説明

高速遠心式オゾン水生成方法とシステム

【課題】 高速遠心式オゾン水生成方法とシステムの提供。
【解決手段】 本発明の高速遠心式オゾン水生成方法は、水と気相オゾンを利用し、高速遠心力を具えたシステム環境中で気体と液体の溶解結合を行なわせ、高濃度で且つ安定したオゾン水溶液を獲得する。本発明の高速遠心式オゾン水生成システムは、オゾン水生成機構、動力部品、水溶液供給ユニット、オゾン生成器、排水コントローラー及び検出フィードバックコントロールユニットを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高速遠心式オゾン水生成方法とシステムに係り、半導体ウエハー或いは光電材料とTFTディスプレイ装置のオゾン洗浄の技術領域、殺菌クリーニング或いは汚水の高級酸化処理等への応用に関係するオゾン水生成方法とシステムであって、特に、気相オゾンと水溶剤に高速遠心力場装置中で、マストランスファーの気相、液相の溶解を発生させ、洗浄溶液のオゾン水溶液を形成し、急速に安定した高濃度オゾン水を生成する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンは化学物質の急速酸化と分解に応用され、それはその分子の不安定な特性及び高い酸化力による。オゾンは人々の日常生活に確実に相当に大きなメリットをもたらしている。そのうち、オゾン水は、殺菌効率が比較的高い滅菌消毒剤とされ、それは医薬を分解でき、除臭、異臭除去、塩素除去及び水浄化等の多くの機能を有している。既知の機械式オゾン水の生成方法は、化学性処理方法使用の塩素消毒等の処理方法と比較すると、残留物質蒸発の待機時間を具備する必要がなく、ゆえに水中の分解しにくい物質と重金属の酸化処理に対して、更に良好な効果を得られる。大部分のオゾン水生成装置は、水電解或いは酸素電離を利用してオゾンを生成し、更にオゾン水混合装置でオゾンを水中に混入させて、オゾン水を取得する。これによりオゾン水混合装置はオゾン水製造に対して相当に重要な部品である。
【0003】
このほか、現在オゾン水は半導体シリコン基板、液晶ガラス基板、光シールド用石英基板等の光電子材料表面の異物除去に使用され、製品品質と製品上、極めて重要である。この目的のため、広く湿式洗浄が実施されている。有機物汚染或いは金属汚染の除去に対しては、強い酸化力を有する洗浄液が有効であり、これまでは、硫酸或いは過酸化水素水の混合液(SPM洗浄液)が採用されるか、塩酸と過酸化水素と超純水の混合液(SC2洗浄液)等の高温洗浄が採用されている。近年、洗浄過程の簡易化、資源節約、室温での洗浄が要求されるようになった。オゾンを水中に溶解すると、極めて強い酸化力を発揮して有効に電子材料表面の有機汚染或いは金属汚染を除去できるため湿式洗浄に次第に用いられるようになった。
【0004】
現在、既知のオゾン生成方法には、光化学法があり、この技術の多くは少量のオゾン製造の応用に使用されている。また、放電法もあり、これは自然界の電撃現象に類似し、これにより空気の湿度に対する要求は非常に高い。また、いわゆるプラズマ法もあり、これは純ガスを封入したガラス真空管を利用し、高エネルギー下で電子衝撃を発生させてオゾンを生成する。
【0005】
前述の方式で製造したオゾンを、殺菌及び汚水処理に使用するには、提供するオゾン溶解量が十分でなければならず、そうでなければ比較的高い濃度の汚染或いは徹底的殺菌に対応できない。ウエハー或いは光電基材の洗浄にあっては、気相オゾンを純水中に溶解して洗浄溶液を形成して洗浄作業を行う必要があり、且つ伝統的工業の必要とする低濃度オゾン(1ppm以内から数ppmまで)における運用とは異なる。半導体及び光電洗浄工程には中高濃度のオゾン水(数十ppm範囲)を長時間に安定して供給する必要があり、このため気相オゾンの水溶解度は、オゾン含有の超洗浄溶液の製造に対する重要なネックとなっている。且つ気相オゾンの溶解度は低く、環境変化に極めて敏感である。具体的に気相オゾン水溶解度に影響を与える主要な因子は、気相オゾンの濃度、溶液温度及びpH等である。
【0006】
現行のオゾン水溶解技術はいずれも単純に物理条件を制御して熱力学飽和濃度に近づけ、オゾン溶解効率を高める、というものであり、関係する技術資料及び特許には、オゾン水生成システム方面では、特許文献1(オゾン水生成システム設計に係り、pressurized vesselで溶解度を高めている)、及び、特許文献2(オゾン水生成システム設計に係り、パイプラインリアクターでオゾン溶解を行う)がある。ただし、オゾン溶解のマストランスファー行為の促進に対しては、普遍的に設計上の制限があり、即ち急速に熱力学上の平衡溶解濃度を達成することはできない。
