鼻炎を治療するためのTRPVLアンタゴニストSB−705498
本発明は、鼻炎の治療における尿素化合物の使用、該化合物を含有する水性医薬組成物、特に、鼻腔内投与に適した組成物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻炎の治療における尿素化合物の使用、該化合物を含有する水性医薬組成物、特に、鼻腔内投与に適した組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許出願WO03/022809は、バニロイド(vanilloid)受容体(VR1)アンタゴニスト活性を有する一連の尿素化合物を開示している。VR1は現在では一過性受容器電位バニロイド(transient receptor potential vanilloid)1(TRPV1)と改称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO03/022809
【発明の概要】
【0004】
化合物N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素、すなわち、化合物1
【化1】
またはその製薬上許容される塩が鼻炎の治療において有用であることが、本発明において見出された。
【0005】
本発明の1つの態様においては、鼻炎の治療における使用のためのN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0006】
本発明のもう1つの態様においては、鼻炎治療用医薬の製造のための、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0007】
さらにもう1つの態様においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の有効量を、鼻炎の治療を要する患者に投与することを含む、鼻炎の治療方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、ポイントデテクター(point detector)を使用してPANalytical X' Pert Pro粉末回折計モデルPW3040/60(製造番号DY667)上に記録された化合物1の結晶形態の回折パターンを示す。
【図2】図2は、TA Q100熱量測定計(製造番号0100-0332)を使用して得たDSCサーモグラフを示す。
【図3】図3は、対側性流体分泌に対するカプサイシン同側性チャレンジの効果を示す。
【図4】図4は、対側性流体分泌に対する高張性食塩水(HTS)チャレンジの効果を示す。
【図5】図5は、カプサイシン誘発性鼻分泌に対する経口未微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。
【図6】図6は、カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所未微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。
【図7】図7は、カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。
【図8】図8は、高張性食塩水誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。
【図9】図9Aおよび図9Bは、鼻神経支配モルモット三叉神経節細胞体から記録されたカプサイシン誘導性電流に対する化合物1の効果を示す。
【図10】図10は、カプサイシン誘発性鼻組織応答に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。
【図11】図11は、カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の12時間の前処理の効果を示す。
【図12】図12は、カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の24時間の前処理の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書中で用いる鼻炎なる語は、アレルギー性鼻炎および非アレルギー性鼻炎の両方を含むと理解されるべきである。非アレルギー性鼻炎の具体例には、血管運動神経性鼻炎、刺激性鼻炎、職業性鼻炎およびNARES(好酸球性非アレルギー性鼻炎)が含まれる。1つの実施形態においては、非アレルギー性鼻炎の治療においてN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を使用する。
【0010】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素は、特許出願WO03/022809(実施例1として)に開示されている方法または本明細書に記載の方法により製造されうる。
【0011】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素は製薬上許容される塩を形成しうる。好適な製薬上許容される塩は、当技術分野で通常使用されるものであり、Berge, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19に記載されているものを包含する。
【0012】
好適な製薬上許容される塩には、酸付加塩が含まれる。好適な製薬上許容される酸付加塩には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、オルトリン酸または硫酸との塩、あるいは有機酸、例えばメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、サリチル酸、マレイン酸、グリセロリン酸またはアセチルサリチル酸との塩が含まれる。
【0013】
1つの実施形態においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素は遊離塩基の形態である。
【0014】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素は結晶または非結晶形態で製造されうる。例えば、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素は、スキーム1に記載されている方法により結晶形態で製造されうる。
【化2】
【0015】
結晶形態は場合によっては水和または溶媒和されうると理解されるであろう。本発明は、その範囲内に、化学量論的水和物および可変量の水の含有を含む。好適な溶媒和物には、製薬上許容される溶媒和物、例えば水和物が含まれる。溶媒和物には、化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物が含まれる。
【0016】
本発明における使用のために、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を1以上の製薬上許容される賦形剤で製剤化して医薬組成物を得ることが可能である。該医薬組成物は、個々の投与様式に適合するよう設計される。
【0017】
本発明のもう1つの態様においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を含む水性医薬組成物、特に、鼻腔内投与のために適合化された組成物を提供する。
【0018】
本発明の水性医薬組成物は水性懸濁液または水溶液の形態でありうる。1つの実施形態においては、本発明の水性医薬組成物は水性懸濁液の形態である。該水性成分は、好ましくは、高品質の水、特に精製水である。
【0019】
本発明における使用においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩は典型的には粒子粉砕形態(particle-size-reduced form)であり、これは通常の技術、例えばマイクロ流動化(microfluidisation)、微粒化および摩砕、例えば湿式ビード摩砕(wet bead milling)により製造されうる。一般に、粉砕(例えば、微粒化)されたN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩は、約0.1〜10ミクロン、例えば約0.5〜10ミクロン、特には約2〜4ミクロン(例えば、レーザー回折を用いて測定した場合)のD50値により定義されうる。
【0020】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の比率は、製造すべき組成物の厳密なタイプに左右されるが、一般に、該組成物の総重量に対して約0.01〜20%(w/w)の範囲内である。しかし、一般に、ほとんどのタイプの製剤に関して、用いられる比率は約0.05〜10%(w/w)、例えば約0.1〜5%(w/w)の範囲内である。
【0021】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の用量は、治療すべき疾患の重症度および他の要因、例えば患者の体重によって通常の様態で変動する。一般的な指針としては、好適な単位用量は約0.005〜1mg、例えば0.005〜0.5mg/用量でありうる。そのような単位用量は1日1回または1日2回以上、例えば1日2または3回投与されうる。そのような療法は数週間または数ヶ月間継続されうる。
【0022】
場合によっては、追加の有効成分、特に鼻炎の治療において使用される鼻腔内投与に適したもの、例えば抗ヒスタミン薬またはコルチコステロイドが、該水性医薬組成物中に配合されうる。
【0023】
