説明

高血糖における急性の増加および/または遊離脂肪酸流の急性の増加の病理効果を処置していくかもしくは防いでいく方法

本発明の1実施形態が、高血糖および/または脂肪酸流増加の病理効果を、このような処置もしくは予防治療の必要にある被験体において処置していくかもしくは予防していく方法に関する。この方法が、治療有効量のROS阻害剤を含有している組成物を、この必要にある被験体に投与していくことに関与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願が、2005年5月24日出願の米国出願第11/136,254号の一部継続出願であり、2004年5月24日出願の米国仮特許出願第60/573,947号に対する利益、および、2004年5月24日出願の米国仮特許出願第60/573,947号からの優先権を請求する。
【0002】
本願が、ある1被験体における高血糖における急性の増加および/または脂肪酸流の急性の増加の病理効果を処置していくかもしくは防いでいくある1方法に関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病と関連した心臓血管合併症が、主要な公衆健康問題である
糖尿病が、米国におけるある1流行病である(Brownlee、<<糖尿病合併症の生化学および分子細胞生物学>>、Nature、414:813〜20(2001);
Nishikawaら、<<ミトコンドリアスーパーオキシド産生の通常化が、高血糖損傷の3経路をブロックする>>、Nature、404:787〜90(2000);Zimmetら、<<糖尿病の流行のグローバルおよび社会的暗示>>、Nature、414:782〜7(2001))。現在、米国における15〜17,000,000人の成人(成人人口の5%)が、I型およびII型糖尿病により影響を受けている(Harrisら、<<米国成人における、糖尿病罹患率、グルコース絶食の障害、および、クルコース寛容の障害。第3回国民健康および栄養審査調査、1988〜1994>>、Diabetes Care、21:518〜24(1998);AD協会、<<2002年における米国における糖尿病経済コスト>>、Diabetes Care、26:917〜932(2003))。2000年までに、糖尿病人口が、もう44%増加すると予期されている(AD協会、<<2002年における米国における糖尿病経済コスト>>、Diabetes Care、26:917〜932(2003))。糖尿病を患っている人々に加え、更なる人数の人々が、糖尿病症候群を表示し、グルコースの障害、および、インシュリン寛容、および、脈管反応性の代替を伴っている。
【0004】
糖尿病の最大のインパクトが、脈管系にある(Caroら、<<米国における2型糖尿病から結果来ている合併症の生涯コスト>>、Diabetes Care、25:476〜81(2002))。糖尿病患者が、心臓、脳、および末梢血管に影響を及ぼしている脈管疾患に関するリスクの増加を持つ(Howardら、<<予防会議VI:糖尿病および心臓血管疾患:書記団I:流行病学>>、Circulation、105:e132〜7(2002))。糖尿病における心臓血管疾患の相対リスクが、年齢の見合ったコントロールよりも、2〜8倍高い(Howardら、<<予防会議VI:糖尿病および心臓血管疾患:書記団I:流行病学>>、Circulation、105:e132〜7(2002))。糖尿病が、米国における年間健康コストにおける180,000,000,000$を計上し、この額の85%が、脈管合併症に帰属可能である(Caroら、<<米国における2型糖尿病から結果来ている合併症の生涯コスト>>、Diabetes Care、25:476〜81(2002))。実際、もし、巨大脈管合併症(発作、卒中、MI、TIA、狭心症)および微小脈管合併症(ネフロパシー、ニューロパシー、レチノパシー、創傷治癒)が一緒に考えられていれば、莫大な糖尿病関連ヘルスケア支出が、ヴァスキュロパシーから結果来る。
【0005】
糖尿病患者がよくない結末を持つ1理由が、補償脈管成長の障害のためである
糖尿病が、虚血現象後の生存率を障害するとの認識が、前世紀に遡り、独立に、ランドマークの2流行病学研究により確かめられてきている(Framingham研究ならびにこの糖尿病コントロールおよび合併症試行)(Garciaら、<<Framingham集団における糖尿病における罹患率および死亡率。16年の追跡研究>>、Diabetes、23:105〜11(1974);TDCaCTRグループ、<<インシュリン依存糖尿病における長期合併症の進展および進行への糖尿病集約処置効果>>、N Engl J Med、329:977〜86(1993))。これらの予定研究が、心筋梗塞後のよくない血糖コントロールと生存率の減少との間の関係を実質化させた。記すことに、これらの試行が、虚血後の罹患率の増加(Kannelら、<<糖尿病および心臓血管危険因子(リスク要因、リスクファクター):Framingham研究>>、Circulation、59:8〜13(1979))に加え、糖尿病患者が、より高い割合の心臓疾患および2次虚血現象のような梗塞後合併症を持つことを実証した(Haffnerら、<<2型糖尿病を患っている被験者における、ならびに、前に心筋梗塞を患っていた、および、患っていなかった非糖尿病被験者における、冠心臓疾患からの死亡率>>、N Engl J Med、339:229〜34(1998);Zuanettiら、<<急性心筋梗塞における死亡率への糖尿病の影響:GISSI−2研究からのデーター>>、J Am Coll Cardiol、22:1788〜94(1993))。これらの不一致が、糖尿病集団における梗塞サイズの増加によらなかったが(Wilson、<<糖尿病および冠心臓疾患>>、Am J Kidney Dis、32:S89〜100(1998))、ある1障害が、糖尿病心筋補償応答において存在したことを示唆している。似た障害が、他の糖尿病組織において記載されてきており、四肢および脳を包含している(Uusitupaら、<<非インシュリン依存糖尿病被験者および非糖尿病被験者における、リポ蛋白組成物における、一般的危険因子(リスク要因、リスクファクター)、インシュリンレベル、および異常に関する粥状硬化脈管疾患の5年罹患率>>、Circulation、82:27〜36(1990);Judeら、<<糖尿病患者および非糖尿病患者における末梢動脈疾患:重篤さおよび結末のある1比較>>、Diabetes Care、24:1433〜7(2001);Tuomilehtoら、<<発作からの死に関するある1危険因子(リスク要因、リスクファクター)としての糖尿病。中年Finnish集団の予定研究>>、Stroke、27:210〜5(1996))。
【0006】
これらの障害が、よく適応していない糖尿病脈管構造から結果来るとの概念(コンセプト)が、臨床および実験両方による裏付けを持つ。血管発生および併存する発達が、心臓分水嶺領域に対する血流を復元させるプロセスであるので、微小脈管構造における通常脈管密度の急速な復元が究極的に、虚血後の患者の結末を決める(Helfantら、<<ヒト冠併存循環の機能面での重要さ>>、N Engl J Med、284:1277〜81(1971);Chilianら、<<微小脈管閉塞が、冠併存成長を促進させる>>、Am J Physiol、258:H1103〜11(1990))。実際、<<治療血管発生>>に関する理論の基礎が、心臓の虚血領域および分水嶺領域における微小脈管ネットワークを強めていくことが、有益であると思われるとの確信である。臨床研究ならびに実験研究が、糖尿病が、虚血煽動脈管発生を障害するとの結論の証拠を与える(Abaciら、<<冠併存血管形成への糖尿病の効果>>、Circulation、99:2239〜42(1999);Tooke、<<糖尿病における微小脈管構造>>、Cardiovasc Res、32:764〜71(1996);Waltenberger、<<糖尿病における併存血管の発達の障害:潜在的な細胞機構および治療の暗示>>、Cardiovasc Res、49:554〜60(2001);Yaromら、<<糖尿病および虚血におけるヒト冠微小血管。自家素材の形態測定研究>>、J Pathol、166:265〜70(1992))。動物研究において、糖尿病動物が、後肢虚血後の脈管密度の減少を実証する(Rivardら、<<アデノVEGFを用いる筋内遺伝子治療による血管発生の糖尿病関連障害からの救助>>、Am J Pathol、154:355〜63(1999);Taniyamaら、<<ラット糖尿病後肢虚血モデルにおけるヒト肝細胞成長因子遺伝子により誘導された治療血管発生:糖尿病における血管発生の遅れの分子機構>>、Circulation、104:2344〜50(2001);Schattemanら、<<血液由来血管芽細胞が、糖尿病マウスにおける血流復元を加速させる>>、J Clin Invest、106:571〜8(2000))。ヒト血管造影研究が、糖尿病患者が、非糖尿病コントロールよりも、少ない併存血管を持つことを実証してきている(Abaciら、<<冠併存血管形成への糖尿病の効果>>、Circulation、99:2239〜42(1999))。更に、冠血管形成術、冠動脈バイパス外科手術、もしくは下肢再脈管発生経由の再脈管発生が、患者バイパス導管存在下にさえ、糖尿病患者において有意に、より低い成功割合を持ち、微小循環レベルでの欠陥の存在を示唆している(Kipら、<<糖尿病患者における冠血管形成術。国家心肺血液研究所経皮管腔横断冠血管形成術登録>>、Circulation、94:1818〜25(1996);Palumboら、<<糖尿病:1945〜1970年におけるミネソタ州ロチェスターにおける、罹患率、生存、および死因>>、Diabetes、25:566〜73(1976);Schwartzら、<<バイパス血管形成術再脈管発生調査(BART)における糖尿病を患っている患者における冠バイパス移植開通>>、Circulation、106:2652〜8(2002);Kipら、<<初期血管形成術もしくはバイパス外科手術後の心筋の危険の増加への糖尿病の影響の差:バイパス血管形成術再脈管発生調査>>、Circulation、105:1914〜20(2002))。
【0007】
【表1−1】

【表1−2】

【0008】
これらの観察の優勢に関わらず、糖尿病における脈管発生の障害に横たわっている機構(機序、メカニズム)が、不明確なままである。VEGF発現の障害が、有意な寄与因子として暗示されてきている(Rivardら、<<アデノVEGFを用いる筋内遺伝子治療による血管発生の糖尿病関連障害からの救助>>、Am J Pathol、154:355〜63(1999);Schratzbergerら、<<VEGF遺伝子導入による実験糖尿病ニューロパシー反転>>、J Clin Invest、107:108392(2001);Aielloら、<<糖尿病脈管合併症における脈管内皮成長因子の役割>>、Kidney Int Suppl、77:S113〜9(2000))。VEGF発現の抑制の機構(機序、メカニズム)の詳細な理解が、虚血現象後の糖尿病の結末を向上させる新しいアプローチに関する有用な枠組みを提供すると思われる。
【0009】
虚血誘導脈管発生が、2機構(機序、メカニズム)により起きる:血管発生および脈管発生
適切な低酸素シグナルカスケードが開始された後、虚血発作に対して応答して補償の脈管成長が、異なる2機構(機序、メカニズム)により起きる(図1)。<<血管発生>>において、成熟滞留内皮細胞が、増殖し、血管発生刺激に対して応答して既存の血管から新しい血管を芽吹く。より最近記載された機構(機序、メカニズム)において<<脈管発生>>とされ、脈管幹細胞(内皮始原細胞、つまり、EPCs)の特徴を有する循環細胞が、虚血現象に対して応答して骨髄から可動化され、次いで、特異的に、虚血脈管床に帰還し、脈管発生に寄与する(Asaharaら、<<血管発生用推定始原内皮細胞の単離>>、Science、275:964〜7(1997);Shiら、<<骨髄由来循環内皮細胞に関する証拠>>、Blood、92:362〜7(1998);Asaharaら、<<生理学的および病理学的脈管発生における生後の脈管発生に応答性の内皮始原細胞の骨髄起源>>、Circ Res、85:221〜8(1999);Isnerら、<<生後の脈管発生に向けての治療戦略としての血管発生および脈管発生>>、J Clin Invest、103:1231〜6(1999);Crosbyら、<<造血起源の内皮細胞が、成血管形成に対する有意な寄与をする>>、Circ Res、87:728〜30(2000);Pelosiら、<<生後の生命における血管芽細胞同定>>、Blood、100:3203〜8(2002))。
【0010】
低酸素誘導可能因子−1(HIF−1)が、引き続いての血管成長を包含して、低酸素応答の中心のメディエーターである
虚血が、血管成長を規制するとの観察が、多くの年の間知られてきていたが、その応答因子が、1992年まで同定を逃れたが、その時、Semenzaおよび同僚が、エリスロポエチン遺伝子アップレギュレーションを媒介するある1低酸素応答転写因子(HIF−1)を記述した(Semenzaら、<<de Novo蛋白合成経由で低酸素により誘導されたある1核(内)因子が、転写活性化に必要とされたある1部位において、ヒトエリスロポエチン遺伝子エンハンサーに結合する>>、Mol Cell Biol、12:5447〜54(1992);Semenzaら、<<複数の低酸素誘導可能核(内)因子が、ヒトエリスロポエチン遺伝子に対して3’に位置されたある1エンハンサーエレメントに結合する>>、Proc Natl Acad Sci USA、88:5680〜4(1991))。HIF−1が、全後生動物門において保存された新しき転写因子であると証明されたが、普遍的に、このように遠くまで審査された全細胞において存在している(Carmelietら、<<単一VEGF対立遺伝子を欠いている胚における異常な血管の発達および致死率>>、Nature、380:435〜9(1996))。血管発生におけるその関与に関する証拠が、VEGFが強く、低酸素条件によりアップレギュレーションされたとの当初の観察から出てきた(Shweikiら、<<低酸素により誘導された脈管内皮成長因子が、低酸素開始血管発生を媒介することがある>>、Nature、359:843〜5(1992))。このすぐ後、HIF−1が、低酸素および低血糖によるVEGFアップレギュレーションに応答性の転写因子であると示された(Forsytheら、<<低酸素誘導可能因子1による脈管内皮成長因子遺伝子転写活性化>>、Mol Cell Biol、16:4604〜13(1996))。今、HIF規制VEGF発現が、胚発生、ならびに、生理学的状態および病理学的状態における生後の脈管発生両方の間、脈管の発達に必須であることが、明らかである(Carmelietら、<<単一VEGF対立遺伝子を欠いている胚における異常な血管の発達および致死率>>、Nature、380:435〜9(1996);Carmelietら、<<単一VEGF対立遺伝子を欠いている胚における異常な血管の発達および致死率>>、Nature、380:435〜9(1996);Iyerら、<<低酸素誘導可能因子1αによるO2恒常性の細胞および発達コントロール>>、Genes Dev、12:149〜62(1998))。HIF−1が、酸素規制HIF−1αサブユニットおよびHIF−1βサブユニットからなり、後者が、酸素により規制されていない。HIF−1が今、血管発生、脈管発生、造血、および糖代謝を包含して、虚血に対する適応に必須の経路をアップレギュレーションしていくことにより、低酸素に対する生理学的応答に関している真の転写因子であると信じられている(図2)。
【0011】
HIF−1α転写活性化規制
