HEKA Electronic)によって制御し、ならびにPULSEFIT(HEKA Electronic)およびIgor(Wavemetrics,Oswego,OR)ソフトウェアを用いて後で分析するためにMacIntoshコンピュータ(Apple Computers)のハードドライブに記憶させた。
【0162】
結果:
maxi−Kチャネルに対する本発明の化合物の効果を、浴液の一定した表面潅流での切り取りインサイドアウト膜パッチにおいて試験した。膜電位は、−80mVに保ち、15秒に1回、正の膜電位への短時間(100から200ミリ秒)電圧段階(典型的には、+50mV)を印加して、maxi−Kチャネルを一時的に開通させた。各実験における正の対照として、標準浴液にカルシウムを添加せず、1mM EGTAを添加することにより作製した低カルシウム濃度(<10nM)にパッチを一時的に暴露した後、パルス電位でのmaxi−K電流を消去した。各実験において遮断されたチャネルの割合は、膜パッチの内側に指定化合物を塗布することによって生じるピーク電流の低下から算出した。定常状態レベルのブロックが達成されるまで、化合物を塗布した。チャネルブロックのK値は、Hillの式を用いて各化合物濃度で得られた部分ブロックを当てはめることにより算出した。本発明に記載の化合物によるチャネルブロックのK値は、0.01nMから10μMより高い範囲にわたる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

の化合物またはこの医薬的に許容される塩、インビボ加水分解性エステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは混合物
[式中、
M、M1およびM2は、独立して、CHまたはNであり;
Qは、
【化2】

(R10およびR11は、それぞれOPO(ORおよびRを表すか、それぞれRおよびOPO(ORを表す)
を表し、
Zは、NまたはCを表し;
Zが、Nであるときには、YとZの間の結合は、単結合であり、XとYの間の結合は、それぞれ、CR=N;CR=CR1’;CR1’=CR;またはN=CRを表し;
Zが、Cであるときには、Xは、OまたはSであり、Yは、CRを表し、およびYとZの間の結合は、点線−−−によって示されているような二重結合であり、
は、
【化3】