【0007】
前述のこのようなオゾン水溶解装置に係る特許文献の内容を分析すると、多くはオゾン水気体液体接触システム及び走査システムの温度操作範囲制御を改良し、オゾン水濃度と反応速度を増す目的を達成している。単に物理条件を改変して熱力学のオゾン飽和濃度に近づけることの、オゾン水濃度を増すことに対する改善は有限であり、オゾン水供給装置の研究開発の多くは低濃度(数ppm)或いは低流量(数リットル/時間)の応用に集中し、現段階でオゾン水製造技術の発展は最大の技術ネックに遭遇しており、今日まで工業工程と日常使用上、普及していない原因の一つになっている。
【0008】
もう一つの重要な原因は、前述のこのような特許内容にあり、ウエハー洗浄過程或いは汚水と殺菌処理プロセス中に応用され、完全にオゾン濃度分布状況の掌握或いは自動調整が行えない。これまでオゾンプロセスは半導体製造工程のウエハー洗浄に用いられ、高濃度の気相オゾンを分散攪拌或いは露気装置でオゾンガスを分散させて最小気泡となし、気体液体接触表面積を増加し、これによりマストランスファー効果を増し、但し気泡は重力と浮力の制限を受け、有効に急速なマストランスファー効果と純水との溶解による高濃度液相オゾン水を提供できない。ウエハーが洗浄槽中に浸漬されると、急速に洗浄溶液中のオゾンが消耗され、且つ洗浄槽内のオゾン濃度分布状況を掌握できず或いは自動進行調整が行えない状況下にあって、往々にして反応過程中の後期の溶液中のオゾン濃度が不足し、有効にウエハー表面の有機物(例えばホトレジスト)或いはその他の酸化層の除去を行えず、ウエハーの洗浄時間を延長せざるを得ず、このため生産量を増すことができなくなる。更に連続式の大量洗浄工程作業を行えない。現在ある一部の改良プロセスによると、UV光を照射してオゾンの酸化能力を加速するが、但しその促進の程度は水溶液中のオゾン濃度により決定され、並びにUV光の照射による具体的な酸化能力向上は限られている。現在既知の気相オゾンと純水溶解技術上、有効な突破は獲得できない。また、殺菌と汚水処理部分に関しては、被処理水中に大量の有機汚染物或いは微生物の存在があり、往々にして急速にオゾン水が消耗され、液相オゾン濃度が下がり、これにより処理性能が低下し、並びに有害物質の残留或いは病菌の繁殖をもたらす。この現象は現存のオゾン水装置の使用上の一大ネックとなっている。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5971368号明細書
【特許文献2】ドイツ特許第9752769号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主要な目的の一つは、高速遠心式オゾン水生成方法を提供することにあり、この方法は、高速遠心力のシステム運転環境中にあって、高度のマストランスファーの気相オゾンを液相水溶液に溶解させて、急速に安定した高濃度オゾン水を生成する方法とする。
【0011】
本発明の別の目的は、高速遠心式オゾン水生成システムを提供することにあり、それは動力ユニットを回転させて高速遠心力場の環境を形成させ、液相水溶液を小液的或いは霧状となし、これにより伝送される気相オゾンを完全に溶解し、攪拌混合し、並びに急速に気相オゾンを溶解させるマストランスファーメカニズムにより、高濃度液相オゾン水溶液を得るシステムとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、このシステムは少なくとも、
水溶液と気相オゾンの高速遠心力場による高いマストランスファー接触溶解を行う環境を提供し、高いオゾン溶解度のオゾン水を生成する、オゾン水生成機構と、
上述のオゾン水生成機構に接続されて高速遠心力場環境を形成させる、動力部品と、
上述のオゾン水生成機構の溶解反応に用いられる気相オゾン濃度と生成されるオゾン水のオゾン濃度をモニタリングし、対比判断により気相オゾン濃度と動力部品の回転速度をフィードバック調整制御する、検出フィードバックコントロールユニットと、
を包含したことを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成システムとしている。
請求項2の発明は、請求項1記載の高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、オゾン水生成機構は、
