説明

高純度のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法

本発明は、高純度のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミド(Methoxy Polyethylene Glycol Ethylmaleimide、以下‘mPEG-ethylmaleimide’)及びその誘導体を製造する方法に関し、具体的には、メトキシポリエチレングリコールエチルアミンとN−メトキシカルボニルマレイミドを塩基存在下で水溶液内で反応させる段階と、前記反応中に、生成物の終末点をNMR測定方法により決定する段階と、反応終了後、有機溶媒で相分離により生成物を抽出する段階と、抽出された有機溶液相を濃縮した後、再結晶によりメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドを収得する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミド(Methoxy Polyethylene Glycol Ethylmaleimide、以下‘mPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide’))及びその誘導体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PEGは、天然高分子、合成高分子と共に、水分子と効果的に水素結合をする代表的な親水性高分子と知られている。
【0003】
また、多数の有機溶媒に溶ける性質があり、人体毒性がほとんどない物質である。PEGは、水で完全に伸びた形態の構造を有するため、他の医薬品(蛋白質、ペプチド、酵素、遺伝子など)とコンジュゲーション(conjugation)させることにより、立体障害を利用して医薬分子の毒性を減少させて、免疫システムから保護することができる。したがって、人体血漿内半減期を延ばす方法として、様々な種類の医薬品に応用できる。
【0004】
さらに、薬効はよいが毒性が高くて、溶解度が劣り、人体に適用し難い医薬品と結合させて、PEG-Drugの溶解度を増加させて、毒性を減少させ、その効能を向上させることができる。
【0005】
PEGを他の医薬品に導入するためには、PEG鎖の末端に多様な官能基を付加して医薬品と結合する方法が主に使用されている。
【0006】
mPEG−エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide)も同様に、多様な医薬品と結合し、医薬品の溶解度と効能を増加させるために使用される物質である。
【0007】
従来、mPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide)は、大きく二つの方法により得ることができた。mPEG-エチルマレアミック酸(mPEG-ethylmaleamic acid)から分離精製後、塩素化(chlorination)やエステル化(esterification)した後、環化させる方法(化学式1)と、mPEG-アミン(mPEG-amine)からMCM(Methoxy Carbonyl Maleimide)を使用して環化させて製造する方法(化学式2)が一般的である。
【0008】
第一の方法により製造された mPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide)は、純度測定時、第二の方法に比べて非常に劣り、反応中、PEG鎖の分解が起こる可能性があるため、最終製品の分子量分布度が増加される現象が生じ得て、第二の方法によりmPEG-マレイミド(mPEG-maleimide)を製造時、現在までの方法では正確な反応終結点が予測できず、結晶化時、ジエチルエーテル(Diethyl ether)の使用により、商業化工程に適用する場合、人体毒性と爆発の危険性を内在している。また、最終製品に除去し難い副産物(mPEG-amide-imide, mPEG maleamic acid)が多量含有される可能性があるため、薬物伝達システムに使用し難いという問題がある。
【0009】
[化学式1]

[化学式2]

【0010】
US6,602,498(Shearwater corporation)では、上述の二つの方法について説明しているが、反応の終結時点に対する詳しい反応条件(攪拌機速度による反応転換率の影響及び分析法)と、経済的に商業化に適用可能な結晶化方法及び最終製品に含有可能な副産物の種類について詳しく言及していない。
【0011】
US6,875,841(NOF corporation)では、メトキシポリエチレングリコール(Methoxy polyethyleneglycol, 以下、‘mPEG’)において、シアン化(Cyanation)、アミン化(Amination)反応を進行してmPEG-プロピルアミン(mPEG-propylamine)を製造した後、無水マレイン酸(Maleic anhydride)と反応してmPEG-プロピルマレアミック酸(mPEG-propylmaleamic acid)を製造した。製造したmPEG-プロピルマレアミック酸(mPEG-propylmaleamic acid)を無水アセト酸/アセト酸(acetic anhydride/acetic acid)条件で環化反応(ring formation)を進行し、mPEG-プロピルマレイミド(mPEG-propylmaleimide)を製造した。製造されたmPEG-プロピルマレイミド(mPEG-propylmaleimide)は、構造的にPEGバックボーン(backbone)とマレイミド(maleimide)間に三つの炭素(carbon)を含んでいるため、mPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide)と構造的に差があり、mPEGから4段階(cyanation -> amination -> maleamic acid製造-> maleimide ring導入)を経て製造され、反応段階が複雑で、製造される工程に高圧、高温(>4MPa, >130℃)条件が含まれているため、PEG鎖の分解が起こり、最終製品の純度が、他の方法に比べ低下する。
