説明

高硬度板の製造方法

【課題】カケの発生を抑制しつつ、生産性よく高硬度板を製造する方法の提供。
【解決手段】少なくとも片面に印刷が施された、表面硬度が7H〜10Hである樹脂板を切削して高硬度板を製造する方法であって、切削刃を用いて、印刷のある面の反対側から、回転数が40000rpm以上、送り速度が500〜900mm/分で切削することを特徴とする高硬度板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高硬度板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や、デジタルカメラなどの各種映像表示機器のディスプレイの前面板としては、ガラス板やアクリル樹脂などの樹脂板が用いられる場合が多い。これらガラス板や樹脂板は、通常、片面に印刷が施された後、所望の大きさに切削され、必要に応じて所定の箇所に穴をあけられて用いられる。
ガラス板は高硬度であるため、傷がつきにくく、加えて、樹脂板よりも高級感が得られやすい、タッチパネルに好適である、などの利点がある一方で、切削加工しにくかった。
対して、アクリル樹脂などの樹脂板はガラス板に比べて切削加工しやすい。
【0003】
樹脂板の切削方法としては、例えば特許文献1には、反転速度180〜400ストローク/分で高速反転する往復移動テーブル上に固定された、アクリル樹脂に無機物が配合した人工大理石を、2500〜4000min−1で回転しているダイヤモンド砥粒電鋳金属ボンドホイールを用い、切り込み速度0.01〜1mm/分の条件で切断する方法が開示されている。
また、特許文献2には、切断箇所にイオンを含む風を作用させながら、ガラス布基材エポキシ樹脂板を切断刃で切断する方法が開示されている。
また、特許文献3には、合成樹脂板に接着剤を介してタイルなどの無機質板を接着した複合パネルを、ダイヤモンドホイールにより回転数6400rpmで切断する方法が開示されている。
【0004】
しかし、アクリル樹脂などの樹脂板はガラス板に比べて硬度が低く、耐擦傷性に劣るため、引掻き等によって傷がつきやすかった。
そこで、近年、ガラス板と同程度の硬度を有する高硬度の樹脂板が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−254283号公報
【特許文献2】特開2002−361593号公報
【特許文献3】特開2009−34899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、高硬度の樹脂板はガラス板と同様に切削加工しにくかった。例えば特許文献1〜3に記載のような切削方法で高硬度の樹脂板を切削すると、切削面にカケが発生しやすかった。特に生産量を増やすために、切削刃の送り速度を速めると、カケの発生が顕著であった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、カケの発生を抑制しつつ、生産性よく高硬度板を製造する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の高硬度板の製造方法は、少なくとも片面に印刷が施された、表面硬度が7H〜10Hである樹脂板を切削して高硬度板を製造する方法であって、切削刃を用いて、印刷のある面の反対側から、回転数が40000rpm以上、送り速度が500〜900mm/分で切削することを特徴とする。
また、前記切削刃が2枚刃であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カケの発生を抑制しつつ、生産性よく高硬度板を製造する方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】高硬度板の製造工程の一例を示す断面図である。
【図2】切削面にカケが発生したときの状態を示す断面図である。
【図3】積層板の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の高硬度板の製造方法の一例について、図1を参照して詳細に説明する。
この例では、2つの樹脂板11a,11bと、これらの間に設けられた他の樹脂板12と、一方の樹脂板11bの片面(他の樹脂板12が設けられていない側の面)に設けられた印刷層13とからなる積層板10’を、切削刃20を用いて、もう一方の樹脂板11a側から所望の形状に切削し、高硬度板10を製造する。
なお、図2〜3において、図1に示した実施形態に対応する構成要素には、同一の符号を付してその詳細な説明を省略することがある。
【0012】