管路によりオゾン水生成機構に接続されて水溶液を提供する、水溶液供給ユニットと、 気相オゾンを生成し並びに管路により上述のオゾン水生成機構に接続されて気相オゾンを提供する、オゾン生成器と、
上述のオゾン水生成機構に取り付けられて生成されたオゾン水の排出送出を制御する、排水コントローラーと、
を包含したことを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成システムとしている。
請求項3の発明は、請求項1記載の高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、オゾン水生成機構は、
中空の閉じた空間を反応槽として提供し、重力場環境の気、液溶解運転を行い、その回転主体が支持構造の多孔性内、外壁面で囲まれてなる、主体ケースと、
円桶環状の回転主体が配置され、内部に気液マストランスファー交換媒体が設置され、気液マストランスファー交換媒体が多孔性基材、慣性材料のいずれかとされた、遠心式気液交換装置と、
二つの気密ユニットであって、前述の回転主体を主体ケース内に取り付けるのに用いられ、気密軸シールとされ、気密軸シール内にベアリングが設置され、支持と気密の作用を具えた、上記気密ユニットと、
上述の水溶液供給ユニットが接続されて水溶液が導入される、入水口と、
前述の入水口に接続されたスプレーであって、上述の遠心式気液交換装置内に設置され、導入された水を回転主体にスプレーし、該スプレーは上述の入水口に接続されて複数のノズルを具えた管体を包含する、上記スプレーと、
入気口であって、管路で上述のオゾン生成器に接続されて取得した気相オゾンを導入する、入気口と、
上述の入気口に接続されたオゾン分散供給器であり、一つ或いはそれ以上が上述の主体ケースの内側壁面に取り付けられ、導入されたオゾンガスを均一に回転主体に供給し、該オゾン分散供給器は気管を具え、入気口により上述のオゾン生成器に接続され、気管に複数のノズルが設けられた、上記オゾン分散供給器と、
排気口であって、前述の回転主体に接続され、運転を提供して残りのオゾンガスを釈放する、排気口と、
を包含したことを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成システムとしている。
請求項4の発明は、請求項1記載の高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、回転速度コントローラーを包含し、該回転速度コントローラーは動力部品に接続され、検出フィードバックコントロールユニットの回転速度制御信号を受け取り、回転速度調整制御信号を出力して動力部品を回転速度変調を行う、高速遠心式オゾン水生成システムとしている。
請求項5の発明は、請求項1記載の高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、検出フィードバックコントロールユニットは、随時反応により生成した液相オゾン濃度をモニタリングするオゾン水濃度検出器と、前述の気相オゾン濃度検出器とオゾン水濃度検出器の検出結果を、設定値と対比判断し、これによりオゾン生成器を制御し、水溶液供給ユニットの供給量と回転速度コントローラーの動力部品の回転速度変調の制御により、オゾンガスと水溶剤間の強制溶解度を制御するフィードバックコントロールユニットを包含することを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成システムとしている。
請求項6の発明は、請求項1記載の高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、システムのオゾン水生成機構のオゾン水生成材料は、水溶液供給ユニットが管路で接続されて提供する水溶液、及び、オゾン生成器が生成し並びに管路で上述のオゾン水生成機構に接続されて提供する気相オゾンとされることを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成システムとしている。
請求項7の発明は、高速遠心式オゾン水生成方法において、高速遠心式オゾン水生成システムに応用され、該高速遠心式オゾン水生成システムは、遠心式気液交換装置を包含するオゾン水生成機構、遠心式気液交換装置の回転を駆動する動力部品、液相水溶液を提供する水溶液供給ユニット、気相オゾンを提供するオゾン生成器、排水コントローラー及び検出フィードバックコントロールユニットで構成され、該高速遠心式オゾン水生成方法は、
液相水溶液をオゾン水生成機構に提供するステップ、
気相オゾンをオゾン水生成機構に提供するステップ、