【0012】
US 6,828,401(SunBio Inc.)では、mPEG-エチルマレアミック酸(mPEG-ethylmaleamic acid)を製造した後、ジイソプロピルエチルアミン/ペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート/DMF(Diisopropylethylamine/Pentafluorophenyl trifluoroacetate/DMF)条件で、mPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide)を製造するが、高価の反応物を使用するため商業的に制約があり、また不純物がたくさん生成される短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の問題点を解決するために、本発明は、mPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide)を高い収率で製造する方法を提供する。
【0014】
本発明の他の目的は、中間体あるいは不純物の生成を最大限抑えられる新規の製造方法を提供することである。
【0015】
本発明のまた他の目的は、mPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide)が反応進行中に加水分解されてmPEG-エチルマレアミック酸(mPEG-ethylmaleamic acid)に変化する量を最少化する工程を開発し、高純度のmPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide)が生成される製造方法を提供することである。
【0016】
本発明のまた他の目的は、反応中間体化合物が目的物内に10モル%以下であり、且つ、目的物の加水分解により生成される副産物である mPEG-エチルマレアミック酸(mPEG-ethylmaleamic acid)が10モル%以下に存在するmPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide)の生産方法を提供することである。
【0017】
また、本発明は、反応媒質内で生成されたmPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide)の効果的な抽出及び結晶化方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、高純度のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミド(Methoxypolyethyleneglycol Ethylmaleimide、以下‘mPEG-エチルマレイミド(mPEG-ethylmaleimide))を製造時、mPEG-エチルアミン(mPEG-ethylamine)をN-メトキシカルボニルマレイミドと反応して製造する工程において、中間体としてmPEG-アミド-イミド(mPEG-amide-imide)と、副産物としてmPEG-エチルマレアミック酸(mPEG-ethylmaleamic acid)の含量を最少化するために、反応過程でNMRを利用して反応終結点を見つけ出すことを特徴とし、中間体であるmPEG-アミド-イミド(mPEG-amide-imide)の含量と、副産物としてmPEG-エチルマレアミック酸(mPEG-ethylmaleamic acid)の含量を最少化するmPEG-エチルマレイミドの製造方法を提供する。
【0019】
また本発明は、mPEG-エチルマレイミドが生成後、副反応で加水分解されて生成されるmPEG-エチルマレアミック酸の含量を最少化する、新規なmPEG-エチルマレイミドの製造方法を提供することを特徴とする。
【0020】
本発明のまた他の特徴は、水溶液内でメトキシポリエチレングリコールエチルアミンとN−メトキシカルボニルマレイミドを反応させることを特徴とする。
【0021】
本発明のまた他の特徴は、NMRを利用して反応終結時点を決定した後、生成されたmPEG-エチルマレイミドを相分離により抽出することと、商業的に利用可能な溶媒を使用して結晶化することを特徴とするmPEG-エチルマレイミドの新規な製造方法を提供する。
【0022】
また、本発明は、相分離時、相分離程度を確認するために、PAA(ポリアクリル酸)を利用して抽出程度を決定する新規なmPEG-エチルマレイミドの製造方法を提供する。
【0023】