組合せ使用の場合、抗ヒスタミン薬の好適な具体例には、アゼラスチン(azelastine)、オロパタジン(olopatadine)、ベポタスチン(bepotastine)、またはN-[2-((2R)-2-{[4-[(4-クロロフェニル)メチル]-1-オキソ-2(1H)-フタラジニル]メチル}-1-ピロリジニル)エチル]-4-(メチルオキシ)ブタンアミド(特許出願WO2008/74803に開示されている)、4-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-({(2R)-1-[4-(4-{[3-(ヘキサヒドロ-1H-アゼピン-1-イル)プロピル]オキシ}フェニル)ブチル]-2-ピロリジニル}メチル)-1(2H)-フタラジノン(特許出願WO2007/122156に開示されている)またはN-(4-{4-[(6-ブチル-8-キノリニル)オキシ]-1-ピペリジニル}ブチル)エタンスルホンアミド(WO2009/021965として公開された特許出願PCT/EP2008/060622に開示されている)から選択される化合物が含まれる。
【0024】
組合せ使用の場合、コルチコステロイドの好適な具体例には、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone)(これは商標Flixonase(登録商標)で鼻腔内製剤として販売されている)、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(beclomethasone)(これは商標Beconase(登録商標)で鼻腔内製剤として販売されている)またはフラン酸フルチカゾン(fluticasone)(これは商標Veramyst(登録商標)で鼻腔内製剤として販売されている)が含まれる。1つの実施形態においては、本発明は、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩とフラン酸フルチカゾンとを含む水性医薬組成物を提供する。
【0025】
存在する場合には、そのような追加の有効成分の比率は一般に約0.05〜10%(w/w)、例えば約0.1〜5%(w/w)の範囲である。
【0026】
本発明の水性医薬組成物、例えば鼻腔内組成物は、懸濁化剤、増粘剤、保存剤、湿潤剤および等張性調節剤よりなる群から選択される1以上の製薬上許容される賦形剤を含みうる。
【0027】
したがって、1つの実施形態においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩と懸濁化剤とを含む水性医薬組成物を提供する。
【0028】
該懸濁化剤は、含まれる場合には、典型的には、該組成物の総重量に対して約0.1〜5%(w/w)、約1.5%〜2.5%(w/w)の量で存在する。懸濁化剤の具体例には、Avicel(登録商標)、カルボキシメチルセルロース、ビーガム(veegum)、トラガカント、ベントナイト、メチルセルロースおよびポリエチレングリコール、例えば微晶質セルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。
【0029】
1つの実施形態においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩と保存剤とを含む水性医薬組成物を提供する。
【0030】
安定性の目的において、本発明の組成物は保存剤の配合により微生物または菌類による汚染および増殖から防御されうる。製薬上許容される抗微生物物質または保存剤の具体例には、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セトリミドおよびセチルピリジニウム)、水銀物質(例えば、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀およびチメロサール)、アルコール物質(例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコールおよびベンジルアルコール)、抗細菌性エステル(例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸のエステル)、キレート剤、例えばエチレンジアミンテトラ四酢酸(EDTA)二ナトリウムおよび他の抗微生物物質、例えばクロロヘキシジン、クロロクレーゾール、ソルビン酸およびその塩(例えば、ソルビン酸カリウム)およびポリミキシンが含まれうる。製薬上許容される抗菌物質または保存剤の具体例には、安息香酸ナトリウムが含まれうる。保存剤は、含有されている場合には、該組成物の総重量に対して約0.001〜1%(w/w)、例えば約0.015%(w/w)の量で存在しうる。
【0031】
もう1つの実施形態においては、保存剤を含有しない水性医薬組成物を提供する。
【0032】
1つの実施形態においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩と湿潤剤とを含む水性医薬組成物を提供する。
【0033】
懸濁化医薬を含有する組成物は、該組成物の水相における医薬粒子の分散を促すために該粒子を湿らせるように働く製薬上許容される湿潤剤を含みうる。典型的には、使用される湿潤剤の量は混合中に該分散液の発泡を引き起こさないであろう。湿潤剤の具体例には、脂肪アルコール、エステルおよびエーテル、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80)が含まれる。該湿潤剤は、該組成物の総重量に対して約0.001〜1.0%(w/w)、例えば約0.001〜0.05%(w/w)、例えば約0.025%(w/w)の量で存在しうる。
【0034】
1つの実施形態においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩と等張性調節剤とを含む水性医薬組成物を提供する。
【0035】
等張性調節剤は、体液、例えば鼻腔内流体に対する等張性を付与して刺激レベルを軽減するために配合されうる。等張性調節剤の具体例には、塩化ナトリウム、デキストロース、キシリトールおよび塩化カルシウムが含まれる。等張性調節剤は、該組成物の総重量に対して約0.1〜10%(w/w)、例えば約5.0%(w/w)の量で配合されうる。
【0036】
さらに、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を含む水性医薬組成物は、好適な緩衝剤、例えばクエン酸ナトリウム、クエン酸、ホスファート、例えばリン酸二ナトリウム(例えば十二水和物、七水和物、二水和物および無水形態)またはリン酸ナトリウムおよびそれらの混合物の添加により緩衝化されうる。
【0037】
本発明の組成物、例えば鼻腔内投与に適した組成物は、場合によっては、他の賦形剤、例えば抗酸化剤(例えばメタ重亜硫酸ナトリウム)、矯味剤(例えばメントール)および甘味剤(例えばデキストロース、グリセロール、サッカリンおよび/またはソルビトール)を含有しうる。
【0038】
1つの実施形態においては、
(i)N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の水性懸濁液、
(ii)1以上の懸濁化剤、
(iii)1以上の保存剤、
(iv)1以上の湿潤剤、および
(v)1以上の等張性調節剤
を含む水性医薬組成物を提供する。
【0039】
本発明の水性医薬組成物は、当業者によく知られた標準的な方法を用いて、例えば、適切には周囲温度および大気圧でそれらの種々の成分を混合することにより製造されうる。
【0040】
1つの実施形態においては、本発明の水性医薬組成物は鼻腔内投与に適している。
【0041】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を含む鼻腔内組成物は、該化合物が鼻腔内(標的組織)の全領域に送達されるのを可能にし、さらに、該化合物がより長期間にわたって該標的組織と接触したままとすることを可能にしうる。鼻腔内組成物に関する好適な投与計画は、鼻腔がきれいにされた後に患者がそれを鼻からゆっくりと吸入するというものである。吸入中、一方の鼻孔を手で押さえつけながら、もう一方の鼻孔に(例えば噴霧剤または滴剤として)該組成物を投与する。ついで他方の鼻孔に対してこの手順を繰返す。典型的には、鼻孔当たり1または2の噴霧剤が毎日2または3回まで、理想的には1日1回、前記方法により投与される。
【0042】
本発明の組成物は好適な容器内で提供される。鼻腔内に局所投与されるように適合化された加圧されていない水性医薬組成物に特に関心が持たれる。水性組成物は噴霧化によっても鼻に投与されうる。
【0043】
したがって、本発明の水性医薬組成物を含む、鼻腔への該組成物の送達に適した容器を提供する。
【0044】
典型的には、本発明の組成物は、流体分配器、例えば、鼻腔内アプリケーターを有する多用量容器である好適な容器内に入れられ、この場合、該用量が一定体積で計量供給される。
【0045】
そのような流体分配器は典型的には分配ノズルまたは分配口を有し、それを介して、該流体分配器のポンプ(送出)機構に使用者が力を加えた際に該流体組成物の計量用量が分配される。そのような流体分配器は一般に、複数の計量用量の該流体組成物の貯蔵容器を備えており、該用量は連続的な送出作動に際して分配されうる。該分配ノズルまたは分配口は、鼻腔内への該流体組成物の噴霧分配のために使用者の鼻孔内に挿入されるように設計されうる。前記タイプの流体分配器はWO05/044354(その全内容を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載され図示されている。該分配器は、流体組成物を含有するための容器上に配置された圧縮ポンプを有する流体放出装置を収容するハウジングを有する。該ハウジングは、手指で操作可能な少なくとも1つの側方レバーを有し、これは該ハウジングに対して内向きに動くことが可能であり、それにより該ハウジングにおいて該容器が上方にカム運動して、該ポンプにより該組成物の一定用量が圧縮され該ハウジングの鼻腔ノズルを介してポンプステムから送出される。1つの実施形態においては、該流体分配器は、WO05/044354の図30〜40に図示されている一般的なタイプのものである。
