説明

魚様ロボット

【課題】 組み立て・解体が容易で点検・保守に便利な搭載品収納水密容器を備え、且つ単に水平方向に遊泳するだけでなく、3次元までの多様な運動が可能な魚様ロボットを提供する。
【解決手段】中空円筒21と,その中空円筒21の端部に嵌め込まれる円形端板23,24と,その円形端板23,24と中空円筒21の端部内面との隙間をシールするOリングと,を含む、搭載部品収納用水密容器20を備えている。また、尾鰭17を含む胴後部16を遥動させるところの、弾性変形容易な一枚の遥動板31を備えていると共に、その遥動板31の全て又は前側の一部を除く大部分を、その揺動板31を湾曲、揺動する駆動機構30とは別の駆動機構40によって胴本体部分15の鉛直対称面に対して左右に傾斜させ、折り曲げることが可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て・解体が容易で点検・保守に便利な搭載品収納水密容器を備え、且つ単に水平方向に遊泳するだけでなく、3次元までの多様な運動が可能な魚様ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚様(又は魚状)ロボットもしくは人工魚と称せられるものが種々提案され、その幾つかは実用化されている。そのうち、実際の魚の前進機構、水平旋回機構、及び上下運動機構について、それぞれ幾つかの例が示されており、また搭載品収納水密容器を内蔵していることも示されている。(例えば非特許文献1、特許文献1参照。)。
【0003】
前記非特許文献1によるものは、前進機構、水平先回機構が、尾鰭を含む胴後部が変形(湾曲)しないものであったり、変形するにしても複数に分割されていて、関節を軸に屈折するものであったりして、その動きが自然魚にみられる、いわゆるしなやかさに欠けると言う問題点がある。また、上下運動機構も原理的な説明が殆どであって、尾鰭が水平軸の周りに回動可能になっていて、それを水平にして上下に折り曲げるものと,リンクの自由端に重錘が取り付けられていて、そのリンクが基端の周りに鉛直対称面内で回動するものと,が別個に示されているだけで、しかもまだ基礎的データを得る段階に留まっていて、魚様ロボットと言えるものにはなっていない。さらに他搭載品収納水密容器は、水密性についてはともかく、組み立て・解体が困難であって、点検・保守が煩わしいと言う問題点がある。
【0004】
また、特許文献1には、水中航走体の内部に設けられた複数の動力機構と、前記水中航走体の内部より水密に且つ回動自在に水中航走体の外部に突出して前記各動力機構により個別に往復揺動される複数の揺動軸と、該各揺動軸に基端部が固着され且つ該基端部側から先端部側に至るに従い剛性が低くなるようにした可撓性を有する複数の揺動フィンとを備えた揺動式推進装置、さらにその水中航走体の中心軸線に対し直交する方向の軸線上に、対で揺動軸を設けた揺動式推進装置、水中航走体の中心軸線に対し直交する方向で且つ互いに直交する二つの軸線上に、それぞれ対で揺動軸を設けた揺動式推進装置が提示されている。
【0005】
この揺動式推進装置は、前記遥動フィンの遥動による水中航走体の推進に留まらず、従来推進の抵抗になっていた舵によらず、左右旋回、深度の変更等の推進方向の変更も可能であり、しかも前記推進に当たっても振動が少なく、上下左右のバランスがとれた姿勢制御可能であるとの効果が記されているが、しかしながら、通常プロペラ式はそれを逆回転すると水中航走体の減速・停止・後退も可能であるのに対して、それらについて発明者は無関心なのか、それらについては勿論、左右の揺動フィンを静止させた状態で使用すると言う発想は全く見られない。
【0006】
さらにこの揺動式推進装置は、浮沈タンクを利用した浮力制御装置や水中航走体の重心を移動し、それを長手方向に傾ける重心移動機構との組み合わせによってそれの挙動を多様化することについても全く触れていない。
【0007】
【非特許文献1】平田 宏一:海上技術安全研究所における魚ロボットの開発,海上技術安全研究所ホームページURL:http://www.nmri.go.jp/eng/khirata/fish/index_i.html 検索日 平成17年9月1日
【特許文献1】特開平11−321786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のことから、本発明は、上記した従来技術の欠点を除くために、組み立て・解体が容易で点検・保守に便利な搭載品収納水密容器を備え、且つ単に水平方向に前方に遊泳するだけでなく、3次元までの多様な運動が可能な魚様ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達するために、請求項1の発明は、外見が魚様に形成され、尾鰭を含む胴後部を遥動させることによって水中を遊泳することが可能に構成された魚様ロボットであって、搭載部品を水密に収納することが可能に、少なくとも一端が開かれた中空円筒と,その中空円筒の開かれた端部に嵌め込まれる円形端板と,その円形端板と中空円筒の開かれた端部内面との隙間をシールするOリングと,を含む水密容器を備えている。
【0010】