積層板10’の切削は、切削刃20の回転数が40000rpm以上、切削刃20の送り速度が500〜900mm/分の条件で行う。
切削刃20の回転数が40000rpm以上であれば、得られる高硬度板10の引張強度を良好に維持できる。かかる理由は以下のように考えられる。
すなわち、切削刃20の送り速度が500mm/分以上の条件下において、切削刃20の回転数が低くなると、1回転あたりの積層板10’の切削量(体積)が大きくなり、深い切り込みになる。このため、切削部分に発生するクラックが深く、カケが発生しやすい状態となる。その結果、得られる高硬度板10の引張強度が低下するものと考えられる。
切削刃20の回転数は特に制限されないが、通常、60000rpm以下である。
【0013】
また、切削刃20の送り速度が500mm/分以上であれば、生産性よく高硬度板10を製造できる。加えて、切削時に他の樹脂板12が樹脂ヤケするのを抑制できる。一方、切削刃20の送り速度が900mm/分以下であれば、切削面にカケが発生するのを抑制できる。かかる理由は以下のように考えられる。
すなわち、切削刃20の送り速度が速くなると、1回転あたりの積層板10’の切削量(体積)が大きくなり、深い切り込みになる。このため、切削部分に発生するクラックが深く、カケが発生しやすい状態となる。その結果、図2に示すように、切削面14にカケ15が発生するものと考えられる。
【0014】
なお、積層板10’の切削を開始するときは、通常、積層板10’の上方に位置する切削刃20を積層板10’に向かって鉛直方向に移動させ、そのまま切削刃20の刃先21(積層板10’との接触部分)を樹脂板11aから印刷層13へ貫通させる。その後、上述した送り速度で水平方向に切削刃20を移動さて積層板10’を所望の形状に切削し、高硬度板10を得る。
【0015】
また、本発明においては、切削刃20を用いて、樹脂板11a側から積層板10’を切削する。すなわち、切削刃20の刃先21は樹脂板11a側から積層板10’に入り、印刷層13に出てくる。印刷層13は切削時の割れを吸収するため、表面硬度の高い樹脂板11a,11bを備えた積層板10’を切削しても割れにくく、切削面にカケが生じにくい。
なお、切削刃20の刃先21が印刷層13側から積層板10’に入り、樹脂板11a側(すなわち、印刷層13が設けられていない側)から出てくると、切削時の衝撃が印刷層13に吸収されず深いクラックが発生することとなり、カケが発生しやすくなる。
【0016】
切削刃20としては、樹脂の切削に用いられる公知の切削刃を用いることができ、例えばチップソー、ドリル刃、エンドミルなどが挙げられる。
また、切削刃20としては、刃先21がダイヤモンド砥粒を含有するものが好ましく、特に、粒径の小さいダイヤモンド砥粒を含有するものが好ましい。ダイヤモンド砥粒の粒径が小さいほど切削性に優れる傾向にあり、得られる高硬度板10の切削面の仕上がり状態がより良好となる。粒径は、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましい。
【0017】
また、切削刃20は、1枚刃でもよいし、2枚刃以上でもよいが、2枚刃が好ましい。切削刃20が2枚刃であれば、同じ回転数でも1枚刃に比べて1回転あたりの切削量が半分となるため、積層板10’へのダメージが少ない。よって、カケの発生をより抑制できる。なお、3枚刃以上になると、切削屑の排出が上手く行かなくなり、発熱による樹脂ヤケとなる場合がある。
【0018】
また、切削刃20はバランスがなくてもよいし、あってもよい。ここで、「バランス」とは、高速回転時に発生する、刃先のブレを防止する加工処理のことである。
【0019】
[積層板]
つぎに、本発明に用いる積層板10’について説明する。
図1に示す積層板10’は、2つの樹脂板11a,11bと、これらの間に設けられた他の樹脂板12と、一方の樹脂板11bの片面に設けられた印刷層13とからなる。
【0020】
<樹脂板>
樹脂板11a,11bは、表面硬度が7H〜10Hである。表面硬度が7H以上であれば、十分な硬度を発現でき、傷がつきにくい高硬度板10が得られる。
ここで、本発明において「表面硬度」とは鉛筆法による引っかき硬度のことであり、具体的にはJIS K 5600−5−4に準じた方法により測定される。なお、表面硬度を測定する際に使用する鉛筆は特に限定されないが、例えば三菱鉛筆株式会社製の鉛筆などが挙げられる。
【0021】
表面硬度が7H〜10Hである樹脂板としては、無機・有機共重合体などが挙げられる。
無機・有機共重合体は、例えば無機セグメントとして光硬化性を有するかご型シルセスキオキサン樹脂と、有機セグメントとしてアクリル樹脂等とを含む光硬化性樹脂組成物を硬化させることで得られる。