動力部品により遠心式気液交換装置の運転を駆動し、オゾン水生成機構内部の高速遠心力場環境を形成するステップ、
上述の高速遠心力場環境中にあって、液相水溶液と気相オゾンの高いマストランスファー接触溶解反応を形成するステップ、
生成した高濃度オゾン水を暫時オゾン水生成機構に保存し、排水コントローラーにより送出し、該高濃度オゾン水の濃度を、溶液の提供流量、気相オゾンの供給量及び遠心式気液交換装置の回転速度により制御するステップ、
を包含したことを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成方法としている。
請求項8の発明は、請求項7記載の高速遠心式オゾン水生成方法において、この方法は、更に、水溶液と気相オゾンの高速遠心力場のマストランスファー接触溶解反応中に、随時検出フィードバックコントロールユニットによりオゾンガス濃度のモニタリングを行い、設定値と対比し、並びに判断結果に基づきオゾン発生器、水溶液供給ユニットの供給量、及び回転速度コントローラーを駆動して動力部品の回転速度を変調するステップを包含することを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成方法としている。
請求項9の発明は、請求項7記載の高速遠心式オゾン水生成方法において、この方法は、更に、遠心式気液交換装置の高速遠心力場環境中で、遠心式気液交換装置を利用して液相水溶液を細分化して遠心力により放出し、液相水溶液と気相オゾンの高いマストランスファー接触溶解により高濃度オゾン水を生成するステップを包含することを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成方法としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、高速遠心式オゾン水生成方法を提供し、この方法は、高速遠心力のシステム運転環境中にあって、高度のマストランスファーの気相オゾンを液相水溶液に溶解させて、急速に安定した高濃度オゾン水を生成する方法である。
【0014】
本発明はまた、高速遠心式オゾン水生成システムを提供し、それは動力ユニットを回転させて高速遠心力場の環境を形成させ、液相水溶液を小液的或いは霧状となし、これにより伝送される気相オゾンを完全に溶解し、攪拌混合し、並びに急速に気相オゾンを溶解させるマストランスファーメカニズムにより、高濃度液相オゾン水溶液を得るシステムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜4は本発明の好ましい実施例の高速遠心式オゾン水生成システムのブロック図及びシステムの具体構造図である。この実施例の高速遠心式オゾン水生成システムは、システム構造が、気相オゾンを水溶液に溶解させて高濃度オゾン水を形成する環境を提供するオゾン水生成機構1、前述のオゾン水生成機構1を駆動して高速遠心力場を形成する動力部品2、水溶液材料を供給する水溶液供給ユニット3、気相オゾン材料を供給するオゾン生成器4、生成されたオゾン水の排出送出を行う排水コントローラー5、随時気相オゾン濃度を検出し並びに自動フィードバック調整制御を行う検出フィードバックコントロールユニット6、排水をろ過し更に遠心式気液交換装置に注入するろ過装置7、で構成され、これは図1、2に示されるようである。
【0016】
上述のオゾン水生成機構1は、気相オゾンの水溶液への溶解により高濃度オゾン水を生成する反応槽を具え、その内部に高速回転する遠心式装置が設置され、該反応槽の気密空間内中で、高速回転下の遠心式環境を形成し、進入水を切り割りして小液滴或いは霧状として遠心力により外向きに放出し、これにより遠心式装置に向けて伝送される気相オゾンを完全に溶解、攪拌混合し、並びに急速な気相オゾン溶解のマストランスファーメカニズムにより、高濃度液相オゾン水溶液を獲得する。
【0017】