HIF−1転写複合体が、HIF−1α/β、および、遺伝子転写を調節する他の7より多い因子から構成されている。この複合体の優位な2機能成分が、HIF−1αおよびCBP/p300であり、直接相互作用し、遺伝子発現を跨って活性化させる。HIF−1α機能が優位に、蛋白安定化および翻訳後修飾経由で酸素により規制を受けている。最近の報告が、HIF−1αが、in vitroにおいて燐酸化により活性化されており、HIF媒介遺伝子発現を高めていることを実証する(Richardら、<<p42/p44マイトジェン活性化蛋白キナーゼが、低酸素誘導可能因子1α(HIF−1α)を燐酸化し、HIF−1転写活性を高める>>、J Biol Chem、274:32631〜7(1999))。この修飾が結果的に、HIF−1α自体の跨った活性化機能の直接刺激を与え、同時活性化剤の動員を容易化させるかどうか明らかでない(Richardら、<<p42/p44マイトジェン活性化蛋白キナーゼが、低酸素誘導可能因子1α(HIF−1α)を燐酸化し、HIF−1転写活性を高める>>、J Biol Chem、274:32631〜7(1999);Sangら、<<シグナルが、p300へのその効果により、低酸素誘導可能因子活性をアップレギュレーションさせる>>、J Biol Chem、278:14013〜9(2003))。
【0012】
最近、CBP/p300も、in vitroにおいて燐酸化することも、実証されてきており、HIF−1αと関連してある1転写活性化剤として機能できるその能力を高めている(Sangら、<<シグナルが、p300へのその効果により、低酸素誘導可能因子活性をアップレギュレーションさせる>>、J Biol Chem、278:14013〜9(2003))。これゆえ、これらの2因子の燐酸化を促進させる細胞状態が、低酸素誘導遺伝子発現を増加させるようである一方、脱燐酸化を好む細胞状態が、反対の効果を持つ。HIF−1媒介遺伝子発現が、血管発生および脈管発生両方に必須であるが、糖尿病状態におけるその規制の役割が以前に、審査されていない。
【0013】
血管発生および脈管発生両方が、VEGFにより調節されている
血管発生が、VEGFにより媒介されていることが、よく知られており、この機構(機序、メカニズム)が、よく研究されてきている(Ferraraら、<<VEGFおよびこの受容体の生物学>>、Nat Med、9:669〜76(2003))。最近、VEGFが、脈管発生規制においても、暗示されてきている(図2)。虚血が、骨髄からの内皮始原細胞を潜在的に可動化させている。これが、VEGFシグナルを通り媒介されているよう見え、同時に、EPCsが、この細胞表面上でVEGF受容体1および2両方を発現する(Asaharaら、<<VEGFが、骨髄由来内皮始原細胞を可動化させていくことにより、生後の脈管発生に寄与する>>、Embo J、18:3964〜72(1999);Takahashiら、<<脈管発生に向けた骨髄由来内皮始原細胞の虚血およびサイトカイン誘導可動化>>、Nat Med、5:434〜8(1999);Kalkaら、<<脈管内皮成長因子(165)遺伝子導入が、ヒト被験者において内皮始原細胞を循環させているのを強める>>、Circ Res、86:1198〜202(2000);Gillら、<<脈管外傷が、VEGFR2(+)AC133(+)内皮始原細胞の急速だが一時的な可動化を誘導する>>、Circ Res、88:167〜74(2001);Hattoriら、<<脈管内皮成長因子およびアンジオポエチン−1が、脈管原性およびヘマトポエチン幹細胞動員による生後の造血を刺激する>>、J Exp Med、193:1005〜14(2001))。VEGF産生が、糖尿病において障害されているとすれば、種々の態様の脈管発生も、EPC可動化を包含して、障害されていることが、あるようである。実際、最近の証拠が、血管中へのこれらの脈管始原細胞の取り込みが、糖尿病状態において減っていることを実証してきている。
【0014】
VEGF発現が、組織特異的な様式で規制されていることがある
糖尿病患者における種々の組織および臓器が、異なる病理を呈することも、明らかである。網膜がしばしば、過剰な血管発生により特徴付けられている一方、糖尿病患者における、皮膚、筋肉、および神経が、少しの新しい血管形成を患う。同様に、糖尿病網膜症が、眼のVEGFのレベルの増加により特徴付けられてきている(Aielloら、<<糖尿病網膜症および他の網膜疾患を患っている患者の眼の流動体における脈管内皮成長因子>>、N Engl J Med、331:1480〜7(1994);Adamisら、<<増殖糖尿病網膜症を患っている目の硝子体における脈管内皮成長因子レベルの増加>>、Am J Ophthalmol、118:445〜50(1994))一方、創傷治癒の障害が、VEGFのレベルの重篤な減少により特徴付けられてきている(Frankら、<<培養ケラチノサイトにおける脈管内皮成長因子発現規制。通常および障害創傷治癒に関する暗示>>、J Biol Chem、270:12607〜13(1995);Petersら、<<胚発生および組織修復間の脈管内皮成長因子受容体発現が、内皮の分化および血管の成長における役割を示唆する>>、Proc Natl Acad Sci USA、90:8915〜9(1993);Silhi,N.、<<糖尿病および創傷治癒>>、J Wound Care、7:47〜51(1998);Brown,L.F.、<<創傷治癒の間の表皮ケラチノサイトによる脈管浸透因子(脈管内皮成長因子)発現>>、J Exp Med、176:1375〜9(1992);Nissenら、<<脈管内皮成長因子が、創傷治癒増殖相間、血管発生活性を媒介する>>、Am J Pathol、152:1445〜52(1998))。このいわゆる<<糖尿病パラドックス>>が、これにより糖尿病表現型が、過剰なおよび障害された新しい血管形成両方を異なる組織において呈するが、異なるタイプの合併症に至る。この現象が、VEGFの転写規制における細胞および組織特異的な違いを提示すると信じられている。
【0015】
高血糖が結果的に、反応性酸素種過剰産生を通る細胞機能の特定の傷害を与える:VEGFに対する潜在的結合
低酸素誘導VEGFおよびSDF−1発現の障害を考慮する細胞機構(機序、メカニズム)がまだ、決定されていない。最近、高血糖誘導細胞損傷(ダメージ)に関する生化学的基準が記載されたが、高グルコースの効果の多くが、特定の4細胞経路を通り、媒介されていることを実証している(図3、Brownlee、<<糖尿病合併症の生化学および分子細胞生物学>>、Nature、414:813〜20(2001);Nishikawaら、<<ミトコンドリアスーパーオキシド産生の通常化が、高血糖損傷の3経路をブロックする>>、Nature、404:787〜90(2000))。グルコースにおける細胞内上昇が、解糖およびクレブス回路を通る代謝物流を増加させ、結果的に、ミトコンドリアによるROS過剰産生を与えている。ROS過剰産生が、GAPDH活性を阻害し、結果的に、解糖初期相における早いグルコース代謝物蓄積を与えている。これらの代謝物の潤沢さ、および、解糖を通り進めないそれらが、グルコース利用の代わりの経路中へのこれらの中間体の短絡化を引き起こす(ポリオール経路、ヘキソサミン経路、蛋白キナーゼC経路、およびAGE経路、図3)。これらの経路の各々における末端生成物の蓄積が、細胞機能における特定の変化に至り、遺伝子発現を包含しており(Nissenら、<<脈管内皮成長因子が、創傷治癒増殖相間、血管発生活性を媒介する>>、Am J Pathol、152:1445〜52(1998))、糖尿病合併症病理生理学において暗示されている(Brownlee、<<糖尿病合併症の生化学および分子細胞生物学>>、Nature、414:813〜20(2001))。実際、これらの経路のうちの、1、幾つか、もしくは全ての特異的ブロックが、ある1動物モデルにおける糖尿病合併症を防ぐと示されてきており、虚血傷害から結果来るこれらの合併症を包含している(Hammesら、<<ベンフォチアミンが、高血糖損傷の主要な3経路をブロックし、実験糖尿病網膜症を防ぐ>>、Nat Med、9:294〜9(2003);Obrosovaら、<<アルドース還元酵素阻害剤フィダレスタットが、ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおける網膜酸化ストレスおよび脈管内皮成長因子過剰発現を防ぐ>>、Diabetes、52:864〜71(2003))。
【0016】
高血糖誘導反応性酸素種が、虚血設定における脈管発生に必要とされているVEGFおよびケモカインたるSDF−1の適切なアップレギュレーションを媒介できるHIF−1αの能力をも、障害する。この障害が、脈管エフェクター細胞の低酸素に特異的な機能にも、影響を及ぼす。これが結果的に、糖尿病状態における、血管発生の障害、脈管発生、および、組織生存率の消失を与える。遊離脂肪酸流の増加が、同一機構(機序、メカニズム)によりROSを増加させると示されてきている(Duら、<<インシュリン耐性が、脂肪酸酸化誘導スーパーオキシド産生を増加させていくことにより、動脈内皮における原粥腫原性変化を引き起こす>>、J.Clin.Invest.印刷中)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明が、ある1被験体における急性の高血糖および/または脂肪酸流の増加の病理学的後遺症を処置していくかもしくは防いでいくことに関し、こうして、代謝物誘導反応性酸素種媒介傷害を防いでいく。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の1態様が、非糖尿病被験体、代謝症候群(メタボリックシンドローム)/インシュリン耐性被験体、障害グルコース絶食被験体、障害グルコース寛容被験体、および糖尿病被験体における急性の高血糖および/または脂肪酸流の増加の病理学的後遺症を処置していくかもしくは防いでいくある1方法に関する。この方法が、該被験体における急性の高血糖および/または脂肪酸流の増加の病理学的後遺症を処置するかもしくは防ぐに有効な条件下に該被験体にある1ROS阻害剤を投与していくことに関与する。
【0019】
本発明の別のある1態様が、高血糖もしくは脂肪酸流の増加に腹臥の被験体における脈管発生を促進させていくある1方法に関する。この方法が、該被験体における脈管発生を促進させるに有効な条件下に該被験体にある1ROS阻害剤を投与していくことに関与する。
【0020】
本発明の更なるある1態様が、ある1被験体における遊離脂肪酸酸化もしくは過剰放出を阻害していくある1方法に関する。この方法が、該被験体における遊離脂肪酸過剰放出を阻害するに有効な条件下にある特定化合物を該被験体に投与していくことに関与する。これらの化合物が、チアゾリジンジオン、ニコチン酸、エトモキシル、およびラノラジンを包含する。
【0021】
本発明の更なるある1態様が、ROS媒介傷害処置もしくは予防に適した化合物を同定していく方法に関する。この方法が、ある1糖尿病動物モデルを与え、糖尿病を該動物モデルにおいて誘導していくことに関与する。テストされるべきある1化合物が次いで、該動物モデルに投与されている。該動物モデルにおける、局所酸素圧、血流、血管密度増加、および組織生存率の快復を達成する化合物が、ROS媒介傷害を処置していくかもしくは防いでいくための治療候補として次いで、回収されている。
【0022】
本発明が、グルコースおよび脂肪酸代謝疾患を有する患者における虚血に対する応答における血管発生不足を復元させていくある1手段を提供する。これが急激に、下肢切断割合を低減させ、心臓発作および卒中による心臓および脳損傷(ダメージ)の程度を低減させると思われる。加えて、結果的に、現在、利用できる有効な医療処置の全くない主要なある1臨床問題たる難治糖尿病足潰瘍の治癒を与えると思われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の1態様が、非糖尿病被験体、代謝症候群(メタボリックシンドローム)/インシュリン耐性被験体、障害グルコース絶食被験体、障害グルコース寛容被験体、および糖尿病被験体における高血糖における急性の増加および/または脂肪酸流の急性の増加の病理効果を処置していくかもしくは防いでいく方法に関する。この方法が、該被験体における高血糖における急性の増加および/または脂肪酸流の急性の増加の病理効果を処置するかもしくは防ぐに有効な条件下に該被験体にある1ROS阻害剤を投与していくことに関与する。
【0024】
上記したとおり、本発明のこの態様において、これら請求された方法が、非糖尿病被験体、代謝症候群(メタボリックシンドローム)/インシュリン耐性被験体、障害グルコース絶食被験体、障害グルコース寛容被験体、および糖尿病被験体に適用され得る。各々の場合(各ケース)において、該被験体が、ベースラインレベルの高血糖および/または脂肪酸流を持つ。本発明が、そのベースラインレベルの高血糖および/または脂肪酸流が、急速で相対的に短期の(つまり、急性)増加をする被験体における病状の予防もしくは処置に関している。
【0025】
高血糖における急性の増加および/または脂肪酸流の急性の増加が起きる被験体が、以降の病状:
網膜における糖尿病特異的微小脈管病理(つまり、糖尿病網膜症)、腎臓糸球体(つまり、糖尿病ニューロパシー)、末梢神経(つまり、糖尿病ニューロパシー)、心臓、脳、および下肢を賄う動脈に影響を及ぼしている加速粥状(アテローム)巨大脈管疾患(つまり、糖尿病巨大脈管疾患)、あるいは、単なる脂肪症から、脂肪肝炎(<<NASH>>)、線維化、および肝硬変までの範囲である広いスペクトルの肝傷害を包含する非アルコール脂肪肝疾患(<<NAFLD>>)
のいずれかを患っていることがある。高血糖における急性の増加および/または脂肪酸流の急性の増加の病理効果も、防がれるか、もしくは、処置されていることがあり、該被験体が、決定的なケアの病気、急性心筋梗塞、急性発作を持つ場合であり、もしくは、動脈バイパスもしくは一般的な外科手術を受けてきている被験体である。
【0026】
高血糖における急性の増加および/または脂肪酸流の急性の増加が、骨髄からの、脈管内皮細胞前駆体の可動化を障害する。これが、骨髄からの、脈管内皮細胞前駆体の可動化を障害している形を採ることがあり、脈管内皮成長因子および/またはROS媒介障害の、HIF−1αおよびSDF−1媒介アップレギュレーションを障害しており、脈管発生を阻害する。前記被験体が、ある1虚血病状をも、持ち得、冠状動脈疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患、非治癒足潰瘍、もしくは創傷(急性もしくは慢性)を包含する。
【0027】
高血糖もしくは脂肪酸流の増加によるROS発生が、ミトコンドリアにおいて起きる。最もよくあるROSが、過酸化水素(H22)、ヒドロキシルラジカル(OH.)、脂質過酸化ラジカル(LOO.)、および過酸化亜硝酸(ONOO-)である。
【0028】
22が相対的に、安定であり、膜を通り拡散し得る。殆どの細胞において、H22が、酵素による還元により、H2OおよびO2に解毒されている。ミトコンドリアにおいて、酵素たるグルタチオン過酸化酵素(ペルオキシダーゼ)が第1に、この反応に応答性である。細胞質およびペルオキシゾームにおいて、グルタチオン過酸化酵素(ペルオキシダーゼ)および酵素たるカタラーゼ両方が、この反応を媒介する。しかしながら、鉄のような遊離d−ブロック遷移金属存在下に、当該金属の酸化形態が、スーパーオキシドと反応すると考えられており、当該金属の酸化形態および分子酸素を(O2)を生成させている。この還元された金属が次いで、H22と反応し、当初の酸化された金属、ヒドロキシルイオン(OH+)、およびヒドロキシルラジカル(OH.)を再生させる。しかしながら、この化学が尚、理解されていることから遠いことを記すことが、重要である。
【0029】
鉄および他のd−ブロックの遷移金属が、フリーラジカル触媒として機能し得ることが、よく知られており、潜在的に、ヒドロキシルラジカルのような毒性種を発生させている。遷移金属が、周期表における大きなブロックの元素であり、IB、IIB、IIIB等のようなBを伴って終わっている族指定番号を持つ。これらが、該表の心臓において位置された4列の10元素である。これらが、仕上げの電子が、そのd軌道に入る元素でも、ある(いわゆる、d−ブロック金属)。全ての第1列のd−ブロック金属が、亜鉛を除き、不対電子を持ち(Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、およびCu)、スピン拘束を除去し、次いで、フリーラジカル触媒において機能するのを可能とし、酵素活性部位において結合した元素として、および、溶液中において遊離して、両方である。