【0022】
(無機セグメント)
かご型シルセスキオキサン樹脂としては、例えば下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」という。)が挙げられる。
[RSiO3/2 ・・・(1)
式(1)中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基またはビニル基のいずれか一つを有する有機官能基であり、mは8、10、12または14である。Rとしては、特に下記式(2)で表される(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0023】
【化1】

【0024】
式(2)中、Rは水素原子またはメチル基であり、aは1〜3の整数である。
【0025】
化合物(1)の具体的な構造としては、例えば下記構造式(3)〜(5)に示すかご型構造が挙げられる。なお、構造式(3)はm=8、構造式(4)はm=10、構造式(5)はm=12である。
【化2】

【0026】
また、かご型シルセスキオキサン樹脂としては、例えば下記式(6)で表されるケイ素化合物を有機極性溶媒および塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒および塩基性触媒存在下で再縮合させてなる化合物を用いてもよい。
SiX ・・・(6)
【0027】
式(6)中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基もしくはビニル基のいずれか一つを有する有機官能基であり、具体的には、上記式(2)で表される(メタ)アクリロイル基、下記式(7)で表されるグリシジル基、下記式(8)で表されるビニル基などが挙げられる。
【0028】
【化3】

【0029】
式(7)中、bは1〜3の整数である。
式(6)で表されるケイ素化合物としては、例えばメタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシランが挙げられる。中でも、原料の入手が容易である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いることが好ましい。
【0030】
また、式(6)中、Xは加水分解性基である。加水分解基としては、アルコキシ基、アセトキシ基等が挙げられる。中でも、アルコキシル基であることが好ましい。アルコキシル基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−及びi−プロポキシ基、n−、i−およびt−ブトキシ基等が挙げられる。特に、反応性が高い点で、メトキシ基が好ましい。
【0031】
加水分解反応に用いられる有機極性溶媒としては、炭素数1〜6の低級アルコール類が挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、2−プロパノールが挙げられる。中でも、2−プロパノールが好ましい。
一方、塩基性触媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド等の水酸化アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性が高い点で、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。塩基性触媒は、通常、水溶液の状態で用いられる。
【0032】
加水分解反応の条件については、反応温度は0〜60℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。反応温度が0℃以上であれば、十分な反応速度が得られるので、加水分解性基が未反応の状態で残存しにくく、反応時間を短縮できる。一方、反応温度が60℃以下であれば、複雑な縮合反応が進行するのを抑制でき、加水分解生成物の高分子量化を防げる。
また、反応時間は2時間以上が好ましい。反応時間が2時間以上であれば、加水分解反応が十分に進行するので、加水分解性基が未反応の状態で残存するのを抑制できる。
【0033】
加水分解反応には、水の存在が重要である。水は上述した塩基性触媒の水溶液から供給してもよいし、別途、水を反応系に加えてもよい。反応系中の水の量は、可水分解性基を加水分解できる量であればよく、理論量の1.0〜1.5倍量が好ましい。
なお、反応系中に非極性溶媒が存在すると、反応系が均一にならず加水分解反応が十分に進行しにくくなり、未反応のアルコキシル基が残存しやすくなる。
【0034】
加水分解反応終了後は、水または水含有有機極性溶媒を減圧蒸発等により除去する。
