高輝度立体表示装置およびマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置
【課題】バリアによる輝度低下を防いだより明るい立体映像を表示することが可能な高輝度立体表示装置を得る。
【解決手段】高輝度立体表示装置100は、複数の映像部分情報を表示するラスタ10と、表面21に複数の透明部分23および不透明部分24が形成され、複数の透明部分23および不透明部分24によって映像部分情報を複数の視点において三次元映像として可視化させるパララックスバリアフィルタ20と、ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20の相互の位置関係を固定するスペーサ治具部材40とを備え、パララックスバリアフィルタ20の裏面22には、複数の不透明部分24に対応するように配列されたバリア構造部が形成され、バリア構造部、および、スペーサ治具部材40の内周面41S,42Sには、反射膜が形成されているか、または、反射材料が塗布されている。
【解決手段】高輝度立体表示装置100は、複数の映像部分情報を表示するラスタ10と、表面21に複数の透明部分23および不透明部分24が形成され、複数の透明部分23および不透明部分24によって映像部分情報を複数の視点において三次元映像として可視化させるパララックスバリアフィルタ20と、ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20の相互の位置関係を固定するスペーサ治具部材40とを備え、パララックスバリアフィルタ20の裏面22には、複数の不透明部分24に対応するように配列されたバリア構造部が形成され、バリア構造部、および、スペーサ治具部材40の内周面41S,42Sには、反射膜が形成されているか、または、反射材料が塗布されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高輝度立体表示装置およびマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置に関し、特に、同時に複数の観察者が補助手段を用いずに立体映像を知覚できる高輝度立体表示装置およびマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オートステレオスコピックビジュアライゼーションの分野においては種々のアプローチが存在している。英国特許出願公開第190418672A号明細書(特許文献1)には、3D表示のためのラインスクリーンを用いたシステムが開示されている。パララックスバリアの理論(非特許文献1)には、3D表示のためにバリアスクリーンを使用する基本的知見が開示されている。
【0003】
特開平08−331605号公報(特許文献2)には、透明なバリア要素として、階段状に配列されたカラーサブピクセル(R色、G色またはB色)が開示されている。ほとんどのオートステレオスコピックシステムにおいては、同時に複数の視点(少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の視点)を表示することによって、水平方向の解像度の損失が生じる。階段状に配列されたカラーサブピクセルによれば、この水平方向の解像度の損失を、部分的に垂直方向の解像度の損失に置き換えることが可能となる。
【0004】
特開平08−331605号公報(特許文献2)における不利な点は、すべてのバリア方式と同様に、光の損失が大きいことである。特開平08−331605号公報(特許文献2)における他の不利な点は、観察者が左右に動いた場合に、ステレオコントラストが略100%から略50%に変化し、そして再び100%に変化することが繰り返される。このことは、観察空間における3D映像の質を不安定にしている。
【0005】
米国特許第5,808,599A号明細書(特許文献3)、米国特許第5,936,607A号明細書(特許文献4)、および、国際公開第00/10332A1号(特許文献5)には、サブピクセルベースの視点の分割を利用したレンチキュラー技術に関する改良が開示されている。
【0006】
欧州特許出願公開第791847A1号明細書(特許文献6)に開示されるオートステレオスコピック表示装置においては、種々の視点を示すディスプレイ上に、レンチキュラーレンズが配置される。このレンチキュラーレンズは、垂直線に対して傾斜している。ここで特徴的なのは、n個の視点が少なくとも2つのスクリーン上に分割され、これにより、ここでもまた解像度の損失が水平方向から部分的に垂直方向に置き換えられるという点である。しかしながら、レンチキュラーレンズの製造にはコストがかかり、これに基づく3Dディスプレイの生産プロセスは容易ではない。
【0007】
米国特許第6,157,424A号明細書(特許文献7)および国際公開第02/35277A1号(特許文献8)にも、オートステレオスコピックの改善に関する発明が開示される。これらの発明における不利な点は、ほとんどすべての3Dシステムが、ただ一人の観察者に対して表示されるか、および/または、多くの場合、受け入れがたいコストをかけてしか製造できないことである。
【0008】
独国特許発明第10003326C2号明細書(特許文献9)には、3D映像を生成する2D構造の波長選択的フィルタアレイに関するバリア技術が開示される。この発明における不利な点は、3Dシステムの輝度が、2Dディスプレイと比べて著しく低いことである。
【0009】
国際公開第2005/027534A2号(特許文献10)には、すべて(通常は2つ)の視点においてフル解像度で3D映像を表示する技術が開示される。当該技術においては、位置合わせに必要なコストが高く、比較的大きいスクリーンサイズ(たとえば略25インチから上)での実現が極めて困難である。
【0010】
国際公開第2004/077839A1号(特許文献11)には、輝度を改善したバリア技術が開示される。当該技術においては、特開平08−331605号公報(特許文献2)および独国特許発明第10003326C2号明細書(特許文献9)における階段状バリアのアプローチに基づいている。当該技術では、不透明なバリアフィルタ要素に対する透明のバリアフィルタ要素において、1/n(n:示される視点の数)よりも大きい特殊なデューティー比が用いられる。しかしながら、当該技術においては、不快なモアレ効果および/または著しく制限された奥行き感覚がもたらされる。なぜなら、ステレオコントラストが、たとえば特開平08−331605号公報(特許文献2)に開示される技術と比較して著しく低減されるからである。
【0011】
近年では、特表2010−524309号公報(特許文献12)に開示されるような三次元表示する方法および構成も知られている。当該公報によれば、直線状に区画形成されたラインによって透明部分が形成される。透明部分の幅によって、知覚される3D映像は、高い輝度を発揮することができるとともに、良好な(単眼)解像度をもたらすことができる。
【0012】
また、特表2010−524309号公報(特許文献12)によれば、パララックスバリアスクリーンのパラメータは、冒頭で述べたパララックスバリアの理論(非特許文献1)に開示される2つの数式を用いて簡単に算出することができると述べられている。これにより、複数の画素からなるラスタとパララックスバリアスクリーンとの間の距離に設定された人間の平均的眼間距離、観察距離、バリアの透明部分の(水平)周期長、および当該透明部分の線幅間の必要なすべての関係が求められるとある。
【0013】
なお、上記の文献中における「3Dディスプレイにおける可視(単眼)解像度」とは、時空間平均での3Dディスプレイの観察時に観察者の眼ごとにフルカラーに視える解像度と理解されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】英国特許出願公開第190418672A号明細書
【特許文献2】特開平08−331605号公報
【特許文献3】米国特許第5,808,599A号明細書
【特許文献4】米国特許第5,936,607A号明細書
【特許文献5】国際公開第00/010332A1号
【特許文献6】欧州特許出願公開第791847A1号明細書
【特許文献7】米国特許第6,157,424A号明細書
【特許文献8】国際公開第02/035277A1号
【特許文献9】独国特許発明第10003326C2号明細書
【特許文献10】国際公開第2005/027534A2号
【特許文献11】国際公開第2004/077839A1号