前述のオゾン水生成機構1は、本発明の実施例では、図2〜4に示されるように、気液相溶解混合反応を行うための反応槽とされ、並びに暫時オゾン水の収集と貯蔵と流出を行う装置であり、好ましくは耐腐蝕性材料で形成された中空筒体構造とされる。遠心式気液交換装置12は、気密ユニット18、19を利用して前述の主体ケース11内に取り付けられ、並びに一端に入水口13とオゾンガスを排出する排気口14が藻ている。スプレー15が前述の遠心式気液交換装置12の中央部に設置され、それは管体151を包含し、入水口13と接続され、並びに管体151により複数のノズル152が設置され、用水を導入し並びに前述の遠心式気液交換装置12内においてスプレー動作を行い、これは図3、4に示されるとおりである。少なくとも一つのオゾン分散供給器16が、主体ケース11の内側壁面に配列され、気相オゾンを取得し並びに気管161の複数のノズル162より、高濃度気相オゾンを均一に主体ケース11内に分散させ、これにより遠心式気液交換装置12の運転時のオゾンガス交換効率を増し、これは図2に示されるとおりである。オゾン水出水口17は、遠心力により遠心式気液交換装置12より放出された高濃度オゾンを含有する水溶液を収集する。このほか、該オゾン水生成機構1の各入水口、出水口、入気口、排気口と、その他の水、気体入出を隔離する必要のある管路或いは関係する細部の気密性構造、及び気体圧力バイパス、或いは管路に接続された気相オゾン分析ユニットは、本発明の装置の運転中の随時検出分析で導入するオゾンガス濃度パラメータ等に関係する設備及び機器は、直接常用の気密部品配置と商業レベル設備及びその部品を採用するため、図示しない。
【0018】
前述の遠心式気液交換装置12は、本発明の具体的実施例によると、図3、4に示されるように、中空の円桶環状回転主体121を具え、該回転主体121は、多孔性基材、例えば多孔性金属或いは非金属材料を成形した構造により、内、外壁面122、123を支持してなり、気相オゾンを遠心式気液交換装置12への進入を提供し、及び反応により発生したオゾン水を排出する。回転主体121の内、外壁面122、123間に、気液マストランスファー交換媒体124が設けられ、該気液マストランスファー交換媒体124は多孔性基材、慣性材料のいずれかとされ、例えばプラスチックボール、ステンレスネット、ガラスボール、セラミックフィラー、金属酸化物タブレット材或いはその他の水溶液と気体に分散可能な材料構造とされる。
【0019】
前述の主体ケース11内に、更に重力式傾斜流動ストッパ板110が設けられ、並びにオゾン水出水口17の方向に傾斜するように形成され、遠心式気液交換装置12の遠心力により放出されたオゾン水を、集中させてオゾン水出水口17にガイドし排出させる。
【0020】
前述の気密ユニット18、19は、本発明の実施例では、気密軸シールとされ、気密軸シーール内にベアリングが設けられ、遠心式気液交換装置12の上下端に取り付けられ、支持と気密の機能を具備し、オゾン水生成過程中にあって随時遠心式気液交換装置12の密閉を保持し、オゾンガスの散逸による伝送効率の低下を防止する。
【0021】
上述の動力部品2は、駆動モータとされ、図2のように直接その回転軸21により、或いはベルト等間接伝動部品を利用して上述の遠心式気液交換装置12に接続され、オゾン溶解過程中の遠心式気液交換装置12の遠心力動力を提供する。前述の動力部品2は更に回転速度コントローラー22に接続され、検出フィードバックコントロールユニット6の回転速度制御信号を受け取り、回転変調制御信号を出力して動力部品2の回転速度を改変する。こうして、動力部品に対する回転速度変調制御により、前述の遠心式気液交換装置12の回転速度と遠心力場調整を行う。
【0022】
上述の水溶液供給ユニット3は、管路により上述の遠心式気液交換装置12の入水口13に接続され、オゾン水の液相水溶液の生成に供される。前述の液相水溶液は一般水質とR0ろ過水及び超純水のいずれかとされる。
【0023】
上述のオゾン生成器4は、一端が酸素ガス入口41に接続され、酸素ガスをキャプチャしオゾンの生成を行い、別端は上述の遠心式気液交換装置12の入気口160に接続され、遠心式気液交換装置12の溶解反応によりオゾン水を生成するためのオゾンを提供する。
【0024】
上述の検出フィードバックコントロールユニット6は、図5に示されるように、気相オゾン濃度検出器61、例えば気相オゾン分析機を包含し、それは随時気相オゾンの供給量を検出する。及び、オゾン水濃度検出器62、例えば液相オゾン分析機を包含し、それは随時反応により生成された液相オゾン濃度を検出する。及び、フィードバックコントロールユニット63を包含し、それは前述の気相オゾン濃度検出器61とオゾン水濃度検出器62の検出結果を、設定値と対比判断し、これによりオゾン生成器4と水溶液供給ユニット3の供給量を制御する。
【0025】
前述の本発明の実施例の高性能オゾン水生成システムの使用する高性能オゾン水生成方法は、図6の本発明の実施例の運転フローチャートに示されるようであり、これについて図1のシステム構造と合わせて説明を行う。
【0026】