即ち、既存のmPEG-エチルマレイミドの製造方法においては、副産物が多量発生し、効果的に高純度で製造できない短所があった。これは、中間体であるmPEG-アミド-イミド(mPEG-amide-imide)が完全に生成物に転換する前に、水溶液内で加水分解により生成物のmPEG-エチルマレイミドが mPEG-エチルマレアミック酸に転換されて、生成される副産物の量が急激に増加するため、高純度のmPEG-エチルマレイミドを製造するためには、中間体の生成物への転換率を高めると同時に、生成物が加水分解によりmPEG-エチルマレアミック酸に転換されることを最少化することができなければならず、このような反応終結点を選定する方法が、高純度のmPEG-エチルマレイミドを製造するに非常に重要であることを見出し、本発明を完成した。
【0024】
発明の下記反応メカニズムは、下記のように進行されると考えられるが、高純度の商業化されたmPEG−OCHCHNHをN−メトキシカルボニルマレイミドと0乃至10℃、好ましくは0乃至5℃の低温で反応させて、メチレンクロライドなどのハロゲン化ハイドロカーボン、炭化水素溶剤、好ましくはメチレンクロライドを利用して抽出することにより、高純度のmPEG-エチルマレイミドを製造する。この際、中間体の生成を最少化して、且つ副反応物を最少化するために、反応中にNMRを利用して転換率を測定する。反応初期に生成される中間体(mPEG-amide-imide)は、2種類((d, 6.37ppm)、(d, 6.18ppm))の特性ピークを有している。反応時間が持続されるにつれて、高純度のmPEG-エチルマレイミドの特性ピーク(s, 6.71ppm)の面積(area)が増加して、中間体特性ピークがほとんど消える時点から急激に加水分解されて、生成される副産物(mPEG-ethylmaleamic acid)の特性ピーク((d, 6.31ppm)、(d, 6.48ppm))の面積(area)が増加し始めるため、中間体の特性ピークと副産物の特性ピークの面積(area)が高純度のmPEG-エチルマレイミドの特性ピーク(s, 6.71ppm)の面積(area)に対し、それぞれの面積(area)比が10モル%以下で反応を完了するようにする。
【0025】
NMR分析は、低温(−10〜5℃)で反応器の攪拌を中止した状態で進行して、驚くことに、攪拌を中止した状態では反応がほとんど進行されないため、分析時間の間は、別途の攪拌無しに分析作業を進行することが好ましい。
【0026】
本発明は、ポリエチレングリコールユニットの分子量範囲が350〜100,000であり、分子量分布が1.05以下であって、NMR上で末端基の活性が80%以上、好ましくは80〜99.99%の高純度のmPEG−エチルマレイミドを製造することを特徴とする。
【0027】
[化学式3]

【0028】
また、本発明では、製造過程中に人により汚染されるか、あるいは空気中で汚染される多様な微生物による汚染があり得るが、これは、本発明の生成物であるmPEG-エチルマレイミドを他の医薬品(蛋白質、ペプチド、酵素、遺伝子など)とコンジュゲーション(conjugation)させて利用する時、エンドトキシンが含有されている場合は、毒性を引き起こす恐れがあるため、mPEG-エチルマレイミドの製造工程において、これを排除させる工程が必要となる。したがって、本発明では、チャコール(charcoal)を利用してエンドトキシンを除去する工程を導入し、安全な製品を生産する。
【0029】
以下では、本発明の製造段階について具体的に説明する。
【0030】
1)常温で窒素置換された反応器にNaHCOとD/W(除イオン水)を投入し、反応器の内部温度を0〜10℃、好ましくは、0〜5℃に調節した後、原料物質として分子量が100〜100,000のmPEG−OCHCHNHを投入して溶解させる。
【0031】
2)次いで、反応器にN-メトキシカルボニルマレイミド(N-Methoxy carbonyl maleimide)をmPEG-OCH2CH2NH2 1当量に対して0.9〜10当量比で、好ましくは、1:5当量比で投入後、反応器の攪拌速度を調節しながら0.5〜1時間攪拌する。反応進行の速度を増加させるために、0〜3℃に冷却されたD/W 50〜55kgをさらに投入する。1時間間隔でNMRにより反応転換率を確認しながら、反応を進行する。この際、反応時間が長くなる場合は、生成されたmPEG-エチルマレイミドが加水分解されてmPEG-エチルマレアミック酸に転換されるため、反応時間の調節が非常に重要であって、また驚くことに、本発明者は、反応過程において、反応器内の反応物を攪拌する場合と、攪拌しない場合、非常に急激な反応速度の差を観察し、攪拌しない場合は、実質的に反応がほとんど進行されないことが分かり、反応中、攪拌を中止して、反応物をサンプリングし、1H-NMRを利用して、分析時間中に別途の反応が進行されることなく分析して、終末点を調節することができた。
mPEG-amide-imide(500MHz 1H-NMR) : (d, 6.37ppm), (d, 6.18ppm)
mPEG-ethylmaleimide : (s, 6.71ppm)
mPEG-ethylmaleamic acid : (d, 6.31ppm), (d, 6.48ppm)
【0032】
含量計算法は下記のようである。
mPEG-ethylmaleimide (500MHz 1H-NMR) : 3.29ppmのメトキシ基の特性ピークの面積(area)を3の基準値として、6.18, 6.32, 6.71ppmの特性ピークの面積(area)を求める。
【0033】
[化学式4]

【0034】