【特許文献12】特表2010−524309号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Sam H. Kaplan、「パララックスバリアの理論」、SMPTEジャーナル Vol.59、1952年7月、No7、11頁〜21頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、複数の同時観察者がより良く知覚できるようにするためのバリア技術に基づいたオートステレオスコピック表示をすることができるとともに、バリアによる輝度低下を防いだより明るい立体映像を表示することが可能な高輝度立体表示装置およびマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に基づく高輝度立体表示装置は、映像表示部およびスペーサ治具部材を備えた高輝度立体表示装置であって、上記映像表示部は、水平方向および垂直方向に沿ってそれぞれ配列された複数の画素を有し、複数の上記画素によって複数の映像部分情報を表示するラスタと、表面に複数の透明部分および複数の不透明部分が形成されるとともに、裏面が上記ラスタに対して所定の距離を空けて対向するように配置され、複数の上記透明部分および複数の上記不透明部分によって、上記映像部分情報を複数の視点において三次元映像として可視化させるパララックスバリアフィルタと、を含み、上記パララックスバリアフィルタの上記裏面には、複数の上記不透明部分に対応するように配列されたバリア構造部が形成され、上記スペーサ治具部材は、枠状に形成され、上記ラスタおよび上記パララックスバリアフィルタの間の空間を取り囲むように設けられるとともに、上記ラスタおよび上記パララックスバリアフィルタの相互の位置関係を固定し、上記パララックスバリアフィルタの上記バリア構造部、および、上記スペーサ治具部材の内周面には、反射膜が形成されているか、または、反射材料が塗布されている。
【0018】
好ましくは、複数の上記映像部分情報の各々は、複数の上記視点に対応する二次元周期パターンによって割り当てられ、上記二次元周期パターンにおける周期長は、水平方向および垂直方向においてそれぞれ32以下の上記画素を含む。
【0019】
好ましくは、上記二次元周期パターンにおける上記周期長は、複数の上記視点の数に等しい。
【0020】
好ましくは、上記画素は、R色,G色,若しくはB色を有するカラーサブピクセル、RG色若しくはRB色を有するカラーサブピクセルのクラスタ、または、フルカラーピクセルから構成される。
【0021】
好ましくは、上記ラスタおよび上記パララックスバリアフィルタは、複数の上記視点が所定のシーンまたは所定のオブジェクト毎の種々の透視投影にそれぞれ対応するように構成される。
【0022】
好ましくは、上記映像表示部は、カラーLCDモニター、プラズマディスプレイ、投影スクリーン、LEDベースのモニター、SEDモニター、またはVFDモニターを構成している。
【0023】
好ましくは、上記パララックスバリアフィルタはガラス基板から構成され、上記バリア構造部は、露光および現像により上記裏面上に積層された写真用フィルムであり、上記写真用フィルムに含まれる乳剤層は、上記ガラス基板に対面しないように形成される。
【0024】
好ましくは、上記バリア構造部は、上記ガラス基板に所定のインクが印刷されることによって形成される。
【0025】
好ましくは、上記パララックスバリアフィルタは、反射光を低減する干渉光反射防止層を含む。
【0026】
本発明に基づくマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置は、本発明に基づく上記の高輝度立体表示装置を備え、上記映像表示部は、水平方向およびまたは垂直方向に沿って複数並んで設けられ、隣り合う上記映像表示部同士の間における峡額縁部分には、レンチキュラーレンズが設けられる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の同時観察者がより良く知覚できるようにするためのバリア技術に基づいたオートステレオスコピック表示をすることができるとともに、バリアによる輝度低下を防いだより明るい立体映像を表示することが可能な高輝度立体表示装置およびマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態1における高輝度立体表示装置を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1における高輝度立体表示装置の分解した状態を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられるラスタを示す正面図である。
【図4】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられるラスタを示す断面図である。
【図5】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられるパララックスバリアフィルタの表面側を示す図である。
【図6】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられるパララックスバリアフィルタの裏面側を示す図である。
【図7】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられるスペーサ治具部材を示す正面図である。
【図8】図7中におけるVIII線によって囲まれた領域を拡大して示す図である。
【図9】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられる、複数の映像部分情報を表示するラスタと、透明部分および不透明部分からなる所定のパララックスパターンを有するパララックスバリアフィルタとの例示的な組合せを示す図である。
【図10】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられる、映像部分情報を表示するラスタと、透明部分および不透明部分からなるパララックスパターンを有するパララックスバリアフィルタとが、互いに組み合わされることによって映像表示部を構成した状態を示す図である。
【図11】実施の形態2におけるマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置を示す正面図である。
【図12】図12は、図11中のXII−XII線に沿った矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0030】
[実施の形態1]
(高輝度立体表示装置100)
図1および図2を参照して、本実施の形態における高輝度立体表示装置100について説明する。図1は、高輝度立体表示装置100を示す斜視図である。図2は、高輝度立体表示装置100の分解した状態を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すように、高輝度立体表示装置100は、映像表示部30およびスペーサ治具部材40を備える。映像表示部30は、複数の視点A(k)(k=1、・・・、n)において、映像部分情報を可視化することができる。
【0032】
図2を参照して、具体的には、映像表示部30は、ラスタ10とパララックスバリアフィルタ20とを含む。詳細は図3および図9を参照して後述されるが、ラスタ10は、水平方向および垂直方向に沿ってそれぞれ配列された複数の画素(図3中における画素x)を有し、複数の画素によって複数の映像部分情報(図9中における映像部分情報1〜8)を表示することができる。
【0033】
パララックスバリアフィルタ20は、表面21および裏面22を有する。パララックスバリアフィルタ20は、製造上の観点から、ガラスから構成される。パララックスバリアフィルタ20は、たとえばプラスチックなどの透明樹脂基材から構成されてもよい。パララックスバリアフィルタ20は、反射光を低減する干渉光反射防止層を含んでいてもよい。パララックスバリアフィルタ20には、一般的な防眩用艶消しが用いられてもよい。
【0034】
パララックスバリアフィルタ20は、裏面22がラスタ10に対して観察者300の観察方向(矢印AR方向)に所定の距離Sを空けて対向するように配置される。なお、本実施の形態における高輝度立体表示装置100に基づいて立体感を得る観察者300は、複数であってもよい。パララックスバリアフィルタ20は、枠状に形成されたスペーサ治具部材40によって、ラスタ10に対して距離Sを空けた状態で、たとえば貼着または螺着などで持続的に装着される。距離Sは、映像表示部30の大きさがたとえば60インチであれば、14mmから16mmが好ましい。
【0035】
詳細は図5を参照して後述されるが、パララックスバリアフィルタ20の表面21には、複数の透明部分23および複数の不透明部分24が形成される。パララックスバリアフィルタ20は、複数の透明部分23および複数の不透明部分24によって、映像部分情報(図9中における映像部分情報1〜8)を複数の視点において三次元映像として可視化させることができる。
【0036】
(ラスタ10)
図3は、ラスタ10を示す正面図である。ラスタ10は、たとえば、対角サイズが略60インチのシャープ株式会社製の型式PN−V601のLCDディスプレイによって構成されることができる。
【0037】
ラスタ10は、水平方向および垂直方向に沿ってそれぞれ配列された複数の画素x(i,j)を有する。画素x(i、j)からなるラスタ10上において、指標記号である行iは水平方向(行方向)における座標を、指標記号である列jは垂直方向(列方向)における座標を示している。本実施の形態においては、行i=1、・・・、768、および、列j=1、・・・、1360×3=4080である。
【0038】
図4は、ラスタ10を示す断面図である。ラスタ10においては、一対の基板12および基板17が対向配置されている。基板12および基板17の内面側には、透明電極13および透明電極16と、絶縁層(図示せず)および配向層(図示せず)とが積層形成されている。シーラント14によってシーリングされた内部空間には、液晶物質15が注入密封されている。基板12の表面には、保護フィルム11が付着されている。