請求項2の発明は、外見が魚様に形成され、尾鰭を含む胴後部を遥動させることによって水中を遊泳することが可能に構成された魚様ロボットであって、尾鰭を含む胴後部を遥動させるところの、前端を固定端として湾曲、揺動する弾性変形容易な一枚の遥動板を備えていると共に、その遥動板の全て又は前側の一部を除く大部分を、その揺動板を湾曲、揺動する駆動機構とは別の駆動機構によって胴本体部分の鉛直対称面に対して左右に傾斜させることが可能に構成されている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明の構成に加えて、前記尾鰭を含む胴後部に、その断面形状を全く又は殆ど変えずに、前記遥動板の湾曲、遥動に伴って容易に遥動することが可能にその遥動板に複数の中実の板が長手方向に互いに隙間を開けて配列、結合された板列部分又はその板列部分と同じ包絡面を持つ肋骨状部分を備えている。
【0012】
請求項4の発明は、外見が魚様に形成され、少なくとも左右一対の翼を遥動することだけでも水中を移動することが可能に構成された魚様ロボットであって、
水平に移動している前記魚様ロボットを、その移動の方向とは逆の方向に移動させることも出来るよう、前記翼を前記魚様ロボットの左右対称面に垂直又は略垂直の一つの軸の周りに自在に回し、その翼の向きを逆にすることも可能であり、しかもその水平に移動している魚様ロボットを減速乃至は停止させることも出来るよう、その翼の向きを前記魚様ロボットの移動方向に垂直又は略垂直にすることが可能に構成されている
【0013】
請求項5の発明は、請求項4の発明の構成に加えて、尾鰭を含む胴後部を遥動させることも可能であり、且つ空気が封入された浮沈タンクへ水を導入したり、その浮沈タンクから水を排出したりすることによって浮力を制御することが可能に構成されている
【0014】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明の構成に加えて、重錘を前記魚様ロボットの長手方向に移動させることによってその重心を移動する重心移動機構を搭載しており、好ましくはその前記重心移動機構が、その重錘がネジ棒に螺合されていて、そのネジ棒の回転によって魚様ロボットの長手方向に移動するよう構成されている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、搭載部品を水密に収納する水密容器の組み立てに当たっては、2つの円形端板の間に搭載部品を組み込み、一体化した後、その2つの円形端板外周にOリングを装着し、円形端板の一方から他方に向かって軸方向に中空円筒を装着し、円形端板にネジ止めするだけで極めて水密性に優れており、また搭載部品の点検・保守に当たっては、ネジを外し、円形端板から中空円筒を抜き出すだけでよく、組み立て・解体、点検・保守共に極めて容易である。その他、詳細は省略するが、円形端板を貫通する軸等のシールはUカップパッキン等によれば問題はない。
【0016】
請求項2の発明によれば、遥動板は、極めて構造簡単にも関わらず、弾性変形容易であって、その前端を固定端としてしなやかに湾曲可能に構成されているため、その湾曲が左右交互に繰り返されると、しなやかに遥動する。しかも、その遥動板の全て又は前側の一部を除く大部分を、その揺動板を湾曲、揺動する駆動機構とは別の駆動機構によって胴本体部分の鉛直対称面に対して左右に傾斜させる(折り曲げる)ことが可能であるため、その揺動板の全て又は大部分を、それの湾曲、揺動だけでなく、独立に制御可能な平面内旋回部品(方向舵)として活用することが出来る。
【0017】
請求項3の発明によれば、請求項2の効果に加えて、尾鰭を含む胴後部は、遥動板に、複数の中実の板が長手方向に互いに隙間を開けて、配列、結合され、その断面形状を全く又は殆ど変えずに左右に遥動容易な板列部分又は肋骨部分を備えているため、前記遥動板の湾曲、遥動に伴って、しなやかに湾曲、揺動することが出来る。
【0018】
請求項4の発明によれば、翼の向きを魚様ロボットの長手方向に水平にして水平移動している魚様ロボットがそのまま進んで壁など障害物に衝突しないよう翼の遥動を停止し、その向きを進行方向に垂直にすれば、移動を阻む抵抗体として使用することも、さらに停止を早めるため翼の向きを逆にして遥動させ、逆推力を与えることも可能であり、それによって魚様ロボットの挙動をより肌理細かく制御可能となり、前記障害物への衝突を回避しながら、魚様ロボットを、余裕をもってそれに接近させることが出来る。
【0019】
また翼の向きを魚様ロボットの長手方向に平行にするだけでなく、非平行にすることによって鉛直、斜め前方・後方を問わずいずれの方向にも魚様ロボットを浮上又は沈降させることが可能である。しかし、魚様ロボットの長手方向に対する非平行の度合いが増すに従って本体移動に対する抵抗が増し、その推力は低下する。その他、従来同様左右一対の翼の一方の推力と他方のそれとの間に差を付けることによって、舵なしで魚様ロボットを左右に旋回させることも出来るのは勿論である。
【0020】
請求項5の発明によれば、この魚様ロボットは、翼を遥動させなくても、浮沈タンクによる浮力だけで電力を殆ど消費せずに浮沈可能である。この場合その速度は浮力如何によって決まる。翼が前記魚様ロボットの長手方向に前上向き又は前下向きに傾いている場合は、それによる揚力が生じ、例えば魚様ロボットの見掛け比重が水より小さい場合、その翼が魚様ロボットの長手方向に対して前上向きに傾いていれば、前上向きに、反対に前下向きに傾いていれば、後上向きに、それぞれ斜めに浮上する。他方魚様ロボットの見掛け比重が水より大きい場合、翼の傾きが前上向きであれば、後下向きに、前下向きであれば、前下向きにそれぞれ斜めに沈降する。
【0021】