このようにして得られた加水分解生成物には、かご型以外の構造(例えばはしご型、ランダム型など)のシルセスキオキサンが含まれている。また、かご型構造をとっている化合物についても完全なかご型構造の割合は少なく、かごの一部が開いている不完全なかご型の構造が主となっている。従って、この加水分解で得られた加水分解生成物を、さらに、非極性溶媒および塩基性触媒存在下で加熱することによりシロキサン結合を縮合(再縮合という)させて、かご型構造のシルセスキオキサンを選択的に製造する。
【0035】
非極性溶媒としては、水に溶解しにくいものであればよいが、炭化水素系溶媒が好ましい。具体的には、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの沸点の低い非極性溶媒が挙げられる。中でもトルエンを用いることが好ましい。
塩基性触媒としては、加水分解反応に用いられる塩基性触媒が挙げられ、中でも、非極性溶媒に可溶な点で、テトラアルキルアンモニウムが好ましい。
【0036】
縮合反応の反応条件については、反応温度は100〜200℃が好ましく、110〜140℃がより好ましい。反応温度が100℃以上であれば、再縮合反応をさせるために十分なドライビングフォースが得られ、反応が進行しやすい。一方、反応温度が200℃以下であれば、(メタ)アクリロイル基が自己重合反応するのを抑制できる。
また、反応時間は2〜12時間が好ましい。
非極性溶媒の使用量は、加水分解生成物を溶解するに足る量であればよい。また、塩基性触媒の使用量は、加水分解生成物100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。
【0037】
本発明においては、かご型シルセスキオキサン樹脂は、ケイ素原子全てに(メタ)アクリロイル基、グリシジル基又はビニル基を有する有機官能基からなる反応性官能基を有する、分子量分布及び分子構造が制御されたものが好ましいが、反応性官能基の一部がアルキル基、フェニル基等に置き換わっていてもよい。また、完全に閉じた多面体構造でなくでもよく、一部が開裂したような構造であってもよい。
【0038】
(有機セグメント)
有機セグメントとしては、かご型シルセスキオキサン樹脂に対して相溶性と反応性を有する樹脂であればよく、例えば反応性オリゴマー、反応性単官能モノマー、反応性多官能モノマーなどが挙げられる。
【0039】
反応性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエン/チオール、シリコーンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルエチルメタクリレート等が挙げられる。
反応性の単官能モノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート等が挙げられる。
反応性の多官能モノマーとしては、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0040】
(質量比)
無機セグメントと有機セグメントの質量比は、無機セグメント:有機セグメント=10:90〜30:70が好ましい。両者の質量比が上記範囲内であれば、優れた耐熱性と低熱膨張率を有する樹脂板が得られる。
【0041】
(その他)
光硬化性樹脂組成物には、通常、光重合開始剤が含まれる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサンソン系、アシルホスフィンオキサイド系等の化合物を好適に使用することができる。具体的には、トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、チオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、カンファーキノン、ベンジル、アンスラキノン、ミヒラーケトン等が挙げられる。
また、光重合開始剤と組み合わせて効果を発揮する光開始助剤や鋭感剤を併用してもよい。
【0042】
さらに、光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて有機/無機フィラー、可塑剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋剤、分散助剤、樹脂成分等の各種添加剤や溶媒が含まれていてもよい。
【0043】
<他の樹脂板>
他の樹脂板12は、得られる高硬度板10が反ったり変形したりするのを抑制する目的で、2つの樹脂板11a,11bの間に設けられる。