【0039】
複数の透明電極16の各々は、画素16a、画素16b、および画素16cをそれぞれ構成している。画素16a、画素16b、および画素16cは、上下の透明電極13および透明電極16が交差する部分であり、画像を構成する最小の単位である。画素16aは、たとえば赤色(R)を構成し、画素16bは、たとえば緑色(G)を構成し、画素16cは、たとえば青色(B)を構成している。画素16a、画素16b、および画素16cの一つ一つが、図3中における画素x(i,j)(カラーサブピクセル)の一つ一つに対応している。画素16a、画素16b、および画素16cによって、いわゆる一つの絵素が構成される。
【0040】
(パララックスバリアフィルタ20)
図5は、パララックスバリアフィルタ20の表面21側を示す図である。図5は、図2中における矢印V方向から見たパララックスバリアフィルタ20を示している。
【0041】
上述のとおり、パララックスバリアフィルタ20の表面21には、複数の透明部分23および複数の不透明部分24が交互に形成される。複数の透明部分23および複数の不透明部分24は、それぞれ少なくとも2画素以上のx(i、j)の幅を有する実質的にステップ状に区画形成されたラインに対応している。換言すると、パララックスバリアフィルタ20の表面21には、ラスタ10における画素x(i,j)の各々に対応するように、複数の不透明部分24がたとえば印刷によって形成されている。表面21の印刷が施されていない領域が、透明部分23を構成している。
【0042】
図6は、パララックスバリアフィルタ20の裏面22側を示す図である。図6は、図2中における矢印VI方向から見たパララックスバリアフィルタ20を示している。
【0043】
パララックスバリアフィルタ20の裏面22には、表面21に形成された複数の不透明部分24に対応するように配列された複数のバリア構造部25が形成される。換言すると、パララックスバリアフィルタ20の裏面22には、表面21と同じ開口部(透明部分23)を形成するように、複数のバリア構造部25が形成される。複数のバリア構造部25の位置(解像度)は、ラスタ10における画素x(i,j)の各々にも対応している。
【0044】
バリア構造部25は、パララックスバリアフィルタ20の裏面22に反射膜が形成されるか、または、反射材料が塗布されることによって形成される。具体的には、MgF2、SiO2,TiO2,Al2O3、ZrO2、またはTa2O5等の無機化合物が、真空条件下における薄膜形成技術を使用することによって、裏面22に対して単層または多層に被覆されることにより、バリア構造部25が形成される。薄膜形成技術としては、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法等が使用されるとよい。
【0045】
バリア構造部25は、ZrO2ゾル、TiO2ゾル、Sb2O5ゾル、WO3ゾル、Al2O3ゾル、またはZrSiO4ゾル等の高屈折率を有する微粒子状金属酸化物ゾルや、SiO2ゾルとシリコーン系組成物や、フッ素化シリコーン系組成物などが、裏面22に対して溶液コーティングされることにより形成されてもよい。また、バリア構造部25は、白インクなどの所定のインクがUVインクジェット方式で裏面22に対して塗布されることによって形成されることも可能である。
【0046】
バリア構造部25は、露光および現像により裏面22上に積層された写真用フィルムであってもよい。この場合、写真用フィルムに含まれる乳剤層は、ガラス基板に対面しないように形成されるとよい。
【0047】
(スペーサ治具部材40)
図7は、スペーサ治具部材40を示す正面図である。上述のとおり、スペーサ治具部材40は、枠状に形成され、ラスタ10(図2参照)およびパララックスバリアフィルタ20(図2参照)の間の空間を取り囲むように設けられる。スペーサ治具部材40は、ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20の相互の位置関係を固定する。スペーサ治具部材40の固定によって、ラスタ10とパララックスバリアフィルタ20との間には距離S(図2参照)が保持される。
【0048】
図8は、図7中におけるVIII線によって囲まれた領域を拡大して示す図である。図7および図8に示すように、スペーサ治具部材40は、縦枠部41および横枠部42を含む。縦枠部41の内周面41Sおよび横枠部42の内周面42Sには、反射部材43が設けられる。反射部材43は、内周面41S,42Sに対して反射膜が形成されるか、または、反射材料が塗布されることによって形成される。
【0049】
具体的には、反射部材43は、上述のバリア構造部25(図6参照)と同様に、MgF2、SiO2,TiO2,Al2O3、ZrO2、またはTa2O5等の無機化合物が、真空条件下における薄膜形成技術を使用することによって、内周面41S,42Sに対して単層または多層に被覆されることにより形成される。薄膜形成技術としては、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法等が使用されるとよい。
【0050】
反射部材43は、ZrO2ゾル、TiO2ゾル、Sb2O5ゾル、WO3ゾル、Al2O3ゾル、またはZrSiO4ゾル等の高屈折率を有する微粒子状金属酸化物ゾルや、SiO2ゾルとシリコーン系組成物や、フッ素化シリコーン系組成物などが、内周面41S,42Sに対して溶液コーティングされることにより形成されてもよい。また、反射部材43は、白インクなどの所定のインクがUVインクジェット方式で塗布されることによって形成されることも可能である。
【0051】
(ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20の表示動作)
図9は、複数の映像部分情報を表示するラスタ10と、透明部分23および不透明部分24からなる所定のパララックスパターンを有するパララックスバリアフィルタ20との、例示的な組合せを示す図である。上述のとおり、ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20が相互に組み合わされることによって(矢印DR参照)、映像表示部30(図1,図2参照)が構成される。
【0052】
本実施の形態においては、画素x(i、j)からなるラスタ10上の種々の視点A(k)における映像部分情報の各々は、k=1、・・・、nである複数の視点A(k)に対応する正確な二次元周期パターンによって割り当てられる。各画素x(i、j)によって形成される複数の映像部分情報は、それぞれ対応する観察者300(図1,図2参照)の視点A(k)からの位置(i、j)に基づいている。
【0053】
図9に示す本実施の形態においては、ラスタ10は、水平周期長として8画素、垂直周期長として8画素を含む。二次元周期パターンにおける水平周期長および垂直周期長の各々は、視点の数(n=8)に等しい。すなわち、8視点が、8画素x(i、j)の水平周期長で提供される。
【0054】
二次元周期パターンにおける水平周期長および垂直周期長の各々は、水平方向および垂直方向においてそれぞれ32以下の画素x(i,j)を含むように構成されるとよい。なお、それぞれ32画素x(i、j)の上限の例外も認められる。さらに、二次元周期パターンの水平および垂直の周期長は、0.98<y<1.02である補正係数yまでパララックスバリアフィルタ20の透明部分23のそれぞれの水平周期長および垂直周期長と一致するように構成されるとよい。
【0055】
図10は、映像部分情報1〜8を表示するラスタ10と、透明部分23および不透明部分24からなるパララックスパターンを有するパララックスバリアフィルタ20とが、互いに組み合わされることによって映像表示部30を構成した状態を示す図である。
【0056】
図10に示すように、パララックスバリアフィルタ20の視角制限効果に基づいて、1人または複数(ここでは4人)の観察者300(図1,図2参照)が両眼でそれぞれ実質的に異なった画素x(i、j)および/またはその部分を視ることで、両眼がそれぞれ実質的に異なった視点A(k)を知覚し、こうして立体視感が生じる。たとえば、画素R1,G1,B1および画素R2,G2,B2を含む映像32(視差画像)が、1人の観察者300の右眼に観察され、この観察者300の左眼には観察されない。この場合、ある程度まで、同一の観察者300の両眼が、同一の視点A(k)の映像部分情報を視ることがあるが、その際、立体感が損なわれることはない。
【0057】
ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20は、複数の視点A(k)が所定のシーンまたは所定のオブジェクト毎の種々の透視投影にそれぞれ対応するように構成される。パララックスバリアフィルタ20のパラメータは、冒頭で述べたパララックスバリアの理論(非特許文献1)に記載される2つの数式によって算出される。その際、入力パラメータとしては、特に、画素x(i、j)の高さおよび幅も含まれる。
【0058】
(作用・効果)
上述のとおり、スペーサ治具部材40の内周面41S,42Sに反射部材43が設けられる。ラスタ10からの表示光の散乱光は、パララックスバリアフィルタ20の透明部分23を効率良く通過することができる。高輝度立体表示装置100によれば、パララックスバリアフィルタ20による輝度低下を防いだ明るい立体映像を表示することが可能となる。