他方翼を遥動させると、その翼が魚様ロボットの長手方向に平行であって、前向き(軸から長く伸びた部分が後方)であれば、魚様ロボットの見掛け比重が水より小さい場合、前上向きに浮上し、魚様ロボットの見掛け比重が水より大きい場合、前下向きに沈降するのに対して、反対に後向き(軸から長く伸びた部分が前方)であれば、魚様ロボットの見掛け比重が水より小さい場合、後下向きに沈降するが、魚様ロボットの見掛け比重が水より大きい場合、後上向きに浮上する。この場合、浮力が推力となっているため、上述の請求項4の発明の効果で述べた単に翼を魚様ロボットの長手方向に対して傾け、遥動させる場合よりも、動力消費が少なくなるのは勿論である。
【0022】
請求項6の発明によれば、重心移動機構の重錘の移動のみによって、魚様ロボットを容易に前上向き又は前下向きに傾斜した姿勢にすることが出来る。この場合魚様ロボットは、見掛け比重が水と同じであれば、翼を遥動しなければ静止したままであるが、それを遥動させるとその姿勢を保ちながら次のように様々な挙動をする。すなわち、翼が魚様ロボットの長手方向に平行であって、前向き(軸から長く伸びた部分が後方)であれば、前上向きに浮上又は前下向きに沈降するが、反対に後向き(軸から長く伸びた部分が前方)であれば、後下向きに沈降又は後上向きに浮上する。この場合、上述の請求項4の発明の効果で述べた単に翼を魚様ロボットの長手方向に対して傾け、遥動させる場合よりも、本体部分に対する抵抗が少なく、動力消費が少ないと言う利点がある。
【0023】
他方、翼が魚様ロボットの長手方向に平行でなく、例えば、翼が前向きで、魚様ロボットの長手方向に対して上向き(下向き)に傾いている場合は、その傾き角度の差だけそれぞれ移動の方向をさらに上向き(下向き)に出来る。さらにそのうえ、翼が静止していても、浮沈タンクによって魚様ロボットの見掛け比重(浮力)を変化させ、殆ど動力を消費することなく、略上述の姿勢を維持したまま魚様ロボットを斜めに進退(浮沈)させることも出来る。勿論これに翼の遥動を組み合わせることも可能である。
【0024】
請求項7の発明によれば、請求項4乃至6の発明の効果に加えて、詳細は省略するが、尾鰭を含む胴後部の遥動が加わり、尾鰭を含む胴後部の遥動を主たる推力として使用し、左右一対の翼を後退・旋回・浮沈その他の細かい動作に使用する等、翼のみとは異なる多様な挙動を発揮可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の魚様ロボットを実施するための最良の形態について図1(a),(b),(c)によって説明すると、10は魚様ロボット、11はそれを覆う外皮であって、不可欠ではないが、中空状一体又は略一体のゴム様弾性体よりなり、しかも、形態・模様・色・触感に至るまでその外観が可能な限り自然魚に似るよう造られている。なお、15は魚様ロボットの胴本体部分、16は胴本体部分15の後方に一体に結合された胴後部、17はその胴後部16の後部、それと一体に結合された尾鰭、18は前記胴本体部分15の前方に一体に結合された頭部である。
【0026】
次に20は、大部分の搭載部品(後述)を水密に収容する水密容器であって、胴本体部分15、頭部18内に配置され、主として両端が開かれた中空円筒21と,前端が閉じられ、後端が開かれた断面円形のキャップ22と,前記中空円筒21の各端部が外嵌される円形端板23,24と,各円形端板23,24と,前記中空円筒21、キャップ25と,の間をシールするOリング25と,よりなるが、そのうち円形端板23は、後述する理由から刳り抜かれていると共に、それにはキャップ22の後端部も外嵌されている。その他図示は省略するが、両円形端板23,24間には複数本の支柱等が張架されている。
【0027】
続いて、それぞれ尾鰭17を含む胴後部16の遥動・推進、水平面内での旋回に関連する構成について説明する。先ず尾鰭等揺動機構30について説明すると、31は尾鰭17を含む胴後部16の鉛直対称面上に展開される、弾性変形容易な一枚の金属製の遥動板であって、その前端は前記水密容器20の後側円形端板24の後方に結合された軸支持部材27の後端に固定されている。32は揺動軸であって、その軸支持部材27上下に鉛直に取り付けられた1対の軸受け(記号省略)に回動自在に支承されている。33,33はその揺動軸32に垂直一体に固定され、その揺動軸32に対称に左右水平方向に延びる上下1対のレバー、34,34はその各レバー33と前記揺動板31の後部との間に張架された左右1対の金属細線、35は揺動用動力伝達部分であって、前記揺動軸32とそれを駆動する揺動用サーボモータ37との間に介在する、水平軸36その他の部材よりなる。なお、水密容器20を貫通する前記水平軸36の一部及び揺動用サーボモータ37は水密容器20内に水密に収納されている。
【0028】
次に尾鰭17を含む胴後部16を折り曲げ、魚様ロボット10を水平面内で旋回させる旋回機構40について説明すると、41は旋回軸であって、上記軸支持部材27、上記揺動軸32前方の上下に鉛直に取り付けられた1対の軸受け(記号省略)に回動自在に支承されている。42はその旋回軸41に垂設され、その旋回軸41に対称に左右水平方向に延びるレバー、43,43はそのレバー42と前記揺動板31の前部との間に張架された左右1対の金属細線、45は旋回用動力伝達部分であって、前記旋回軸41とそれを駆動する旋回用サーボモータ46との間に介在する、前記円形端板24を貫通する水平軸45その他の複数の部材よりなる。なお、前記水平軸45の一部及び旋回用サーボモータ46は水密容器20内に水密に収納されている。
【0029】