他の樹脂板12は、波長550nmでの光透過率が80%以上であることが好ましい。光透過率が80%以上であれば、得られる高硬度板10を、タッチパネルの前面板など、優れた光透過性が求められる用途に好適に使用できる。また、画像の視認性が向上する。
【0044】
また、他の樹脂板12は、ガラス転移温度が70℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が70℃以上であれば、高硬度板を高温環境下で使用しても、熱によるうねりや反りを抑制できる。
ガラス転移温度の上限値については特に制限されないが、220℃以下が好ましい。
【0045】
このような他の樹脂板12の材質としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)、PC(ポリカーボネート)、アセテート、アクリル、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、セロファン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性と透明性に優れ、諸特性のバランスのとれたPET、PEN、COP、COCが好ましい。上記以外にも、他の樹脂板12の材質としては、ITO膜を付けた導電性樹脂や、フォトクロミック機能を持った樹脂などが挙げられる。
他の樹脂板12は、1層であってもよく、各層が異なる材料からなる多層であってもよい。
【0046】
他の樹脂板12の厚さは、0.05mm以上であることが好ましい。厚さが0.05mm以上であれば、樹脂板11a,11bの硬化時の収縮による変形の発生を抑制できる。また、他の樹脂板12上に光硬化性樹脂組成物を塗工する際の張力にも十分耐えられる。
【0047】
他の樹脂板12の表面形状については、平坦性を有するものであっても、表面に凹凸加工が施されているものであってもよい。ただし、透明性を阻害しない表面形状が好ましい。
また、樹脂板11a,11bとの密着性をより向上させる目的で、他の樹脂板12の表面に、例えばコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等の表面活性処理を行ってもよい。
【0048】
<印刷層>
印刷層13は、積層板10’を切削した際に割れを吸収する役割を果たす。従って、表面硬度の高い樹脂板11a,11bを備えた積層板10’を切削しても割れにくく、切削面にカケが生じにくい。
印刷層13は、バインダ樹脂、顔料、有機溶媒を含有する印刷インキ用組成物より形成される。
【0049】
バインダ樹脂としては、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。
顔料としては、例えば酸化チタン、カーボンなどが挙げられる。
有機溶媒としては、バインダ樹脂を溶解可能なものが使用される。このような有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類などが挙げられる。
【0050】
また、印刷インキ用組成物には、必要に応じて硬化剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、滑剤などが含まれていてもよい。
【0051】
印刷インキ用組成物は、塗膜の表面硬度が2H〜5Hであることが好ましい。塗膜の表面硬度が2H以上であれば、耐擦傷性に優れた印刷層13を形成できる。一方、塗膜の表面硬度が5H以下であれば、積層板10’を切削した際に割れをより吸収でき、カケの発生を効果的に抑制できる。
塗膜の表面硬度は、印刷インキ用組成物に硬化剤を配合することで調整できる。具体的には、塗膜を柔らかくするためには硬化剤の配合料を少なくすればよいし、塗膜を硬くするためには硬化剤の配合料を多くすればよい。
【0052】
印刷層13は、高硬度板10における絵柄、模様、文字等となる。
また、印刷層は、全面ベタと、該表面に形成された絵柄、文字等との2層以上から構成されていてもよい。
印刷層の厚さは、1μm以上が好ましい。厚さが1μm以上であれば、切削時の割れの吸収効果が向上する。
印刷層の厚さの上限値については特に制限されないが、通常、30μm以下である。
【0053】
<積層板の作製>
積層板10’は、例えば以下のようにして作製できる。
まず、他の樹脂板12の両面に光硬化性樹脂組成物を塗布した後、紫外線などを照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させ、樹脂板11a,11bを形成する。
ついで、樹脂板11b上に印刷インキ用組成物を用いて印刷層13を印刷し、積層板10’を得る。