【0059】
特に、本実施の形態における高輝度立体表示装置100は、バリア技術に基づくオートステレオスコピック表示を可能にし、この場合、映像輝度の改善、モアレ効果の低減、および従来技術に対して向上した可視(単眼)解像度によって、複数の同時観察者が、望ましいとされたより良好な知覚を得ることができる。同時に、高輝度立体表示装置100によれば、3D視を行う場合の観察者の運動の自由度を比較的大きくすることも可能である。
【0060】
本実施の形態における高輝度立体表示装置100のラスタ10を構成するモニターとして、たとえば40インチのLCDモニターが用いられる場合、以下のパラメータが有利である。カラーサブピクセル(R、G、B)は、映像表示要素である画素x(i、j)に対応し、この場合、その高さがそれぞれ略0.648mm、幅が略0.216mmである。透明部分23の水平周期zeは1.7222768mmであり、垂直周期zlは3.875124mmである。
【0061】
また、本実施の形態における高輝度立体表示装置100のラスタ10を構成するモニターとして、たとえば32インチのLCDモニターが用いられる場合、以下のパラメータが有利である。ここでも、カラーサブピクセル(R、G、B)は、映像表示要素である画素x(i、j)に対応し、行i=1、・・・、768、および列j=1、・・・、1360×3=4080の解像度が提供される。この場合、映像表示要素である画素x(i、j)の高さは略0.511mmであり、幅が略0.17033mmである。透明部分23の水平周期zeは1.359104mmであり、垂直周期zlは3.057984mmである。
【0062】
さらには、シャープ株式会社製のLCD3210およびシャープ株式会社製の4010のLCDモニターは、水平線において元から1366×3画素を具有しているが、ピクセルを正確に制御するために、通常、1360×3=4080だけの水平画素、すなわち、カラーサブピクセルR、G、Bを用いるとよい。
【0063】
また、画素x(i,j)としては、R,G,若しくはBを有するカラーサブピクセルの他にも、RG色、RB色、若しくはRGBR色等を有するカラーサブピクセルのクラスタ、または、フルカラーピクセルから構成されてもよい。フルカラーピクセルとは、RGBカラーサブピクセルからなる白色混合産物、すなわちRGBトリプレット、ならびに、映像生成技術にもよるが、たとえば、投影モニターにおいて普及しているような、実際のフルカラーピクセルのことである。
【0064】
また、ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20によって構成される映像表示部30としては、カラーLCDモニター、プラズマディスプレイ、投影スクリーン、LEDベースのモニター、SEDモニター、またはVFDモニターを構成していてもよい。
【0065】
[実施の形態2]
図11および図12を参照して、本実施の形態におけるマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200について説明する。図11は、マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200を示す正面図である。図12は、図11中のXII−XII線に沿った矢視断面図である。
【0066】
図11および図12に示すように、マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200は、複数の映像表示部30A〜30Fを備える。映像表示部30A〜30Fは、水平方向およびまたは垂直方向に沿って並んで設けられる。
【0067】
具体的には、映像表示部30A,30B,30Cが水平方向に並んで設けられ、且つ、映像表示部30D,30E,30Fが水平方向に並んで設けられる。また、映像表示部30A,30Dが垂直方向に並んで設けられ、映像表示部30B,30Eが垂直方向に並んで設けられ、さらに、映像表示部30C,30Fが垂直方向に並んで設けられる。
【0068】
複数の映像表示部30A〜30Fの各々は、上述の実施の形態1における映像表示部30(図10参照)と同様に構成される。隣り合う映像表示部30A〜30F同士の間における峡額縁部分18には、レンチキュラーレンズ50が設けられる。
【0069】
マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200においては、上述の実施の形態1における映像表示部30に相当する映像表示部30A〜30Fが、いわゆるマルチ大画面で組み合わされる。なお、隣り合う映像表示部30A〜30F同士の間の境界部分の幅L(図12参照)は、10mm以下にするとよい。また、パララックスバリアフィルタ20の表面21上には、透明膜19が設けられるとよい。
【0070】
マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200によれば、迫力のある立体映像を提供することができる。さらに、峡額縁部分18がレンチキュラーレンズ50で覆い隠されることで、目地部分が目立たなくなる。マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200によれば、より立体感のある立体映像を提供することもできる。
【0071】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。たとえば、上記の各実施の形態に基づく特定の応用事例では、複数のパララックスバリアスクリーンが用いられてもよい。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
1〜8 映像部分情報、10 ラスタ、11 保護フィルム、12,17 基板、13,16 透明電極、14 シーラント、15 液晶物質、16a,16b,16c,x 画素、18 峡額縁部分、20 パララックスバリアフィルタ、21 表面、22 裏面、23 透明部分、24 不透明部分、25 バリア構造部、30,30A,30B,30C,30D,30E,30F 映像表示部、32 映像、40 スペーサ治具部材、41 縦枠部、41S,42S 内周面、42 横枠部、43 反射部材、50 レンチキュラーレンズ、100 高輝度立体表示装置、200 マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置、300 観察者、S 距離、i 行、j 列。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高輝度立体表示装置およびマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置に関し、特に、同時に複数の観察者が補助手段を用いずに立体映像を知覚できる高輝度立体表示装置およびマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オートステレオスコピックビジュアライゼーションの分野においては種々のアプローチが存在している。英国特許出願公開第190418672A号明細書(特許文献1)には、3D表示のためのラインスクリーンを用いたシステムが開示されている。パララックスバリアの理論(非特許文献1)には、3D表示のためにバリアスクリーンを使用する基本的知見が開示されている。
【0003】
特開平08−331605号公報(特許文献2)には、透明なバリア要素として、階段状に配列されたカラーサブピクセル(R色、G色またはB色)が開示されている。ほとんどのオートステレオスコピックシステムにおいては、同時に複数の視点(少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の視点)を表示することによって、水平方向の解像度の損失が生じる。階段状に配列されたカラーサブピクセルによれば、この水平方向の解像度の損失を、部分的に垂直方向の解像度の損失に置き換えることが可能となる。
【0004】
特開平08−331605号公報(特許文献2)における不利な点は、すべてのバリア方式と同様に、光の損失が大きいことである。特開平08−331605号公報(特許文献2)における他の不利な点は、観察者が左右に動いた場合に、ステレオコントラストが略100%から略50%に変化し、そして再び100%に変化することが繰り返される。このことは、観察空間における3D映像の質を不安定にしている。
【0005】
米国特許第5,808,599A号明細書(特許文献3)、米国特許第5,936,607A号明細書(特許文献4)、および、国際公開第00/10332A1号(特許文献5)には、サブピクセルベースの視点の分割を利用したレンチキュラー技術に関する改良が開示されている。
【0006】
欧州特許出願公開第791847A1号明細書(特許文献6)に開示されるオートステレオスコピック表示装置においては、種々の視点を示すディスプレイ上に、レンチキュラーレンズが配置される。このレンチキュラーレンズは、垂直線に対して傾斜している。ここで特徴的なのは、n個の視点が少なくとも2つのスクリーン上に分割され、これにより、ここでもまた解像度の損失が水平方向から部分的に垂直方向に置き換えられるという点である。しかしながら、レンチキュラーレンズの製造にはコストがかかり、これに基づく3Dディスプレイの生産プロセスは容易ではない。