3番目に上記尾鰭17を含む胴後部16の内部構造について説明すると、50は複数の円板51(又はそれに準ずる形状の板)が長手方向に隙間を開けて配列された板列部分であって、前記尾鰭17を含む胴後部16を覆う外皮11を内側から支持すると共に、その各円板51は前記遥動板31と一体に結合されていて、その断面形状を全く又は殆ど変えず、且つ円板51同士の隙間を変えることによって前記遥動板31と共に容易に左右に湾曲し、遥動することが可能に構成されている。なお、各円板51は水を含浸せず、非圧縮性の硬質発泡スチロール等の多孔質軽量材よりなる。また、この板列部分50に換えて、それと同じ包絡面を持つ肋骨状部分でもよい。この場合、見掛け比重低減のため、肋骨状部分内側にはその変形に支障のないよう多孔質軽量材が挿入されることが望ましい。
【0030】
4番目に魚様ロボット10の胴本体部分15の左右両側に設けられた翼機構60について説明すると、上記円形端板22の刳り貫かれた部分に配置された一対の翼回動用サーボモータ61,61、そのサーボモータ61,61に結合され、前記刳り貫かれた円形端板22をその半径方向に貫いて左右水平又は略水平(図では僅かに左右下向きに傾斜)に伸びる左右一対の軸(記号省略)に翼62,62が装着されていて、その翼62,62を、魚様ロボット10の長手方向に対して任意の角度に傾けたり、その傾きを中心に回動(遥動)させたりすることも出来る。なお、その翼62,62はそれぞれ軸に対して非対称であって、軸に垂直な一方向が他の方向に対して長く形成されている。また、上記機器、部品は翼62,62を除き水密容器20内に水密に収納されている。
【0031】
さらに詳細に説明すると、前記一対の翼回動用サーボモータ61,61によって前記左右一対の翼62,62を遥動することだけでも水中を移動することが可能であって、例えば水平に移動している前記魚様ロボット10を、その移動の方向とは逆の方向に移動させることも出来るよう、前記翼62,62を前記一対の翼回動用サーボモータ61,61によって前記魚様ロボット10の左右対称面に垂直又は略垂直の一つの軸の周りに自在に回し、その翼62,62の向きを逆にすることも可能であり、しかもその水平に移動している魚様ロボット10を減速乃至は停止させることも出来るよう、その翼62,62の向きを前記魚様ロボット10の移動方向に垂直又は略垂直にすることが可能に構成されている。
【0032】
5番目に魚様ロボット10の見掛け比重を調節する見掛け比重調節部70について説明すると、内部に空気が封じ込まれ、水を溜めることが出来る浮沈タンク71、その浮沈タンク71に外から水を導入したり、外へ排出したりするポンプ72の他給排水配管(図示省略)を備えている。なお、前記浮沈タンク71は、前記刳り貫かれた前側の円形端板22を越えて前方に延びている。また上記機器、部品は全て水密容器20内に水密に収納されている。
【0033】
6番目に魚様ロボット10の重心を長手方向に移動する重心移動機構80について説明すると、重錘81、その重錘81を前後水平方向に貫通し、それに螺合されるネジ棒82、そのネジ棒82を1組の歯車(記号省略)を介して回動させる重錘移動用サーボモータ83、及び重錘81の位置を検知するポテンショメータ84を備えている。なお、前記ネジ棒82は必要長さ確保のため、上記刳り貫かれた前側の円形端板23より前方に伸びている。また上記機器、部品は水密容器20内に水密に収納されている。
【0034】
以下作用について説明する。先ず搭載部品を水密に収納する水密容器20の作用について説明すると、組み立ては、2つの円形端板23,24の間に搭載部品を組み込み、支柱(図示省略)を含めて一体化した後、その2つの円形端板23,24外周にOリング24を装着し、円形端板23,24の一方から他方に向かって軸方向に中空円筒21を、またキャップ22を前側の円形端板23の前側からそれぞれ装着し、円形端板23,24にネジ止めするだけでよい。また、搭載部品の点検・保守に当たっては、そのネジを外し、円形端板23,24から中空円筒21及びキャップ22を抜き出すだけで前記円形端板23,24に取り付けられた搭載部品が露出する。しかもこの水密容器20は組み立てた状態では水密性に優れていて、内蔵の搭載部品が水濡れしたり、それに水が入ったりすることはない。その他、詳細は省略するが、前記軸貫通部分のシールはUカップパッキン等が使用されていて水の浸入については問題ない。
【0035】
次に魚様ロボット10の 尾鰭17を含む胴後部16の作動、特に魚様ロボット10の、それぞれ推進運動に関わる揺動板31の揺動、水平旋回運動に関わる揺動板31の折り曲げについて説明する。先ず前者の揺動板31の揺動について説明すると、揺動用サーボモータ37がその軸(記号省略)の周りに往復回動すると、その往復回動が揺動用動力伝達部分35、鉛直揺動軸32を経て上下2段の水平レバー33,33の往復回動に変換される。その往復回動によって、揺動板31は、左右いずれの方向にも湾曲せず、真っ直ぐな状態から、前記各レバー33,33と遥動板31の後部との間に張架された4本の金属細線34の左右いずれか一方の側が前に引っ張られ、他方の側が緩められること,と反対にその一方の側が緩められ、他方の側が前に引っ張られること,とが、交互に繰り返し行われることによって繰り返し左右に彎曲、遥動する。
【0036】
また、後者の魚様ロボット10の水平旋回運動に関わる揺動板31の折り曲げにについて説明すると、旋回用サーボモータ46によってその水平軸45が回動すると、その回動が、旋回用動力伝達部分44、鉛直旋回軸41を経て水平レバー42の水平面内の回動に変換される。その水平レバー42の回動によって、揺動板31は左右いずれの方向にも湾曲せず、真っ直ぐな状態から、前記各レバー42と遥動板31の前部との間に張架された2本の金属細線43の左右いずれか一方の側が前に引っ張られ、他方の側が緩められるか,反対にその一方の側が緩められ、他方の側が前に引っ張られるため、遥動板31の前部分が湾曲し、その後方の大部分がその前部分の鉛直対称面に対して折れ曲がる。それによって後述するように尾鰭17を含む胴後部16の前部分も同様に、且つしなやかに折れ曲がる。