なお、樹脂板11a,11bは、同一の光硬化性樹脂組成物から形成されてもよいし、異なる種類の光硬化性樹脂組成物から形成されてもよい。
【0054】
光硬化性樹脂組成物は、液状であることから公知の塗布装置で塗布できるが、塗布ヘッドを用いて硬化反応を起こすとゲル状の付着物が筋や異物の原因となるため、望ましくは塗布ヘッドには紫外線が当たらないようにするのがよい。
塗布方式としては、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート、押出コート、スピナーコート等の公知の方法を用いることができる。
また、厚み制御が容易であることから、一旦、別の支持体に樹脂板11a,11bを形成してから、転写法により他の樹脂板12の両面に樹脂板11a,11bを形成する方法を採用してもよい。
【0055】
光硬化性樹脂組成物は、「硬化後の厚さ(樹脂板の厚さ)/他の樹脂板12の厚さ」で表される厚さの比率が0.1〜5.0となるように、他の樹脂板12の両面に塗布されるのが好ましい。厚さの比率が0.1以上であれば、樹脂板が十分な厚みを有するので、光硬化性樹脂組成物の特徴である高耐熱性の効果が十分に発揮される。また、他の樹脂板13の耐熱特性も向上する。一方、厚さの比率が5.0以下であれば、樹脂板が厚くなりすぎず、割れるのを防げる。また、加熱しても樹脂板にクラックが生じにくく、破損しにくい積層板10’が得られやすくなる。さらに、樹脂板にクラックが生じにくくなることで、積層板10’ の耐熱性も良好に維持できる。
【0056】
光硬化性樹脂組成物を他の樹脂板13に塗布し流延させた後は、光硬化を実施する。この光硬化としては、紫外線照射法が一般的であり、例えば紫外線ランプを使用して紫外線を発生させて照射することができる。
紫外線ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプ等があり、いずれも使用することができる。これらの紫外線ランプの中でも、メタルハライドランプもしくは高圧水銀ランプが好ましい。
【0057】
照射条件はそれぞれのランプ条件によって異なるが、照射露光量が20〜10000mj/cm程度であればよく、好ましくは100〜10000mj/cmである。
また、光エネルギーの有効利用の観点から、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付けるのが好ましく、さらには、冷却対策として熱カットフィルター等を装着するようにしてもよい。
【0058】
また、紫外線ランプの照射箇所には、冷却装置を有していることが好ましい。この冷却装置により、紫外線ランプからの発生する熱に誘発される他の樹脂板12等の熱変形を抑制することができる。冷却方式としては、空冷方式、水冷方式等の公知の方法がある。
【0059】
なお、紫外線硬化反応はラジカル反応であるため酸素による反応阻害を受ける。よって、光硬化性樹脂組成物を他の樹脂板12へ塗布、流延した後、光硬化性樹脂組成物上へ透明カバーフィルムを施し、流延された液状光硬化性樹脂の表面では酸素濃度が1%以下になるようにしてから光硬化するのが好ましく、より好ましくは0.1%以下である。
酸素濃度を小さくするには、表面に空孔がなく、酸素透過率の小さい透明カバーフィルムを用いればよい。透明カバーフィルムとしては、PET、PC、ポリプロピレン、ポリエチレン、アセテート、アクリル、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、セロファン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン樹脂などのフィルムが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ただし、光硬化性樹脂組成物との剥離が可能でなければならない。そのため、これらの透明カバーフィルムの表面には、シリコーン塗布、フッ素塗布等の易剥離処理が施されているものが好ましい。
【0060】
他の樹脂板12の両面に樹脂板11a,11bを形成させた後は、樹脂板11b上に印刷層13を形成する。
印刷層13の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア輪転印刷法、スクリーン印刷法、ロールコート法、スプレーコート法、フレキソグラフ印刷法等が挙げられる。
【0061】
[用途]
本発明により得られる高硬度板10は、携帯電話、パソコン、液晶テレビ、電子ブック、デジタルカメラなどの各種映像表示機器のディスプレイの前面板として好適である。また、高硬度板10は、ガラス板と同程度の硬度を有する樹脂板11a,11bを備えるので、耐擦傷性に優れ、傷がつきにくい。