【0030】
鉄が、多くの化学研究の焦点であってきているのは、この化学が最初に、H.J.H.Fentonにより1876年実証されたからであり、キレート化されなかったFe2+/H22混合物を水溶液中において使用している。鉄(II)と鉄(III)との組み合わせの間で区別するに当たり、従来は、Fe3+/H22混合物に関してFenton様試薬を使用し、Fenton試薬の使用をFe2+/H22を記すのに制限することである。Fenton様試薬が、有機基質を酸化していくことも、可能であるが、やや、Fenton試薬よりも、反応性でない。鉄(III)が、Fenton試薬の適用において生成され得るので、Fentonの化学およびFenton様の化学がしばしば同時に、起きる。
【0031】
Fenton試薬の化学が尚、充分理解されていることから遠く、Fenton様試薬の化学が更に、よりよく理解されていない。数多くの反応機構(機序、メカニズム)が、OH.およびOOH.ラジカルならびに高価数イオン種のような異なる活性中間体に基づいたFenton試薬の化学に関して提案されてきている。HaberおよびWeissのOH.ラジカル機構(機序、メカニズム。引用)が恐らく、Fenton反応に関する最もポピュラーな候補である:
Fe2++H22→Fe3++OH-+OH
【0032】
ポピュラーな代わりの機構(機序、メカニズム)のある1候補が、BrayおよびGorinにより最初に示唆されたものであり(引用)、ここにおいて、第3鉄イオンたる[FeIVO]2+が、活性中間体であると考えられている:
Fe2++H22→[FeIVO]2++H2
【0033】
過酸化水素を還元していくのに加え、第1鉄イオンが、アルキルヒドロ過酸化物とも、反応し得、アルコキシルラジカルを生成させる。これらのアルコキシルラジカルが次いで、フリーラジカルチェーンリアクションによる多不飽和脂質の酸化を開始させ得る(引用)。
【0034】
数多くの生化学テキストブックにおけるその出現にかかわらず、Fentonの化学の生物学的意義が、多くのフリーラジカル化学者により問われてきているのは一部、還元された複数の金属およびこれらの錯体の、H22との反応に関する速度定数が、急速でなく、それらのin vivoにおける金属リガンドが、未知であるからである(引用)。しかしながら、最近、HCO3-およびCO2が大きく、Mn2+および他の遷移金属によるH22還元速度を加速させることが、示されてきている(引用)。恐らく、多くの提案された機構(機序、メカニズム)が互いと、複雑な予言不可能なやり方で競合し、これら金属リガンド、これらの価数、溶媒、pH、および、酸化されるべき有機基質のような反応条件に依っている(引用)。
【0035】
ROS阻害剤が、αリポ酸、スーパーオキシド不均化酵素(ジスムターゼ)模倣体、もしくはカタラーゼ模倣体たり得る。該スーパーオキシド不均化酵素(ジスムターゼ)模倣体もしくは該カタラーゼ模倣体が、MnTBAP(Mn(III)テトラキス(4−安息香酸)ポルフィリンクロリド)(Calbiochemにより生産された)、ZnTBAP(Zn(III)テトラキス(4−安息香酸)ポルフィリンクロリド)、SC−55858[マンガン(II)ジクロロ(2R,3R,8R,9R−ビス−シクロヘキサノ−1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカン)]、Euk−134(3,3’−メトキシサレンMn(III))(Eukarionにより生産された)たり得る。
【0036】
あるいは、ROS阻害剤が、ある1鉄キレート剤、または、複数の鉄キレート剤の混合物を含んでいる組成物たり得る。キレート剤が、小分子であり、非常にタイトに、金属イオンに結合する。全てのキレート剤により分かち合われた鍵となる特性が、当該キレート剤に結合した金属イオンの反応性が大きく、抑えられているが、ある幾つかの場合において、および、ある特定条件下に、キレート剤−金属錯体自体が、反応性酸素フリーラジカルを発生し得ることである。臨床的に有用なキレート剤が、鉄のようなd−ブロックの1遷移金属に高度に特異的でなくてはならない。非特異的であるキレート剤が高度に、毒性である。
【0037】
ある1キレート剤の基礎特性が、その閉環要員としてある1金属鉄を有する複素(ヘテロ)環状環構造を形成させる能力を持っていることにある。該キレート剤が、該金属鉄との結合形成用の1対の電子を供与し得る原子を有する2以上の官能基(リガンド)を保有しなければならない。供与原子が通常、N、O、およびSであり:−COOH、OH(フェノール性、エノール性)のようなある1酸性基、−SH、−NH=O、−NOHの要員としても、機能し得、この場合において、そのプロトンが、その金属イオンにより取り替えられているか、または、−C=O、−NH2、−O−R、−OH(アルコール性)、−S−−チオエーテルのような電子供与体(ルイス塩基)の不対電子(ローンペア)としてであり、Current Medicinal Chemistry、2004、11、2161〜2183において記載されたとおりであり、この全体において、本明細書において、援用されている。
【0038】
理想的に、ある1キレート剤に対する鉄のタイトな結合が完全に、ある1フリーラジカル触媒として機能できるその能力を阻害するはずである。鉄キレート剤が、分類されており、鉄との結合の化学量論に従っている。鉄イオンが、6電気化学的配位部位を持つ。これゆえ、ある1キレート剤分子が、全6部位に1:1の比で結合し、<<6座>>と呼ばれている。ある1キレート剤分子が、これら6部位のうちの2部位だけに結合し、<<2座>>と呼ばれており、キレート剤分子が、これら6部位のうちの3部位に結合し、<<3座>>と呼ばれている。理論では、3分子の2座キレート剤が、1分子の6座キレート剤と同じく完全に、遊離鉄の反応性を抑えるはずである。しかしながら、2座鉄キレート剤を用いると、フリーラジカル触媒一部還元生成物の形成がしばしば、起きる。実際には、これが、化学的大過剰のこのようなキレート剤が、これらの反応性のキレート剤−鉄錯体の形成を避けるために必要とされていることを意味する。
【0039】
鉄キレート剤が、分類され得、その起源(合成 対 生物学的に産生された分子)、水のような溶媒とのその相互作用(疎水性 対 親水性)、あるいはその化学量論相互作用(2座 対 6座)のような数多くの基準(クライテリア)を使用している。
【0040】
有効なある1鉄キレート剤の一般的な構造が、通則的な構造たるR−L−C−Mおよびこれらの全ての組み合わせを含む。
【0041】
例えば、Cが、選択的鉄結合親和性(アフィニティー)および結合力により特徴付けられた、2、3、もしくは6座の鉄キレート化部分を表し得、Current Medicinal Chemistry、2004、11、2161〜2183において記載されたとおりである。組み合わせたるC−Mが、2官能基薬剤構造を表し得、ある1マスク基Mに結合したある1鉄キレート化部分Cを含有しており、電子供与原子たり得ると思われる。細胞内ヒドロキシルラジカルOH.が、Mの電子により抑えられ得、MをCから開裂させ、一旦マスクを外されたら、遊離鉄イオンと結合し得る。
【0042】
組み合わせたるR−Cが、骨格のある1側鎖Rに結合した鉄キレート化部分たるCを表し得、式中、Rが、H、線状脂肪族鎖構造、あるいは、芳香族、脂肪族、および/または複素芳香環を包含している脂肪族鎖たり得る。キレート剤の相対潜在力が、当該分子の親水性に関連されているよう見えるので、Rの化学構造が、標的細胞および/または標的細胞区画(コンパートメント)におけるこれらキレート剤の浸透を容易化させたり、または、障害させたりし得る。仕上げに、組み合わせたるR−L−Cが、ある1リンカーLを通してある1側鎖Rに結合した鉄キレート化部分たるCを表し得る。リンカーたるLが、急速な細胞取り込みを容易化させ、Cの細胞からの退出を遅らせ得、J.Am.Chem.Soc.2002、124、12666〜12667において記載されたとおりであり、この全体において、本明細書において、援用されている。例えば、R−L−Cが、ある1原親水性薬剤(プロドラッグ)を表し得る。Lが、ある1エステル結合たり得、Rが、ある1エステル部分、Cが、ある1鉄キレート化部分たり得る。当該細胞における進入時、R−L−Cが、エステラーゼにより媒介された親油性部分たるRの加水分解時、高度に、親水性に転じ得る。こうして、Lが、加水分解されており、Rが、化学的に、当該分子から取り外されており、このより親水性のCが、当該細胞内側で保持されており、ここで、そのキレート化機能を果たし得る。
【0043】
他の一般的な構造の有効な鉄キレート剤が、米国特許第6,465,504号明細書において記載された式1の3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールのファミリーを含み、この全体において、本明細書において、援用されている。
【0044】
これら鉄キレート剤のうち、デフェロキサミン、つまり、DFOが、最も重要であることがあるのは、サラセミアにおける鉄過剰の処置用に、FDAにより認可されているからである。
【0045】
デフェロキサミンが、用いられている場合、患者(例えば、急性心筋梗塞を患っている患者)が、1,000〜10,000mgのデフェロキサミンの筋内注射、または、100〜10,000mgのデフェロキサミンの静脈内注射を用いて処置され得る。このような患者が、100〜10,000mg/リットル(L)の濃度のデフェロキサミンでの液体形態におけるデフェロキサミン静脈内注射により、発症24時間内で処置され得る。デフェロキサミンが、DFP、ICL−670、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤、ならびに、高血糖誘導ROS産生を防ぐグルカゴン様ペプチド−1断片、例えば、GLP−1(9〜36アミド)およびGLP−1(9〜37)と一緒でも、投与され得る。あるいは、デフェロキサミンが、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤と一緒に、投与され得、ニコチンアミド、3−アミノベンズアミド、PJ34、(N−(6−オキソ−5,6−ジヒドロ−フェナントリジン−2−イル)−N,N−ジメチルアセタミド)、およびこれらの混合物を包含しているが、これらに限られなかった。
【0046】
デフェロキサミンが、鉄過剰負荷状況における患者のための救命処置を提供し得る一方、数多くのデフェロキサミン誘導体も、用いられ得る。DFOの、脂肪族、芳香族、琥珀酸、およびメチルスルホン酸類似体が、合成されてきているが、DFOの親油性を高める(Ihnatら、<<デフェロキサミンアミドの溶液平衡>>、J.Pharm Sci.91:1733〜1741(2002)、この全体において、本明細書において、援用されている)。特に、これらの誘導体が、ホルムアミドデフェロキサミン、アセタミドデフェロキサミン、プロピルアミドデフェロキサミン、ブチルアミドデフェロキサミン、ベンゾイルアミドデフェロキサミン、スクシンアミドデフェロキサミン、およびメチルスルホンアミドデフェロキサミンを包含する。ヒドロキシルエチル澱粉(スターチ、HES)デフェロキサミンが、合成されてきており、デフェロキサミンよりも、長い血漿半減寿命を持つと示された(Pedchenkoら、<<デスフェリオキサミンが、SJLマウスにおけるMBPにより誘導された実験アレルギー脳脊髄炎を抑える>>、J.Neuroimmunol.84:188〜197(1998)、この全体において、本明細書において、援用されている)。ある1アミノオキシアセチルフェリオキサミンも、調製されてきており、抗体に対する部位特異的共役を求めている(Pochonら、<<抗体に対する部位特異的共役を求めるChelonたるデスフェリオキサミンの新しきある1誘導体>>、Int.J.Cancer.43:1188〜1194(1989)、この全体において、本明細書において、援用されている)。蛍光デフェロキサミン誘導体も、合成されてきており、ある範囲の生物学実験条件における遊離鉄測定用である(Al−Mehdiら、<<In situにおける肺内皮剪断ストレスにおける剥離抑制を伴う脱分極関連鉄放出>>、Antioxid.Redox Signal.2:335〜345(2000)、この全体において、本明細書において、援用されている)。
【0047】
他の適切な鉄キレート剤が、表2において説明されたものも、包含する:
【0048】
【表2−1】

【表2−2】

【0049】
HEBEDが、ある1種の合成キレート剤であり、DFOよりも、高い効率を持ち、より少ない悪影響を持つよう見える。しかしながら、霊長類研究において尚、皮下点滴により投与されていなくてはならなかった(Chastonら、<<鉄過剰負荷疾患処置用鉄キレート剤:構造、酸化還元(レドックス、Redox)活性、および毒性間の関係>>、Am J Hematol.73:200〜210(2003)、この全体において、本明細書において、援用されている)。
【0050】
PIHが、ある1種の経口で活性な3座キレート剤であり、DFOよりも、遙かによく膜を横断する。PCIH(つまり、2−ピリジルカルボキシアルデヒドイソニコチノイルヒドラゾン類似体)化合物(表2において、示されていない)が実質的に、PIHに似ている。この分類(クラス)のキレート剤も、ミトコンドリア鉄プールに近づき得、稀な遺伝子疾患たるFriedrich失調(ミトコンドリア鉄−硫黄複合体シャペロンたるフラタキシンにおける突然変異により引き起こされた)用の潜在的な薬剤としている。
【0051】
HBEDのように、DFTおよびGT56−252両方が、第2世代のヒドロキシピリドンであり、前臨床もしくはフェーズI試行にある。
【0052】
DFP、つまり、デフェリポンが、商品名Ferriproxの下に、欧州において、臨床使用に関して、承認されている。これが、ある1種の2座キレート剤であり、経口投与されている。しかしながら、この薬剤の効率および毒性が尚、反対に遭っている。DFOおよびDFPの使用の組み合わせが、提案されてきている。
【0053】
S−DFOが、ある1種のスターチ結合DFO誘導体であり、静脈内投与後、より長い半減寿命を持つ。
【0054】
ICL−670が現在、フェーズIII試行にあるトリアゾールファミリーのある1種の3座キレート剤である。経口利用可能であり、1日1回投与されている(Hershko,C.ら、Blood、97:1115〜1122(2001)、この全体において、本明細書において、援用されている)。
【0055】
別のある1分類(クラス)の鉄キレート剤が、生体模倣の分類である(Meijler,MMら、<<マスクされた親水性部分を有する鉄キレート剤の合成および評価>>、J.Amer.Chem.Soc.124:1266〜1267(2002)、この全体において、本明細書において、援用されている)。これらの分子が、DFOおよびフェリクロームとしてのこのように天然に産出されたキレート剤の修飾類似体(アナログ)である。これら類似体(アナログ)が、親油性部分の取り付けを可能とし(例えば、アセトキシメチルエステル)、大きく、膜通過を高める。これら親油性部分が次いで細胞内で、内因性エステラーゼにより開裂されており、当該細胞から漏れ出得ない親水性分子へとこれらキレート剤を戻して変換していく。これらの化合物が、高度に有効であるよう見え、DFOよりも、遙かに効率的に、遊離鉄媒介酸化損傷(ダメージ)を抑える。
【0056】
最後に、数多くの化合物が、進んだ糖化末端製品(AGE)形成および/または分解阻害剤として開発され、動物糖尿病合併症モデルにおいてテストされたが、キレート化経由で作用するよう見える(Price,DLら、JBC、276:48967〜72(2001)、この全体において、本明細書において、援用されている)。これらが(最弱から最強銅キレート化に向かう順で):アミノグアニジンおよびピリドキサミン;カルノシン、フェナジンジアミン、OPB−9195、およびテニルセタムを包含する。いわゆるAGEブレーカーたる、フェナシルチアゾルムおよび臭化フェナシルジメチルチアゾリウム、ならびにこれらの加水分解産物が、アスコルビン酸の銅触媒自動酸化の最も潜在的な阻害剤の間にあった。アミノグアニジンが、フェーズII/III試行を通ってきており、ピリドキサミンが、フェーズII試行を通ってきており、これらAGEブレーカーが現在、フェーズII試行にある。