【0046】
以下の実施例は本発明の水性医薬組成物およびその使用を例示するものである。これらの実施例は、該開示を例示するものであり該開示の範囲を何ら限定するものではないと解釈されるべきである。
【実施例】
【0047】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素(化合物1)の結晶形態の特徴づけ
例えばスキーム1に記載されている方法により製造された化合物1の結晶形態をX線粉末回折(XRPD)および示差走査熱量測定(DSC)により特徴づけした。
【0048】
X線粉末回折(XRPD)
図1は、ポイントデテクター(point detector)を使用してPANalytical X' Pert Pro粉末回折計モデルPW3040/60(製造番号DY667)上に記録された化合物1の結晶形態の回折パターンを示す。入手条件は以下のとおりであった:放射:Cu Kα、発電機電圧:40kV、発電機電流:50mA、開始角度:2.0°2θ、終了角度:45.0°2θ、ステップサイズ:0.02°2θ、1ステップ当たりの時間:1.0秒。フロントフィルド(front-filled)アプローチを用いてサンプルカップをローディングして粉末の薄層を得ることにより、該サンプルを調製した。固有XRPD角およびd-間隔を表1に示す。誤差限界は該ピーク帰属のそれぞれに関して約±0.1°2θである。Highscoreソフトウェアを用いてピーク位置を測定した。
【表1】
【0049】
示差走査熱量測定(DSC)
図2は、TA Q100熱量測定計(製造番号0100-0332)を使用して得たDSCサーモグラフを示す。該サンプルをアルミニウム製平鍋内に計り取り、平鍋の蓋を上に載せ、該平鍋を密閉することなく軽く押し付けた。該実験は、10℃分-1の加熱速度を用いて行った。
【0050】
実施例1
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素(化合物1)を含む水性医薬組成物の製造
本発明の水性医薬組成物は以下の一般的方法に従い製造されうる。
【0051】
等張性調節剤を、精製水を含有する好適な混合容器内に入れ、攪拌しながら溶解させる。保存剤を別個の容器内で精製水に予め溶解させる。これは、場合によっては、溶解を補助するために、選択した保存剤に応じて50〜60℃に加熱しながら行う。ついでそれを、連続的に攪拌しながら該等張性調節剤に加える。ついで懸濁化剤を該混合容器内に入れ、該溶液全体に分散させる。得られた懸濁ビヒクルを、架橋およびゲル化が保証される適当な時間にわたって水和させる。これは60分以上を要しうる。
【0052】
別個の混合容器内で湿潤剤を精製水と混合し、場合によっては、選択した湿潤剤に応じて適宜、それを例えば約50〜60℃に加熱し、攪拌して溶解させることが可能である。ついで化合物1またはその製薬上許容される塩(単独体または追加の活性成分と組合されたもの)のスラリーを調製する。これは、得られた湿潤剤溶液を該活性化合物(これは粉砕(粒径減少)、例えば微粒化されていることが可能である)に加えることにより行われ、それらは均一化/精製前に混合されうる。また、別個の混合容器内で、必要に応じて追加的な保存剤を精製水で希釈し、攪拌して混合することが可能である。
【0053】
該分散およびゲル化の後、活性化合物のスラリーを、懸濁化剤を含有する混合容器に加え、攪拌しながら分散させる。活性化合物のスラリーの添加の後、いずれかの追加的保存剤を該大量懸濁液(bulk suspension)に加え、連続的に攪拌しながら分散させることが可能である。最後に、該懸濁液を水の添加によりその最終質量にし、攪拌する。
【0054】
実施例2
モルモットにおける同側性(ipsilateral)鼻チャレンジ後の対側性(contralateral)鼻分泌応答に対する、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素(化合物1)での前処理の特徴づけ、定量および用量反応効果
一般実験計画
Dunkin Hartleyモルモット(約180〜200g)を25μlの10μgオボアルブミン + 10mg水酸化アルミニウム(食塩水中)で1日2回、5日間にわたって両鼻孔内に鼻腔内感作した。これに続いて、鼻孔当たり5mg/ml 食塩水溶液のオボアルブミン25μlでの両鼻孔における1週間の鼻腔内チャレンジを行った(週末は除かれる)。それらがオボアルブミン鼻腔内チャレンジを受けなかった場合には、この期間の後、該研究の当日まで、この計画に従い動物を維持した。
【0055】
1群当たり6匹の動物を研究対象とし、各研究操作の反復を行って1群当たり12匹までの動物を最終データセットに加えた。動物を化合物1で前処理した[鼻孔当たり25μlの懸濁液の鼻腔内投与または1mlの溶液(50% 脱イオン水、5% DMSOおよび45% PEG 200中)の経口投与]。一定の時点で、該動物をウレタン(1.5g/kg)で麻酔(i.p.)し、磁気共鳴撮像(MRI)でスキャンしてベースライン鼻イメージを得た。ついで各動物をスキャナーから取り出し、それらにカプサイシン(50μlの溶液0.3mM(5% DMSO、5% Tween 80、90% リン酸緩衝食塩水))または10% 高張性食塩溶液(50ml)の同側性鼻チャレンジを行った(ピペットで投与した)。該動物をチャレンジの10分後に再スキャンして対側性流体体積を測定した。
【0056】
該流体測定は、2 Tesla Bruker Medspec MRIスキャナー上の標準的なT2強調スピンエコーMRIの一連の操作により行った。Paravision 3.0.2(Bruker)ソフトウェアを使用して生データを集めた。Mayo ClinicソフトウェアAnalyze 7.0を使用するグレーレベル閾値技術を用いて、流体測定を行った。StatSoftによるStatistica 6.0ソフトウェアを用いて統計解析を行った。
【0057】
モデル妥当性証明
対側性流体分泌に対するカプサイシンおよび高張性食塩水(HTS)チャレンジの効果を、それぞれ図3および4に例示する。
【0058】
図3:対側性流体分泌に対するカプサイシン同側性チャレンジの効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。
【0059】
0.3mMおよび1mMの両方のカプサイシンで統計的有意性(p* < 0.05; カプサイシンビヒクルチャレンジ群と比較した場合。n = 6)が得られた。したがって最適カプサイシンチャレンジ用量を全ての後続研究に関して0.3mMと定めた。
【0060】
図4:対側性流体分泌に対する高張性食塩水(HTS)チャレンジの効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、処理後 = 高張性食塩水同側性チャレンジの10分後。50μlの10% 高張性食塩水チャレンジに応答して相当な且つ非常に一貫した対側性流体応答が見られた(p < 0.0001)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0061】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素の投与の効果
カプサイシンチャレンジの1時間前のN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素の経口投与は対側性流体分泌の有意な抑制[図5に示されるとおり10mg/kgで約50%の減少(p<0.05)および30mg/kgで約70%(p<0.001)]をもたらした。
【0062】
図5:カプサイシン誘発性鼻分泌に対する経口未微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。(*)p = 0.06; p* < 0.05; **p < 0.001(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0063】
未微粒化および微粒化N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素での局所前処理の効果を、それぞれ図6および7に示す。
【0064】
図6:カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所未微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。(*)p < 0.07; p* < 0.005; **p < 0.0001(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0065】
未微粒化物質では50%を超える有意な抑制が10mg/ml前処理動物で観察され(p < 0.005)、約75%の有意な抑制が30mg/ml前処理動物で観察された。
【0066】
図7:カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。***p < 0.0005(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0067】
図5および6の比較は、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素を局所投与した場合の鼻分泌の抑制における改善を示している。評価した全ての用量において、微粒化による粒径減少が該カプサイシン応答の有意な抑制をもたらしたことが、図6および7から明らかである。
【0068】