【0062】
以上説明したように、本発明によれば、切削刃の回転数および送り速度を規定し、かつ印刷のある面の反対側から、切削刃を用いて表面硬度の高い樹脂板を切削するので、カケの発生を抑制しつつ、生産性よく高硬度板を製造できる。この高硬度板はガラス板と同程度の硬度を有する樹脂板を備えるので、耐擦傷性にも優れる。
【0063】
[他の実施形態]
本発明の高硬度板の製造方法は、上述した方法に限定されない。
例えば、上述した例では、他の樹脂板12の両面に印刷インキ用組成物を塗布して樹脂板11a、11bを形成しているが、市販の樹脂板11a、11bを用い、接着剤を介して他の樹脂板12の両面に貼り合わせてもよい。市販の樹脂板としては、例えば新日鐵化学株式会社製の「シルプラス」シリーズが好適である。
接着剤としては、例えばアクリル系接着剤などが挙げられる。
【0064】
また、図1に示す積層板10’は、2つの樹脂板11a,11bと、これらの間に設けられた他の樹脂板12と、一方の樹脂板11bの片面に設けられた印刷層13とで構成されているが、例えば図3(a)に示すように樹脂板11a上に、他の樹脂板12と印刷層13が順次積層した積層板30’や、図3(b)に示すように、樹脂板11a上に印刷層13が積層した積層板40’を切削して高硬度板を製造してもよい。ただし、高硬度板は、他の樹脂板を備えている方が、反りや変形を抑制できる点で好ましく、特に、図1に示すように、他の樹脂板12を樹脂板11a,11bで挟持した構造が好ましい。
【0065】
また、図3(c)に示すように、もう一方の樹脂板11aの片面(他の樹脂板12が設けられていない側の面)にも印刷層13が設けられた積層板50’を切削して高硬度板を製造してもよい。この場合、積層板50’の両面に印刷層13,13が設けられているので、どちらの面から切削刃を積層板50’に挿入しても、切削刃の刃先は印刷層から出てくる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
[試験例1]
<印刷インキ用組成物の調製>
株式会社セイコーアドバンス製のウレタン系2液反応型インキ100質量部と、専用硬化剤(ウレタン系)10質量部とを混合し、印刷インキ用組成物を調製した。
印刷インキ用組成物をガラス板に塗布し、乾燥して厚さ13μmの塗膜を形成した。得られた塗膜の表面硬度を測定したところ、3Hであった。
【0068】
<高硬度板の製造>
PET製の他の樹脂板(厚さ:0.2mm)の両面に、2つの樹脂板(新日鐵化学株式会社製、「シルプラス」、表面硬度:9H、厚さ:0.65mm)を貼り合わせた。
ついで、一方の樹脂板の表面に、印刷インキ用組成物を用いてスクリーン印刷法により印刷層(厚さ:13μm)を形成し、図1に示すような積層板10’を作製した。
得られた積層板10’を、もう一方の樹脂板11a(印刷層13が形成されていない側)から、刃先に粒径0.1〜0.5μmのダイヤモンド砥粒を含有する切削刃(株式会社内山刃物製、2枚刃、コンパックス、Φ1.7×0.6L×45°、バランス有り)を用い、表1に示す切削刃の回転数および送り速度の条件にて切削し、高硬度板を得た。
【0069】
<外観評価>
得られた高硬度板を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。結果を表1に示す。
◎:切削面にカケがない。
○:切削面に微細なカケがある。
△:切削面にカケがある。
×:切削面に大きなカケがある。または他の樹脂板が樹脂ヤケした。
【0070】
<引張評価>
得られた高硬度板を40mm×80mmの大きさに切り出し、JIS K 7161に準拠して、引張破壊強度を測定した。引張破壊強度が900N以上を「○」、900N未満を「×」として評価した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1に示すように、切削刃の回転数40000rpm以上、送り速度500〜900mm/分の条件で積層板を切削することによって、カケの発生を抑制しつつ、生産性よく高硬度板を製造することができた。
これに対し、切削刃の送り速度が500mm/分未満の場合、カケの発生は抑制できたものの、生産性に劣っていた。特に、切削刃の送り速度が200mm/分、切削刃の回転数が60000rpmの場合、樹脂ヤケが発生した。
また、切削刃の回転数が40000rpm未満、送り速度が500〜900mm/分の場合、高硬度板の引張破壊強度が低かった。
また、切削刃の送り速度が900mm/分を超える場合、大きなカケが発生した。なお、切削刃の回転数が60000rpmの場合は、カケは微細であったものの、高硬度板の引張破壊強度が低かった。