【0037】
3番目の上記尾鰭17を含む胴後部16の内部構造の作用について説明すると、複数の円板51(又はそれに準ずる形状の板)が長手方向に隙間を開けて配列された板列部分50が、尾鰭17を含む胴後部16を覆う外皮11を内側から支持すると共に、その各円板51が前記遥動板31と一体に結合されているため、前述のようにその遥動板31又は/及びその前部が、しなやかに湾曲、遥動すると、それに追従して、各円板51はその断面形状を全く又は殆ど変えず、前後の隙間だけが変化する。従ってそれを覆う、尾鰭17を含む胴後部16又は/及びその前部の外皮11は、容易に且つしなやかに左右に湾曲、遥動し、前進又は/且つ旋回することが出来る。
【0038】
そのうえ、各円板51は水を含浸せず、非圧縮性の硬質の発泡スチロール等の多孔質軽量材よりなるため、見掛け比重低減のために必要な、水密容器20の空間の少なくとも一部を、このような多孔質軽量材によって代替可能となり、それだけ各種搭載機器・部品の形状、大きさ、配置の自由度が増大する。なお、この板列部分50に換えて、それと同じ包絡面を持つ肋骨状部分が使用されてもよい。この場合、その内側には、例えば水を含浸せず、見掛け比重が水よりも著しく低く、且つ水圧によって全く又は殆ど容積が変化しない、非圧縮性の硬質の発泡スチロール体、硬質のプラスチック球体等よりなる低比重定容部材が装填される。
【0039】
4番目の翼機構60の作用について説明する。魚様ロボット10は、静止状態で一対の翼62,62を前下向き又は前上向きに傾斜させるだけでは、重心は全く又は殆ど変化せず、水平のままである。しかし、そのとき尾鰭17を含む胴後部16が遥動し、魚様ロボット10が前進中であれば、その速度と翼62,62の長手方向の傾きに応じて揚力が生じ、翼62,62が前下向きであれば、魚様ロボット10は前下向きに傾斜し、沈降し、反対に翼62,62が前上向きであれば、前上向きに傾斜し、浮上する。
【0040】
なお、その速度と翼62,62の傾きとをそのまま維持しておくと、魚様ロボット10は、重心と浮心(浮力中心:魚ロボット10内をその搭載品に占有された部分を含めて全て水で満たしたときの重心であって、それに対して浮力が作用する)の位置が一致していれば、魚ロボット10の長手方向の傾きが次第に増し、宙返りも可能である筈である。しかし、一般には両者は一致していない(姿勢安定化のため、重心は浮心の直下にある)ため、その傾きの増大に伴って重心と浮心との長手方向のずれが増し、復元力が増すため、魚ロボット10の傾きはその速度と翼62,62の傾きに応じた一定値に落ち着く。なお、尾鰭17を含む胴後部16の遥動を止め、停止すると、魚様ロボット10は停止すると共に、水平姿勢に戻る。
【0041】
それに対して、この翼62,62は、軸に対して非対称に軸に垂直な一方向が他の方向に対して長く形成されているため、揚力を発生させるだけでなく、尾鰭17を含む胴後部16を停止した状態で、その翼62,62を遥動させることによって鉛直、斜め前方・後方を問わずいずれの方向にも推力をその傾きに応じて、生させることが出来る。例えば、翼62,62を魚様ロボット10の長手方向に平行にして、軸から長く伸びた部分を後側にして遥動させれば、魚様ロボット10は前進し、それに対して翼62,62を180°回し、逆向きにして遥動させると、それは後退し、また翼62,62を長手方向に垂直にし、軸から長く伸びた側を下にして遥動させると、それは鉛直方向に浮上する。しかし、非水平移動の場合は、魚様ロボット10の長手方向に対する非平行の度合いが増すに従って本体移動に対する抵抗が増すため、その推力は低下する。
【0042】
以上のことから、例えば翼62,62の向きを魚様ロボット10の長手方向に水平にして水平移動している魚様ロボット10を壁など障害物に接近させる場合、それに衝突しないよう翼62,62の遥動を停止し、その向きを進行方向に垂直にすれば、その翼62,62を推力に対する抵抗体として使用することも、さらにそれの停止を早めるため翼62,62の向きを逆にして遥動させ、逆推力を与えることも可能であり、それによって魚様ロボット10の挙動をより肌理細かく制御可能となり、余裕をもってそれに接近させることが可能である。
【0043】
その他、従来同様、同じ向きの左右一対の翼62,62の一方の推力と他方のそれとの間に差を付けることによって、舵がなくても、魚様ロボット10を左右に旋回させることも出来るのは勿論である。また、翼62,62を互いに反対向き、水平にして遥動させると、魚様ロボット10は平面上を旋回させることが出来る。この場合、尾鰭17を含む胴後部16は遥動させていても、停止させていてもどちらでもよい。以上翼62,62は、魚様ロボット10の挙動を少なからず多様にする作用がある。
【0044】
5番目の見掛け比重調節部70の作用について説明する。浮沈タンク71の水量調節によって見掛け比重が水のそれに等しく調整された魚様ロボット10は、浮力と重力とが等しく、見掛け上無重力状態であり、尾鰭17を含む胴後部16の遥動や翼62,62の遥動もなく、その他の推力が作用しなければ、例え上下左右に動いていたとしても、水の抵抗を受けて減速し、間もなく静止し、以後浮上することも、沈降することもない。また、魚様ロボット10の重心は、姿勢安定化のため、上述のように一般にその鉛直対称面内、浮心直下に位置するよう設定されており、その魚様ロボット10を左右、前後いずれかに傾けようとすると、重心と浮心との水平方向のずれが生じ、復元力が作用し、元に戻る。しかし、浮沈タンク71の水量を変化させ、その見掛け比重を、その魚様ロボット10を包囲する水の比重より大きくしたり、小さくすれば、魚様ロボット10はその姿勢のまま動力を殆ど消費せずに沈降させたり、浮上させたりすることも出来る。なお、その速度は浮力如何によって決まる。