【0007】
米国特許第6,157,424A号明細書(特許文献7)および国際公開第02/35277A1号(特許文献8)にも、オートステレオスコピックの改善に関する発明が開示される。これらの発明における不利な点は、ほとんどすべての3Dシステムが、ただ一人の観察者に対して表示されるか、および/または、多くの場合、受け入れがたいコストをかけてしか製造できないことである。
【0008】
独国特許発明第10003326C2号明細書(特許文献9)には、3D映像を生成する2D構造の波長選択的フィルタアレイに関するバリア技術が開示される。この発明における不利な点は、3Dシステムの輝度が、2Dディスプレイと比べて著しく低いことである。
【0009】
国際公開第2005/027534A2号(特許文献10)には、すべて(通常は2つ)の視点においてフル解像度で3D映像を表示する技術が開示される。当該技術においては、位置合わせに必要なコストが高く、比較的大きいスクリーンサイズ(たとえば略25インチから上)での実現が極めて困難である。
【0010】
国際公開第2004/077839A1号(特許文献11)には、輝度を改善したバリア技術が開示される。当該技術においては、特開平08−331605号公報(特許文献2)および独国特許発明第10003326C2号明細書(特許文献9)における階段状バリアのアプローチに基づいている。当該技術では、不透明なバリアフィルタ要素に対する透明のバリアフィルタ要素において、1/n(n:示される視点の数)よりも大きい特殊なデューティー比が用いられる。しかしながら、当該技術においては、不快なモアレ効果および/または著しく制限された奥行き感覚がもたらされる。なぜなら、ステレオコントラストが、たとえば特開平08−331605号公報(特許文献2)に開示される技術と比較して著しく低減されるからである。
【0011】
近年では、特表2010−524309号公報(特許文献12)に開示されるような三次元表示する方法および構成も知られている。当該公報によれば、直線状に区画形成されたラインによって透明部分が形成される。透明部分の幅によって、知覚される3D映像は、高い輝度を発揮することができるとともに、良好な(単眼)解像度をもたらすことができる。
【0012】
また、特表2010−524309号公報(特許文献12)によれば、パララックスバリアスクリーンのパラメータは、冒頭で述べたパララックスバリアの理論(非特許文献1)に開示される2つの数式を用いて簡単に算出することができると述べられている。これにより、複数の画素からなるラスタとパララックスバリアスクリーンとの間の距離に設定された人間の平均的眼間距離、観察距離、バリアの透明部分の(水平)周期長、および当該透明部分の線幅間の必要なすべての関係が求められるとある。
【0013】
なお、上記の文献中における「3Dディスプレイにおける可視(単眼)解像度」とは、時空間平均での3Dディスプレイの観察時に観察者の眼ごとにフルカラーに視える解像度と理解されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】英国特許出願公開第190418672A号明細書
【特許文献2】特開平08−331605号公報
【特許文献3】米国特許第5,808,599A号明細書
【特許文献4】米国特許第5,936,607A号明細書
【特許文献5】国際公開第00/010332A1号
【特許文献6】欧州特許出願公開第791847A1号明細書
【特許文献7】米国特許第6,157,424A号明細書
【特許文献8】国際公開第02/035277A1号
【特許文献9】独国特許発明第10003326C2号明細書
【特許文献10】国際公開第2005/027534A2号
【特許文献11】国際公開第2004/077839A1号
【特許文献12】特表2010−524309号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Sam H. Kaplan、「パララックスバリアの理論」、SMPTEジャーナル Vol.59、1952年7月、No7、11頁〜21頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、複数の同時観察者がより良く知覚できるようにするためのバリア技術に基づいたオートステレオスコピック表示をすることができるとともに、バリアによる輝度低下を防いだより明るい立体映像を表示することが可能な高輝度立体表示装置およびマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に基づく高輝度立体表示装置は、映像表示部およびスペーサ治具部材を備えた高輝度立体表示装置であって、上記映像表示部は、水平方向および垂直方向に沿ってそれぞれ配列された複数の画素を有し、複数の上記画素によって複数の映像部分情報を表示するラスタと、表面に複数の透明部分および複数の不透明部分が形成されるとともに、裏面が上記ラスタに対して所定の距離を空けて対向するように配置され、複数の上記透明部分および複数の上記不透明部分によって、上記映像部分情報を複数の視点において三次元映像として可視化させるパララックスバリアフィルタと、を含み、上記パララックスバリアフィルタの上記裏面には、複数の上記不透明部分に対応するように配列されたバリア構造部が形成され、上記スペーサ治具部材は、枠状に形成され、上記ラスタおよび上記パララックスバリアフィルタの間の空間を取り囲むように設けられるとともに、上記ラスタおよび上記パララックスバリアフィルタの相互の位置関係を固定し、上記パララックスバリアフィルタの上記バリア構造部、および、上記スペーサ治具部材の内周面には、反射膜が形成されているか、または、反射材料が塗布されている。
【0018】
好ましくは、複数の上記映像部分情報の各々は、複数の上記視点に対応する二次元周期パターンによって割り当てられ、上記二次元周期パターンにおける周期長は、水平方向および垂直方向においてそれぞれ32以下の上記画素を含む。
【0019】
好ましくは、上記二次元周期パターンにおける上記周期長は、複数の上記視点の数に等しい。
【0020】
好ましくは、上記画素は、R色,G色,若しくはB色を有するカラーサブピクセル、RG色若しくはRB色を有するカラーサブピクセルのクラスタ、または、フルカラーピクセルから構成される。
【0021】
好ましくは、上記ラスタおよび上記パララックスバリアフィルタは、複数の上記視点が所定のシーンまたは所定のオブジェクト毎の種々の透視投影にそれぞれ対応するように構成される。
【0022】
好ましくは、上記映像表示部は、カラーLCDモニター、プラズマディスプレイ、投影スクリーン、LEDベースのモニター、SEDモニター、またはVFDモニターを構成している。
【0023】
好ましくは、上記パララックスバリアフィルタはガラス基板から構成され、上記バリア構造部は、露光および現像により上記裏面上に積層された写真用フィルムであり、上記写真用フィルムに含まれる乳剤層は、上記ガラス基板に対面しないように形成される。
【0024】
好ましくは、上記バリア構造部は、上記ガラス基板に所定のインクが印刷されることによって形成される。
【0025】
好ましくは、上記パララックスバリアフィルタは、反射光を低減する干渉光反射防止層を含む。
【0026】
本発明に基づくマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置は、本発明に基づく上記の高輝度立体表示装置を備え、上記映像表示部は、水平方向およびまたは垂直方向に沿って複数並んで設けられ、隣り合う上記映像表示部同士の間における峡額縁部分には、レンチキュラーレンズが設けられる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の同時観察者がより良く知覚できるようにするためのバリア技術に基づいたオートステレオスコピック表示をすることができるとともに、バリアによる輝度低下を防いだより明るい立体映像を表示することが可能な高輝度立体表示装置およびマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態1における高輝度立体表示装置を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1における高輝度立体表示装置の分解した状態を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられるラスタを示す正面図である。
【図4】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられるラスタを示す断面図である。
【図5】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられるパララックスバリアフィルタの表面側を示す図である。
【図6】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられるパララックスバリアフィルタの裏面側を示す図である。
【図7】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられるスペーサ治具部材を示す正面図である。