3)終末点が決定された後、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、塩化メチレン、クロロホルムなどの炭化水素やハロゲン化炭化水素から選択される有機溶媒を投入して、水溶液層から有機溶液層に生成物を抽出する。この際、水溶層からmPEG系反応物、中間体、生成物及び副産物が有機溶媒層に抽出されるかは、ポリアクリル酸水溶液を水溶液層に投入してエマルジョン化が起こるかを確認することにより、追加有機溶媒またはメタノールを投入して相分離を促進させる手段を採択したりもする。この際、相分離を促進して抽出効率を増加させる追加溶媒としては、メタノールが最も効率的であるため、これを使用することが好ましい。本発明に使用するポリアクリル酸水溶液は、それを単独使用することより、1,000〜30,000cPの重合体水溶液に塩酸を一部追加してから投入することが、抽出程度がさらに正確に分かるため好ましい。例えば、ポリアクリル酸((Wako, 25%水溶液、8,000 - 12,000cP(30℃)) 5ml + conc. HCl 10ml + H2O 105mlを混合して、30分間振ってから使用することなどがある。
【0035】
4)次いで、分離された有機溶液層に再び水を同一な量追加して水洗して、必要な場合、前記3)段階を繰り返して行うことができる。
【0036】
5)PAAテストを行って、それ以上水層からPEGが検出されないと、層分離を行って、MC層にMgSO46kgを投入して脱水させた後、ろ過して、生成物の溶液を回収する。
【0037】
6)次いで、前記有機溶媒層を濃縮した後、−5〜0℃に予め冷却した後、IPA/ヘプタンを約1:2の容量比で投入し、結晶化する。結晶化溶媒としては、MTBE、IPA、ヘプタンを単独または二種以上の混合液にして使用できる。
【0038】
7)得られた溶媒含有固体(wet cake)にMCを投入して完全に溶解した後、活性炭(Charcoal)を投入して攪拌することにより、エンドトキシン(Endotoxin)の含量(規格:2EU/g、試験法:USP 24 <85> Bacterial Endotoxins Test)を最少化する。目的化合物は、MC溶媒に溶解性がよく、エンドトキシン(Endotoxin)は、活性炭に吸着されて、大部分の目的化合物の回収が可能である。次いで、微細粒子の珪藻土(Celite)が充填されたろ過器を使用してチャコール(charcoal)を除去した後、前記6)の段階を繰り返して結晶化し、ろ過した後乾燥して、最終生成物を得る。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。また、%は、特に言及がない限り、モル%を意味する。
【0040】
(実施例1)
まず、常温で窒素で置換された300L反応器にNaHCO3 5.13kg、D/W 56kgを投入後、反応器の内部温度を0〜1℃に冷却後、分子量5,000のmPEG-NH2 6kgを投入して溶解し、次いでN-メトキシカルボニルマレイミド0.94kgを投入後、50rpmで1時間攪拌して、D/W 52kgをさらに投入した後、1時間間隔でNMRで反応転換率を確認しながら反応を進行する。
【0041】
【表1】

【0042】
4.5時間後、反応完了後、塩化メチレン55Lを投入し、十分攪拌して抽出し、水溶性層に生成物が全部抽出されたかどうかを、PAA(Polyacrylic acid(Wako, 25%, 8,000 - 12,000 cP(30℃)) 5ml + conc. HCl 10ml + H2O 105mlを混合して30分間振って製造する)溶液を水層50mlに0.5mlを投入して、水層のmPEG-Mal(5K)の残留有無を確認した結果、いかなる懸濁も発生しないことから、全ての生成物が塩化メチレンの有機相に抽出されたことを確認した。次いで、分離されたMC層をD/W 55Lで水洗し、水層のエマルジョン化懸濁現象が観察され、分散剤としてメタノール12Lをさらに投入し、完全に層分離を誘導した。次いで、PAAテストを行って、それ以上水層にPEG誘導体が検出されないことを確認し、層分離をして、MC層にMgSO4 6kgを投入して攪拌した後、ろ過する。有機層の全体容量が10Lになるように減圧濃縮した後、-5〜0℃に予め冷却したIPA/ヘプタン(IPA/Heptane)=21kg/41kg溶液に滴加後、攪拌して結晶化した。ろ過して得られた溶媒を含んだ結晶性白色粒子(wet cake)に50LのMCを再び投入して完全に溶解させた後、チャコール(Charcoal) 1kgを投入して30分間攪拌し、エンドトキシン(Endotoxin)の含量を最少化する。珪藻土(Celite)を使用してチャコールを除去した後、全体容量が10Lになるように減圧濃縮した後、IPA/ヘプタン(IPA/Heptane)=21kg/41kg溶液に滴加後、攪拌して結晶化し、ろ過及び乾燥して、最終生成物を取得した。その結果、収率は、95モル%であり、1H-NMR[(500 MHz, CDCl3) : -CH=CH- 6.71 ppm, PEG backbone 3.45~3.8 ppm, -OCH3 3.29 ppm]で生成物を確認して、下記の特性を有する生成物を得ることができた。
エンドトキシン(Endotoxin)(規格:< 2.0EU/g) : 0.25, mPEGエチレンマレイミド(by 1H-NMR) : 87.19%, mPEG-amide-imide(by NMR) : 7.36%, mPEG-maleamic acid(by NMR) : 5.45%.