オゾン水生成機構1の入水口13に接続された水溶液供給ユニット3を起動し水溶液を導入し(900)、同時にオゾン水生成機構1の入気口160に接続されたオゾン生成器4を起動し、気相オゾンを導入する(902)。これにより水溶液と気相オゾンが同時に遠心式気液交換装置12に導入される(904)。遠心式気液交換装置12内のスプレー15の複数のノズル152により回転主体121に向けてスプレーし、回転主体121が動力部品2の駆動により高速回転して遠心力場を形成し、該遠心力場が水溶液を細分して小液滴或いは霧状となし、並びに遠心力によりそれを多孔性の内、外壁面122、123及び気液マストランスファー交換媒体124よりオゾン水生成機構1の主体ケース11に向けて放出し、また、入気口160より導入された気相オゾンが、オゾン分散供給器16の複数のノズル162より均一に導入され、並びに遠心式気液交換装置12内に向けて伝送され、これにより、主体ケース11の反応槽中において、遠心式気液交換装置12の高速遠心力回転運転が組み合わされ、気液溶解反応が行われる(906)。この高速遠心力回転運転が、気、液接触のマストランスファー速度を増し、並びに気、液界面のマイクロスコープ重力環境を改変し、遠心式気液交換装置12により大量に気、液接触のマストランスファー面積が増し、有効にオゾンの水溶液中の溶解度が高まり、並びにマストランスファーオゾンが平衡液相オゾン濃度に至る時間を減らす。前述の遠心式気液交換装置12の生成する高濃度オゾン水溶液は、排水コントローラー5の制御により、オゾン水出水口17に接続された管路で輸送される(908)。主体ケース11に供給され反応後の残った気相オゾンは、排気口14より排出される(910)。また排水制御された液体は、更に本発明のシステムのろ過装置7によりろ過された後、オゾン水生成機構1の遠心式気液交換装置12にフィードバックされて再使用に供される(912)。
【0027】
上述のオゾン水生成機構1と遠心式気液交換装置12の高速遠心力場環境でオゾン水を生成する過程中、上述のオゾン水生成機構1中の気相オゾンの供給量と濃度、及び生成される液相オゾン水濃度は、随時本発明の検出フィードバックコントロールユニット6によりモニタリングされる(914)。並びに前述の気相オゾン濃度検出器61とオゾン水濃度検出器62の検出結果に基づき、設定値と対比判断され、これにより検出フィードバックコントロールユニット6のフィードバックコントロールユニット63、或いは手動制御(916)により、回転速度コントローラー22が駆動され、回転速度コントローラー22によりオゾン生成器4の供給量が制御され(918)、或いは動力部品2の回転速度が調整制御され、遠心式気液交換装置12内の遠心力場運転が改変され、必要濃度の液相オゾン水が生成される。
【0028】
更に、図7を参照されたい。図7は本発明の前述の実施例の高性能オゾン水生成方法を使用する高性能オゾン水生成システムが生成するオゾン水を、半導体ウエハー或いはTFT洗浄工程に用いた場合のオゾン水酸素溶解濃度試験実験結果図である。
図7は本発明の前述の実施例の高性能オゾン水生成方法を使用する高性能オゾン水生成システムが生成するオゾン水を、半導体ウエハー或いはTFT洗浄工程に用いた場合のオゾン水酸素溶解濃度試験実験結果図である。
【0029】
図7の酸素溶解効率試験から分かるように、異なる気相オゾン進入濃度下及び動力部品2の回転速度下で、水溶液中のオゾン変化状況は1200rpm及び気相オゾン濃度は20mg/Lの時、最も速く液相オゾン濃度が上がり、且つ迅速に飽和液相溶解度に達し、しかし気相オゾン濃度が下がるに伴い、液相オゾン飽和濃度も下がり、且つ飽和濃度に達する時間もそれに相当する。但し、動力部品2の回転速度が維持され不変であると、進入気相オゾン濃度は液相オゾン飽和の速度に影響を与えない。このほか、本発明のシステムの不回転の条件下での比較を行うと、結果から分かるように、進入オゾン濃度は20mg/Lの条件で操作され、達成したいオゾン飽和溶解度をにかかる時間は非常に緩慢で、40分間の操作下で飽和溶解度の38%しか達成できず、本発明が高速遠心力場のシステムと生成方法を利用し、溶解度の向上に対して十分顕著な影響を有することが分かり、それは本発明の装置が高効率マストランスファーの遠心力場環境を提供して、気相オゾンを水中に溶解させることが分かる。
【0030】
上述の詳細な説明は本発明の実施例の具体的な説明に過ぎず、この実施例は本発明の請求範囲を限定するものではなく、本発明の技術精神より離脱せずになしうる同じ効果の実施或いは変更は、いずれも本発明の請求範囲に属する。
【0031】