【0045】
そのとき翼62,62を魚様ロボット10の長手方向に垂直な姿勢のまま静止させておけば、魚様ロボット10は鉛直方向に浮沈する。それに対して、その静止した翼62,62の傾きが前記魚様ロボット10の長手方向に垂直でなく、傾いている場合は、それによる揚力が生じ、例えば魚様ロボット10の見掛け比重が水より小さく、その翼62,62が魚様ロボット10の長手方向に対して前上向きに傾いていれば、前上向きに、反対に前下向きに傾いていれば、後上向きに、それぞれ斜めに浮上する。他方魚様ロボット10の見掛け比重が水より大きく、翼62,62の傾きが前上向きであれば、後下向きに、前下向きであれば、前下向きにそれぞれ斜めに沈降する。この場合も殆ど動力は消費しない。以上翼62,62は、魚様ロボット10の挙動を少なからず多様にする作用がある。
【0046】
他方翼62,62を遥動させると、その翼62,62が魚様ロボット10の長手方向に平行であって、前向き(軸から長く伸びた部分が後方)であれば、魚様ロボット10の見掛け比重が水より小さい場合、前上向きに浮上し、魚様ロボット10の見掛け比重が水より大きい場合、前下向きに沈降するのに対して、反対に後向き(軸から長く伸びた部分が前方)であれば、魚様ロボット10の見掛け比重が水より小さい場合、後下向きに沈降するが、魚様ロボット10の見掛け比重が水より大きい場合、後上向きに浮上する。
【0047】
6番目に、その魚様ロボット10に対して、重心移動機構80によって重錘81、すなわち重心を浮心より魚様ロボット10の長手方向に移動すれば、両者が同一鉛直線上に位置するよう、例えば重心が前側に移動すれば、前下向きに、また重心が後側に移動すれば、前上向きにそれぞれ傾斜する。この場合魚様ロボット10は、見掛け比重が水と同じであれば、尾鰭17を含む胴後部16又は翼62,62を遥動しなければ静止したままである。そして魚様ロボット10は、揺動板31、すなわち尾鰭17を含む胴後部16が遥動すれば、上記前上向き、又は前下向きに傾斜した、抵抗の最も少ない方向に向かって浮上したり、沈降したりする。そして重錘81の位置をそのまま保持すれば、魚様ロボット10はそのままの姿勢で浮沈を続ける。
【0048】
さらにこの場合魚様ロボット10は、見掛け比重が水と同じであれば、翼62,62のみを遥動させると、その姿勢を保ちながら次のような挙動を示す。すなわち、翼62,62が魚様ロボット10の長手方向に平行であって、前向きであれば(軸から長く伸びた部分を後方にすれば)、前上向きに浮上又は前下向きに沈降するが、反対に後向きであれば(軸から長く伸びた部分を前方にすれば)、後下向きに沈降又は後上向きに浮上する。
【0049】
他方、翼62,62が魚様ロボット10の長手方向に平行でなく、例えば、翼62,62が前向きで、魚様ロボット10の長手方向に対して上向き(下向き)に傾いている場合は、その傾き角度の差だけそれぞれ移動の方向が上向き(下向き)に出来ると言う利点はあるが、これも移動方向が魚ロボット10の長手方向に対して傾いているため、それに対して平行な場合よりも本体部分に対する抵抗が増し、動力消費が高くなる。さらに尾鰭17を含む胴後部16又は翼の遥動によらず、浮沈タンク71の水量の増減し、魚様ロボット10の見掛け比重(浮力)を変化させることを組み合わせることによって、殆ど動力を消費することなく、上述の姿勢を維持したまま魚様ロボット10を進退(浮沈)させることも出来る。その他尾鰭17を含む胴後部16の遥動を主たる推力として使用し、翼62,62を後退・旋回・浮沈その他の細かい動作に使用する等、翼翼62,62のみとは異なる多様な挙動も発揮可能になる。
【0050】
しかも、重心移動機構を構成する主要機器、部品が、重錘81、ネジ棒82、重錘移動用サーボモータ83、及びポテンショメータ84であって、ネジ棒82の回動によって重錘81、重心が長手方向に移動すると言うもので、その機構が簡単なうえ、占有空間が小さくて済み、他の手段に比較して重心制御が正確、容易である。
【0051】
本発明の魚様ロボットを実施するための第2の形態例について図2(a),(b)によって説明すると、大半は上述の第1の形態例の構成に同じ(同じ部分についてはそれと同じ記号を使用)であるが、それぞれ尾鰭117を含む胴後部116の遥動、魚様ロボット110の水平面内での旋回、に関連する構成がそれとは若干異なる。従って異なる部分のみについて説明する。なお、当然ながら魚様ロボット110も外皮の他、板列部分を同様に備えているが、図では省略されている。
【0052】
先ず揺動機構130について説明すると、131は前後及び上下に延び、弾性変形容易な一枚の金属製の遥動板であって、上述の揺動板31よりも長手方向にやや短くなっており、その前端は後述する補助水密容器120(後述)の一部である後側円形端板123の後面に突設された揺動軸支持部材127の後端に固定されている。132はその揺動軸支持部材127上の上下1対の軸受け(記号省略)に回動自在に支承された揺動軸、133,133はその揺動軸132に垂設され、その揺動軸132に対称に左右水平方向に延びるレバー、134,134はそのレバー133の各端と前記揺動板131の各面後部との間に張架された左右1対の金属細線、135は動力伝達部分あって、前記揺動軸132とそれを駆動する揺動用サーボモータ137との間に介在する、水平軸136その他の複数の部材(詳細については説明省略)からなる。