【0057】
これら阻害剤が、経口、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、点眼により、眼内、鼻内、動脈内、病巣内、あるいは、鼻、喉、および気管のもののような粘膜に対する適用により、投与され得る。これら阻害剤が、単独、あるいは、医薬として許容可能な塩、担体、賦形剤、もしくは安定剤と共に、投与され得、固体もしくは液体の形であり得、例えば、錠剤(タブレット)、カプセル、粉体、溶液、懸濁、もしくはエマルションを包含している。
【0058】
これら固体単位(ユニット)用量形態が、従来型(タイプ)のものであり得る。該固体形態が、カプセルたり得、本発明の阻害剤、および、担体、例えば、潤滑剤、および、ラクトース、スクロース、もしくはコーンスターチのような不活性充填剤(フィラー)を含有している普通のゼラチンタイプのようなものである。別のある1実施形態において、これら阻害剤が、アカシア、コーンスターチ、もしくはゼラチンのようなバインダー、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、もしくはアルギン酸のような崩壊剤、および、ステアリン酸もしくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤と組み合わせて、ラクトース、スクロース、もしくはコーンスターチのような従来の錠剤(タブレット)ベースを用いて錠剤(タブレット)化されている。
【0059】
別のある1態様において、本発明の阻害剤が、例えば、ある1不活性稀釈剤と共に、もしくは、ある1食物同化担体と共に、経口投与されていてよく、または、硬いかもしくは柔らかい殻のカプセル中において閉じ込められていてよく、または、錠剤(タブレット)中に圧縮されていてよく、または、ダイエット食品と共に、直接、取り込まれていてよい。経口治療投与用に、本発明の阻害剤が、賦形剤と共に、取り込まれていてよく、錠剤(タブレット)、カプセル、エリキシル、懸濁、シロップ、および同様のものの形で使用されていてよい。1態様において、このような製剤が、本発明の阻害剤の少なくとも0.1%を含有するべきである。本発明の製剤における阻害剤の%が勿論、変動されていてよく、便利に、約2%〜約60%の重量単位(ユニット)であってよい。本発明の製剤における阻害剤の量が、適切な用量が、得られてくるようなものである。1例として、本発明に従っている製剤が、経口用量単位(ユニット)が、約1〜250mgのこれら阻害剤を含有するよう調製されている。
【0060】
これら錠剤(タブレット)、カプセル、および同様のものが、トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ、もしくはゼラチンのようなバインダー;燐酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;ならびに、スクロース、ラクトース、もしくはサッカリンのような甘味料をも、含有してよい。前記用量単位(ユニット)形態がある1カプセルである場合、上のタイプの素材に加え、脂肪油のような液体担体を含有してよい。
【0061】
種々の他の素材が、コーティングとして、もしくは、前記用量単位(ユニット)の物理的形態を修飾するよう、存在していてよい。例えば、錠剤(タブレット)が、シェラック、糖、もしくは両方を用いてコーティングされていてよい。シロップが、活性成分に加え、甘味料としてスクロース、保存料としてメチルおよびプロピルパラベン、染料、ならびに、桜ん坊(サクランボ)もしくは橙(オレンジ)香料のような香料を含有してよい。
【0062】
上記したとおり、本発明の1態様において、これら阻害剤を含有している製剤が、非経口投与されていてよい。これら阻害剤の溶液もしくは懸濁が、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水中において調製され得る。分散体も、油中において、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物中において、調製され得る。例示の油が、石油、動物油、植物油、もしくは合成油起源のものであり、例えば、ピーナッツ油、大豆油、もしくは鉱油である。一般的に、水、食塩水、デキストロースおよび関連した糖の水溶液、ならびに、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールのようなグリコールが好ましい液体担体であり、特に、注入可能な溶液に関してである。保管および使用の普通の条件下に、これらの調製物が、保存料を含有し、微生物の成長を防ぐ。
【0063】
前記阻害剤がデフェロキサミンである場合、非経口使用用デフェロキサミン組成物が、ある1溶液もしくは懸濁の形であり得る。このような溶液もしくは懸濁が、注射用水、食塩水溶液、固定化油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、もしくは他の合成溶媒のような無菌稀釈剤をも、包含してよい。非経口製剤が、ベンジルアルコールもしくはメチルパラベンのような抗菌剤、または、重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤をも、包含してよい。アセテート、シトレート、もしくはホスフェートのような緩衝剤(バッファー)、ならびに、塩化ナトリウムもしくはデキストロースのような浸透圧調整剤も、加えられていてよい。該非経口調製物が、アンプル、使い捨てシリンジ、または、ガラスもしくはプラスチックでできた多数回用量ヴァイアル中において閉じ込められ得る。
【0064】
注入可能な使用に適した医薬形態が、無菌水溶液もしくは分散体、および、注入可能な無菌水溶液もしくは分散体即時調製用無菌粉体を包含する。全ての場合において、該形態が、無菌でなくてはならず、容易なシリンジの可能性が存在する程度にまで、流動体でなくてはならない。製造および保管条件下に安定でなくてはならず、バクテリアおよび真菌のような微生物の混入動作に対して保存されていなくてはならない。前記担体が、溶媒もしくは分散媒体たり得、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、これらの適切な混合物、および植物油を含有している。
【0065】
筋内投与用徐放デフェロキサミン組成物が、標準方法により製剤されていてよく、微結晶組成物のようなものである。より長い半減寿命を有するデフェロキサミン調製物が、例えば、デキストランもしくはポリエチレングリコールとのデフェロキサミンの共役により製剤されていてよい。加えて、細胞膜に浸透する偉大な能力を有するデフェロキサミン誘導体が、アセトキシメチルエステルのような親油性エステル部分にデフェロキサミンを結合させていくことにより調製され得、次いで、一旦、当該化合物がその細胞内側に入ると、細胞内エステラーゼにより除去されている(Meijlerら、<<マスクされた親水性部分を有する鉄キレート剤合成および評価>>、J.Am.Chem.Soc.124:12666〜12667(2002))。
【0066】
本発明の阻害剤を含有している製剤が、エアロゾルの形で気道に直接投与されていても、よい。エアロゾルとしての使用用に、溶液もしくは懸濁中の本発明の阻害剤が、従来のアジュバントを有する適切な噴射剤、例えば、プロパン、ブタン、もしくはイソブタンのような炭化水素噴射剤と一緒に、加圧エアロゾル容器中においてパッケージされていてよい。本発明の阻害剤が、ネブライザーもしくはアトマイザーにおけるような非加圧形態において投与されていても、よい。
【0067】
この方法を完遂していくことにおいて、ある1ROS媒介傷害が処置もしくは予防され得る。こうして処置もしくは予防され得る高血糖病状が、慢性高血糖を包含する。これが、高血糖糖尿病もしくは急性高血糖(ストレス高血糖のような)を包含する。インシュリンに対する耐性(インシュリン耐性)が、本発明のこの態様に従っているある1代謝物誘導過剰ROS産生の別のある1形態である。これが、インシュリンに対する耐性がある場合、あり得、結果的に、血管細胞による遊離脂肪酸流の増加および遊離脂肪酸酸化の増加を与える。
【0068】
本発明の別のある1態様が、高血糖もしくは脂肪酸流の増加に対して腹臥しているある1被験体における脈管発生を促進させていくある1方法に関する。この方法が、該被験体における脈管発生を促進させるに有効な条件下に該被験体にある1ROS阻害剤を投与していくことに関与する。
【0069】
ここで、脈管発生が、低酸素シグナルに対して応答性であり得、血管発生(例えば、心臓もしくは下肢)または脈管発生両方に関与する。前記被験体が、冠状動脈疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患、または、慢性もしくは急性である創傷のような虚血病状を持ち得る。
【0070】
本発明のこの実施形態用の、ROS阻害剤、この製剤、およびこの投与様式(モード)が、上記したものと同一である。
【0071】
ここで、前記被験体が好ましくはヒトであり、高血糖もしくは脂肪酸流に対して腹臥している。
【0072】
本発明の更なるある1態様が、ある1被験体における遊離脂肪酸酸化もしくは過剰放出を阻害していくある1方法に関する。この方法が、該被験体における遊離脂肪酸酸化もしくは過剰放出を阻害するに有効な条件下にある特定化合物を該被験体に投与していくことに関与する。これらの化合物が、チアゾリジンジオン、ニコチン酸、エトモキシル、およびラノラジンを包含する。
【0073】
本発明のこの実施形態において、上で同定された化合物が、上で記されたと実質的に同一のやり方で製剤されており、投与されている。
【0074】
本発明のこの態様において、前記被験体が哺乳類であり、好ましくはヒトである。
【0075】
本発明の更なるある1態様が、ROS媒介傷害処置もしくは予防に適した化合物を同定していく方法に関している。この方法が、糖尿病動物モデルを与えていくこと、および、糖尿病を該動物モデルにおいて誘導していくことに関与する。テストされるべき1化合物が次いで、該動物モデルに投与されている。ROS媒介傷害を処置していくかもしくは防いでいくための治療候補としての、局所酸素圧回復、血管密度における血流の増加、および、該動物モデルにおける組織生存率を達成させる化合物が次いで、回収されている。
【実施例】
【0076】
実施例1−3種の異なるマウス糖尿病モデルが、虚血に対する応答において、組織壊死の増加を呈する
糖尿病組織が、虚血に対する寛容の抑制を持つことが、よく理解されている(Haffnerら、<<2型糖尿病を患っている被験者における、ならびに、より前の心筋梗塞を患っている非糖尿病被験者および患っていない非糖尿病被験者における、冠心臓疾患からの死>>、N Engl J Med、339:229〜34(1998);Judeら、<<糖尿病および非糖尿病患者における末梢動脈疾患:重篤さおよび結果のある1比較>>、Diabetes Care、24:1433〜7(2001);Tuomilehtoら、<<発作からの死に関する危険因子(リスクファクター)としての糖尿病:中年で終える集団の予定研究>>、Stroke、27:210〜5(1996);Waltenberger、<<糖尿病における側副血管の進展の障害:潜在的細胞機構および治療方針>>、Cardiovasc Res、49:554〜60(2001);Rivardら、<<アデノ−VEGFを用いる筋内遺伝子治療による血管新生糖尿病関連障害救助>>、Am J Pathol、154:355〜63(1999);Kipら、<<当初の血管移植もしくはバイパス外科手術後の心筋の危難の増加への糖尿病の影響の差:バイパス血管移植再脈管新生調査>>、Circulation、105:1914〜20(2002);Partamianら、<<糖尿病258症例における急性心筋梗塞:即死率および5年生存率>>、N Engl J Med、273:455〜61(1965);Simovicら、<<決定的な肢虚血を患っている患者における筋内phVEGF165遺伝子導入後の慢性虚血ニューロパシーにおける向上>>、Arch Neurol、58:761〜8(2001);Margolisら、<<ニューロパシー糖尿病足潰瘍治癒の遅れに関する危険因子(リスクファクター):解析のある1プール>>、Arch Dermatol、136:1531〜5(2000)、これらの全体において、本明細書において、援用されている)。臨床的に、これが結果的に、心疾患率の増加、死の増加、および、創傷治癒の引き延ばしを与える。この関係が、動物心臓および後肢虚血モデルにおいて研究されてきている一方(Rivardら、<<アデノ−VEGFを用いる筋内遺伝子治療による血管新生糖尿病関連障害救助>>、Am J Pathol、154:355〜63(1999);Schratzbergerら、<<VEGF遺伝子導入による実験糖尿病ニューロパシーの反転>>、J Clin Invest、107:1083〜92(2001)、これらの全体において、本明細書において、援用されている)、これらのモデルに対する限界がある。大血管解剖における変法(バリエーション)により、この結果得られてくる壊死パターンが予言不可能であり、これら実験結果における差異に至っていく。加えて、犠牲を除いて、組織生存率を求めるのが可能でない。更に、レーザードップラーのような潅流間接測定がしばしば、虚血を推定するのに利用されていなければならないが、これらの手法が組織酸素化を監視している直接の情報を与えない。
【0077】
これらの問題を解決させるに当たり、マウス背軟組織における勾配を付けられた虚血の新しきモデルが創出されてきている(図5、Tepperら、<<II型糖尿病からのヒト内皮始原細胞が、増殖の障害、接着、そして脈管構造中への取り込みを呈する>>、Circulation、106:2781〜6(2002)、この全体において、本明細書において、援用されている)。マウスの背中の脈管解剖が精密に知られており、主要な縦の血管が容易に視覚化され得るので、該組織における再現性ある酸素勾配を有する虚血の信頼できる領域(帯、ゾーン)を創出し得る。これが、直接組織酸素圧測定を用いて確かめられてきており、最少虚血領域から、最多虚血領域に向かって進んでいく0.5cm離された5参照点(p1〜p5)を利用している。これが、虚血の離散微小環境(領域A、B、C)の研究にも、向かっており、領域Aが、最少虚血であり、領域Cが、該軟組織の最多虚血部分である。このモデルの設計(デザイン)が、酸素圧直接動的測定、組織生存定量を、遺伝子発現における変化との特定酸素圧の相関を可能とするある程度の再現性を伴って容易化させる。
【0078】
このモデルを使用しながら、虚血に対する応答が劇的に、全て有意な高血糖により特徴付けられた3種の異なるマウス糖尿病モデルにおいて障害されていることが観察されてきている。II型糖尿病のある1種のレプチン受容体(レセプター)欠損モデルたるdb/dbマウスにおいて、虚血が、殆ど全ての組織の有意な壊死を生み出す一方、<<全組織>>が、非糖尿病動物において<<生存した>>ことが実証されてきている。似た結果が、ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスモデル(Stz)において記されたが、同様に、AkitaマウスI型糖尿病モデルも、非糖尿病マウスにおいて観察されたもののおよそ30%の組織生存を有した(図6)。重要なことに、酸素圧および脈管密度(CD31染色およびFITCレクチン潅流)が、外科手術前に、全4群(グループ)において同一であったが、組織生存における違いが、脈管密度におけるベースラインの違いよりも、むしろ虚血に対する応答の障害によったことを示唆している。
【0079】
実施例2−糖尿病マウスが、虚血に対する脈管新生応答の消失を持つ
このモデルにおいて観察された組織生存の減少が、当該生存組織における脈管新生の消失とも、関連されていた。外科手術7日後、非糖尿病マウス虚血軟組織における酸素圧が、通常の皮膚のものに近づく(図7、灰色プロット)一方、これら糖尿病マウスが、複数の同一参照点での酸素圧の有意な低減を実証する(黒色プロット)。これらの知見が、糖尿病マウスにおける当該生存組織において観察された血管数の低減と相関した(図8、黒色プロット)が、CD31染色により求められたとおりであった。これが、虚血誘導脈管新生が、糖尿病マウスにおいて障害されていることを示唆する。