【図8】図7中におけるVIII線によって囲まれた領域を拡大して示す図である。
【図9】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられる、複数の映像部分情報を表示するラスタと、透明部分および不透明部分からなる所定のパララックスパターンを有するパララックスバリアフィルタとの例示的な組合せを示す図である。
【図10】実施の形態1における高輝度立体表示装置に用いられる、映像部分情報を表示するラスタと、透明部分および不透明部分からなるパララックスパターンを有するパララックスバリアフィルタとが、互いに組み合わされることによって映像表示部を構成した状態を示す図である。
【図11】実施の形態2におけるマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置を示す正面図である。
【図12】図12は、図11中のXII−XII線に沿った矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0030】
[実施の形態1]
(高輝度立体表示装置100)
図1および図2を参照して、本実施の形態における高輝度立体表示装置100について説明する。図1は、高輝度立体表示装置100を示す斜視図である。図2は、高輝度立体表示装置100の分解した状態を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すように、高輝度立体表示装置100は、映像表示部30およびスペーサ治具部材40を備える。映像表示部30は、複数の視点A(k)(k=1、・・・、n)において、映像部分情報を可視化することができる。
【0032】
図2を参照して、具体的には、映像表示部30は、ラスタ10とパララックスバリアフィルタ20とを含む。詳細は図3および図9を参照して後述されるが、ラスタ10は、水平方向および垂直方向に沿ってそれぞれ配列された複数の画素(図3中における画素x)を有し、複数の画素によって複数の映像部分情報(図9中における映像部分情報1〜8)を表示することができる。
【0033】
パララックスバリアフィルタ20は、表面21および裏面22を有する。パララックスバリアフィルタ20は、製造上の観点から、ガラスから構成される。パララックスバリアフィルタ20は、たとえばプラスチックなどの透明樹脂基材から構成されてもよい。パララックスバリアフィルタ20は、反射光を低減する干渉光反射防止層を含んでいてもよい。パララックスバリアフィルタ20には、一般的な防眩用艶消しが用いられてもよい。
【0034】
パララックスバリアフィルタ20は、裏面22がラスタ10に対して観察者300の観察方向(矢印AR方向)に所定の距離Sを空けて対向するように配置される。なお、本実施の形態における高輝度立体表示装置100に基づいて立体感を得る観察者300は、複数であってもよい。パララックスバリアフィルタ20は、枠状に形成されたスペーサ治具部材40によって、ラスタ10に対して距離Sを空けた状態で、たとえば貼着または螺着などで持続的に装着される。距離Sは、映像表示部30の大きさがたとえば60インチであれば、14mmから16mmが好ましい。
【0035】
詳細は図5を参照して後述されるが、パララックスバリアフィルタ20の表面21には、複数の透明部分23および複数の不透明部分24が形成される。パララックスバリアフィルタ20は、複数の透明部分23および複数の不透明部分24によって、映像部分情報(図9中における映像部分情報1〜8)を複数の視点において三次元映像として可視化させることができる。
【0036】
(ラスタ10)
図3は、ラスタ10を示す正面図である。ラスタ10は、たとえば、対角サイズが略60インチのシャープ株式会社製の型式PN−V601のLCDディスプレイによって構成されることができる。
【0037】
ラスタ10は、水平方向および垂直方向に沿ってそれぞれ配列された複数の画素x(i,j)を有する。画素x(i、j)からなるラスタ10上において、指標記号である行iは水平方向(行方向)における座標を、指標記号である列jは垂直方向(列方向)における座標を示している。本実施の形態においては、行i=1、・・・、768、および、列j=1、・・・、1360×3=4080である。
【0038】
図4は、ラスタ10を示す断面図である。ラスタ10においては、一対の基板12および基板17が対向配置されている。基板12および基板17の内面側には、透明電極13および透明電極16と、絶縁層(図示せず)および配向層(図示せず)とが積層形成されている。シーラント14によってシーリングされた内部空間には、液晶物質15が注入密封されている。基板12の表面には、保護フィルム11が付着されている。
【0039】
複数の透明電極16の各々は、画素16a、画素16b、および画素16cをそれぞれ構成している。画素16a、画素16b、および画素16cは、上下の透明電極13および透明電極16が交差する部分であり、画像を構成する最小の単位である。画素16aは、たとえば赤色(R)を構成し、画素16bは、たとえば緑色(G)を構成し、画素16cは、たとえば青色(B)を構成している。画素16a、画素16b、および画素16cの一つ一つが、図3中における画素x(i,j)(カラーサブピクセル)の一つ一つに対応している。画素16a、画素16b、および画素16cによって、いわゆる一つの絵素が構成される。
【0040】
(パララックスバリアフィルタ20)
図5は、パララックスバリアフィルタ20の表面21側を示す図である。図5は、図2中における矢印V方向から見たパララックスバリアフィルタ20を示している。
【0041】
上述のとおり、パララックスバリアフィルタ20の表面21には、複数の透明部分23および複数の不透明部分24が交互に形成される。複数の透明部分23および複数の不透明部分24は、それぞれ少なくとも2画素以上のx(i、j)の幅を有する実質的にステップ状に区画形成されたラインに対応している。換言すると、パララックスバリアフィルタ20の表面21には、ラスタ10における画素x(i,j)の各々に対応するように、複数の不透明部分24がたとえば印刷によって形成されている。表面21の印刷が施されていない領域が、透明部分23を構成している。
【0042】
図6は、パララックスバリアフィルタ20の裏面22側を示す図である。図6は、図2中における矢印VI方向から見たパララックスバリアフィルタ20を示している。
【0043】
パララックスバリアフィルタ20の裏面22には、表面21に形成された複数の不透明部分24に対応するように配列された複数のバリア構造部25が形成される。換言すると、パララックスバリアフィルタ20の裏面22には、表面21と同じ開口部(透明部分23)を形成するように、複数のバリア構造部25が形成される。複数のバリア構造部25の位置(解像度)は、ラスタ10における画素x(i,j)の各々にも対応している。
【0044】
バリア構造部25は、パララックスバリアフィルタ20の裏面22に反射膜が形成されるか、または、反射材料が塗布されることによって形成される。具体的には、MgF2、SiO2,TiO2,Al2O3、ZrO2、またはTa2O5等の無機化合物が、真空条件下における薄膜形成技術を使用することによって、裏面22に対して単層または多層に被覆されることにより、バリア構造部25が形成される。薄膜形成技術としては、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法等が使用されるとよい。
【0045】
バリア構造部25は、ZrO2ゾル、TiO2ゾル、Sb2O5ゾル、WO3ゾル、Al2O3ゾル、またはZrSiO4ゾル等の高屈折率を有する微粒子状金属酸化物ゾルや、SiO2ゾルとシリコーン系組成物や、フッ素化シリコーン系組成物などが、裏面22に対して溶液コーティングされることにより形成されてもよい。また、バリア構造部25は、白インクなどの所定のインクがUVインクジェット方式で裏面22に対して塗布されることによって形成されることも可能である。
【0046】
バリア構造部25は、露光および現像により裏面22上に積層された写真用フィルムであってもよい。この場合、写真用フィルムに含まれる乳剤層は、ガラス基板に対面しないように形成されるとよい。
【0047】
(スペーサ治具部材40)
図7は、スペーサ治具部材40を示す正面図である。上述のとおり、スペーサ治具部材40は、枠状に形成され、ラスタ10(図2参照)およびパララックスバリアフィルタ20(図2参照)の間の空間を取り囲むように設けられる。スペーサ治具部材40は、ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20の相互の位置関係を固定する。スペーサ治具部材40の固定によって、ラスタ10とパララックスバリアフィルタ20との間には距離S(図2参照)が保持される。
【0048】
図8は、図7中におけるVIII線によって囲まれた領域を拡大して示す図である。図7および図8に示すように、スペーサ治具部材40は、縦枠部41および横枠部42を含む。縦枠部41の内周面41Sおよび横枠部42の内周面42Sには、反射部材43が設けられる。反射部材43は、内周面41S,42Sに対して反射膜が形成されるか、または、反射材料が塗布されることによって形成される。
【0049】