微粒化N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素での前処理の効果の持続を、それぞれ図11および図12に示す。化合物1での前処理の12および24時間後にカプサイシンチャレンジを該動物に行った場合、有意な抑制、すなわち、前処理の12時間後の62%の抑制および前処理の24時間後の52%の抑制が対側性応答において観察された。
【0069】
図11:カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の12時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。**p < 0.0001(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0070】
図12:カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の24時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。**p < 0.0001(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0071】
他のチャレンジに対する応答をN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素が抑制する能力を、高張性食塩水チャレンジを用いて評価した。1mg/ml微粒化N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素での前処理は該高張性食塩水応答の有意な抑制(68%)をもたらした(図8を参照されたい)。
【0072】
図8:高張性食塩水誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、処理後 = 高張性食塩水同側性チャレンジの10分後。**p < 0.005(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0073】
実施例3
鼻神経支配モルモット三叉神経節細胞体から記録されたカプサイシン誘導性電流に対する、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素(化合物1)の効果の電気生理学的特徴づけ
方法
鼻求心性ニューロンを、DilC13(3)溶液(DMSO中2%、可溶性が確保されるように音波処理されたもの)(Dil, Invitrogen)を使用して逆行性標識した。イソフランでの麻酔の5分前にモルモットにアトロピン(1mg/kg i.p.)を投与した。無感覚状態になったら、25μlの該Dil溶液を右鼻孔内に入れ、該モルモットを回復させた。24時間後、該操作を繰り返し、左鼻孔に投与した。
【0074】
2週間の期間の後、該モルモットをCO2窒息により殺し、三叉神経節を迅速に解剖した。鼻を神経支配するニューロンを含有する約3mm×2mmの領域を単離し(J. Allergy Clin. Immunol. 2005, 116, 1282)、より小さい断片に切断し、酵素バッファー(4ml L-15中の8mgパパイン)中、37℃で40分間インキュベートした。該パパイン溶液を除去し、該組織を5-5培地(5-5培地は、5mlのウシ胎児血清、5mlのウシ血清、1mlの5000単位ペニシリン/5000μgストレプトマイシン、1mlの30%グルコースおよび0.33mlの1×ストック インスリン トランスフェリン 亜セレン酸ナトリウムを、アール塩およびGlutamaxの存在下、90mlの最少必須培地に加えることにより調製した)で3回洗浄した。次第に減少する先端サイズの3個の火造りガラスパスツールピペットでのトリチュレーションにより、ニューロンを解離させ、ついで、得られた細胞懸濁液を濾過し、遠心分離(1000gで4分間)した。該ペレットを300μlの5-5培地に再懸濁させた。25μlの該細胞懸濁液をポリ-D-リシンおよびラミニン被覆12mmカバーガラス上にプレーティングし、37℃のインキュベーター内に配置した。2時間後、該カバーグラスを5-5培地で浸し、48時間以内に使用した。
【0075】
通常のホールセルパッチクランプ技術をボルテージクランプ(-70mVの保持電位)下、室温で用いた。Rapid Solution Changer(Biologic)を使用して薬物溶液を該細胞に適用した。鼻を神経支配していた細胞体を、蛍光顕微鏡を使用して特定した。
【0076】
pClampバージョン10.2.0.9および10.2.0.10(Molecular Devices Inc)を使用して全データを分析した。ついで、このデータを、Graphpad Prism(Version 5.0)を使用してグラフ表示し、非線形回帰を、組込まれた式[log(アゴニスト)対正規化応答-可変勾配](ヒルの式としても公知である)を用いてフィットさせて、IC50値およびヒル係数を得た。
【0077】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素の効果
-70mVでボルテージクランプされた小さい直径(< 30μm)の蛍光ニューロンに対する1μMカプサイシンの適用は、試験した細胞の56%において内向き電流を生成させた。60秒間にわたり、この電流は肉眼的脱感作をほとんど又は全く示さなかった。
【0078】
化合物1は該カプサイシン応答の濃度関連抑制をもたらした。この抑制はカプサイシンおよび化合物1からカプサイシンのみへの変換に際して急速な逆転を示した(図9A)。
【0079】
多数の類似実験(n > 4)からの収集データをヒルの式でフィットさせ、化合物1に関して59nMのIC50を得た(図9B)。
【0080】
実施例4
モルモットにおける同側性鼻チャレンジ後の対側性鼻組織体積に対する、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素(化合物1)での前処理の特徴づけ、定量および用量反応効果
実施例2に関して記載されているのと同様の一般実験方法を用いて、同側性カプサイシンチャレンジ後の対側性鼻組織体積変化を評価することも可能であった。
【0081】
該ビヒクルでの前処理の後、カプサイシンチャレンジは約30mm2の相当な対側性組織腫張をもたらした。化合物1での前処理は用量依存的な腫張度合の減少を示した。結果を図10に示す。3mg/mlおよび30mg/mlにおいて、該ビヒクル対照と比較して56%(p<0.05)および83%(p<0.01)の減少が観察された。
【0082】
図10:カプサイシン誘発性鼻組織応答に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。(*)p < 0.05; **p < 0.01(ビヒクル前処理群と比較した場合; 1群当たりn = 10/12)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0083】
本明細書中で引用されている特許および特許出願(これらに限定されるものではない)を含む全ての刊行物を、完全に記載されているものとして各個の刊行物が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻炎の治療における尿素化合物の使用、該化合物を含有する水性医薬組成物、特に、鼻腔内投与に適した組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許出願WO03/022809は、バニロイド(vanilloid)受容体(VR1)アンタゴニスト活性を有する一連の尿素化合物を開示している。VR1は現在では一過性受容器電位バニロイド(transient receptor potential vanilloid)1(TRPV1)と改称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO03/022809
【発明の概要】
【0004】
化合物N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素、すなわち、化合物1
【化1】
またはその製薬上許容される塩が鼻炎の治療において有用であることが、本発明において見出された。
【0005】
本発明の1つの態様においては、鼻炎の治療における使用のためのN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0006】
本発明のもう1つの態様においては、鼻炎治療用医薬の製造のための、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0007】
さらにもう1つの態様においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の有効量を、鼻炎の治療を要する患者に投与することを含む、鼻炎の治療方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、ポイントデテクター(point detector)を使用してPANalytical X' Pert Pro粉末回折計モデルPW3040/60(製造番号DY667)上に記録された化合物1の結晶形態の回折パターンを示す。
【図2】図2は、TA Q100熱量測定計(製造番号0100-0332)を使用して得たDSCサーモグラフを示す。
【図3】図3は、対側性流体分泌に対するカプサイシン同側性チャレンジの効果を示す。
【図4】図4は、対側性流体分泌に対する高張性食塩水(HTS)チャレンジの効果を示す。
【図5】図5は、カプサイシン誘発性鼻分泌に対する経口未微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。
【図6】図6は、カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所未微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。