【0053】
ここで補助水密容器120について説明すると、前記水密容器20同様の機能を有し、中空円筒121とそれが外嵌される前記前後の円形端板122,123とOリング25とからなり、その補助水密容器120には、それの後側円形端板123を貫通する前記水平軸136を含む揺動用動力伝達部分の一部及び揺動用サーボモータ137が水密に収納されている。
【0054】
次に尾鰭117を含む胴後部116をその前部分に対して折り曲げ、魚様ロボット110を水平面内で旋回させる旋回機構140について説明すると、141は鉛直旋回軸であって、上記補助水密容器120の前側円形端板122前面への突設部分(記号省略)に固定されていると共に、その上下両端は水密容器20の後側円形端板24の後面に固定された旋回軸支持部材128上の上下1対の軸受け(記号省略)に回動自在に支承されている。142は旋回用動力伝達部分であって、前記旋回軸141とそれを駆動する旋回用サーボモータ144の間に介在する、水平軸143その他の複数の部材(詳細については説明省略)からなる。なお、水密容器20の後側円形端板24を貫通する前記水平軸142の一部と旋回用サーボモータ144は水密容器20に収容されている。
【0055】
魚様ロボット110の 尾鰭117を含む胴後部116の作動、特に魚様ロボット110の、それぞれ推進運動に関わる揺動板131の揺動、水平旋回運動に関わる揺動板131のその前部分に対する折り曲げについて説明する。そのうち、先ず揺動板131の揺動について説明すると、揺動用サーボモータ137がその軸(記号省略)の周りに回動すると、その回動が動力伝達部分135を経て水平レバー133の回動に変換される。その回動が繰り返されることによって、揺動板131は前記各レバー133と遥動板131の後部との間に張架された2本の金属細線134の左右いずれか一方の側が前に引っ張られ、他方の側が緩められること,と反対にその一方の側が緩められ、他方の側が前に引っ張られること,とが、交互に繰り返し行われ、それによって揺動板131の左右への彎曲、遥動が繰り返し行なわれる。以上の作動は上述の第1の形態例の揺動板31のそれと基本的には同じである。
【0056】
次に魚様ロボット110の水平旋回運動に関わる揺動板131の折り曲げについて説明すると、旋回用サーボモータ143がその軸の周りに回動すると、その回動が旋回用動力伝達部分142を経て鉛直旋回軸141の水平面内の回動に変換される。その鉛直旋回軸141の回動によって、補助水密容器120に固定された揺動板131がその鉛直旋回軸131の周りに回動する(その前部分の鉛直対称面に対して左右に折れ曲がる)。
【0057】
次いで尾鰭117を含む胴後部116全体の作動について説明すると、上述のように遥動板31同様に揺動板131が左右にしなやかに湾曲し、遥動すると、尾鰭117を含む胴後部116をそれぞれ構成する、図示は省略するが、外皮はその断面形状を全く又は殆ど変えずに、また、板列部分は円板同士の隙間を変えることによってしなやかに湾曲し、揺動し、それによって魚様ロボット110は自然魚のように前進する。それに加えて、揺動板131全体が補助水密容器120と共に、その前部分に対して回動すれば、その回動の角度に応じて、魚ロボット110は上述の魚ロボット10とは若干異なるが、基本的には自然魚のように左右にしなやかに旋回する。そのうえ上述の種々の運動が組合わされれば、魚様ロボット110は自然魚のようにしなやかに旋回しながら浮上、沈降する。
【0058】
第3の形態例について図3(a),(b)によって説明すると、かなりの空間を占める見掛け比重調節部270を水密容器220の外側に配置した以外、その構成は基本的には第2の形態例のそれと同様であり、各部の記号は、下二桁が第2の形態例のものと同じであれば、形状、大きさ、位置に僅かな相違はあるが、それと同じか略同じ機能を有する。なお、当然ながら魚様ロボット210も外皮211の他に板列部分を同様に備えているが、図では省略されている。
【0059】
特に見掛け比重調節部270について説明すると、浮沈タンク271、ポンプ272等が水密容器220の上に載置されていて、浮沈タンク271の下面は水密容器220の上面を抱くような断面形状とすることが出来、また、第1、第2の形態例では魚様ロボット10,110では胴本体部分15の断面が円形であったのが、本形態例では上下方向に長い長円にして、自然魚の形態に近付けることが出来る。それによって従来水密容器20内の部品配置が窮屈であったのに対して、水密容器220内に余裕が生じ、部品の配置がかなり容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を実施するための最良の形態例であって、(a)はその鉛直縦断面、(b)はその水平断面図、(c)は翼付近の横断面図である。
【図2】第2の形態例を示す、(a)はその鉛直縦断面、(b)その水平断面図である。
【図3】第3の形態例を示す、(a)はその鉛直縦断面、(b)その水平断面図である。
【符号の説明】
【0061】
10 魚様ロボット
11 外皮
15 胴本体部分
16 胴後部
17 尾鰭 18 頭部
20 水密容器
21 中空円筒
22 キャップ
23 円形端板
24 円形端板
25 Oリング
27 軸支持部材
30 揺動機構
31 遥動板
32 揺動軸
33 レバー
34 金属細線
35 揺動用動力伝達部分