【0080】
実施例3−高血糖誘導反応性酸素種予防が、糖尿病動物モデルにおける組織生存を復元させる
酸化損傷(ダメージ)の増加が、糖尿病動物における虚血に対する組織応答の障害の上流でのある1調節者であったかどうかが、審査されてきている。この問いを解決させるに当たり、ミトコンドリアマンガンスーパーオキシド不均化酵素(ジスムターゼ、MnSOD)を過剰発現する遺伝子導入マウスが使用された。MnSODが、スーパーオキシドからの分子酸素形成を触媒し、ROS生成を防いでおり、有効に、高血糖損傷(ダメージ)の全4経路をブロックする。糖尿病が、野生型マウスおよびMnSOD遺伝子導入マウスにおいて、ストレプトゾトシン注入を介して誘導されたが、高血糖(>400mg/dL)が1ヶ月間、維持された。虚血外科手術後、組織が、直接酸素圧測定により、1、3、および7日目に、モニターされた。野生型糖尿病マウスに比べたら、MnSOD糖尿病マウスが、局所組織酸素圧の急速な回復、脈管新生、および、非糖尿病マウスにおいて観察されたものに似ていた組織生存の増加を実証した(図9)。非糖尿病MnSODコントロールマウスが、野生型マウスに似ていた。これが、高血糖誘導ROS予防が、虚血現象後の糖尿病動物における組織生存を向上させることを示唆する。
【0081】
実施例4−慢性高グルコース水準(レベル)が、ミトコンドリア膜電位(ポテンシャル)の増加とも、相関する
高グルコース培養の、ミトコンドリア膜電位(ポテンシャル)への効果も、電位(ポテンシャル)依存カチオン染料JC−1を使用しながら、急性もしくは慢性高グルコースに晒されたC2C12細胞において、審査された。これが、酸化ストレス指示剤として、使用されてきている。最近の報告(Duら、<<高血糖が、Akt部位での翻訳後修飾により、内皮一酸化窒素合成酵素(シンターゼ)活性を阻害する>>、J Clin Invest、108:1341〜8(2001)、この全体において、本明細書において、援用されている)と調和して、慢性高グルコースが深遠に、通常グルコース培養、もしくは、高グルコースに対する急性被曝に比べたら、ミトコンドリアプロトン電気化学勾配を増加させる(橙(オレンジ)−赤蛍光に向かってのシフトにより、証拠付けられた、図10、Duら、<<高血糖が、Akt部位での翻訳後修飾により、内皮一酸化窒素合成酵素(シンターゼ)活性を阻害する>>、J Clin Invest、108:1341〜8(2001)、この全体において、本明細書において、援用されている)。これゆえ、ある1相関が、高血糖、酸化ストレス、および、in vitroにおけるVEGF障害の間で存在する。
【0082】
実施例5−VEGF産生の障害が、RNA転写レベルにおいて、横たわる
高血糖状態における血管新生の障害に寄与する者として、VEGF産生の減少を暗示している証拠と共に、高グルコースがVEGF発現を代える機構(機序、メカニズム)が審査された。低酸素条件下に通常および高グルコース培養において存在するVEGFmRNA転写体の解析が、高グルコースにおいて培養された細胞におけるVEGFmRNA産生の実質的な低減を解き明かした(図11)。この知見に関する可能な説明が、異常なmRNA安定化を包含したか、または、高グルコースにおけるプロモーター活性を減少させた。mRNA安定化問題を解決させるに当たり、C2C12筋芽細胞におけるRNA半減(1/2)寿命が、アクチノマイシンDを用いて転写を阻害していくことにより審査された。これらの実験の結果が、VEGF蛋白レベルにおける有意な違いに関わらず、通常細胞と高血糖細胞との間でのVEGFmRNA安定性における違いを全く、示さなかった(図12)。VEGFプロモーター活性が次いで、ある1ルシフェラーゼ遺伝子に融合された全長VEGFプロモーターを含有しているレポーター構築体を使用しながら、審査された。この構築体が一過性に、通常および高グルコースにおいて培養されたC2C12筋芽細胞中に同時トランスフェクションされたが、トランスフェクション効率に関してコントロールするに当たり、構造的に発現されたRenillaプラスミドを用いた。低酸素誘導ルシフェラーゼ産生が有意に、通常グルコースコントロールに比べたら、高グルコース条件において障害されていた(図13)。これが、低酸素におけるVEGF蛋白産生の障害が、in vivoにおけるVEGF転写の減少から、結果来たことを実証する。
【0083】
実施例6−p300およびHIF−1αが、O−結合グリコシル化用基質であり、潜在的に、低酸素誘導VEGF発現における障害に対する高血糖酸化損傷(ダメージ)のヘキソサミン経路に結合(リンク)している
低酸素誘導VEGF発現の障害に関する機構(機序、メカニズム)として、高グルコースにおいて、HIF−1αトランス活性化の障害を暗示している知見に基づいたら、HIF−1αの潜在的な転写後修飾が、これらの条件下に審査された。当初、HIF−1αが、O−結合グリコシル化用基質であるかどうかが、審査された。HIF−1αが、通常もしくは高グルコース条件において成長させられた細胞から、免疫沈降されたが、ウェスタン(Western)ブロットが、該O−結合グリコシル化修飾を含有している残基を特異的に認識する抗体を用いて探索(プローブ)された。グリコシル化HIF−1αが全く、通常グルコース条件下に存在していなかった一方、有意なグリコシル化が高グルコースにおいて、あった(図14)。これが、HIF−1αが、O−結合グリコシル化用基質であるとの最初の実証であり、好ましくは、高グルコース条件下にグリコシル化されている。
【0084】
HIF−1転写複合体が、幾つかの同時活性化剤から構成されているので、HIF−1の主要な同時活性化剤たるp300も、グリコシル化されたかどうかも、審査された。多くの転写因子が、構造的にp300と会合すると見出されてきている一方、この相互作用が、転写後修飾により調節されているある幾つかの場合が、同定されてきている(Zangerら、<<CREB結合蛋白の、転写複合体に対する動員が、このGFボックスの、成長因子依存燐酸化を必要とする>>、Mol Cell、7:551〜8(2001);Soutoglouら、<<アセチル化が、多重のレベルにおいて、転写因子活性を規制する>>、Mol Cell、5:745〜51(2000)、これらの全体において、本明細書において、援用されている)。これらHIF−1実験を繰り返していくと、p300が、高グルコース条件において、転写後O−結合グリコシル化用基質としても、働くことも、見出された。これが生理学的に有意であったのは、p300の、転写因子たるペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体(レセプター)γ(PPARγ)との会合が、同時免疫沈降アッセイにより、通常グルコースに比べた高グルコース条件において、抑えられたからである(図15)。興味あることに、ヘキソサミン生合成律速酵素たるグルタミン:フルクトース−6−燐酸アミド転移酵素(GFAT)の、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたブロックが3倍近く、高グルコースにおけるp300のO−結合グリコシル化の量を抑え、通常グルコースにおいて成長させられた細胞に比べられるレベルにまで、p300/PPARγ相互作用を復元させた(図15AおよびB)。これが、p300の、転写複合体に対する動員が、高グルコース条件において障害されていることを示唆し、これが、グルコース誘導O−結合グリコシル化を防いでいくことにより、覆され得る。HIF−1αのO−結合グリコシル化の生理学的関連が、明らかでない。しかしながら、グリコシル化が、p300の機能を修飾するとの実証が、可能な機構(機序、メカニズム)を示唆し、これにより、HIF−1転写因子複合体が、VEGF発現をアップレギュレーションするのに失敗し、これが、この、転写活性化に必要とされた同時活性化剤(つまり、p300)を動員できずおよび/または会合できない無能力による。
【0085】
実施例7−高血糖誘導反応性酸素種が、細胞損傷(ダメージ)経路を活性化させ、内皮細胞機能を障害している
こうして提示されたデーターが遠く、低酸素条件下にVEGFをアップレギュレーションできる能力における深遠な欠乏をin vivoおよびin vitro両方において、高グルコースレベルが生み出すとの当初の観察に応答性の機構(機序、メカニズム)を審査している。
【0086】
非虚血設定における高血糖誘導脈管損傷(ダメージ)を審査している有意な文献があるが、非常に少ない研究しか、虚血設定における脈管機能への高血糖誘導細胞損傷(ダメージ)の効果を審査していない。これが臨床的に重要であり、殆どの状況が新しい脈管成長を必要としており、有意な組織低酸素により特徴付けられたシナリオにおいて起きる。In vitroにおいて高グルコースにおいて成長された内皮細胞が、ROSのミトコンドリア産生の増加を示すことが、実証されてきている。これが結果的に、ヘキソサミン経路活性の増加を与え、ある特定の転写因子(SPI)およびシグナル分子(eNOS)のグリコシル化の増加を伴い、PKC活性の増加が結果的に一部、NFκB活性の増加、AGEsのより多くの蓄積、および、ソルビトール経路を通る流れの増加を与えている(図16)。これらの細胞内の出来事(現象)の下流での結末が同様に結果的に、in vivoにおいて観察された脈管新生の障害を与えるが、中間ステップが明らかでないままである。
【0087】
実施例8−糖尿病細胞が、血管新生に決定的な機能において障害されている
VEGF発現が糖尿病状態において代えられていることが明らかである一方、糖尿病細胞が他のやり方で障害されていることも、実証されてきている。糖尿病マウス(db/db)から単離された線維芽細胞が、金塩食速度論転位アッセイを使用しながら、コラーゲンおよびフィブロネクチン上で、通常線維芽細胞よりも、転位の劇的な減少(4分の1)を示す。これらの細胞の走触性応答が、修飾Boydenチャンバー転位アッセイを使用しながら、審査された場合、血清およびPDGFに対する応答における転位の77%の似た減少が、観察された(Lermanら、<<糖尿病線維芽細胞における細胞不全:転位における障害、脈管内皮成長因子産生、および、低酸素に対する応答>>、Am J Pathol、162:303〜12(2003)、この全体において、本明細書において、援用されている)。
【0088】
もう1回、この違いが、低酸素により強勢化された(図17)。通常細胞における転位が、低酸素によりアップレギュレーションされた(2倍)一方、糖尿病細胞が、低酸素における転位速度における違いを全く示さなかった。これらのアッセイが再び、糖尿病が1種の細胞機能を持つとの深遠なインパクト、および、このインパクトが低酸素条件下に大きくされていることを強調させる。
【0089】
これらの転位の違いが、糖尿病線維芽細胞におけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)ファミリー構成員相違発現によることがある。糖尿病線維芽細胞が、通常線維芽細胞よりも、高いレベルのpro−MW−9を持つが、活性MMP−9若しくは活性/pro−MMP−2において、全く、違いがないことが、実証されてきている(図18)。これが、高グルコースにおいて培養された内皮細胞における似た知見を確かめる(Uemuraら、<<糖尿病が、脈管マトリックスメタロプロテアーゼ活性を高める:酸化ストレスの役割>>、Circ Res、88:1291〜8(2001)、この全体において、本明細書において、援用されている)。更に、これらの知見が、糖尿病細胞不全が、全細胞蛋白もしくは機能の単なるダウンレギュレーションにより特徴付けられていないが、特定遺伝子および蛋白の選択的調節に関与することを示唆する。
【0090】
実施例9−II型糖尿病患者からの複数の内皮始原細胞が、これらの、増殖でき、接着でき、そして脈管構造中に取り込める能力において、障害されている
脈管新生エフェクター細胞、内皮始原細胞、もしくは前駆体細胞における高血糖の代替が、まだよく定義されていない。最近、II型糖尿病患者から回収された複数の内皮始原細胞(EPCs)が、通常酸素条件下に齢の見合ったコントロールに比べたとおり、増殖の抑制、接着、そして脈管構造中への取り込みを呈することが、実証された(Tepperら、<<II型糖尿病からのヒト内皮始原細胞が、増殖の障害、接着、および、脈管構造中への取り込みを呈する>>、Circulation、106:2781〜6(2002)、この全体において、本明細書において、援用されている)。糖尿病培養が拡大7日後、有意に、より少ないEPCsを含有したが(図19)、これがHbAicと、逆相関されていた。加えて、有意により少ないEPC保有クラスターが糖尿病患者の培養において、記された。これが糖尿病臨床年数と、逆相関されていた(R=−0.471、P<0.01)。機能的に、これらの細胞がより少なくTNF−α活性化内皮単層に接着すると見出されたが、静穏な内皮単層に対する通常の接着を呈したが、これらの、環境の手がかりに応答できる能力が欠けていることを示唆する。これがin vitro血管新生アッセイを用いて確かめられたが、より少ない糖尿病EPCsが、齢の見合ったコントロールに比べた場合、Matrigel上で、細管中に取り込まれたことを実証する。
【0091】
実施例10−糖尿病患者からの内皮始原細胞が、低酸素に応答できる能力の障害を持つ
低酸素に対する応答の障害を糖尿病細胞が持つと示唆している暫定データーが与えられ、EPCsにおける研究が特に、これらの細胞の、虚血環境に対する応答を審査するものであった。II型糖尿病患者からのEPCsが、低酸素内皮単層に対して接着し、低酸素内皮細胞から条件の整った培地に向かって転位し、そして低酸素環境を増殖させる能力において、障害されていたことが、実証された(それぞれ、図10A、B、C)。これが、これらの細胞の、適切に低酸素環境の手がかりを感受し応対できる能力の障害の反映であることがあり、結果的に、乏しい脈管形成を与えている。
【0092】
実施例11−デフェロキサミンが、血管内皮細胞において、高血糖誘導反応性酸素産生を防ぐ
培養血管内皮細胞がデフェロキサミンを用いて処理され、デフェロキサミンの、これらの細胞による高血糖誘導反応性酸素産生への効果を求めた。
【0093】
細胞培養条件:ROS測定用に、複数の牛大動脈内皮細胞(BAECs、4〜10継代)が、96ウェルプレートにおいて、100,000細胞/ウェルにおいて、10%FBS、必須および非必須アミノ酸、ならびに抗生物質を含有しているEagleのMEMにおいて播かれた。細胞が、5mMグルコース、30mMグルコース、30mMグルコース+100μMデフェロキサミン、30mMグルコース+250μMデフェロキサミンと共に、インキュベートされた。デフェロキサミンが調製されたてであり、これら細胞に連続3日で加えられた。これらROS測定が当初の処置の72時間後、実施された。
【0094】
細胞内反応性酸素種測定値:反応性酸素種細胞内形成が、蛍光プローブたるCMH2DCFDA(Molecular Probes)を使用しながら、検出された。細胞(1×105mL−1)が10iMのCM−H2DCFDDAと共に、ロードされ、45分間、37℃において、インキュベートされ、HTS7000Bio Assay Fluorescent Plate Reader(バイオアッセイ蛍光プレート読み取り機、Perkin Elmer)において、解析されたが、そのHTソフトプログラムを使用している。ROS産生がH202標準曲線(10−200ナノモル(nmol)mL−1)から、求められた。
【0095】
図21において示されたとおり、デフェロキサミンが培養において、血管内皮細胞におけるROS産生を阻害した。糖尿病レベルの高血糖がこれらの細胞において、ROS(スーパーオキシド)産生の増加を引き起こす(図21、棒(バー)2)。250μMデフェロキサミンを加えていくと、完全に、この損傷(ダメージ)を与えている効果を防ぐ(図21、棒(バー)4)。
【0096】
こうして、鉄キレート剤たるデフェロキサミンが、血管内皮細胞への、深遠な効果を持ち、つまり、完全に、ヒドロキシルラジカルの高血糖誘導過剰産生を防ぐ(図21)。