【図7】図7は、カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。
【図8】図8は、高張性食塩水誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。
【図9】図9Aおよび図9Bは、鼻神経支配モルモット三叉神経節細胞体から記録されたカプサイシン誘導性電流に対する化合物1の効果を示す。
【図10】図10は、カプサイシン誘発性鼻組織応答に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。
【図11】図11は、カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の12時間の前処理の効果を示す。
【図12】図12は、カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の24時間の前処理の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書中で用いる鼻炎なる語は、アレルギー性鼻炎および非アレルギー性鼻炎の両方を含むと理解されるべきである。非アレルギー性鼻炎の具体例には、血管運動神経性鼻炎、刺激性鼻炎、職業性鼻炎およびNARES(好酸球性非アレルギー性鼻炎)が含まれる。1つの実施形態においては、非アレルギー性鼻炎の治療においてN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を使用する。
【0010】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素は、特許出願WO03/022809(実施例1として)に開示されている方法または本明細書に記載の方法により製造されうる。
【0011】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素は製薬上許容される塩を形成しうる。好適な製薬上許容される塩は、当技術分野で通常使用されるものであり、Berge, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19に記載されているものを包含する。
【0012】
好適な製薬上許容される塩には、酸付加塩が含まれる。好適な製薬上許容される酸付加塩には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、オルトリン酸または硫酸との塩、あるいは有機酸、例えばメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、サリチル酸、マレイン酸、グリセロリン酸またはアセチルサリチル酸との塩が含まれる。
【0013】
1つの実施形態においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素は遊離塩基の形態である。
【0014】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素は結晶または非結晶形態で製造されうる。例えば、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素は、スキーム1に記載されている方法により結晶形態で製造されうる。
【化2】
【0015】
結晶形態は場合によっては水和または溶媒和されうると理解されるであろう。本発明は、その範囲内に、化学量論的水和物および可変量の水の含有を含む。好適な溶媒和物には、製薬上許容される溶媒和物、例えば水和物が含まれる。溶媒和物には、化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物が含まれる。
【0016】
本発明における使用のために、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を1以上の製薬上許容される賦形剤で製剤化して医薬組成物を得ることが可能である。該医薬組成物は、個々の投与様式に適合するよう設計される。
【0017】
本発明のもう1つの態様においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を含む水性医薬組成物、特に、鼻腔内投与のために適合化された組成物を提供する。
【0018】
本発明の水性医薬組成物は水性懸濁液または水溶液の形態でありうる。1つの実施形態においては、本発明の水性医薬組成物は水性懸濁液の形態である。該水性成分は、好ましくは、高品質の水、特に精製水である。
【0019】
本発明における使用においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩は典型的には粒子粉砕形態(particle-size-reduced form)であり、これは通常の技術、例えばマイクロ流動化(microfluidisation)、微粒化および摩砕、例えば湿式ビード摩砕(wet bead milling)により製造されうる。一般に、粉砕(例えば、微粒化)されたN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩は、約0.1〜10ミクロン、例えば約0.5〜10ミクロン、特には約2〜4ミクロン(例えば、レーザー回折を用いて測定した場合)のD50値により定義されうる。
【0020】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の比率は、製造すべき組成物の厳密なタイプに左右されるが、一般に、該組成物の総重量に対して約0.01〜20%(w/w)の範囲内である。しかし、一般に、ほとんどのタイプの製剤に関して、用いられる比率は約0.05〜10%(w/w)、例えば約0.1〜5%(w/w)の範囲内である。
【0021】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の用量は、治療すべき疾患の重症度および他の要因、例えば患者の体重によって通常の様態で変動する。一般的な指針としては、好適な単位用量は約0.005〜1mg、例えば0.005〜0.5mg/用量でありうる。そのような単位用量は1日1回または1日2回以上、例えば1日2または3回投与されうる。そのような療法は数週間または数ヶ月間継続されうる。
【0022】
場合によっては、追加の有効成分、特に鼻炎の治療において使用される鼻腔内投与に適したもの、例えば抗ヒスタミン薬またはコルチコステロイドが、該水性医薬組成物中に配合されうる。
【0023】
組合せ使用の場合、抗ヒスタミン薬の好適な具体例には、アゼラスチン(azelastine)、オロパタジン(olopatadine)、ベポタスチン(bepotastine)、またはN-[2-((2R)-2-{[4-[(4-クロロフェニル)メチル]-1-オキソ-2(1H)-フタラジニル]メチル}-1-ピロリジニル)エチル]-4-(メチルオキシ)ブタンアミド(特許出願WO2008/74803に開示されている)、4-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-({(2R)-1-[4-(4-{[3-(ヘキサヒドロ-1H-アゼピン-1-イル)プロピル]オキシ}フェニル)ブチル]-2-ピロリジニル}メチル)-1(2H)-フタラジノン(特許出願WO2007/122156に開示されている)またはN-(4-{4-[(6-ブチル-8-キノリニル)オキシ]-1-ピペリジニル}ブチル)エタンスルホンアミド(WO2009/021965として公開された特許出願PCT/EP2008/060622に開示されている)から選択される化合物が含まれる。
【0024】
組合せ使用の場合、コルチコステロイドの好適な具体例には、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone)(これは商標Flixonase(登録商標)で鼻腔内製剤として販売されている)、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(beclomethasone)(これは商標Beconase(登録商標)で鼻腔内製剤として販売されている)またはフラン酸フルチカゾン(fluticasone)(これは商標Veramyst(登録商標)で鼻腔内製剤として販売されている)が含まれる。1つの実施形態においては、本発明は、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩とフラン酸フルチカゾンとを含む水性医薬組成物を提供する。
【0025】
存在する場合には、そのような追加の有効成分の比率は一般に約0.05〜10%(w/w)、例えば約0.1〜5%(w/w)の範囲である。
【0026】
本発明の水性医薬組成物、例えば鼻腔内組成物は、懸濁化剤、増粘剤、保存剤、湿潤剤および等張性調節剤よりなる群から選択される1以上の製薬上許容される賦形剤を含みうる。
【0027】
したがって、1つの実施形態においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩と懸濁化剤とを含む水性医薬組成物を提供する。
【0028】
該懸濁化剤は、含まれる場合には、典型的には、該組成物の総重量に対して約0.1〜5%(w/w)、約1.5%〜2.5%(w/w)の量で存在する。懸濁化剤の具体例には、Avicel(登録商標)、カルボキシメチルセルロース、ビーガム(veegum)、トラガカント、ベントナイト、メチルセルロースおよびポリエチレングリコール、例えば微晶質セルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。
【0029】
1つの実施形態においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩と保存剤とを含む水性医薬組成物を提供する。