具体的には、反射部材43は、上述のバリア構造部25(図6参照)と同様に、MgF2、SiO2,TiO2,Al2O3、ZrO2、またはTa2O5等の無機化合物が、真空条件下における薄膜形成技術を使用することによって、内周面41S,42Sに対して単層または多層に被覆されることにより形成される。薄膜形成技術としては、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法等が使用されるとよい。
【0050】
反射部材43は、ZrO2ゾル、TiO2ゾル、Sb2O5ゾル、WO3ゾル、Al2O3ゾル、またはZrSiO4ゾル等の高屈折率を有する微粒子状金属酸化物ゾルや、SiO2ゾルとシリコーン系組成物や、フッ素化シリコーン系組成物などが、内周面41S,42Sに対して溶液コーティングされることにより形成されてもよい。また、反射部材43は、白インクなどの所定のインクがUVインクジェット方式で塗布されることによって形成されることも可能である。
【0051】
(ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20の表示動作)
図9は、複数の映像部分情報を表示するラスタ10と、透明部分23および不透明部分24からなる所定のパララックスパターンを有するパララックスバリアフィルタ20との、例示的な組合せを示す図である。上述のとおり、ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20が相互に組み合わされることによって(矢印DR参照)、映像表示部30(図1,図2参照)が構成される。
【0052】
本実施の形態においては、画素x(i、j)からなるラスタ10上の種々の視点A(k)における映像部分情報の各々は、k=1、・・・、nである複数の視点A(k)に対応する正確な二次元周期パターンによって割り当てられる。各画素x(i、j)によって形成される複数の映像部分情報は、それぞれ対応する観察者300(図1,図2参照)の視点A(k)からの位置(i、j)に基づいている。
【0053】
図9に示す本実施の形態においては、ラスタ10は、水平周期長として8画素、垂直周期長として8画素を含む。二次元周期パターンにおける水平周期長および垂直周期長の各々は、視点の数(n=8)に等しい。すなわち、8視点が、8画素x(i、j)の水平周期長で提供される。
【0054】
二次元周期パターンにおける水平周期長および垂直周期長の各々は、水平方向および垂直方向においてそれぞれ32以下の画素x(i,j)を含むように構成されるとよい。なお、それぞれ32画素x(i、j)の上限の例外も認められる。さらに、二次元周期パターンの水平および垂直の周期長は、0.98<y<1.02である補正係数yまでパララックスバリアフィルタ20の透明部分23のそれぞれの水平周期長および垂直周期長と一致するように構成されるとよい。
【0055】
図10は、映像部分情報1〜8を表示するラスタ10と、透明部分23および不透明部分24からなるパララックスパターンを有するパララックスバリアフィルタ20とが、互いに組み合わされることによって映像表示部30を構成した状態を示す図である。
【0056】
図10に示すように、パララックスバリアフィルタ20の視角制限効果に基づいて、1人または複数(ここでは4人)の観察者300(図1,図2参照)が両眼でそれぞれ実質的に異なった画素x(i、j)および/またはその部分を視ることで、両眼がそれぞれ実質的に異なった視点A(k)を知覚し、こうして立体視感が生じる。たとえば、画素R1,G1,B1および画素R2,G2,B2を含む映像32(視差画像)が、1人の観察者300の右眼に観察され、この観察者300の左眼には観察されない。この場合、ある程度まで、同一の観察者300の両眼が、同一の視点A(k)の映像部分情報を視ることがあるが、その際、立体感が損なわれることはない。
【0057】
ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20は、複数の視点A(k)が所定のシーンまたは所定のオブジェクト毎の種々の透視投影にそれぞれ対応するように構成される。パララックスバリアフィルタ20のパラメータは、冒頭で述べたパララックスバリアの理論(非特許文献1)に記載される2つの数式によって算出される。その際、入力パラメータとしては、特に、画素x(i、j)の高さおよび幅も含まれる。
【0058】
(作用・効果)
上述のとおり、スペーサ治具部材40の内周面41S,42Sに反射部材43が設けられる。ラスタ10からの表示光の散乱光は、パララックスバリアフィルタ20の透明部分23を効率良く通過することができる。高輝度立体表示装置100によれば、パララックスバリアフィルタ20による輝度低下を防いだ明るい立体映像を表示することが可能となる。
【0059】
特に、本実施の形態における高輝度立体表示装置100は、バリア技術に基づくオートステレオスコピック表示を可能にし、この場合、映像輝度の改善、モアレ効果の低減、および従来技術に対して向上した可視(単眼)解像度によって、複数の同時観察者が、望ましいとされたより良好な知覚を得ることができる。同時に、高輝度立体表示装置100によれば、3D視を行う場合の観察者の運動の自由度を比較的大きくすることも可能である。
【0060】
本実施の形態における高輝度立体表示装置100のラスタ10を構成するモニターとして、たとえば40インチのLCDモニターが用いられる場合、以下のパラメータが有利である。カラーサブピクセル(R、G、B)は、映像表示要素である画素x(i、j)に対応し、この場合、その高さがそれぞれ略0.648mm、幅が略0.216mmである。透明部分23の水平周期zeは1.7222768mmであり、垂直周期zlは3.875124mmである。
【0061】
また、本実施の形態における高輝度立体表示装置100のラスタ10を構成するモニターとして、たとえば32インチのLCDモニターが用いられる場合、以下のパラメータが有利である。ここでも、カラーサブピクセル(R、G、B)は、映像表示要素である画素x(i、j)に対応し、行i=1、・・・、768、および列j=1、・・・、1360×3=4080の解像度が提供される。この場合、映像表示要素である画素x(i、j)の高さは略0.511mmであり、幅が略0.17033mmである。透明部分23の水平周期zeは1.359104mmであり、垂直周期zlは3.057984mmである。
【0062】
さらには、シャープ株式会社製のLCD3210およびシャープ株式会社製の4010のLCDモニターは、水平線において元から1366×3画素を具有しているが、ピクセルを正確に制御するために、通常、1360×3=4080だけの水平画素、すなわち、カラーサブピクセルR、G、Bを用いるとよい。
【0063】
また、画素x(i,j)としては、R,G,若しくはBを有するカラーサブピクセルの他にも、RG色、RB色、若しくはRGBR色等を有するカラーサブピクセルのクラスタ、または、フルカラーピクセルから構成されてもよい。フルカラーピクセルとは、RGBカラーサブピクセルからなる白色混合産物、すなわちRGBトリプレット、ならびに、映像生成技術にもよるが、たとえば、投影モニターにおいて普及しているような、実際のフルカラーピクセルのことである。
【0064】
また、ラスタ10およびパララックスバリアフィルタ20によって構成される映像表示部30としては、カラーLCDモニター、プラズマディスプレイ、投影スクリーン、LEDベースのモニター、SEDモニター、またはVFDモニターを構成していてもよい。
【0065】
[実施の形態2]
図11および図12を参照して、本実施の形態におけるマルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200について説明する。図11は、マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200を示す正面図である。図12は、図11中のXII−XII線に沿った矢視断面図である。
【0066】
図11および図12に示すように、マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200は、複数の映像表示部30A〜30Fを備える。映像表示部30A〜30Fは、水平方向およびまたは垂直方向に沿って並んで設けられる。
【0067】
具体的には、映像表示部30A,30B,30Cが水平方向に並んで設けられ、且つ、映像表示部30D,30E,30Fが水平方向に並んで設けられる。また、映像表示部30A,30Dが垂直方向に並んで設けられ、映像表示部30B,30Eが垂直方向に並んで設けられ、さらに、映像表示部30C,30Fが垂直方向に並んで設けられる。
【0068】
複数の映像表示部30A〜30Fの各々は、上述の実施の形態1における映像表示部30(図10参照)と同様に構成される。隣り合う映像表示部30A〜30F同士の間における峡額縁部分18には、レンチキュラーレンズ50が設けられる。
【0069】
マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200においては、上述の実施の形態1における映像表示部30に相当する映像表示部30A〜30Fが、いわゆるマルチ大画面で組み合わされる。なお、隣り合う映像表示部30A〜30F同士の間の境界部分の幅L(図12参照)は、10mm以下にするとよい。また、パララックスバリアフィルタ20の表面21上には、透明膜19が設けられるとよい。