総合すると、本発明は空間形態上、新規性を有し、並びに周知の物品と比較して上述の多種類の機能が増され、十分に新規性と進歩性の特許の要件を具備している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のシステム構造ブロック図である。
【図2】本発明のオゾン水生成構造の構造組成断面図である。
【図3】本発明の遠心式気液交換装置の水平断面図である。
【図4】本発明の遠心式気液交換装置の垂直断面図である。
【図5】本発明の検出フィードバックコントロールユニットの構造ブロック図である。
【図6】本発明の運転フローチャートである。
【図7】本発明のオゾン水溶解酸素濃度試験実験結果図である。
【符号の説明】
【0033】
1 オゾン水生成機構 2 動力部品
3 水溶液供給ユニット 4 オゾン生成器
5 排水コントローラー 6 検出フィードバックコントロールユニット
7 ろ過装置 11 主体ケース
12 遠心式気液交換装置 13 入水口
14 排気口 15 スプレー
16 オゾン分散供給器 17 オゾン水出水口
18、19 気密ユニット 21 回転軸
22 回転速度コントローラー 41 酸素ガス入口
61 気相オゾン濃度検出器 62 オゾン水濃度検出器
63 フィードバックコントロールユニット 110 重力式傾斜流動ストッパ板
121 回転主体 122 内壁面
123 外壁面 124 気液マストランスファー交換媒体
151 管体 152 ノズル
160 入気口 161 気管
162 ノズルヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、このシステムは少なくとも、
水溶液と気相オゾンの高速遠心力場による高いマストランスファー接触溶解を行う環境を提供し、高いオゾン溶解度のオゾン水を生成する、オゾン水生成機構と、
上述のオゾン水生成機構に接続されて高速遠心力場環境を形成させる、動力部品と、
上述のオゾン水生成機構の溶解反応に用いられる気相オゾン濃度と生成されるオゾン水のオゾン濃度をモニタリングし、対比判断により気相オゾン濃度と動力部品の回転速度をフィードバック調整制御する、検出フィードバックコントロールユニットと、
を包含したことを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成システム。
【請求項2】
請求項1記載の高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、オゾン水生成機構は、
管路によりオゾン水生成機構に接続されて水溶液を提供する、水溶液供給ユニットと、 気相オゾンを生成し並びに管路により上述のオゾン水生成機構に接続されて気相オゾンを提供する、オゾン生成器と、
上述のオゾン水生成機構に取り付けられて生成されたオゾン水の排出送出を制御する、排水コントローラーと、
を包含したことを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成システム。
【請求項3】
請求項1記載の高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、オゾン水生成機構は、
中空の閉じた空間を反応槽として提供し、重力場環境の気、液溶解運転を行い、その回転主体が支持構造の多孔性内、外壁面で囲まれてなる、主体ケースと、
円桶環状の回転主体が配置され、内部に気液マストランスファー交換媒体が設置され、気液マストランスファー交換媒体が多孔性基材、慣性材料のいずれかとされた、遠心式気液交換装置と、
二つの気密ユニットであって、前述の回転主体を主体ケース内に取り付けるのに用いられ、気密軸シールとされ、気密軸シール内にベアリングが設置され、支持と気密の作用を具えた、上記気密ユニットと、
上述の水溶液供給ユニットが接続されて水溶液が導入される、入水口と、
前述の入水口に接続されたスプレーであって、上述の遠心式気液交換装置内に設置され、導入された水を回転主体にスプレーし、該スプレーは上述の入水口に接続されて複数のノズルを具えた管体を包含する、上記スプレーと、
入気口であって、管路で上述のオゾン生成器に接続されて取得した気相オゾンを導入する、入気口と、
上述の入気口に接続されたオゾン分散供給器であり、一つ或いはそれ以上が上述の主体ケースの内側壁面に取り付けられ、導入されたオゾンガスを均一に回転主体に供給し、該オゾン分散供給器は気管を具え、入気口により上述のオゾン生成器に接続され、気管に複数のノズルが設けられた、上記オゾン分散供給器と、