【0043】
(実施例2)
攪拌速度を50rpmの代わりに80rmpにして、反応時間を2時間にしたことを除いては、実施例1と同様に行って、その結果は、下記のようである。
収率(93モル%), Endotoxin(規格 : < 2.0EU/g) : 0.5
mPEGエチレンマレイミド(by 1H-NMR)(86.7%), mPEG amide-imide(by NMR)( 6.3%), mPEG maleamic acid(by NMR)(7.0%)
【0044】
(実施例3)
攪拌速度を50rpmの代わりに100rmpにして、反応時間を4.5時間にしたことを除いては、実施例1と同様に行って、その結果は、下記のようである。
収率(92モル%), エンドトキシン(Endotoxin)(規格:< 2.0EU/g) : 0.5
mPEGエチレンマレイミド(by 1H-NMR)(82.2%), mPEG amide-imide(by NMR)( 4.1%), mPEG maleamic acid(by NMR)(13.7%)
【0045】
(実施例4)
攪拌速度を50rpmの代わりに150rmpにして、反応時間を6.5時間にしたことを除いては、実施例1と同様に行って、その結果は、下記のようである。
収率(94モル%), エンドトキシン(Endotoxin)(規格:< 2.0EU/g) : 0.25
mPEGエチレンマレイミド(by 1H-NMR)(78.3%), mPEG amide-imide(by NMR)(N.D), mPEG maleamic acid(by NMR)(21.2%)
【産業上の利用可能性】
【0046】
上述のように、本発明による製造方法は、80%以上の純度を有する収率で、即ち、中間体の含量及び副産物の含量をそれぞれ10%以下に維持しながら高純度のmPEG−エチレンマレイミドを製造することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)メトキシポリエチレングリコールエチルアミンとN−メトキシカルボニルマレイミドとを塩基存在下で水溶液内で反応させる段階と、
2)前記反応中に、生成物の終末点をNMR測定方法により決定する段階と、
3)反応終了後、有機溶媒で相分離により生成物を抽出する段階と、
4)抽出された有機溶液相を濃縮した後、再結晶によりメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドを収得する段階と、
を含むメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。
【請求項2】
前記反応温度が、0乃至10℃であることを特徴とする、請求項1に記載のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。
【請求項3】
前記再結晶は、イソプロパノールとヘプタンの混合溶媒を使用して行われることを特徴とする、請求項1に記載のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。
【請求項4】
前記メトキシポリエチレングリコールマレイミドは、純度が80%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。
【請求項5】
前記純度は、NMR方法により、中間体であるmPEG−アミド−イミド(mPEG-amide-imide)の特性ピークの面積(area)と、加水分解の産物であるmPEG-エチルマレアミック酸(mPEG-ethylmaleamic acid)の特性ピークの面積が、メトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの特性ピークの面積に対してそれぞれ10モル%以下となるように反応終末点を決定する方法により得られることを特徴とする、請求項4に記載のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。
【請求項6】
前記再結晶化した生成物から、チャコール(charcoal)を投入してエンドトキシンを除去する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。
【請求項7】
前記チャコールを投入する前に、再結晶化した生成物を塩化メチレンに溶解する段階を有することを特徴とする、請求項6に記載のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。
【請求項8】
前記相分離による抽出時、PAAテストを通じて、追加抽出の必要有無を決定する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。
【請求項9】
前記PAAテストにおいて、追加抽出が必要な場合、メタノールを投入して相分離を促進することを特徴とする、請求項8に記載のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。
【請求項10】
前記NMR測定方法は、中間体であるmPEG−アミド−イミド(mPEG-amide-imide)の特性ピークの面積(area)と、加水分解の産物であるmPEG-エチルマレアミック酸(mPEG-ethylmaleamic acid)の特性ピークの面積(area)が、メトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの特性ピークの面積(area)に対してそれぞれ10モル%以下となるように反応終末点を決定する方法であることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。
【請求項11】
前記メトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドは、分子量が350〜100,000であることを特徴とする、請求項10に記載のメトキシポリエチレングリコールエチルマレイミドの製造方法。

【公表番号】特表2010−533764(P2010−533764A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516910(P2010−516910)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【国際出願番号】PCT/KR2008/001506
【国際公開番号】WO2009/011486
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(510013275)アイディー バイオケム インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ID BIOCHEM, INC.
【住所又は居所原語表記】4F, Yuhan Building, 591−14, Sinsa−dong, Gangnam−gu, Seoul 135−893 Republic of Korea
【Fターム(参考)】