36 水平軸
37 揺動用サーボモータ
40 旋回機構
41 旋回軸
42 レバー
43 金属細線
44 旋回用動力伝達部分
45 水平軸
46 旋回用サーボモータ
50 板列部分
51 円板
60 翼機構
61 翼回動用サーボモータ
62 翼
70 見掛け比重調節部
71 浮沈タンク
72 ポンプ
80 重心移動機構
81 重錘
82 ネジ棒
83 重錘移動用サーボモータ
84 ポテンショメータ
110 魚様ロボット
116 胴後部
117 尾鰭
120 補助水密容器
122 円形端板
123 円形端板
127 揺動軸支持部材
128 旋回軸支持部材
130 尾鰭等揺動機構
131 遥動板
132 揺動軸
133 レバー
134 金属細線
135 揺動用動力伝達部分
136 水平軸
137 揺動用サーボモータ
140 旋回機構
141 鉛直旋回軸
142 旋回用動力伝達部分
143 水平軸
144 旋回用サーボモータ
210 魚様ロボット
211 外皮
215 胴本体部分
216 胴後部
217 尾鰭
218 頭部
220 水密容器
221 中空円筒
222 キャップ
223 円形端板
224 円形端板
225 補助水密容器
227 軸支持部材
228 旋回軸支持部材
230 尾鰭等揺動機構
231 遥動板
232 揺動軸
233 レバー
234 金属細線
235 揺動用動力伝達部分
236 水平軸
237 揺動用サーボモータ
240 旋回機構
241 鉛直旋回軸
242 旋回用動力伝達部分
243 水平軸
244 旋回用サーボモータ
260 翼機構
261 翼回動用サーボモータ
262 翼
270 見掛け比重調節部
271 浮沈タンク
272 ポンプ
280 重心移動機構
281 重錘
282 ネジ棒
283 重錘移動用サーボモータ
284 ポテンショメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外見が魚様に形成され、尾鰭を含む胴後部を遥動させることによって水中を遊泳することが可能に構成された魚様ロボットであって、搭載部品を水密に収納することが可能に、少なくとも一端が開かれた中空円筒と,その中空円筒の開かれた端部に嵌め込まれる円形端板と,その円形端板と中空円筒の開かれた端部内面との隙間をシールするOリングと,を含む水密容器を備えている ことを特徴とする魚様ロボット。
【請求項2】
外見が魚様に形成され、尾鰭を含む胴後部を遥動させることによって水中を遊泳することが可能に構成された魚様ロボットであって、尾鰭を含む胴後部を遥動させるところの、前端を固定端として湾曲、揺動する弾性変形容易な一枚の遥動板を備えていると共に、その遥動板の全て又は前側の一部を除く大部分を、その揺動板を湾曲、揺動する駆動機構とは別の駆動機構によって胴本体部分の鉛直対称面に対して左右に傾斜させることが可能に構成されていることを特徴とする魚様ロボット。
【請求項3】
前記尾鰭を含む胴後部に、その断面形状を全く又は殆ど変えずに、前記遥動板の湾曲、遥動に伴って容易に遥動することが可能にその遥動板に、複数の中実の板が長手方向に互いに隙間を開けて配列、結合された板列部分又はその板列部分と同じ包絡面を持つ肋骨状部分を備えていることを特徴とする、請求項2に記載の魚様ロボット。
【請求項4】
外見が魚様に形成され、少なくとも左右一対の翼を遥動することだけでも水中を移動することが可能に構成された魚様ロボットであって、水平に移動している前記魚様ロボットを、その移動の方向とは逆の方向に移動させることも出来るよう、前記翼を前記魚様ロボットの左右対称面に垂直又は略垂直の一つの軸の周りに自在に回し、その翼の向きを逆にすることも可能であり、しかもその水平に移動している魚様ロボットを減速乃至は停止させることも出来るよう、その翼の向きを前記魚様ロボットの移動方向に垂直又は略垂直にすることが可能に構成されていることを特徴とする魚様ロボット。
【請求項5】
空気が封入された浮沈タンクへ水を導入したり、その浮沈タンクから水を排出したりすることによって浮力を制御することが可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の魚様ロボット。
【請求項6】
重錘を前記魚様ロボットの長手方向に移動させることによってその重心を移動する重心移動機構を搭載しており、好ましくはその前記重心移動機構が、その重錘がネジ棒に螺合されていて、そのネジ棒の回転によって魚様ロボットの長手方向に移動するよう構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の魚様ロボット。
【請求項7】
尾鰭を含む胴後部を遥動させることも可能であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の魚様ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−44545(P2008−44545A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223080(P2006−223080)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(000236104)MHIソリューションテクノロジーズ株式会社 (33)
【出願人】(501286510)株式会社メンテック (8)
【出願人】(506282698)広島ガスサービス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】