を表し;
’は、水素、C1−6アルキル、−(CH3−8シクロアルキルを表し、前記アルキルもしくはシクロアルキルは、Raの1から3個の基で置換されており;または
X−Yが、CR=CR’もしくはCR’=CRであるとき、RおよびR’は、介在二重結合と一緒になって、4から10員環または縮合環(O、S、C(O)もしくはNRのうちの1から3個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されている。)を形成することができ;
但し、少なくとも1個のエノールホスフェート基がこの化合物上に存在することを条件とし;
Wは、(CHR−を表し;
は、−(CH−、−CO(CH−、−SO−、−O−、−S−、−CH(OR^)−、またはCONR^を表し、
R^は、水素、C1−10アルキル、−(CH1−6アルコキシ、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリルを表し、前記アルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択される1から3個の基で場合によっては置換されており;または
R^およびRは、YのCONR’の介在N原子と一緒になって、4から10員炭素環または複素環または縮合環(O、S、C(O)もしくはNRのうちの1から3個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されている。)を形成し;
Gは、N、CRyまたはOを表し、GがOであるとき、Rは不在であり;
およびR2aは、水素、C1−10アルキル、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH6−10アリール、−(CH1−6アルコキシ、CF、ニトロ、OH、シアノもしくはハロゲンを独立して表し、前記アルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルもしくはアリールは、Rの1から3個の基で場合によっては置換されており;または
およびR2aは、介在原子と一緒になって、4から10員炭素環もしくは複素環もしくは縮合環(O、S、C(O)もしくはNRのうちの1から2個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されている。)を形成し;
およびR3aは、水素、C1−10アルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH1−6アルコキシ、−(CH6−10アリールを独立して表し、前記アルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルまたはアリールは、Rの1から3個の基で場合によっては置換されており;
およびRは、水素、C1−6アルコキシ、OH、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、S(O)R、COOR、COR、SOH、−O(CHN(R)、−O(CHCOR、−OPO(OH)、CF、OCF、−N(R)、ニトロ、シアノ、C1−6アルキルアミノ、またはハロゲンを独立して表し;
は、水素、C1−10アルキル、−(CH6−10アリール、−NH(CH6−10アリール、−(CH5−10ヘテロアリール、−NH(CH5−10ヘテロアリール、(C6−10アリール)O−、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH3−10シクロアルキル(縮合環を含む)、−COOR、−C(O)CORを表し、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキルおよびアルキルは、Rから選択される1から3個の基により場合によっては置換されており;
は、水素、C1−6アルキル、−(CHCOORまたは−(CHN(R)を表し;
は、水素、C1−10アルキル、C1−6アルキルSR、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH5−10ヘテロアリール、−N(R)、−COOR、または−(CH6−10アリールを表し、前記アルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択される1から3個の基により場合によっては置換されており;
は、水素、C1−10アルキル、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH5−10ヘテロアリール、−(CHCOOR、−(CH6−10アリール、−(CHNHR、−(CHN(R)、−(CHN(R、−(CHNHCOOR、−(CHN(R)COR、−(CHN(R)COR、−(CHNHCOR、−(CHCONH(R)、アリール、−(CH1−6−OR、CF、−(CHSOR、−(CHSON(R)、−(CHCON(R)、−(CHCONHC(R)、−(CHCONHC(R)COR、−(CHCOR、ニトロ、シアノまたはハロゲンを表し、前記アルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rの1から3個の基で場合によっては置換されており;または
Qが、Nであるとき、RおよびRは、介在N原子と一緒になって、4から10員複素環式炭素環(O、S、C(O)もしくはNRのうちの1から2個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されている。)を形成し;または
Qが、CRyであるとき、RおよびRは、介在C原子と一緒になって、3から10員炭素環もしくは縮合環(O、S、C(O)もしくはNRのうちの1から2個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されている。)を形成し;または
Qが、CRyであるとき、RおよびRは、介在CRyと一緒になって、5から12員縮合環(O、S、C(O)もしくはNRのうちの1から3個の原子が場合によっては割り込んでおり、ならびに1から5個の二重結合を場合によっては有し、およびRから選択される1から3個の基により場合によっては置換されている。)を形成し;
は、H、C1−6アルキル、−C(O)C1−6アルキル、−C(O)OC1−6アルキル、−SON(R)、−SO1−6アルキル、−SO6−10アリール、NO、CNまたは−C(O)N(R)を表し;
RおよびRyは、水素またはC1−6アルキルを独立して表し;
は、F、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−COR、−CONHR、−CON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−(CHOH、(C−Cアルキル)S(O)−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、−(C−Cアルキル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(CH−Z−C(=Z)N(R)、−(C2−6アルケニル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−Z−C(=Z)N(R)、−(CHSOR、−(CHSOH、−(CHPO(OR)、−(CHOPO(OR)、C3−10シクロアルキル、C6−10アリール、C3−10ヘテロシクリル、C2−6アルケニル、およびC−C10アルキルを表し、前記アルキル、アルケニル、アルコキシ、ヘテロシクリルおよびアリールは、C−Cアルキル、CN、NO、OH、CON(R)およびCOORから選択される1から3個の基で場合によっては置換されており;
およびZは、NR、O、CHまたはSを独立して表し;
mは、0から3であり;
nは、0から3であり;
pは、0から1であり;ならびに
qは、0から2である)。
【請求項2】
Zが、Nであり、YとZの間の結合が、単結合であり、−X−Y−が、それぞれ、CR=N−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Qが、
【化4】

であり、Gが、NまたはCRyである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
、MおよびMが、CHであり、及びRが、
【化5】