【0073】
[試験例2]
印刷層を形成しなかった以外は、試験例1と同様にして積層板を作製し、表2に示す条件にて積層板を切削し、高硬度板を製造した。結果を表2に示す。
【0074】
【表2】

【0075】
表2に示すように、印刷層が形成されていない積層板を切削した試験例2では、試験例1と比べると、カケが発生しやすかった。
例えば、切削刃の回転数50000rpm、送り速度200〜600mm/分の条件、および回転数60000rpm、送り速度400〜600mm/分の条件では、切削面に発生したカケは微細なものであったが、印刷層が形成された積層板を切削した試験例1の同条件の場合に比べると劣るものであった。
【0076】
[試験例3]
切削刃として、株式会社内山刃物製の1枚刃(コンパックス、Φ2.8×0.4L×45°、バランス有り)を用いた以外は、試験例1と同様にして、表3に示す条件にて積層板を切削し、高硬度板を製造した。結果を表3に示す。
【0077】
【表3】

【0078】
表3に示すように、切削刃の回転数40000rpm以上、送り速度500〜900mm/分の条件で積層板を切削することによって、カケの発生を抑制しつつ、生産性よく高硬度板を製造することができた。
これに対し、切削刃の送り速度が500mm/分未満の場合、カケの発生は抑制できたものの、生産性に劣っていた。特に、切削刃の送り速度が200mm/分、切削刃の回転数が60000rpmの場合、樹脂ヤケが発生した。
また、切削刃の回転数が40000rpm未満、送り速度が500〜900mm/分の場合、高硬度板の引張破壊強度が低かった。
また、切削刃の送り速度が900mm/分を超える場合、大きなカケが発生した。
【0079】
[試験例4]
印刷層を形成しなかった以外は、試験例1と同様にして積層板を作製し、切削刃として、株式会社内山刃物製の1枚刃(コンパックス、Φ2.8×0.4L×45°、バランス有り)を用い、表4に示す条件にて積層板を切削し、高硬度板を製造した。結果を表4に示す。
【0080】
【表4】

【0081】
表4に示すように、印刷層が形成されていない積層板を切削した試験例4では、試験例3と比べると、カケが発生しやすかった。
例えば、切削刃の回転数50000rpm、送り速度400〜600mm/分の条件、および回転数60000rpm、送り速度400〜600mm/分の条件では、切削面に発生したカケは微細なものであったが、印刷層が形成された積層板を切削した試験例3の同条件の場合に比べると劣るものであった。
【0082】
[試験例5]
印刷層を形成しなかった以外は、試験例1と同様にして積層板を作製し、切削刃として、東京ダイヤ社製の1枚刃(コンパックス、Φ2.2×0.95L×45°、バランス無し)を用い、表5に示す条件にて積層板を切削し、高硬度板を製造した。結果を表5に示す。
【0083】
【表5】

【0084】
表5に示すように、印刷層が形成されていない積層板を切削した試験例5では、試験例3と比べると、カケが発生しやすかった。
例えば、切削刃の回転数50000rpm、送り速度400〜600mm/分の条件、および回転数60000rpm、送り速度400〜600mm/分の条件では、切削面に発生したカケは微細なものであったが、印刷層が形成された積層板を切削した試験例3の同条件の場合に比べると劣るものであった。
【符号の説明】
【0085】
10 高硬度板
10’、30’、40’、50’ 積層板
11a、11b 樹脂板
12 他の樹脂板
13 印刷層
14 切削面
15 カケ
20 切削刃
21 刃先


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面に印刷が施された、表面硬度が7H〜10Hである樹脂板を切削して高硬度板を製造する方法であって、
切削刃を用いて、印刷のある面の反対側から、回転数が40000rpm以上、送り速度が500〜900mm/分で切削することを特徴とする高硬度板の製造方法。
【請求項2】
前記切削刃が、2枚刃であることを特徴とする請求項1に記載の高硬度板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−6229(P2013−6229A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139359(P2011−139359)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511154009)株式会社ダイヤテック (1)
【Fターム(参考)】