【0097】
実施例12−過剰のミトコンドリアスーパーオキシド産生を通常化させると、大動脈内皮細胞において、細胞内遊離鉄の高血糖誘導増加を阻害する
細胞内遊離鉄測定用に、複数の牛大動脈内皮細胞(<<BAECs>>、4〜10継代)が、24ウェルプレートにおいて、500,000細胞/ウェルにおいて、10%FBS、必須および非必須アミノ酸、ならびに抗生物質を含有しているEagleのMEMにおいて播かれた。細胞がそれぞれ、UCP−1、Mn−SOD、もしくは空のアデノウィルスベクターを用いて、48時間、感染させられた。30mMグルコースが、当該アデノウィルスを用いて感染させられた各ウェルに加えられた。非感染細胞が5mMおよび30mMグルコースと共に、コントロールとして、インキュベートされた。細胞内遊離鉄が24時間後、検出された。
【0098】
細胞内遊離鉄を検出するために、細胞がfura−2AMと共に、暗所において、37℃において、15分間、5μMのfura−2AMを含有しているTBSS1mL中において、ロードされた。ロード後、細胞が5分間、20μMのEDTA1mLを有するTBSSと共に、インキュベートされた(Kressら、<<培養神経、星状細胞(アストロサイト)、およびオリゴ樹状細胞(デンドロサイト)における、細胞内遊離鉄と細胞傷害との間の関係>>、J.Neuro.、22(14):5848〜5855(2002)、この全体において、本明細書において、援用されている)。蛍光が、10×対物レンズを有するOlympus IX70を使用しながら、検出され、I.P.Lab Spectrumにより、Power PC コンピューター上で実行された。解析がI.P.Lab Spectrumを用いて、実施された。
【0099】
図22において示されたとおり、棒(バー)2、高血糖が、遊離鉄量を3倍近く増加させた。プローブたるfura−2AMが特異的に、Fe3+鉄を検出するので、これが、増加されているのが遊離Fe3+鉄であることを示す。この効果の、電子輸送鎖によるスーパーオキシド形成を防ぐミトコンドリア蛋白たる非共役(カップリング)蛋白−1の過剰発現による阻害が(棒(バー)3)、ミトコンドリアが、この高血糖誘導スーパーオキシドの起源であることを実証する。この効果の、酵素たるスーパーオキシド不均化酵素(ジスムターゼ)ミトコンドリアアイソフォームたるMnSOD過剰発現による阻害が(棒(バー)4)、ミトコンドリアスーパーオキシドが、正にその反応性酸素種であり、細胞内遊離鉄の増加を誘導することを実証する。
【0100】
実施例13−デフェロキサミンが、大動脈内皮細胞において、細胞内鉄イオンの高血糖誘導増加を阻害する
複数の牛大動脈内皮細胞(<<BAECs>>、4〜10継代)が、24ウェルプレートにおいて、500,000細胞/ウェルにおいて、10%FBS、必須および非必須アミノ酸、ならびに抗生物質を含有しているEagleのMEMにおいて播かれた。細胞が、5mMグルコース、30mMグルコース、もしくは30mMグルコース+100μMデフェロキサミンと共に、インキュベートされた。細胞内遊離鉄測定が24時間後で、実施された。細胞内遊離鉄を検出するに当たり、細胞がfura−2AMと共に、ロードされたが、上で実施例12において記載されたとおりである。
【0101】
図23Bにおいて示されたとおり、高血糖(30mMグルコースインキュベートにより、成就された)が劇的に、図23Aにおいて示されたとおり、通常の血糖症(5mMグルコース処置により、成就された)に比べたら、Fe3+の形の細胞内遊離鉄を増加させ、実施例12において増加させたとおりである。図23Cにおいて示されたとおり、Fe3+−特異的鉄キレート剤たるデフェロキサミン(100μM)が完全に、高血糖のこの効果を防ぐ。
【0102】
実施例14−デフェロキサミンおよびヒドロキシルラジカルスキャベンジャーたるDMSO両方が、大動脈内皮細胞において、DNA鎖破壊の高血糖誘導増加を阻害する
複数の牛大動脈内皮細胞(<<BAECs>>、4〜10継代)が、集密となるまで、10mm細胞培養プレートにおいて播かれた。細胞が、5mMグルコース、30mMグルコース、30mMグルコース+100μMデフェロキサミン(DFO)、もしくは30mMグルコース+100μMのヒドロキシルラジカルスキャベンジャーたるDMSOと共に、7日間、インキュベートされた。試薬を有する培地が毎日、変えられた。DNA鎖破壊が、Comet アッセイ方法を使用しながら、検出された。
【0103】
DNA破壊検出が、Comet Assay キット(Trevigen Gaitherburg MD)を使用しながら、実施された。端的に(簡潔に)、単一細胞電気泳動が、Comet スライド上で、10分間、1ボルト(V)/センチメートル(cm)(1電極〜別の1電極で測定された)において、実施された。風乾後、Comet スライドが、SYBRグリーン(緑)を用いて、染色された。蛍光が、Olympus(オリンパス)IX70蛍光顕微鏡を使用しながら、検出され、DNA破壊蛍光密度解析(尾の長さ)が、Image J ソフトウェアを使用しながら、実施された。
【0104】
以前、ミトコンドリア電子輸送鎖による高血糖誘導スーパーオキシド産生が、DNA鎖破壊を大動脈内皮細胞において引き起こすことが示されており、図24Bにおいて実証されたとおりである。図24Cにおいて示されたデーターが、この効果が、遊離Fe3+のスーパーオキシド誘導増加を必要とすることを証明する。同様に、図24Dにおいて示されたデーターが、この効果が、スーパーオキシド誘導ヒドロキシルラジカル産生を必要とすることを示す。一緒に、これらのデーターが、デフェロキサミン処置が、ミトコンドリア電子輸送鎖による継続したスーパーオキシド過剰産生に関わらず、ヒドロキシルラジカル生成そして引き続いてのDNA鎖破壊を防ぐことを示す。
【0105】
実施例15−デフェロキサミンおよびヒドロキシルラジカルスキャベンジャーたるDMSO両方が、大動脈内皮細胞において、PARP活性の高血糖誘導増加を阻害する
複数の牛大動脈内皮細胞(<<BAECs>>、4〜10継代)が、集密となるまで、10mm細胞培養プレートにおいて播かれた。細胞が、5mMグルコース、30mMグルコース、30mMグルコース+100μMデフェロキサミン、もしくは30mMグルコース+100μM DMSOと共に、6日間、インキュベートされ、培地が毎日変えられた。
【0106】
3H−NAD取り込み方法が使用され、PARP活性を査定した。BAECsが、56mMのHepes(pH7.5)、28mMのKCl、28mMのNaCl、2mMのMgCl2、0.01%のジギトニン、25mMのNAD+、および1μCi/mLの3HNAD+から構成された緩衝液(バッファー)と共に、10分間、37℃においてインキュベートされた。TCAが加えられ、リボシル化蛋白を沈澱させ、細胞が2%のNaOH中において溶解された。取り込まれた3H−NAD検出が、液体シンチレーションカウンターを使用しながら、実施され、PARP活性が3H−NADdpm数に従いながら、求められた。
【0107】
以前、ミトコンドリア電子輸送鎖による高血糖誘導スーパーオキシド産生が、DNA鎖破壊を引き起こし、次いで、酵素たるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)を大動脈内皮細胞において活性化させることが示されており、図25において示されたとおりである。棒(バー)3において示されたデーターが、この効果が、遊離Fe3+のスーパーオキシド誘導増加を必要とすることを証明する。同様に、棒(バー)4において示されたデーターが、この効果が、スーパーオキシド誘導ヒドロキシルラジカル産生を必要とすることを示す。一緒に、これらのデーターが、デフェロキサミン処置が、ミトコンドリア電子輸送鎖による継続したスーパーオキシド過剰産生に関わらず、ヒドロキシルラジカル生成、引き続いてのDNA鎖破壊、そしてこの結果得られてくるPARP活性化を防ぐことを示す。
【0108】
実施例16−デフェロキサミンが、大動脈内皮細胞において、プロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ、PGF−1a)の高血糖誘導阻害を防ぐ
複数の牛大動脈内皮細胞(<<BAECs>>、4〜10継代)が、24ウェルプレート(50,000細胞/ウェル)において播かれた。細胞が、5mMグルコース、30mMグルコース、もしくは30mMグルコース+100μMデフェロキサミンと共に、インキュベートされた。プロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ)産物たるPGF−1αが24時間後で、測定された。
【0109】
プロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ)活性が、プロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ、PGF−1a)安定産物濃度として測定された。競合免疫アッセイ方法(相関−EIA)が、6−ケト−PGFの定量的決定に使用された。BAECs培養培地から集められたサンプル(100μL)がアッセイプレートに加えられたが、これが予め抗体を用いてコーティングされていた(6−ケト−PGF、EIA共役溶液)。PGF1α濃度が、標準曲線に従いながら、算出され、データー解析が、AssayZapソフトウェアを使用しながら、実施された。
【0110】
以前、ミトコンドリア電子輸送鎖による高血糖誘導スーパーオキシド産生が完全に、粥腫(アテローム)進展に対する主要な天然防御である、内皮酵素たるプロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ)を不活化させることが示されている。図26の棒(バー)2において、高血糖が示されており、この酵素の活性を90%以上減らす。対照的に、棒(バー)3が、高血糖が全く、この重要な抗粥腫(アテローム)発生酵素の活性を阻害しないことを示し、遊離Fe3+のスーパーオキシド誘導増加がデフェロキサミンにより防がれている場合である。
【0111】
実施例17−デフェロキサミンが、糖尿病マウス大動脈において、プロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ、PGF−1a)の高血糖誘導阻害を防ぐ
雄C57B16マウス(6〜8週齢)が、連続5日間、8時間の絶食後、0.05Mクエン酸Na、pH4.5において、50mg/kgのストレプトゾトシンの毎日の注射により、糖尿病とされた。当初の注射の2週後、血糖が求められたが、これら糖尿病マウスがランダムに、等しい平均血糖レベルを有する2群(グループ)にされた。デフェロキサミン(10mg/kg)が、糖尿病動物の1群において7日間、1日当たり1回皮下で、注射された。大動脈がプロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ)活性測定用に、集められた。
【0112】
プロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ)活性測定A競合免疫アッセイ方法(相関−EIA)が、6−ケト−PGFの定量的決定に使用された。マウス大動脈がPBSを用いて洗浄され、20mMのTRIS緩衝液(バッファー、pH7.5)および15μMアラキドン酸を含有している400μLインキュベート緩衝液(バッファー)中において、3時間、37℃においてインキュベートされた。100μLのサンプルが使用され、PGFを測定した。
【0113】
以前、ミトコンドリア電子輸送鎖による糖尿病誘導スーパーオキシド産生が完全に、糖尿病マウス大動脈における内皮酵素たるプロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ)を不活化させることが示されている。図27の棒(バー)2において、高血糖が示されており、この酵素の活性をin vivoにおいて90%以上減らす。対照的に、図27の棒(バー)3が、高血糖が全く、この重要な抗粥腫(アテローム)発生酵素の活性を阻害しないことを示し、遊離Fe3+のスーパーオキシド誘導増加がデフェロキサミンにより防がれている場合である。
【0114】
実施例18−デフェロキサミンが、大動脈内皮細胞において、内皮一酸化窒素合成酵素(eNOS)の高血糖誘導阻害を防ぐ
複数の牛大動脈内皮細胞(<<BAECs>>、4〜10継代)が、24ウェルプレート(50,000細胞/ウェル)において播かれた。細胞が24時間、5mMグルコース、30mMグルコース単独、もしくは30mMグルコース+100μMデフェロキサミンと共に、インキュベートされた。eNOS活性決定6時間前、アルギニンなし培地がこれら細胞に加えられ、内因性アルギニンを減損させた。
【0115】
eNOS活性測定が、以降のとおり、成就された。複数のBAECが、400μLのPBS−3H−アルギニン(1.5μci/mL)緩衝液と共に、30分間、37℃において、インキュベートされた。この反応が、1NのTCA(500μL/ウェル、氷冷)を加えていくことにより停止され、これら細胞が2分間、液体窒素中において凍結破砕され、37℃において5分間、解凍され、その細胞の溶解物を得た。エーテルを用いた抽出後、その細胞の溶解物が、2mMのEDTAおよび2mMのEGTAを含有しているHepes緩衝液(バッファー)を使用しながら、pH5.5に調整され、次いで、Tris−形成DOWEX 50WX8 イオン交換カラム上にロードされ、3H−シトルリンが集められた。3H−シトルリン検出が、液体シンチレーションカウンターを使用しながら、実施され、eNOS活性が、3H−シトルリン発生量から、算出された。
【0116】
以前、高血糖誘導スーパーオキシド形成が有意に、ある1種の別の決定的な内皮酵素たる内皮一酸化窒素合成酵素(シンターゼ、eNOS)を不活化させることが示されている。この酵素が、低酸素に対する応答における血管急性膨張における決定的な役割、ならびに、粥腫(アテローム)発生の展開および進行に対するある1種の別の主要な防御としての慢性の役割を演じる。図28の棒(バー)2において、高血糖が示されており、eNOS活性を65%減らす。対照的に、棒(バー)3が、高血糖が全く、この重要な抗粥腫(アテローム)発生酵素の活性を阻害しないことを示し、遊離Fe3+のスーパーオキシド誘導増加がデフェロキサミンにより防がれている場合である。
【0117】
実施例19−デフェロキサミンが、糖尿病マウス大動脈において、内皮一酸化窒素合成酵素(シンターゼ、eNOS)の、糖尿病誘導阻害を防ぐ
雄C57B16マウス(6〜8週齢)が、連続5日間、8時間の絶食後、0.05Mクエン酸Na、pH4.5において、50mg/kgのストレプトゾトシンの毎日の注射により、糖尿病とされた。当初の注射の2週後、血糖が求められたが、これら糖尿病マウスがランダムに、等しい平均血糖レベルを有する2群(グループ)にされた。デフェロキサミン(10mg/kg)が、糖尿病動物の1群において7日間、1日当たり1回皮下で、注射された。大動脈が内皮一酸化窒素合成酵素(シンターゼ、eNOS)活性測定用に、集められた。
【0118】
eNOS活性測定が、以降のとおり、成就された。大動脈が液体窒素中において集められ、組織蛋白が単離された。免疫(免役)沈降方法が使用され、組織溶解物から、eNOSを精製した。精製されたeNOS免疫複合体が、100μLの反応緩衝液(バッファー。3μMテトラヒドロビオプテリン、1mMのNAPDH、2.5mMのCaCl2、200Uのカルモジュリン、3H−L−アルギニン0.2μCi)と共に、45分間、37℃において、くゆらせながら(ローリング)、インキュベートされた。該インキュベート後、サンプルがTris−形成DOWEX 50WX8 イオン交換カラム上にロードされ、3H−シトルリンが集められた。3H−シトルリンが、液体シンチレーションカウンターを使用しながら、定量化され、eNOS活性が、3H−シトルリン発生量から、算出された。
【0119】