【0070】
マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200によれば、迫力のある立体映像を提供することができる。さらに、峡額縁部分18がレンチキュラーレンズ50で覆い隠されることで、目地部分が目立たなくなる。マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置200によれば、より立体感のある立体映像を提供することもできる。
【0071】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。たとえば、上記の各実施の形態に基づく特定の応用事例では、複数のパララックスバリアスクリーンが用いられてもよい。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
1〜8 映像部分情報、10 ラスタ、11 保護フィルム、12,17 基板、13,16 透明電極、14 シーラント、15 液晶物質、16a,16b,16c,x 画素、18 峡額縁部分、20 パララックスバリアフィルタ、21 表面、22 裏面、23 透明部分、24 不透明部分、25 バリア構造部、30,30A,30B,30C,30D,30E,30F 映像表示部、32 映像、40 スペーサ治具部材、41 縦枠部、41S,42S 内周面、42 横枠部、43 反射部材、50 レンチキュラーレンズ、100 高輝度立体表示装置、200 マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置、300 観察者、S 距離、i 行、j 列。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示部およびスペーサ治具部材を備えた高輝度立体表示装置であって、
前記映像表示部は、
水平方向および垂直方向に沿ってそれぞれ配列された複数の画素を有し、複数の前記画素によって複数の映像部分情報を表示するラスタと、
表面に複数の透明部分および複数の不透明部分が形成されるとともに、裏面が前記ラスタに対して所定の距離を空けて対向するように配置され、複数の前記透明部分および複数の前記不透明部分によって、前記映像部分情報を複数の視点において三次元映像として可視化させるパララックスバリアフィルタと、を含み、
前記パララックスバリアフィルタの前記裏面には、複数の前記不透明部分に対応するように配列されたバリア構造部が形成され、
前記スペーサ治具部材は、枠状に形成され、前記ラスタおよび前記パララックスバリアフィルタの間の空間を取り囲むように設けられるとともに、前記ラスタおよび前記パララックスバリアフィルタの相互の位置関係を固定し、
前記パララックスバリアフィルタの前記バリア構造部、および、前記スペーサ治具部材の内周面には、反射膜が形成されているか、または、反射材料が塗布されている、
高輝度立体表示装置。
【請求項2】
複数の前記映像部分情報の各々は、複数の前記視点に対応する二次元周期パターンによって割り当てられ、
前記二次元周期パターンにおける周期長は、水平方向および垂直方向においてそれぞれ32以下の前記画素を含む、
請求項1に記載の高輝度立体表示装置。
【請求項3】
前記二次元周期パターンにおける前記周期長は、複数の前記視点の数に等しい、
請求項2に記載の高輝度立体表示装置。
【請求項4】
前記画素は、R色,G色,若しくはB色を有するカラーサブピクセル、RG色若しくはRB色を有するカラーサブピクセルのクラスタ、または、フルカラーピクセルから構成される、
請求項1から3のいずれかに記載の高輝度立体表示装置。
【請求項5】
前記ラスタおよび前記パララックスバリアフィルタは、複数の前記視点が所定のシーンまたは所定のオブジェクト毎の種々の透視投影にそれぞれ対応するように構成される、
請求項1から4のいずれかに記載の高輝度立体表示装置。
【請求項6】
前記映像表示部は、カラーLCDモニター、プラズマディスプレイ、投影スクリーン、LEDベースのモニター、SEDモニター、またはVFDモニターを構成している、
請求項1から5のいずれかに記載の高輝度立体表示装置。
【請求項7】
前記パララックスバリアフィルタはガラス基板から構成され、
前記バリア構造部は、露光および現像により前記裏面上に積層された写真用フィルムであり、
前記写真用フィルムに含まれる乳剤層は、前記ガラス基板に対面しないように形成される、
請求項1から6のいずれかに記載の高輝度立体表示装置。
【請求項8】
前記バリア構造部は、前記ガラス基板に所定のインクが印刷されることによって形成される、
請求項7に記載の高輝度立体表示装置。
【請求項9】
前記パララックスバリアフィルタは、反射光を低減する干渉光反射防止層を含む、
請求項1から8のいずれかに記載の高輝度立体表示装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の高輝度立体表示装置を備え、
前記映像表示部は、水平方向およびまたは垂直方向に沿って複数並んで設けられ、
隣り合う前記映像表示部同士の間における峡額縁部分には、レンチキュラーレンズが設けられる、
マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置。
【請求項1】
映像表示部およびスペーサ治具部材を備えた高輝度立体表示装置であって、
前記映像表示部は、
水平方向および垂直方向に沿ってそれぞれ配列された複数の画素を有し、複数の前記画素によって複数の映像部分情報を表示するラスタと、
表面に複数の透明部分および複数の不透明部分が形成されるとともに、裏面が前記ラスタに対して所定の距離を空けて対向するように配置され、複数の前記透明部分および複数の前記不透明部分によって、前記映像部分情報を複数の視点において三次元映像として可視化させるパララックスバリアフィルタと、を含み、
前記パララックスバリアフィルタの前記裏面には、複数の前記不透明部分に対応するように配列されたバリア構造部が形成され、
前記スペーサ治具部材は、枠状に形成され、前記ラスタおよび前記パララックスバリアフィルタの間の空間を取り囲むように設けられるとともに、前記ラスタおよび前記パララックスバリアフィルタの相互の位置関係を固定し、
前記パララックスバリアフィルタの前記バリア構造部、および、前記スペーサ治具部材の内周面には、反射膜が形成されているか、または、反射材料が塗布されている、
高輝度立体表示装置。
【請求項2】
複数の前記映像部分情報の各々は、複数の前記視点に対応する二次元周期パターンによって割り当てられ、
前記二次元周期パターンにおける周期長は、水平方向および垂直方向においてそれぞれ32以下の前記画素を含む、
請求項1に記載の高輝度立体表示装置。
【請求項3】
前記二次元周期パターンにおける前記周期長は、複数の前記視点の数に等しい、
請求項2に記載の高輝度立体表示装置。
【請求項4】
前記画素は、R色,G色,若しくはB色を有するカラーサブピクセル、RG色若しくはRB色を有するカラーサブピクセルのクラスタ、または、フルカラーピクセルから構成される、
請求項1から3のいずれかに記載の高輝度立体表示装置。
【請求項5】
前記ラスタおよび前記パララックスバリアフィルタは、複数の前記視点が所定のシーンまたは所定のオブジェクト毎の種々の透視投影にそれぞれ対応するように構成される、
請求項1から4のいずれかに記載の高輝度立体表示装置。
【請求項6】
前記映像表示部は、カラーLCDモニター、プラズマディスプレイ、投影スクリーン、LEDベースのモニター、SEDモニター、またはVFDモニターを構成している、
請求項1から5のいずれかに記載の高輝度立体表示装置。
【請求項7】
前記パララックスバリアフィルタはガラス基板から構成され、
前記バリア構造部は、露光および現像により前記裏面上に積層された写真用フィルムであり、
前記写真用フィルムに含まれる乳剤層は、前記ガラス基板に対面しないように形成される、
請求項1から6のいずれかに記載の高輝度立体表示装置。
【請求項8】
前記バリア構造部は、前記ガラス基板に所定のインクが印刷されることによって形成される、
請求項7に記載の高輝度立体表示装置。
【請求項9】
前記パララックスバリアフィルタは、反射光を低減する干渉光反射防止層を含む、
請求項1から8のいずれかに記載の高輝度立体表示装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の高輝度立体表示装置を備え、
前記映像表示部は、水平方向およびまたは垂直方向に沿って複数並んで設けられ、
隣り合う前記映像表示部同士の間における峡額縁部分には、レンチキュラーレンズが設けられる、
マルチディスプレイ型高輝度立体表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−7903(P2013−7903A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140730(P2011−140730)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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