排気口であって、前述の回転主体に接続され、運転を提供して残りのオゾンガスを釈放する、排気口と、
を包含したことを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成システム。
【請求項4】
請求項1記載の高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、回転速度コントローラーを包含し、該回転速度コントローラーは動力部品に接続され、検出フィードバックコントロールユニットの回転速度制御信号を受け取り、回転速度調整制御信号を出力して動力部品を回転速度変調を行う、高速遠心式オゾン水生成システム。
【請求項5】
請求項1記載の高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、検出フィードバックコントロールユニットは、随時反応により生成した液相オゾン濃度をモニタリングするオゾン水濃度検出器と、前述の気相オゾン濃度検出器とオゾン水濃度検出器の検出結果を、設定値と対比判断し、これによりオゾン生成器を制御し、水溶液供給ユニットの供給量と回転速度コントローラーの動力部品の回転速度変調の制御により、オゾンガスと水溶剤間の強制溶解度を制御するフィードバックコントロールユニットを包含することを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成システム。
【請求項6】
請求項1記載の高速遠心式オゾン水生成システムにおいて、システムのオゾン水生成機構のオゾン水生成材料は、水溶液供給ユニットが管路で接続されて提供する水溶液、及び、オゾン生成器が生成し並びに管路で上述のオゾン水生成機構に接続されて提供する気相オゾンとされることを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成システム。
【請求項7】
高速遠心式オゾン水生成方法において、高速遠心式オゾン水生成システムに応用され、該高速遠心式オゾン水生成システムは、遠心式気液交換装置を包含するオゾン水生成機構、遠心式気液交換装置の回転を駆動する動力部品、液相水溶液を提供する水溶液供給ユニット、気相オゾンを提供するオゾン生成器、排水コントローラー及び検出フィードバックコントロールユニットで構成され、該高速遠心式オゾン水生成方法は、
液相水溶液をオゾン水生成機構に提供するステップ、
気相オゾンをオゾン水生成機構に提供するステップ、
動力部品により遠心式気液交換装置の運転を駆動し、オゾン水生成機構内部の高速遠心力場環境を形成するステップ、
上述の高速遠心力場環境中にあって、液相水溶液と気相オゾンの高いマストランスファー接触溶解反応を形成するステップ、
生成した高濃度オゾン水を暫時オゾン水生成機構に保存し、排水コントローラーにより送出し、該高濃度オゾン水の濃度を、溶液の提供流量、気相オゾンの供給量及び遠心式気液交換装置の回転速度により制御するステップ、
を包含したことを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成方法。
【請求項8】
請求項7記載の高速遠心式オゾン水生成方法において、この方法は、更に、水溶液と気相オゾンの高速遠心力場のマストランスファー接触溶解反応中に、随時検出フィードバックコントロールユニットによりオゾンガス濃度のモニタリングを行い、設定値と対比し、並びに判断結果に基づきオゾン発生器、水溶液供給ユニットの供給量、及び回転速度コントローラーを駆動して動力部品の回転速度を変調するステップを包含することを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成方法。
【請求項9】
請求項7記載の高速遠心式オゾン水生成方法において、この方法は、更に、遠心式気液交換装置の高速遠心力場環境中で、遠心式気液交換装置を利用して液相水溶液を細分化して遠心力により放出し、液相水溶液と気相オゾンの高いマストランスファー接触溶解により高濃度オゾン水を生成するステップを包含することを特徴とする、高速遠心式オゾン水生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−187757(P2006−187757A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253401(P2005−253401)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(505331878)
【Fターム(参考)】