説明

鶏由来コラーゲン高含有物およびその抽出方法

【課題】 鶏の一部分からではなく、鶏全体からより効率よく、バランスの取れた良質なコラーゲンを提供する。
【解決手段】 本発明は、羽毛・内臓・脚を除去した食鳥類に水を加え、肉がほぐれ、皮が容易に剥けるまで煮沸し、表面にできた白色層を分離することを特徴とする、コラーゲン高含有物の抽出方法である。食鳥類の中でも特に鶏が原料として好適である。本発明のコラーゲン高含有物は、皮膚の消炎効果及び再生効果、臓器の消炎効果、細胞の活性効果に優れているため、食品用、化粧品用、医療用又はサプリメントに応用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の消炎効果及び再生効果、臓器の消炎効果、細胞の活性効果に優れた鶏由来コラーゲン高含有物およびその抽出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは硬たんぱく質の一つで、鶏や牛、豚、兎、羊などの皮膚や骨、軟骨、腱、胎盤などに含まれている。構成アミノ酸として主にグリシン、プロリン、グルタミン酸、アルギニンなどから成る繊維状の固体であり、膨潤する性質を持つ。細胞と細胞の間に存在し、細胞の発生・移動・増殖・形態・代謝等を調節する働きがある。
【0003】
コラーゲンの製法としては、廃棄処分される鶏の脚部を酸抽出し、酵素処理によりテロペプチドを除去するという方法がある。
【0004】
また、慢性関節リウマチ治療用II型コラーゲン熱変性物は、鶏の肋軟骨を粉砕し、水を加えて8〜15分煮沸することで得られる。
【特許文献1】特開2001−31699号公報
【特許文献2】特開平9−255581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は軟骨や脚部など、鶏の一部の部位からコラーゲンを抽出するのが一般的であった。しかしこの方法では、一定量のコラーゲンを抽出するのに大量の鶏が必要となる。
【0006】
そこで本発明では、鶏の一部分ではなく、鶏全体からより効率よく、バランスの取れた良質なコラーゲンを提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、次のような構成をとる。
▲1▼食用、化粧品用、医療用又はサプリメントに応用可能な、皮膚の消炎効果及び再生効果、臓器の消炎効果、細胞の活性効果に優れた食鳥類由来のコラーゲン高含有物。
▲2▼上記の食鳥類として、鶏を用いることを特徴とする上記▲1▼に記載のコラーゲン高含有物。
▲3▼羽毛・内臓・脚を除去した食鳥類に水を加え、肉がほぐれ、皮が容易にむけるまで煮沸し、表面にできた白色層を分離することを特徴とする、上記▲1▼に記載のコラーゲン高含有物の抽出方法。
▲4▼上記の食鳥類として、鶏を用いることを特徴とする上記▲3▼に記載のコラーゲン高含有物の抽出方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の鶏由来コラーゲン高含有物は、以下のような顕著な効果を奏する。
▲1▼皮膚への消炎効果が非常に高く、重症のにきびや発疹も、鶏由来コラーゲン高含有物を配合したパックを数回施すと大幅に改善される。
また、皮膚の再生効果にもすぐれ、やけどや日焼けに鶏由来コラーゲン高含有物を配合したパックを施せば、ほぼ完治することができる。
【0009】
▲2▼「臓器の炎症」とみなすことができる胃かいよう、肝硬変患者に対して本発明のコラーゲン高含有物の原液を服用させると、症状が著しく改善される。
【0010】
▲3▼細胞の活性効果にすぐれ、顔、手足に鶏由来コラーゲン高含有物を配合したパックを施すと、ツヤとうるおいが著しく増加し、美白効果も発揮する。
【0011】
以上のことから、本発明の鶏由来コラーゲン高含有物は、食品、化粧品、医療品、サプリメント等、幅広い分野に有用である。とくに、臓器の消炎効果を有することから、循環器系疾患やガン等、重症の成人病の分野にも応用できる可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の鶏由来コラーゲン高含有物は、以下の過程を経て抽出される。
▲1▼鶏の羽毛、内臓、脚を取り除いたものを用意する([図1]の▲1▼参照)。
【0013】
▲2▼20〜30lの鍋にこの鶏5〜8羽と、鶏が十分に浸る程度の水を加え、85〜100℃で3〜8時間煮沸する([図1]の▲2▼参照)。
【0014】
▲3▼鍋表面にできた白色層を分離し、鶏由来コラーゲン高含有物として用いる([図1]の▲3▼参照)。適度な粘度をもち、動物性たんぱく質特有の臭みがなく、冷却してもゲル化しないのが特徴である。
なお、より効果の高い濃厚なコラーゲンを得るには、原料に鶏を用いること、煮沸した鶏をとり出して新たに鶏を加え▲2▼と同様の工程を繰り返して濃縮させることが非常に有効である。以下の実施例では、鶏を原料とし、濃縮した鶏由来コラーゲン高含有物を使用している。
【実施例1】
【0015】
上記の過程により抽出した鶏由来コラーゲン高含有物30〜40gに鶏卵1個、増粘剤として小麦粉50gを加えてペースト状に練り、コラーゲンパックとした。
顔に重症のにきびのある女性に、コラーゲンパックを塗布し、15〜20分程度放置して乾燥させ、洗い流すという作業を3〜5回繰り返し、使用前との変化を比較した。
使用後、赤みが引き、にきびの痕が目立たなくなった。また、使用後1〜2ヶ月間新たににきびが形成されにくくなるという効果が見られた。
【実施例2】
【0016】
顔面にやけどを負った患者に対し、患部を冷却後、実施例1の方法により調合したコラーゲンパックを塗布し、実施例1と同様に15〜20分放置して乾燥させ、洗い流すという作業を3〜5回繰り返し、使用前との変化を比較した。
赤くただれていた患部が、コラーゲンパック使用後、赤み・ただれ共に大幅に軽減された。重度のやけどであったが、数日後にはかさぶたがきれいにはがれ、完治した。
【実施例3】
【0017】
実施例1の方法により調合したコラーゲンパックを顔・手足に塗布し、実施例1と同様に15〜20分放置して乾燥させ、洗い流すという作業を3〜5回繰り返し、使用前との変化を比較した。
使用前に比べ肌のツヤ、潤いが増加し、肌が全体として白くなる美白効果がみられた。
【実施例4】
【0018】
アトピー性皮膚炎患者に鶏由来コラーゲン高含有物の原液を服用させ、服用前との変化を比較した。
服用前に比べ赤みが著しく改善され、吹き出物の痕も目立たなくなった。痒みもほとんどなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】鶏由来コラーゲン高含有物の抽出方法を示した説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用、化粧品用、医療用又はサプリメントに応用可能な、皮膚の消炎効果及び再生効果、臓器の消炎効果、細胞の活性効果に優れた食鳥類由来のコラーゲン高含有物。
【請求項2】
前記の食鳥類として、鶏を用いることを特徴とする請求項1に記載のコラーゲン高含有物。
【請求項3】
羽毛・内臓・脚を除去した食鳥類に水を加え、肉がほぐれ、皮が容易にむけるまで煮沸し、表面にできた白色層を分離することを特徴とする、請求項1に記載のコラーゲン高含有物の抽出方法。
【請求項4】
前記の食鳥類として、鶏を用いることを特徴とする請求項3に記載のコラーゲン高含有物の抽出方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−195702(P2008−195702A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64137(P2007−64137)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(507080547)
【Fターム(参考)】