である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、
【化6】

であり、及びYが、−(CHまたは−CO(CHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
ジメチルリン酸1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル;
リン酸二水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル;
リン酸二水素1−(1−{2−[(3,3−ジメチルブチル)(エチル)アミノ]−2−オキソエチル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル;
リン酸二水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル;
メチルリン酸水素1−[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]−2−メチルプロパ−1−エン−1−イル;
リン酸二水素シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソブチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチル;
リン酸二水素シクロペンチリデン[1−(3,3−ジメチル−2−オキソペンチル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル]メチル;
N,N−ジブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)アセトアミド;
N,N−ジイソブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)アセトアミド;
N−(シクロプロピルメチル)−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N−プロピルアセトアミド;
N−シクロヘキシル−N−エチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)アセトアミド;
2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N,N−ジプロピルアセトアミド;
N−ブチル−N−エチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)アセトアミド;
N−エチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N−(3−メチルブチル)アセトアミド;
N−ブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N−プロピルアセトアミド;
2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセトアミド;
1−(6−メトキシ−1−{2−[トランス−オクタヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]−2−オキソエチル}−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパン−1−オン;
1−(6−メトキシ−1−{2−[シス−オクタヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]−2−オキソエチル}−1H−インダゾール−3−イル)−2−メチルプロパン−1−オン;
N−(3,3−ジメチルブチル)−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)−N−プロピルアセトアミド;
リン酸二水素(Z)−1−t−ブチル−2−{6−メトキシ−3−[2−メチル−1−(ホスホノオキシ)プロパ−1−エン−1−イル]−1H−インダゾール−1−イル}ビニル;
リン酸二水素(Z)−1−t−ブチル−2−(3−イソブチリル−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル)ビニル
である化合物、またはこの医薬的に許容される塩、インビボ加水分解性エステル、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはこれらの混合物。
【請求項7】
高眼圧症または緑内障を治療するための方法であって、請求項1に記載の構造式1の化合物の治療有効量を当該治療が必要な患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
黄斑浮腫、黄斑変性を治療する、網膜および視神経乳頭の血流速度を上昇させる、網膜および視神経の酸素分圧ならびに/または神経保護効果を増大させるための方法であって、請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくは混合物の医薬として有効な量を当該治療が必要な患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
カリウムチャネルを有する哺乳動物細胞の再分極もしくは過分極を予防する方法またはアルツハイマー病、うつ病、認知障害および/もしくは不整脈障害をこの必要がある患者において治療する方法であって、請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくは混合物の医薬として有効な量を投与することを含む、前記方法。
【請求項10】
糖尿病をこの必要がある患者において治療する方法であって、請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくは混合物の医薬として有効な量を投与することを含む、前記方法。
【請求項11】
請求項1に記載の式Iの化合物および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
式Iの化合物が、局所調合物として適用され、前記局所調合物が、溶液または懸濁液として投与され、キサンタンガムまたはゲランガムを場合によっては含有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
β−アドレナリン遮断薬、副交感神経作用薬、交感神経作用薬、炭酸脱水酵素阻害薬、EP4作動薬、プロスタグランジンもしくはこの誘導体、血圧降下性脂質、神経保護物質、および/または5−HT2受容体作動薬から成る群に属する1つ以上の活性成分が場合によっては添加されている、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
β−アドレナリン遮断薬が、チモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロールまたはレボブノロールであり、副交感神経作用薬が、ピロカルピンであり、交感神経作用薬が、エピネフリン、ブリモニジン、イオピジン、クロニジンまたはp−アミノクロニジンであり、炭酸脱水酵素阻害薬が、ドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミドまたはブリンゾラミドであり、プロスタグランジンが、ラタノプロスト、トラバプロスト、ウノプロストン、レスキュラまたはS1033であり、血圧降下性脂質が、ルミガンであり、神経保護物質が、エリプロジル、R−エリプロジルまたはメマンチンであり、ならびに5HT−2受容体作動薬が、1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−イミダゾール−6−オールフマラートまたは2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾール−1−イル)−1−メチル−エチルアミンである、請求項13に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−507521(P2008−507521A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522582(P2007−522582)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/025136
【国際公開番号】WO2006/020003
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】