【0030】
安定性の目的において、本発明の組成物は保存剤の配合により微生物または菌類による汚染および増殖から防御されうる。製薬上許容される抗微生物物質または保存剤の具体例には、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セトリミドおよびセチルピリジニウム)、水銀物質(例えば、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀およびチメロサール)、アルコール物質(例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコールおよびベンジルアルコール)、抗細菌性エステル(例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸のエステル)、キレート剤、例えばエチレンジアミンテトラ四酢酸(EDTA)二ナトリウムおよび他の抗微生物物質、例えばクロロヘキシジン、クロロクレーゾール、ソルビン酸およびその塩(例えば、ソルビン酸カリウム)およびポリミキシンが含まれうる。製薬上許容される抗菌物質または保存剤の具体例には、安息香酸ナトリウムが含まれうる。保存剤は、含有されている場合には、該組成物の総重量に対して約0.001〜1%(w/w)、例えば約0.015%(w/w)の量で存在しうる。
【0031】
もう1つの実施形態においては、保存剤を含有しない水性医薬組成物を提供する。
【0032】
1つの実施形態においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩と湿潤剤とを含む水性医薬組成物を提供する。
【0033】
懸濁化医薬を含有する組成物は、該組成物の水相における医薬粒子の分散を促すために該粒子を湿らせるように働く製薬上許容される湿潤剤を含みうる。典型的には、使用される湿潤剤の量は混合中に該分散液の発泡を引き起こさないであろう。湿潤剤の具体例には、脂肪アルコール、エステルおよびエーテル、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80)が含まれる。該湿潤剤は、該組成物の総重量に対して約0.001〜1.0%(w/w)、例えば約0.001〜0.05%(w/w)、例えば約0.025%(w/w)の量で存在しうる。
【0034】
1つの実施形態においては、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩と等張性調節剤とを含む水性医薬組成物を提供する。
【0035】
等張性調節剤は、体液、例えば鼻腔内流体に対する等張性を付与して刺激レベルを軽減するために配合されうる。等張性調節剤の具体例には、塩化ナトリウム、デキストロース、キシリトールおよび塩化カルシウムが含まれる。等張性調節剤は、該組成物の総重量に対して約0.1〜10%(w/w)、例えば約5.0%(w/w)の量で配合されうる。
【0036】
さらに、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を含む水性医薬組成物は、好適な緩衝剤、例えばクエン酸ナトリウム、クエン酸、ホスファート、例えばリン酸二ナトリウム(例えば十二水和物、七水和物、二水和物および無水形態)またはリン酸ナトリウムおよびそれらの混合物の添加により緩衝化されうる。
【0037】
本発明の組成物、例えば鼻腔内投与に適した組成物は、場合によっては、他の賦形剤、例えば抗酸化剤(例えばメタ重亜硫酸ナトリウム)、矯味剤(例えばメントール)および甘味剤(例えばデキストロース、グリセロール、サッカリンおよび/またはソルビトール)を含有しうる。
【0038】
1つの実施形態においては、
(i)N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の水性懸濁液、
(ii)1以上の懸濁化剤、
(iii)1以上の保存剤、
(iv)1以上の湿潤剤、および
(v)1以上の等張性調節剤
を含む水性医薬組成物を提供する。
【0039】
本発明の水性医薬組成物は、当業者によく知られた標準的な方法を用いて、例えば、適切には周囲温度および大気圧でそれらの種々の成分を混合することにより製造されうる。
【0040】
1つの実施形態においては、本発明の水性医薬組成物は鼻腔内投与に適している。
【0041】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を含む鼻腔内組成物は、該化合物が鼻腔内(標的組織)の全領域に送達されるのを可能にし、さらに、該化合物がより長期間にわたって該標的組織と接触したままとすることを可能にしうる。鼻腔内組成物に関する好適な投与計画は、鼻腔がきれいにされた後に患者がそれを鼻からゆっくりと吸入するというものである。吸入中、一方の鼻孔を手で押さえつけながら、もう一方の鼻孔に(例えば噴霧剤または滴剤として)該組成物を投与する。ついで他方の鼻孔に対してこの手順を繰返す。典型的には、鼻孔当たり1または2の噴霧剤が毎日2または3回まで、理想的には1日1回、前記方法により投与される。
【0042】
本発明の組成物は好適な容器内で提供される。鼻腔内に局所投与されるように適合化された加圧されていない水性医薬組成物に特に関心が持たれる。水性組成物は噴霧化によっても鼻に投与されうる。
【0043】
したがって、本発明の水性医薬組成物を含む、鼻腔への該組成物の送達に適した容器を提供する。
【0044】
典型的には、本発明の組成物は、流体分配器、例えば、鼻腔内アプリケーターを有する多用量容器である好適な容器内に入れられ、この場合、該用量が一定体積で計量供給される。
【0045】
そのような流体分配器は典型的には分配ノズルまたは分配口を有し、それを介して、該流体分配器のポンプ(送出)機構に使用者が力を加えた際に該流体組成物の計量用量が分配される。そのような流体分配器は一般に、複数の計量用量の該流体組成物の貯蔵容器を備えており、該用量は連続的な送出作動に際して分配されうる。該分配ノズルまたは分配口は、鼻腔内への該流体組成物の噴霧分配のために使用者の鼻孔内に挿入されるように設計されうる。前記タイプの流体分配器はWO05/044354(その全内容を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載され図示されている。該分配器は、流体組成物を含有するための容器上に配置された圧縮ポンプを有する流体放出装置を収容するハウジングを有する。該ハウジングは、手指で操作可能な少なくとも1つの側方レバーを有し、これは該ハウジングに対して内向きに動くことが可能であり、それにより該ハウジングにおいて該容器が上方にカム運動して、該ポンプにより該組成物の一定用量が圧縮され該ハウジングの鼻腔ノズルを介してポンプステムから送出される。1つの実施形態においては、該流体分配器は、WO05/044354の図30〜40に図示されている一般的なタイプのものである。
【0046】
以下の実施例は本発明の水性医薬組成物およびその使用を例示するものである。これらの実施例は、該開示を例示するものであり該開示の範囲を何ら限定するものではないと解釈されるべきである。
【実施例】
【0047】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素(化合物1)の結晶形態の特徴づけ
例えばスキーム1に記載されている方法により製造された化合物1の結晶形態をX線粉末回折(XRPD)および示差走査熱量測定(DSC)により特徴づけした。
【0048】
X線粉末回折(XRPD)
図1は、ポイントデテクター(point detector)を使用してPANalytical X' Pert Pro粉末回折計モデルPW3040/60(製造番号DY667)上に記録された化合物1の結晶形態の回折パターンを示す。入手条件は以下のとおりであった:放射:Cu Kα、発電機電圧:40kV、発電機電流:50mA、開始角度:2.0°2θ、終了角度:45.0°2θ、ステップサイズ:0.02°2θ、1ステップ当たりの時間:1.0秒。フロントフィルド(front-filled)アプローチを用いてサンプルカップをローディングして粉末の薄層を得ることにより、該サンプルを調製した。固有XRPD角およびd-間隔を表1に示す。誤差限界は該ピーク帰属のそれぞれに関して約±0.1°2θである。Highscoreソフトウェアを用いてピーク位置を測定した。
【表1】
【0049】
示差走査熱量測定(DSC)
図2は、TA Q100熱量測定計(製造番号0100-0332)を使用して得たDSCサーモグラフを示す。該サンプルをアルミニウム製平鍋内に計り取り、平鍋の蓋を上に載せ、該平鍋を密閉することなく軽く押し付けた。該実験は、10℃分-1の加熱速度を用いて行った。
【0050】
実施例1
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素(化合物1)を含む水性医薬組成物の製造
本発明の水性医薬組成物は以下の一般的方法に従い製造されうる。
【0051】
等張性調節剤を、精製水を含有する好適な混合容器内に入れ、攪拌しながら溶解させる。保存剤を別個の容器内で精製水に予め溶解させる。これは、場合によっては、溶解を補助するために、選択した保存剤に応じて50〜60℃に加熱しながら行う。ついでそれを、連続的に攪拌しながら該等張性調節剤に加える。ついで懸濁化剤を該混合容器内に入れ、該溶液全体に分散させる。得られた懸濁ビヒクルを、架橋およびゲル化が保証される適当な時間にわたって水和させる。これは60分以上を要しうる。
【0052】