以前、ミトコンドリア電子輸送鎖による糖尿病誘導スーパーオキシド産生が糖尿病マウス大動脈において、内皮酵素eNOSを不活性化させることが示されている。図29の棒(バー)2において、糖尿病高血糖が示されており、この酵素の活性を、in vivoにおいて、65%減らす。対照的に、棒(バー)3が、高血糖が全く、この重要な抗粥腫(アテローム)発生酵素の活性を阻害しないことを示し、遊離Fe3+のスーパーオキシド誘導増加がデフェロキサミンにより防がれている場合である。
【0120】
実施例20−デフェロキサミンが、糖尿病創傷治癒および糖尿病誘導不全を、虚血に対する血管新生応答において、通常化させる
図30AおよびBが、糖尿病動物が、非糖尿病動物がそうするように、新しい血管を形成していくことにより、酸素化を増加させないことを示す。図30CおよびDが、糖尿病動物が、虚血に対する応答において、0.22対1.83%の骨髄由来内皮前駆細胞しか可動化させないことを示す。図30EおよびFが、糖尿病が、虚血組織における毛管形成を増加させないことを示す(黒色の棒(バー))。
【0121】
研究者らが、マウス背軟組織における勾配を付けられた虚血の新しきモデルを創出している。マウスの背の脈管解剖が精密に知られているので、主要な縦の血管が容易に視覚化され得、このモデルが、該組織における再現性ある酸素勾配を有する虚血の信頼できる領域(帯、ゾーン)を創出する。これが、最少から最多虚血領域に進みながら、0.5cm離された4参照点(p1〜p4)を利用しながら、直接組織酸素圧測定値を用いて確かめられている。
【0122】
この糖尿病誘導欠陥に横たわっている機構(機序、メカニズム)が複雑であり、完全に理解されていないが、ミトコンドリアスーパーオキシド過剰産生に関与すると見られるのは、該欠陥が有意に、ミトコンドリアアイソフォームのSODを過剰発現する糖尿病遺伝子導入マウスにおいて、防がれているからである。
【0123】
実施例21−デフェロキサミンが、糖尿病創傷治癒および糖尿病誘導不全を、虚血に対する血管新生応答において、通常化させる
ストレプトゾトシン誘導糖尿病(STZ)および野生型C57(WT)マウスにおける虚血脈管新生への、デフェロキサミン、鉄キレート剤の効果が、審査された。雄C57B16マウス(6〜8週齢)が、連続5日間、8時間の絶食後、0.05Mクエン酸Na、pH4.5において、50mg/kgのストレプトゾトシンの毎日の注射により、糖尿病とされた。当初の注射の2週後、血糖が求められたが、これら糖尿病マウスがランダムに、等しい平均血糖レベルを有する2群(グループ)にされた。
【0124】
糖尿病動物の1群において7日間、1日当たり1回皮下で、デフェロキサミン(10mg/kg)の毎日の注射を伴う実験を完遂して、背に創出された虚血弁を持つに至る7日前に、処置群が予め処置された。
【0125】
7日目に、血流が通常にまで、STZ−デフェロキサミン群(グループ、DM+DEF)において、非糖尿病非処置群(グループ、WT)、および、重篤に障害されたSTZ−非処置群(グループ、DM)と比べた場合、Dopplerにより査定されたとおり、図31Aにおいて示されたとおり、復元されたことが見出された。図31Bが、組織生存が通常にまで、STZ−デフェロキサミン群(グループ、DM+DEF)において、非糖尿病非処置群(グループ、WT)、および、重篤に障害されたSTZ−非処置群(グループ、DM)と比べた場合、復元されたことが見出された。CD31陽性血管計数(カウント)が、虚血後脈管新生が、STZ−デフェロキサミン群(グループ、STZ−Def C)において、復元されたことを実証し、図32において示されたとおりであった。興味あることに、デフェロキサミンがこれら野生型マウス(WT Def C)においても、脈管新生を向上させた。EPC可動化も、STZ−デフェロキサミン群(グループ)において、非処置STZマウスと比べた場合、改善された。STZマウスがデフェロキサミンを用いて処置された場合、糖尿病骨髄由来劣化株細胞集団の、SDFに向かっての転移が通常にまで、復元された。図35参照。
【0126】
これらの結果が、デフェロキサミンを用いた糖尿病動物の処置が完全に、虚血に対する通常血管新生応答における糖尿病誘導欠陥を防ぐことを示す。
【0127】
実施例22−デフェロキサミンが、糖尿病創傷治癒および糖尿病誘導不全を、虚血に対する血管新生応答において、通常化させる
複数の糖尿病マウス(マイス、db/db)において、これらをデフェロキサミンを用いて処置していくことにより、創傷治癒を抑えてしまう効果も、実施例20のマウスの背軟組織における勾配を付けられた虚血の新しきモデルにおいて、研究された。これら動物が、実施例21において記載されたとおり、糖尿病とされた。デフェロキサミン処置糖尿病マウスが、16日目において、完結した創傷閉鎖を実証した一方、複数の非処置dbマウス(マイス)が、これらの創傷を、26日目まで、閉じなかった(図33AおよびB)。デフェロキサミン処置糖尿病マウスがそうするように、糖尿病動物が新しい血管を形成していくことにより、酸素化を増加させないことを、図34AおよびBが示す。0.22%の糖尿病デフェロキサミン非処置マウスに比べたら、虚血に対する応答において、デフェロキサミン処置糖尿病動物が1.12%の骨髄由来内皮前駆細胞を可動化させることを、図34CおよびDが示す。糖尿病デフェロキサミン非処置マウスに比べたら、デフェロキサミン処置糖尿病マウスが実質的に、虚血組織における毛管形成を増加させることを、図34EおよびFが示す(黒色の棒(バー))。
【0128】
好ましい実施形態が本明細書において詳細に、描かれ記載されてきたが、当業者に、本発明の精神から逸脱してしまうことなく、種々の修飾、追加、置換、および同様のことがなされ得、これらがこれゆえ、本発明の範囲内にあると考慮され、以降の請求項において定義されたとおりであることが明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】血管新生および脈管新生スキームを示す。
【図2】虚血応答におけるHIFおよびVEGFの中心的な役割を示す。
【図3】高血糖損傷(ダメージ)経路を示す。
【図4】全体の実験計画(プラン)を示す。
【図5】勾配を付けられた皮膚虚血マウスモデルを示す。領域A、B、およびCが益々、虚血組織領域を反映し、参照点p1(27mmHg)〜p5(6mmHg)での直接組織酸素圧により測定されたとおりである。
【図6】糖尿病マウスにおける組織生存を示す。
【図7】通常皮膚酸素圧(NL Skin)に比べた、最少虚血(p1)〜最多虚血(p5)の虚血組織における酸素圧測定値を示す。
【図8】CD31により同定された血管数を示し、虚血弁領域A、B、およびCにおいて染色している。
【図9】ストレプトゾトシン誘導糖尿病を有する野生型およびMnSOD遺伝子導入マウスにおいて術後、酸素圧測定値を示す。
【図10】通常グルコース(5mM)、ならびに、急性および慢性高グルコース(25mM)において培養されたC2C12筋芽細胞のJC−1染色を示す。
【図11】低酸素に対する応答における高および低グルコースにおけるVEGFmRNAを示す。
【図12】通常グルコース(・)もしくは高グルコース(o)条件において培養された細胞におけるVEGFmRNA半減寿命を示す。
【図13】低酸素刺激後の、通常(5mM、灰色)および高グルコース(25mM、黒色)におけるC2C12筋芽細胞におけるVEGFプロモーター活性を示す。
【図14】HIF−Iαが好ましくは、通常のグルコース(NG、5mM)に比べたら、高グルコース条件(HG、25mM)においてグリコシル化されていることを示す。
【図15】図15AおよびBが、高グルコース(30mM)が、p300とPPARγとの間の会合を障害することを示す。この効果が、GFATを阻害していくことにより、廃された。
【図16】図16A〜Cが、反応性酸素種から結果得られてくる細胞損傷(ダメージ)経路が選択的に、標的化され得、防がれ得ることを示す。
【図17】図17AおよびBが、糖尿病マウスからの線維芽細胞が、非糖尿病細胞において見られた転位の、通常の低酸素誘導増加を実証しないことを示す(p<.05)。
【図18】図18AおよびBが、糖尿病マウスからの線維芽細胞が、より多くの原MMP−9を産生するが、活性MMP−9でないことを示す(p<.001)。
【図19−1】図19A〜Dが、II型糖尿病からの複数のEPCが、拡大(A)の間、より少なく増殖し、HbAlcレベル(B)と逆相関したことを示す。より少ないEPCクラスターが、培地(C)において形成したが、これも、糖尿病を患っての合計年数に逆相関された。
【図19−2】図19A〜Dが、II型糖尿病からの複数のEPCが、拡大(A)の間、より少なく増殖し、HbAlcレベル(B)と逆相関したことを示す。より少ないEPCクラスターが、培地(C)において形成したが、これも、糖尿病を患っての合計年数に逆相関された。
【図20】図20A〜Cが、II型糖尿病患者からの複数のEPCが、低酸素刺激に対する応答におけるそれらの、接着、転位、および増殖できる能力において、障害されていることを示す(&=p<.001、&&=p<.05)。
【図21】高血糖誘導ROSへの、デフェロキサミンの効果を示す。
【図22】UCP−1、Mn−SOD、もしくは空のアデノウィルスベクターを用いた感染、ならびに、5mMもしくは30mMグルコースを用いた引き続いての処置後の、牛大動脈内皮細胞における細胞内遊離鉄測定を示す。x軸が、これら異なる処置を示す。y軸が、遊離鉄量を指し示している蛍光単位を示す。
【図23】図23A〜Cが、24時間の、5mMもしくは30mMグルコース(それぞれ、図23Aおよび23B)または30mMグルコース+100μMデフェロキサミン(図23C)を用いたインキュベート後の、牛大動脈内皮細胞における細胞内遊離鉄測定を示す。遊離鉄検出が、蛍光マーカーたるfura−2 AMを可視化させることにより達成された。
【図24】図24A〜Dがそれぞれ、7日間の、5mMもしくは30mMグルコースまたは30mMグルコース+100μMデフェロキサミンを用いたインキュベート後の、大動脈内皮細胞におけるDNA鎖破壊を示す。図24A〜Dがそれぞれ、7日間の、5mMもしくは30mMグルコースまたは30mMグルコース+100μMデフェロキサミンを用いたインキュベート後の、大動脈内皮細胞におけるDNA鎖破壊を示す。
【図25】6日間の、5mMもしくは30mMグルコース、30mMグルコース+100μMデフェロキサミン、または30mMグルコース+100μM DMSOを用いたインキュベート後の、大動脈内皮細胞におけるPARP活性を示す。3H NAD取り込みが使用され、PARP活性を査定した。x軸が、これら異なる処置を示す。y軸が、ピコモル(pmol)/ミリグラム(mg)蛋白で測定されたとおりのPARP活性を示す。
【図26】5mMもしくは30mMグルコースまたは30mMグルコース+100μMデフェロキサミンを用いたインキュベート24時間後の、大動脈内皮細胞におけるプロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ)活性を示す。x軸が、これら異なる処置を示す。y軸が、プロスタサイクリン合成酵素産物たるPGF−1αの濃度として表現されたプロスタサイクリン合成酵素活性を示す。
【図27】7日間の、毎日のデフェロキサミンの注入後の、糖尿病マウスおよびコントロールマウスの大動脈におけるプロスタサイクリン合成酵素(シンターゼ)活性を示す。x軸が、これら異なる処置を示す。y軸が、プロスタサイクリン合成酵素産物たるPGF−1αの濃度により測定されたとおりのプロスタサイクリン合成酵素活性を示す。
【図28】24時間の、5mMもしくは30mMグルコースまたは30mMグルコース+100μMデフェロキサミンを用いたインキュベート後の、大動脈内皮細胞におけるeNOS活性を示す。x軸が、これら異なる処置を示す。y軸が、105細胞当たり、1分当たり生成された3H−シトルリンの関数として、該eNOS活性を示す。
【図29】7日間の、毎日のデフェロキサミンの注入後の、糖尿病マウスおよびコントロールマウスの大動脈におけるeNOS活性を示す。x軸が、これら異なる処置を示す。y軸が、蛋白1mg当たり、1分当たり生成された3H−シトルリンの関数として、該eNOS活性を示す。
【図30−1】図30A〜Fが、虚血に対するマウス血管新生応答における糖尿病誘導欠陥を示す。図30A〜Bがそれぞれ、非糖尿病マウスおよび糖尿病マウスにおける酸素化レベルを示す。P1〜P4がy軸上で、該虚血の皮弁の隣接している四分円を指定し、当該動物に対する取り付け部位に最も近く始まっており(つまり、P1)、遠くP4に進んでいく。図30C〜Dが、虚血に対する応答における、骨髄由来内皮細胞可動化を示す。Flk−1がy軸上で、虚血骨髄由来内皮前駆細胞に関するマーカーである。CD11bがx軸上で、骨髄由来内皮前駆細胞に関する一般的なマーカーである。図30E〜Fがそれぞれ、非糖尿病マウスおよび糖尿病マウスにおける、毛管形成量を示す。NIがy軸上で、非虚血コントロールの毛管密度を表す。領域Cがy軸上で、7日後の、虚血皮弁での毛管密度を表す。
【図30−2】図30A〜Fが、虚血に対するマウス血管新生応答における糖尿病誘導欠陥を示す。図30A〜Bがそれぞれ、非糖尿病マウスおよび糖尿病マウスにおける酸素化レベルを示す。P1〜P4がy軸上で、該虚血の皮弁の隣接している四分円を指定し、当該動物に対する取り付け部位に最も近く始まっており(つまり、P1)、遠くP4に進んでいく。図30C〜Dが、虚血に対する応答における、骨髄由来内皮細胞可動化を示す。Flk−1がy軸上で、虚血骨髄由来内皮前駆細胞に関するマーカーである。CD11bがx軸上で、骨髄由来内皮前駆細胞に関する一般的なマーカーである。図30E〜Fがそれぞれ、非糖尿病マウスおよび糖尿病マウスにおける、毛管形成量を示す。NIがy軸上で、非虚血コントロールの毛管密度を表す。領域Cがy軸上で、7日後の、虚血皮弁での毛管密度を表す。
【図30−3】図30A〜Fが、虚血に対するマウス血管新生応答における糖尿病誘導欠陥を示す。図30A〜Bがそれぞれ、非糖尿病マウスおよび糖尿病マウスにおける酸素化レベルを示す。P1〜P4がy軸上で、該虚血の皮弁の隣接している四分円を指定し、当該動物に対する取り付け部位に最も近く始まっており(つまり、P1)、遠くP4に進んでいく。図30C〜Dが、虚血に対する応答における、骨髄由来内皮細胞可動化を示す。Flk−1がy軸上で、虚血骨髄由来内皮前駆細胞に関するマーカーである。CD11bがx軸上で、骨髄由来内皮前駆細胞に関する一般的なマーカーである。図30E〜Fがそれぞれ、非糖尿病マウスおよび糖尿病マウスにおける、毛管形成量を示す。NIがy軸上で、非虚血コントロールの毛管密度を表す。領域Cがy軸上で、7日後の、虚血皮弁での毛管密度を表す。
【図31−1】図31A〜Cが、デフェロキサミン処置が、虚血に対するマウス血管新生応答における糖尿病誘導欠陥を正すことを示す。これら処置群が、野生型マウス(WT)、ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウス(図31Cにおいて、STZとして、図31A〜Bにおいて、DMとして示された)、および、デフェロキサミン処置ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウス(図31Cにおいて、STZ+デフェロキサミンとして、図31A〜Bにおいて、DM+DEFとして示された)であった。
【図31−2】図31A〜Cが、デフェロキサミン処置が、虚血に対するマウス血管新生応答における糖尿病誘導欠陥を正すことを示す。これら処置群が、野生型マウス(WT)、ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウス(図31Cにおいて、STZとして、図31A〜Bにおいて、DMとして示された)、および、デフェロキサミン処置ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウス(図31Cにおいて、STZ+デフェロキサミンとして、図31A〜Bにおいて、DM+DEFとして示された)であった。
【図32】野生型マウス(WT C)、デフェロキサミンを用いて処置された野生型マウス(WT Def C)、ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウス(STZ C)、および、デフェロキサミンを用いて処置されたストレプトゾトシン誘導糖尿病マウス(STZ Def C)における、CD31陽性血管計測値を示す。y軸が、hpf当たりのCD31陽性血管計測値を示す。