別個の混合容器内で湿潤剤を精製水と混合し、場合によっては、選択した湿潤剤に応じて適宜、それを例えば約50〜60℃に加熱し、攪拌して溶解させることが可能である。ついで化合物1またはその製薬上許容される塩(単独体または追加の活性成分と組合されたもの)のスラリーを調製する。これは、得られた湿潤剤溶液を該活性化合物(これは粉砕(粒径減少)、例えば微粒化されていることが可能である)に加えることにより行われ、それらは均一化/精製前に混合されうる。また、別個の混合容器内で、必要に応じて追加的な保存剤を精製水で希釈し、攪拌して混合することが可能である。
【0053】
該分散およびゲル化の後、活性化合物のスラリーを、懸濁化剤を含有する混合容器に加え、攪拌しながら分散させる。活性化合物のスラリーの添加の後、いずれかの追加的保存剤を該大量懸濁液(bulk suspension)に加え、連続的に攪拌しながら分散させることが可能である。最後に、該懸濁液を水の添加によりその最終質量にし、攪拌する。
【0054】
実施例2
モルモットにおける同側性(ipsilateral)鼻チャレンジ後の対側性(contralateral)鼻分泌応答に対する、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素(化合物1)での前処理の特徴づけ、定量および用量反応効果
一般実験計画
Dunkin Hartleyモルモット(約180〜200g)を25μlの10μgオボアルブミン + 10mg水酸化アルミニウム(食塩水中)で1日2回、5日間にわたって両鼻孔内に鼻腔内感作した。これに続いて、鼻孔当たり5mg/ml 食塩水溶液のオボアルブミン25μlでの両鼻孔における1週間の鼻腔内チャレンジを行った(週末は除かれる)。それらがオボアルブミン鼻腔内チャレンジを受けなかった場合には、この期間の後、該研究の当日まで、この計画に従い動物を維持した。
【0055】
1群当たり6匹の動物を研究対象とし、各研究操作の反復を行って1群当たり12匹までの動物を最終データセットに加えた。動物を化合物1で前処理した[鼻孔当たり25μlの懸濁液の鼻腔内投与または1mlの溶液(50% 脱イオン水、5% DMSOおよび45% PEG 200中)の経口投与]。一定の時点で、該動物をウレタン(1.5g/kg)で麻酔(i.p.)し、磁気共鳴撮像(MRI)でスキャンしてベースライン鼻イメージを得た。ついで各動物をスキャナーから取り出し、それらにカプサイシン(50μlの溶液0.3mM(5% DMSO、5% Tween 80、90% リン酸緩衝食塩水))または10% 高張性食塩溶液(50ml)の同側性鼻チャレンジを行った(ピペットで投与した)。該動物をチャレンジの10分後に再スキャンして対側性流体体積を測定した。
【0056】
該流体測定は、2 Tesla Bruker Medspec MRIスキャナー上の標準的なT2強調スピンエコーMRIの一連の操作により行った。Paravision 3.0.2(Bruker)ソフトウェアを使用して生データを集めた。Mayo ClinicソフトウェアAnalyze 7.0を使用するグレーレベル閾値技術を用いて、流体測定を行った。StatSoftによるStatistica 6.0ソフトウェアを用いて統計解析を行った。
【0057】
モデル妥当性証明
対側性流体分泌に対するカプサイシンおよび高張性食塩水(HTS)チャレンジの効果を、それぞれ図3および4に例示する。
【0058】
図3:対側性流体分泌に対するカプサイシン同側性チャレンジの効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。
【0059】
0.3mMおよび1mMの両方のカプサイシンで統計的有意性(p* < 0.05; カプサイシンビヒクルチャレンジ群と比較した場合。n = 6)が得られた。したがって最適カプサイシンチャレンジ用量を全ての後続研究に関して0.3mMと定めた。
【0060】
図4:対側性流体分泌に対する高張性食塩水(HTS)チャレンジの効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、処理後 = 高張性食塩水同側性チャレンジの10分後。50μlの10% 高張性食塩水チャレンジに応答して相当な且つ非常に一貫した対側性流体応答が見られた(p < 0.0001)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0061】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素の投与の効果
カプサイシンチャレンジの1時間前のN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素の経口投与は対側性流体分泌の有意な抑制[図5に示されるとおり10mg/kgで約50%の減少(p<0.05)および30mg/kgで約70%(p<0.001)]をもたらした。
【0062】
図5:カプサイシン誘発性鼻分泌に対する経口未微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。(*)p = 0.06; p* < 0.05; **p < 0.001(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0063】
未微粒化および微粒化N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素での局所前処理の効果を、それぞれ図6および7に示す。
【0064】
図6:カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所未微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。(*)p < 0.07; p* < 0.005; **p < 0.0001(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0065】
未微粒化物質では50%を超える有意な抑制が10mg/ml前処理動物で観察され(p < 0.005)、約75%の有意な抑制が30mg/ml前処理動物で観察された。
【0066】
図7:カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。***p < 0.0005(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0067】
図5および6の比較は、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素を局所投与した場合の鼻分泌の抑制における改善を示している。評価した全ての用量において、微粒化による粒径減少が該カプサイシン応答の有意な抑制をもたらしたことが、図6および7から明らかである。
【0068】
微粒化N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素での前処理の効果の持続を、それぞれ図11および図12に示す。化合物1での前処理の12および24時間後にカプサイシンチャレンジを該動物に行った場合、有意な抑制、すなわち、前処理の12時間後の62%の抑制および前処理の24時間後の52%の抑制が対側性応答において観察された。
【0069】
図11:カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の12時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。**p < 0.0001(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0070】
図12:カプサイシン誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の24時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。**p < 0.0001(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0071】
他のチャレンジに対する応答をN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素が抑制する能力を、高張性食塩水チャレンジを用いて評価した。1mg/ml微粒化N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素での前処理は該高張性食塩水応答の有意な抑制(68%)をもたらした(図8を参照されたい)。
【0072】
図8:高張性食塩水誘発性鼻分泌に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、処理後 = 高張性食塩水同側性チャレンジの10分後。**p < 0.005(ビヒクル前処理群と比較した場合)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0073】
実施例3
鼻神経支配モルモット三叉神経節細胞体から記録されたカプサイシン誘導性電流に対する、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素(化合物1)の効果の電気生理学的特徴づけ
方法
鼻求心性ニューロンを、DilC13(3)溶液(DMSO中2%、可溶性が確保されるように音波処理されたもの)(Dil, Invitrogen)を使用して逆行性標識した。イソフランでの麻酔の5分前にモルモットにアトロピン(1mg/kg i.p.)を投与した。無感覚状態になったら、25μlの該Dil溶液を右鼻孔内に入れ、該モルモットを回復させた。24時間後、該操作を繰り返し、左鼻孔に投与した。
【0074】