【図33】図33A〜Bが、デフェロキサミン処置が、虚血に対するマウス血管新生応答における糖尿病誘導欠陥を正すことを示す。糖尿病が、これらマウス(マイス、mice)において、ストレプトゾトシン(図33A〜Bにおいて、STZと略された)により誘導された。図33Aにおいて示されたマウスが、ビヒクル単独を用いて処置された一方、図33Bにおいて示された糖尿病マウスが、デフェロキサミンを用いて処置された(図33Bにおいて、STZ.デフェロキサミンとして標識された)。
【図34】図34A、C、およびEが、糖尿病が、虚血に対するマウス血管新生応答における欠陥を誘導することを示す。図34B、D、およびFが、これらの欠陥が、デフェロキサミンを用いる処置により正されていることを示す。図34A〜Bがそれぞれ、ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスにおける酸素化レベル(図33A)およびデフェロキサミン処置ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスにおける酸素化レベル(図33B)を示す。P1〜P4がy軸上で、該虚血の弁の隣接している四分円を指定し、当該動物に対する取り付け部位に最も近く始まっており(つまり、P1)、遠くP4に進んでいく。図34C〜Dが、虚血に対する応答における、骨髄由来内皮細胞可動化を示す。Flk−1がy軸上で、骨髄由来内皮前駆細胞に関するマーカーである。CD11bがx軸上で、骨髄(ミエロイド)、マクロファージ、および顆粒球株の、骨髄由来細胞に関する一般的なマーカーである。図34E〜Fがそれぞれ、ビヒクル処置ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスおよびデフェロキサミン処置ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスにおける、毛管形成量を示す。NIがy軸上で、非虚血コントロールの毛管密度を表す。領域Cがy軸上で、7日後の、最も遠い3番目の虚血皮弁での毛管密度を表す。
【図35】棒(バー)チャートであり、コントロール、STZ、およびSTZ−デフェロキサミンマウスに関するEPC可動化を示している。EPC可動化が、7日目の虚血後発作において求められた。糖尿病が結果的に、EPC可動化の3倍の減少となった(1/3)。デフェロキサミンが、非処置STZマウスに比べたら、虚血特異的EPC可動化を復元させた(p<.05)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高血糖の病理効果および/または脂肪酸流の増加を処置していくかまたは予防していく方法であって:
被験体における高血糖の病理効果および/または脂肪酸流の増加を処置するかもしくは予防するに有効な治療有効量のROS阻害剤を含有している組成物を、このような処置もしくは予防治療の必要にある被験体に投与していくこと
を含んでいる、方法。
【請求項2】
ROS阻害剤が、経口、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、点眼により、眼内、鼻内、動脈内、病巣内、あるいは、粘膜に対する適用により、投与されている、請求項1の方法。
【請求項3】
ROS阻害剤が、医薬として許容可能な、塩、担体、賦形剤、もしくは安定剤と共に、投与されている、請求項1の方法。
【請求項4】
処置されたかもしくは予防された病理効果が、代謝症候群(メタボリックシンドローム)、インシュリン耐性、障害グルコース絶食、障害グルコース寛容、もしくは糖尿病からなっている群から選択されている、請求項1の方法。
【請求項5】
ROS阻害剤が、デフェロキサミンである、請求項4の方法。
【請求項6】
高血糖の病理効果および/または脂肪酸流の増加を処置していくかまたは予防していく方法であって:
高血糖の病理効果および/または脂肪酸流の増加を処置するかもしくは予防するに有効な治療有効量の鉄キレート剤を含有している組成物を、このような処置もしくは予防治療の必要にある被験体に投与していくこと
を含んでいる、方法。
【請求項7】
前記鉄キレート剤が、経口、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、点眼により、眼内、鼻内、動脈内、病巣内、あるいは、粘膜に対する適用により、投与されている、請求項6の方法。
【請求項8】
前記鉄キレート剤が、医薬として許容可能な、塩、担体、賦形剤、もしくは安定剤と共に、投与されている、請求項6の方法。
【請求項9】
高血糖の病理効果および/または脂肪酸流の増加を処置していくかまたは予防していく方法であって:
構造R−L−C−Mの治療有効量の鉄キレート剤を含有している組成物を、このような処置もしくは予防治療の必要にある被験体に投与していくこと
を含んでおり、ここにおいて、Rが、H、または、標的細胞における前記鉄キレート剤の浸透を容易化させたり、もしくは、障害させたりできる生体相容部分であり、Lが、CにRを接続させているリンカーであり、ここにおいて、Lが、急速な細胞取り込みを容易化させ、前記鉄キレート剤の細胞からの退出を遅らせることができ、Cが、鉄キレート化部分であり、Mが、(OH.)による開裂に対するマスク官能基である、方法。
【請求項10】
前記鉄キレート剤が、経口、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、点眼により、眼内、鼻内、動脈内、病巣内、あるいは、粘膜に対する適用により、投与されている、請求項9の方法。
【請求項11】
前記鉄キレート剤が、医薬として許容可能な、塩、担体、賦形剤、もしくは安定剤と共に、投与されている、請求項9の方法。
【請求項12】
Cが、2、3、もしくは6座である、請求項9の方法。
【請求項13】
高血糖の病理効果および/または脂肪酸流の増加を処置していくかまたは予防していく方法であって:
Fentonの化学および/またはFenton様化学によるROS種産生が起きていくことから禁じていくことができる治療有効量の組成物を、このような処置もしくは予防治療の必要にある被験体に投与していくこと
を含んでいる、方法。
【請求項14】
前記組成物が、経口、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、点眼により、眼内、鼻内、動脈内、病巣内、あるいは、粘膜に対する適用により、投与されている、請求項13の方法。
【請求項15】
前記組成物が、医薬として許容可能な、塩、担体、賦形剤、もしくは安定剤と共に、投与されている、請求項13の方法。
【請求項16】
高血糖の病理効果および/または脂肪酸流の増加を処置していくかまたは予防していく方法であって:
置換もしくは非置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールまたはこれらの医薬として許容可能な塩を含んでいる、治療有効量の鉄キレート剤を含有している組成物を、このような処置もしくは予防治療の必要にある被験体に投与していくこと
を含んでいる、方法。
【請求項17】
前記組成物が、経口、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、点眼により、眼内、鼻内、動脈内、病巣内、あるいは、粘膜に対する適用により、投与されている、請求項16の方法。
【請求項18】
前記組成物が、医薬として許容可能な、担体、賦形剤、もしくは安定剤と共に、投与されている、請求項16の方法。
【請求項19】
前記置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールが:
3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
エチル[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]酢酸
3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ニトロフェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸
{4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−フェニル}モルホリン−4−イルメタノン
{4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−フェニル}−(4−メチルピペラジン−1−イル)−メタノン
3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−ベンジル−1H−[1,2,4]トリアゾール
4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イルメチル]ベンゾニトリル
3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ジエチルアミノベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ピロリジン−1−イルベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−(ピリジン−4−イルメチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−(ピリジン−3−イルメチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
3,5−ビス(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
4−[3,5−ビス(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール]−1−イル]安息香酸
3,5−ビス(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−1−(ピリジン−2−イルメチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
3,5−ビス(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール
4−[3,5−ビス(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール]−1−イル]安息香酸
4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−[1,2,4]トリアゾール]−1−イル]安息香酸
[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]酢酸
[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N−メチルアセタミド
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N−(2−ヒドロキシエチル)アセタミド
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N−(2−メトキシエチル)アセタミド
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アセタミド
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)アセタミド
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアセタミド
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]アセタミド
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N,N−ジメチルアセタミド
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−1−モルホリン−4−イルエタノン
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−1−(4−メチルピペラジン)−1−イル)−エタノン
N−ベンジル−2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N−メチルアセタミド
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アセタミド
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアセタミド
2−[3,5−ビス(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)アセタミド
エチル[3,5−ビス(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]酢酸
2−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸
エチル4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸
もしくはこれらの医薬として許容可能な塩からなっている群から選択されている、請求項16の方法。
【請求項20】
化合物R−L−C−Mもしくはこれの医薬として許容可能な塩を含んでいる、組成物。
【請求項21】
Rが、H、または、標的細胞における前記組成物の浸透を容易化させたり、もしくは、障害させたりできる生体相容性部分であり、Lが、CにRを接続させているリンカーであり、ここにおいて、Lが、急速な細胞取り込みを容易化させ、前記組成物の細胞からの退出を遅らせることができ、Cが、鉄キレート化部分であり、Mが、(OH.)による開裂に対するマスク官能基である、請求項20の組成物。
【請求項22】
(a)式R−L−C−Mの化合物もしくはこれの医薬として許容可能な塩;および
(b)医薬担体
を含んでいる、治療組成物。
【請求項23】
Rが、H、または、標的細胞における前記治療組成物の浸透を容易化させたり、もしくは、障害させたりできる生体相容部分であり、Lが、CにRを接続させているリンカーであり、ここにおいて、Lが、急速な細胞取り込みを容易化させ、前記治療組成物の細胞からの退出を遅らせることができ、Cが、鉄キレート化部分であり、Mが、(OH.)による開裂に対するマスク官能基である、請求項22の治療組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30−1】
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【図30−2】
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【図30−3】
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【図31−1】
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【図31−2】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公表番号】特表2009−518414(P2009−518414A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544452(P2008−544452)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/046446
【国際公開番号】WO2007/067567
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(591054174)イェシバ・ユニバーシティ (12)
【氏名又は名称原語表記】YESHIVA UNIVERSITY
【出願人】(303014874)ニュー・ヨーク・ユニヴァーシティー (2)
【Fターム(参考)】