2週間の期間の後、該モルモットをCO2窒息により殺し、三叉神経節を迅速に解剖した。鼻を神経支配するニューロンを含有する約3mm×2mmの領域を単離し(J. Allergy Clin. Immunol. 2005, 116, 1282)、より小さい断片に切断し、酵素バッファー(4ml L-15中の8mgパパイン)中、37℃で40分間インキュベートした。該パパイン溶液を除去し、該組織を5-5培地(5-5培地は、5mlのウシ胎児血清、5mlのウシ血清、1mlの5000単位ペニシリン/5000μgストレプトマイシン、1mlの30%グルコースおよび0.33mlの1×ストック インスリン トランスフェリン 亜セレン酸ナトリウムを、アール塩およびGlutamaxの存在下、90mlの最少必須培地に加えることにより調製した)で3回洗浄した。次第に減少する先端サイズの3個の火造りガラスパスツールピペットでのトリチュレーションにより、ニューロンを解離させ、ついで、得られた細胞懸濁液を濾過し、遠心分離(1000gで4分間)した。該ペレットを300μlの5-5培地に再懸濁させた。25μlの該細胞懸濁液をポリ-D-リシンおよびラミニン被覆12mmカバーガラス上にプレーティングし、37℃のインキュベーター内に配置した。2時間後、該カバーグラスを5-5培地で浸し、48時間以内に使用した。
【0075】
通常のホールセルパッチクランプ技術をボルテージクランプ(-70mVの保持電位)下、室温で用いた。Rapid Solution Changer(Biologic)を使用して薬物溶液を該細胞に適用した。鼻を神経支配していた細胞体を、蛍光顕微鏡を使用して特定した。
【0076】
pClampバージョン10.2.0.9および10.2.0.10(Molecular Devices Inc)を使用して全データを分析した。ついで、このデータを、Graphpad Prism(Version 5.0)を使用してグラフ表示し、非線形回帰を、組込まれた式[log(アゴニスト)対正規化応答-可変勾配](ヒルの式としても公知である)を用いてフィットさせて、IC50値およびヒル係数を得た。
【0077】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素の効果
-70mVでボルテージクランプされた小さい直径(< 30μm)の蛍光ニューロンに対する1μMカプサイシンの適用は、試験した細胞の56%において内向き電流を生成させた。60秒間にわたり、この電流は肉眼的脱感作をほとんど又は全く示さなかった。
【0078】
化合物1は該カプサイシン応答の濃度関連抑制をもたらした。この抑制はカプサイシンおよび化合物1からカプサイシンのみへの変換に際して急速な逆転を示した(図9A)。
【0079】
多数の類似実験(n > 4)からの収集データをヒルの式でフィットさせ、化合物1に関して59nMのIC50を得た(図9B)。
【0080】
実施例4
モルモットにおける同側性鼻チャレンジ後の対側性鼻組織体積に対する、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素(化合物1)での前処理の特徴づけ、定量および用量反応効果
実施例2に関して記載されているのと同様の一般実験方法を用いて、同側性カプサイシンチャレンジ後の対側性鼻組織体積変化を評価することも可能であった。
【0081】
該ビヒクルでの前処理の後、カプサイシンチャレンジは約30mm2の相当な対側性組織腫張をもたらした。化合物1での前処理は用量依存的な腫張度合の減少を示した。結果を図10に示す。3mg/mlおよび30mg/mlにおいて、該ビヒクル対照と比較して56%(p<0.05)および83%(p<0.01)の減少が観察された。
【0082】
図10:カプサイシン誘発性鼻組織応答に対する局所微粒化化合物1の1時間の前処理の効果を示す。ベースライン測定 = カプサイシンチャレンジ前、10分データ点 = 0.3mMカプサイシン同側性チャレンジの10分後。(*)p < 0.05; **p < 0.01(ビヒクル前処理群と比較した場合; 1群当たりn = 10/12)。ダンネット(Dunnett)のフォローアップ検定によるANOVA。
【0083】
本明細書中で引用されている特許および特許出願(これらに限定されるものではない)を含む全ての刊行物を、完全に記載されているものとして各個の刊行物が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻炎の治療における使用のためのN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩。
【請求項2】
非アレルギー性鼻炎の治療における使用のためのN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩。
【請求項3】
鼻炎治療用医薬の製造のための、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の使用。
【請求項4】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の有効量を、鼻炎の治療を要する患者に投与することを含む、鼻炎の治療方法。
【請求項5】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を含む水性医薬組成物。
【請求項6】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素が遊離塩基の形態である、請求項5記載の水性医薬組成物。
【請求項7】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩が約0.5〜10ミクロンの粒径D50値を有する、請求項5または6記載の水性医薬組成物。
【請求項8】
水性懸濁液の形態である、請求項5〜7のいずれか1項記載の水性医薬組成物。
【請求項9】
懸濁化剤、増粘剤、保存剤、湿潤剤および等張性調節剤よりなる群から選択される1以上の製薬上許容される賦形剤を更に含む、請求項5〜8のいずれか1項記載の水性医薬組成物。
【請求項10】
(i)N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の水性懸濁液、
(ii)1以上の懸濁化剤、
(iii)1以上の保存剤、
(iv)1以上の湿潤剤、および
(v)1以上の等張性調節剤
を含む、請求項9記載の水性医薬組成物。
【請求項11】
抗ヒスタミン薬またはコルチコステロイドである追加の有効成分を含む、請求項5〜10のいずれか1項記載の水性医薬組成物。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか1項記載の水性医薬組成物を含む、鼻腔内への該組成物の送達に適した容器。
【請求項1】
鼻炎の治療における使用のためのN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩。
【請求項2】
非アレルギー性鼻炎の治療における使用のためのN-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩。
【請求項3】
鼻炎治療用医薬の製造のための、N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の使用。
【請求項4】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の有効量を、鼻炎の治療を要する患者に投与することを含む、鼻炎の治療方法。
【請求項5】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩を含む水性医薬組成物。
【請求項6】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素が遊離塩基の形態である、請求項5記載の水性医薬組成物。
【請求項7】
N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩が約0.5〜10ミクロンの粒径D50値を有する、請求項5または6記載の水性医薬組成物。
【請求項8】
水性懸濁液の形態である、請求項5〜7のいずれか1項記載の水性医薬組成物。
【請求項9】
懸濁化剤、増粘剤、保存剤、湿潤剤および等張性調節剤よりなる群から選択される1以上の製薬上許容される賦形剤を更に含む、請求項5〜8のいずれか1項記載の水性医薬組成物。
【請求項10】
(i)N-(2-ブロモフェニル)-N'-[((R)-1-(5-トリフルオロメチル-2-ピリジル)ピロリジン-3-イル)]尿素またはその製薬上許容される塩の水性懸濁液、
(ii)1以上の懸濁化剤、
(iii)1以上の保存剤、
(iv)1以上の湿潤剤、および
(v)1以上の等張性調節剤
を含む、請求項9記載の水性医薬組成物。
【請求項11】
抗ヒスタミン薬またはコルチコステロイドである追加の有効成分を含む、請求項5〜10のいずれか1項記載の水性医薬組成物。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか1項記載の水性医薬組成物を含む、鼻腔内への該組成物の送達に適した容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−501315(P2012−501315A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524411(P2011−524411)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061236
【国際公開番号】WO2010/026129
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061236
【国際公開番号】WO2010/026129
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】
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